説明

搬送装置

【課題】高いSPMを維持しつつ、非磁性体のブランク材を搬送でき、かつ構造が簡易な搬送装置を提供する。
【解決手段】被搬送物aを加工装置20へ供給する搬送装置10であって、ベルトコンベヤ11と、該ベルトコンベヤ上の被搬送物をコンベヤ側に上方から押圧する付勢装置13と、該付勢装置を搬送方向に移動させる移動装置12とを有し、前記付勢装置が被搬送物をコンベヤ表面に押圧した状態で、前記移動装置が付勢装置をベルトコンベヤに同期するように搬送方向に移動させる搬送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被搬送物を搬送する搬送装置に関する。さらに詳しくはプレス装置へ被搬送物を供給するプレス機械などの搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブランク材をプレス機械などの加工装置へ順に供給する方式として、コスト高ではあるが、高速で安定して送ることができ、またディスタックフィーダのバキュームリフタからブランク材を受け取り易く、トランスファープレスのグリップフィンガと干渉がないなどの理由で、マグネットベルト搬送方式が一般的に用いられる。一方、ブランク材が非磁性体である場合には、バキュームカップを用いた搬送方式あるいはグリップフィンガを用いた搬送方式が一般的に用いられる。しかし、ブランク材を1枚ずつ吸着または把持し、持ち上げて搬送する方式では装置が煩雑であり、往復運動する部分の重量が重くなり、高いSPM(1分間当りの加工数)に追従できるようにブランク材を高速で供給するのが困難である。さらに、バキュームカップを用いた搬送方式では大きさの異なるブランク材や異形のブランク材に対応するために、カップの位置調整や使用されるカップの個数選択が必要であり煩雑であった。さらに、小ブランク材に穴があるとカップ径を変更する必要があるため煩雑であった。
【0003】
特許文献1にはディスタックフィーダが記載されている。このものはバキュームリフタから受け渡された磁性を呈するシート材をマグネットコンベヤの下面に磁力で吸着させてプレス機械まで搬送するものである。
【0004】
特許文献2にはプレス機械のブランク材供給装置が記載されている。この装置の中間搬送手段はバキュームによりブランク材を吸着保持させる把持方式が用いられている。その中間搬送手段は、搬送方向に延びる板状で、その表面にブランク材をバキュームエアにより吸引保持するための複数の吸引穴が形成された長尺の固定ダクトと、その固定ダクトと並行に配置され、前記固定ダクトと同様に下面に複数の吸引穴が形成された可動ダクトとを備えている。その可動ダクトは往復駆動手段により搬送方向に間欠往復移動され、かつ上下駆動手段により固定ダクトに対して上下に駆動される。前記ブランク材は取出手段により可動ダクトに渡される。可動ダクトはその下面にブランク材を吸着保持する。次いで、可動ダクトがプレス機械側に所定ピッチ前進し、その後固定ダクト側にブランク材を渡す。固定ダクトはその下面でブランク材を吸引保持する。次いで、可動ダクトは前進したのと同じピッチだけ後退し、取出手段から新たなブランク材を受け取り、同時に可動ダクトの中央付近では、前回固定ダクトに渡したブランク材を再び吸着保持する。次いで、可動ダクトは所定ピッチだけ前進し、再び固定ダクトにブランク材を渡す。その際、最初に固定ダクトに渡されたブランク材はさらに所定ピッチだけ前進した位置で固定ダクトに吸着保持されることになる。このような、下降、前進、上昇、後進の動作を繰り返すことにより、順次ブランク材が前進方向に移動する。
【0005】
特許文献3にはトランスファープレスのブランク材搬送方法が記載されている。その搬送方法にはグリップフィンガを用いた搬送方式の中間搬送装置が設けられている。その中間搬送装置は、ブランキングプレスで打ち抜かれたブランク材を連続運転されているトランスファープレスに供給するものである。前記中間搬送装置は搬送バーのバキュームカップがブランク材を吸着し、トランスファープレス側へ移動し、ブランク材を供給するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−154918号公報
【特許文献2】特開平5−31544号公報
