説明

搬送装置

【課題】搬送用バケットが載せられる台車および受け台と、該バケットを台車から受け台に移送する移送装置とを備える搬送装置による台車から受け台へのバケットの搬送作業の効率の向上を図る。
【解決手段】搬送装置1は、搬送用バケットBに当接しない退避位置およびバケットBに当接可能な当接可能位置を占める搬出用当接部51および位置決め用当接部52と、当接部51,52を移送方向に駆動する駆動部60とを備える。駆動部60は、当接可能位置の当接部52および退避位置の当接部51を搬入方向に駆動して、バケットBと当接状態にある当接部52により、バケットBを搬入方向に所定位置Pまで台車2上で移動させた後、当接可能位置の当接部51,52を搬出方向に駆動してバケットBと当接状態にある当接部51により、所定位置PのバケットBを搬出方向に台車2から搬送台3まで移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品が置かれる搬送用載置体が載せられる台車および受け台と、該載置体を台車から受け台に移送する移送装置とを備える搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品が置かれた搬送用載置体を台車と受け台との間で移送する作業者の作業を軽減するために、該載置体を台車と受け台との間で自動的に移送する移送装置を備える搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−316704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の搬送装置において、搬送用載置体を台車と受け台との間で移送する移送装置が、移送装置の装置側係合部と載置体の載置体側係合部とを係合させた状態で載置体を台車から受け台へ搬出する場合、作業者は、移送装置により装置側係合部を搬出方向とは反対方向の反搬出方向に駆動して、搬出方向(または反搬出方向)において載置体側係合部との係合が可能となる位置まで移動させるために、作業者の目視による該装置側係合部の位置の調整作業が必要になる。そして、この搬出方向での装置側係合部の位置調整は、台車上において搬出方向での載置体の位置にバラツキがある場合には一層手間がかかる作業になる。
同様に、移送装置により受け台上の載置体を反搬出方向に移動させて受け台から台車へ搬入する場合にも、作業者の目視による反搬出方向での装置側係合部の位置調整が必要になり、手間がかかる。
このように、搬送装置による台車と受け台との間での載置体の搬送作業の効率化には改善の余地がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、搬送用載置体が載せられる台車および受け台と、該載置体を台車から受け台に移送する移送装置とを備える搬送装置において、該搬送装置による台車から受け台への載置体の搬送作業の効率の向上を図ることを目的とする。
さらに、本発明は、移送装置の位置決め用当接部を利用することにより、移送装置の構造の簡単化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、搬送用載置体(B)が載せられる台車(2)と、前記載置体(B)が載せられる受け台(3)と、前記載置体(B)を前記台車(2)から前記受け台(3)に移送する移送装置(4)とを備える搬送装置において、前記載置体(B)は、前記台車(2)から前記受け台(3)への前記載置体(B)の搬出方向および前記搬出方向とは反対方向の反搬出方向を両方向とする移送方向に移動自在に前記台車(2)に置かれ、前記移送装置(4)は、前記移送方向で前記載置体(B)に当接しない退避位置および前記移送方向で前記載置体(B)に当接可能な当接可能位置を占めるように移動可能な搬出用当接部(51)と、前記移送方向で前記載置体(B)に当接可能な当接可能位置を占める位置決め用当接部(52)と、前記搬出用当接部(51)を前記当接可能位置および前記退避位置に駆動する一方、前記搬出用当接部(51)および前記位置決め用当接部(52)を前記移送方向に駆動する駆動部(60)とを備え、前記駆動部(60)は、前記位置決め用当接部(52)および前記退避位置の前記搬出用当接部(51)を前記反搬出方向に駆動して前記載置体(B)と当接状態にある前記位置決め用当接部(52)により、前記載置体(B)を前記反搬出方向に所定位置(P)まで台車(2)上で移動させる一方、前記位置決め用当接部(52)および前記当接可能位置の前記搬出用当接部(51)を前記搬出方向に駆動して前記載置体(B)と当接状態にある前記搬出用当接部(51)により、前記所定位置(P)の前記載置体(B)を前記搬出方向に前記台車(2)から前記受け台(3)まで移動させる搬送装置である。
【0007】
これによれば、移送装置の駆動部により駆動されて搬出用当接部および位置決め用当接部が反搬出方向に移動することで、退避位置にある搬出用当接部は載置体に当接することなく反搬出方向に移動する一方で、当接可能位置にある位置決め用当接部が載置体に当接して台車上の載置体を所定位置まで反搬出方向に移動させて、この位置決め用当接部により載置体が移送方向での所定位置に位置決めされる。
このため、台車上での載置体に移送方向での位置のバラツキがある場合や台車に移送方向に直列に2以上の載置体が置かれている場合にも、載置体が位置決め用当接部により台車上で所定位置に位置決めされ、該所定位置に位置決めされた載置体を、駆動部により駆動される搬出用当接部で台車から受け台へ確実に、しかも効率よく搬出できるので、搬送装置による台車から受け台への載置体の搬送作業の効率を向上できる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の搬送装置において、前記台車(2)は、前記台車(2)上での前記反移送方向への前記載置体(B)の移動を前記所定位置(P)で規制するストッパ(25)を備えるものである。
