搬送装置
【課題】 無端の搬送経路を有する搬送装置の構成を簡素化し、かつ搬送経路の自由度を大きくすること。
【解決手段】 被搬送物の搬送経路に沿って敷設されたレール1の全長にわたって連続して複数のコマ5が装着される。レール1の一部にモータで駆動されるローラ10が設けられており、ローラ10の摩擦接触により各コマ5が駆動され、各コマは、レール1に案内されて順次押し付けるようにして循環する。アタッチメントレール1は、コマ5を搬送経路に沿って移動自由に保持しかつ移動方向Pに対して垂直な方向の移動を規制する構造を有している。
【解決手段】 被搬送物の搬送経路に沿って敷設されたレール1の全長にわたって連続して複数のコマ5が装着される。レール1の一部にモータで駆動されるローラ10が設けられており、ローラ10の摩擦接触により各コマ5が駆動され、各コマは、レール1に案内されて順次押し付けるようにして循環する。アタッチメントレール1は、コマ5を搬送経路に沿って移動自由に保持しかつ移動方向Pに対して垂直な方向の移動を規制する構造を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する搬送装置に係り、特に電気製品製造業における小物部品の供給ライン、詰物設備におけるビン、缶の充填ライン、パチンコ・スロット等の遊技設備におけるメダル等の搬送ラインに用いて好適な、無端の搬送経路を有する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、バケット状の容器に物品を入れて運ぶバケット型、板状のパレットに物品を載せて運ぶパレット型、ハンガーに物品を吊り下げて運ぶハンガー型などの支持台を備えた搬送装置が知られており、これらの搬送装置は、チェーンやベルトなどのエンドレスな牽引要素によってこれらの支持台を駆動して連続的に搬送するようにしている。
【0003】
このような搬送装置としては、物品(以下、被搬送物と呼ぶ)の搬送経路に沿って敷設されたレールと、レールの全長にわたって取り付けられたチェーンと、チェーンに取り付けられた被搬送物の支持台とを備え、チェーンの側面を挟みつけてレールに固定された2つのローラを回転駆動することにより、チェーンを牽引して支持台を搬送経路に沿って循環させるように構成されたものが提案されている。(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−143608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、支持台を牽引するためにチェーンを用いているため、搬送装置の構成が煩雑となるおそれがある。
【0006】
すなわち、チェーンを用いた搬送では、搬送経路のレイアウトを変更する場合、特に搬送経路を延長したい場合にチェーンを延長又は交換しなければならないため、装置の組立に手間がかかる。
【0007】
一方、無端の搬送経路を有する搬送装置では、例えば、荷物の積み込み位置や排出位置によって搬送経路が決まるため、二次元の搬送経路だけでなく、三次元の搬送経路となる場合がある。したがって、三次元の搬送経路を搬送可能な搬送装置が要求されている。
【0008】
本発明は、搬送経路を有する搬送装置の構成を簡素化し、かつ搬送経路の自由度を大きくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の搬送装置は、敷設されたレールに沿って被搬送物を搬送する搬送装置において、前記レールの全長にわたって連続して設けられた複数の走行体と、これら走行体の少なくとも複数個の1個に設けられ前記被搬送物を連係する連係部材と、走行体の少なくとも一つに外周面に接するように設けられたローラと、ローラを駆動するモータと、を備え、前記レールは、前記走行体を搬送経路に沿って移動自由に保持しかつ移動方向に対して垂直な方向の移動を規制する構造を有していることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、ローラの回転力が走行体に伝わり、走行体がローラの接線方向に送り出される。走行体は隣の走行体に次々に力を伝えてレール上を移動する。また、走行体は隣同士が連結されていないので、屈曲したレールに沿って移動する。その結果、走行体はレール上を循環移動し、連係部材が走行体と共に移動して被搬送物がレールに沿って移動される。このようにしたことから、搬送装置の搬送経路の自由度を大きくすることができる。また、従来、チェーンを用いた搬送装置では、搬送経路に沿ってチェーンなどの牽引手段を張り巡らす必要があるため、特に搬送経路が長い場合は作業に手間がかかり、構成が煩雑となっていたが、本発明によれば、搬送経路に沿ってレールを組立、レールの一箇所から走行体を順次押し込めて組み立てるだけでよく、装置の組立や構成を簡素化できる。
【0011】
この場合、レールの構成を断面U字状に形成された2本のガイドレールを有し、2本のガイドレールを、互いに平行に間隔をおいて開口を形成するように対向して配置した構造とすることができる。
【0012】
一方、レールの構成を搬送経路に沿ってスリットが設けられたパイプ又は型材とすれば、三次元の搬送経路に加えて移動方向に対して捻り方向に支持台を移動させることもできる。
【0013】
また、レールを、幅方向の一端に膨出部を有する長尺板状部材で構成し、走行体が、貫通孔及び該貫通孔から外面に延びる溝を有し、前記膨出部を前記貫通孔に嵌挿して前記板状部材の両側面を前記溝に挟むようにして案内されるようにしてもよい。
【0014】
このように、走行体がレールを跨座するように構成すると、走行体とレールの摩擦、特に曲面からなるコーナ部分での摩擦を小さくできる。また、走行体は、その溝が板状部材を挟むことにより回転止めされ、特別な回転止めが不要であり、かつ走行体の外面が外部に露出しているので、レールにローラ貫通用の切欠きを設ける必要がなく、レールが長尺の板状部材からなることが相俟って、構造がシンプルで安価に構成できる。また、レールが長尺の板状部材からなるので、2次元の湾曲は勿論、3次元での曲面も簡単かつ容易に形成することができる。
【0015】
また、レールを複数の種類のユニット、例えば直線状部、平面湾曲部、上下湾曲部等からなる予め定められた形状のユニットで構成し、これらユニットを適宜組合せて無端状の搬送経路を構成すると、メーカは、複数のユニットを用意しておけばよく、ユーザは、必要とする搬送経路に合せて所定のユニットを組合せて組立てればよく、設計、施工を合理的にかつ容易に行うことができ、ラインを高い自由度で容易かつ安価に施設することができる。また、ラインの変更及び追加等もユーザ自身で容易に行うことができる。
【0016】
また、走行体の外周面を円筒形状に形成し、摺動方向の一端に凸部を設け、他端に凸部に対応した形状の凹部を設けることができる。これによれば、三次元に湾曲した搬送経路であっても隣り合う走行体が互いに係合することで、走行体を円滑に移動させることができる。この場合、走行体の凸部及び凹部を半球状にすることで走行体をより円滑に移動させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、搬送経路を有する搬送装置の構成を簡素化し、かつ搬送経路の自由度を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態の搬送装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】図2のB−B矢視断面図である。
【図4】(a)、(b)、(c)、(d)は本実施形態のレールの詳細構成を示す図である。
【図5】本実施形態のコマ(走行体)及びアタッチメントの詳細構成を示す図である。
【図6】本実施形態のコマ(走行体)の駆動機構の詳細構成を示す平面図である。
【図7】(a)は図6のC−C矢視断面図、(b)は図6のD−D矢視断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態である搬送装置の概略構成を示す平面図である。
【図9】(a)、(b)、(c)は本発明の他の実施形態であるレールの一例を示す詳細構成図である。
【図10】更に変更した本発明の実施形態を示す断面図。
【図11】本発明の他の実施形態を示す図で、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【図12】一部変更したコマ(走行体)を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。