【特許文献3】特開平9−150230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示されているマグネットベルト搬送方式では、マグネットに吸着されない非磁性体のシート材はコンベヤに吸着保持できない。また、上下を逆にしてコンベヤに載置するようにしても、プレスサイクルに合わせ起動・停止するコンベヤ上では安定して搬送させるのが困難である。
【0008】
また、特許文献2に示されている可動ダクトおよび固定ダクトを用いた搬送方式では、磁性体、非磁性体のいずれのブランク材にも対応できるが、コンベヤ搬送方式と比べ構造が複雑になる。また、可動ダクトはその下面でブランク材を吸着保持するので、可動ダクト自体の重量やブランク材の重量に耐える強度が必要であるし、さらにブランク材を保持した状態で前後に移動したり、上下に移動したりする際の加減速による慣性力にも耐える剛性、強度が必要である。そのため、必然的に可動部の重量が増大するので、高SPMの障害となる。
【0009】
さらに、特許文献3においても、中間搬送装置の搬送バーのタイミングはプレス側フィードバーとの干渉を避けるタイミングを得る必要があり、アドバンス・リターン、リフト・アンクランプそれぞれの加速度を搬送可能な範囲に抑えるためにはSPMを下げざるを得ない。また、特許文献2の装置と同様にブランク材を持ち上げ、搬送するに必要な剛性、強度が中間搬送装置の可動部に求められ、可動部の重量が増大することが可動部の間欠往復運動におけるSPMのアップの障害となる。
【0010】
そこで、本発明は高いSPMを維持しつつ、非磁性体のブランク材を搬送でき、かつ構造が簡易な搬送装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の搬送装置(請求項1)は、ベルトコンベヤと、該ベルトコンベヤ上の被搬送物をコンベヤに向かって付勢する付勢手段と、該付勢手段を搬送方向に移動させる移動手段とを有し、前記付勢手段が被搬送物をコンベヤ表面に付勢した状態で、前記移動手段が付勢手段をベルトコンベヤに同期させて搬送方向に前進させることを特徴としている。
【0012】
このような搬送装置は、前記ベルトコンベヤがベルトを所定の送り長さずつ搬送方向に間欠的に移動させるものであり、前記付勢手段がベルトコンベヤの所定の送り長さの移動後に付勢を解除するものであり、前記移動手段が付勢を解除した後の付勢手段を移動開始前の位置まで後退させるものが好ましい(請求項2)。
【0013】
また、前記移動手段がベルトコンベヤの長手方向の軸心のほぼ上方に配置されているものが好ましい(請求項3)。
【発明の効果】
【0014】
本発明の搬送装置(請求項1)は、付勢手段が被搬送物をベルトコンベヤに付勢した状態で搬送を行うので、被搬送物が非磁性体であるか否かに拘らず、安定した姿勢のまま搬送を行うことができる。また、付勢することによりコンベヤの加減速により発生する被搬送物に加わる慣性力を被搬送物とベルトコンベヤとの摩擦力により支持することができる。そのため、ベルトコンベヤの加減速を大きくし搬送能力を高め、かつ被搬送物の搬送を
安定させることができる。また、付勢手段は被搬送物の重量を支持せずに、付勢するだけであるので被搬送物の吸着手段、把持手段が不要である。さらに、付勢手段は被搬送物の重量を支持しなくてもよいので、高い強度や剛性を必要とせず、軽量で簡易な構造にすることができる。
【0015】
このような搬送装置として、前記ベルトコンベヤがベルトを所定の送り長さずつ搬送方向に間欠的に移動するものであり、前記付勢手段がベルトコンベヤの所定の送り長さの移動後に付勢を解除するものであり、前記移動手段が付勢解除した付勢手段を移動開始前の位置まで後退させる場合には(請求項2)、付勢手段を移動開始前の位置まで移動させる戻り速度を上げることができ、高いSPMに対応することができる。またそれを簡易な構造で実現できる。
【0016】
また、前記移動手段がベルトコンベヤの長手方向の軸心のほぼ上方に配置されている場合は(請求項3)、被搬送物が付勢手段によりベルトコンベヤの幅方向の中心付近に付勢されるので、搬送が一層安定する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の搬送装置の正面図である。
【図2】図2は図1のI−I線断面図である。
【図3】図3は図2のII−II線断面図である。
【図4】図4はノックアウトを示す部分拡大断面図である。
【図5】図5は本発明の搬送装置の動作を示すタイムチャートである。
