説明

搬送装置

【課題】簡単な構造で飲食物が載置される走行体を安定して走行させることができる搬送装置を提供することを目的とする。
【解決手段】飲食物を載置可能な走行体11を走行させて飲食物を搬送する搬送装置10であって、前記走行体11が走行する走行路12に沿って設けられる搬送駆動部13と、前記走行体11に連結され、前記搬送駆動部13の駆動により前記走行体11の走行方向に移動する走行体連結部14と、を備え、前記搬送駆動部13は、前記走行路12の側方に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば寿司等の飲食物が載置されるトレーを走行させて該飲食物を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転寿司店等の飲食店において、飲食物を載置した飲食物皿等を搬送する搬送装置として、平面視ほぼ半月状をなす多数のスタットを、無端回送する搬送手段としてのチェーンに相対回動可能に取り付けたクレセントチェーンコンベアが一般的に知られている。
【0003】
一方、近年においては、クレセントチェーンコンベアを使用しない搬送装置として、例えば飲食物が載置されるトレーが車輪を介して搬送路面上を走行可能とされるとともに、搬送路面の下方には、所定間隔おきに設けた磁石が無端状の駆動チェーンにより循環走行可能に配設され、前記トレーに設けた磁性体と駆動チェーンの磁石との吸引力によりトレーを走行させて飲食物を搬送するもの等がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−16464号公報(第1頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の搬送装置にあっては、トレーを走行させるための駆動チェーンが搬送路面の下方に設けられることで、駆動チェーンの駆動力を搬送路面を介してトレーに伝達するために磁力等を利用する必要が生じるため、伝達機構が複雑化して製造コストが嵩むといった問題があった。
【0006】
また、駆動チェーンとトレーとを連結部材等により連結することも考えられるが、この場合には、搬送路面上に連結部材を通過させるための溝等を形成する必要があり、見栄えが悪くなる。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、簡単な構造で飲食物が載置される走行体を安定して走行させることができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の搬送装置は、
飲食物を載置可能な走行体を走行させて飲食物を搬送する搬送装置であって、
前記走行体が走行する走行路に沿って設けられる搬送駆動部と、
前記走行体に連結され、前記搬送駆動部の駆動により前記走行体の走行方向に移動する走行体連結部と、
を備え、
前記搬送駆動部は、前記走行路の側方に配設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、搬送駆動部を駆動して走行体連結部を移動させることで走行体が走行するとともに、走行体と搬送駆動部との間には走行路面等が存在しないことで、走行体連結部を介して走行体を搬送駆動部に確実に連結することができるため、走行体を安定して走行させることができる。
尚、前記走行体が走行する走行路とは、必ずしも走行体を走行させるための走行路面を有するものに限定されるものではなく、このような走行路面がない走行空間等を含む。
【0009】
本発明の請求項2に記載の搬送装置は、請求項1に記載の搬送装置であって、
前記搬送駆動部は、前記走行体に載置される飲食物の取り出し口側と反対側の側方に配設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、飲食物の取り出しの際に搬送駆動部が邪魔になることがないばかりか、安全性が向上する。
【0010】
本発明の請求項3に記載の搬送装置は、請求項1または2に記載の搬送装置であって、
前記走行体は、前記走行体連結部を介して前記搬送駆動部により略水平に支持されることを特徴としている。
この特徴によれば、走行体の荷重が走行体連結部を介して搬送駆動部により支持されることで、走行体を走行させるための走行路面等を走行路に設けなくて済むため、走行路の構造が簡素化される。
【0011】
本発明の請求項4に記載の搬送装置は、請求項1ないし3のいずれかに記載の搬送装置であって、
前記搬送駆動部は、駆動源により回転する駆動回転体、該駆動回転体とは別個に設けられる従動回転体、前記駆動回転体と前記従動回転体とに掛け渡され、前記走行体連結部が取り付けられる環状部材を含む駆動部品と、該駆動部品が一体的に組み付けられるケース部材と、から構成されることを特徴としている。
