説明

搬送装置

【課題】リターンベルトから落下する材料がフレームに付着することを確実に防止することができる搬送装置を提供する
【解決手段】所定区間に架設され搬送方向に延在するフレーム2と、フレーム2の延在方向の両端部に設置された一対のプーリと、一対のプーリに無端状に巻装されたベルト3と、を備える。ベルト3は、材料(鉄鉱石、石炭、スラグおよび石灰などの粒状体および粉粒体)10を搬送する側のキャリアベルト31がフレーム2に支持されたキャリアローラ32上を移動し、材料10を搬送する側と反対側のリターンベルト33がフレーム2に支持されたリターンローラ34上移動している。リターンベルト33は、フレーム2の下端部よりも下方に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄鉱石、石炭、スラグおよび石灰などの粒状体および粉粒体を所定区間において搬送するための搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製鉄所やセメント工場などでは、鉄鉱石、石炭、スラグおよび石灰などの粒状体および粉粒体をベルトコンベア(搬送装置)で搬送している。このような施設に設けられるベルトコンベアとしては、上面トラスと下面トラスとからなるフレーム内に設けられた一対のプーリに無端状のベルトが巻装された構造のものが使用されているのが一般的である。
また、上記施設では、上記ベルトコンベアが敷地内に相当数設けられているうえ、架設位置も高くなっていることから、維持管理に係る作業効率を向上させて、作業時間やコストを低減させることが求められている現状がある。例えば、ベルトコンベアには、搬送される材料がベルトから落下してフレームに付着するとフレームが腐食する原因となっている。そのため、材料が付着したフレームを頻繁に清掃する必要があることから、ベルトからの材料の落下を防止する対策が行われている。特に、ベルトのうち材料を搬送する側のキャリアベルトと反対側のリターンベルトは、材料を搬送する搬送面が下側となる向きで移動し、リターンベルトに付着している材料が落下しやすいため、リターンベルトからの材料の落下を防止する対策が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、リターンローラが、その中央部が欠如していてリターンベルトの側方のみを支持しており、リターンベルトとリターンローラとの接触面を減少させることで材料の落下を抑制しているベルトコンベアが開示されている。
また、特許文献2には、リターンベルトの略全長を、強制的に搬送面が内側となるように円筒状に変形することで材料の落下を防止しているベルトコンベアが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−301935号公報
【特許文献2】特開平6−64729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のベルトコンベアでは、リターンローラの中央部が欠如していても、リターンベルトからの材料の落下を削減する効果は十分ではなく、フレームに材料が付着することを確実に防止することができない。
また、特許文献2のベルトコンベアでは、リターンベルトを強制的に円筒状に変形させることによりベルトにひずみが生じるため、ベルトの寿命を縮める可能性があるとともに、ベルトの点検や修理・交換などの維持管理に労力や費用がかかることになる。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、リターンベルトから落下する材料がフレームに付着することを確実に防止することができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る搬送装置は、鉄鉱石、石炭、スラグおよび石灰などの粒状体および粉粒体を所定区間において搬送するための搬送装置であって、所定区間に架設され搬送方向に延在するフレームと、該フレームの延在方向の両端部に設置された一対のプーリと、該一対のプーリに無端状に巻装されたベルトと、を備え、該ベルトは、前記材料を搬送する側のキャリアベルトが前記フレームに支持されたキャリアローラ上を移動し、前記材料を搬送する側と反対側のリターンベルトが前記フレームに支持されたリターンローラ上移動していて、前記リターンベルトは、前記フレームの下端部よりも下方に位置していることを特徴とする。
【0008】
本発明では、リターンベルトは、フレームの下端部よりも下方に位置していることにより、リターンベルトの下面側に付着していた材料がリターンベルトから落下しても、その材料がフレームを構成する部材に付着することを確実に防止することができる。
【0009】
また、本発明に係る搬送装置では、前記キャリアローラおよび前記リターンローラは、前記フレームの構造材であって該フレームの下端部側に設けられて該フレームの延在方向に延在する下弦材に支持されていてもよい。
このようにすることにより、キャリアローラおよびリターンローラがフレームに確実に支持される。
【0010】
また、本発明に係る搬送装置では、前記フレームの構造材は、前記キャリアローラが取り付けられて前記フレームに固定されるキャリアローラ架台を兼ねていてもよい。
このようにすることにより、搬送装置の構造を簡便にすることができる。
【0011】
また、本発明に係る搬送装置では、前記キャリアローラおよび前記リターンローラは、前記フレームの構造材であって該フレームの上端部側に設けられて該フレームの延在方向と直交する方向に延在する水平束材より吊り下げられて支持されていてもよい。