【図6】図6は本発明の搬送装置が作動する様子を示す概略工程図である。
【図7】図7aは本発明の搬送装置のセンタリング機構を示す概略上面図、図7bは図7aの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明の搬送装置の一実施形態を示す。その搬送装置10は、多数の被搬送物(ブランク材)a・・が積み重ねられたスタックAからバキュームリフタによって取り出されたブランク材aを受け取りトランスファープレスなどの加工装置20へ供給するものである。この搬送装置10は、具体的にはバキュームリフタにより受け渡されたブランク材aを、トランスファープレスのグリップフィンガが取りにくるアイドルステージ(後述する)まで搬送するものである。前記搬送装置10はベルトコンベヤ11と、そのベルトコンベヤ11の上方に配置された移動装置12と、その移動装置12により吊り持ち保持された付勢装置13とを備えている。これらベルトコンベヤ11、移動装置12および付勢装置13は制御装置14によりその動作が制御されている。
【0019】
図2に示すようにベルトコンベヤ11、11は互いに平行に配置されている。そのため、板状のブランク材aはその両端付近を2列のベルトコンベヤ11、11の上面にそれぞれ載置させた状態で搬送される。なお、ブランク材aの形状に合わせて、ベルトコンベヤ11のベルト11aを幅広あるいは幅狭にしたり、ベルトコンベヤの列数を1列にしたり、3列以上にしたりすることもできる。2列以上にする場合には、それらベルトコンベヤの動作の同期がとれる程度の列数、例えば2〜4程度の列にするのが好ましい。そのベルトコンベヤ11は加工装置20の作動タイミングに合わせて間欠送りをするように制御される。
【0020】
なお、ベルト11aとしては位置制御が正確な歯付きベルト(タイミングベルト)が好ましく、ベルトの搬送面の材質としてはポリウレタンなどの合成樹脂やゴム、人工皮革など、ブランク材aが滑りにくいものを用いるのが好ましい。さらに、ベルト11aの表面に、搬送方向と直交する方向あるいは平行な方向に複数の溝を形成したり、表面から複数
の突起を突出させたり、表面に複数の凹部を形成し、ブランク材aとの摩擦力を大きくしてもよい。さらに、ベルト11aの表面をブランク材aとの摩擦を高めるような材質で被覆したり、滑り止めのシート状のシールを貼ったりしてもよい。なお、後述する付勢装置13により確実にブランク材aを付勢できる場合は滑り止めを形成しないで、簡易なベルト11aを用いることができる。
【0021】
図1に示すように前記ベルトコンベヤ11の両端部にはベルト11aを方向転換するプーリ11b、11b(歯付きプーリ)が設けられている。なお、従動側(加工装置20側)のプーリ11bは歯を有していないフラットなものでもよい。そのプーリのうち加工装置と反対側(スタックA側)に設けられた一対のプーリ11b、11bには、1本のシャフト11c(図2参照)が貫通され、同期して回転するように連結されている。また、前記ベルトコンベヤ11の上面は3つのステージに分かれている。それらステージは、それぞれスタックA側から順に受け渡しステージC1、センタリングステージC2およびアイドルステージC3である。
【0022】
図2に示すように、前記一対のベルトコンベヤ11は共通のコンベヤ駆動用のモータ11dの回転駆動力によりシャフト11c、プーリ11bを介してそれぞれベルト11aを移動させる。そのモータ11dはサーボモータのような速度制御や位置制御が正確に行えるものを用いるのが好ましい。
【0023】
前記移動装置12は、ベルトコンベヤ11の上面に平行に配置された断面形状が凹状の長尺のフレーム15に固定されている。そのため、ベルト11aの急減加速によりブランク材aが慣性力で動くのを防止でき、搬送が安定する。また、前記フレーム15のスタックA側の端部にはテーブル駆動用のモータ12aがブラケット15a(図3参照)を介して固定されている。なお、前記モータ12aとして減速機付きのモータを用いてもよい。そのモータ12aの出力軸は長軸のボールネジのオネジ12b(以下、オネジ)の一端に連結されている。そのオネジ12bにはボールネジのメネジ12c(以下、メネジ)が螺合している。また、オネジ12bの両端付近には軸受け15b、15bが設けられ、前記フレーム15に固定されている。前記メネジ12cにはテーブル16が固定されている。
【0024】
