説明

搬送装置

【課題】テープカートリッジを含む被搬送物の外装ケースに傷をつけないで搬送できる搬送装置を提供すること。
【解決手段】搬送装置1は、被搬送物(テープカートリッジ)の所定の外形面に有する凸部に当接する第1当接平面部111と、同じく所定の外形面に有する凹部に当接するバネ部本体30と、を備える。そして、第1当接平面部111が、テープカートリッジの凸部に当接し、バネ部本体30の第2当接平面部31が、凹部に当接し、凸部および凹部を押圧しながらテープカートリッジを第1当接平面部111に対して略垂直方向に搬送する。また、バネ部本体30の第2当接平面部31は、テープカートリッジの凸部に押圧されて第1当接平面部111側に押し戻されることにより、第1当接平面部111に対して略平行方向へのテープカートリッジの移動を許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物を製造ライン上で搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファイルやノートなどに貼り付けて見出しや分類用に用いられるラベルを作成するテープ印刷装置が、家庭や会社などで盛んに用いられている。このようなテープ印刷装置は、一般的に、内部に着脱可能なテープカートリッジが収容されている。また、テープカートリッジは、内部に、テープ状のラベル用テープと、ラベル用テープに文字などが熱転写されるインクリボンなどが収容されている。そして、ユーザは、所望のテープカートリッジをテープ印刷装置に装着して、所望の文字などを入力し、テープ印刷装置が有する熱転写用のヘッドで印刷(熱転写)してラベルを作成する。
【0003】
なお、上記テープカートリッジは、テープカートリッジの組立てからテープカートリッジの箱詰めまで、自動化された製造ラインにより、一貫した製造が行なわれている。この製造ラインの最終工程(テープカートリッジを箱詰めする工程)に移行する前工程として、組立てが完了したテープカートリッジを所定の位置に搬送する際、被搬送物としてのテープカートリッジの姿勢を保持して搬送する搬送装置を使用している。
【0004】
図9は、従来の搬送装置でテープカートリッジを搬送する状態を示す概略平面図であり、図9(a)は、テープカートリッジの搬送を開始する状態を示す平面図であり、図9(b)は、テープカートリッジの搬送途中の状態を示す平面図である。ここで、従来の搬送装置900を用いてテープカートリッジ600を搬送する場合の動作を簡単に説明する。
【0005】
図9(a)に示すように、テープカートリッジ600は、平面視略L字状をなす箱状の外装ケース601で覆われている。その外装ケース601の−Y軸側の側面には、L字状となる凸部620と凹部630が形成されている。また、搬送装置900は、板状の部材で構成されている。なお、組立てが完了したテープカートリッジ600は、ベルトコンベアなどにより−X軸方向から+X軸方向に搬送され、+X軸方向に設置された壁に当接して、搬送装置900のZ軸およびX軸方向に形成する平面部901に対向した位置で停止する。詳細には、テープカートリッジ600は、壁に当接して、ベルトコンベア上を滑った状態で停止している。
【0006】
なお、搬送装置900は、組立てが完了したテープカートリッジ600を+Y軸方向の所定の位置まで搬送する装置である。そこで、搬送装置900は、図9(b)に示すように、+Y軸方向(矢印方向)に移動を開始する。図9(a)に示す搬送装置900の位置(図9(b)では二点鎖線で示す位置)から+Y軸方向に移動を開始した場合、最初に搬送装置900の平面部901がテープカートリッジ600の凸部620に当接する。その後も凸部620を押圧しながら搬送装置900は+Y軸方向への搬送を続ける。この場合、搬送装置900の+Y軸方向への搬送に伴って、テープカートリッジ600は、図9(a)に示すテープカートリッジ600の姿勢を保持したまま搬送されることが理想的ではあるが、場合によって、図9(b)に示すように、平面的に傾いた姿勢となった状態で搬送される場合が発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来の搬送装置900は、テープカートリッジ600を搬送する際、テープカートリッジ600の姿勢を保持したまま搬送することが難しく、搬送途中でテープカートリッジ600の傾きやガタツキが発生するという課題があった。また、このような状態で搬送されることにより、テープカートリッジ600の外装ケース601は、製造ラインを構成する周囲の部材などに当り、外装ケース601に傷が付くという課題があった。なお、この工程は最終工程に移行する前工程であり、外装ケース601に傷が付くことにより、外観不良となることは、製造コストを大幅に押し上げることになる。従って、テープカートリッジを含む被搬送物の外装ケースに傷をつけないで搬送できる搬送装置が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
(適用例1)本適用例に係る搬送装置は、被搬送物を製造ライン上で搬送する搬送装置であって、被搬送物の所定の外形面に有する凸部に当接する当接面部と、被搬送物の所定の外形面に有する凹部に当接するバネ部と、を備え、当接面部とバネ部は、被搬送物の対応する凸部および凹部に当接して押圧しながら被搬送物を当接面部に対して略垂直方向に搬送し、また、バネ部は被搬送物の凸部に押圧されて当接面部側に押し戻されることにより、当接面部に対して略平行方向への被搬送物の移動を許容することを特徴とする。
【0010】
