説明

搬送装置

【課題】パーティクルの発生を抑制可能な搬送装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る搬送装置は、チャンバと、チャンバ内の経路に沿って移動可能な基板支持体と、基板支持体上に直線的に並べられた複数のラック磁石を有する第1磁気ラックと、複数のピニオン磁石を有する、回転軸に対して回転可能な第1磁気ピニオンであって、第1磁気ラックの一方の側に配置され、第1磁気ラックとの間に回転軸方向で磁気結合された第1磁気ピニオンと、チャンバに固定して設けられ、基板支持体を移動可能に支持する支持部材とを備え、第1磁気ピニオンを回転することにより、基板支持体を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャンバ内の経路に沿って基板を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ラックアンドピニオン機構を用いて、基板トレーを搬送する薄膜形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−118008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、基板の大型化に伴い、基板を搭載した基板支持体の重量が増加していく中、ラックアンドピニオン機構により発生するパーティクルが、無視できなくなり、歩留まりの悪化を引き起こしていた。
【0005】
そこで、本発明は、従来の問題に鑑みてなされたものであり、パーティクルの発生を抑制する搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る搬送装置は、チャンバと、前記チャンバ内の経路に沿って移動可能な基板支持体と、前記基板支持体上に直線的に並べられた複数のラック磁石を有する第1磁気ラックと、複数のピニオン磁石を有する、回転軸に対して回転可能な第1磁気ピニオンであって、前記第1磁気ラックの一方の側に配置され、前記第1磁気ラックとの間に前記回転軸方向で磁気結合された前記第1磁気ピニオンと、前記チャンバに固定して設けられ、前記基板支持体を移動可能に支持する支持部材とを備え、前記第1磁気ピニオンを回転することにより、前記基板支持体を移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パーティクルの発生を抑制する搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の概略図である。
【図2】図1の基板搬送装置の概略断面図である。
【図3】図1の上部マグネットを説明する拡大図である。
【図4】図1の磁気ラックおよび磁気ピニオンの拡大図である。
【図5】変形例の磁気ピニオンの上面図である。
【図6】変形例の磁気ラックの上面図である。
【図7】変形例の磁気ラックの側面図である。
【図8】変形例の磁気ラックおよび磁気ピニオンの概略図である。
【図9】変形例の磁気ラックおよび磁気ピニオンの概略図である。
【図10】変形例の磁気ラックおよび磁気ピニオンの概略図である。
【図11】変形例の磁気ラックおよび磁気ピニオンの概略図である。
【図12】変形例の磁気ラックおよび磁気ピニオンの概略図である。
【図13】変形例の磁気ラックおよび磁気ピニオンの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の概略側面図である。図2は、本発明に係る基板処理装置の側断面図である。
【0010】
図1に示すように、基板処理装置1は、チャンバ1Aと、該チャンバ1Aとゲートバルブ11を介して接続されたチャンバ1Bを備えている。チャンバ1Aとしては、ロードロックチャンバ、スパッタリング成膜用チャンバ、CVD成膜用チャンバ、エッチングチャンバなどが挙げられる。チャンバ1Bとしては、アンロードロックチャンバ、スパッタリング成膜用チャンバ、CVD成膜用チャンバ、エッチングチャンバなどが挙げられる。各チャンバは、不図示の排気手段と接続されており、減圧雰囲気に排気可能な筐体である。なお、本例では、2つのチャンバを示しているが、これに限定されず、3つ以上のチャンバを含んでもよい。
【0011】
図2は、基板搬送装置の概略断面図である。図2に示すように、縦向きに配置された基板支持体4は、進行方向と垂直な断面において、ハの字状に傾斜して向かい合った矩形の側面を有し、その側面にそれぞれ矩形の基板2を支持可能に構成されている。即ち、基板支持体4は、ハの字状に向かい合った傾斜側壁4a、4bと、該傾斜側壁4a、4bの各上端部を連結して平坦に設けられた上壁4cを有している。
