説明

搬送装置

【課題】搬送される被搬送物の大きさが大幅に変わる場合であっても、所定のピッチで被搬送物を適切に搬送することが可能な搬送装置を提供すること。
【解決手段】搬送装置1は、被搬送物3が搭載されるテーブル2と、テーブル2に搭載されるとともに被搬送物3の搬送方向に移動して被搬送物3を搬送する複数の桟部材5と、テーブル2の裏面側に配置されるベルト6〜9とを備えている。ベルト6〜9には、磁石を有する複数の駆動側磁気吸引部が所定のピッチで形成され、桟部材5には、磁石を有し駆動側磁気吸引部との間で吸引力を発生させる従動側磁気吸引部が形成されている。この搬送装置1では、駆動側磁気吸引部と従動側磁気吸引部との間の吸引力によって、搬送される被搬送物3に応じたピッチで桟部材5が配置され、ベルト6〜9が移動すると、駆動側磁気吸引部と従動側磁気吸引部との間の吸引力によって、桟部材5がテーブル3上を移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原料や製品等の被搬送物をベルトで搬送するベルトコンベヤとして、平ベルトに複数の桟(横桟)が取り付けられた桟付きベルトによって、被搬送物を搬送する桟付きベルトコンベヤが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の桟付きベルトコンベヤでは、樹脂製の平ベルトに樹脂製の複数の桟が一定ピッチで接合されており、複数の桟によって、被搬送物を一定のピッチで搬送することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−331367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の桟付きベルトコンベヤでは、平ベルトに一定ピッチで桟が接合されており、平ベルトから桟を取り外すことはできない。そのため、このベルトコンベヤでは、被搬送物の大きさに応じて桟の配置ピッチを変えることができない。すなわち、特許文献1に記載のベルトコンベヤでは、限られた大きさの被搬送物しか所定のピッチで適切に搬送することができない。
【0005】
また、特許文献1に記載のベルトコンベヤでは、平ベルトから桟を取り外すことができないため、桟が損傷した場合には、桟付きベルトそのものを交換する必要があり、メンテナンスに手間がかかる。さらに、特許文献1に記載のベルトコンベヤでは、平ベルトから桟を取り外すことができないため、桟の形状や材質を変更したい場合には、桟付きベルトそのものを交換する必要があり、桟の形状や材質の変更に手間がかかる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、搬送される被搬送物の大きさが大幅に変わる場合であっても所定のピッチで被搬送物を適切に搬送することが可能な搬送装置を提供することにある。また、本発明の課題は、桟部材が損傷した場合および桟部材の形状や材質を変更したい場合に、桟部材を容易に交換することが可能な搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の搬送装置は、表面に被搬送物が搭載されるテーブルと、テーブルの表面に搭載されるとともに被搬送物の搬送方向に移動可能で、搬送方向における被搬送物の後端側に当接して被搬送物を搬送する複数の桟部材と、テーブルの裏面側に配置されるベルトまたはチェーンあるいはワイヤーとを備え、ベルトまたはチェーンあるいはワイヤーには、磁石および/または磁性部材を有する複数の駆動側磁気吸引部が所定のピッチで形成され、桟部材には、磁石および/または磁性部材を有し駆動側磁気吸引部との間で吸引力を発生させる従動側磁気吸引部が形成され、駆動側磁気吸引部と従動側磁気吸引部との間の吸引力によって、搬送される被搬送物に応じたピッチで桟部材が配置され、ベルトまたはチェーンあるいはワイヤーが移動すると、駆動側磁気吸引部と従動側磁気吸引部との間の吸引力によって、桟部材がテーブルの表面上を搬送方向へ移動することを特徴とする。
【0008】
本発明の搬送装置では、ベルトまたはチェーンあるいはワイヤーに複数の駆動側磁気吸引部が所定のピッチで形成され、桟部材に形成される従動側磁気吸引部と駆動側磁気吸引部との間の吸引力によって、搬送される被搬送物に応じたピッチで桟部材が配置されている。すなわち、従動側磁気吸引部と駆動側磁気吸引部との間の吸引力によって駆動側磁気吸引部が形成された位置に桟部材が配置される、あるいは、駆動側磁気吸引部が形成された位置に桟部材が必ずしも配置されないことで、被搬送物の大きさに応じたピッチで桟部材が配置されている。このように、本発明では、被搬送物の大きさに応じて桟部材の配置ピッチを変えることが可能であるため、搬送される被搬送物の大きさが大幅に変わる場合であっても、所定のピッチで被搬送物を適切に搬送することが可能になる。
【0009】
また、本発明では、従動側磁気吸引部と駆動側磁気吸引部との間の吸引力によって桟部材がテーブルに搭載されているため、テーブルから桟部材を容易に取り外すことが可能になる。したがって、桟部材が損傷した場合および桟部材の形状や材質を変更したい場合に、桟部材を容易に交換することが可能になる。また、テーブルから桟部材を容易に取り外すことが可能になるため、桟部材を取り外した状態で、テーブルの清掃を行うことが可能になり、テーブルの清掃が容易になる。
【0010】
本発明において、ベルトまたはチェーンあるいはワイヤーには、略一定ピッチで駆動側磁気吸引部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、駆動側磁気吸引部が形成されるピッチの整数倍のピッチで、規則的に桟部材を配置することが可能になる。
【0011】