上記搬送装置では、当接面部とバネ部と、を備え、当接面部が被搬送物の所定の外形面に有する凸部に当接し、バネ部が被搬送物の所定の外形面に有する凹部に当接する。その状態で、凸部および凹部を押圧しながら被搬送物を当接面部に対して略垂直方向に搬送することにより、被搬送物の姿勢を保持した状態で搬送することができる。これにより、搬送時に被搬送物のガタツキなどが抑制されるため、被搬送物の外装を構成する外形面(外装ケースの外形面)に傷が付くことを防止できる。また、バネ部は被搬送物の凸部に押圧されて当接面部側に押し戻されるため、当接面部に対向している凸部を、当接面部に対して略平行方向となるバネ部に対向する方向にも移動を許容することができる。この場合にも、当接面部やバネ部により、被搬送物のガタツキなどが抑制されるため、被搬送物の外装を構成する外形面(外装ケースの外形面)に傷が付くことを防止できる。
【0011】
(適用例2)上記の搬送装置であって、凹部に当接するバネ部の当接部は、当接面部の面高さ以下まで移動可能であることが好ましい。
【0012】
上記搬送装置では、バネ部の当接部は当接面部の面高さ以下まで移動可能であるため、被搬送物の当接面部に対して略平行方向への移動に伴い、バネ部の当接部が凸部に押圧されて押し戻された場合、バネ部の当接部に影響されて被搬送物の姿勢を保持できなくなることを更に防止することができる。これにより、搬送装置は、被搬送物を、当接面部に対して略平行方向に、姿勢を保持させて確実に移動させることができる。従って、搬送装置は、被搬送物の外装を構成する外形面に傷が付くことを更に防止できる。
【0013】
(適用例3)上記の搬送装置であって、バネ部の当接部は、被搬送物の所定の外形面に対向する側に、平面部を有して形成され、平面部で凹部および凸部に当接することが好ましい。
【0014】
上記搬送装置では、バネ部の当接部は、被搬送物の所定の外形面に対向する側に、平面部を有して形成されるため、平面部で凹部や凸部に当接することで、被搬送物を搬送や移動させる際に、被搬送物の姿勢を更に安定させて保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態)
【0016】
図1は、実施形態に係るテープカートリッジの概略斜視図である。図1を参照して、テープカートリッジ600の構成および動作に関して簡潔に説明する。
【0017】
テープカートリッジ600は、平面視略L字状をなす箱状の外装ケース601で覆われて構成されている。その外装ケース601は、上ケース602および下ケース603により構成されている。また、外装ケース601の内部には、テープ状のラベル用テープ604をロール状に巻回したテープリール605と、インクリボン606をロール状に巻回したリボン繰出しリール607と、繰出したインクリボン606を巻き取るリボン巻取りリール608とを収容している。また、テープカートリッジ600には、図示省略するテープ印刷装置の熱転写用のヘッドユニット(図示省略)を遊挿する貫通開口609が形成されている。また、この貫通開口609に臨むように回転自在のプラテンローラ610が立設されている。
【0018】
テープカートリッジ600をテープ印刷装置(図示省略)のカートリッジ装着部(図示省略)に装着すると、プラテン駆動軸(図示省略)にプラテンローラ610が係合すると共に、リボン巻取り駆動軸(図示省略)にリボン巻取りリール608が係合し、ラベル用テープ604およびインクリボン606の送りが可能となる。ユーザは、このテープ印刷装置に設置されるキー入力部(図示省略)を操作して所望の文字などを入力し、印刷の指示を行なう。それにより、テープ印刷装置は、プラテン駆動軸およびリボン巻取り駆動軸が同期しながら回転を行ない、併せて、ヘッドユニットが、インクリボン606に積層されるインク層(図示省略)をラベル用テープ604に熱転写させることで、文字などが印刷されてラベルを作成する。
【0019】
なお、ラベル用テープ604は、粘着層(図示省略)を有する印刷用テープ(図示省略)に剥離紙(図示省略)を積層したものであり、ラベル作成後に剥離紙を剥がしてラベルとして貼り付けることができるようになっている。また、テープカートリッジ600には、ラベル用テープ604の色や幅などが異なる複数種のものが用意されており、ユーザが、その内容を識別できるように、その内容を記述した識別ラベル611が、ラベル貼付部612に貼り付けられている。また、ラベル用テープ604のテープ残量を確認できる確認用窓613も設置されている。
【0020】
ここで、本実施形態では、テープカートリッジ600が被搬送物となる。また、被搬送物の所定の外形面とは、テープカートリッジ600の外装ケース601において、−Y軸方向の外形側面に対応する。また、外装ケース601の−Y軸方向の外形側面において、凸形状に飛び出す外形側面となる側面領域が凸部620となる。そして、外装ケース601の−Y軸方向の外形側面において、凸部620とした側面領域に隣接する+X軸方向の側面領域が凹部630となる。
【0021】
図2は、搬送装置の概略斜視図である。図3は、バネ部を構成する要部を示す斜視図である。なお、図3は、詳細には、バネ部を構成するバネ部本体30の斜視図である。図4は、搬送装置の要部を示す側面図であり、図4(a)は、搬送装置を+Y軸側から見た側面図であり、図4(b)は、搬送装置を−X軸側から見た側面図である。図5は、搬送装置の要部を示す平面図である。なお、図5は、詳細には、搬送装置を+Z軸側から見た平面図である。図2〜図5を参照して、搬送装置1の構成および動作を説明する。
【0022】
図2に示すように、本実施形態の搬送装置1は、略直方体形状の搬送装置ベース部10と、バネ機構部20とを有して構成されている。また、搬送装置ベース部10は、ベース本体11と、ベース本体11の下方に切り欠いて形成されるバネ部本体逃げ部12と、ベース本体11から斜め上方に突設する搬送装置係合突起13と、搬送装置係合突起13を切り欠くように形成された切り欠き部14とを有して構成されている。なお、搬送装置係合突起13は、切り欠き部14により、第1係合突起131と第2係合突起132とに分けられて形成されている。