【0020】
(実施形態1)
まず、本実施形態の搬送装置の概略構成について説明する。図1は本発明の一実施形態の搬送装置の概略構成を示す平面図、図2は図1のA−A矢視図、図3は図2のB−B矢視断面図である。なお、本実施形態においては、説明の便宜のため、図1のXで示す方向を左右方向、Yで示す方向を前後方向、Zで示す方向を高さ方向と定義する。また、図1の矢印Pで示す後述するコマ5の移動方向を摺動方向と定義する。
【0021】
図1乃至3に示すように、本実施形態の搬送装置は、図示していない被搬送物(例えば、自動車部品等)の搬送経路に沿って敷設されたレール1と、レール1に沿って被搬送物を摺動方向Pに進退可能に移動させる移動手段3とを備えている。
【0022】
移動手段3は、後述するコマ5、アタッチメント7、ローラ9、10、モータ13から構成されている。走行体であるコマ5は、レール1の全長にわたって移動(摺動)方向Pに移動(摺動)自由に連続して複数個設けられている。被搬送物が支持される支持台であるアタッチメント7は、コマ5の少なくとも一つに取り付けられており、本実施形態においてはコマ5に対して一個おきに取り付けられている。ローラ9、10は、コマ5を挟んで対向して設けられており、ローラ10はモータ13の駆動軸11に取り付けられている。
【0023】
次に、本実施形態の搬送装置の詳細構成について説明する。図4(a)、(b)、(c)、(d)は本実施形態のレールの詳細構成を示す図、図5は本実施形態のコマ及びアタッチメントの詳細構成を示す図である。図6は本実施形態のコマの駆動機構の詳細構成を示す平面図である。図7(a)は図6のC−C矢視断面図、(b)は図6のD−D矢視断面図である。図4に示すように、レール1は合成樹脂(ニューライト:作新工業株式会社製)を材料とし、形状の異なる4種類のレールユニット21、22、23、24を連結することにより構成されている。これにより、レール1は無端の搬送経路となりコマ5が循環できるようになっている。
【0024】
レール21は直線状に形成されており、レール22はレール21と同様の構成を有して、かつローラ9、10の一部が収容される開口部15、16が設けられている。レールユニット23は、中央部に高さ方向(Z軸)に変化するスロープを有して湾曲して形成され、レールユニット24は、円弧状に湾湾曲して形成されている。レールユニット21、22、23、24は、板状のレールベース21a、22a、23a、24aを有している。レールベース21a、23a、24aは、搬送経路に沿って設けられた12個のフレーム27にそれぞれボルトで固定されている(図1参照)。また、レールベース22aは、フレーム28にボルトで固定されている。フレーム27、28は、例えば、角パイプなどにより構成されている。
【0025】
また、レールベース21a、22a、23a、24aには、板状のガイドレール21b、22b、23b、24bがそれぞれ2本ずつ取り付けられている。ガイドレール21b、22b、23b、24bには溝21c、22c、23c、24cが全長にわたって設けられており、断面U字状となっている。ガイドレール21b、22b、23b、24bは、所定の間隔dをあけて平行に、かつ溝21c、22c、23c、24cを互いに対向して設けられている。このときの間隔dは、コマ5が2本のガイドレール21b、22b、23b、24bの間に挿入された際に若干の隙間が形成される程度に設定されている。一方、レール22の開口部15、16は、レール22bの中央部の2箇所を鋭角に切り取られた構造とすることにより形成されている。ガイドレール21b、22b、23b、24bの高さ方向の上面には、2本の板状のレールカバー21d、22d、23d、24dがそれぞれに取り付けられている。
【0026】
図1に示すようにレール1にはスキマSが設けられ、左右(X軸)方向に2本のレール24で構成された可動レール29を移動できるようにしている。可動レール29には、付勢手段30が取り付けられている。付勢手段30は、図示していないばねにより可動レール29を隙間Sが小さくなる方向(図1のQで示す)に押し付けるようにしている。これにより、レール1に配置されたコマ5の隣り合うスキマを小さくするようにしている。
【0027】
このように、レールユニット21、22、23、24には、内部にコマ5が挿入されて溝21c、22c、23c、24cにより形成された段差部に当接して搬送経路に沿って摺動自由に保持するようになっている。また、溝21c、22c、23c、24cの段差部は、コマ5が溝21c、22c、23c、24cの延在方向(移動方向)と垂直な方向の移動を規制するようになっている。
【0028】
図5に示すように、コマ5は、例えば合成樹脂(MCナイロン:日本ポリペンコ株式会社製)を材料として外周面が円筒形状に形成されている。コマ5には、アタッチメント7を取り付けるためのネジ穴31が2箇所に設けられている。アタッチメント7は板状に形成されており、図示していない被搬送物が載置された容器等が取り付けられるようになっている。アタッチメント7は、ネジ穴31に対応した位置に貫通孔37が設けられている。アタッチメント7は、貫通孔37及び円筒状のブシュ33にボルト35が挿通されてネジ穴31に螺合されて固定されている。ブシュ33は、レールカバー21d、22d、23d、24dの側面に当接してコマ5が回転するのを規制すると共に、アタッチメント7の位置決めを行うようにしている。
【0029】
また、コマ5の摺動方向Pの先端部には、半球状の凸部38が設けられ、後端部には、半球状の凹部39が設けられている。凸部38及び凹部39の半径は、等しくなっている。コマ5は、それぞれ互いに端部が当接してレール1の内部に押しこめられており、レール1の全長にわたって連続して配置されている。すなわち、コマ5の凸部38及び凹部39は、レール1が湾曲していてもコマ5同士が常に面で当接した状態を保持するようになっている。
【0030】
図6、図7に示すように、ローラ9、10は、例えば、金属材料(SS400など)により形成されており、従動側のローラ9は、フレーム28に固定された板状の支持部材41に軸43を介して回転自由に取り付けられている。駆動側のローラ10は、モータ13の駆動軸11に取り付けられている。モータ13には、図示していない制御手段が接続され、制御手段により回転数を制御してモータ13を駆動するようにしている。ローラ9、10の外周面の形状は、コマ5の外周面の形状に対応して円弧凹状に形成されている。モータ13は、フレーム27に取り付けられた板状のモータベース47に固定されている。このモータベース47は、フレーム28に取り付けられた支持部材49に軸51を介して回転可能に取り付けられている。
【0031】
また、モータベース47とフレーム28との間には、コイルスプリング53が圧縮した状態で設けられている。コイルスプリング53、モータベース47、フレーム28には、調整ネジ53が挿通されており、モータベース47の一端に調整ネジ55のボルト頭が係止されている。調整ネジ55のフレーム28側の端部には、ナット57が螺合してフレーム27に係止している。すなわち、コイルスプリング53の付勢力がモータベース47に伝わり、モータベース47が軸51を支点として回転(図6の紙面上で反時計回り)する。これにより、ローラ10を図の矢印Tで示す方向に付勢するようになっている。その結果、ローラ10の外周面がコマ5を押圧した状態で保持されるようになっている。言い換えれば、ローラ9とローラ10の外周面でコマ5を挟みつけて保持している。ここで、ローラ10の押圧力は、コイルスプリング53のばね定数及びナット57により調整することができる。
【0032】
次に、このように構成される搬送装置の動作について図1及び図6を用いて説明する。制御手段によりモータ13を設定回転数で駆動する指令を出力すると、モータ13が図の矢印R(時計回り)で示す方向に回転する。ローラ10の回転力はコマ5に伝わり、コマ5がローラ10の接線方向である摺動方向Pへ送り出される。コマ5は隣のコマ5に次々に力を伝えてレール1上を移動する。また、コマ5は隣同士が連結されていないので、前後、左右及び高さ方向に屈曲したレール1に沿って移動する。その結果コマ5はレール1上を循環し、コマ5に取り付けられたアタッチメント7がコマ5と共に移動して被搬送物がレール1に沿って搬送される。このとき、ローラ10がコマ5に向けて押し付けられているので、常にローラ10とコマ5が当接した状態となり、コマ5に常に回転力が伝わる。一方、レールカバー21d、22d、23d、24dの端部とブシュ33が接触してコマ5が回転するのを抑制し、アタッチメント7が位置決めされる。
