説明

搬送装置

【課題】 極めて簡潔で誰にでも簡単に組付けることができる構成でありながら、搬送距離や駆動部の位置を容易かつ任意に変更できる搬送装置を提供すること。
【解決手段】 隣接するローラ2(2A,2B)の支持軸3を順次リンク4によって連結してループを形成しワークWを搬送するための動力を伝達する無端チェーン5と、この無端チェーン5が巻回されて無端チェーンの軌道を定めるガイド溝6a,6b,6eを備えたフレーム6とからなる搬送体8を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワークを搬送するために無端ベルトまたは無端チェーンを用いてワークを搬送する搬送装置がある。図9は従来の構成の一例として無端ベルトを用いてワークを搬送する搬送装置91の構成を示す斜視図である。
【0003】
図9に示す搬送装置91は、駆動部92と、従動部93と、搬送ベルト94と、中間部95とを有する。前記駆動部92は中間部95の一端に取り付けらており、駆動源としての電動機(モータ)92aと、このモータ92aによって回動する駆動プーリー92bと、軸92cとを備えている。一方、従動部93は中間部95の他端に取り付けられており、従動プーリー93aと軸93bとを備えている。つまり、前記軸92c,93bは中間部95の両端において互いに並行するように配置されたものであり、搬送ベルト94は各駆動プーリー92bと従動プーリー93aによって巻回されるように配置してある。
【0004】
また、96は搬送装置91を支持する架台部であり、97はオイルトレイである。さらに、98,99は搬送ベルト94の両端、すなわち駆動プーリー92bと従動プーリー93aの外側にワークが搬送装置を乗り継ぐときにこれを支えるための乗り継ぎローラである。
【0005】
上記構成の搬送装置91を用いることにより、モータ92aの駆動に伴って搬送ベルト94を駆動することができ、これによってワークを搬送することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記構成の搬送装置91は、搬送ベルト94が2つのプーリー92b,93aによって所定の張力をかけた状態で引っ張られることにより、モータ92aの回転力が確実に搬送ベルト94に伝達される必要があるので、各部92〜97がユニット化されて溶接される。つまり、各部92〜97の取付け位置が固定されている。このため、搬送装置1を組み立てるためには、各部92〜97の構成およびその組付位置を熟知している熟練作業者が必要となるという問題がある。
【0007】
また、モータ92aの位置などが固定されているので、このモータ92aが作業の邪魔になったり、周囲の機械の邪魔になるような場合にも、モータ92aの位置を変えることができない(従動プーリー93aを駆動プーリーとするような仕様変更を行なうことは可能であるが、何れにしてもモータ92aの位置は搬送装置91の一端または他端に限られる)という問題があった。
【0008】
さらに、従来の搬送装置91は、ワークWの搬送方向に対して直列に接続された場合に、搬送ベルト94の両端部に前記乗り継ぎローラ98,99を必要としているという問題がある。図10は乗り継ぎローラ98,99による搬送装置91の乗り継ぎを説明する図である。図10において、Wはワークであり、94Aおよび94Bはそれぞれ上流側および下流側の搬送ベルトである。
【0009】
図10(A)に示す状態では、ワークWが上流側の搬送ベルト94Aと乗り継ぎローラ98に跨がるように位置する。つまり、ワークWは上流側の搬送ベルト94Aの終端において斜め方向に搬送されることがあるとしても、ワークWの先頭部分が乗り継ぎローラ98に当接することにより、その搬送方向を水平方向に修正することができる。
【0010】
同様に、図10(B)は乗り継ぎローラ98によって支持されたワークWを乗り継ぎローラ99に乗り継がせる直前の状態を示している。このとき、ワークWは上流側の搬送ベルト94Aから離れるときに幾らか斜め方向に搬送されることがあるが、ワークWの先頭部分が乗り継ぎローラ99に当接することにより、その搬送方向を水平方向に修正することができる。