【0023】
バネ機構部20は、図2に示すように、バネ部としてのバネ部本体30と、回動軸部材40と、バネ部回動部材60などを有して構成されている。そして、バネ部本体30は、回動軸Aを中心に図示する矢印のように移動することが可能となっている。
【0024】
なお、バネ部本体30は、図2、図3に示すように、後述するテープカートリッジ600の凹部630に当接して付勢する部材である。そして、バネ部本体30は、概板状に形成され、テープカートリッジ600の凹部630に当接して付勢する、1方向に曲面が形成された平面部となる第2当接平面部31と、後述する回動軸部材40と係合する回動軸係合孔32と、回動軸係合孔32に対して垂直方向に形成するネジ孔33、ネジ孔34(図4(b)参照)を有して構成されている。
【0025】
図4(a)は、搬送装置1を+Y軸側から見た側面図であり、そして、バネ機構部20の構成を示すために、回動軸Aを通り、X−Z軸平面で切断した断面図を併せて図示している。また、図4(b)は、搬送装置1を−X軸側から見た側面図であり、そして、バネ機構部20の構成を示すために、回動軸Aを通り、Y−Z軸平面で切断した断面図を併せて図示している。また、図5は、詳細には、搬送装置1を+Z軸方向から見た平面図であり、そして、バネ部本体30を回動軸Aに対して回転した状態も併せて図示している。
【0026】
図4、図5を用いて、搬送装置1の詳細な構成および動作を説明する。また、組立方法も併せて説明する。
バネ機構部20は、上述した、バネ部本体30、回動軸部材40およびバネ部回動部材60の他、軸受部材50、固定部材70,71、コイルバネ80などを有して構成されている。また、搬送装置ベース部10には、切り欠き部14の底面141から、バネ部本体逃げ部12の上面121に貫通して形成される軸受固定孔142が形成されている。
【0027】
軸受部材50は、下側軸受部材51と上側軸受部材52との2つで構成されている。この下側軸受部材51と上側軸受部材52とは、同じ仕様の部材であり、市販される規格部品を用いている。また、下側軸受部材51は、軸受固定孔142の一方の端部となる上面121にフランジ部を当て、軸受固定孔142の内面に嵌合して設置される。また、上側軸受部材52は、軸受固定孔142の他方の端部となる底面141にフランジ部を当て、軸受固定孔142の内面に嵌合して設置される。
【0028】
下側軸受部材51は、軸受固定孔142の内面に嵌合して下側軸受部材51を軸受固定孔142に固定する固定孔受部511と、後述する回動軸部材40の軸受係合部42を回動自在に嵌合する回動軸受部512とで構成されている。同様に、上側軸受部材52も、軸受固定孔142の内面に嵌合して上側軸受部材52を軸受固定孔142に固定する固定孔受部521と、回動軸部材40の軸受係合部42を回動自在に嵌合する回動軸受部522とで構成されている。
【0029】
回動軸部材40は、円柱形状を成して形成され、バネ部本体30と係合するバネ部本体係合部41と、バネ部本体係合部41の端面に突出して、同じく円柱形状に形成される軸受係合部42とで構成されている。なお、軸受係合部42は、下方と上方とを上述した回動軸受部512と回動軸受部522とに嵌合されて固定され、回動軸受部512と回動軸受部522とが、対応する固定孔受部511と固定孔受部521とに対して、回動自在となる。
【0030】
なお、バネ部本体30は、回動軸係合孔32を回動軸部材40のバネ部本体係合部41に挿入される。そして、固定ネジ35,36を対応するネジ孔33,34に螺合させ、固定ネジ35,36の先端部をバネ部本体係合部41に当接させることにより、バネ部本体30は、バネ部本体係合部41に固定される。
【0031】
バネ部本体係合部41にバネ部本体30を固定した状態の回動軸部材40を用いて、上述するように、回動軸部材40の軸受係合部42を軸受部材50の対応する回動軸受部512,522に挿入して嵌合する。そして、上側軸受部材52から延出した回動軸部材40の軸受係合部42に対して、円柱形状に形成され、中心に円柱状に貫通して形成される軸受係合孔61を有するバネ部回動部材60を組み立てる。詳細には、上側軸受部材52から延出した回動軸部材40の軸受係合部42に、バネ部回動部材60の軸受係合孔61を挿入する。
【0032】
このバネ部回動部材60には、軸受係合孔61に対して垂直方向に形成するネジ孔62を有して構成されている。そして、上側軸受部材52から延出した回動軸部材40の軸受係合部42に、バネ部回動部材60の軸受係合孔61を挿入した後、このネジ孔62に、後述する固定部材70を挿入して螺合させ、固定部材70の先端部を軸受係合部42に当接させることにより、バネ部回動部材60は、軸受係合部42に固定される。なお、固定部材70は、市販される規格部品を用いている。
【0033】
また、バネ部回動部材60には、軸受係合孔61に対して垂直方向で、ネジ孔62に対しても約90°ずれた位置に、もう1つのネジ孔(図示省略)が形成されており、このネジ孔に固定部材72(図5参照)を挿入して螺合させ、同様に、バネ部回動部材60を軸受係合部42に固定させている。また、固定部材72は、市販される規格部品を用いている。
【0034】