【0033】
このように、コマ5を前後、左右及び高さ方向の三次元の搬送経路を容易に移動させることができるので、搬送装置の搬送経路の自由度を大きくすることができる。また、レール1を組み立てた後、例えばレール1の隙間Sを大きくしておき、コマ5を順次押し込めて設置するだけで組み立てることができ、装置の組立や構成を簡素化できる。従来、チェーンを用いた搬送装置では、レールのレイアウトを変更する場合、チェーンを交換したり延長又は短縮する必要があるが、本実施形態によれば、コマを補充又は減らすことによって対応できるため、装置のレイアウトを容易に変更することができる。また、コマ5は例えばチェーンのように連結された構造を有しておらず、構成が簡素でかつメンテナンスを容易とすることができる。
【0034】
レール1は、長手方向の形状(XY平面湾曲部24、高さ方向変更部23、直線部21)が異なる複数のユニット21、22、23、24から構成されるので、これらユニットを適宜組合せて任意の形状の搬送経路を容易に施設することができる。従って、メーカは、その複数の種類のレールユニットを用意すれば足り、ユーザは、搬送経路(ライン)に合せて必要とするレールユニットを購入して、身ずから連結して組立てることにより、自由なラインを短い施行時間で容易かつ安価に施設することができ、またラインの変更、追加も容易に行うことができる。
【0035】
また、コマ5の凸部38及び凹部39により、湾曲した搬送経路であっても隣り合うコマ5が互いに係合し、コマ5を円滑に移動させることができる。また、コマ5同士の接触面積を大きくできるので、力がつたわり、安定した搬送を行うことができる。特に、凸部38及び凹部39を半球状に形成しているのでコマ5をより円滑に移動させることができる。
【0036】
一方、コマ5のレール1と摺動する部分にベアリング等を取り付けて、コマの移動性を向上するようにしてもよい。コマ5の材質としては合成樹脂を用いたが、レール1上を移動できるものであれば本実施形態に限らない。また、外周面の形状は、円形に限らず多角形や楕円形としてもよい。例えば、断面矩形状、板状のクレセント形状又は高さ方向の円筒形状(カップ形状)のもの等でもよい。
【0037】
本実施形態では、コマ5の凸部38の半径と凹部39の半径を等しくしたが、本実施形態に限らず、凸部38の半径を凹部39の半径よりも大きくすることができる。これによれば、凸部と凹部の接触面積を小さくできるので、隣り合うコマ5同士が接触したときの騒音を低減できる。また、凸部、凹部、を半球状としたが、隣り合うコマが互いに係合する構造であればこれに限らず、円柱状などに形成することができる。
【0038】
アタッチメント7は、コマ5に対して1つおきに取り付けられているが、本実施形態に限らず、搬送物の量に応じて適宜取り付けることができる。また、ローラ9、10の外周面の形状は、コマ5の外周面の形状に対応した形状としたが、コマ5を摺動方向に押し出すことができれば本実施形態に限らない。また、ローラ9、10の材質を金属製としたが、ローラ10のコマ5と接する面をゴム製とすると、コマ5との接触性を向上することができる。
【0039】
また、本実施形態では、コマ5がローラ10の付勢力によりレール1から脱線しないようにローラ9でコマ5の位置を規制するようにしているが、ローラ9に代えて、板等によりコマ5を支持するようにしてもよい。
【0040】
本実施形態では、被搬送物が載置された容器をアタッチメント7に取り付けるようにしているが、コマ5に直接的に被搬送物が載置された容器を取り付けてもよい。または、アタッチメントを被搬送物が載置される容器としてもよい。すなわち、コマの少なくとも複数個に1個が、被搬送物を連係する容器、パレット、ハンガー等の連係部材を設けている。上記コマを案内するレール1に隣接して平行に(例えば2階建て構造)被搬送部の荷重を支持する支持レールを施設し、被搬送物をローラ等で支持レールに支持しつつ、連係部材を介してコマと被搬送物を連係し、コマの移動により、被搬送物を牽引するようにして搬送してもよい。
【0041】
本実施形態においては、レール1の材料として合成樹脂を用いたが、コマ5及びアタッチメント7を摺動自由に保持できるものであれば本実施形態に限らず、例えば、ステンレス等の金属材料を用いることができる。また、ガイドレール21b、22b、23b、24bの形状は断面U字型としたが、コマ5をレールから脱線しないよう移動を規制する構造であれば本実施形態に限らず、例えば後述する実施形態2のように断面円形のパイプを用いてもよい。あるいは、コマ5の長手方向にわたって溝を切り、レール1に溝の形状に対応した凸部を設け、コマ5をレールの溝に係合させてコマ5を案内するようにしてもよい。
【0042】
また、レールユニット23、24の曲率が大きい場合は、2本のガイドレール23b、24bの間隔dを大きくして、コマとレールとの間の隙間を大きくすることで、円滑にコマ5を移動させることができる。
【0043】
(実施形態2)
図8は本発明の他の実施形態である搬送装置の概略構成を示す平面図であり、図9(a)、(b)、(c)は本発明の他の実施形態であるレールの一例を示す詳細構成図である。図示のように、本実施形態が実施形態1と異なる点は、レール1に代えて円筒状のパイプで構成されたレール81を設けたことにある。その他の構成は図1と同じであるから、詳細な説明を省略する。
【0044】
レール81は、例えば金属材料(STK400)からなる複数のパイプをつなぎ合わせて構成されている。レール81は、20個のパイプクランプ83によって固定されており、パイプクランプ83は図示していないフレームに固定されている。レール81は、パイプ91乃至98から構成されており、搬送経路に沿って所定の間隔fを有するスリット91a乃至98aが設けられている。パイプ91、92は直線状に形成され、パイプ91は実施形態1のレールユニット23と同様に高さ方向(Z軸)に変化湾曲して形成されている。また、パイプ93は湾湾曲して略直角、パイプ94はU字型に湾湾曲して形成されている。
【0045】
次に、パイプの詳細構成の一例について図9を用いて説明する。図9(a)に示すように、直線状のパイプ95には、切り込みを設けて形成した開口部95a、95bが設けられており、ローラ9、10の一部が収容されるようになっている。図9(b)に示すように、パイプ96は湾曲して蛇行して形成されている。また、パイプ97は、パイプ96に対して対称に形成されている。図9(c)に示すようにパイプ98は、スリット98は捻りを有して形成されており、パイプの半径方向に自由に搬送経路を形成できるようになっている。
【0046】
次に、このように構成される搬送装置の動作について図8を用いて説明する。制御手段によりモータ13を設定回転数で駆動する指令を出力すると、モータ13が図の矢印R(時計回り)で示す方向に回転すると、ローラ10の回転力がコマ5に伝わり、コマ5がローラ10の接線方向である摺動方向Pへ送り出される。コマ5は隣のコマ5に次々に力を伝えてレール81上を移動する。また、コマ5は隣同士が連結されていないので、前後、左右及び高さ方向に屈曲したレール81に沿って移動する。その結果コマ5はレール1上を循環し、コマ5に取り付けられたアタッチメント7がコマ5と共に移動して被搬送物がレール1に沿って搬送される。このとき、ローラ10がコマ5に向けて押し付けられているので、常にローラ10とコマ5が当接した状態となり、コマ5に常に回転力が伝わる。一方、レール81のスリット98の端部とブシュ33が接触して、コマ5の捻り方向の位置決めがなされる。
【0047】
このように、コマ5を前後、左右及び高さ方向の三次元の搬送経路を容易に移動させることができるので、搬送装置の搬送経路の自由度を大きくすることができる。さらに、レールをパイプとすることでレールの構成を容易にすることができる。また、三次元の搬送経路に加えてパイプの半径方向にアタッチメント7を回転移動させることができる。
【0048】
本実施形態においては、レール81の材料として金属材料を用いたが、コマ及びアタッチメントを摺動自由に保持できるものであれば本実施形態に限らず、例えば、アクリル等の合成樹脂を用いることができる。