これによれば、駆動部により駆動される位置決め用当接部はストッパに当接するまで載置体を反搬出方向に移動させればよいので、移送方向で移送装置に対する台車の位置にバラツキが有る場合にも、載置体を台車上での所定位置に簡単に位置決めできる。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の搬送装置において、前記位置決め用当接部(52)は、前記搬出用当接部(51)による前記台車(2)から前記受け台(3)への前記載置体(B)の搬出時に、前記搬出用当接部(51)に対して前記載置体(B)が前記搬出方向に移動することを規制するものである。
これによれば、搬出用当接部により搬出されている載置体が搬出用当接部を離れて搬出方向に過度に移動することを位置決め用当接部により規制できる。このように、この過度の移動を規制するために位置決め用当接部が利用されることにより、該過度の移動を規制する専用の部材が不要になるので、移送装置の構造を簡単化しながら、台車から受け台への載置体の搬出の安定性を確保できる。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の搬送装置において、前記駆動部(60)は、前記位置決め用当接部(52)を前記反搬出方向に駆動して、前記載置体(B)と当接状態にある前記位置決め用当接部(52)により前記受け台(3)上の前記載置体(B)を前記受け台(3)から前記台車(2)まで移動させるものである。
これによれば、位置決め用当接部を利用することにより、受け台に置かれた載置体を台車に搬入できることから、受け台上の載置体を台車に搬入する専用の部材が不要になるので、移送装置の構造を簡単化しながら、受け台から台車への載置体の搬入が可能になる。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の搬送装置において、前記位置決め用当接部(52)は、前記駆動部(60)に駆動されて前記当接可能位置および前記移送方向で前記載置体(B)に当接しない退避位置に移動可能であり、前記受け台(3)は、前記移送方向に前記載置体(B)を搬送可能な自走式コンベア(33)を備えるものである。
これによれば、台車から受け台への載置体の搬出時に、載置体の一部を受け台の自走式コンベヤ上に移動させることで、該コンベアが載置体を台車から受け台に移動させることができ、しかも搬出用当接部および位置決め用当接部は、駆動部により駆動されて移送方向で載置体に当接しない退避位置に移動可能であるので、搬出方向への両当接部の移動距離を短くして、退避位置に位置させた両当接部を反搬出方向に移動させて、台車上の次の載置体の搬出の用意をすることができる。このため、移送装置の小型化および搬送作業の効率向上が可能になる。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の搬送装置において、前記位置決め用当接部(52)は、前記駆動部(60)に駆動されて前記当接可能位置および前記移送方向で前記載置体(B)に当接しない退避位置に移動可能であり、前記受け台(3)は、前記移送装置(4)と一体化されて、前記移送装置(4)と共に上下方向および前記移送方向に直交する直交方向に移動可能であり、前記退避位置の前記搬出用当接部(51)および前記退避位置の前記位置決め用当接部(52)は、前記台車(2)上および前記受け台(3)上の前記載置体(B)よりも上方に配置され、平面視で、前記台車(2)上および前記受け台(3)上の前記載置体(B)と重なる位置で前記移送方向に移動可能であるものである。
これによれば、退避位置の搬出用当接部および位置決め用当接部は、台車上および受け台上の載置体よりも上方に配置されているので、一体化された受け台および移送装置を直交方向に移動させることで、台車から受け台に搬出された載置体を別の台車や受け台に移送することや、また直交方向に並べられた複数の台車上の載置体を効率よく受け台に搬出することが可能になるので、搬送装置による搬送効率を向上できる。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項記載の搬送装置において、前記載置体(B)は、複数の棒状部材(11)から構成される骨組み構造を有し、前記搬出用当接部(51)および前記位置決め用当接部(52)は、前記棒状部材(11)に当接するものである。
これによれば、搬出用当接部および位置決め用当接部が当接する載置体における載置体側当接部として、載置体自体を構成する棒状部材が利用されるので、載置体に載置体側当接部を構成する専用の部材を設ける必要がないため、搬送装置の汎用性が高められる。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項1から7のいずれか1項記載の搬送装置において、前記搬出用当接部(51)および前記位置決め用当接部(52)のそれぞれは、上下方向および前記移送方向に直交する直交方向に離隔して配置された1対の爪(51a,51b;52a,52b)から構成されるものである。
これによれば、各当接部が直交方向に離隔した1対の爪から構成されるので、搬出用当接部による搬出の安定性、および位置決め用当接部による位置決めの確実性をそれぞれ向上できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、搬送用載置体が載せられる台車および受け台と、該載置体を台車から受け台に移送する移送装置とを備える搬送装置による台車から受け台への載置体の搬送作業の効率を向上できる。さらに、該搬送装置による受け台から台車への載置体の搬送作業の効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態である搬送装置の正面図である。
