説明

搬送装置

【課題】前工程から物品を円滑に引き継ぐと共に、不具合が発生した場合に早急に復旧できる搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置10は、プロセスチーズXA1が搬送される搬送面21を有し、当該搬送面21にあって前工程からプロセスチーズXA1が供給される上流域21bに、前記搬送面21の下方が視認可能なスリット21aが形成されており、当該スリット21aを塞ぐ渡り板19が、前記搬送面21に対して磁石20により着脱可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送面上の物品を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロセスチーズを包装する包装ラインでは、アルミホイルで内包装されたプロセスチーズが台紙に載置され、プラスチックの袋で外包装される(例えば、特許文献1参照)。プロセスチーズの台紙への載置は、プロセスチーズ用の搬送面と、台紙用の搬送面と、を備える搬送装置によって、包装機に向けて搬送されながら行われる(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
このような搬送装置として、例えば、図5(A)、図5(B)、および図5(C)に示す搬送装置100が実用化されている。図5(A)は、搬送装置100を側方から視た断面図である。図5(B)は、搬送装置100を上流側から下流側(図5(A)における右側から左側)に視た断面図である。図5(C)は、搬送装置100の上面図である。なお、各図において、一部の構成の図示を適宜省略して、図面を簡略化している。
【0004】
この搬送装置100は、台紙YA1単体、または台紙YA1に載置されたプロセスチーズXA1を搬送するフィンガーコンベア101と、プロセスチーズXA1を搬送するオーバーヘッドコンベア102と、を備えている。
【0005】
フィンガーコンベア101は、一対の搬送面形成部材103と、複数のフィンガー104と、を備えている。一対の搬送面形成部材103は、幅方向に離間して配置され、プロセスチーズXA1用の搬送面105と、台紙YA1用の搬送面106と、を形成する。搬送面105には、搬送方向に沿ったスリット105aが形成される。搬送面106には、搬送面105と同様、搬送方向に沿ったスリット106aが形成される。
【0006】
プロセスチーズXA1用の搬送面105は、台紙YA1用の搬送面106の上方に位置する。この搬送面105は、搬送面106と比較して、搬送方向の長さが短く設定されており、さらに、下流側の領域が下方に傾斜したスロープ105bを形成する。スロープ105bは、オーバーヘッドコンベア102によって搬送されるプロセスチーズXA1を搬送面106へ誘導する。
【0007】
搬送面106へ誘導されたプロセスチーズXA1は、台紙YA1に載置される。複数のフィンガー104は、スリット106aを介して搬送面106の上方に突出して、スリット106aに沿って走行する。これら複数のフィンガー104は、搬送面106上の台紙YA1、あるいは台紙YA1に載置されたプロセスチーズXA1を押送する。
【0008】
オーバーヘッドコンベア102は、複数の押し板107を備えている。複数の押し板107は、搬送面105に向けて突出し、フィンガーコンベア101の複数のフィンガー104に同期して搬送面105上を走行する。これら複数の押し板107は、搬送面105上のプロセスチーズXA1を押送する。
【0009】
以上の搬送装置100によれば、台紙YA1は、フィンガーコンベア101のフィンガー104によって、搬送面106上を押送される。プロセスチーズXA1は、オーバーヘッドコンベア102の押し板107によって、搬送面105上を押送される。そして、プロセスチーズXA1は、スロープ105bによって搬送面106へ誘導され、台紙YA1に載置される。台紙YA1に載置されたプロセスチーズXA1は、フィンガーコンベア101のフィンガー104によって、搬送面106上を押送され、包装機(図示省略)に向けて搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−173303号公報(図1参照)
【特許文献2】実開昭49−012680号公報(第1図〜第6図参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
包装ラインのレイアウトによっては、プロセスチーズXA1は、搬送面105に対して側方から供給される。この場合、プロセスチーズXA1がスリット105aにつかえてしまうことがある。すなわち、前工程からプロセスチーズXA1を円滑に引き継げないことがある。
【0012】
そこで、スリット105aを塞いだり、そもそもスリット105aを形成しなかったりすることが考えられる。しかしながら、スリット105aを塞いだり、スリット105aを形成しなかったりした場合、搬送面105の下方を確認できない。
【0013】