この特徴によれば、各駆動部品がケース部材に組み付けられユニット化されているため、搬送駆動部を走行路の側方に簡単に配設することができる。
【0012】
本発明の請求項5に記載の搬送装置は、請求項1ないし4のいずれかに記載の搬送装置であって、
飲食物を無端状の循環搬送路を循環搬送させることにより該飲食物を飲食客に提供する循環型飲食物搬送装置を備え、
前記走行路は、前記循環搬送路の上方に位置することを特徴としている。
この特徴によれば、循環搬送装置及び搬送装置双方を用いて、飲食物を効率よく搬送することができるばかりか、循環搬送路及び搬送路をスペース効率よく配設することができる。
【0013】
本発明の請求項6に記載の搬送装置は、請求項1ないし5のいずれかに記載の搬送装置であって、
前記走行路における前記走行体に載置される飲食物の取り出し口側の側方に、前記走行路内への進入を抑止する進入抑止手段が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、走行路を走行してきた走行体との接触等の危険を回避することができる。
【0014】
本発明の請求項7に記載の搬送装置は、請求項6に記載の搬送装置であって、
前記進入抑止手段は、前記走行路の長手方向に向けて延設され、前記走行体の側方を支持する支持レールであることを特徴としている。
この特徴によれば、走行体の走行を安定させるための支持レールを利用して、走行路を走行してきた走行体との接触等の危険を回避することができる。
【0015】
本発明の請求項8に記載の搬送装置は、請求項1ないし7のいずれかに記載の搬送装置であって、
前記走行体の走行状況を報知する報知手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、走行体が走行しているのか否かが報知されることで、走行路を走行してきた走行体との接触等の危険を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る搬送装置を実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0017】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、本発明の循環型飲食物搬送装置を示す平面図である。図2は、本発明の実施例としての注文搬送装置及び循環型飲食物搬送装置の要部を示す斜視図である。図3は、基台を客席側から視た状態を示す正面図である。図4は、図3におけるA−A断面図である。
【0018】
先ず図1には、本発明の実施例としての注文搬送装置10及び循環型飲食物搬送装置4が設けられた基台7の飲食店内における配置状況が示されている。飲食店内は、仕切り用の隔壁1により厨房エリア2と飲食客エリア3とに区画されている。基台7は、平面視略E型に形成され、3本の直線搬送路部7aが厨房エリア2内から飲食客エリア3内に向けて延設されており、該直線搬送路部7aの周囲には、テーブル8が搬送路に沿って複数配置されるとともに、テーブル8の周囲には客席9が配置されている。
【0019】
基台7の上面には、平面視略半月上をなす複数の搬送板がチェーンにより連結されてなる無端状のクレセントチェーンコンベア5(図2参照)が、厨房エリア2と飲食客エリア3とを循環走行自在に配設されており、このクレセントチェーンコンベア5により、平面視略E型の循環搬送路が構成されている。
【0020】
また、直線搬送路部7aにおけるクレセントチェーンコンベア5の上方には、本発明の実施例としての注文搬送装置10の注文搬送路が配設されている。詳しくは、クレセントチェーンコンベア5は、直線搬送路部7aの先端部にて折り返されることで、直線搬送路部7aには往路と復路とが並設されており、これら往路及び復路それぞれの上方に、直線状に構成された一対の注文搬送路がそれぞれ配設されている。つまり本実施例では、3本の直線搬送路部7aそれぞれに一対の注文搬送路が設けられている。
【0021】
これら循環型飲食物搬送装置4の循環搬送路及び注文搬送装置10の注文搬送路には、主に厨房エリア2内において飲食物が投入(供給)され、それぞれの搬送路に沿って搬送されて飲食客エリア3内の飲食客に提供されるようになっている。尚、循環型飲食物搬送装置4には、飲食物が適宜投入されるとともに、注文搬送装置10には、主に適宜客席9の飲食客から注文を受けて調理した注文飲食物F2が、該注文客に対応する注文搬送装置10にて搬送されるようになっている。
【0022】
次に、注文搬送装置10の詳細な構造について、図2〜図4に基づいて説明する。尚、該注文搬送装置10は、往路及び復路双方の上方位置にそれぞれ一対に配設されているが、構造は同一のため、ここでは一方の装置のみ説明し、他方の詳細な説明は省略することとする。
【0023】