【図2】図1の搬送装置の要部平面図である。
【図3】図1の搬送装置による台車から搬送台への搬送の途中状態を示す図1と同様の図である。
【図4】図1の搬送装置による搬送台への搬送の完了状態を示す図1と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図1〜図4を参照して説明する。
図1を参照すると、本発明の実施形態である搬送装置1は、物品として、例えば内燃機関のクランク軸Wが置かれる搬送用載置体としての搬送用バケットBが載せられる台車2と、バケットBが載せられる受け台としての搬送台3と、台車2と搬送台3との間でバケットBを移送方向に移送する移送装置4と、移送装置4および搬送台3の作動を制御する制御装置7とを備える。
台車2には、所定数としての1以上の、この実施形態では複数、例えば2つのバケットB1,B2が、移送方向に直列に配列されて載せられている。
【0018】
ここで、移送方向は、被搬送物としてのバケットBが台車2から搬送台3に搬出される搬出方向と、搬出方向とは反対方向である反搬出方向とを両方向とする方向である。また、上下方向は、移送方向を水平面に平行な方向であるとするとき、該水平面に直交する方向であり、平面視とは、上下方向から見ることを意味する。
この実施形態では、反搬出方向はバケットBが搬送台3から台車2に搬入される搬入方向である。
【0019】
図1,図2を参照すると、バケットBは、ほぼ直方体(立方体も含む。)形状の基体10と、溶接などの結合手段により基体10に結合されると共に1以上の、この実施形態では上下方向に間隔を置いて配置された複数、例えば4つの枠状の棚15とを有する。四角形状の各棚15は、搬送方向で対向する1対の棒状部材15a,15bと、上下方向および移送方向に直交する直交方向(図2参照。以下、単に「直交方向」という。)で対向する1対の棒状部材15c,15dとから構成される。ワークとしてのクランク軸Wは、各棚15の1対の棒状部材15c,15dに設けられた保持部16c,16dに掛け渡された状態で置かれて、バケットBに収納されている。なお、図2では、図面の煩雑さを避けるために、代表して1つのクランク軸Wが示され、バケットBの範囲内のローラ23bが省略されている。
【0020】
複数の棒状部材11,12が組み合わされて構成される骨組み構造を有する基体10は、棒状部材11から構成されて直方体の各辺に相当する枠体13と、枠体13のうちの直交方向で対向する1対の四角形状の枠13c,13dに設けられた補強部(図1には、枠13cの補強部14が示されている。)とを有する。
枠13cの補強部14は、移送方向および上下方向に間隔を置いて配置された複数の棒状部材12により格子状に形成され、枠13cと共にバケットBの第1側壁を構成する。また、別の枠13dの補強部は枠13cの補強部14と同じ構造であり、該補強部は枠13dと共にバケットBの第2側壁を構成する。
【0021】
枠体13において、移送方向で対向する1対の四角形状の第1,第2枠13a,13bの一方の枠である第1枠13aは、クランク軸Wを移送方向に出し入れ可能とするための開口を形成する。第1,第2枠13a,13bのそれぞれにおける上縁部11a,11bは、バケットBの上部の一部である上端部を構成すると共に、バケットBにおいて搬出方向側および搬入方向側のそれぞれの端部である。また、上縁部11aは、バケットBにおいて後記する各爪51a,51b;52a,52bが当接可能なバケット側当接部でもある。
【0022】
台車2は、作業者が把持するハンドル20と、ハンドル20が固定された台座21と、台座21の四隅に配置された4つの車輪22と、台座21の上部に設けられてバケットBを移送方向に移動自在に支持する支持部としての非自走式のコンベア23と、台車2において搬出方向側の部分としての端部2aに設けられた搬出側ストッパ24と、台車2において搬入方向側の部分としての端部2bに設けられた搬入側ストッパ25とを備える。
【0023】
コンベア23は、支持フレーム23aに回転自在に支持されると共に移送方向に直列に並んで配列された多数の自走式でないフリーローラ23bを備える。
搬出側ストッパ24は、バケットB1との当接により台車2上のバケットBが許容位置を超えて搬出方向に移動することを規制する。ストッパ24は、バケットBの移動を規制すべくコンベア23上を移動するバケットBの移動経路内に突出する規制位置(図1参照)と、該規制位置から回動して前記移動経路内から退避した規制解除位置(図3,図4参照)とに移動可能な可動ストッパである。
コンベア23において移送方向でハンドル20寄りに位置する搬入側ストッパ25は、バケットB2との当接により台車2上のバケットBが移送方向での所定位置Pを超えて搬入方向に移動することを規制する。図1には、この所定位置Pに位置するときのバケットBが示されており、各バケットB1,B2の所定位置Pが所定位置P1,P2として記載されている。
【0024】
台車2は、作業者により、予め設定された位置(図1,図2に示された位置である。)まで移動させられて、停止される。そして、台車2は、停止状態で、床Fに固定されて設けられた位置決め部材29により、移動不能に搬送作業位置に位置決めされる。
位置決め部材29は、この実施形態では、台座21に当接可能であると共に台車2を床Fに対して昇降させる昇降装置である4つの油圧シリンダ29aにより構成され、各油圧シリンダ29aは各車輪22付近に配置される。台車2が前記搬送作業位置に位置決めされた状態にあるとき、台車2上の各バケットBは、コンベア23により、所定の上下方向位置において水平状態で支持される。
【0025】