このため、台紙YA1が詰まる等、搬送面105の下方で不具合が発生した場合に早急に復旧させることができず、搬送装置100を長時間停止させる必要がある。このような問題は、プロセスチーズXA1を搬送する搬送装置100に限られず、その他の食品や日用品等の各種物品を搬送する搬送装置に共通して存在する。
【0014】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、前工程から物品が供給される搬送面に開口部が形成されている搬送装置であって、前工程から物品を円滑に引き継げると共に、不具合が発生した場合であっても早急に復旧できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)本発明は、物品が搬送される搬送面を有し、当該搬送面にあって前工程から物品が供給される箇所に、前記搬送面の下方が視認可能な開口部が形成されており、当該開口部を塞ぐ渡り板が、前記搬送面に対して磁石により着脱可能に設けられていることを特徴とする、搬送装置である。
【0016】
本発明によれば、渡り板によって開口部を塞ぐことができるため、前工程から送り込まれる物品が開口部につかえてしまうことが防止される。すなわち、前工程から物品を円滑に引き継げる。
【0017】
そして、渡り板が磁石によって着脱可能に設けられているので、搬送面の下方の様子を容易に確認することができ、また、搬送面の下方で不具合が発生した場合に早急に復旧できる。また、磁石を利用しているので、簡単な構成でありながら、渡り板を確実に固定できる。
【0018】
(2)本発明はまた、前記搬送面は、前記渡り板を嵌め込ませる窪みを有することを特徴とする、上記(1)に記載の搬送装置である。
【0019】
上記発明によれば、窪みによって、渡り板を配置する位置が特定される。これにより、渡り板を搬送面から取り外した場合であっても、その渡り板の再現性が確保される。
【0020】
(3)本発明はまた、前記渡り板の厚みは、前記窪みの深さと比較して大きいことを特徴とする、上記(2)に記載の搬送装置である。
【0021】
上記発明によれば、窪みに嵌め込まれた渡り板の上端を、搬送面よりも上方に位置させられる。これにより、渡り板に送り込まれた物品を、窪みにつかえさせることなく円滑に搬送できる。
【0022】
(4)本発明はまた、前記搬送面は、前記磁石を埋め込ませる穴が前記磁石の厚みに比して深く設けられていることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の搬送装置である。
【0023】
上記発明によれば、穴の深さを磁石の厚みと比較して深くすることで、磁石の上端を、搬送面よりも下方に位置させられる。これにより、磁石に対して間隔を空けて渡り板を貼り付けられる。ひいては、確実に固定されている渡り板を人手によって簡単に剥がせる。
【0024】
(5)本発明はまた、前記搬送面を第1の搬送面とし、前記開口部が前記第1の搬送面の幅方向中央部に搬送方向に沿って形成され、前記第1の搬送面の下方には第2の搬送面が搬送方向を一致させ且つ前記第1の搬送面より搬送方向に長く設けられるとともに、前記第2の搬送面上の物品を押送する第1の押送部材が配設され、当該第1の押送部材は前記第1の搬送面の前記渡り板の下流側において前記開口部から上部が突出するように配置されていることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の搬送装置である。
【0025】
上記発明によれば、第1の搬送面で搬送される物品を、第2の搬送面で搬送される物品上に搬送しながら確実に載置することができる。
【0026】
(6)本発明はまた、前記第1の搬送面の上側を移動しつつ物品を押し進め前記開口部から突出した前記第1の押送部材に受け渡す第2の押送部材を具備することを特徴とする、上記(5)に記載の搬送装置である。
【0027】
上記発明によれば、第1の搬送面に供給された物品を前記押送部材にスムーズに引き継がせることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の上記(1)〜(6)に記載の搬送装置によれば、前工程から物品を円滑に引き継げると共に、不具合が発生した場合であっても早急に復旧できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】(A)は本発明に係る搬送装置を側方から視た断面図であり、(B)は(A)に示す搬送装置を上流側から下流側に視た断面図であり、(C)は(A)に示す搬送装置の上面図である。
【図2】搬送面形成ユニットの外観斜視図である。
【図3】搬送面形成ユニットの要部を側方から視た拡大断面図である。
【図4】前工程から送り込まれるプロセスチーズによる搬送装置の作用を説明する図であり、(A)は第1の搬送面にプロセスチーズが送り込まれる前の状態を示し、(B)は第1の搬送面にプロセスチーズが送り込まれている途中の状態を示し、(C)は第1の搬送面にプロセスチーズが送り込まれた後の状態を示す。