注文搬送装置10は、例えば寿司等の飲食物(注文飲食物)が載置された寿司皿Dが載置される走行体としての搬送トレー11(図2参照)を走行させることで、飲食物を搬送する搬送装置であって、搬送トレー11と、該搬送トレー11が走行する走行路12に沿って設けられる搬送駆動部としての駆動ユニット13と、一端が該駆動ユニット13に設けられるとともに他端が搬送トレー11に連結され、駆動ユニット13の駆動により搬送トレー11の走行方向に移動する走行体連結部としての連結部材14と、から主に構成されている。
【0024】
駆動ユニット13は、図示しない搬送モータと、該搬送モータに連結された駆動回転体としての駆動ローラ(図示略)と、前記搬送モータに連係しない従動回転体としての従動ローラ(図示略)と、これら駆動ローラと従動ローラとの外周に掛け渡された環状部材としてのコンベアベルト15(図4参照)とを少なくとも含む駆動部品と、これら複数の駆動部品が一体的に組み付けられるケース部材16と、から構成されるコンベアユニットである。
【0025】
図3に示されるように、ケース部材16は、搬送方向に延びる左右一対の側板17a,17bと、これら両側板17a,17bを連結する連結ボルト・ナット18と、両側板17a,17bの下方に配置される支持台19と、から上面が開放する箱状に構成されている。両側板17a,17b間における長手方向の両端側には、前述した駆動ローラと従動ローラとが、水平軸(図示略)を介して回動自在に配設され、これら駆動ローラと従動ローラとの外周には、合成樹脂製のコンベアベルト15が掛け渡されており、図示しない搬送モータの駆動によりコンベアベルト15が縦方向に回転するようになっている。
【0026】
両側板17a,17b間における連結ボルト・ナット18の上下には、縦断面上向きコ字形をなすベルト収容部材20,20が長手方向に延設されており、これら上下のベルト収容部材20,20内にコンベアベルト15の上下部が収容されている。
【0027】
このように、各駆動部品が一体的に組み付けられて内部に収容されてなる長手方向に延びるケース部材16は、図2及び図3に示されるように、クレセントチェーンコンベア5の上方所定高さ位置に、搬送方向に向けて配設される。具体的には、基台7の上面における循環搬送路における往路と復路との間には、ケース部材16を支持する略L字形をなすブラケット22が固定された支柱21が、搬送方向に向けて所定間隔おきに立設されており、これら所定間隔おきに配置された各ブラケット22における屈曲部側に、支持台19を上方から載置した状態でそれぞれ図示しないネジ等にて固設されている。
【0028】
尚、各支柱21,21間には目隠し板23が配設されており、反対側の客席9との間が区画されているとともに、注文搬送装置10にて搬送されてきた注文飲食物を反対側の飲食客が誤って取り出すことが防止されている。また、支柱21の上部には、搬送方向に対して直交する方向を向く横フレーム24が設けられており、各横フレーム24の上部には、湯呑み等の食器類や調味料品等を載置可能な棚板25や、搬送路を照らす照明装置26等が配設されている。
【0029】
コンベアベルト15の長手方向の一部には、該コンベアベルト15と搬送トレー11とを連結するための金属製の連結部材14の上端が取り付けられている。具体的には、コンベアベルト15における連結部材14の取り付け位置には、一部が側板17aの内面に摺接される縦断面略L字形の内ガイド板27と、一部が側板17aの外面に摺接される縦断面略L字形の外ガイド板28と、の上部がボルト29により取り付けられており、この外ガイド板28の上面に、連結部材14の上部がネジ30を介して固着されている。よって、コンベアベルト15が回動することにより、連結部材14がケース部材16の長手方向、つまり飲食物の搬送方向に沿って往復移動するようになっている。
【0030】
尚、側板17aの上部内面に内ガイド板27が近接配置され、また、側板17aの上部外面に外ガイド板28の摺接面28aが近接配置されて、側板17aの上部がこれら内ガイド板27と外ガイド板28とにより挟持されることにより、搬送トレー11の荷重による連結部材14の傾きが、内ガイド板27及び外ガイド板28と側板17aとの摺接作用により規制されるようになっている。
【0031】
連結部材14は、外ガイド板28に固着される連結ステー14aと、該連結ステー14aの下端に連設されるトレー支持板14bと、から構成されており、トレー支持板14bの上面に搬送トレー11が固設されている。搬送トレー11の上面には、寿司皿Dを配置可能な配置凹部11aが前後に凹設されている。
【0032】
また、トレー支持板14bにおける駆動ユニット13と反対側の端部には、搬送トレー11及び該搬送トレー11に載置される飲食物等の荷重を支持するための補助ローラ31,31が前後に配設されている。これら前後一対の補助ローラ31,31は、各ブラケット22の先端側に配置される搬送方向に延びる補助レール32上を転動可能とされており、搬送トレー11の荷重を支持するようになっている。