上述した組立てにより、ベース本体11の切り欠き部14に形成される軸受固定孔142に、軸受部材50が固定され、固定された軸受部材50に、回動軸部材40(軸受係合部42)が固定される。また、回動軸部材40のバネ部本体係合部41にバネ部本体30が固定され、回動軸部材40の軸受係合部42にバネ部回動部材60が固定される。従って、バネ部本体30とバネ部回動部材60とを固定する回動軸部材40は、軸受固定孔142に固定される軸受部材50(下側軸受部材51、上側軸受部材52)の回動軸受部512,522に固定され、軸受部材50(下側軸受部材51、上側軸受部材52)の固定孔受部511,521に対して、回動自在となる。
【0035】
なお、図5に示すように、バネ部回動部材60を固定する固定部材70は、バネ部回動部材60の−Y軸方向に設置され、端部には円柱形状の孔701が形成されており、後述するコイルバネ80の一方のフック81を引掛ける。また、この固定部材70に対して略水平方向で+X軸方向となるベース本体11の−Y軸方向の面部112には、固定部材70と同一仕様の固定部材71が設置されている。固定部材71の端部にも、円柱形状の孔711が形成されており、後述するコイルバネ80の他方のフック81を引掛ける。
【0036】
コイルバネ80は、引張りコイルバネとして形成されており、上述したように、両端部に備えるフック81を固定部材70,71の孔701,711に引掛けることにより固定される。そして、固定部材71側を基準として、他方の固定部材70を引張る動作を行なう。なお、この引張る動作により、バネ部本体30は、回動軸Aを中心に、図2、図4、図5に示すように、バネ部本体30の第2当接平面部31がベース本体11の第1当接平面部111より飛び出す(+Y軸方向に飛び出す)方向に回転する。つまり、図5を参照した場合、バネ部本体30は、回動軸Aを中心として、反時計回り方向に回転する。そして、バネ部回動部材60を固定する固定部材72が、第2係合突起132に切り欠いて形成された+Y軸方向の当接面1323に当接することで、バネ部本体30の反時計回り方向の回転が規制されている。
【0037】
なお、図5に示すように、バネ部本体30は、第2当接平面部31に+X軸方向や−Y軸方向の力を受けた場合、ベース本体11の第1当接平面部111側に押し戻される。つまり、バネ部本体30は、回動軸Aを中心として、時計回り方向に回転する。なお、このとき、コイルバネ80は、自身の引張り力に抗してコイルバネ80を伸ばす方向に移動する。
【0038】
図5中に二点鎖線で示すバネ部本体30および固定部材70は、バネ部本体30が最も時計回り方向に回転した状態を図示している。この状態では、バネ部本体30の第2当接平面部31の逆側の面部37のコーナ部38が、バネ部本体逃げ部12のコーナ部122に当接することで、バネ部本体30の時計回り方向の回転が規制されている。
【0039】
また、この状態では、図5に示すように、バネ部本体30の第2当接平面部31の面の高さ(+Y軸方向を高さ方向としている)は、ベース本体11の第1当接平面部111の面の高さ以下となるように設定されている。言い換えると、バネ部本体30の第2当接平面部31は、ベース本体11の第1当接平面部111から+Y軸方向に飛び出さない状態となっている。これにより、バネ部本体30の第2当接平面部31は、図5に実線で示す位置から、二点鎖線で示す第1当接平面部111の面高さ以下となる位置まで移動可能となっている。
【0040】
なお、図4(b)に示すように、搬送装置1を移動させるために、搬送装置移動機構部2が構成されている。搬送装置移動機構部2は、搬送装置1を固定する搬送装置固定板3と、搬送装置1を移動させる搬送装置駆動軸4を有する搬送装置駆動部(図示省略)などで構成されている。搬送装置固定板3は、搬送装置1の搬送装置係合突起13を構成する第1係合突起131および第2係合突起132の係合面1311,1321に当接され、係合孔1312,1322を利用してネジ(図示省略)により固定される。また、この搬送装置固定板3の−Y軸方向に、搬送装置駆動軸4が固定されている。
【0041】
また、図示省略する搬送装置駆動部は、搬送装置制御部(図示省略)により制御され、空気圧を利用した駆動部(図示省略)により、搬送装置駆動軸4を駆動させて、搬送装置1をY軸方向に移動自在としている。また、搬送装置駆動部は、搬送装置1をZ軸方向にも移動自在としている。本実施形態では、搬送装置駆動部は、初期位置から、搬送装置1を+Y軸方向に移動させ、その後、+Z軸方向に移動(持ち上げ)させ、その状態で、搬送装置1を−Y軸方向に移動させる。その後、搬送装置駆動部は、搬送装置1を−Z軸方向に移動(下げる)させて、初期位置に戻す動作を1サイクルとして行なう。
【0042】
図6は、カートリッジの製造ラインを示す概略平面図であり、図6(a)は、テープカートリッジが搬送装置に対向する位置に移動した状態を示す平面図であり、図6(b)は、搬送装置がテープカートリッジを所定の位置に搬送する状態を示す平面図である。図7も、カートリッジの製造ラインを示す概略平面図であり、図7(a)は、テープカートリッジを所定の位置から次の位置に搬送する状態を示す平面図であり、図7(b)は、テープカートリッジ600が箱詰め用の位置に搬送される状態を示す平面図である。なお、図7(b)は、詳細には、テープカートリッジ600が箱詰め用の位置に搬送される状態を示す平面図であると共に、搬送装置1が初期位置に戻った状態を示す平面図でもある。
【0043】
また、図8は、搬送装置のテープカートリッジに対する動作を説明する概略平面図であり、図8(a)は、搬送装置がテープカートリッジを搬送する状態を示す平面図であり、図8(b)は、搬送装置がテープカートリッジの横方向への移動を許容する状態を示す平面図である。図6〜図8を参照して、製造ラインでのテープカートリッジ600の流れ方と、搬送装置1のテープカートリッジ600に対する動作を説明する。
【0044】