【0049】
(実施形態3)
図10は更に変更した実施形態を示す。本実施形態は、レール101が押出し成形による型材から形成されている。レール101は断面正方形からなり、長手方向に中空部101a及び該中空部と外部を連通するスリット101bを有する。中空部101aにコマ5が収納され、コマ5にはピン102が植設されており、該ピンにはブシュ103がピン頭との間で抜け止めされて回転自在に支持されている。該ブシュ103は、レール101のスリット101b内に嵌合し、コマ5の移動時の摩擦抵抗を低減すると共にコマ5の回転を阻止する。
【0050】
上記ピン102は、すべてのコマ5に設けて回転止め専用としてもよく、また先の実施形態と同様に、アタッチメント7を取付ける部材(ボルト)と兼用してもよい。
【0051】
本実施形態3も、先の実施形態1又は2と同様に作動し、コマ5は、ローラにより駆動されて、レール101内で順次押しつけながら移動して循環し、アタッチメントにより被搬送物を搬送する。
【0052】
(実施形態4)
図11はコマがレールを跨座する形式の実施形態を示し、(a)は斜視図、(b)は正面図である。本実施形態によるレール111は、長尺の板状部材からなり、搬送経路に沿って連続して施設される。板状レール111の一端(上端)は断面円形状に膨出して、連続する丸棒状の膨出部111aを形成している。
【0053】
コマ115は、先の実施形態と同様に、外面が円筒形状からなり、その摺動方向前端側が半球状の凸部138となっており、後端側が半球状の凹部139となっている。そして、コマ115はその中央部に長手方向に貫通する貫通孔116が形成されており、該貫通孔からその長手方向全長に亘って外周面に抜ける直線状の溝117が形成されている。
【0054】
各コマ115は、板状レール111の膨出部111aを貫通孔116が嵌挿するよう、かつ板状部材の両側面を溝117が挟むようにして、板状レールに跨座するように装着される。コマ115は、その前端凸部138が隣接するコマの後端凹部139に当接するようにして板状レール111上に連続して配設される。
【0055】
本実施形態4も、先の実施形態と同様に作動し、コマ115は、ローラにより駆動されて、順次押し付けながら移動して循環し、アタッチメント7により被搬送物を搬送する。この際、各コマ115は、板状レール111の膨出部111aに貫通孔116が支持され、溝117が板状レールの両側面に当接して回転が阻止され、案内される。
【0056】
なお、上記説明では、板状レール111の上側にコマ115が跨座するように配列してあるが、これに限らず、例えば板状レール111が水平方向に施設され、コマが横方向から挟むように支持されてもよく、また板状レール111が膨出部111aを下にして垂下するように施設され、コマが下方向から挟むように支持されてもよい。この際、コマ115は、貫通孔116に膨出部111aが嵌合しているので外れることはない。
【0057】
本実施形態4は、板状レール111の膨出部111aにコマ115の貫通孔116が案内されるので、コマとレールとの摩擦、特にカーブ(2次元、3次元)における摩擦を小さくできる。また、コマ115はその溝117で板状レール111の両側面を挟むので、専用の回転止めが不要でありかつコマ115の外周面が露出しているので、駆動ローラをコマ115の外周面に直接摩擦接触でき、先の実施形態のようなレールを貫通する切欠きが不要である。そして、板状レール111は、水平方向のカーブは勿論、上下方向のカーブ及び3次元のカーブも、板状部材を曲げることにより比較的容易に対応でき、構造がシンプルであることが相俟って、安価かつ容易に施設することができる。
【0058】
なお、本実施形態4のコマも、先の実施形態と同様に、他の形状でもよいことは勿論である。
【0059】
(実施形態5)
図12は一部変更したコマを示す図である。先の実施形態は、モータ13を一方向に回転して、コマは、凸部38を先側として走行していたが、モータを逆方向に回転するか、又は正逆方向に切替えて、凹部39を先側として走行してもよい。即ち、図1又は図8において、コマは矢印P方向と反対方向に走行する。コマ5’は、図12に示すように、円筒形状からなり、一方端側が凸部38を有し、他方端側が凹部39を有する。更に、凹部が形成されている他方端側の外周縁部には面取り120が形成されている。
【0060】
以上構成に基づき、コマ5’は、凸部38と凹部39とが当接して、順次押付けながら走行する。モータが正転して矢印P方向に走行する場合、コマは、凸部38側が先側となり、レール1の継ぎ目に段差があっても、凸部38の滑らかな面に案内されて支障なく走行する。モータを逆転して矢印Q方向に走行する場合、コマ5’は、凹部39が先側となるが、面取り120がレールの継ぎ目を滑らかに案内して、矢印P方向と同様に支障なく走行する。なお、モータを正逆する場合について説明したが、コマ5’を矢印Q方向にのみ走行する場合でも同様である。また、コマ5’に面取り120を設けたが、レールの継ぎ目部分に面取りを設ければ、図5に示すコマを用いても、矢印Q方向の走行は可能である。
【符号の説明】
【0061】
1、81、101、111 レール
3 移動手段
5、5’、115 走行体(コマ)
7 アタッチメント
9、10 ローラ
13 モータ
21、22、23、24 レールユニット
21a、22a、23a、24a レールベース
21b、22b、23b、24b ガイドレール
21c、22c、23c、24c 溝
21d、22d、23d、24d レールカバー
27 フレーム
33、103 ブシュ
38、138 凸部
39、139 凹部
47 モータベース
53 コイルスプリング
55 調整ネジ
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する搬送装置に係り、特に電気製品製造業における小物部品の供給ライン、詰物設備におけるビン、缶の充填ライン、パチンコ・スロット等の遊技設備におけるメダル等の搬送ラインに用いて好適な、無端の搬送経路を有する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、バケット状の容器に物品を入れて運ぶバケット型、板状のパレットに物品を載せて運ぶパレット型、ハンガーに物品を吊り下げて運ぶハンガー型などの支持台を備えた搬送装置が知られており、これらの搬送装置は、チェーンやベルトなどのエンドレスな牽引要素によってこれらの支持台を駆動して連続的に搬送するようにしている。
【0003】
このような搬送装置としては、物品(以下、被搬送物と呼ぶ)の搬送経路に沿って敷設されたレールと、レールの全長にわたって取り付けられたチェーンと、チェーンに取り付けられた被搬送物の支持台とを備え、チェーンの側面を挟みつけてレールに固定された2つのローラを回転駆動することにより、チェーンを牽引して支持台を搬送経路に沿って循環させるように構成されたものが提案されている。(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−143608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、支持台を牽引するためにチェーンを用いているため、搬送装置の構成が煩雑となるおそれがある。
【0006】
すなわち、チェーンを用いた搬送では、搬送経路のレイアウトを変更する場合、特に搬送経路を延長したい場合にチェーンを延長又は交換しなければならないため、装置の組立に手間がかかる。
【0007】
一方、無端の搬送経路を有する搬送装置では、例えば、荷物の積み込み位置や排出位置によって搬送経路が決まるため、二次元の搬送経路だけでなく、三次元の搬送経路となる場合がある。したがって、三次元の搬送経路を搬送可能な搬送装置が要求されている。
【0008】