【0033】
このように構成された搬送駆動部としての駆動ユニット13と、走行体としての搬送トレー11とは、図2及び図4に示されるように、飲食物の搬送方向に向かって左右側、つまり、搬送トレー11の走行路12における幅方向に並設されている。
【0034】
具体的には、図4に示されるように、駆動ユニット13は、ブラケット22における屈曲部側(図4中右側方)に配置され、搬送トレー11は、駆動ユニット13よりも客席側(図4中左側方)に配置されている。つまり、駆動ユニット13は、搬送トレー11が走行する走行路12における、搬送トレー11に載置される注文飲食物F2の取り出し口35と反対側の側方に配設されていることで、飲食客から視ると、駆動ユニット13は、搬送トレー11よりも奥側に配設されているため、注文飲食物F2を飲食客が取り出す際に、駆動ユニット13が邪魔になることがないとともに、安全性が向上する。
【0035】
このように構成された注文搬送装置10にあっては、搬送トレー11は、基本的に注文搬送装置10の注文搬送路(走行路12)における厨房エリア2側の端部にて待機されている。そして、飲食客から受け付けた注文飲食物が厨房エリア2内で調理され、該注文飲食物F2を載置した寿司皿Dを搬送トレー11に配置し、調理者が所定の搬送操作を行うことで、駆動ユニット13が駆動してコンベアベルト15が回転する。そして、該コンベアベルト15の回転により連結部材14が走行路12に沿って移動するとともに、該連結部材14に連結された搬送トレー11が、走行路12を飲食客エリア3に向けて走行する(図2及び図3中実線矢印方向)。
【0036】
駆動ユニット13の搬送モータは、図示しない制御部に接続されており、前述したように調理者が行う所定の搬送操作により、その駆動量すなわち搬送距離等が制御部により制御されるため、搬送トレー11が注文客の客席9に到達した時点で駆動が停止され、これにより搬送トレー11が注文客の客席9にて停止するようになっている(図3参照)。
【0037】
また、注文客が搬送トレー11上の飲食物を取り出したことが図示しない検出センサ等により検出され、または図示しない取り出し完了ボタン等が飲食客により操作されると、駆動ユニット13が再び駆動し、コンベアベルト15が逆回転して飲食物が取り出された空の搬送トレー11が走行路12を逆方向に走行し(図2及び図3中1点鎖線矢印方向)、厨房エリア2に戻るようになっている。つまり搬送トレー11は、走行路12を往復動自在に設けられている。
【0038】
以上説明したように、本発明の実施例としての注文搬送装置10にあっては、搬送駆動部としての駆動ユニット13を駆動して走行体連結部としての連結部材14を移動させることで、走行体としての搬送トレー11が走行するとともに、搬送トレー11と駆動ユニット13との間には走行路面等が存在しないことで、従来のように磁力等を利用することなく、連結部材14を介して搬送トレー11を駆動ユニット13に確実に連結して搬送トレー11を安定して走行させることができる。
【0039】
さらに、搬送トレー11と駆動ユニット13とが走行路12の幅方向に並設されることで、走行路12の下方に駆動ユニット13を配設しなくて済むため、走行路12の構造を簡素化することができるばかりか、搬送トレー11上に載置された飯粒等の飲食物が、駆動ユニット13内に落下して、駆動に支障をきたすことがない。
【0040】
特に駆動ユニット13は、搬送トレー11に載置される飲食物の取り出し口35と反対側の側方、つまり走行路12における搬送トレー11よりも飲食客から視て奥側に配設されているため、飲食物の取り出しの際に駆動ユニット13が邪魔になることがないばかりか、安全性が向上する。
【0041】
また、搬送トレー11は、トレー連結部である連結部材14及び内ガイド板27及び外ガイド板28からなるガイド部材を介して駆動ユニット13により略水平に支持されている。つまり、搬送トレー11の荷重が連結部材14を介して側方に配置された駆動ユニット13により支持されることで、搬送トレー11の荷重を支持して走行させるための走行路面等を走行路12に設けなくて済むため、走行路12の構造が簡素化される。
【0042】
また、本実施例では、補助レール32により搬送トレー11の走行路面が走行路12の一部に構成されているが、例えば図4中2点鎖線で示されるように、走行路12の下方に飲食物の落下を防止するための落下防止板33等を、複数のブラケット22に掛け渡すように配置してもよく、このようにすることで、下方の循環型飲食物搬送装置4の循環搬送路上を移動する飲食物F1上や循環搬送路上への飲食物等の落下を防止できる。尚、このような落下防止板33を透明なアクリル板等にて構成することで、飲食客に圧迫感を与えることを回避できる。