【図5】(A)は従来の搬送装置を側方から視た断面図であり、(B)は(A)に示す搬送装置を上流側から下流側に視た断面図であり、(C)は(A)に示す搬送装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の搬送装置について詳細に説明する。
【0031】
まず、図1〜図3を用いて搬送装置10の構成について説明する。図1(A)は、搬送装置10を側方から視た断面図である。図1(B)は、搬送装置10を上流側から下流側(図1(A)における右側から左側)に視た断面図である。図1(C)は、搬送装置10の上面図である。図2は、搬送面形成ユニット13の外観斜視図である。図3は、搬送面形成ユニット13の要部を側方から視た拡大断面図である。なお、各図において、一部の構成の図示を適宜省略して、図面を簡略化する。
【0032】
図1に示す搬送装置10は、アルミホイルで内包装された複数のプロセスチーズXA1を集積して、台紙YA1と共にプラスチックの袋(図示省略)でまとめて外包装するライン(図示省略)に設置される。この搬送装置10には、前工程から4個のプロセスチーズXA1が順次送り込まれる。
【0033】
そして、搬送装置10は、前工程から送り込まれた4個のプロセスチーズXA1を、順次包装機(図示省略)に向けて搬送しながら台紙YA1と合流させて、当該台紙YA1に載置する。台紙YA1は、一列に並べられた4個のプロセスチーズXA1を載置できる大きさを有する。
【0034】
なお、本実施形態では、プロセスチーズXA1を搬送する場合を例に説明するが、本発明の搬送装置は、その他の食品や日用品等の各種物品を搬送する場合に使用可能である。また、本実施形態では、台紙YA1に載置する場合を例に説明するが、本発明の搬送装置は、脱酸素剤(例えば、エージレス(登録商標))や乾燥剤(例えば、シリカゲル)等の各種物品に載置する場合に使用可能である。
【0035】
搬送装置10は、台紙YA1単体、または台紙YA1に載置されたプロセスチーズXA1を搬送するフィンガーコンベア11と、プロセスチーズXA1を搬送するオーバーヘッドコンベア12と、を備えている。
【0036】
フィンガーコンベア11は、搬送面形成ユニット13と、一組のスプロケット14,15と、これら一組のスプロケット14,15に引っ掛けられて走行する環状のチェーン16と、このチェーン16に等間隔のピッチで取り付けられた複数のフィンガー17と、動力源となるモータ(図示省略)と、を備えている。
【0037】
図2に示すように、搬送面形成ユニット13は、幅方向に離間してスリット21a,22aを形成するように配置される一対の搬送面形成部材18と、スリット21aに架け渡される渡り板19と、この渡り板19固定用の4個の磁石20と、を備えている。
【0038】
一対の搬送面形成部材18は、プロセスチーズXA1が搬送される第1の搬送面21と、台紙YA1が搬送される第2の搬送面22と、を形成する。第1の搬送面21には、幅方向中央部に搬送方向に沿った開口部となるスリット21aが形成される。第2の搬送面22には、第1の搬送面21と同様、幅方向中央部に搬送方向に沿った開口部となるスリット22aが形成される。各スリット21a,22aは、上下方向に貫通し、下方が視認可能となる。
【0039】
プロセスチーズXA1用の第1の搬送面21は、台紙YA1用の第2の搬送面22の上方に沿って搬送方向を一致させるように位置する。この第1の搬送面21は、第2の搬送面22と比較して短く設定されている。具体的に、第1の搬送面21は、上流側の上流域21bと、この上流域21bに連続して下方に傾斜したスロープ21cと、このスロープ21cに連続する下流側の下流域21dと、を備えている。
【0040】
図2および図3に示す上流域21bは、前工程からプロセスチーズXA1が送り込まれる領域として機能する。この上流域21bは、略矩形状に形成された窪み21eと、この窪み21eの四隅に形成された四つの穴21fと、を有する。
【0041】
窪み21eは、渡り板19と比較して一回り大きい広さを有し、かつ、渡り板19の厚みHと比較して小さい深さD(<H)を有する。この窪み21eには、渡り板19が嵌め込まれる。
【0042】
四つの穴21fは、それぞれ、磁石20と比較して一回り大きい広さを有し、かつ、磁石20の厚みhと比較して大きい深さd(>h)を有する。これら四つの穴21fには、それぞれ、磁石20が一つずつ埋め込まれてネジ(図示省略)で固定される。
【0043】
渡り板19は、略矩形状に形成された板であり、窪み21eと比較して一回り小さい広さを有する。この渡り板19は、SUS430等の磁性を有する材料、すなわち、磁石20に貼り付く材料からなる。すなわち、渡り板19は、磁石20によって、第1の搬送面21の窪み21eに着脱可能に固定される。
【0044】
これにより、渡り板19は、スリット21aの一部に架け渡される。すなわち、スリット21aは、渡り板19が架け渡される渡し領域(符号省略)と、それ以外の領域(符号省略)と、に区分できる。渡し領域以外の大部分の領域は、後述するように、フィンガー17を第1の搬送面21の下方から上方に突出させる突出領域として機能する。
【0045】
スロープ21cは、オーバーヘッドコンベア11によって搬送されるプロセスチーズXA1を、下流域21dを経由して第2の搬送面22へ誘導する。下流域21dは、スロープ21cにおいて下方に傾斜したプロセスチーズXA1を水平にしてから第2の搬送面22へ誘導する。
【0046】
図1に戻って説明する。台紙YA1用の第2の搬送面22には、上流から台紙YA1が送り込まれる。また、この第2の搬送面22には、下流において、第1の搬送面21からプロセスチーズXA1が4個単位で送り込まれる。
【0047】
一方のスプロケット14は、モータの駆動によって定常回転する。他方のスプロケット15は、チェーン16の定常走行によって、スプロケット14に連動して定常回転する。チェーン16は、スプロケット14の定常回転によって循環するように定常走行する。
【0048】
複数のフィンガー17は、スリット22aを介して第2の搬送面22の下方から上方に突出する。これら複数のフィンガー17は、チェーン16の定常走行によって、第2の搬送面22上を定常走行する。これにより、複数のフィンガー17は、第1の押送部材として機能して、上流側の領域で、第1の搬送面21上のプロセスチーズXA1単体を押送すると同時に、第2の搬送面22上の台紙YA1単体を押送する。あるいは、複数のフィンガー17は、下流側の領域で、台紙YA1に載置されたプロセスチーズXA1を台紙YA1と共に押送する。
【0049】
また、複数のフィンガー17は、スロープ21cの途中から下流域21dにかけて、スリット21aを介して第1の搬送面21の下方から上方に突出する。すなわち、複数のフィンガー17は、スロープ21cの途中から下流域21dにかけて、第1の搬送面21上を定常走行する。これにより、複数のフィンガー17は、スロープ21cの途中から下流域21dにかけて、第1の搬送面21上のプロセスチーズXA1を包装機(図示省略)に向けて押送する。
【0050】
オーバーヘッドコンベア12は、フィンガーコンベア11の斜め上方に配置される。すなわち、オーバーヘッドコンベア12は、フィンガーコンベア11における上流域21bからスロープ21cの途中までの領域の斜め上方において、搬送方向に沿って配置される。
【0051】
具体的に、オーバーヘッドコンベア12は、一組のプーリ23,24と、これら一組のプーリ23,24に引っ掛けられて走行する環状のベルト25と、このベルト25に等間隔のピッチで取り付けられた複数のフィンガー26と、動力源となるモータ(図示省略)と、を備えている。
【0052】
一方のプーリ23は、モータの動力によって定常回転する。他方のプーリ24は、ベルト25の走行によって、プーリ23に連動して定常回転する。ベルト25は、プーリ23の定常回転によって循環するように定常走行する。ベルト25の走行速度は、フィンガーコンベア11におけるチェーン16の走行速度と同じとなるように設定されている。
【0053】
複数のフィンガー26は、第1の搬送面21に向けて突出する。これら複数のフィンガー26は、ベルト25の定常走行によって、第1の搬送面21における上流域21bからスロープ21cの途中までの領域上を定常走行する。これにより、複数のフィンガー26は、第2の押送部材として機能して、上流域21bからスロープ21cの途中までの領域で、第1の搬送面21上のプロセスチーズXA1を押送し、当該プロセスチーズXA1をフィンガーコンベア11のフィンガー17に受け渡す。
【0054】
次に、搬送装置10の基本動作について、図1に基づいて説明する。
【0055】
上流から送り込まれた台紙YA1は、フィンガーコンベア11のフィンガー17によって、第2の搬送面22上を押送される。前工程から送り込まれたプロセスチーズXA1は、オーバーヘッドコンベア12のフィンガー26によって、第1の搬送面21上を押送される。すなわち、プロセスチーズXA1は、前工程から上流域21bに送り込まれ、フィンガー26によって、上流域21bからスロープ21cに押送される。スロープ21cに押送されたプロセスチーズXA1は、フィンガーコンベア11のフィンガー17に引き継がれ、スロープ21cから下流域21dに押送される。その後、プロセスチーズXA1は、第2の搬送面22に誘導され、台紙YA1に載置される。台紙YA1に載置されたプロセスチーズXA1は、フィンガーコンベア11のフィンガー17によって、台紙YA1と共に押送され、包装機(図示省略)に向けて搬送される。
【0056】
次に、前工程から送り込まれるプロセスチーズXA1による搬送装置10の作用について、図4(A)〜図4(C)に基づいて説明する。図4(A)は、第1の搬送面21にプロセスチーズXA1が送り込まれる前の状態を示す。図4(B)は、第1の搬送面21にプロセスチーズXA1が送り込まれている途中の状態を示す。図4(C)は、第1の搬送面21にプロセスチーズXA1が送り込まれた後の状態を示す。
【0057】
図4(A)に示すように、プロセスチーズXA1は、上流域21bの側方から送り込まれる。そして、図4(B)に示すように、プロセスチーズXA1は、上流域21bに固定されている渡り板19に誘導される。結果、図4(C)に示すように、プロセスチーズXA1は、渡り板19に載置されて、送込みが完了する。
【0058】