搬送台3および移送装置4は、案内部材としての案内レール5に案内されることで、平面視で移送方向に交差する特定交差方向、ここでは直交する直交方向(図2参照)に、平行に移動可能である。台車2と搬送台3との間でのバケットBの移送時に、搬送台3は、移送方向で台車2と対向する位置にあると共に各爪51a,51b;52a,52bが移送方向で当接可能となる受入作業位置に位置決めされる。
【0026】
移送装置4と共に水平面に平行に移動可能な搬送台3は、案内レール5に案内される基部30と、基部30の上部に一体に設けられてバケットBを移送方向に移動自在に支持する支持部としての自走式のコンベア33と、台車2のストッパ24と係合することにより該ストッパ24を規制位置および規制解除位置に操作するストッパ操作部34と、コンベア33上のバケットBの、移送方向での移動を規制してバケットBを搬送台3上に位置決めする1対のストッパ31,32とを備える。
【0027】
コンベア33は、駆動源としての電動モータ33aと、伝動機構としての無端チェーン33bと、無端チェーン33bにより回転駆動される複数の自走式ローラ33cとを備える。各ローラ33cは、直交方向での位置で、少なくとも一部が、この実施形態ではほぼ全体が、台車2のローラ23bと同じ位置にある。また、前記受入作業位置にある搬送台3に載せられたバケットBは、コンベア33により、上下方向での位置がコンベア23による前記所定上下方向位置と同じになる位置において、水平状態で支持される。
【0028】
基部30において直交方向で搬送装置1寄りの基部30に設けられる各ストッパ31,32は、制御装置7により作動されるアクチュエータとしてのソレノイド31a,32aにより駆動されて、直交方向に進出および後退して、規制位置(図2に二点鎖線で示される。)と非規制位置(図2に実線で示される。)とを占める。
第1ストッパ31は、規制位置において、バケットBにおいて搬出方向側で第1枠13aの1つの側縁部11cに当接可能で、搬出方向でのバケットBの移動を規制する。第2ストッパ32は、規制位置において、バケットBにおいて搬入方向側で第2枠13bの1つの側縁部11dに当接可能で、搬入方向でのバケットBの移動を規制する。
【0029】
移送装置4は、搬送台3の基部30が結合されて一体化された支持台40と、前記移動範囲において搬出方向および搬入方向で(すなわち、移送方向で)バケットBの上縁部11aに当接しない退避位置(図1に実線で示される。)および移送方向で上縁部11aに当接可能な当接可能位置(図1に二点鎖線で示される。)を占めるように進退方向に移動可能な搬出用当接部51と、前記移動範囲において移送方向で上縁部11aに当接しない退避位置(図1に二点鎖線で示される。)および移送方向で上縁部11aに当接可能な当接可能位置(図1に実線で示される。)を占めるように進退方向に移動可能な位置決め用当接部52と、両当接部51,52を当接可能位置および退避位置に駆動する一方、両当接部51,52を移送方向に駆動する駆動部60とを備える。
両当接部51,52の進退方向は、この実施形態では同じであり、移送方向に直交する平面に平行な方向の1つである上下方向である。
【0030】
駆動部60は、支持台40に設けられた案内部としての案内レール41に案内されることで支持台40に対して移送方向に平行に移動可能な可動体61と、可動体61に取り付けられた3つの電動モータ62〜64とを備える。
可動体61は、移送用駆動源としての電動モータ62が設けられると共に案内レール41に摺接して案内される本体61aと、第1当接部用駆動源としての第1電動モータ63および第2当接部用駆動源としての第2電動モータ64がそれぞれ設けられると共に本体61aから直交方向での一方側に平行で柱状に突出している第1保持部61bおよび第2保持部61cとを有し、本体61aと第1,第2保持部61b,61cとが一体化されて構成される。第1,第2電動モータ63,64は、第1,第2保持部61b,61c内にそれぞれ収納されている。
【0031】
電動モータ62は、支持台40に移送方向に平行に設けられたラック42と該ラック42に噛合すると共に電動モータ62により回転駆動されるピニオン(図示されず)とから構成される伝動機構を介して可動体61および各当接部51,52を移送方向に平行に移動させて、可動体61および各当接部51,52を直線的に往復移動させる。ラック42は、移送方向での可動体61および各当接部51,52の移動範囲の最大範囲を設定する部材である。そして、該移動範囲は、移送方向でのバケットBの幅よりも大きい(図1参照)。
また、移送方向での可動体61および各当接部51,52の移動速度は、コンベア33の搬送速度とは異なる速度に設定されている。
【0032】
各当接部51,52は、1以上の爪、この実施形態では、複数としての1対の円柱状の爪51a,51b;52a,52bから構成される。各当接部51,52の1対の爪51a,51b;52a,52bは、直交方向に離隔して、かつ直交方向に平行な一直線上に配置される。
【0033】
第1,第2電動モータ63,64は、それぞれ、対応する電動モータ63,64により駆動されて進退方向に移動する1対の円柱状の駆動ロッド65,66を介して、該駆動ロッド65,66の先端部に駆動ロッド65,66の中心軸線の周りに位置調整可能に設けられた各爪51a,51b;52a,52bを進退方向に移動させる。
各爪51a,51b;52a,52bにおいてバケットBと当接する位置にある当接部位51a1,51b1;52a1,52b1は、駆動ロッド65,66の中心軸線に対して偏心した位置に中心軸線を有する。このため、駆動ロッド65,66に対して当接部51,52を回動させることにより、各爪51a,51b;52a,52bの移送方向での当接位置が調整可能であるので、1対の爪51a,51bを搬出方向で同時に上縁部11aに当接させることができ、同様に1対の爪52a,52bを搬入方向で同時に上縁部11aに当接させることができる。