【0043】
また、駆動ユニットは、図示しない駆動モータ等により回転する駆動ローラ、従動ローラ、駆動ローラと従動ローラとに掛け渡され、連結部材14が取り付けられるコンベアベルト15を含む駆動部品と、該駆動部品が一体的に組み付けられるケース部材16と、から構成されることで、各駆動部品がケース部材16に組み付けられユニット化されているため、駆動ユニット13を各ブラケット22上に載置するだけで、走行路12の側方に簡単に配設することができる。また、予め循環型飲食物搬送装置4のみが設けられていた基台7にも、後付で簡単に注文搬送装置10を設けることができる。
【0044】
また、注文搬送装置10の走行路12(注文搬送路)は、循環型飲食物搬送装置4のクレセントチェーンコンベア5(循環搬送路)の上方位置に、該循環搬送路に沿って配設されているため、循環型飲食物搬送装置4及び注文搬送装置10双方を用いて、飲食物を効率よく搬送することができるばかりか、注文飲食物F2を注文飲食客以外の飲食客が誤って取ることなく、確実に注文客に提供することができる。また、循環搬送路及び注文搬送路を上下にスペース効率よく配設することができる。
【0045】
尚、本実施例では、搬送トレー11に補助ローラ31が設けられ、搬送トレー11における駆動ユニット13と反対側の側方が補助レール32により支持されていることで、搬送トレー11の両側方が駆動ユニット13及び補助レール32双方が支持されるため、搬送トレー11が略水平姿勢に保持され、安定性が向上するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば補助ローラ31、補助レール32を設けることなく、搬送トレー11を連結部材14を介して駆動ユニット13のみで片持ち状態で荷重を支持するようにしてもよく、このようにすることで、例えばブラケット22等を短寸にでき、走行路12にこのような構造物が張り出すことがないので、飲食客に圧迫感を与えることがない。
【0046】
このような一例を、図5及び図6示す変形例としての注文搬送装置10’,10’’を用いて説明する。図5は、変形例1としての注文搬送装置を示す縦断面図である。図6は、同じく変形例2としての注文搬送装置を示す縦断面図である。
【0047】
図5に示される変形例1としての注文搬送装置10’は、駆動ユニット13のみにより搬送トレー11が片持ち状態で支持されるようになっている。駆動ユニット13における縦断面上向きコ字形をなす上方のベルト収容部材20の上端は、側板17a,17bよりも上方に突出されており、連結部材14の連結ステー14aには、該突出したベルト収容部材20の上端にガイドされる第1ガイドローラ40が設けられているとともに、トレー支持板14bには、側板17aの外面下部位置に当接して転動する第2ガイドローラ41が設けられている。
【0048】
このように、連結部材14は2つのガイドローラ40,41により駆動ユニット13の上部及び下部にガイドされているため、側方に配置される搬送トレー11の荷重を全て支持することができるため、構造物であるブラケット22を図に示すように短寸にすることができる。
【0049】
また、図6に示される変形例2としての注文搬送装置10’’は、同じく駆動ユニット13のみにより搬送トレー11が片持ち状態で支持されるようになっている。連結部材14には、支持台19の側面に当接するガイドローラ42が設けられている。また、本変形例における駆動ユニット13は、支持台19の上部分が横向きに配設されている。つまり、図示しない駆動ローラや従動ローラが垂直軸周りに回転自在に設けられ、コンベアベルト15が横回転するようになっている。
【0050】
このようにしても、実施例1や変形例1と同様に搬送トレー11を支持した状態で走行させることができる。また、このようにコンベアベルト15を横回転させることで、駆動ユニット13を水平方向に湾曲形成することができるため、走行路12を直線状のものに限定されることなく、曲線路を有する走行路12を構成することが可能となる。
【0051】
また、本実施例では、走行路12における飲食物の取り出し口35側に、走行路12に沿って延設される補助レール32が設けられており、これにより、走行路面が存在しない走行路12内に、飲食客が手や頭を不用意に進入させることが抑止されるため、走行路12を走行してきた搬送トレー11と飲食客との接触等の危険を回避することができる。つまり、補助レール32は本発明の進入抑止手段を構成している。
【0052】
特にこのような進入抑止手段が、搬送トレー11を安定して支持するための補助レール32により構成されていることで、このような進入抑止手段を別途設けなくて済むため、製造コストを効果的に低減できる。