【0011】
図10(C)は乗り継ぎローラ99によって支持されたワークWを下流側の搬送ベルト94Bに乗り継がせるときの状態を示している。このとき、ワークWの搬送方向が斜になることがあるが、ワークWの先頭部分が搬送ベルト94Bに当接することにより、その搬送方向を水平方向に修正することができる。
【0012】
次いで、図10(D)は乗り継ぎローラ99によって支持されたワークWを下流側の搬送ベルト94B側に乗り継ぐときの状態を示している。ここでも、ワークWは乗り継ぎローラ98から離れるときに幾らか斜め方向に搬送されることがあるが、ワークWの先頭部分が下流側の搬送ベルト94Bによって支えられているので、その搬送方向を水平方向にして、以後、下流側の搬送ベルト94Bによって搬送を継続することができる。
【0013】
上述のように搬送ベルト94の両端に乗り継ぎローラ98,99を配置することにより、直列に繋げられた搬送ベルト94A,94B間でワークWを乗り継ぐことは可能であるが、乗り継ぎ部でワークWの搬送に波うつような挙動が生じるので、ワークWに傷が付く可能性があるという問題がある。また、ワークWが乗り移る際には、ワークWが乗り継ぎローラ98,99などに当たることによる音が生じ、これが騒音の原因となることがあった。
【0014】
本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであって、その目的は、極めて簡潔で誰にでも簡単に組付けることができる構成でありながら、搬送距離や駆動部の位置を容易かつ任意に変更できる搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の搬送装置は、隣接するローラの支持軸を順次リンクによって連結してループを形成しワークを搬送するための動力を伝達する無端チェーンと、この無端チェーンが巻回されて無端チェーンの軌道を定めるガイド溝を備えたフレームとからなる搬送体を有することを特徴としている。
【0016】
前記搬送体の下部において無端チェーンに係合して、この無端チェーンを移動させることによりワークを搬送するための動力を無端チェーンに供給する駆動部を有していてもよい(請求項2)。
【0017】
前記ガイド溝に嵌まるローラの下面が前記ガイド溝の底面に接すると共に、これらのローラの上面がワークに接することにより、無端チェーンの移動に伴ってワークを搬送できるように構成してあってもよい(請求項3)。
【0018】
複数の搬送体を搬送方向に対して並列に並べると共に、各搬送体の上流側および/または下流側の端部の位置を異ならせて配置してあり、各搬送体の上流側および/または下流側の端部が、搬送方向に隣合う搬送体に対面してワークを乗り継がせることができるように配置してあってもよい(請求項4)。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の搬送装置では、搬送体の構成が極めてシンプルであるから、その組み付けを容易に行なうことができると共に、メンテナンスも容易に行なうことができる。また、フレームに巻回する無端チェーンはこれがガイド溝から容易に外れてしまわない程度の長さであればよいから、搬送体の長さを無端チェーンの長さに厳密に合わせる必要がない。つまり、搬送体の長さを必要に応じて容易に変えることができる。
【0020】
前記搬送体の下部において無端チェーンに係合して、この無端チェーンを移動させることによりワークを搬送するための動力を無端チェーンに供給する駆動部を有する場合(請求項2)には、無端チェーンに駆動部からの動力を供給することができるので、これを自動搬送装置とすることができる。また、駆動部は搬送体の下部において無端チェーンに係合できる位置であればどこにでも取り付けることが可能であるから、この搬送装置の設置場所の必要に柔軟に対応して駆動部の位置を容易に変更することができる。
【0021】