前記テーブル16はその中央付近でメネジ12cの下面側に固定されている。また、テーブル16の上面にはLMガイド(直動ボールベアリング)16aが設けられている。そのLMガイド16aはテーブル16の四隅に相当する位置に、合計4個配置されている。そのLMガイド16aは前記フレーム15の下端から下方に延びる梁15cに固定されているレールによってガイドされ、テーブル16を移動自在に支持している。また、前記テーブル16の両側縁からは、オネジ12cと平行に前後に長尺の部材16b、16bが延びている(図1参照)。
【0025】
前記付勢手段13は長尺の部材16b、16bのそれぞれの両端部に設けられている(合計で4つ)。それら4つの付勢手段13はそれぞれ同じものであるので、1つについて説明する。前記付勢手段13は上下方向にロッド17aを移動させることができるシリンダ17と、そのシリンダ17のロッド17aの下端に設けられたクランパ18とを備えている。前記シリンダ17はエアシリンダを用いるのが好ましい。ただし、油圧シリンダでもよい。前記シリンダ17はテーブル16の長尺の部材16bの上面に下向きで固定され、長尺の部材16bに形成された孔16cよりロッド17aを下方に貫通させている。そして、前記クランパ18は長尺の部材16bの下面側でロッド17aと連結されている。また、前記長尺の部材16bには孔16cを中心として、その前後に筒状のガイド部材16dが上方に突出して設けられており、そのガイド部材16dの内部はテーブル16を貫通し、下方に続いている。そのガイド部材16dには、クランパ18の上面から上方に延びるガイドロッド18a、18aが通される。なお、前記クランパ18の材質は、ウレタ
ンなどのゴムやモノマーキャストナイロンあるいはジュラコン(登録商標)などの合成樹脂が用いられる。
【0026】
図4に示すように、前記クランパ18にはノックアウト19が設けられている。前記ノックアウト19はクランパ18に形成された孔18bに上面から通される筒状部およびクランパ18の上面に係止できるフランジ部を備えたガイド19aと、そのガイド19a内に通される棒状のプッシャー19bと、そのプッシャー19bをガイド19aから離れる方向に付勢するバネ19cとからなる。前記プッシャー19bの上端にはワッシャをボルト19dにより結合し、プッシャー19bがガイド19aから下方に抜け出さないようにされている。前記プッシャー19bの下端はクランパ18の下面から突出しており、ブランク材aの表面に押圧されることによりクランパ18の内部に引っ込み、かつプッシャー19bが上方に移動できるように収納される。一方、クランパ18が上昇する際には、クランパ18の下面から突出し、油などがクランパ18の下面およびブランク材aの上面に付着することにより、ブランク材aがクランパ18と一緒に連れ上がるのを防止している。
【0027】
前記制御装置14はコンベヤモータ11d、テーブルモータ12aおよびエアシリンダ17の動作を制御する。図5に示すタイムチャートを用いて前記制御装置14の制御の様子を説明する。前記コンベヤモータ11dは制御装置14の指令に従い、所定量だけベルト11aを前進させる方向に回転し、その後所定時間停止するという、前進と停止とを繰り返す間欠的な運転がなされる。それにより加工機械の間欠的な動作に同調する。なお、動作を集中的に管理する制御装置14を用いなくても、リミットスイッチやタイマー等により、所定の動作をするように構成することもできる。
【0028】
前記テーブルモータ12aはコンベヤモータ11dのベルト11aと同じ方向に、同速度および同加速度でテーブル16を前進させるように制御される。すなわち、停止した状態から同じ加速度で加速され、同速度で同時間だけ移動し、同じ加速度で減速され、停止するように制御される。図4のタイムチャートによればその前進に係る一連の(加速および定速作動を合わせた)作動時間は0.9s(秒)に設定されている。また、前進したテーブルモータ12aは所定時間停止した後(0.2s)、元の位置まで後退する。その後退のための作動時間は0.7sに設定されている。後退時にはコンベヤモータ11dと同期させる必要がないので、大きな加速度で素早く後退させ、高SPMに対応できるようにされている。また、ボールネジを用いたテーブルモータ12a側で、ベルトコンベヤ11に追従した速度制御をするのが好ましいが、移動装置12に比べてベルトコンベヤ11側の速度を制御する方が容易な場合はベルトコンベヤ11側で速度制御を行うこともできる。