【0034】
当接可能位置にある搬出用爪51a,51bは、電動モータ62により駆動される可動体61と共に移送方向に移動するとき、バケットBの上縁部11aに対して搬入方向側で該上縁部11aに当接する。また、当接可能位置にある位置決め用爪52a,52bは、電動モータ62により駆動される可動体61と共に移送方向に移動するとき、バケットBの上縁部11aに対して搬出方向側で該上縁部11aに当接する。
そして、位置決め用爪52a,52bが上縁部11aに対して当接状態にあるとき、搬出用爪51a,51bは、爪52a,52bおよび上縁部11aに対して移送方向で搬入方向側に、かつ移送方向での上縁部11aの幅よりも大きな移送方向間隔を置いて位置する。
【0035】
電動モータ62は、上縁部11aと当接状態にある爪52a,52bを可動体61と共に搬入方向に駆動して、台車2のコンベア33上のバケットBを所定位置Pまで移動させる一方、上縁部11aと当接状態にある爪51a,51bを搬出方向に可動体61と共に駆動して、所定位置PにあるバケットBを搬出方向に台車2から搬送台3まで移動させる。
【0036】
図1,図2,図4を参照すると、図1,図4によく示されるように、退避位置の各爪51a,51b;52a,52b、支持台40、本体61a、第1,第2保持部61b,61c、各電動モータ62〜64は、台車2上および搬送台3上のバケットBよりも上方に配置される。また、各爪51a,51b;52a,52b,第1,第2保持部61b,61cおよび各電動モータ62〜64は、平面視で、台車2上および搬送台3上のバケットB1,B2と重なる位置で移送方向に移動する。
そして、搬送台3の全体および各爪51a,51b;52a,52bが退避位置を占めるときの移送装置4の全体は、直交方向から見て、台車2上のバケットBと重ならない位置にある(図1参照)。
【0037】
制御装置7(図1参照)は、搬送装置1の運転・停止を行うために作業者が操作する各種操作スイッチ(移動体61を搬出方向および搬入方向に駆動するための電動モータ62の操作スイッチも含まれる。)の操作状態を検出する操作検出手段71aや、ストッパ25に設けられてバケットBの所定位置Pを検出する位置検出手段としてのリミットスイッチ71bなどから構成される検出手段71と、検出手段71により検出された状態に基づいて搬送装置1を制御する電子制御ユニット72とを備える。電子制御ユニット72は、入出力インターフェース、中央演算処理装置、および制御プログラムなどが記憶された記憶装置を備えるコンピュータから構成される。
電子制御ユニット72は、検出手段71からの信号に基づいて、移送装置4の電動モータ62〜64、搬送台3の電動モータ33a、各ソレノイド31a,32aおよびストッパ操作部34、シリンダ29aの油圧を制御する制御弁(図視されず)などを制御する。
【0038】
図1〜図4を参照して、制御装置7により制御される搬送装置1の動作について説明する。
図1,図2を参照すると、搬送台3が前記受入作業位置に位置決めされ、台車2が位置決め部材29のシリンダ29aにより前記搬送作業位置に位置決めされる前、搬出用爪51a,51bおよび位置決め用爪52a,52bは退避位置にある。このとき、搬出側ストッパ24が起立した規制位置にあるため、コンベア33上のバケットBは、搬出方向に移動したとしても、ストッパ24に当接して停止するので、台車2から飛び出すことはない。
【0039】
台車2が位置決め部材29により前記搬送作業位置に位置決めされた後、電動モータ62により駆動された可動体61および各爪51a,51b;52a,52bが、バケットB1に関して、移送方向で搬送準備位置に移動する。該搬送準備位置では、位置決め用爪52a,52bは、バケットB1の上縁部11aに対して、移送方向で搬出方向側に配置され、搬出用爪51a,51bは、上縁部11aに対して、移送方向で搬入方向側に配置される。その後、この搬送準備位置で、1対の位置決め用爪52a,52bが第2電動モータ64により駆動されて退避位置から当接可能位置に移動する。このとき、当接可能位置の爪52a,52bと上縁部11aとの間には、移送方向での間隔が形成されている。
【0040】
次いで、電動モータ62により駆動された可動体61が各爪51a,51b;52a,52bと一体に搬入方向に移動させられる。この搬入方向への各爪51a,51b;52a,52bの移動により、当接可能位置の爪52a,52bが移送方向で搬送台3寄りのバケットB1の上縁部11aに当接して当接状態になって、可動体61および各爪51a,51b;52a,52bが位置決め開始位置を占める。
【0041】
この位置決め開始位置から、引き続き電動モータ62により駆動された各爪51a,51b;52a,52bがさらに搬入方向に移動して、コンベア23上の両バケットB1,B2を、ハンドル20側のバケットB2がストッパ25に当接するまで台車2上で移動させる。バケットB2がストッパ25に当接したとき、リミットスイッチ71bが作動して、電動モータ62による搬入方向への可動体61および各爪51a,51b;52a,52bの駆動が停止する。このとき、両バケットB1,B2は移送方向で互いに当接した状態にあり、各バケットB1,B2がそれぞれ所定位置P1,P2を占める。
【0042】
バケットB1,B2が台車2上で所定位置P1,P2に位置決めされた後、搬送台3のストッパ操作部34により操作されたストッパ24が規制解除位置まで移動する。次いで、各搬出用爪51a,51bが第1電動モータ63により駆動されて退避位置から当接可能位置に移動し、電動モータ62により駆動された可動体61が各爪51a,51b;52a,52bと一体に搬出方向に移動させられる。搬出方向への各爪51a,51b;52a,52bの移動により、当接可能位置の爪51a,51bが搬出方向側のバケットB1の上縁部11aに当接して当接状態になり、コンベア23上のバケットB1を搬送台3に向けて搬出方向に移動させる。