前記ガイド溝に嵌まるローラの下面が前記ガイド溝の底面に接すると共に、これらのローラの上面がワークに接することにより、無端チェーンの移動に伴ってワークを搬送できるように構成してある場合(請求項3)には、無端チェーンの移動によって直接的にワークを搬送することができるので、搬送装置の構成をできるだけ簡素にすることができる。しかしながら、無端チェーンにワークを載せるためのパレットのようなものを形成して、ワークを搬送するように構成してあってもよい。
【0022】
複数の搬送体を搬送方向に対して並列に並べると共に、各搬送体の上流側および/または下流側の端部の位置を異ならせて配置してあり、各搬送体の上流側および/または下流側の端部が、搬送方向に隣合う搬送体に対面してワークを乗り継がせることができるように配置してある場合(請求項4)には、各搬送体がその上流側および/または下流側の隣合う搬送体に対して異なる位置で対面し、搬送方向の異なる位置においてワークを乗り継がせることができるので、搬送体の乗り継ぎ部分においてワークに傾きや衝突による揺れや衝撃が生じないようにすることが可能であるから、ワークに傷をつける恐れがなく、騒音の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1〜6は本発明の第1実施例である搬送装置1の構成を示す図であり、図1は搬送装置1の要部の構成を一部分解して示す斜視図、図2は搬送装置1の平面図、図3は搬送方向に対して直角な方向から見た側面図、図4は搬送方向に沿う方向から見た側面図、図5は斜視図、図6は一部の構成を拡大して示す図である。
【0024】
図1に示すように、搬送装置1は、隣接する2つのローラ2の支持軸3を左右一対のリンク4によって順次多数連結してループを形成しワークを搬送するための動力を伝達する無端チェーン5と、この無端チェーン5が巻回されて無端チェーン5の軌道を定めるガイド溝6aを備えたフレーム6と、このフレーム6の下側に位置する無端チェーン5が大きく弛まないようにガイドするガイドレール7とからなる搬送体8を有する。
【0025】
なお、無端チェーン5を構成するローラ2、支持軸3、リンク4は何れも同じ形状であるが、以下の説明では区別するために、それぞれローラ2A,2B、支持軸3A,3B、リンク4A,4Bと表現することもある。
【0026】
前記ローラ2はガイド溝6aの深さよりも十分に大きな径を有しており、ガイド溝6aに嵌まるローラ2の下面が前記ガイド溝6aの底面に接すると共に、これらのローラ2の上面が後述のワークに接することができるように構成されている。
【0027】
前記リンク4A,4Bは各ローラ2A,2Bの左右両端に突出するように形成された支持軸3A,3Bにそれぞれ係合して、順次隣接する2つのローラ2A,2Bを回動自在に保持すると共に連結するものである。つまり、複数のリンク4A,4B…によって複数のローラ2を多数直列に連結することにより、全体としてループ状の無端チェーン5を形成する。
【0028】
前記フレーム6は、例えば断面形状がほゞ四角形である棒形状の本体フレーム6Aと、この本体フレーム6Aの長手方向の両端に取り付けられる端フレーム6Bとからなっている。また、本体フレーム6Aには、例えばその上面に形成された前記ガイド溝6aと同形状のガイド溝6bが、その下面に形成されている。また、本体フレーム6Aの左右両側面にはそれぞれ取付け溝6c,6dが形成されている。そして、前記端フレーム6Bには、前記ガイド溝6a,6bに連続するとともに滑らかな円弧状の曲線を描くように形成されたガイド溝6eを備えている。
【0029】
前記取付け溝6c,6dの形状は、ナット部材9aを取付け溝6c,6dに沿って摺動自在に抜け止め支持できるものである。つまり、取付け溝6c,6dに嵌め込んだナット部材9aに対してビス9bを螺合することにより、取付け溝6c,6dに沿う任意の位置に後述の繋ぎ部材9A,9B等をネジ止めによって固定することができる。
【0030】
なお、繋ぎ部材9Aは本体フレーム6Aの両端に端フレーム6Bを取付けるためのものである。また、繋ぎ部材9Bは本体フレーム6Aの下部の所定位置に前記ガイドレール7を配置するためのものであり、一対の繋ぎ部材9Bの下部には搬送体8の全体を支持するためのパイプ状の支持部8aを形成してある。
【0031】