図6〜図7は、組立てが完了したテープカートリッジ600を出荷用のダンボール箱に詰める工程(箱詰め工程)に移行させる前工程としてのライン800を概略示している。このライン800は、大別して、第1ライン810と第2ライン820とで構成されている。第1ライン810は、組立てが完了したテープカートリッジ600を、搬送装置1に対向する位置まで移動するラインである。また、第2ライン820は、搬送装置1が対向する位置に停止したテープカートリッジ600を所定の位置まで搬送させた後、そのテープカートリッジ600を、箱詰め工程を行なう別のライン(図示省略)に移動させるために、次の所定の位置まで移動させるラインである。
【0045】
最初に、ライン800の構成に関して説明する。
図6に示すように、第1ライン810と第2ライン820は、略平行に設置されている。第1ライン810の搬送路には、ベルトコンベア811を用いている。その搬送路の両側には、ベルトコンベア811の面に対して上方(+Z軸方向)にテープカートリッジ600の厚さ(高さ)より若干高い壁面を有して設置される金属部材の横壁812,813で構成されている。また、第1ライン810の末端には、横壁812,813に垂直で、同様に設置される壁814が、ベルトコンベア811で送られてくるテープカートリッジ600を止める。そして、第1ライン810の末端の壁814と、横壁812との間に、本実施形態の搬送装置1が設置されている。
【0046】
また、横壁813と壁814との間(搬送装置1の向かい側(+Y軸方向))には、第2ライン820に接続する中継路818が設置されている。中継路818の幅は、テープカートリッジ600の横幅より若干広く設定されている。
【0047】
中継路818に接続する第2ライン820は、搬送路821と、搬送路821の面に対して上方(+Z軸方向)にテープカートリッジ600の厚さ(高さ)より若干高い壁面を有して設置される金属部材の横壁822,823で構成されている。また、搬送路821の−X軸方向には、テープカートリッジ600を移動させるための搬送装置830が設置されている。この搬送装置830は、板状の当接板831と、当接板831を駆動する駆動部(図示省略)を構成する搬送装置駆動軸832などを有して構成されている。詳細は後述する。
【0048】
また、第2ライン820の末端には、横壁822,823に垂直で、同様に設置される壁824が、搬送装置830で送られてくるテープカートリッジ600を止める。そして、第2ライン820の末端の壁824と、横壁822との間には、搬送装置840が設置されている。この搬送装置840は、板状の当接板841と、当接板841を駆動する駆動部(図示省略)を構成する搬送装置駆動軸842などを有して構成されている。なお、当接板841は、詳細には、+Y軸方向に高さ(突出量)の異なる2つの当接面部8411,8412が形成されている。詳細は後述する。
【0049】
また、横壁823と壁824との間(搬送装置840の向かい側(+Y軸方向))には、テープカートリッジ600の箱詰めを行なう工程(ライン)に接続するための開口部825が設置されている。開口部825の幅は、テープカートリッジ600の横幅より若干広く設定されている。なお、第1ライン810のベルトコンベア811と、中継路818と、第2ライン820の搬送路821とにおいて、テープカートリッジ600が載置される面の高さは、略均一となるように設置されている。
【0050】
次に、ライン800の動作に関して説明する。
図6(a)に示すように、テープカートリッジ600は、外装ケース601の凸部620と凹部630とが、第1ライン810の横壁812側に向く形態で、ベルトコンベア811に載置される。そして、テープカートリッジ600は、ベルトコンベア811に載置されて、第1ライン810の−X軸方向から+X軸方向に搬送される。そして、先頭に位置するテープカートリッジ600は、壁814に当接する。そして、壁814に当接したテープカートリッジ600と、それに続く別のテープカートリッジは、ベルトコンベア811の面上を滑った状態で停止することになる。
【0051】
なお、ライン800を統括制御するライン制御部(図示省略)は、壁814にテープカートリッジ600が当接したことを、壁814に内蔵された近接センサ(図示省略)により検出することで認識する。また、この状態は、本実施形態の搬送装置1の対向する位置にテープカートリッジ600が移動した状態となる。また、この状態において、搬送装置1の第1当接平面部111とテープカートリッジ600の凸部620には、若干の隙間を有している。ライン制御部は、壁814にテープカートリッジ600が当接したことを認識した場合、次に、搬送装置1を駆動させる信号を、搬送装置1を駆動する搬送装置移動機構部2の搬送装置制御部(図示省略)に出力する。
【0052】
搬送装置制御部(図示省略)は、この信号を入力し、搬送装置移動機構部2を駆動する。搬送装置移動機構部2が駆動することにより、搬送装置1は、図6(b)に示すように、+Y軸方向に移動を開始する。これにより、搬送装置1は、対向する位置に停止するテープカートリッジ600の搬送を開始する。
【0053】
なお、図8(a)は、搬送装置1がテープカートリッジ600を搬送する状態(図6(b)に示す状態)を示している。ここで、図8(a)を参照して、搬送装置1の動作を説明する。
【0054】
上述したように、搬送装置移動機構部2が駆動することにより、搬送装置1は、図6(b)に示すように、+Y軸方向に移動を開始する。そして、搬送装置1の第1当接平面部111は、テープカートリッジ600の凸部620とに有する隙間をなくし、テープカートリッジ600の凸部620に当接する。このとき、図8(a)に示すように、搬送装置1のバネ部本体30の第2当接平面部31は、テープカートリッジ600の凹部630に当接し、その後、凹部630に押圧されて回動軸Aを中心に時計回り方向に押し戻される状態となる。