【0043】
電動モータ62により駆動される各爪51a,51bによりバケットB1が台車2から搬送台3に移動する過程で、各位置決め用爪52a,52bは当接可能位置にあるので、搬送台3へ搬出されているバケットB1がコンベア23のフリーローラ23bの回転のために搬送用爪51a,51bを離れて搬出方向に過度に移動することが爪52a,52bにより規制される。
【0044】
必要に応じて図2を参照しながら図3を参照すると、爪51a,51bにより搬送台3に搬出されているバケットB1の一部がコンベア33に載ると、電動モータ62による爪51a,51b;52a,52bの搬出方向への移動開始時に作動を開始した電動モータ33aにより駆動されて回転しているローラ33cにより、バケットB1は、爪51a,51bにより移動させられることなく、コンベア33のみで搬送台3上で搬出方向に移動する。
【0045】
そして、バケットB1がコンベア33により移送される位置まで搬送されたとき、電動モータ63,64が各爪51a,51b;52a,52bを駆動して当接可能位置から退避位置まで移動させる。これにより、移送方向での各爪51a,51b;52a,52bの移動速度とコンベア33の搬送速度とが異なるために、バケットB1を介して各爪51a,51b;52a,52bとコンベア33との間で移動が制約されることに起因する電動モータ62または電動モータ63,64の負荷の増加が防止される。
退避位置の各爪51a,51b;52a,52bは、電動モータ62により駆動されて、台車上のバケットB2に関して、前記搬送準備位置に移動し、次いで図4に示されるように、バケットB2に関して、可動体61および各爪51a,51b;52a,52bが前記位置決め開始位置を占める。
【0046】
コンベア33により搬出方向に移動しているバケットB1が、ソレノイド31aにより駆動されて予め規制位置に進出している第1ストッパ31に当接すると、電動モータ33aが停止して、ローラ33cの回転が停止し、コンベア33が停止する。
次いで、図4に示されるように、ソレノイド32aにより駆動された第2ストッパ32が規制位置まで進出して、両ストッパ31,32により搬送台3上にバケットB1が位置決めされる。
【0047】
その後、一体化されている搬送台3および移送装置4が直交方向に移動して、ソレノイド31a,32aにより駆動された両ストッパ31,32が非規制位置まで後退移動し、作動を開始した電動モータ33aにより駆動されたコンベア33で、バケットB1が別の搬送台のコンベアに搬出される。バケットB1を払い出した後の搬送台3は、直交方向に移動して移送方向で台車2と対向する前記受入作業位置まで戻る。
次いで、台車2上の残りのバケットB2がバケットB1と同様の搬送工程で搬送台3のコンベア33上に位置決めされる。
【0048】
このようにして、台車2上のバケットBがなくなると、搬送台3および移送装置4が直交方向に移動して、前記別の搬送台からロボットなどの取出装置によりクランク軸Wが取り出されて空になったバケットBが、搬送台3に搬入されて、両ストッパ31,32により位置決めされる。
【0049】
必要に応じて図2を参照しながら図4を参照すると、その後、移送装置4と共に搬送台3が前記受入作業位置まで戻り、図4に二点鎖線で示される搬入開始位置に待機していた退避位置の位置決め用爪52a,52bが、電動モータ64により駆動されて当接可能位置に移動する。そして、電動モータ62が可動体61および当接可能位置の爪52a,52bを爪51a,51bと共に搬入方向に駆動して、バケットBの上縁部11aと当接状態になった爪52a,52bにより、空のバケットBが搬送台3から台車2に向けて搬入方向に移動させられて、台車2に載せられる。次いで、同様にして空になった別のバケットBが台車2に載せられる。
台車2に2つの空のバケットBが載せられた後、ストッパ操作部34によりストッパ24が規制位置に移動させられ、次いで位置決め部材29により、台車2の位置決め状態が解除されて、台車2は下降して床Fに接地する。空のバケットBが載せられた台車2が、クランク軸W(図1参照)が置かれたバケットB1,B2を載せた別の台車2と置き換えられて、前記した搬送工程と同様の工程で搬送装置1によるバケットB1,B2の搬送が行われる。
【0050】
次に、前述のように構成された実施形態の作用および効果について説明する。
搬送装置1の移送装置4は、いずれも、可動体41の前記移動範囲において移送方向でバケットBの上縁部11aに当接しない退避位置および移送方向で上縁部11aに当接可能な当接可能位置を占める搬出用当接部51である爪51a,51bおよび位置決め用当接部52である爪52a,52bと、各爪51a,51b;52a,52bを当接可能位置および退避位置に駆動する一方、各爪51a,51b;52a,52bを移送方向に駆動する駆動部60とを備え、駆動部60は、当接可能位置の位置決め用爪52a,52bおよび退避位置の搬出用爪51a,51bを搬入方向に駆動して上縁部11aと当接状態にある位置決め用爪52a,52bにより、バケットBを搬入方向に所定位置Pまで台車2上で移動させる一方、位置決め用爪52a,52bおよび当接可能位置の搬出用爪51a,51bを搬出方向に駆動して上縁部11aと当接状態にある搬出用爪51a,51bにより、所定位置PのバケットBを搬出方向に台車2から搬送台3まで移動させる。
この構造により、移送装置4の駆動部60により駆動されて搬出用爪51a,51bおよび位置決め用爪52a,52bが搬入方向に移動することで、退避位置にある爪51a,51bはバケットBの上縁部11aに当接することなく搬入方向に移動する一方で、当接可能位置にある爪52a,52bが上縁部11aに当接して台車2のコンベア23上のバケットBを所定位置Pまで搬入方向に移動させて、この位置決め用爪52a,52bによりバケットBが移送方向での所定位置Pに位置決めされる。
このため、台車2上でのバケットBに移送方向での位置のバラツキがある場合や台車2に移送方向に直列に2以上のバケットBが置かれている場合にも、バケットBが位置決め用爪52a,52bにより台車2上で所定位置Pに位置決めされ、該所定位置Pに位置決めされたバケットBを、駆動部60により駆動される搬出用爪51a,51bで台車2から搬送台3へ確実に、しかも効率よく搬出できるので、搬送装置1による台車2から搬送台3へのバケットBの搬送作業の効率を向上できる。
【0051】
台車2は、台車2上での搬入方向へのバケットBの移動を所定位置Pで規制するストッパ25を備えることにより、駆動部60の電動モータ62により駆動される爪52a,52bはストッパ25に当接するまでバケットBを搬入方向に移動させればよいので、移送方向で移送装置4に対する台車2の位置にバラツキが有る場合にも、バケットBを台車2上での所定位置Pに簡単に位置決めできる。
【0052】
位置決め用爪52a,52bは、搬出用爪51a,51bによる台車2から搬送台3へのバケットBの搬出時に、爪51a,51bに対してバケットBが搬出方向に移動することを規制することにより、爪51a,51bにより搬出されているバケットBが搬出用爪51a,51bを離れて搬出方向に過度に移動することを爪52a,52bにより規制できる。このように、この過度の移動を規制するために位置決め用爪52a,52bが利用されることにより、該過度の移動を規制する専用の部材が不要になるので、移送装置4の構造を簡単化しながら、台車2から搬送台3へのバケットBの搬出の安定性を確保できる。
【0053】
駆動部60の電動モータ62は、位置決め用爪52a,52bを搬入方向に駆動して、バケットBと当接状態にある爪52a,52bにより搬送台3上のバケットBを台車2まで移動させることにより、爪52a,52bを利用することにより、搬送台3に置かれたバケットBを台車2に搬入できることから、搬送台3上のバケットBを台車2に搬入する専用の部材が不要になるので、移送装置4の構造を簡単化しながら、搬送台3から台車2へのバケットBの搬入が可能になる。
【0054】
搬送台3は、移送方向にバケットBを搬送可能な自走式コンベア33を備えることにより、台車2から搬送台3へのバケットBの搬出時に、バケットBの一部を搬送台3のコンベア33上に移動させることで、該コンベア33がバケットBを台車2から搬送台3に移動させることができ、しかも搬出用爪51a,51bおよび位置決め用爪52a,52bは、駆動部60の電動モータ63,64により駆動されて移送方向でバケットBに当接しない退避位置に移動可能であるので、搬出方向への爪51a,51b;52a,52bの移動距離を短くして、退避位置に位置させた爪51a,51b;52a,52bを搬入方向に移動させて、台車2上の次のバケットBの搬出の用意をすることができる。
【0055】
搬送台3は、移送装置4と一体化されて、移送装置4と共に直交方向に移動可能であり、退避位置の搬出用爪51a,51bおよび退避位置の位置決め用爪52a,52bは、台車2上および搬送台3上のバケットBよりも上方に配置され、平面視で、台車2上のバケットBおよび搬送台3上のバケットBと重なる位置で移送方向に移動可能である。
この構造により、退避位置の爪51a,51b;52a,52bは、台車2上および搬送台3上のバケットBよりも上方に配置されているので、一体化された搬送台3および移送装置4を直交方向に移動させることで、台車2から搬送台3に搬出されたバケットBを別の台車2や搬送台3に移送することや、また直交方向に並べられた複数の台車2上のバケットBを効率よく搬送台3に搬出することが可能になるので、搬送装置1による搬送効率を向上できる。
【0056】
バケットBは、複数の棒状部材11から構成される骨組み構造を有し、搬出用爪51a,51bおよび位置決め用爪52a,52bは、棒状部材11からなる上縁部11aに当接する。この構造により、爪51a,51b;52a,52bが当接するバケットBにおけるバケット側当接部として、バケットB自体を構成する棒状部材11が利用されるので、バケットBにバケット側当接部を構成する専用の部材を設ける必要がないため、搬送装置1の汎用性が高められる。
【0057】
搬出用爪51a,51bおよび位置決め用爪52a,52bのそれぞれは、直交方向に離隔して配置されていることにより、直交方向に離隔した1対の搬出用爪51a,51bによる搬出の安定性、および直交方向に離隔した1対の位置決め用爪52a,52bによる位置決めの確実性をそれぞれ向上できる。
【0058】
以下、前述した実施形態の一部の構成を変更した実施形態について、変更した構成に関して説明する。
所定位置Pは、ストッパ25により設定されたが、電子制御ユニット71のメモリに予め所定位置Pを記憶させることにより、ストッパ25に当接するよりも搬出方向寄りの位置とされてもよい。また、リミットスイッチ71bの代わりに、爪52a,52bにより押されたバケットBがストッパ25に当接して電動モータ62の負荷が増加したことを検出して、電動モータ62の駆動を停止してもよい。
位置決め用爪52a,52bにより搬送台3から台車2にバケットBを搬入する場合に、第2枠13bの上縁部11bに位置決め用爪52a,52bを当接させること、または位置決め用爪52a,52bにより搬送台3から台車2にバケットBを搬入しない場合、移送方向での可動体61の移動距離を、図示された実施形態に比べて短くできるので、支持台40、したがって移送装置4を移送方向で小型化できて、ひいては搬送装置1を移送方向で小型化できる。
【0059】