このようにすることにより、キャリアローラおよびリターンローラがフレームに確実に支持される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、リターンベルトは、フレームの下端部よりも下方に位置していることにより、リターンベルトに付着していた材料がリターンベルトから落下しても、その材料がフレームを構成する部材に付着することを確実に防止することができるため、フレームの腐食を防止することができるとともに、フレームの清掃作業、点検作業および補修・補強を少なくすることが可能となり、搬送装置の維持管理にかかる労力の軽減およびコストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態による搬送装置の一例を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態による搬送装置の一例を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態による搬送装置の変形例を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態による搬送装置の他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による搬送装置について、図1に基づいて説明する。
図1に示す第1実施形態による搬送装置1Aは、例えば、製鉄所やセメント工場などの施設で、鉄鉱石、石炭、スラグおよび石灰などの粒状体および粉粒体(以下、材料10とする)を所定区間において搬送するために設置されている。
搬送装置1Aは、所定区間に架設され搬送方向(図1の紙面に直交する方向)に延在するフレーム2と、フレーム2の延在方向の両端部に設置された一対のプーリ(不図示)と、一対のプーリに無端状に巻装されたベルト3と、を備えている。
【0015】
フレーム2は、例えば、トラスフレーム構造やギャラリーフレーム構造などの搬送方向に延びる略直方体の枠体に形成され、枠体の上面を構成する上面トラス21と、下面を構成する下面トラス22と、延在方向に沿った側面を構成する一対の側面トラス23,23とを備えている。
上面トラス21の両端部21a,21aには、フレーム2の延在方向に延びる一対の上弦材24,24が配されて、下面トラス22の両端部22a,22aには、フレーム2の延在方向に延びる一対の下弦材25,25が配されている。
【0016】
そして、一対の上弦材24,24間には、上弦材24の延在方向に直交する水平方向に延びる複数の上面水平束材26が配され、上面水平束材26は一対の上弦材24,24にそれぞれ固定されている。また、一対の下弦材25,25間には、下弦材25の延在方向に直交する水平方向に延びる下面水平束材27が配され、下面水平束材27は一対の下弦材25,25にそれぞれ固定されている。
この上面水平束材26および下面水平束材27は、フレーム2の延在方向に所定の間隔をあけて複数配列されている。
【0017】
ベルト3は、材料10を搬送する側のキャリアベルト31がフレーム2に支持されたキャリアローラ32上を移動し、材料10を搬送する側と反対側のリターンベルト33がフレーム2に支持されたリターンローラ34上を移動している。
【0018】
キャリアローラ32は、フレーム2の略全長にわたって、フレーム2の延在方向に互いに所定の間隔をあけて複数配列されている。また、キャリアローラ32は、フレーム2の延在方向に直交する水平方向に3つのローラ体32a,32b,32cに分割されていて、中央部に位置するローラ体32bが、両端部に位置するローラ体32a,32cよりも下側で、両端部のローラ体32a,32cが中央部のローラ体32bに向かって下側に傾斜するように配されている。
【0019】
このため、キャリアローラ32上のキャリアベルト31は、材料10が載置されると、キャリアローラ32に沿って中央部が下側に窪んだ状態となる。
このようなキャリアローラ32は、下面水平束材27にキャリアローラ支持材35を介して下弦材25に支持されている。これにより、一対のキャリアローラ32は下弦材25,25に支持されている。
【0020】
通常、キャリアローラ32は、フレーム2の延在方向に直交する方向に延びるキャリアローラ架台42(図2参照)にキャリアローラ支持材35を介して固定され、このキャリアローラ架台42がフレーム2に支持されている。
本実施形態では、下面水平束材27がこのキャリアローラ架台42を兼ねている。
【0021】
リターンローラ34は、フレーム2の略全長にわたって、フレーム2の延在方向に互いに所定の間隔をあけて複数配列されている。
また、リターンローラ34は、リターンローラ支持材36を介して下弦材25,25に吊り下げ支持されている。このため、リターンローラ34は、下面トラス22よりも下方に配されている。
このとき、リターンローラ34上のリターンベルト33も下面トラス22よりも下方に配されている。
【0022】
次に、上述した搬送装置1Aの作用効果について図面を用いて説明する。
第1実施形態による搬送装置1Aによれば、リターンベルト33がフレーム2の下端部の下面トラス22よりも下方に配されているため、リターンベルト33の下面側に付着した材料10が落下して、その材料10がフレーム2に付着するを確実に防止することができる。
そして、フレーム2に材料10が付着することを確実に防止することができることにより、フレーム2の腐食を防止することができ、搬送装置1Aの維持管理にかかる労力の軽減およびコストの削減を図ることができる。
また、下面水平束材27がキャリアローラ架台42を兼ねていることにより、搬送装置1Aの構造を簡略化することができる。
【0023】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図2に示すように、第2実施形態による搬送装置1Bは、キャリアローラ32およびリターンローラ34が一対の吊り下げ部材41,41を介して上面トラス21の上面水平束材26に支持されている。