【0055】
この状態において、コイルバネ80は、引張られることになるため、第2当接平面部31は、逆に、所定の押圧力で凹部630を押圧する。所定の押圧力とは、搬送装置1がテープカートリッジ600を搬送する状態(第1当接平面部111が凸部620を押圧しながら移動する状態)で、テープカートリッジ600の姿勢を保持したまま搬送させるための力(押圧力)を言う。この押圧力は、実際には、テープカートリッジ600の外装ケース601と、ベルトコンベア811、中継路818、および第2ライン820の搬送路821との摩擦力などにも影響されるため、実験により、最適な押圧力となるように、適宜設定されている。この様にして、搬送装置1は、第1当接平面部111とバネ部本体30の第2当接平面部31が、テープカートリッジ600の凸部620および凹部630に当接して押圧しながらテープカートリッジ600を第1当接平面部111に対して略垂直方向に搬送する。なお、図8(a)中には、バネ部本体30の初期位置を二点鎖線で示している。
【0056】
ここで、図6(b)に戻り、搬送装置1がテープカートリッジ600を所定の位置まで搬送する状態を説明する。
テープカートリッジ600の凸部620に当接した第1当接平面部111と、凹部630に上述したように当接して所定の押圧力で押圧する第2当接平面部31とにより、テープカートリッジ600は、+Y軸方向に搬送される。詳細には、テープカートリッジ600は、ベルトコンベア811の進行方向とは略垂直方向に、ベルトコンベア811の面上および中継路818の面上を滑りながら、また、テープカートリッジ600の姿勢を保持したまま、+Y軸方向に搬送される。
【0057】
このように、テープカートリッジ600は、姿勢を保持したまま、+Y軸方向に搬送されることにより、搬送途中で、周囲の壁814の側面や、中継路818の周囲の横壁813,822の端部側面などに突き当たり、ガタツキながら搬送されることなどが無く、滑らかに搬送される。そして、搬送装置1は、テープカートリッジ600を第2ライン820の搬送路821の面上の所定の位置まで搬送して停止する。なお、テープカートリッジ600が搬送装置1により、所定の位置まで搬送された状態を、図6(b)中に二点鎖線で示している。
【0058】
なお、上述したライン制御部(図示省略)は、搬送装置1がテープカートリッジ600を第2ライン820の搬送路821の面上の所定の位置まで搬送した状態を、中継路818の内部に設置した光センサ(図示省略)により検出することで認識する。そして、ライン制御部は、搬送装置830を駆動する図示省略する制御部に対し、搬送装置830を駆動させる指示を行なう。これにより、搬送装置830が駆動され、搬送装置830は、+X軸方向への移動を開始する。
【0059】
図7(a)に示すように、搬送装置830が+X軸方向への移動を開始した場合、搬送装置830の当接板831に形成される平面部となる当接面部8311は、テープカートリッジ600の−X軸方向側の側面部640に当接する。その後、側面部640を押圧しながら+X軸方向への搬送を続ける。
【0060】
なお、図8(b)は、搬送装置830がテープカートリッジ600を搬送する状態(図7(a)に示す状態)を示している。ここで、図8(b)を参照して、搬送装置830の動作に対する搬送装置1の動作を説明する。
【0061】
上述したように、搬送装置830がテープカートリッジ600の側面部640を押圧しながら+X軸方向への搬送を続けた場合、図8(b)に示すように、テープカートリッジ600の凸部620は、停止する搬送装置1の第1当接平面部111を滑りながら+X軸方向に移動する。当然、凹部630は、バネ部本体30の第2当接平面部31を滑りながら+X軸方向に移動する。
【0062】
このような移動を継続した場合、凸部620のコーナ部621が、第2当接平面部31に当接を開始する。そして、このコーナ部621が、+X軸方向に移動を継続することにより、第2当接平面部31は、コーナ部621に押圧されて回動軸Aを中心に時計回り方向に徐々に押し戻される状態となる。そして、最終的には、第2当接平面部31は、凹部630から離れて、凸部620の側面と当接する状態となる。なお、凸部620はその後も+X軸方向に移動を継続する。詳細には、凸部620は、第2当接平面部31と、バネ部本体逃げ部12の上部(+Z軸方向)の第1当接平面部111とに当接しながら移動を継続する。
【0063】
なお、図8(b)中で、コーナ部621が第2当接平面部31に当接する状態を二点鎖線で示している。また、第2当接平面部31が、凸部620の側面と当接する状態となった状態を、第2当接平面部31(バネ部本体30)を破線で示し、テープカートリッジ600を実線で示している。この様にして、搬送装置1は、第1当接平面部111に対して略平行方向となる+X軸方向へのテープカートリッジ600の移動を許容している。
【0064】
ここで、図7(a)に戻り、搬送装置830および搬送装置1の動作を説明する。
上述したように、搬送装置830は、テープカートリッジ600の側面部640に当接して押圧しながらテープカートリッジ600を、+X軸方向に移動させる。そして、上述したように、搬送装置1の第2当接平面部31を押し戻しながら、+X軸方向へ移動を継続する。そして搬送装置830は、テープカートリッジ600が壁824に当接した状態となって停止する。この停止した位置が、前述した次の位置となる。
【0065】
なお、テープカートリッジ600の側面部640が搬送装置1から外れた状態(凸部620が搬送装置1から外れた状態)を、搬送路821の内部に設置した光センサ(図示省略)により検出している。その検出結果がライン制御部に伝達され、ライン制御部は、搬送装置1を駆動する図示省略する搬送装置制御部に対し、搬送装置駆動部を駆動させるための指示信号を出力する。そして、搬送装置制御部は、搬送装置1を移動させるための搬送装置駆動部を駆動させる。