両当接部51,52の進退方向は、移送方向に直交する平面に平行な方向のうちで、上下方向以外または互いに異なる方向であってもよい。
搬送台3と移送装置4は、一体化されていなくてもよく、例えば、移送装置4に対して、搬送台3が移動可能であってもよい。
移送装置4の可動体61および各当接部51,52の移動速度とコンベア33の搬送速度とは同一であってもよい。
直交方向に複数の台車2が位置決め部材29により搬送作業位置に位置決めされた状態で配置されていてもよい。
搬送台3には、移送方向に直列に複数のバケットBが載せられてもよい。
受け台が備える支持部は、自走式コンベアでなく、非自走式コンベア、例えば非自走式ローラコンベアであってもよい。
位置決め用当接部は、常に当接可能位置を占めるように固定された当接部であってもよい。
バケットBに置かれる物品は、クランク軸W以外の内燃機関の構成部品または内燃機関であってもよく、さらに内燃機関以外の物品であってもよい。
搬送用コンテナとしての搬送用バケットは、骨組み構造以外の構造を有するコンテナであってもよい。また、搬送用載置体は、パレットであってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 搬送装置
2 台車
3 搬送台
4 移送装置
11 棒状部材
25 ストッパ
33 コンベア
51 搬出用当接部
52 位置決め用当接部
60 駆動部
B バケット
P 所定位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送用載置体が載せられる台車と、前記載置体が載せられる受け台と、前記載置体を前記台車から前記受け台に移送する移送装置とを備える搬送装置において、
前記載置体は、前記台車から前記受け台への前記載置体の搬出方向および前記搬出方向とは反対方向の反搬出方向を両方向とする移送方向に移動自在に前記台車に置かれ、
前記移送装置は、前記移送方向で前記載置体に当接しない退避位置および前記移送方向で前記載置体に当接可能な当接可能位置を占めるように移動可能な搬出用当接部と、前記移送方向で前記載置体に当接可能な当接可能位置を占める位置決め用当接部と、前記搬出用当接部を前記当接可能位置および前記退避位置に駆動する一方、前記搬出用当接部および前記位置決め用当接部を前記移送方向に駆動する駆動部とを備え、
前記駆動部は、前記位置決め用当接部および前記退避位置の前記搬出用当接部を前記反搬出方向に駆動して前記載置体と当接状態にある前記位置決め用当接部により、前記載置体を前記反搬出方向に所定位置まで台車上で移動させる一方、前記位置決め用当接部および前記当接可能位置の前記搬出用当接部を前記搬出方向に駆動して前記載置体と当接状態にある前記搬出用当接部により、前記所定位置の前記載置体を前記搬出方向に前記台車から前記受け台まで移動させることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記台車は、前記台車上での前記反移送方向への前記載置体の移動を前記所定位置で規制するストッパを備えることを特徴とする請求項1記載の搬送装置。
【請求項3】
前記位置決め用当接部は、前記搬出用当接部による前記台車から前記受け台への前記載置体の搬出時に、前記搬出用当接部に対して前記載置体が前記搬出方向に移動することを規制することを特徴とする請求項1または2記載の搬送装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記位置決め用当接部を前記反搬出方向に駆動して、前記載置体と当接状態にある前記位置決め用当接部により前記受け台上の前記載置体を前記受け台から前記台車まで移動させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の搬送装置。
【請求項5】
前記位置決め用当接部は、前記駆動部に駆動されて前記当接可能位置および前記移送方向で前記載置体に当接しない退避位置に移動可能であり、
前記受け台は、前記移送方向に前記載置体を搬送可能な自走式コンベアを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の搬送装置。
【請求項6】
前記位置決め用当接部は、前記駆動部に駆動されて前記当接可能位置および前記移送方向で前記載置体に当接しない退避位置に移動可能であり、
前記受け台は、前記移送装置と一体化されて、前記移送装置と共に上下方向および前記移送方向に直交する直交方向に移動可能であり、
前記退避位置の前記搬出用当接部および前記退避位置の前記位置決め用当接部は、前記台車上および前記受け台上の前記載置体よりも上方に配置され、平面視で、前記台車上および前記受け台上の前記載置体と重なる位置で前記移送方向に移動可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の搬送装置。
【請求項7】
前記載置体は、複数の棒状部材から構成される骨組み構造を有し、
前記搬出用当接部および前記位置決め用当接部は、前記棒状部材に当接することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の搬送装置。
【請求項8】
前記搬出用当接部および前記位置決め用当接部のそれぞれは、平面視で前記移送方向に直交する直交方向に離隔して配置された1対の爪から構成されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−84360(P2011−84360A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−237642(P2009−237642)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】