本発明は、搬送経路を有する搬送装置の構成を簡素化し、かつ搬送経路の自由度を大きくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の搬送装置は、敷設されたレールに沿って被搬送物を搬送する搬送装置において、前記レールの全長にわたって連続して設けられた複数の走行体と、これら走行体の少なくとも複数個の1個に設けられ前記被搬送物を連係する連係部材と、走行体の少なくとも一つに外周面に接するように設けられたローラと、ローラを駆動するモータと、を備え、前記レールは、前記走行体を搬送経路に沿って移動自由に保持しかつ移動方向に対して垂直な方向の移動を規制する構造を有していることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、ローラの回転力が走行体に伝わり、走行体がローラの接線方向に送り出される。走行体は隣の走行体に次々に力を伝えてレール上を移動する。また、走行体は隣同士が連結されていないので、屈曲したレールに沿って移動する。その結果、走行体はレール上を循環移動し、連係部材が走行体と共に移動して被搬送物がレールに沿って移動される。このようにしたことから、搬送装置の搬送経路の自由度を大きくすることができる。また、従来、チェーンを用いた搬送装置では、搬送経路に沿ってチェーンなどの牽引手段を張り巡らす必要があるため、特に搬送経路が長い場合は作業に手間がかかり、構成が煩雑となっていたが、本発明によれば、搬送経路に沿ってレールを組立、レールの一箇所から走行体を順次押し込めて組み立てるだけでよく、装置の組立や構成を簡素化できる。
【0011】
この場合、レールの構成を断面U字状に形成された2本のガイドレールを有し、2本のガイドレールを、互いに平行に間隔をおいて開口を形成するように対向して配置した構造とすることができる。
【0012】
一方、レールの構成を搬送経路に沿ってスリットが設けられたパイプ又は型材とすれば、三次元の搬送経路に加えて移動方向に対して捻り方向に支持台を移動させることもできる。
【0013】
また、レールを、幅方向の一端に膨出部を有する長尺板状部材で構成し、走行体が、貫通孔及び該貫通孔から外面に延びる溝を有し、前記膨出部を前記貫通孔に嵌挿して前記板状部材の両側面を前記溝に挟むようにして案内されるようにしてもよい。
【0014】
このように、走行体がレールを跨座するように構成すると、走行体とレールの摩擦、特に曲面からなるコーナ部分での摩擦を小さくできる。また、走行体は、その溝が板状部材を挟むことにより回転止めされ、特別な回転止めが不要であり、かつ走行体の外面が外部に露出しているので、レールにローラ貫通用の切欠きを設ける必要がなく、レールが長尺の板状部材からなることが相俟って、構造がシンプルで安価に構成できる。また、レールが長尺の板状部材からなるので、2次元の湾曲は勿論、3次元での曲面も簡単かつ容易に形成することができる。
【0015】
また、レールを複数の種類のユニット、例えば直線状部、平面湾曲部、上下湾曲部等からなる予め定められた形状のユニットで構成し、これらユニットを適宜組合せて無端状の搬送経路を構成すると、メーカは、複数のユニットを用意しておけばよく、ユーザは、必要とする搬送経路に合せて所定のユニットを組合せて組立てればよく、設計、施工を合理的にかつ容易に行うことができ、ラインを高い自由度で容易かつ安価に施設することができる。また、ラインの変更及び追加等もユーザ自身で容易に行うことができる。
【0016】
また、走行体の外周面を円筒形状に形成し、摺動方向の一端に凸部を設け、他端に凸部に対応した形状の凹部を設けることができる。これによれば、三次元に湾曲した搬送経路であっても隣り合う走行体が互いに係合することで、走行体を円滑に移動させることができる。この場合、走行体の凸部及び凹部を半球状にすることで走行体をより円滑に移動させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、搬送経路を有する搬送装置の構成を簡素化し、かつ搬送経路の自由度を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態の搬送装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】図2のB−B矢視断面図である。
【図4】(a)、(b)、(c)、(d)は本実施形態のレールの詳細構成を示す図である。
【図5】本実施形態のコマ(走行体)及びアタッチメントの詳細構成を示す図である。
【図6】本実施形態のコマ(走行体)の駆動機構の詳細構成を示す平面図である。
【図7】(a)は図6のC−C矢視断面図、(b)は図6のD−D矢視断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態である搬送装置の概略構成を示す平面図である。
【図9】(a)、(b)、(c)は本発明の他の実施形態であるレールの一例を示す詳細構成図である。
【図10】更に変更した本発明の実施形態を示す断面図。
【図11】本発明の他の実施形態を示す図で、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【図12】一部変更したコマ(走行体)を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。
【0020】
(実施形態1)
まず、本実施形態の搬送装置の概略構成について説明する。図1は本発明の一実施形態の搬送装置の概略構成を示す平面図、図2は図1のA−A矢視図、図3は図2のB−B矢視断面図である。なお、本実施形態においては、説明の便宜のため、図1のXで示す方向を左右方向、Yで示す方向を前後方向、Zで示す方向を高さ方向と定義する。また、図1の矢印Pで示す後述するコマ5の移動方向を摺動方向と定義する。
【0021】
図1乃至3に示すように、本実施形態の搬送装置は、図示していない被搬送物(例えば、自動車部品等)の搬送経路に沿って敷設されたレール1と、レール1に沿って被搬送物を摺動方向Pに進退可能に移動させる移動手段3とを備えている。
【0022】
移動手段3は、後述するコマ5、アタッチメント7、ローラ9、10、モータ13から構成されている。走行体であるコマ5は、レール1の全長にわたって移動(摺動)方向Pに移動(摺動)自由に連続して複数個設けられている。被搬送物が支持される支持台であるアタッチメント7は、コマ5の少なくとも一つに取り付けられており、本実施形態においてはコマ5に対して一個おきに取り付けられている。ローラ9、10は、コマ5を挟んで対向して設けられており、ローラ10はモータ13の駆動軸11に取り付けられている。
【0023】
次に、本実施形態の搬送装置の詳細構成について説明する。図4(a)、(b)、(c)、(d)は本実施形態のレールの詳細構成を示す図、図5は本実施形態のコマ及びアタッチメントの詳細構成を示す図である。図6は本実施形態のコマの駆動機構の詳細構成を示す平面図である。図7(a)は図6のC−C矢視断面図、(b)は図6のD−D矢視断面図である。図4に示すように、レール1は合成樹脂(ニューライト:作新工業株式会社製)を材料とし、形状の異なる4種類のレールユニット21、22、23、24を連結することにより構成されている。これにより、レール1は無端の搬送経路となりコマ5が循環できるようになっている。
【0024】
レール21は直線状に形成されており、レール22はレール21と同様の構成を有して、かつローラ9、10の一部が収容される開口部15、16が設けられている。レールユニット23は、中央部に高さ方向(Z軸)に変化するスロープを有して湾曲して形成され、レールユニット24は、円弧状に湾湾曲して形成されている。レールユニット21、22、23、24は、板状のレールベース21a、22a、23a、24aを有している。レールベース21a、23a、24aは、搬送経路に沿って設けられた12個のフレーム27にそれぞれボルトで固定されている(図1参照)。また、レールベース22aは、フレーム28にボルトで固定されている。フレーム27、28は、例えば、角パイプなどにより構成されている。
【0025】
また、レールベース21a、22a、23a、24aには、板状のガイドレール21b、22b、23b、24bがそれぞれ2本ずつ取り付けられている。ガイドレール21b、22b、23b、24bには溝21c、22c、23c、24cが全長にわたって設けられており、断面U字状となっている。ガイドレール21b、22b、23b、24bは、所定の間隔dをあけて平行に、かつ溝21c、22c、23c、24cを互いに対向して設けられている。このときの間隔dは、コマ5が2本のガイドレール21b、22b、23b、24bの間に挿入された際に若干の隙間が形成される程度に設定されている。一方、レール22の開口部15、16は、レール22bの中央部の2箇所を鋭角に切り取られた構造とすることにより形成されている。ガイドレール21b、22b、23b、24bの高さ方向の上面には、2本の板状のレールカバー21d、22d、23d、24dがそれぞれに取り付けられている。
【0026】
図1に示すようにレール1にはスキマSが設けられ、左右(X軸)方向に2本のレール24で構成された可動レール29を移動できるようにしている。可動レール29には、付勢手段30が取り付けられている。付勢手段30は、図示していないばねにより可動レール29を隙間Sが小さくなる方向(図1のQで示す)に押し付けるようにしている。これにより、レール1に配置されたコマ5の隣り合うスキマを小さくするようにしている。
【0027】
このように、レールユニット21、22、23、24には、内部にコマ5が挿入されて溝21c、22c、23c、24cにより形成された段差部に当接して搬送経路に沿って摺動自由に保持するようになっている。また、溝21c、22c、23c、24cの段差部は、コマ5が溝21c、22c、23c、24cの延在方向(移動方向)と垂直な方向の移動を規制するようになっている。
【0028】
図5に示すように、コマ5は、例えば合成樹脂(MCナイロン:日本ポリペンコ株式会社製)を材料として外周面が円筒形状に形成されている。コマ5には、アタッチメント7を取り付けるためのネジ穴31が2箇所に設けられている。アタッチメント7は板状に形成されており、図示していない被搬送物が載置された容器等が取り付けられるようになっている。アタッチメント7は、ネジ穴31に対応した位置に貫通孔37が設けられている。アタッチメント7は、貫通孔37及び円筒状のブシュ33にボルト35が挿通されてネジ穴31に螺合されて固定されている。ブシュ33は、レールカバー21d、22d、23d、24dの側面に当接してコマ5が回転するのを規制すると共に、アタッチメント7の位置決めを行うようにしている。
【0029】
また、コマ5の摺動方向Pの先端部には、半球状の凸部38が設けられ、後端部には、半球状の凹部39が設けられている。凸部38及び凹部39の半径は、等しくなっている。コマ5は、それぞれ互いに端部が当接してレール1の内部に押しこめられており、レール1の全長にわたって連続して配置されている。すなわち、コマ5の凸部38及び凹部39は、レール1が湾曲していてもコマ5同士が常に面で当接した状態を保持するようになっている。
【0030】
図6、図7に示すように、ローラ9、10は、例えば、金属材料(SS400など)により形成されており、従動側のローラ9は、フレーム28に固定された板状の支持部材41に軸43を介して回転自由に取り付けられている。駆動側のローラ10は、モータ13の駆動軸11に取り付けられている。モータ13には、図示していない制御手段が接続され、制御手段により回転数を制御してモータ13を駆動するようにしている。ローラ9、10の外周面の形状は、コマ5の外周面の形状に対応して円弧凹状に形成されている。モータ13は、フレーム27に取り付けられた板状のモータベース47に固定されている。このモータベース47は、フレーム28に取り付けられた支持部材49に軸51を介して回転可能に取り付けられている。
【0031】
また、モータベース47とフレーム28との間には、コイルスプリング53が圧縮した状態で設けられている。コイルスプリング53、モータベース47、フレーム28には、調整ネジ53が挿通されており、モータベース47の一端に調整ネジ55のボルト頭が係止されている。調整ネジ55のフレーム28側の端部には、ナット57が螺合してフレーム27に係止している。すなわち、コイルスプリング53の付勢力がモータベース47に伝わり、モータベース47が軸51を支点として回転(図6の紙面上で反時計回り)する。これにより、ローラ10を図の矢印Tで示す方向に付勢するようになっている。その結果、ローラ10の外周面がコマ5を押圧した状態で保持されるようになっている。言い換えれば、ローラ9とローラ10の外周面でコマ5を挟みつけて保持している。ここで、ローラ10の押圧力は、コイルスプリング53のばね定数及びナット57により調整することができる。
【0032】
次に、このように構成される搬送装置の動作について図1及び図6を用いて説明する。制御手段によりモータ13を設定回転数で駆動する指令を出力すると、モータ13が図の矢印R(時計回り)で示す方向に回転する。ローラ10の回転力はコマ5に伝わり、コマ5がローラ10の接線方向である摺動方向Pへ送り出される。コマ5は隣のコマ5に次々に力を伝えてレール1上を移動する。また、コマ5は隣同士が連結されていないので、前後、左右及び高さ方向に屈曲したレール1に沿って移動する。その結果コマ5はレール1上を循環し、コマ5に取り付けられたアタッチメント7がコマ5と共に移動して被搬送物がレール1に沿って搬送される。このとき、ローラ10がコマ5に向けて押し付けられているので、常にローラ10とコマ5が当接した状態となり、コマ5に常に回転力が伝わる。一方、レールカバー21d、22d、23d、24dの端部とブシュ33が接触してコマ5が回転するのを抑制し、アタッチメント7が位置決めされる。
【0033】
このように、コマ5を前後、左右及び高さ方向の三次元の搬送経路を容易に移動させることができるので、搬送装置の搬送経路の自由度を大きくすることができる。また、レール1を組み立てた後、例えばレール1の隙間Sを大きくしておき、コマ5を順次押し込めて設置するだけで組み立てることができ、装置の組立や構成を簡素化できる。従来、チェーンを用いた搬送装置では、レールのレイアウトを変更する場合、チェーンを交換したり延長又は短縮する必要があるが、本実施形態によれば、コマを補充又は減らすことによって対応できるため、装置のレイアウトを容易に変更することができる。また、コマ5は例えばチェーンのように連結された構造を有しておらず、構成が簡素でかつメンテナンスを容易とすることができる。
【0034】
レール1は、長手方向の形状(XY平面湾曲部24、高さ方向変更部23、直線部21)が異なる複数のユニット21、22、23、24から構成されるので、これらユニットを適宜組合せて任意の形状の搬送経路を容易に施設することができる。従って、メーカは、その複数の種類のレールユニットを用意すれば足り、ユーザは、搬送経路(ライン)に合せて必要とするレールユニットを購入して、身ずから連結して組立てることにより、自由なラインを短い施行時間で容易かつ安価に施設することができ、またラインの変更、追加も容易に行うことができる。
【0035】
また、コマ5の凸部38及び凹部39により、湾曲した搬送経路であっても隣り合うコマ5が互いに係合し、コマ5を円滑に移動させることができる。また、コマ5同士の接触面積を大きくできるので、力がつたわり、安定した搬送を行うことができる。特に、凸部38及び凹部39を半球状に形成しているのでコマ5をより円滑に移動させることができる。
【0036】
一方、コマ5のレール1と摺動する部分にベアリング等を取り付けて、コマの移動性を向上するようにしてもよい。コマ5の材質としては合成樹脂を用いたが、レール1上を移動できるものであれば本実施形態に限らない。また、外周面の形状は、円形に限らず多角形や楕円形としてもよい。例えば、断面矩形状、板状のクレセント形状又は高さ方向の円筒形状(カップ形状)のもの等でもよい。
【0037】
本実施形態では、コマ5の凸部38の半径と凹部39の半径を等しくしたが、本実施形態に限らず、凸部38の半径を凹部39の半径よりも大きくすることができる。これによれば、凸部と凹部の接触面積を小さくできるので、隣り合うコマ5同士が接触したときの騒音を低減できる。また、凸部、凹部、を半球状としたが、隣り合うコマが互いに係合する構造であればこれに限らず、円柱状などに形成することができる。
【0038】
アタッチメント7は、コマ5に対して1つおきに取り付けられているが、本実施形態に限らず、搬送物の量に応じて適宜取り付けることができる。また、ローラ9、10の外周面の形状は、コマ5の外周面の形状に対応した形状としたが、コマ5を摺動方向に押し出すことができれば本実施形態に限らない。また、ローラ9、10の材質を金属製としたが、ローラ10のコマ5と接する面をゴム製とすると、コマ5との接触性を向上することができる。
【0039】
また、本実施形態では、コマ5がローラ10の付勢力によりレール1から脱線しないようにローラ9でコマ5の位置を規制するようにしているが、ローラ9に代えて、板等によりコマ5を支持するようにしてもよい。
【0040】
本実施形態では、被搬送物が載置された容器をアタッチメント7に取り付けるようにしているが、コマ5に直接的に被搬送物が載置された容器を取り付けてもよい。または、アタッチメントを被搬送物が載置される容器としてもよい。すなわち、コマの少なくとも複数個に1個が、被搬送物を連係する容器、パレット、ハンガー等の連係部材を設けている。上記コマを案内するレール1に隣接して平行に(例えば2階建て構造)被搬送部の荷重を支持する支持レールを施設し、被搬送物をローラ等で支持レールに支持しつつ、連係部材を介してコマと被搬送物を連係し、コマの移動により、被搬送物を牽引するようにして搬送してもよい。
【0041】
本実施形態においては、レール1の材料として合成樹脂を用いたが、コマ5及びアタッチメント7を摺動自由に保持できるものであれば本実施形態に限らず、例えば、ステンレス等の金属材料を用いることができる。また、ガイドレール21b、22b、23b、24bの形状は断面U字型としたが、コマ5をレールから脱線しないよう移動を規制する構造であれば本実施形態に限らず、例えば後述する実施形態2のように断面円形のパイプを用いてもよい。あるいは、コマ5の長手方向にわたって溝を切り、レール1に溝の形状に対応した凸部を設け、コマ5をレールの溝に係合させてコマ5を案内するようにしてもよい。
【0042】
また、レールユニット23、24の曲率が大きい場合は、2本のガイドレール23b、24bの間隔dを大きくして、コマとレールとの間の隙間を大きくすることで、円滑にコマ5を移動させることができる。
【0043】
(実施形態2)
図8は本発明の他の実施形態である搬送装置の概略構成を示す平面図であり、図9(a)、(b)、(c)は本発明の他の実施形態であるレールの一例を示す詳細構成図である。図示のように、本実施形態が実施形態1と異なる点は、レール1に代えて円筒状のパイプで構成されたレール81を設けたことにある。その他の構成は図1と同じであるから、詳細な説明を省略する。
【0044】
レール81は、例えば金属材料(STK400)からなる複数のパイプをつなぎ合わせて構成されている。レール81は、20個のパイプクランプ83によって固定されており、パイプクランプ83は図示していないフレームに固定されている。レール81は、パイプ91乃至98から構成されており、搬送経路に沿って所定の間隔fを有するスリット91a乃至98aが設けられている。パイプ91、92は直線状に形成され、パイプ91は実施形態1のレールユニット23と同様に高さ方向(Z軸)に変化湾曲して形成されている。また、パイプ93は湾湾曲して略直角、パイプ94はU字型に湾湾曲して形成されている。
【0045】
次に、パイプの詳細構成の一例について図9を用いて説明する。図9(a)に示すように、直線状のパイプ95には、切り込みを設けて形成した開口部95a、95bが設けられており、ローラ9、10の一部が収容されるようになっている。図9(b)に示すように、パイプ96は湾曲して蛇行して形成されている。また、パイプ97は、パイプ96に対して対称に形成されている。図9(c)に示すようにパイプ98は、スリット98は捻りを有して形成されており、パイプの半径方向に自由に搬送経路を形成できるようになっている。
【0046】
次に、このように構成される搬送装置の動作について図8を用いて説明する。制御手段によりモータ13を設定回転数で駆動する指令を出力すると、モータ13が図の矢印R(時計回り)で示す方向に回転すると、ローラ10の回転力がコマ5に伝わり、コマ5がローラ10の接線方向である摺動方向Pへ送り出される。コマ5は隣のコマ5に次々に力を伝えてレール81上を移動する。また、コマ5は隣同士が連結されていないので、前後、左右及び高さ方向に屈曲したレール81に沿って移動する。その結果コマ5はレール1上を循環し、コマ5に取り付けられたアタッチメント7がコマ5と共に移動して被搬送物がレール1に沿って搬送される。このとき、ローラ10がコマ5に向けて押し付けられているので、常にローラ10とコマ5が当接した状態となり、コマ5に常に回転力が伝わる。一方、レール81のスリット98の端部とブシュ33が接触して、コマ5の捻り方向の位置決めがなされる。
【0047】
このように、コマ5を前後、左右及び高さ方向の三次元の搬送経路を容易に移動させることができるので、搬送装置の搬送経路の自由度を大きくすることができる。さらに、レールをパイプとすることでレールの構成を容易にすることができる。また、三次元の搬送経路に加えてパイプの半径方向にアタッチメント7を回転移動させることができる。
【0048】
本実施形態においては、レール81の材料として金属材料を用いたが、コマ及びアタッチメントを摺動自由に保持できるものであれば本実施形態に限らず、例えば、アクリル等の合成樹脂を用いることができる。
【0049】
(実施形態3)
図10は更に変更した実施形態を示す。本実施形態は、レール101が押出し成形による型材から形成されている。レール101は断面正方形からなり、長手方向に中空部101a及び該中空部と外部を連通するスリット101bを有する。中空部101aにコマ5が収納され、コマ5にはピン102が植設されており、該ピンにはブシュ103がピン頭との間で抜け止めされて回転自在に支持されている。該ブシュ103は、レール101のスリット101b内に嵌合し、コマ5の移動時の摩擦抵抗を低減すると共にコマ5の回転を阻止する。
【0050】
上記ピン102は、すべてのコマ5に設けて回転止め専用としてもよく、また先の実施形態と同様に、アタッチメント7を取付ける部材(ボルト)と兼用してもよい。
【0051】
本実施形態3も、先の実施形態1又は2と同様に作動し、コマ5は、ローラにより駆動されて、レール101内で順次押しつけながら移動して循環し、アタッチメントにより被搬送物を搬送する。
【0052】
(実施形態4)
図11はコマがレールを跨座する形式の実施形態を示し、(a)は斜視図、(b)は正面図である。本実施形態によるレール111は、長尺の板状部材からなり、搬送経路に沿って連続して施設される。板状レール111の一端(上端)は断面円形状に膨出して、連続する丸棒状の膨出部111aを形成している。
【0053】
コマ115は、先の実施形態と同様に、外面が円筒形状からなり、その摺動方向前端側が半球状の凸部138となっており、後端側が半球状の凹部139となっている。そして、コマ115はその中央部に長手方向に貫通する貫通孔116が形成されており、該貫通孔からその長手方向全長に亘って外周面に抜ける直線状の溝117が形成されている。
【0054】
各コマ115は、板状レール111の膨出部111aを貫通孔116が嵌挿するよう、かつ板状部材の両側面を溝117が挟むようにして、板状レールに跨座するように装着される。コマ115は、その前端凸部138が隣接するコマの後端凹部139に当接するようにして板状レール111上に連続して配設される。
【0055】
本実施形態4も、先の実施形態と同様に作動し、コマ115は、ローラにより駆動されて、順次押し付けながら移動して循環し、アタッチメント7により被搬送物を搬送する。この際、各コマ115は、板状レール111の膨出部111aに貫通孔116が支持され、溝117が板状レールの両側面に当接して回転が阻止され、案内される。
【0056】
なお、上記説明では、板状レール111の上側にコマ115が跨座するように配列してあるが、これに限らず、例えば板状レール111が水平方向に施設され、コマが横方向から挟むように支持されてもよく、また板状レール111が膨出部111aを下にして垂下するように施設され、コマが下方向から挟むように支持されてもよい。この際、コマ115は、貫通孔116に膨出部111aが嵌合しているので外れることはない。
【0057】
本実施形態4は、板状レール111の膨出部111aにコマ115の貫通孔116が案内されるので、コマとレールとの摩擦、特にカーブ(2次元、3次元)における摩擦を小さくできる。また、コマ115はその溝117で板状レール111の両側面を挟むので、専用の回転止めが不要でありかつコマ115の外周面が露出しているので、駆動ローラをコマ115の外周面に直接摩擦接触でき、先の実施形態のようなレールを貫通する切欠きが不要である。そして、板状レール111は、水平方向のカーブは勿論、上下方向のカーブ及び3次元のカーブも、板状部材を曲げることにより比較的容易に対応でき、構造がシンプルであることが相俟って、安価かつ容易に施設することができる。
【0058】
なお、本実施形態4のコマも、先の実施形態と同様に、他の形状でもよいことは勿論である。
【0059】
(実施形態5)
図12は一部変更したコマを示す図である。先の実施形態は、モータ13を一方向に回転して、コマは、凸部38を先側として走行していたが、モータを逆方向に回転するか、又は正逆方向に切替えて、凹部39を先側として走行してもよい。即ち、図1又は図8において、コマは矢印P方向と反対方向に走行する。コマ5’は、図12に示すように、円筒形状からなり、一方端側が凸部38を有し、他方端側が凹部39を有する。更に、凹部が形成されている他方端側の外周縁部には面取り120が形成されている。
【0060】
以上構成に基づき、コマ5’は、凸部38と凹部39とが当接して、順次押付けながら走行する。モータが正転して矢印P方向に走行する場合、コマは、凸部38側が先側となり、レール1の継ぎ目に段差があっても、凸部38の滑らかな面に案内されて支障なく走行する。モータを逆転して矢印Q方向に走行する場合、コマ5’は、凹部39が先側となるが、面取り120がレールの継ぎ目を滑らかに案内して、矢印P方向と同様に支障なく走行する。なお、モータを正逆する場合について説明したが、コマ5’を矢印Q方向にのみ走行する場合でも同様である。また、コマ5’に面取り120を設けたが、レールの継ぎ目部分に面取りを設ければ、図5に示すコマを用いても、矢印Q方向の走行は可能である。
【符号の説明】
【0061】
1、81、101、111 レール
3 移動手段
5、5’、115 走行体(コマ)
7 アタッチメント
9、10 ローラ
13 モータ
21、22、23、24 レールユニット
21a、22a、23a、24a レールベース
21b、22b、23b、24b ガイドレール
21c、22c、23c、24c 溝
21d、22d、23d、24d レールカバー
27 フレーム
33、103 ブシュ
38、138 凸部
39、139 凹部
47 モータベース
53 コイルスプリング
55 調整ネジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
敷設されたレールに沿って被搬送物を搬送する搬送装置において、
前記レールの全長にわたって連続して設けられた複数の走行体と、
これら走行体の少なくとも複数個に1個に設けられ前記被搬送物を連係する連係部材と、
前記走行体の少なくとも一つに外周面に接するように設けられたローラと、
該ローラを駆動するモータと、を備え、
前記レールは、前記走行体を搬送経路に沿って移動自由に保持しかつ移動方向に対して垂直な方向の移動を規制する構造を有していることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記レールは、断面U字状に形成された2本のガイドレールを有し、該2本のガイドレールは互いに平行に間隔をおいて開口を形成するように対向して設けられて、
前記走行体が、前記2本のガイドレールの間に挟持されて収納され、前記連係部材が、前記走行体から前記開口を通って延びて、前記被搬送物に連係してなることを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記レールは、搬送経路に沿ってスリットが設けられたパイプ又は型材であり、
前記走行体が、前記パイプ又は型材の中空内に収納され、前記連係部材が、前記走行体から前記スリットを通って延びて前記被搬送物に連係してなることを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記レールは、軸方向の一端に膨出部を有する長尺の板状部材であり、
前記走行体が、貫通孔及び該貫通孔から外面に延びる溝を有し、前記膨出部を前記貫通孔に嵌挿して前記板状部材の両端面を前記溝に挟むようにして案内されてなることを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の搬送装置において、
前記レールは、長手方向の形状が予め定められた複数の種類からなるユニットからなり、これらユニットが、適宜組合されてその端部同士を連続して無端状の搬送経路を形成してなる搬送装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の搬送装置において、
前記走行体は、外周面が円筒形状に形成され、前記移動方向の一端に凸部が設けられ、他端に前記凸部に対応した形状の凹部が設けられてなることを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
請求項6に記載の搬送装置において、
前記走行体の凸部及び凹部の形状は、半球状であることを特徴とする搬送装置。
【請求項8】
請求項7に記載の搬送装置において、
前記走行体の凸部の半径は、凹部の半径よりも大きいことを特徴とする搬送装置。
【請求項1】
敷設されたレールに沿って被搬送物を搬送する搬送装置において、
前記レールの全長にわたって連続して設けられた複数の走行体と、
これら走行体の少なくとも複数個に1個に設けられ前記被搬送物を連係する連係部材と、
前記走行体の少なくとも一つに外周面に接するように設けられたローラと、
該ローラを駆動するモータと、を備え、
前記レールは、前記走行体を搬送経路に沿って移動自由に保持しかつ移動方向に対して垂直な方向の移動を規制する構造を有していることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記レールは、断面U字状に形成された2本のガイドレールを有し、該2本のガイドレールは互いに平行に間隔をおいて開口を形成するように対向して設けられて、
前記走行体が、前記2本のガイドレールの間に挟持されて収納され、前記連係部材が、前記走行体から前記開口を通って延びて、前記被搬送物に連係してなることを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記レールは、搬送経路に沿ってスリットが設けられたパイプ又は型材であり、
前記走行体が、前記パイプ又は型材の中空内に収納され、前記連係部材が、前記走行体から前記スリットを通って延びて前記被搬送物に連係してなることを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記レールは、軸方向の一端に膨出部を有する長尺の板状部材であり、
前記走行体が、貫通孔及び該貫通孔から外面に延びる溝を有し、前記膨出部を前記貫通孔に嵌挿して前記板状部材の両端面を前記溝に挟むようにして案内されてなることを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の搬送装置において、
前記レールは、長手方向の形状が予め定められた複数の種類からなるユニットからなり、これらユニットが、適宜組合されてその端部同士を連続して無端状の搬送経路を形成してなる搬送装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の搬送装置において、
前記走行体は、外周面が円筒形状に形成され、前記移動方向の一端に凸部が設けられ、他端に前記凸部に対応した形状の凹部が設けられてなることを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
請求項6に記載の搬送装置において、
前記走行体の凸部及び凹部の形状は、半球状であることを特徴とする搬送装置。
【請求項8】
請求項7に記載の搬送装置において、
前記走行体の凸部の半径は、凹部の半径よりも大きいことを特徴とする搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−42429(P2011−42429A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190211(P2009−190211)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000207425)大同工業株式会社 (45)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000207425)大同工業株式会社 (45)
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