前記ガイドレール7は例えば断面L字状に形成することにより、その一面(垂直面)を前記繋ぎ部材9Bに面するように強固に連結すると共に、他面(水平面)によって無端チェーン5を下方から支持することができる。また、本実施例のガイドレール7は2部材(以下、ガイドレール7A,7Bともいう)で構成し、両ガイドレール7A,7Bの間に後述する駆動部10を介在させるためのギャップ7aを形成してある。
【0032】
第1実施例の搬送装置1は例えば同じ長さの2本の搬送体8(8A,8B)を搬送方向に対して並列に並べて配置してあり、かつ、電動機による駆動力を用いてワークを自動搬送する自動搬送装置である。
【0033】
図2〜5は、搬送装置1の全体的な構成を示している。図2〜5において、10は搬送体8A,8Bの下部において無端チェーン5に係合して、この無端チェーン5を移動させることによりワークを搬送するための動力を無端チェーン5に供給する駆動部、11は一対の搬送体8A,8Bを例えば長手方向の中央と両端の3箇所において連結する連結体、12は前記支持部8aに連結されて搬送体8A,8Bを支持する脚、13(13a,13b)は縦横の補強フレーム、14は脚12の補強を行なうと共に油を受け止めるオイルパンである。
【0034】
また、15は搬送装置1によって搬送されるワークの落下を防止するためのガイドレールであり、16は搬送体8A,8Bの例えば長手方向の中央と両端の3箇所の側面に取り付けられたガイドレール15の支持アームである。
【0035】
図6は前記駆動部10の構成を示す断面図である。図6に示すように、本実施例の駆動部10は動力源となる電動機(モータ)20と、このモータ20の出力軸20aに連結された回転軸21と、この回転軸21の前記搬送体8A,8Bにそれぞれ対応する位置に連結されたスプロケット22A,22Bと、各搬送体8A,8Bに対して駆動部10を固定するための固定部材23A,23Bと、油受け24A,24Bとを設けてなる。なお、本実施例のスプロケット22A,22Bは何れも中央に無端チェーン5のローラ2を導入するための溝22aを形成してなる。
【0036】
本実施例のように構成された駆動部10は搬送体8A,8Bの下部であれば長手方向のどの位置に配置してあってもスプロケット22A,22Bを無端チェーン5に嵌合させることができ、無端チェーン5に駆動力を供給することができる。つまり、無端チェーン5はスプロケット22A,22Bがフレーム6の下部において嵌合することにより、フレーム6の下方に位置する無端チェーン5を例えば図示右側(搬送体8の上流側の端部であり、以下、搬送装置1の一端部1aという)に引っ張るように移動し、フレーム6の上方に位置する無端チェーン5が前記一端部1aから図示左側(搬送体8の下流側の端部であり、以下、搬送装置1の他端部1bという)に移動するように構成されている。
【0037】
このとき、無端チェーン5は搬送装置1の他端部1bに位置する端フレーム6Bにおいて方向を変えて引っ張られるように駆動されるので、フレーム6の下部における駆動部10から一端部1aまでの無端チェーン5は幾らか弛んだような状態であっても何ら問題となることがない。また、本実施例のように、ガイドレール7を設けた場合にはフレーム6の下部に位置する無端チェーン5が撓むこともない。
【0038】
つまり、フレーム6の長さは無端チェーン5がガイド溝6a,6bから外れることがない程度に無端チェーン5の長さに合わせてあればよく、その長さを厳密に合わせる必要がない。したがって、本発明の搬送装置1は極めて容易に組付けることができる。
【0039】
そして、フレーム6の上部において無端チェーン5が一端部1aから他端部1bに移動することにより、ワークが一端部1aから他端部1bに搬送される。すなわち、図4の拡大図に示すように、ワークが搭載された無端チェーン5の各ローラ2の下面がガイド溝6aの底面に接すると共に、これらのローラ2の上面がワークWに接することにより、無端チェーン5の移動に伴ってワークWを搬送できるように構成してある。
【0040】