【0029】
前記エアシリンダ17はテーブルモータ12aによるテーブル16の後退を終えた後にブランク材aの押圧動作を開始する。そして、テーブルモータ12aが再び前進する0.3s前にはエアシリンダ17のロッド17aは下限まで伸びた状態とされている。そのため、テーブルモータ12aが前進するまでの間、付勢してブランク材aのグラ付きが収まるのを待って、安定した体勢で前進するように設定されている。その後、テーブル16が前進を終了するまでブランク材aを押圧しており、前後方向の位置を正確に保持している。一方、付勢を解除する際は、テーブルモータ12aが作動し、テーブル16が後方に動き出す直前に付勢解除の動作を開始する。
【0030】
次に図6を用いて搬送装置10の動作する様子を示す。まず、搬送装置10はバキュームリフタからブランク材aを受け取る。その受け取ったブランク材aはベルト11aの受け渡しステージC1に載置される(第1工程S1)。
【0031】
前記ブランク材aが受け渡しステージS1に載置されたことを位置検出スイッチなどが検出し、その検出信号が制御装置14(図1参照)に送信される。その検出信号に基づいて制御装置14は付勢装置13を作動させる。付勢装置13は制御装置14からの指令によりエアシリンダ17のロッド17aを下方に延ばし、後方(スタックA側)のクランパ18´によりブランク材aをベルト11a上に押圧する(第2工程S2)。次いで、ロッド17aが所定のストロークだけ延びたことが検知されると、その検知信号が制御装置14に送信され、制御装置14からの制御信号に基づいてコンベヤ11および移動装置12が作動し、ブランク材aはセンタリングステージC2へ搬送される(第3工程S3)。なお、ブランク材aがセンタリングステージC2へ搬送されている間に、新たなブランク材a´が受け渡しステージC1に載置される。
【0032】
後方のクランパ18´によりブランク材aがセンタリングステージC2へ搬送されたことが位置検出器などで検出されると、制御装置14の指令によりコンベヤ11が停止する。そして、ロッド17aが上方に移動し、クランパ18による付勢が解除される(第4工程S4)。次いで移動装置12が元の位置に戻る(第5工程S5)。その後、第2工程S2と同じようにして、再び後方のクランパ18´が受け渡しステージS1に載置された新たなブランク材a´を付勢する。後方のクランパ18´の付勢と同時に、前方のクランパ18のエアシリンダ17も作動し、前記第3工程S3でセンタリングステージC2に搬送されたブランク材aを上方から付勢する(第6工程S6)。
【0033】
前記第4工程S4と第5工程S5との間には、センタリングステージC2に配置されたブランク材aのセンタリング工程がある(図5の符号22、23参照)。図7aにブランク材aをセンタリングするセンタリング機構21を示す。センタリング機構21はブランク材aを搬送方向と平行な面で整える位置決めプレート22(以下、単にプレートという)と、前記搬送方向と直角に交わる方向の面で整える位置決めピン23とを備えている。それらプレート22および位置決めピン23はそれぞれインダクションモータ(図示せず)により位置調節される。前記プレート22は、ブランク材aの搬送方向に平行な側縁と当接する細長い面を有している一対の部材である。それら一対の細長のプレート22はブランク材aの側縁を挟み込むようにして位置を整える。そのプレート22はエアシリンダ22aのロッド22bに連結されており、ロッド22bの前進・後退によりブランク材aに向かって移動する。
【0034】
また、図7bに示すように前記位置決めピン23はブランク材aのプレート22と異なる側の一対の側縁に設けられている。その位置決めピン23は、それら側縁の前後にそれぞれ設けられ、全体として4箇所に設けられている。その位置決めピン23は上端付近のブランク材aの上面に引っかかるような鉤状に形成された鉤部23aと、その鉤部23aと反対側で、ブランク材aと反対向きに延びる基部23bとからなる。その基部23bと鉤部23aとの連結部位には軸23cが設けられており、搬送装置10のフレームなどに固定されている。また、前記基部23bの先端にはロッド23dを介してシリンダ23eが連結されている。そのため、ロッド23dがシリンダ23eにより上昇すると、基部23bが軸23cを回動中心として回動する。それに伴って、鉤部23aはブランク材a側(内向き)に回動する。