【0053】
また、図7に示されるように、補助レール32における飲食客側の側板32aの高さを高くして、搬送トレー11を客席9側から見えないように隠蔽することで、注文飲食物F2が注文客以外の他の飲食客に謝って取り出されることを防止することができる。また、この場合、補助レール32の側板32aにおける各客席9に対応する部分に切り欠き部32bを形成し、注文飲食物F2を取り出しやすくするとともに、該切り欠き部32bを開閉可能な一対の開閉バー51を配置しておき、搬送トレー11が注文客に対応する切り欠き部32bにて停止したことに応じて、該開閉バー51を回動自在に支持する駆動部51aの駆動が駆動して開閉バー51が上方に跳ね上がり開放されるようにしてもよい。
【0054】
尚、このような補助レール32の側板32aや開閉バー51も、本発明の進入抑止手段の一部を構成している。
【0055】
また、搬送トレー11は、循環型飲食物搬送装置4のように常時搬送路上を搬送されているものではなく、注文客に注文飲食物F2を提供するときにのみ搬送トレー11が走行路12を走行するものであり、上述のように飲食客が不用意に走行路12内に手や頭部を進入させる虞があるため、飲食客の注意を引くために、例えば図7に示される変形例3としての注文搬送装置10’’’のように、補助レール32の側板32aの外面に、搬送トレー11が走行してくる旨を報知する報知ランプ50等を、少なくとも各客席9に対応するように搬送トレー11の走行方向に向けて複数設けるようにしてもよい。
【0056】
具体的には、例えば調理者が上述した搬送操作を行ったことに基づいて、搬送トレー11の走行方向の上流側から報知ランプ50を順に点滅(ランニング点滅)させたり、あるいは、搬送トレー11が接近した各客席9に対応する報知ランプ50を点滅させるようにしてもよい。このような報知ランプ50の配置や点等態様等については、上記点等態様に限定されるものではなく、種々に変更可能である。
【0057】
さらに、報知ランプ50に替えてまたは報知ランプ50に加えて、報知音等を出力可能なスピーカや警告ブザー等を設けてもよく、このようにすれば、搬送トレー11が接近したことを飲食客に報知することができるため、走行路12を走行してきた搬送トレー11と飲食客との接触等の危険を回避することができる。
【0058】
また、これら報知ランプ50やスピーカ等は、本発明の報知手段を構成しており、これらは発光ランプやスピーカに限定されるものではなく、例えば、各客席9ごとに配置され、飲食客が飲食物を注文する際に利用する注文装置(図示略)の表示装置の表示画面等を利用して、搬送トレー11の接近を報知するようにしてもよい。
【0059】
また、本発明の報知手段は、搬送トレー11が接近してきた旨だけでなく、搬送トレー11が厨房エリア2にて停止している状態や、他の客席9を通過中である旨等、搬送トレー11が走行しているか否かを飲食客に報知可能であればよい。
【0060】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0061】
例えば、前記実施例に記載の注文搬送装置10は、循環型飲食物搬送装置4における循環搬送路の上方位置に配設されていたが、循環型飲食物搬送装置4の下方や側方、あるいは該循環型飲食物搬送装置4がない場所に単独で配設されてもよい。
【0062】
また、前記実施例に記載の注文搬送装置10は、搬送した注文飲食物F2を注文客に提供可能なように飲食客エリア3内に配設されていたが、必ずしも注文飲食物F2を搬送するものに限定されるものではなく、例えば遠方にいる調理者に飲食物を供給するための搬送装置として利用してもよい。
【0063】
また、前記実施例では、搬送駆動部としての駆動ユニット13は、搬送モータ、駆動ローラ、従動ローラ、コンベアベルトにて構成されるベルトコンベアであったが、搬送モータ、駆動スプロケット、従動スプロケット、コンベアチェーンからなるチェーンコンベア等、連結部材を搬送方向に移動可能な搬送駆動部であれば、その形態は種々に変更可能である。
【0064】
また、前記実施例では、搬送トレー11が走行する走行路12は、補助ローラ31が転動する補助レール32の上面のみにより構成され、つまり走行路12の一部に走行路面が形成されているが、図5及び図6に示すような変形例1,2の注文搬送装置10’,10’’のように、走行路面を全く有しない走行路としてもよいし、あるいは走行路面を形成し、該走行路面上を搬送トレー11をローラ等を介して走行自在としてもよい。
【0065】
また、前記実施例では、搬送トレー11と駆動ユニット13とは略水平方向に並設されていたが、例えば駆動ユニット13は、走行路12の搬送方向に向けて少なくとも左右いずれか一側方にのみ配設されていればよく、左右両側方に配設されていてもよいし、あるいは取り出し口35側にのみ配設されていてもよい。