また、上記構成の駆動部10は搬送体8A,8Bの下部であればどこであっても取付け可能である。したがって、搬送装置1の設置環境に合わせて作業の邪魔にならない位置に駆動部10を取付けることが可能である。本実施例の場合、前記ガイドレール7A,7Bの間に形成されたギャップ7aの位置に駆動部10を配置している。このように構成することにより、無端チェーン5の移動速度の2倍の速度でワークWを確実に搬送することができる。なお、無端チェーン5のワークWが搭載されていない部分のローラ2はガイド溝6aに対して、これから外れることがない程度に接するのみであるから、その摩擦抵抗を小さくすることができる。
【0041】
本実施例では駆動部10によって2本の搬送体8A,8Bを駆動する例を示しているが、本発明はこの点に限定されるものではない。すなわち、前記回転軸21に対して必要な数のスプロケット22A,22B…を取付けることにより、必要な数の搬送体8A,8B…を同時に駆動することが可能である。多くの搬送体8A,8B…を並列に並べてワークを搬送することにより、より安定したワークの搬送を行なうことが可能となる。
【0042】
また、前記本体フレーム6Aの一端および/または他端に設けられる端フレーム6Bに無端チェーン5を巻回するスプロケットを配置してもよく、この端フレーム6Bに配置したスプロケットに対して動力を供給する駆動部を設けてもよいことはいうまでもない。
【0043】
さらに、前記駆動部10のモータ20に代えて、主動によって無端チェーン5を駆動するための手動駆動ハンドル(図示していない)を設けることも可能である。この場合、搬送装置1をフリーコンベア装置として使用することが可能である。
【0044】
つまり、製造ラインの立上り部分に、当初、フリーコンベア装置を配置して作業の進捗状況に合わせた搬送を行い、次いで、ラインの稼働率が上がった時点で手動駆動ハンドルをモータ20に取り替えたり、駆動部10全体を取り替えることにより、自動コンベア装置に仕様変更することも可能である。本発明の搬送装置1はその構成が極めて簡潔であるから、このような仕様変更を極めて容易に行なうことができる。
【0045】
なお、前記無端チェーン5およびスプロケット22A,22Bの形状は上述したものに限られるものではなく、種々の変形が可能である。
【0046】
図7は前記スプロケットと無端チェーンの変形例を示す図である。図7において、図1〜6と同じ符号を付した部材は同一または同等の部材であるから、その詳細な説明を省略する。
【0047】
図7において、2C,2Dは中央にスプロケット22に嵌合する支持軸3を配置するように左右に分けて形成されたローラ、30A,30Bはそれぞれリンク4A,4Bに連結すると共に各ローラ2C,2Dを回動自在に保持することにより無端チェーン5の上にワークを載せるように形成されたパレットである。なお、このパレット30A,30Bにはスプロケット22を導入するためのスリット30aが形成されている。
【0048】
図7のように構成された無端チェーン5を用いることにより、ワークがパレット30A,30Bの上に乗った状態で搬送されるので、ワークがローラ2C,2Dに直接接触することがない。また、パレット30A,30Bを用いてワークを搬送することにより、ワークを無端チェーン5の移動速度と同じ速度で安定して搬送することが可能となる。
【0049】
図8は搬送装置1の第2実施例を示す図である。図8において、図1〜7と同じ符号を付した部材は同一または同等の部材であるから、その詳細な説明を省略する。
【0050】
図8においては2つの搬送装置1A,1Bを直列に並べて配置してある。一方の搬送装置1Aは図示上側の搬送体8Cを下側の搬送体8Dよりも長く形成してあり、搬送装置1Aの下流側の端部1c,1dの位置を異ならせるように配置してある。そして、他方の搬送装置1Bは図示上側の搬送体8Eを下側の搬送体8Fよりも短く形成してあり、搬送装置1Bの上流側の端部1e,1fの位置を異ならせるように配置してある。
【0051】
つまり、本発明の搬送装置1では、駆動部10の位置が、一対の搬送体8Cと8Dおよび8Eと8Fの両方に跨がって駆動力を供給することができる位置であれば、長さ方向のどの位置に配置されていてもよく、従来のように駆動部や従動部が搬送体8の両端部に配置されている必要がないので、搬送体8の配置や長さにかなりの自由度がある。それゆえに、本実施例のように左右のフレーム6の長さを異ならせて配置することが可能であり、左右の搬送体8C,8Dおよび8E,8Fの長さを変更して組み立てることができる。