【0035】
次いで、前後のクランパ18、18´によりそれぞれブランク材a、a´を付勢した状態で、コンベヤ11および移動装置12が前方へ移動する(第7工程S7)。前方のクランパ18はブランク材aをアイドルステージC3へ搬送する。なお、後方のクランパ18´は新たなブランク材a´をセンタリングステージC2へ搬送する(第8工程S8)。その際、第3工程S3と同じように、新たなブランク材a´´が受け渡しステージC1へ載置される。その後、前記アイドルステージC3に搬送されたブランク材aは図示しないグリップフィンガによりトランスファープレスに取り込まれる。
【0036】
前記ブランク材aとしては、非磁性体でも磁性体でもかまわない。また、その形状については、板状のもののほか、立体的な形状のものなど、平滑な面に載置したときにその載置した状態がグラ付くような不安定な形状のものでもよい。例えば、ベルトコンベヤの表面に載置した際にベルト11cの上面との間に隙間ができるようなものでもよい。
【0037】
本発明の搬送装置はベルトコンベヤとクランパとの間にブランク材を挟み込んで保持するので、バキュームカップを用いた搬送方式において必要となるカップの形状をブランク材に合わせて形成したり、取り替えたりする手間がかからない。また、ブランク材に穴が開いている場合にはバキュームしにくいので特に有効である。さらに、グリップフィンガを用いた搬送方式では、一般的にブランク材の前後方向をクランプするので、前後の位置決めが困難になりがちであるが、本発明の搬送装置によると、ブランク材を上下に挟み込んで保持するので、ベルトコンベヤにサーボモータを用い、ブランク材に対し前後方向の位置決めを行うことができる。なお、ベルトおよび移動装置を間欠的ではなく、連続的に作動させることもできる。また、どちらか一方を連続的に作動させることもできる。
【符号の説明】
【0038】
10 搬送装置
11 ベルトコンベヤ
11a ベルト
11b 方向転換部材
11c シャフト
11d コンベヤモータ
11e 減速機
12 移動装置
12a テーブルモータ
12b ボールネジのオネジ(オネジ)
12c ビールネジのメネジ(メネジ)
13 付勢装置
14 制御装置
15 フレーム
15a ブラケット
15b 軸受け
16 テーブル
16a LMガイド
16b 長尺の部材
16c 孔
16d ガイド部材
17 シリンダ
17a ロッド
18 クランパ
18a ガイドロッド
18b 孔
19 ノックアウト
19a ガイド
19b プッシャー
19c バネ
19d ボルト
20 加工装置
21 センタリング機構
22 位置決めプレート(プレート)
22a エアシリンダ
22b ロッド
23 位置決めピン
23a 鉤部
23b 基部
23c 軸
23d ロッド
23e シリンダ
A スタック材
a ブランク材
C1 受け渡しステージ
C2 センタリングステージ
C3 最終アイドリングステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベヤと、
該ベルトコンベヤ上の被搬送物をコンベヤに向かって付勢する付勢手段と、
該付勢手段を搬送方向に移動させる移動手段とを有し、
前記付勢手段が被搬送物をコンベヤ表面に付勢した状態で、前記移動手段が付勢手段をベルトコンベヤに同期させて搬送方向に前進させる搬送装置。
【請求項2】
前記ベルトコンベヤがベルトを所定の送り長さずつ搬送方向に間欠的に移動させるものであり、
前記付勢手段がベルトコンベヤの所定の送り長さの移動後に付勢を解除するものであり、
前記移動手段が付勢を解除した後の付勢手段を移動開始前の位置まで後退させる請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記移動手段がベルトコンベヤの長手方向の軸心のほぼ上方に配置されている請求項1または2記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−184118(P2011−184118A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48932(P2010−48932)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000100861)アイダエンジニアリング株式会社 (153)
【Fターム(参考)】