基板2は、縦1700mm以上横1300mm以上の大型の矩形基板を用いたが、これに限定されず、円盤状の基板であってもよい。基板支持体4は、縦2000mm以上、横1700mm以上である。
基板支持体4の傾斜側壁4a、4bの内側には、水平方向にわたって、係合部材(以下、ガイドレール)14が設けられている。なお、係合部材14は、曲面状の溝を有していてもよいし、摺動可能な平面を有するだけでもよい。
【0012】
一方、図1に示すように、チャンバ1A、1B内には、基板支持体4の移動経路に沿って、回転可能な複数の軸受(以下、ガイドローラ)3が離間して設けられている。ガイドローラ3は、該基板支持体4のガイドレール14の溝にはめ込まれ、基板支持体4を水平方向に移動可能に支持する支持部材として機能している。
複数のガイドローラ3により、基板支持体4の自重を分散して支持することができるため、このガイドローラ3とガイドレール14との接触により発生するパーティクルを低減することができる。
【0013】
図2に示すように、基板支持体4の傾斜側壁4a、4bの下端部には、それぞれ水平方向に渡って、複数のラック磁石を有する第1磁気ラック6が設けられている。各第1磁気ラック6の下方には、第1磁気ラック6とは非接触状態で磁気結合した、複数のピニオン磁石を有する回転可能な磁気ピニオン5a、5bが設けられている。図1に示すように、基板支持体4が移動する経路にそって、基板支持体の進行方向と垂直に複数の磁気ピニオン5が所定の間隔を隔てて配置されている。図2に示すように、基板支持体4の一方の傾斜側壁4aの下端部に形成された、第1磁気ラック6aと磁気結合する磁気ピニオン5a、5bの回転軸は、チャンバ1Aの外部に設けられたモータ7の回転軸51と接続され、モータ7の回転により回転可能になっている。さらに、基板支持体4の他方の傾斜側壁4bの下端部に形成された、第1磁気ラック6と磁気結合する磁気ピニオン5a、5bの回転軸も、モータ7の回転軸51と接続され、モータ7の回転により回転可能になっている。なお、本例では、磁気ピニオン5は、第1磁気ピニオン5aと第2磁気ピニオン5bを有するが、これに限定されず、片方のみの磁気ピニオンであってもかまわない。
【0014】
磁気ピニオン5を回転することにより、基板支持体4は、矢印の方向へ直線的に移動可能である。この磁気ピニオン5と第1磁気ラック6とにより、非接触状態で磁気ピニオン5の回転を第1磁気ラック6の直線移動への変換する磁気駆動部が構成される。なお、図1に示すように、離間して設けられた複数の磁気ピニオンを回転するために、個別にモータを設けて、各モータを同期する制御手段を設けてもよい。また、複数の磁気ピニオン5同士を、ギアで連結し、単一のモータで、各磁気ピニオンの回転を同期させることもできる。
以上のように、基板支持体の進行方向に垂直に並べられた複数の磁気ラックと磁気ピニオン5により非接触の磁気駆動部を作成することにより、基板支持体の進行方向に沿って設けなければならない磁気ネジの場合と比較して、装置の小型化、製造コストの面で有利である。
【0015】
図1及び図2に示すように、基板支持体4の上壁4c上には、上部マグネット9が設けられている。一方、チャンバ1Aの天井には、該マグネット9と磁気結合するマグネット8が配置されている。
図3は、図1の上部マグネット8,9を説明する拡大図である。図3(a)は断面図であり、図3(b)は側面図である。
図3(a)に示すように、チャンバ側には、異なる磁極の棒状マグネット8a、8bが2列に並べられている。基板支持体側には、異なる磁極の棒状マグネット9a、9bが2列に並べられている。
図3(b)に示すように、チャンバ側に固定された棒状マグネット8a(本例ではN極)と、基板支持体4側に固定された棒状マグネット9a(S極)が非接触状態で鉛直方向に磁気結合している。同様に、チャンバ側に固定された棒状マグネット8b(本例ではS極)と、基板支持体4側に固定された棒状マグネット9b(N極)が非接触状態で鉛直方向に磁気結合している。
以上より、基板支持体4は、安定した鉛直の姿勢を維持することができるとともに、基板支持体4を上方に引き上げる力が作用するため、基板支持体を支持するガイドローラへの負荷が軽減され、ガイドローラからのパーティクルの発生を抑制することができる。
【0016】
図4は、図1の磁気ラック6および磁気ピニオン5の拡大図である。
図4(a)に示すように、第1磁気ラック6は、N極磁石とS極磁石が交互に直線的に配置された複数のラック磁石を含む。また、円筒形の回転可能な第1磁気ピニオン5aは、水平方向に伸びた回転軸Xの周りに交互に並べられたN極磁石とS極磁石を含む。なお、ラック磁石の各磁石は同一形状で、同一間隔で配置されている。同様に、各ピニオン磁石も同一形状で、同一間隔で配置されている。
図4(b)に示すように、第1磁気ラック6を挟んで、第1磁気ピニオン5aと第2磁気ピニオン5bが、水平方向に伸びたシャフト50を介して接続されて設けられている。水平方向に伸びたシャフト50の回転軸X−Xは、第1磁気ピニオン5aと第2磁気ピニオン5bの回転軸を示している。本例では、第1磁気ラック6と第1磁気ピニオン5aとの間に生じる磁界は、第1磁気ピニオン5aと第2磁気ピニオン5bの回転軸方向に向いている。つまり、第1磁気ピニオン5aの各ピニオン磁石は、第1磁気ピニオン5aと第2磁気ピニオン5bの回転軸方向に着磁されている。
同様に、第1磁気ラック6と第2磁気ピニオン5bとの間に生じる磁界も、第1磁気ピニオン5aと第2磁気ピニオン5bの回転軸方向に向いている。つまり、第2磁気ピニオン5bの各ピニオン磁石は、第1磁気ピニオン5aと第2磁気ピニオン5bの回転軸方向に着磁されている。
このように、第1磁気ラック6を挟んだ両側に、第1磁気ピニオン5aと第2磁気ピニオン5bを配置することにより、第1磁気ピニオン5aと第1磁気ラック6との磁力と、第2磁気ピニオン5bと第1磁気ラック6との磁力が相殺され、基板支持体は、水平方向での変動が少なく、安定した姿勢を維持することができる。
【0017】
図5は、第1磁気ピニオン5a及び第2磁気ピニオン5bの位相のズレを説明する図である。図5では、磁気ピニオンのラック磁石に対して磁気結合する面を表示している。
前述したとおり、第1磁気ピニオン5a及び第2磁気ピニオン5bを構成する各ピニオン磁石は、同一形状で同一の大きさで構成されている。
図5(a)は、第1磁気ピニオン5a及び第2磁気ピニオン5bとの間で位相のズレがない場合を示す。この場合は、基板支持体への推進力を大きくすることができる。
一方、図5(b)、(c)、(d)は、第1磁気ピニオン5a及び第2磁気ピニオン5bとの間で、それぞれ22.5°、45°、67、5°位相がずれた状態を示している。このように、第1磁気ピニオン5a及び第2磁気ピニオン5bとの間で位相をずらすことで、最大推力は低下するが、水力変動が軽減され、なめらかな移動が可能になる。第1磁気ピニオン5a及び第2磁気ピニオン5bとの間の位相のずれとしては、15〜85°、より好ましくは22.5〜67.5°となるように設定している。
【0018】
(変形例)
図6は、変形例の磁気ラックの側面図である。図4等で示したラック磁石と異なり、本例の磁気ラック6は、N極の磁石とS極の磁石が所定の間隔を空けて配置されている。このように磁気ラック6の各磁石の間隔を空けることで、対応して磁気ピニオン側の各磁石も同ピッチの間隔を空けることができる。そのため、磁気ピニオン側の磁石として、上述した扇形の磁石ではなく、棒磁石を用いることができる。そのため、本例では、製造コストを低減できる。
【0019】
図7は、磁気ラックの変形例として磁性体ラック60を示す。磁性体ラック60としては、鉄、SUS430などの磁性体が挙げられる。本例の磁性体ラック60は、所定の間隔を空けて凹凸形状に形成されている。この磁性体ラック60と、図4等で示した磁気ピニオン5a、5bと組み合わせて、磁気駆動部を構成してもよい。磁性体を用いることで、磁石を用いた場合に比べ、基板支持体への推進力は低下するが、磁石よりも低コストで磁気ラックを製造することができる。
【0020】
図8は、変形例の磁性体ピニオンを示す。磁性体ピニオン25は外周部に凹凸が形成された円板状の磁性材となっている。この磁性体ピニオン25と、図4又は図7で示した磁気ラック6とを組み合わせて、磁気駆動部を構成してもよい。このように磁性体ピニオンを用いることで、磁石を用いた場合に比べ、基板支持体への推進力は低下するが、磁石よりも低コストで磁気ピニオンを製造することができる。
【0021】
図9は、変形例の磁気ラックおよび磁気ピニオンの概略図である。
この変形例の磁気ラックおよび磁気ピニオンは、図4等で示した第1実施形態に係る磁気ラックおよび磁気ピニオンと基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。しかしながら、この変形例では、第1シャフト50上に、磁気ラック6との間に、磁気反発力を生じさせるための複数のピニオン磁石を有する回転可能な第3磁気ピニオン5cを備える。この第3磁気ピニオン5cの各ピニオン磁石は、シャフト50の回転軸X−X方向に着磁されている。しかし、これに限定されず、第3磁気ピニオン5cの各ピニオン磁石を、回転軸X−Xから径方向に着磁してもよい。
このように、本例では、磁気ラック6の下側に、磁気ラック6と同極のピニオン磁石が位置し、磁気反発力により基板支持体4を浮上させることで、よりなめらかな移動が可能となる。
【0022】
図10は、変形例の磁気ラックおよび磁気ピニオンの概略図である。
この変形例の磁気ラックおよび磁気ピニオンは、図1等で示した第1実施形態に係る磁気ラックおよび磁気ピニオンと基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。しかしながら、この変形例の磁気ラックおよび磁気ピニオンは、第1実施形態に係る磁気ラックおよび磁気ピニオンと相違して、第1シャフト50上に、第1磁気ラック6と磁気結合するための第3磁気ピニオン5cが追加されている。つまり、本例では、第1磁気ラック6の下側に、第1磁気ラック6との間に磁気吸着力が生じる異極のピニオン磁石が位置し、これにより、この変形例では、基板支持体4により大きな推進力を伝達することができる。この第3磁気ピニオン5cは、シャフト50の回転軸X−Xから径方向に着磁されているが、これに限定されず、回転軸X−Xから径方向に着磁してもよい。
この例では、追加された第3磁気ピニオン5cと第1磁気ラック6とが鉛直方向で磁気結合するため、図2に示すようにガイドローラ3と基板支持体4との間に、基板支持体の自重以上の大きな力が加わる。これを軽減するため、本例では、下側方向への磁力を相殺するため、基板支持体4の上部にも、第2磁気ラック16および磁気ピニオン15a、15b、15cが設けられている。
【0023】
具体的には、図10に示すように、変形例における基板支持体4の上端部には、チャンバ内に、直線的に並べられた複数のラック磁石を有する第2磁気ラック16が設けられている。すなわち、基板支持体4上には、第1磁気ラック6と反対側に第2磁気ラック16が設けられている。この第2磁気ラック16の上方には、第2磁気ラック16とは非接触状態で磁気結合した、複数のピニオン磁石を有する回転可能な磁気ピニオン15a、15b、15cが設けられている。
図10(a)に示すように、第2磁気ラック16は、N極磁石とS極磁石が交互に直線的に配置された複数のラック磁石を含む。また、円筒形の回転可能な第4磁気ピニオン15aは、N極磁石とS極磁石とが回転軸の周りに交互に並べられた複数のピニオン磁石を含む。なお、各ラック磁石は同一形状で、同一間隔で配置されている。同様に、各ピニオン磁石も同一形状で、同一間隔で配置されている。
磁気ピニオン15の回転軸は、チャンバ1Aの外部に設けられたモータ(不図示)の回転軸と接続され、モータの回転により回転可能になっている。
【0024】
図4(b)に示すように、第2磁気ラック16を挟んで、第4磁気ピニオン15aと、第5磁気ピニオン15bが離間して設けられている。本例では、第2磁気ラック16と第4磁気ピニオン15aとの間に生じる磁界は、第4磁気ピニオン15aと第5磁気ピニオン15bの回転軸方向に向いている。つまり、第4磁気ピニオン15aの各ピニオン磁石は、第4磁気ピニオン15aと第5磁気ピニオン15bの回転軸方向に着磁されている。
同様に、第2磁気ラック16と第5磁気ピニオン15bとの間に生じる磁界も、第4磁気ピニオン15aと第5磁気ピニオン15bの回転軸方向に向いている。つまり、第5磁気ピニオン15bの各ピニオン磁石は、第4磁気ピニオン15aと第5磁気ピニオン15bの回転軸方向に着磁されている。
このように、第2磁気ラック16を挟んだ両側に、第4磁気ピニオン15aと、第5磁気ピニオン15bを配置することにより、第4磁気ピニオン15aとラック磁石16との磁力と、第5磁気ピニオン15bと第2磁気ラック16との磁力が相殺され、基板支持体は安定した姿勢を維持することができる。
さらに第2シャフト150上に、第2磁気ラック16と磁気結合するための第6磁気ピニオン5cが追加されている。この磁気吸着力により、この変形例では、基板支持体4により大きな推進力を伝達することができる。
【0025】
図11は、変形例の磁気ラックおよび磁気ピニオンの概略図である。この変形例の磁気ラックおよび磁気ピニオンは、図2に示した磁気ラックおよび磁気ピニオンと基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。しかしながら、この変形例では、パーティクルのさらなる削減のため、磁気ピニオン5a、5b、シャフト50及び回転駆動軸51が隔壁12を介して、プロセス環境外(大気側)に配置されている点で相違する。また、磁気ピニオン5a、5bをチャンバ1Aの外側に設けるようにしてもよい。
また、図11には示していないが、図10で示した磁気ピニオン15a、15b、15cを用いた場合も、同様に、磁気ピニオン15a、15b、15cを、隔壁を介して大気側に設ける、もしくはチャンバ1Aの外側に設けるようにしてもよい。
【0026】
図12は、変形例の磁気ラックおよび磁気ピニオンの概略図である。この変形例では、図4に示した磁気ピニオンとは異なり、基板支持体4の両側に第1磁気ラック6aと第2磁気ラック6bを設け、第1磁気ラック6aと第2磁気ラック6bを挟んで、それぞれ磁気ピニオンを設け、かつ各磁気ピニオンの回転軸が鉛直方向を向いている点で相違する。
【0027】
具体的には、基板支持体4の一方側の第1磁気ラック6aは、鉛直方向で第1磁気ピニオン5a及び第2磁気ピニオン5bと磁気結合している。第1磁気ピニオン5aと第2磁気ピニオン5bは、シャフト50を介して連結され、シャフト50はモータ7aの回転軸と連結されている。
つまり本例では、第1磁気ラック6aと第1磁気ピニオン5aとの間に生じる磁界は、第1磁気ピニオン5aと第2磁気ピニオン5bの回転軸方向に向いている。つまり、第1磁気ピニオン5aの各ピニオン磁石は、第1磁気ピニオン5aと第2磁気ピニオン5bの回転軸方向に磁化されている。
同様に、第1磁気ラック6aと第2磁気ピニオン5bとの間に生じる磁界も、第1磁気ピニオン5aと第2磁気ピニオン5bの回転軸方向に向いている。つまり、第2磁気ピニオン5bの各ピニオン磁石は、第1磁気ピニオン5aと第2磁気ピニオン5bの回転軸方向に着磁されている。
一方、基板支持体4の他方側の第2磁気ラック6bは、鉛直方向で第7群磁気ピニオン55a及び第8群磁気ピニオン55bと磁気結合している。第7群磁気ピニオン55aと第8群磁気ピニオン55bは、シャフト50を介して連結され、シャフト50はモータ7bの回転軸と連結されている。
つまり本例では、第2磁気ラック6bと第7磁気ピニオン55aとの間に生じる磁界は、第7磁気ピニオン55aと第8磁気ピニオン55bの回転軸方向に向いている。つまり、第7磁気ピニオン55aの各ピニオン磁石は、第7磁気ピニオン55aと第8磁気ピニオン55bの回転軸方向に着磁されている。
同様に、第2磁気ラック6bと第8磁気ピニオン55bとの間に生じる磁界も、第7磁気ピニオン55aと第8磁気ピニオン55bの回転軸方向に向いている。つまり、第8磁気ピニオン55bの各ピニオン磁石は、第7磁気ピニオン55aと第8磁気ピニオン55bの回転軸方向に着磁されている。
モータ7a、7bは、制御部20と接続され、制御部20により同期して回転可能になっている。
【0028】
図13は、制御部20を用いず、2つの磁気ピニオンを同期する機構を説明する図である。本例では、モータ7の回転軸と連結された回転伝達手段(例えば、ギア、傘歯車、磁気歯車、ベルト)により、一方の側のピニオンの回転軸51aと、他方の側のピニオンの回転軸51bとを同期して回転することができる。
具体的には、モータ7の回転軸51aの先端部には、回転伝達手段13aが設けられている。回転伝達手段13aは、シャフト51cに連結された回転伝達手段13bと係合され、モータ7の回転をシャフト51cの回転への変換している。さらにシャフト51cの両端部には、回転伝達手段13c、13dが設けられている。
回転伝達手段13cは、磁気ピニオンの回転軸51aの先端に連結された回転伝達手段13eと係合しており、シャフト51cの回転は磁気ピニオンの回転軸51aの回転へと変換させることができる。同様に、回転伝達手段13dは、磁気ピニオンの回転軸51bの先端に連結された回転伝達手段13fと係合しており、シャフト51cの回転は磁気ピニオンの回転軸51aの回転へと変換させることができる。
こうした機構により、モータ7の回転は、同期して、二つの磁気ピニオンの回転軸51a、51bの回転へと変換される。
この場合、パーティクルの発生を防止する観点から、回転伝達手段13a、13b、13c、13d、13fの部分はチャンバの外側に配置することが好ましい。
なお、図14では、回転伝達手段13として、傘歯車を用いた例を示したが、磁気歯車を用いることで、非接触状態で回転を伝達してもよい。
【0029】
本発明の搬送装置は、各実施形態で述べられたいかなる特徴をも組み合わせることによって構成することができる。
また、第4磁気ピニオン15aと第5磁気ピニオン15bの位相も、図6で示した、第1磁気ピニオン5a及び第2磁気ピニオン5bと同様に、互いにずらすようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1A,1B チャンバ
2 基板
3 支持部材(ガイドローラ)
4 基板支持体
5 下部磁気ピニオン
5a 第1磁気ピニオン
5b 第2磁気ピニオン
5c 第3磁気ピニオン
6 下部磁気ラック(第1磁気ラック)
7 モータ
8a,8b 磁石
9a,9b 磁石
10 磁気駆動部
12 隔壁
13 回転伝達手段
14 ガイドレール
15 上部磁気ピニオン
15a 第4磁気ピニオン
15b 第5磁気ピニオン
15c 第6磁気ピニオン
16 上部磁気ラック(第2磁気ラック)
25 磁性体ピニオン
50 第1シャフト
51 駆動軸
55a 第7群磁気ピニオン
55b 第8群磁気ピニオン
150 第2シャフト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
前記チャンバ内の経路に沿って移動可能な基板支持体と、
前記基板支持体上に直線的に並べられた複数のラック磁石を有する第1磁気ラックと、
複数のピニオン磁石を有する、回転軸に対して回転可能な第1磁気ピニオンであって、前記第1磁気ラックの一方の側に配置され、前記第1磁気ラックとの間に前記回転軸方向で磁気結合された前記第1磁気ピニオンと、
前記チャンバに固定して設けられ、前記基板支持体を移動可能に支持する支持部材と、
を備え、
前記第1磁気ピニオンを回転することにより、前記基板支持体を移動させる、ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記基板支持体は、進行方向と垂直な断面において、ハの字状に傾斜して向かい合った側面を有し、その側面に基板を支持可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
複数のピニオン磁石を有する、前記回転軸に対して回転可能な第2磁気ピニオンであって、前記第1磁気ピニオンと第1シャフトを介して接続され、かつ前記第1磁気ラックの他方の側に配置され、前記第1磁気ラックとの間において前記回転軸方向に磁気結合された前記第2磁気ピニオンと、
を備え、前記第1及び第2磁気ピニオンを回転することにより、前記基板支持体を移動させる、ことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第1磁気ピニオンが有する複数のピニオン磁石は、前記第2磁気ピニオンが有する複数のピニオン磁石と、位相をずらして配置していることを特徴とする請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第1シャフトには、前記第1磁気ラックとの間で、磁気反発力を生じさせるための複数のピニオン磁石を有する回転可能な第3磁気ピニオンとを備えることを特徴とする請求項3に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記第1シャフトには、前記第1磁気ラックとの間で、磁気吸着力を生じさせるための複数のピニオン磁石を有する回転可能な第4磁気ピニオンとを備えることを特徴とする請求項3に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記基板支持体上で、かつ前記第1磁気ラックとは反対側に配置された、直線的に並べられた複数のラック磁石を有する第2磁気ラックと、
複数のピニオン磁石を有する、回転軸に対して回転可能な第4磁気ピニオンであって、前記第2磁気ラックの一方の側に配置され、前記第2磁気ラックとの間に前記回転軸方向で磁気結合された第4磁気ピニオンと、
複数のピニオン磁石を有する、前記回転軸に対して回転可能な第5磁気ピニオンであって、前記第4磁気ピニオンの第2シャフトと接続され、かつ前記第2磁気ラックの他方の側に配置され、前記第2磁気ラックとの間において前記回転軸方向で磁気結合された前記第5磁気ピニオンと、
前記第2シャフト上に設けられ、前記第2磁気ラックとの間で、磁気吸着力を生じさせるための複数のピニオン磁石を有する回転可能な第6磁気ピニオンと
を備えることを特徴とする請求項6に記載の搬送装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−21036(P2013−21036A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151341(P2011−151341)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000227294)キヤノンアネルバ株式会社 (564)
【Fターム(参考)】