【0052】
なお、本実施例では搬送体8C,8Dおよび8E,8Fの長さを変えることにより、搬送装置1Aの下流側の端部1c,1dの位置および搬送装置1Bの上流側の端部1e,1fの位置を異ならせるように配置している。しかしながら、搬送体8C〜8Fを長さは同じとして、その長さ方向の位置をずらすことにより、各搬送体8C〜8Fの上流側および下流側の端部1e〜1fの位置を異ならせて配置することも可能である。
【0053】
本実施例のように左右の搬送体8C,8Dおよび8E,8Fを凸凹に組み立てられた搬送体1A,1Bを用いることにより、一方の搬送装置1Aによって搬送されたワークWを、搬送方向の異なる位置において、他方の搬送装置1Bに乗り移らせることができる。このとき、従来の搬送装置のように、乗り継ぎローラを介在させる必要なく搬送装置間でワークWを乗り継がせることができる。そして、ワークWが乗り移る際に従来は起きていたワークWと搬送体との衝突による傷つきや騒音を無くすことができる。
【0054】
上述のように複数の搬送体8を組み合わせて搬送方向の異なる位置においてワークの乗り継ぎを行わせる場合に、1台の搬送装置1が3列以上の搬送体8を有するようにして、ワークの乗り継ぎ部分におけるより安定した搬送を行なうようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1実施例の搬送装置の要部の構成を一部分解して示す斜視図である。
【図2】前記搬送装置の平面図である。
【図3】前記搬送装置を搬送方向に直角な方向から見た側面図である。
【図4】前記搬送装置を搬送方向に沿う方向から見た側面図である。
【図5】前記搬送装置の斜視図である。
【図6】前記搬送装置の駆動部の構成を示す図である。
【図7】無端チェーンとスプロケットの部分の変形例を示す図である。
【図8】第2実施例の搬送装置を示す平面図である。
【図9】従来の搬送装置の構成を示す図である。
【図10】従来の搬送装置の動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0056】
1,1A,1B 搬送装置
1b,1c,1d 下流側の端部
1a,1e,1f 上流側の端部
2(2A,2B) ローラ
3 支持軸
4 リンク
5 無端チェーン
6 フレーム
6a,6b,6e ガイド溝
8,8A〜8F 搬送体
10 駆動部
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接するローラの支持軸を順次リンクによって連結してループを形成しワークを搬送するための動力を伝達する無端チェーンと、この無端チェーンが巻回されて無端チェーンの軌道を定めるガイド溝を備えたフレームとからなる搬送体を有することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記搬送体の下部において無端チェーンに係合して、この無端チェーンを移動させることによりワークを搬送するための動力を無端チェーンに供給する駆動部を有する請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記ガイド溝に嵌まるローラの下面が前記ガイド溝の底面に接すると共に、これらのローラの上面がワークに接することにより、無端チェーンの移動に伴ってワークを搬送できるように構成してある請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
複数の搬送体を搬送方向に対して並列に並べると共に、各搬送体の上流側および/または下流側の端部の位置を異ならせて配置してあり、各搬送体の上流側および/または下流側の端部が、搬送方向に隣合う搬送体に対面してワークを乗り継がせることができるように配置してある請求項1〜4の何れかに記載の搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate