説明

搬送装置

【課題】 高速で、長尺出力や連続紙のような連続ウェブに出力する場合であっても、シートのたるみがなくなり、しわの発生やシートが定着ローラに巻き込まれることを防止することができることを課題とする。
【解決手段】 駆動ローラ71は、回転軸73と、回転軸73を所定方向に回転させる駆動手段80と、回転軸73に所定数の円筒状部材からなるロール部74とを有し、シート10の中央が通過するロール部74aは、駆動ローラ71に所定の押圧力で接触させるように、シート10の中央が通過するロール部の両側に配置されるロール部74bの外径よりも大きい径で形成され、駆動手段80は、シート10を引っ張る力が一定となるように、駆動ローラ71を駆動することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
定着装置により未定着トナーを担持したシートを定着した後、このシートを次行程に移動するための搬送装置に関するものであり、特に、シートの種類として、連続紙のような連続ウェブを移動するための搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート上に形成されたトナー像を加熱定着するための手段として、特許文献1のような構成が開示されている。この構成は、シートとなる記録紙Pの表面の定着手段である上ローラ310、裏面の定着手段である下ローラ320に対し外部加熱手段である上、下外部加熱ローラ331、332を有し、両面画像形成時或いは裏面外部形成時において、該上、下外部加熱ローラ331、332の上、下外部ヒータH3、H4を作動させて上、下ローラ310、320を加熱するものである。記録紙Pの表面及び裏面に付着した未定着トナーを定着した後、記録紙は、排紙ローラ18a、18b、18cを経て、装置外部のトレイへ排出される。
【特許文献1】特開平11ー231703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、記録紙Pが、長尺出力を実施する場合、または連続紙のような連続ウェブに出力する場合、特にシートの出力が高速である場合には、定着装置30と排紙ローラ18a間において記録紙Pにたるみが発生し、記録紙Pのたるみ部分が定着装置30の構成部分に触れてしまう可能性が高く、これにより、記録紙Pが定着装置30にからまってジャムが発生しやすいという問題を含んでいる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は、請求項1においては、定着装置により未定着トナーを担持したシートを定着した後、このシートを駆動ローラと従動ローラとからなるローラ対で挾持して、シートを移動させる搬送装置において、駆動ローラは、回転軸と、回転軸を所定方向に回転させる駆動手段と、回転軸に所定数の円筒状部材からなるロール部とを有し、シートの中央が通過するロール部は、駆動ローラに所定の押圧力で接触させるように、シートの中央が通過するロール部の両側に配置されるロール部の外径よりも大きい径で形成され、駆動手段は、シートを引っ張る力が一定となるように、駆動ローラを駆動することを特徴とする。
【0005】
また、請求項2においては、シートの中央が通過するロール部の両側に配置されるロール部は、駆動ローラに対し、近接または当接するような外径を有することを特徴とする。さらに、請求項3においては、好適には、定着装置が表面に弾性層を有する互いに圧接する定着ローラ対であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記構成により、本発明によれば、高速で、長尺出力や連続紙のような連続ウェブに出力する場合であっても、シートのたるみがなくなり、しわの発生やシートが定着ローラに巻き込まれることを防止することができる。この結果、定着装置でのシートのジャムを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の形態を、図を参照として説明する。図1は本発明による搬送装置の一形態を組み入れた画像形成装置の要部の断面構成図である。図1の装置は、連続紙のような連続ウェブの表裏両面に表、裏の順でカラー画像を転写し、次いでこれら未定着のカラー画像を表裏一括して定着し、シートを次行程に移動する構成よりなる。この実施の形態において、次行程は特許文献1のようにシートの排出である。
【0008】
カラー画像を形成する画像形成部は、大別して、連続ウェブ10(以下単に、シートという。)の表面(図で見て下面)にカラー画像を形成するための第1の画像形成部20、並びに転写材10の裏面(図で見て上面)にカラー画像を形成する第2の画像形成部30からなる。図示のように第1の画像形成部20と第2の画像形成部30とはほぼ左右対称の構成をなしており、第1の画像形成部20が、転写ベルト21に対して、下から順に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の画像を形成され、転写ベルト21の頂上部においてそこに形成されたカラー画像を転写材の表面に転写するのに対して、第2の画像形成部30は転写ベルト31に対して、上から順にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の画像が形成され、転写ベルト32の下端において転写材の裏面に画像が転写される点が異なる。
【0009】
各色のトナー像を形成する感光ドラムY1、M1、C1、BK1並びにY2、M2、C2、BK2は、使用するトナーの色(Y、M、C、BK)並びに帯電、転写等の各種の設定値が異なることを除いては、物理的にはほぼ同じ構成よりなる。このため以下においては第1の画像形成部の黒色トナー用の感光体BK1への黒色画像の形成について、その周囲に配置された画像形成機器について説明するが、その他の感光ドラムY1、M1、C1、Y2、M2、C2、BK2の周囲にも同様な画像形成機器が配置されている。
【0010】
感光ドラムBK1はOPC感光体、アモルファスシリコン感光体等の周知の感光体をアルミニウム等の円筒基体の表面に設けた構成よりなり、図1で見て、作動時には時計方向に所定の速度で回転する。感光ドラムBK1の周囲に作動順に、感光ドラムBK1上の残留電荷を除去するイレーサランプ22、感光ドラムBK1の表面を特定極性に一様に帯電するコロナ帯電器23、帯電された感光ドラムBK1の表面に黒色信号に応じたデジタル光信号を投射することにより所望の情報に基づいた静電潜像を形成するためのLED露光装置24、感光ドラムBK1の表面に形成された静電潜像を黒色トナーにより現像する現像装置25、転写ベルト40の背面側からトナーと逆極性の帯電を行うことにより感光ドラムBK1上に形成されたトナー像を転写ベルト40の表面に転写する転写ローラ(または転写コロナ放電器)26、転写後に感光ドラムBK1表面上に残留するトナー粉体を除去するためのクリーナー27を有する。
【0011】
感光ドラムY1、M1、C1についても、感光ドラムBK1と同様に上記したイレーサランプ、コロナ帯電器、LED露光装置、現像装置、転写ローラ、クリーナーがそれぞれ設けられているが、それぞれが形成するトナー像の色が異なり、感光ドラムY1についてはイエロー、M1についてはマゼンタ、C1についてはシアンのそれぞれの色に対応した色画像信号に基づく露光と、対応する色のトナーが用いられている。
【0012】
転写ベルト40は誘電性表面(トナー像担持体面)を有する幅広のエンドレスベルトよりなり、図示例では上下に間隔を隔てて設けられた2つの支持ローラ42a、42bにより支持され、画像形成時には反時計方向に各感光ドラムY1、M1、C1、BK1の周速と同速度で移動する。この移動に伴い、中間転写ベルト40の表面に、感光ドラムY1に形成されたイエロー色のトナー像が、次いで感光ドラムM1、C1、BK1のそれぞれに形成されたマゼンタ色のトナー像、シアン色のトナー像、黒色トナー像が順に転写されて積層されてフルカラートナー画像またはマルチカラートナー画像が形成される。
【0013】
転写ベルト40を支持する2つの支持ローラ41a、41bのうち、少なくとも上方に位置する支持ローラ41bは、軸線方向全幅にわたって転写ベルト21の背面に接触しており、この支持ローラ41bと対面するように、転写ベルト40の表面に圧接して転写ローラ90が配置されている。転写ローラ90は、図示しないバイアス電源に連結されており、画像形成時に所定の転写バイアスが印加され、それにより転写ベルト40と接触するようにして搬送されてくる転写材10の表面に、転写ベルト40上に形成されたトナー像が転写される。
【0014】
転写材10は先に述べたように連続紙よりなり、図示しない送りローラ対により転写ローラ90と転写ベルト40との間に送り込まれ、その表面に転写ベルト40からトナー像を転写された後、ほぼ直角に下方に向かって案内され、案内ローラ42によって第2の画像形成部30の転写ローラ90に送られ、裏面にカラートナー像が転写される。
【0015】
こうして表裏両面にそれぞれ未定着のカラートナー像を担持したシート10は、片面定着または両面一括定着のために定着装置50へと送られる。
【0016】
この例では図2に示すように、定着装置50は2つの定着ローラ51、52を有する。定着ローラ51、52は熱伝導率の良い、例えばアルミニウム製の円筒管53、54の外周にシリコンゴム等の弾性層55、56を0.8〜10mm程度の厚さに被覆し、更にその表面にはテフロン(登録商標)被膜が形成されている。2つの定着ローラ51、52は互いに圧接するように配置されており、図示しない駆動手段によりそれぞれ矢印AおよびBの方向に回転するようになっている。かかる定着ローラ51、52の回転は、ほぼ同じ速度とされている。定着ローラ51、52の円筒管53、54内にはそれぞれ赤外線ランプ(またはハロゲンランプ)等の加熱手段60、61が設けられている。
【0017】
一方、定着ローラ51、52の弾性層55、56の外周には、定着ローラ51、52表面の温度を検知するサーミスタ等の温度センサ(図示せず)が設けられており、このセンサからの信号を受けて図示しない制御手段により加熱手段60、61をオンオフ制御して定着ローラ51、52の温度を所定の温度範囲内に維持すべくしている。
【0018】
定着装置50で、定着したシート10は、搬送装置に送られる(移動する)。図3に、搬送装置の概略を示す。図3に示すように、搬送装置は、駆動ローラ71と回転自在な従動ローラ72とを含んだローラ対70からなる。
【0019】
駆動手段80は、シート10を引っ張る力が一定となるように、駆動ローラを駆動するものであり、具体的なものとしてトルクモータで構成される。駆動手段80の駆動力により駆動ローラ71が回転すると、これに伴い従動ローラ72も回転する。なお、駆動ローラ71の回転は、定着装置の50の定着ローラ51,52の回転より速くなるように設定されている。
【0020】
駆動ローラ71は、回転自在な回転軸73と、回転軸73に軸着された所定数の円筒状部材からなるロール部74とからなる。各ローラ部74の表面には、ゴム等の弾性層が形成されている。また、シート10の中央が通過するロール部74aは、従動ローラ72に所定の押圧力で接触するようにするため、シート10の中央が通過するロール部74aの両側に配置されるロール部74bの外径を有している。
【0021】
さらに、シート10の中央が通過するロール部74aの両側に配置している各ロール部74b、74bは、駆動ローラ71に対し、近接または当接するような外径として、定着後のシート10の移動を所定の方向に案内する。なお、ロール部74bは、ロール部74aを中央に対象に、複数、設けても良い。また、図3に示すように、シート10の中央が通過するロール部74aの幅L1は、ロール部74aの両側に配置しているロール部74bの幅L2よりも広くなっている。
【0022】
ロール部74aの幅L1は、最も幅が狭いシート10の幅よりも狭くなっている。また、ロール部74bの配置間隔は、シート10の各幅に対し、ロール部74bの外端がシート10の内側となるように配置されている。
【0023】
このような構成により、定着装置50で定着中のシート10は、加熱でシート10に含まれる水分が失われ、定着前のシート10に比べ僅かに収縮してしまう。このため、定着装置50を通過したシート10は、もとの状態の戻ろうとし、大気中の水分を吸収して、シートが波打ち状になる。このシートの波打ち状が成長して、しわの発生やジャムの原因となるたるみが生じやすい状態となる。
【0024】
この状態において、ローラ対70の駆動ローラ71は、駆動手段80の駆動力により、シート10の移動方向に向かって一定の引っ張る力が作用した状態で回転しているため、移動方向に向かってシート10の中央に発生されるべき波打ち状が伸ばされ、シートの中央において、しわやたるみがなくなる。
【0025】
さらに、ロール部74aの両側に配置している各ロール部74b、74bは、駆動ローラ71に対し、近接または当接しているため、ローラ対70の両端側に過度な押圧力を作用することがなくなり、安定したシート10の移動を行なうことができる。
【0026】
また、各ロール部74b、74bにより、シートの波打ち状の成長が抑制され、しわの発生やジャムの原因となるたるみが防止される。抑制されたシートの波打ち状は、シートの延びとなって作用し、この作用はローラの両端側に分散され、しわの発生やジャムの原因となるたるみが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による搬送装置を組み入れた画像形成装置の要部を示した断面構成図である。
【図2】本発明によるは搬送装置の概略を示す図である。
【図3】定着ローラの動作を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
10 連続ウェブ(シート)
50 定着装置
70 ローラ対
71 駆動ローラ
72 従動ローラ
73 回転軸
74 ロール部
80 駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着装置により未定着トナーを担持したシートを定着した後、このシートを駆動ローラと従動ローラとからなるローラ対で挾持して、シートを移動させる搬送装置において、
前記駆動ローラは、回転軸と、前記回転軸を所定方向に回転させる駆動手段と、前記回転軸に所定数の円筒状部材からなるロール部とを有し、
前記シートの中央が通過する前記ロール部は、前記駆動ローラに所定の押圧力で接触させるように、前記シートの中央が通過する前記ロール部の両側に配置される前記ロール部の外径よりも大きい径で形成され、
前記駆動手段は、前記シートを引っ張る力が一定となるように、前記駆動ローラを駆動することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記シートの中心が通過する前記ロール部の両側に配置される前記ロール部は、前記駆動ローラに対し、近接または当接するような外径を有することを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記定着装置は、表面に弾性層を有する互いに圧接する定着ローラ対を含むことを特徴とする請求項1記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−27880(P2006−27880A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212964(P2004−212964)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000165136)桂川電機株式会社 (66)
【Fターム(参考)】