本発明において、搬送装置は、ベルトが架け渡される複数のプーリまたはチェーンが架け渡される複数のスプロケットあるいはワイヤーが架け渡される複数のシーブを備え、プーリまたはスプロケットあるいはシーブは、搬送方向に略直交する搬送装置の幅方向を軸方向として回転し、桟部材は、搬送装置の幅方向を長手方向とする細長形状に形成され、テーブルの裏面側を通過して、搬送方向と逆方向へ移動することが好ましい。このように構成すると、搬送装置の幅方向を長手方向とする細長形状に形成される桟部材を適切に移動させることが可能になる。すなわち、プーリまたはスプロケットあるいはシーブが、搬送装置の幅方向と搬送方向とに略直交する方向を軸方向として回転する場合には、桟部材の移動方向が変わるときに、桟部材の長手方向の一端側の移動速度と他端側の移動速度との間に大きな差が生じやすいため、桟部材を適切に移動させることが困難になるおそれがあるが、このように構成すると、桟部材を適切に移動させることが可能になる。
【0012】
本発明において、桟部材および/または駆動側磁気吸引部には、テーブルに当接して回転する回転部材が取り付けられていることが好ましい。このように構成すると、テーブル上で桟部材を円滑に移動させることが可能になる。また、ベルト、チェーンまたはワイヤーをテーブルに沿って円滑に移動させることが可能になる。したがって、被搬送物を適切に搬送することが可能になる。また、桟部材や駆動側磁気吸引部の摩耗を低減して、桟部材や駆動側磁気吸引部の耐久性を向上させることが可能になる。また、この場合には、回転部材には、テーブルとの間で生じる騒音を低減させる騒音低減部材が取り付けられていることが好ましい。このように構成すると、回転部材とテーブルとの間で生じる騒音を低減することが可能になる。
【0013】
本発明において、搬送装置は、たとえば、ベルトまたはチェーンあるいはワイヤーとして、搬送方向の上流側に配置される第1ベルトまたは第1チェーンあるいは第1ワイヤーと、搬送方向の下流側に配置される第2ベルトまたは第2チェーンあるいは第2ワイヤーとを備え、桟部材は、まず、第1ベルトまたは第1チェーンあるいは第1ワイヤーに形成される駆動側磁気吸引部と従動側磁気吸引部との間の吸引力によって、テーブルの表面上を搬送方向へ移動し、その後、第2ベルトまたは第2チェーンあるいは第2ワイヤーに形成される駆動側磁気吸引部と従動側磁気吸引部との間の吸引力によって、テーブルの表面上を搬送方向へ移動する。
【0014】
この場合には、たとえば、搬送装置は、第1ベルトが架け渡される複数の第1プーリまたは第1チェーンが架け渡される複数の第1スプロケットあるいは第1ワイヤーが架け渡される複数の第1シーブと、第2ベルトが架け渡される複数の第2プーリまたは第2チェーンが架け渡される複数の第2スプロケットあるいは第2ワイヤーが架け渡される複数の第2シーブとを備え、複数の第1プーリまたは第1スプロケットあるいは第1シーブの少なくとも1個と、複数の第2プーリまたは第2スプロケットあるいは第2シーブの少なくとも1個は、共通の固定軸に回転可能に支持されている。
【0015】
また、この場合には、第1ベルトまたは第1チェーンあるいは第1ワイヤーには、駆動側磁気吸引部として第1駆動側磁気吸引部が形成され、第2ベルトまたは第2チェーンあるいは第2ワイヤーには、駆動側磁気吸引部として第2駆動側磁気吸引部が形成され、複数の第1駆動側磁気吸引部のピッチと複数の第2駆動側磁気吸引部のピッチとが異なるとともに、第1ベルトまたは第1チェーンあるいは第1ワイヤーの移動速度と第2ベルトまたは第2チェーンあるいは第2ワイヤーの移動速度との比が、複数の第1駆動側磁気吸引部のピッチと複数の第2駆動側磁気吸引部のピッチとの比と同じになっていることが好ましい。このように構成すると、第1駆動側磁気吸引部のピッチと第2駆動側磁気吸引部のピッチとが異なっている場合であっても、第1ベルトまたは第1チェーンあるいは第1ワイヤーと第2ベルトまたは第2チェーンあるいは第2ワイヤーとの境界部で、被搬送物を停滞させることなく、円滑に搬送することが可能になる。したがって、テーブル上を搬送される被搬送物の搬送ピッチを搬送装置の途中で円滑に変更することが可能になる。その結果、たとえば、比較的配置ピッチの広い桟部材の間へ被搬送物を供給し、その後、被搬送物を搬送しながら、被搬送物の搬送ピッチを円滑に狭くすることが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の搬送装置では、搬送される被搬送物の大きさが大幅に変わる場合であっても、所定のピッチで被搬送物を適切に搬送することが可能になる。また、本発明の搬送装置では、桟部材が損傷した場合および桟部材の形状や材質を変更したい場合に、桟部材を容易に交換することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態にかかるコンベヤを示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図2】図1に示すコンベヤの内部の概略構成を説明するための平面図である。
【図3】図2のE−E方向からコンベヤの構成を説明するための図である。
【図4】図2のF−F方向からコンベヤの構成を説明するための図である。
【図5】図2に示すベルトおよびプーリの配置関係を側面から説明するための図である。
【図6】図1に示す桟部材およびベルトの構成を説明するための図であり、(A)は図1(B)のG−G方向から桟部材およびベルトの構成を示す図、(B)は(A)のH−H方向から桟部材を示す底面図である。
【図7】図1に示す桟部材およびベルトの構成を説明するための図であり、(A)は図6(A)のJ部の拡大図、(B)は図6(B)のL−L断面における桟部材の構成およびベルトの構成を示す断面図、(C)は図6(B)のM−M断面における桟部材の構成およびベルトの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(コンベヤの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるコンベヤ1を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。図2は、図1に示すコンベヤ1の内部の概略構成を説明するための平面図である。図3は、図2のE−E方向からコンベヤ1の構成を説明するための図である。図4は、図2のF−F方向からコンベヤ1の構成を説明するための図である。図5は、図2に示すベルト6〜9およびプーリ15〜30の配置関係を側面から説明するための図である。
【0020】
なお、図3では、プーリ25、26、29、30の図示を省略し、図4では、プーリ17、18、21、22の図示を省略している。また、図5(B)では、ベルト6、7およびプーリ15〜22と、ベルト8、9およびプーリ23〜30とを上下方向にずらした状態を図示している。また、以下の説明では、図1の左右方向を「左右方向」とし、図1(A)の上下方向(図1(B)の紙面垂直方向)を「前後方向」とする。また、図1の右側を「右」側、図1の左側を「左」側とする。
【0021】
本形態の搬送装置1は、水平方向と略平行な平面状のテーブル2の表面(上面)に搭載される所定の被搬送物3を所定方向へ搬送するためのコンベヤである。したがって、以下では、本形態の搬送装置1を「コンベヤ1」とする。コンベヤ1は、図1、図2に示すように、テーブル2の表面に搭載されるとともにテーブル2上を右方向へ移動する桟部材5と、テーブル2上の桟部材5を右方向へ移動させるためにテーブル2の裏面(下面)側に配置される4本のベルト6〜9とを備えている。本形態では、右方向に向かって被搬送物3が搬送される。すなわち、右方向は被搬送物3の搬送方向であり、左側は搬送方向の上流側、右側は搬送方向の下流側である。また、前後方向は、被搬送物3の搬送方向に略直交するコンベヤ1の幅方向である。
【0022】
テーブル2は、ステンレス鋼板等の非磁性体からなる薄板によって平板状に形成されている。このテーブル2は、コンベヤ1の本体フレーム11の上端に固定されている。具体的には、テーブル2は、コンベヤ1の内部の全体を覆うように、本体フレーム11の上端に固定されており、テーブル2は、コンベヤ1の上面を構成している。
【0023】
テーブル2の左端側には、後述のように、テーブル2の裏面側から表面に向かって桟部材5が通過する開口部2aが上下方向に貫通するように形成されている(図1参照)。また、テーブル2の右端側には、後述のように、テーブル2の表面から裏面側に向かって桟部材5が通過する開口部2bが上下方向に貫通するように形成されている(図1参照)。
【0024】
本体フレーム11の下端には、図1(B)等に示すように、複数の支持脚12が取り付けられている。また、本体フレーム11の下端側には、後述のように、テーブル2の裏面側を通過する桟部材5を案内するための複数のベルト受け13が固定されている(図3等参照)。ベルト受け13は、ステンレス鋼板等の非磁性体からなる薄板によって平板状に形成されている。また、ベルト受け13は、ベルト6〜9よりも下方に配置されており、ベルト受け13の下面が桟部材5の走行面となっている。
【0025】
桟部材5は、被搬送物3の左端面に当接して、被搬送物3を右方向へ搬送する。この桟部材5の詳細な構成については後述する。
【0026】
ベルト6、7は、図2、図5に示すように、コンベヤ1の左側に配置され、ベルト8、9は、コンベヤ1の右側に配置されている。ベルト6は、4個のプーリ(ローラ)15〜18に架け渡され、ベルト7は、4個のプーリ19〜22に架け渡されている。また、ベルト8は、4個のプーリ23〜26に架け渡され、ベルト9は、4個のプーリ27〜30に架け渡されている。プーリ15〜30は、テーブル2の下側に配置されており、上述のように、ベルト6〜9は、テーブル2の裏面側(下側)で、移動可能となっている。
【0027】
本形態のベルト6、7は、搬送方向の上流側に配置される第1ベルトであり、ベルト8、9は、搬送方向の下流側に配置される第2ベルトである。また、プーリ15〜22は、第1ベルトであるベルト6、7が架け渡される第1プーリであり、プーリ23〜30は、第2ベルトであるベルト8、9が架け渡される第2プーリである。なお、本形態のベルト6〜9は歯付きベルトであり、プーリ15〜30は歯付きプーリである。ベルト6〜9の詳細な構成については後述する。
【0028】
プーリ15、19は、コンベヤ1の左端側に前後方向を軸方向として配置される回転軸32に固定されている。プーリ16、20は、回転軸32の右斜め下方に前後方向を軸方向として配置される回転軸33に固定されている。具体的には、前後方向における回転軸32の略中心位置に、プーリ15、19が隣接した状態で固定され、前後方向における回転軸33の略中心位置に、プーリ16、20が隣接した状態で固定されている。回転軸32、33は、本体フレーム11に回転可能に支持されている。回転軸32の端部には、プーリ34やベルト(図示省略)等を介してモータ35が連結されている。
【0029】
プーリ23、27は、コンベヤ1の右端側に前後方向を軸方向として配置される回転軸36に固定されている。プーリ24、28は、回転軸36の左斜め下方に前後方向を軸方向として配置される回転軸37に固定されている。具体的には、前後方向における回転軸36の両端側に、プーリ23、27が固定され、前後方向における回転軸37の両端側に、プーリ24、28が固定されている。回転軸36、37は、本体フレーム11に回転可能に支持されている。回転軸36の端部には、プーリ38やベルト(図示省略)等を介してモータ39が連結されている。
【0030】
プーリ17、21、26、30は、左右方向におけるコンベヤ1の略中間位置で、前後方向を軸方向として本体フレーム11の上端側に固定される固定軸42に回転可能に取り付けられている。プーリ18、22、25、29は、固定軸42の右斜め下方で、前後方向を軸方向として本体フレーム11に固定される固定軸43に回転可能に取り付けられている。すなわち、プーリ17、21、26、30は、共通の固定軸42に回転可能に支持され、プーリ18、22、25、29は、共通の固定軸43に回転可能に支持されている。
【0031】
具体的には、前後方向における固定軸42の略中心位置に、プーリ17、21が隣接した状態で取り付けられ、前後方向におけるプーリ17、21の外側で、プーリ26、30が固定軸42に取り付けられている。また、前後方向における固定軸43の略中心位置に、プーリ18、22が隣接した状態で取り付けられ、前後方向におけるプーリ18、22の外側で、プーリ25、29が固定軸43に取り付けられている。すなわち、4本のベルト6〜9は、前後方向で所定の間隔をあけた状態で隣接するように配置されている。
【0032】
本形態では、被搬送物3を搬送する際に、モータ35が連結されるプーリ15、19およびモータ39が連結されるプーリ23、27は、図1(B)の時計方向に回転する。すなわち、ベルト6〜9は、図1(B)の時計方向に回転する。
【0033】
そのため、被搬送物3を搬送する際には、ベルト6、7は、プーリ15、19からプーリ17、21に向かって、テーブル2のすぐ下側を移動する。また、ベルト6、7は、プーリ17、21からプーリ18、22に向かって、テーブル2から離れるように、右斜め下方に移動する。また、ベルト6、7は、プーリ18、22からプーリ16、20に向かって、ベルト受け13のすぐ上側を移動し、プーリ16、20からプーリ15、19に向かって、テーブル2に近づくように、左斜め上方に移動する。
【0034】
一方、ベルト8、9は、被搬送物3を搬送する際に、プーリ26、30からプーリ23、27に向かって、テーブル2のすぐ下側を移動する。また、ベルト8、9は、プーリ23、27からプーリ24、28に向かって、テーブル2から離れるように、左斜め下方に移動する。また、ベルト8、9は、プーリ24、28からプーリ25、29に向かって、ベルト受け13のすぐ上側を移動し、プーリ25、29からプーリ26、30に向かって、テーブル2に近づくように、左斜め上方に移動する。
【0035】
回転軸32には、後述のように、テーブル2の裏面側から表面に向かって移動する桟部材5を案内するための2個のガイドローラ44が固定されている(図2参照)。具体的には、前後方向におけるプーリ15、19の外側で、ガイドローラ44が回転軸32に固定されている。ガイドローラ44の径は、プーリ15、19の径よりも大きくなっている。
【0036】
回転軸36には、後述のように、テーブル2の表面から裏面側に向かって移動する桟部材5を案内するための2個のガイドローラ45が固定されている(図2参照)。具体的には、前後方向におけるプーリ23、27の内側で、ガイドローラ45が回転軸36に固定されている。ガイドローラ45の径は、プーリ23、27の径よりも大きくなっている。
【0037】
(桟部材およびベルトの構成)
図6は、図1に示す桟部材5およびベルト6〜9の構成を説明するための図であり、(A)は図1(B)のG−G方向から桟部材5およびベルト6〜9の構成を示す図、(B)は(A)のH−H方向から桟部材5を示す底面図である。図7は、図1に示す桟部材5およびベルト6〜9の構成を説明するための図であり、(A)は図6(A)のJ部の拡大図、(B)は図6(B)のL−L断面における桟部材5の構成およびベルト8の構成を示す断面図、(C)は図6(B)のM−M断面における桟部材5の構成およびベルト6の構成を示す断面図である。なお、図7(A)では、図6(B)のK−K断面における桟部材5の構成を図示している。
【0038】
桟部材5は、たとえば、樹脂で形成されている。また、桟部材5は、細長い略直方体状に形成されており、図1に示すように、その長手方向と前後方向とが略一致するように、テーブル2に搭載されている。桟部材5の底面5aには、複数の永久磁石48が取り付けられる磁石取付凹部5bと、回転部材としての複数のローラ49のそれぞれが取り付けられるローラ取付凹部5cとが形成されている。
【0039】
磁石取付凹部5bは、桟部材5の長手方向(図6(B)の左右方向)を長手方向とする細長い角溝状に形成されるとともに、桟部材5の短手方向(図6(B)の上下方向)の略中心位置に形成されている。また、磁石取付凹部5bの深さは、扁平な直方体状に形成される永久磁石48の厚さよりも深くなっている。
【0040】
磁石取付凹部5bには、永久磁石48が取付ネジによって固定されている。具体的には、一対の永久磁石48(2個の永久磁石48)が桟部材5の長手方向で所定の間隔をあけた状態で磁石取付凹部5bの4箇所に固定されている。より具体的には、前後方向におけるベルト6〜9の配置ピッチと略同じピッチで、一対の永久磁石48が磁石取付凹部5bの4箇所に固定されている。図7(B)に示すように、永久磁石48の上面は、磁石取付凹部5bの底面に当接している。
【0041】
ローラ取付凹部5cは、桟部材5の短手方向における磁石取付凹部5bの両側に形成されるとともに、桟部材5の長手方向で所定の間隔をあけた状態で形成されている。具体的には、桟部材5の短手方向における磁石取付凹部5bの両側に配置される一対のローラ取付凹部5cが桟部材5の長手方向で所定の間隔をあけた状態で4箇所に形成されている。一対のローラ取付凹部5cの形成ピッチは、前後方向におけるベルト6〜9の配置ピッチと略同じになっている。
【0042】
ローラ49は、たとえば、樹脂で形成されており、取付ネジによってローラ取付凹部5cに回転可能に取り付けられている。具体的には、桟部材5の長手方向を軸方向とする回転が可能となるように、ローラ49はローラ取付凹部5cに取り付けられている。また、ローラ49は、その外周面が桟部材5の底面5aよりも下側へ突出するように、ローラ取付凹部5cに取り付けられており、テーブル2に桟部材5が搭載されると、ローラ49がテーブル2に当接する。
【0043】
ベルト6〜9には、永久磁石50を取り付けるための複数の磁石取付部材(アタッチメント)51が所定のピッチで固定されている。具体的には、ベルト6〜9には、磁石取付部材51が略一定のピッチで固定されている。磁石取付部材51の上面側には、図7(B)に示すように、扁平な直方体状に形成される一対の永久磁石50(2個の永久磁石50)が固定されている。すなわち、ベルト6〜9には、永久磁石50が略一定のピッチで配置されている。なお、永久磁石50は、磁石取付部材51の上端よりも下側に下がった状態で、磁石取付部材51に固定されている。
【0044】
図5に示すように、本形態では、ベルト6、7に固定される磁石取付部材51のピッチP1と、ベルト8、9に固定される磁石取付部材51のピッチP2とが異なっている。すなわち、本形態では、ベルト6、7に固定される永久磁石50のピッチP1と、ベルト8、9に固定される永久磁石50のピッチP2とが異なっている。具体的には、ピッチP1の方がピッチP2よりも広くなっている。たとえば、ピッチP1とピッチP2との比は、3対2となっている。また、ベルト6に固定される永久磁石50の位置と、ベルト7に固定される永久磁石50の位置とが左右方向において略一致し、ベルト8に固定される永久磁石50の位置と、ベルト9に固定される永久磁石50の位置とが左右方向において略一致するように、ベルト6〜9は、プーリ15〜30に架け渡されている。
【0045】
また、固定軸42に支持されるプーリ17、21、26、30の上端を、ベルト6、7に固定される永久磁石50と、ベルト8、9に固定される永久磁石50とがほぼ同時に通過するように、かつ、固定軸43に支持されるプーリ18、22、25、29の下端を、ベルト6、7に固定される永久磁石50と、ベルト8、9に固定される永久磁石50とがほぼ同時に通過するように、プーリ15〜30が配置され、また、ベルト6〜9がプーリ15〜30に架け渡されている。
【0046】
また、本形態では、ベルト6、7の移動速度とベルト8、9の移動速度との比が、ピッチP1とピッチP2との比と同じになっている。たとえば、ピッチP1とピッチP2との比が3対2であれば、ベルト6、7の移動速度とベルト8、9の移動速度との比も3対2となっている。
【0047】
本形態では、桟部材5に固定される永久磁石48の下面の磁極と、ベルト6〜9に固定される永久磁石50の上面の磁極とが異なっており、永久磁石48と永久磁石50との間に生じる磁気的な吸引力によって、テーブル2の表面に桟部材5が配置されている。すなわち、テーブル2の表面側に配置される永久磁石48と、テーブル2の裏面側に配置される永久磁石50とがテーブル2を介して対向配置されることで、永久磁石48と永久磁石50との間に磁気的な吸引力が生じて、テーブル2の表面に桟部材5が配置される。
【0048】
たとえば、ベルト6〜9に固定される全ての永久磁石50に対応するように桟部材5が配置されると、図1に示すように、コンベヤ1の左側では、ベルト6、7に固定される永久磁石50のピッチP1で桟部材5が配置され、コンベヤ1の右側では、ベルト8、9に固定される永久磁石50のピッチP2で桟部材5が配置される。なお、桟部材5は、搬送される被搬送物3の大きさに応じたピッチで配置される。たとえば、被搬送物3の大きさによっては、コンベヤ1の左側で、ピッチP1の2倍のピッチで桟部材5が配置され、コンベヤ1の右側で、ピッチP2の2倍のピッチで桟部材5が配置されることもある。
【0049】
また、本形態では、被搬送物3を搬送するため、ベルト6〜9が移動すると、永久磁石48と永久磁石50との間の吸引力によって、桟部材5がテーブル2上を右方向へ移動する。テーブル2の右端側まで移動した桟部材5は、永久磁石48と永久磁石50との間の吸引力によって、テーブル2の表面から裏面側に向かって開口部2bを通過するとともに、テーブル2の裏面側を通過して左方向へ移動する。また、テーブル2の左端側まで移動した桟部材5は、永久磁石48と永久磁石50との間の吸引力によって、テーブル2の裏面側から表面に向かって開口部2aを通過する。
【0050】
テーブル2の裏面側を移動する桟部材5は、ベルト受け13によって案内される。具体的には、ベルト6〜9に固定される永久磁石50よりも下方に配置されるベルト受け13の下面にローラ49が当接して回転しながら桟部材5が移動することで、テーブル2の裏面側を移動する桟部材5がベルト受け13に案内される。また、テーブル2の表面から裏面側に向かって移動する桟部材5は、ガイドローラ45によって案内され、テーブル2の裏面側から表面に向かって移動する桟部材5は、ガイドローラ44によって案内される。このとき、ガイドローラ44、45の外周面には、桟部材5に取り付けられるローラ49が当接している。
【0051】
なお、本形態では、ベルト6〜9の永久磁石50が固定された部分(より具体的には、永久磁石50および磁石取付部材51が固定された部分)は、駆動側磁気吸引部となっている。すなわち、ベルト6〜9には、永久磁石50を有する複数の駆動側磁気吸引部が略一定ピッチで形成されている。また、桟部材5の永久磁石48が固定された部分は、駆動側磁気吸引部との間で吸引力を発生させる従動側磁気吸引部となっている。すなわち、桟部材5には、永久磁石48を有する従動側磁気吸引部が形成されている。
【0052】
また、本形態のベルト6、7は、上述のように、搬送方向の上流側に配置される第1ベルトであり、ベルト6、7に形成される駆動側磁気吸引部は、第1駆動側磁気吸引部である。また、ベルト8、9は、搬送方向の下流側に配置される第2ベルトであり、ベルト8、9に形成される駆動側磁気吸引部は、第2駆動側磁気吸引部である。
【0053】
(コンベヤの動作)
以上のように構成されたコンベヤ1の動作を以下に説明する。まず、コンベヤ1で搬送される被搬送物3の大きさに応じたピッチでテーブル2の表面に複数の桟部材5が配置される。たとえば、図1に示すように、ベルト6〜9に固定される全ての永久磁石50に対応するように桟部材5が配置される。すなわち、コンベヤ1の左側と右側とでは、異なったピッチで桟部材5が配置される。
【0054】
この状態で、モータ35、39が起動して、ベルト6〜9が移動すると、テーブル2の表面側では、永久磁石48と永久磁石50との間の吸引力によって、桟部材5がテーブル2上を右方向へ移動する。具体的には、桟部材5は、まず、ベルト6、7に固定される永久磁石50と永久磁石48との間の吸引力によって、プーリ17、21、26、30の上端までテーブル2上を右方向へ移動する。プーリ17、21、26、30の上端まで移動したベルト6、7の永久磁石50はその後、テーブル2から離れる方向へ移動するため、プーリ17、21、26、30の上端よりも右方向へは、ベルト8、9に固定される永久磁石50と永久磁石48との間の吸引力によって、桟部材5がテーブル2上を移動する。
【0055】
したがって、コンベヤ1の左端側でコンベヤ1に被搬送物3が供給されると、搬送方向における被搬送物3の後端側が桟部材5に当接した状態で、まず、ベルト6、7に固定される永久磁石50と永久磁石48との間の吸引力によって、被搬送物3は、テーブル2上を右方向へ移動し、その後、ベルト8、9に固定される永久磁石50と永久磁石48との間の吸引力によって、被搬送物3は、テーブル2上を右方向へ移動する。
【0056】
一方、テーブル2の裏面側では、桟部材5は、まず、ベルト8、9に固定される永久磁石50と永久磁石48との間の吸引力によって、プーリ18、22、25、29の下端までベルト受け13の下面に沿って左方向へ移動する。プーリ18、22、25、29の下端まで移動したベルト8、9の永久磁石50はその後、テーブル2に近づく方向へ移動するため、プーリ18、22、25、29の下端よりも左方向へは、ベルト6、7に固定される永久磁石50と永久磁石48との間の吸引力によって、桟部材5がベルト受け13の下面に沿って移動する。
【0057】
上述のように、本形態では、ベルト6、7の移動速度とベルト8、9の移動速度との比が、ピッチP1とピッチP2との比と同じになっている。また、ベルト6、7に固定される永久磁石50と、ベルト8、9に固定される永久磁石50とは、プーリ17、21、26、30の上端をほぼ同時に通過する。そのため、桟部材5は、プーリ17、21、26、30の上端で停滞することなく、速やかに右方向へ移動する。すなわち、被搬送物3は、プーリ17、21、26、30の上端で停滞することなく、円滑に右方向へ搬送される。また、ベルト6、7に固定される永久磁石50と、ベルト8、9に固定される永久磁石50とがプーリ18、22、25、29の下端をほぼ同時に通過するため、桟部材5は、プーリ18、22、25、29の下端で停滞することなく、速やかに左方向へ移動する。
【0058】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ベルト6〜9に複数の永久磁石50が略一定のピッチで固定されている。また、桟部材5に固定される永久磁石48と永久磁石50との間の吸引力によって、テーブル2上に桟部材5が配置されている。すなわち、本形態では、永久磁石48と永久磁石50との間の吸引力によって、ピッチP1、P2の整数倍のピッチで、桟部材5をテーブル2に配置することが可能であり、被搬送物3の大きさに応じたピッチで桟部材5をテーブル2に配置することが可能である。そのため、被搬送物3の大きさに応じて桟部材5のピッチを変えることで、搬送される被搬送物3の大きさが大幅に変わる場合であっても、所定のピッチで被搬送物3を適切に搬送することが可能になる。
【0059】
本形態では、永久磁石48と永久磁石50との間の吸引力によって、テーブル2上に桟部材5が配置されているため、桟部材5をテーブル2から容易に取り外すことができる。したがって、桟部材5を取り外した状態で、テーブル2の清掃を行うことが可能になり、テーブル2の清掃が容易になる。また、桟部材5が損傷した場合に、桟部材5を容易に交換することができる。また、桟部材5の形状や材質を変更したい場合には、桟部材5を容易に交換することができ、被搬送物3の大きさ、形状等に応じて、様々な形状や材質の桟部材5をテーブル2上に容易に配置することが可能になる。たとえば、図1、図2等に示す桟部材5よりも長手方向の幅が狭い桟部材5や、高さのある桟部材5をテーブル2に容易に配置することが可能になる。
【0060】
本形態では、プーリ15〜30は、前後方向を軸方向として回転しており、桟部材5は、開口部2bを通過し、テーブル2の裏面側を通過して、左方向へ移動している。そのため、桟部材5の長手方向と前後方向とが略一致するようにテーブル2に搭載される細長い略直方体状の桟部材5を、ベルト6〜9を利用して適切に移動させることができる。すなわち、ベルト6〜9が架け渡されるプーリが上下方向を軸方向として回転する場合には、桟部材5の移動方向が変わるときに、桟部材5の長手方向の一端側の移動速度と他端側の移動速度との間に大きな差が生じやすいため、桟部材5を適切に移動させることが困難になるが、本形態では、桟部材5を適切に移動させることができる。
【0061】
本形態では、テーブル2に当接して回転するローラ49が桟部材5に取り付けられている。そのため、テーブル2上で桟部材5を円滑に移動させることができる。したがって、桟部材5を利用して被搬送物3を適切に搬送することが可能になる。また、桟部材5の底面5aの摩耗を低減して、桟部材5の耐久性を向上させることが可能になる。
【0062】
本形態では、ベルト6、7の移動速度とベルト8、9の移動速度との比が、ピッチP1とピッチP2との比と同じになっている。また、ベルト6、7に固定される永久磁石50と、ベルト8、9に固定される永久磁石50とは、固定軸42に支持されるプーリ17、21、26、30の上端をほぼ同時に通過する。そのため、上述のように、プーリ17、21、26、30の上端で被搬送物3を停滞させることなく、円滑に右方向へ搬送することができる。したがって、テーブル2上を搬送される被搬送物3の搬送ピッチをコンベヤ1の途中で円滑に変更することができる。その結果、コンベヤ1の左側で、比較的ピッチの広い桟部材5の間へ被搬送物3を供給し、その後、被搬送物3を搬送しながら、コンベヤ1の右側での被搬送物3の搬送ピッチを円滑に狭くすることができる。また、ベルト6〜9の移動方向を逆方向にすれば(すなわち、プーリ15〜30を逆回転させれば)、コンベヤ1の右側で、比較的ピッチの狭い桟部材5の間へ被搬送物3を供給し、その後、被搬送物3を搬送しながら、コンベヤ1の左側での被搬送物3の搬送ピッチを円滑に広くすることも可能になる。
【0063】
本形態では、開口部2a、2bを除くコンベヤ1の上面は、テーブル2によって覆われている。そのため、作業者がベルト6〜9やプーリ15〜30に巻き込まれるおそれが大幅に低減する。すなわち、本形態では、作業者の安全性を確保することが可能になる。
【0064】
(他の実施の形態)
上述した形態では、テーブル2の裏面側にベルト6〜9が配置されているが、ベルト6〜9に代えて、チェーンが配置されても良い。この場合には、プーリ15〜30に代えて、スプロケットが配置される。また、この場合には、チェーンに略一定ピッチで、永久磁石50が固定される。すなわち、チェーンに永久磁石50を有する複数の駆動側磁気吸引部が略一定ピッチで形成される。
【0065】
また、ベルト6〜9に代えて、ワイヤーが配置されても良い。この場合には、プーリ15〜30に代えて、シーブが配置される。また、この場合には、ワイヤーに略一定ピッチで、永久磁石50が固定される。すなわち、ワイヤーに永久磁石50を有する複数の駆動側磁気吸引部が略一定ピッチで形成される。
【0066】
上述した形態では、桟部材5に永久磁石48が固定され、ベルト6〜9に永久磁石50が固定されているが、永久磁石48に代えて、桟部材5に磁性部材が固定されても良いし、永久磁石50に代えて、ベルト6〜9に磁性部材が配置されても良い。すなわち、コンベヤ1は、桟部材5とベルト6〜9との間で磁気的な吸引力が発生するように構成されていれば良い。
【0067】
上述した形態では、桟部材5にローラ49が回転可能に取り付けられているが、桟部材5にローラ49が取り付けられなくても良い。また、ローラ49に代えて、たとえば樹脂製のボール等の回転部材が桟部材5に回転可能に取り付けられても良い。また、ベルト6〜9に固定される磁石取付部材51の上端側にテーブル2の裏面に当接して回転するローラ等の回転部材が回転可能に取り付けられても良い。すなわち、ベルト6〜9の駆動側磁気吸引部にテーブル2の裏面に当接して回転する回転部材が取り付けられても良い。この場合には、磁石取付部材51の上端をテーブル2の裏面に沿って円滑に移動させることが可能になる。また、磁石取付部材51の上面の摩耗を低減して、磁石取付部材51の耐久性を向上させることが可能になる。
【0068】
なお、桟部材5に取り付けられるボールまたはローラ49には、テーブル2との間で生じる騒音を低減させる騒音低減部材が取り付けられても良い。たとえば、ゴム製のOリングがローラ49の外周面に取り付けられても良いし、ローラ49やボールの表面にウレタンゴム等のゴム層やスポンジ層が形成されても良い。この場合には、ボールまたはローラ49とテーブル2との間で生じる騒音を低減することが可能になる。また、ローラ49やボール、テーブル2等での傷の発生を抑制することが可能になる。
【0069】
上述した形態では、永久磁石48は取付ネジによって桟部材5に固定されているが、永久磁石48は、インサート成型によって桟部材5と一体化されても良い。また、上述した形態では、ローラ49は取付ネジによって桟部材5に回転可能に取り付けられているが、ローラ49の軸部に係合する係合爪等が桟部材5に形成され、この係合爪によって、ローラ49が桟部材5に回転可能に取り付けられても良い。
【0070】
上述した形態では、ベルト6、7がコンベヤ1の左側に配置され、ベルト8、9がコンベヤ1の右側に配置されている。この他にもたとえば、ベルト6、7あるいはベルト8、9がコンベヤ1の左端側から右端側まで架け渡されて、ベルト6、7に固定される永久磁石50あるいはベルト8、9に固定される永久磁石50と永久磁石48との間の吸引力で、桟部材5がテーブル2上に配置され、また、テーブル2上を移動しても良い。また、上述した形態では、コンベヤ1は4本のベルト6〜9を備えているが、コンベヤ1が備えるベルトの数は、5本以上であっても良いし、3本以下であっても良い。
【0071】
上述した形態では、ベルト6〜9に複数の永久磁石50が略一定のピッチで固定されているが、複数の永久磁石50が様々なピッチでベルト6〜9に固定されても良い。また、上述した形態では、ベルト6〜9は、4個のプーリ15〜30に架け渡されているが、ベルト6〜9が架け渡されるプーリの数は、2個または3個であっても良いし、5個以上であっても良い。また、上述した形態では、コンベヤ1は、テーブル2が水平方向と略平行になった水平コンベヤであるが、コンベヤ1は、テーブル2が水平方向に対して傾いている傾斜コンベヤであっても良い。また、上述した形態では、テーブル2の表面は平面状に形成されているが、テーブル2の表面は曲面状に形成されても良い。
【0072】
上述した形態では、コンベヤ1を例に本発明の実施の形態にかかる搬送装置を説明しているが、本発明の搬送装置は、たとえば、プッシャーであっても良い。すなわち、たとえば、搬送方向が互いに直交するように配置される2個のコンベヤの連結部分に配置され、一方のコンベヤで搬送されてきた被搬送物を他方のコンベヤに向かって押し出すプッシャーに本発明の構成が適用されても良い。
【符号の説明】
【0073】
1 コンベヤ(搬送装置)
2 テーブル
2a、2b 開口部
3 被搬送物
5 桟部材
6、7 ベルト(第1ベルト)
8、9 ベルト(第2ベルト)
15〜22 プーリ(第1プーリ)
23〜30 プーリ(第2プーリ)
42、43 固定軸
48 永久磁石(磁石)
49 ローラ(回転部材)
50 永久磁石(磁石)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に被搬送物が搭載されるテーブルと、前記テーブルの表面に搭載されるとともに前記被搬送物の搬送方向に移動可能で、前記搬送方向における前記被搬送物の後端側に当接して前記被搬送物を搬送する複数の桟部材と、前記テーブルの裏面側に配置されるベルトまたはチェーンあるいはワイヤーとを備え、
前記ベルトまたは前記チェーンあるいは前記ワイヤーには、磁石および/または磁性部材を有する複数の駆動側磁気吸引部が所定のピッチで形成され、
前記桟部材には、磁石および/または磁性部材を有し前記駆動側磁気吸引部との間で吸引力を発生させる従動側磁気吸引部が形成され、
前記駆動側磁気吸引部と前記従動側磁気吸引部との間の吸引力によって、搬送される前記被搬送物に応じたピッチで前記桟部材が配置され、前記ベルトまたは前記チェーンあるいは前記ワイヤーが移動すると、前記駆動側磁気吸引部と前記従動側磁気吸引部との間の吸引力によって、前記桟部材が前記テーブルの表面上を前記搬送方向へ移動することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記ベルトまたは前記チェーンあるいは前記ワイヤーには、略一定ピッチで前記駆動側磁気吸引部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記ベルトが架け渡される複数のプーリまたは前記チェーンが架け渡される複数のスプロケットあるいは前記ワイヤーが架け渡される複数のシーブを備え、
前記プーリまたは前記スプロケットあるいは前記シーブは、前記搬送方向に略直交する前記搬送装置の幅方向を軸方向として回転し、
前記桟部材は、前記搬送装置の幅方向を長手方向とする細長形状に形成され、前記テーブルの裏面側を通過して、前記搬送方向と逆方向へ移動することを特徴とする請求項1または2記載の搬送装置。
【請求項4】
前記桟部材および/または前記駆動側磁気吸引部には、前記テーブルに当接して回転する回転部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項5】
前記回転部材には、前記テーブルとの間で生じる騒音を低減させる騒音低減部材が取り付けられていることを特徴とする請求項4記載の搬送装置。
【請求項6】
前記ベルトまたは前記チェーンあるいは前記ワイヤーとして、前記搬送方向の上流側に配置される第1ベルトまたは第1チェーンあるいは第1ワイヤーと、前記搬送方向の下流側に配置される第2ベルトまたは第2チェーンあるいは第2ワイヤーとを備え、
前記桟部材は、まず、前記第1ベルトまたは前記第1チェーンあるいは前記第1ワイヤーに形成される前記駆動側磁気吸引部と前記従動側磁気吸引部との間の吸引力によって、前記テーブルの表面上を前記搬送方向へ移動し、その後、前記第2ベルトまたは前記第2チェーンあるいは前記第2ワイヤーに形成される前記駆動側磁気吸引部と前記従動側磁気吸引部との間の吸引力によって、前記テーブルの表面上を前記搬送方向へ移動することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項7】
前記第1ベルトが架け渡される複数の第1プーリまたは前記第1チェーンが架け渡される複数の第1スプロケットあるいは前記第1ワイヤーが架け渡される複数の第1シーブと、前記第2ベルトが架け渡される複数の第2プーリまたは前記第2チェーンが架け渡される複数の第2スプロケットあるいは前記第2ワイヤーが架け渡される複数の第2シーブとを備え、
複数の前記第1プーリまたは前記第1スプロケットあるいは前記第1シーブの少なくとも1個と、複数の前記第2プーリまたは前記第2スプロケットあるいは前記第2シーブの少なくとも1個は、共通の固定軸に回転可能に支持されていることを特徴とする請求項6記載の搬送装置。
【請求項8】
前記第1ベルトまたは前記第1チェーンあるいは前記第1ワイヤーには、前記駆動側磁気吸引部として第1駆動側磁気吸引部が形成され、
前記第2ベルトまたは前記第2チェーンあるいは前記第2ワイヤーには、前記駆動側磁気吸引部として第2駆動側磁気吸引部が形成され、
複数の前記第1駆動側磁気吸引部のピッチと複数の前記第2駆動側磁気吸引部のピッチとが異なるとともに、前記第1ベルトまたは前記第1チェーンあるいは前記第1ワイヤーの移動速度と前記第2ベルトまたは前記第2チェーンあるいは前記第2ワイヤーの移動速度との比が、複数の前記第1駆動側磁気吸引部のピッチと複数の前記第2駆動側磁気吸引部のピッチとの比と同じになっていることを特徴とする請求項6または7記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−6164(P2011−6164A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148995(P2009−148995)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(391019289)マルヤス機械株式会社 (32)
【Fターム(参考)】