このように、搬送装置10によれば、渡り板19によってスリット21aを塞げる。これにより、前工程から送り込まれるプロセスチーズXA1がスリット21aにつかえてしまうことが防止される。すなわち、前工程からプロセスチーズXA1を円滑に引き継げる。
【0059】
そして、渡り板19が磁石20によって着脱可能に設けられているので、台紙YA1が詰まる等、第1の搬送面21の下方で不具合が発生した場合に早急に復旧できる。また、磁石20を利用しているので、簡単な構成でありながら、渡り板19を確実に固定できる。
【0060】
さらに、第1の搬送面21が渡り板19を嵌め込ませる窪み21eを有するから、その窪み21eによって、渡り板19を架け渡す位置が特定される。これにより、渡り板19を第1の搬送面21から取り外した場合であっても、その渡り板19の再現性が確保される。
【0061】
次いで、渡り板19の厚みHが窪み21eの深さDと比較して厚い(H>D)から、窪み21eに嵌め込まれた渡り板19の上端を、第1の搬送面21よりも上方に位置させられる。これにより、渡り板19に送り込まれたプロセスチーズXA1を、窪み21eにつかえさせることなく円滑に搬送できる。
【0062】
そして、磁石20を埋め込ませる穴21fの深さdが磁石20の厚みhと比較して深い(d>h)から、磁石20の上端を、窪み21eの底面よりも下方に位置させられる。これにより、磁石20に対して間隔を空けて渡り板19を貼り付けられる。ひいては、確実に固定されている渡り板19を人手によって簡単に剥がせる。
【0063】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨および技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0064】
すなわち、上記実施形態において、4個のプロセスチーズXA1を単位として送り込まれる場合を例に説明したが、個数はこれに限定されず、1個〜3個、または5個以上を単位として送り込まれるようにしてもよい。
【0065】
あるいは、上記実施形態において、プロセスチーズXA1を搬送しながら台紙YA1に載置する搬送装置10を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、各種物品を単に搬送するフィンガーコンベア等の搬送装置であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 搬送装置
17 フィンガー(第1の押送部材)
19 渡り板
20 磁石
21 搬送面(第1の搬送面)
21a スリット(開口部)
21b 上流域
21e 窪み
22 搬送面(第2の搬送面)
26 フィンガー(第2の押送部材)
XA1 プロセスチーズ(物品)
H 厚み
D 深さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が搬送される搬送面を有し、当該搬送面にあって前工程から物品が供給される箇所に、前記搬送面の下方が視認可能な開口部が形成されており、当該開口部を塞ぐ渡り板が、前記搬送面に対して磁石により着脱可能に設けられていることを特徴とする、
搬送装置。
【請求項2】
前記搬送面は、前記渡り板を嵌め込ませる窪みを有することを特徴とする、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記渡り板の厚みは、前記窪みの深さと比較して大きいことを特徴とする、
請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送面は、前記磁石を埋め込ませる穴が前記磁石の厚みに比して深く設けられていることを特徴とする、
請求項1〜3のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項5】
前記搬送面を第1の搬送面とし、前記開口部が前記第1の搬送面の幅方向中央部に搬送方向に沿って形成され、前記第1の搬送面の下方には第2の搬送面が搬送方向を一致させ且つ前記第1の搬送面よりも搬送方向に長く設けられるとともに、前記第2の搬送面上の物品を押送する第1の押送部材が配設され、当該第1の押送部材は前記第1の搬送面の前記渡り板の下流側において前記開口部から上部が突出するように配置されていることを特徴とする、
請求項1〜4のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
前記第1の搬送面の上側を移動しつつ物品を押し進め前記開口部から突出した前記第1の押送部材に受け渡す第2の押送部材を具備することを特徴とする、
請求項5に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−23380(P2013−23380A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163018(P2011−163018)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】