一対の吊り下げ部材41,41は、鉛直方向に延びる棒状の鋼材で、上端部41aが上面水平束材26に固定され、下端部41bが下面トラス22の下方に位置している。
一対の吊り下げ部材41,41は、上面水平束材26の両端部26a,26a側にそれぞれ固定されている。
【0024】
第2実施形態による搬送装置1Bでは、キャリアローラ32は、フレーム2の延在方向に直交する方向に延びるキャリアローラ架台42にキャリアローラ支持材35を介して固定されている。
そして、一対の吊り下げ部材41,41の下端部41b間にはキャリアローラ架台42が設置され、キャリアローラ架台42の両端部が一対の吊り下げ部材41,41の下端部41bに固定されている。また、一対の吊り下げ部材41,41の下端部41bには、リターンローラ支持材36が固定されている。
そして、キャリアベルト31およびリターンベルト33は、キャリアローラ32およびリターンローラ34上に設置されると、下面トラス22よりも下方に位置している。
【0025】
第2実施形態による搬送装置1Bでは、リターンベルト33がフレーム2の下端部の下面トラス22よりも下方に配されているため、リターンベルト33に付着した材料10が落下して、フレーム2に付着することを確実に防止することができる。
そして、フレーム2に材料10が付着することを確実に防止することができることにより、フレーム2の腐食を防止することができ、搬送装置1Bの維持管理にかかる労力の軽減およびコストの削減を図ることができる。
さらに、第2実施形態では、キャリアベルト31もフレーム2の下端部の下面トラス22よりも下方に配されているため、キャリアベルト31から落下した材料10がフレーム2に付着することを確実に防止することができる。
【0026】
以上、本発明による搬送装置1A,1Bの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、キャリアローラ32およびリターンローラ34が、下弦材25または上面水平束材26に支持されているが、下弦材25または上面水平束材26に代わって、上弦材24や下面水平束材27などのフレーム2の構成部材に支持されていてもよい。
【0027】
また、上述した第2実施形態では、キャリアローラ32およびリターンローラ34が下面トラス22よりも下方に配されているが、図3に示す搬送装置1Cのように、キャリアローラ32は、下面トラス22よりも上方に位置し、リターンローラ34が下面トラス22よりも下方に位置するように構成されていてもよい。
また、上述した第2実施形態では、キャリアローラ32およびリターンローラ34が、一対の吊り下げ部材41,41を介して上面水平束材26に吊り下げ支持され、下面トラス22よりも下方に配されているが、図4に示す搬送装置1Dのように、キャリアローラ32およびリターンローラ34が、一対の吊り下げ部材41,41を介して下弦材25に吊り下げ支持され、下面トラス22よりも下方に配されていてもよい。
また、上述した実施形態では、搬送装置1Aは、製鉄所やセメント工場などの施設で、材料10を所定区間において搬送するために設置されているが、上記施設に代わって、例えば、材料10を採掘する際の鉱山などの現場における搬送区間や、材料10を船への積み込む際の搬送区間、材料10を船から荷下ろしする際の搬送区間などに設置されてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1A,1B,1C 搬送装置
2 フレーム
3 ベルト
10 材料(鉄鉱石、石炭、スラグおよび石灰などの粒状体および粉粒体)
25 下弦材
26 上面水平束材
31 キャリアベルト
32 キャリアローラ
33 リターンベルト
34 リターンローラ
42 キャリアローラ架台


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄鉱石、石炭、スラグおよび石灰などの粒状体および粉粒体を所定区間において搬送するための搬送装置であって、
所定区間に架設され搬送方向に延在するフレームと、
該フレームの延在方向の両端部に設置された一対のプーリと、
該一対のプーリに無端状に巻装されたベルトと、を備え、
該ベルトは、前記材料を搬送する側のキャリアベルトが前記フレームに支持されたキャリアローラ上を移動し、前記材料を搬送する側と反対側のリターンベルトが前記フレームに支持されたリターンローラ上移動していて、
前記リターンベルトは、前記フレームの下端部よりも下方に位置していることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記キャリアローラおよび前記リターンローラは、前記フレームの構造材であって該フレームの下端部側に設けられて該フレームの延在方向に延在する下弦材に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記フレームの構造材は、前記キャリアローラが取り付けられて前記フレームに固定されるキャリアローラ架台を兼ねていることを特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記キャリアローラおよび前記リターンローラは、前記フレームの構造材であって該フレームの上端部側に設けられて該フレームの延在方向と直交する方向に延在する水平束材より吊り下げられて支持されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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