【0066】
これにより、搬送装置1は、搬送装置駆動部により駆動されて、+Z軸方向(搬送装置1を持ち上げる方向)への移動を開始する。これ以降は、前述したように、その状態で、搬送装置1を−Y軸方向に移動させる。その後、搬送装置駆動部は、搬送装置1を−Z軸方向に移動(下げる)させて、搬送装置1を初期位置(図6(a)および図7(b)に示す搬送装置1の位置)に戻す。
【0067】
また、テープカートリッジ600が壁824に当接した状態を、壁824に内蔵される近接センサ(図示省略)により検出している。その検出結果がライン制御部に伝達され、ライン制御部は、搬送装置830を駆動する図示省略する制御部に対し、搬送装置830を駆動させる指示を行なう。これにより、搬送装置830が駆動されて、−X軸方向への移動を開始し、搬送装置830は初期位置(図6、図7(b)に示す搬送装置830の位置)に戻る。
【0068】
また、上述したように、テープカートリッジ600が壁824に当接した状態を近接センサ(図示省略)により検出し、その検出結果がライン制御部に伝達された場合、ライン制御部は、搬送装置830を駆動する指示信号を出力することと併せて、搬送装置840を駆動する指示信号を図示省略する制御部に対して出力する。これにより、搬送装置840が駆動されて、+Y軸方向への移動を開始する。
【0069】
なお、搬送装置840の当接板841は、前述したように、+Y軸方向に高さ(突出量)の異なる2つの当接面部8411,8412が形成されている。この当接面部8411,8412の突出量の違いは、テープカートリッジ600の凸部620と凹部630の段差の違いに合わせて形成されている。
【0070】
図7(b)に示すように、搬送装置840が+Y軸方向への移動を開始した場合、搬送装置840を構成する当接板841の当接面部8411は、テープカートリッジ600の凸部620の側面に当接し、当接面部8412は、テープカートリッジ600の凹部630の側面に当接する。その後、当接面部8411,8412は、凸部620と凹部630を押圧し、テープカートリッジ600の姿勢を保持して、+Y軸方向へ搬送を続ける。そして、搬送装置840は、テープカートリッジ600を、横壁823に設けた開口部825を介して搬送し、箱詰め工程を行なう別のライン(図示省略)の箱詰め用の位置まで搬送させる。テープカートリッジ600を箱詰め用の位置に搬送した後、搬送装置840は、初期位置に戻る。
【0071】
なお、第1ライン810、第2ライン820において、上述した搬送装置1,830,840の一連の動作を1サイクルとして、この動作が連続的に繰返されることにより、組立てが完了したテープカートリッジ600は、箱詰め工程を行なう別のラインに順次送られる。
【0072】
上述した、実施形態によれば以下の効果が得られる。
(1)本実施形態の搬送装置1は、ベース本体11に形成する第1当接平面部111と、バネ部本体30とを備え、第1当接平面部111がテープカートリッジ600の凸部620に当接する。また、バネ部本体30の第2当接平面部31が、凹部630に当接する。その後、凸部620および凹部630を押圧しながらテープカートリッジ600を第1当接平面部111に対して略垂直方向に搬送することにより、テープカートリッジ600の姿勢を保持した状態で搬送することができる。これにより、搬送時にテープカートリッジ600のガタツキなどが抑制されるため、テープカートリッジ600の外装ケース601を構成する外形面に傷が付くことを防止できる。
また、バネ部本体30の第2当接平面部31はテープカートリッジ600の凸部620に押圧されて第1当接平面部111側に押し戻されるため、第1当接平面部111に対向している凸部620を、第1当接平面部111に対して略平行方向となるバネ部本体30の第2当接平面部31に対向する方向にも移動を許容することができる。この場合にも、第1当接平面部111や第2当接平面部31により、テープカートリッジ600のガタツキなどが抑制されるため、テープカートリッジ600の外装ケース601を構成する外形面に傷が付くことを防止できる。
【0073】
(2)本実施形態の搬送装置1において、バネ部本体30の第2当接平面部31は、第1当接平面部111の面高さ以下まで移動可能である。そのため、第1当接平面部111に対するテープカートリッジ600の略平行方向への移動に伴い、第2当接平面部31は、凸部620に押圧されて押し戻された場合、バネ部本体30の第2当接平面部31に凸部620が当り、テープカートリッジ600の姿勢が保持できなくなることを更に防止することができる。これにより、第1当接平面部111に対して略平行方向に、テープカートリッジ600の姿勢を保持させて確実に移動させることができる。従って、テープカートリッジ600の外装ケース601を構成する外形面に傷が付くことを更に防止できる。
【0074】
(3)本実施形態の搬送装置1において、バネ部本体30の第2当接平面部31は、テープカートリッジ600の凹部630または凸部620に対向する側に、1方向に曲面が形成された平面部を有して構成される。そして、この第2当接平面部31で凹部630や凸部620に当接することで、テープカートリッジ600を搬送や移動させる際に、テープカートリッジ600の姿勢を更に安定させて保持することができる。
【0075】
(4)本実施形態で示すように、搬送装置1は、搬送装置ベース部10とバネ機構部20とで構成され、ベース本体11の第1当接平面部111と、バネ部本体30の第2当接平面部31とを有するように構成されている。このような簡易な構成により、被搬送物(本実施形態では、テープカートリッジ600)の姿勢を保持して搬送でき、外装ケース601を傷つけない搬送装置1を実現することができる。