【0066】
さらに、走行路12の側方に配設されていれば、その高さ位置は搬送トレー11と略水平な高さ位置に配設されるものに限定されるものではなく、搬送トレー11よりも上方位置または下方位置に配設されていてもよい。
【0067】
また、前記実施例では、寿司皿Dに載置される飲食物F1,F2を寿司として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、寿司皿Dに載置される飲食物は、例えばジュースやビール、丼物、漬物等の他の飲食物であってもよい。さらに、走行体はトレー形状に形成されていたが、飲食物を載置可能であれば形状は種々に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の循環型飲食物搬送装置を示す平面図である。
【図2】本発明の実施例としての注文搬送装置及び循環型飲食物搬送装置の要部を示す斜視図である。
【図3】基台を客席側から視た状態を示す正面図である。
【図4】図3におけるA−A断面図である。
【図5】変形例1としての注文搬送装置を示す縦断面図である。
【図6】変形例2としての注文搬送装置を示す縦断面図である。
【図7】変形例3としての注文搬送装置を示す正面図である。
【符号の説明】
【0069】
2 厨房エリア
3 飲食客エリア
4 循環型飲食物搬送装置
5 クレセントチェーンコンベア(循環搬送路)
9 客席
10 注文搬送装置(搬送装置)
11 搬送トレー(トレー)
12 走行路
13 駆動ユニット(搬送駆動部)
14 連結部材(連結部)
15 コンベアベルト(搬送駆動部)
16 ケース部材(搬送駆動部)
22 ブラケット
31 補助ローラ
32 補助レール(進入抑止手段)
40〜42 ガイドローラ
50 報知ランプ(報知手段)
51 開閉バー(進入抑止手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物を載置可能な走行体を走行させて飲食物を搬送する搬送装置であって、
前記走行体が走行する走行路に沿って設けられる搬送駆動部と、
前記走行体に連結され、前記搬送駆動部の駆動により前記走行体の走行方向に移動する走行体連結部と、
を備え、
前記搬送駆動部は、前記走行路の側方に配設されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記搬送駆動部は、前記走行体に載置される飲食物の取り出し口側と反対側の側方に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記走行体は、前記走行体連結部を介して前記搬送駆動部により略水平に支持されることを特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送駆動部は、駆動源により回転する駆動回転体、該駆動回転体とは別個に設けられる従動回転体、前記駆動回転体と前記従動回転体とに掛け渡され、前記走行体連結部が取り付けられる環状部材を含む駆動部品と、該駆動部品が一体的に組み付けられるケース部材と、から構成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項5】
飲食物を無端状の循環搬送路を循環搬送させることにより該飲食物を飲食客に提供する循環型飲食物搬送装置を備え、
前記走行路は、前記循環搬送路の上方に位置することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
前記走行路における前記走行体に載置される飲食物の取り出し口側の側方に、前記走行路内への進入を抑止する進入抑止手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項7】
前記進入抑止手段は、前記走行路の長手方向に向けて延設され、前記走行体の側方を支持する支持レールであることを特徴とする請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記走行体の走行状況を報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−12890(P2009−12890A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174209(P2007−174209)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【特許番号】特許第4100639号(P4100639)
【特許公報発行日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(390010319)株式会社石野製作所 (85)