【0076】
なお、上述した実施形態に限定されず、種々の変更や改良などを加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0077】
(変形例1)前記実施形態において、バネ機構部20は、バネ部本体30と、回動軸部材40と、軸受部材50とバネ部回動部材60と、固定部材70,71と、コイルバネ80などを用いて構成している。しかし、これに限られず、ねじりコイルバネなどを用いて、バネ部本体30を回動軸Aに対して回動自在に構成することなどでもよい。
【0078】
(変形例2)前記実施形態において、搬送装置1を被搬送物としてのテープカートリッジ600に対応させている。しかし、これに限られず、搬送装置1を上述したような凹凸部を有し、上述したような搬送および移動を行なわせる他の被搬送物を搬送させる場合にも適用できる。
【0079】
なお、本発明を実施するための最良の形態を、上記記載で開示しているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して図示し、かつ、説明しているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、上述した実施形態に対し、詳細な構成部材の形状・材質・数量などにおいて、当業者が様々な変形(変更ならびに改良)を加えることができるものである。従って、詳細な構成部材の形状・材質・数量などにおいて、当業者が様々な変形を加えることにより実施する場合も本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】実施形態に係るテープカートリッジの概略斜視図。
【図2】搬送装置の概略斜視図。
【図3】バネ部を構成する要部を示す斜視図。
【図4】搬送装置の要部を示す側面図であり、(a)は搬送装置を+Y軸側から見た側面図であり、(b)は搬送装置を−X軸側から見た側面図。
【図5】搬送装置の要部を示す平面図。
【図6】カートリッジの製造ラインを示す概略平面図であり、(a)はテープカートリッジが搬送装置に対向する位置に移動した状態を示す平面図であり、(b)は搬送装置がテープカートリッジを所定の位置に搬送する状態を示す平面図。
【図7】カートリッジの製造ラインを示す概略平面図であり、(a)はテープカートリッジを所定の位置から次の位置に搬送する状態を示す平面図であり、(b)はテープカートリッジが箱詰め用の位置に搬送される状態を示す平面図。
【図8】搬送装置のテープカートリッジに対する動作を説明する概略平面図であり、(a)は搬送装置がテープカートリッジを搬送する状態を示す平面図であり、(b)は搬送装置がテープカートリッジの横方向への移動を許容する状態を示す平面図。
【図9】従来の搬送装置でテープカートリッジを搬送する状態を示す概略平面図であり、(a)はテープカートリッジの搬送を開始する状態を示す平面図であり、(b)はテープカートリッジの搬送途中の状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0081】
1…搬送装置、10…搬送装置ベース部、11…ベース本体、12…バネ部本体逃げ部、13…搬送装置係合突起、14…切り欠き部、20…バネ機構部、30…バネ部本体、31…第2当接平面部、32…回動軸係合孔、40…回動軸部材、41…バネ部本体係合部、42…軸受係合部、50…軸受部材、51…下側軸受部材、52…上側軸受部材、60…バネ部回動部材、61…軸受係合孔、70,71…固定部材、71…固定部材、80…コイルバネ、111…第1当接平面部、131…第1係合突起、132…第2係合突起、142…軸受固定孔、600…テープカートリッジ、601…外装ケース、620…凸部、621…コーナ部、630…凹部、800…ライン、810…第1ライン、811…ベルトコンベア、818…中継路、820…第2ライン、821…搬送路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を製造ライン上で搬送する搬送装置であって、
前記被搬送物の所定の外形面に有する凸部に当接する当接面部と、
前記被搬送物の前記所定の外形面に有する凹部に当接するバネ部と、を備え、
前記当接面部と前記バネ部は、前記被搬送物の対応する前記凸部および前記凹部に当接して押圧しながら前記被搬送物を前記当接面部に対して略垂直方向に搬送し、また、前記バネ部は前記被搬送物の前記凸部に押圧されて前記当接面部側に押し戻されることにより、前記当接面部に対して略平行方向への前記被搬送物の移動を許容することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置であって、
前記凹部に当接する前記バネ部の当接部は、前記当接面部の面高さ以下まで移動可能であることを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の搬送装置であって、
前記バネ部の前記当接部は、前記被搬送物の前記所定の外形面に対向する側に、平面部を有して形成され、当該平面部で前記凹部および前記凸部に当接することを特徴とする搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−234677(P2009−234677A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79981(P2008−79981)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】