説明

搬送装置

【課題】防塵設計のために要する部材の点数増加を抑制する搬送装置を提供する。
【解決手段】レール11、11a上を進退する走行台車12と、走行台車12に立設された支柱13、13a、13b、13cのガイド部にガイドローラ14を当接させて支柱13、13a、13b、13cに沿って昇降するキャリッジ15と、ガイド部を覆う支柱側防塵機構16とを備えた搬送装置10において、レール11、11aは、複数設けられ互いに距離を有して配置され、走行台車12と共に、支柱13、13a、13b、13cの通過領域を除いてカバーリング20によって覆われ、支柱13、13aの通過領域及び支柱13b、13cの通過領域をそれぞれ覆うスクリーン29、29aをカバーリング20に張設し、支柱13、13aには、スクリーン29が挿通する貫通孔30を設け、支柱13b、13cには、スクリーン29aが挿通する貫通孔30を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を所定の場所に搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫内や工場内では、物品を所定の場所に搬送する搬送装置が用いられている。
例えば、複数の収納棚を備えるラックが間隔を有して対向配置された自動倉庫では、搬送装置を用いて一方のラックから他方のラックへの物品の移動が行われる。搬送装置は、走行レール上を進退する走行台車と、走行台車に立設された支柱に沿って昇降するキャリッジとを備え、このキャリッジに一方のラックの収納棚から取り出した物品を載せ他方のラックの収納棚まで運んで物品を移動する。
また、搬送装置には、上部にガイドレールを備え、走行レールを一本のみにしたものがあり、その具体例が特許文献1、2に記載されている。
【0003】
特許文献1、2の搬送装置(スタッカークレーン)は、上部のガイドレールに、支柱(マスト)に設けられたガイドローラを当接した状態で走行台車が進退するので、走行レールは一本であるが、支柱は転倒することなく走行台車と共に移動する。
なお、特許文献1の搬送装置は2本の支柱を備えたタイプのものであり、特許文献2の搬送装置は1本の支柱を備えている。
【0004】
また、自動倉庫は、ラックに収納される物品の種類によっては高水準なクリーン環境(例えば、FED規格でクラス10、000のクリーン度)が求められる場合もある。
一般的に、摩擦力を受けながら可動する部分は塵を生じさせるので、その部分を覆う部材やその部分で発生する塵を吸込む機構を設けることは、クリーン度確保のために有効である。
特許文献2では、走行台車と走行レール(下部ガイドレール)の摺動部がケーシングによって覆われ、更に動摩擦力を受けながら上部のガイドレールを転動するガイドローラから発生する塵は、ファンの作動により生じる気流によって搬送装置の外部に飛散しないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−100387号公報
【特許文献2】特開平5−238505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、塵の発生部分が互いに距離を有した場所に点在している場合には、搬送装置の複数箇所で防塵設計を施す必要があり、防塵設計全体に用いられる部材の点数が多くなる。
特許文献2の搬送装置は、上部のガイドレールと走行レールは距離を有して配置されているので、ガイドレールと走行レールそれぞれの防塵設計を1つにまとめることはできず、防塵設計全体に使用される部材数が増加するという問題を抱えている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、防塵設計のために要する部材の点数増加を抑制する搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う本発明に係る搬送装置は、レール上を進退する走行台車と、前記走行台車に立設された支柱のガイド部にガイドローラを当接させて該支柱に沿って昇降するキャリッジと、前記ガイド部を覆う支柱側防塵機構とを備えた搬送装置において、前記レールは、複数設けられ互いに距離を有して配置され、前記走行台車と共に、前記支柱の通過領域を除いてカバーリングによって覆われ、前記支柱の通過領域を覆うスクリーンを該カバーリングに張設し、しかも前記支柱には、前記スクリーンが挿通する貫通孔を設ける。
【0008】
本発明に係る搬送装置において、集塵機を備え、前記支柱側防塵機構は、前記ガイド部と共に前記支柱の前記カバーリングから突出した部分を覆い、該支柱側防塵機構内及び前記カバーリング内の塵は前記集塵機によって吸込まれるのが好ましい。
【0009】
本発明に係る搬送装置において、前記集塵機は前記支柱側防塵機構の内側又は前記カバーリングの内側に設けられ、前記集塵機の吸込口には、一端が前記支柱側防塵機構内に配置されたダクトAの他端と、一端が前記カバーリング内に配置されたダクトBの他端とが接続されているのが好ましい。
【0010】
本発明に係る搬送装置において、前記支柱側防塵機構の内側に該支柱側防塵機構内にダウンフローの気流を発生させるファンを設け、前記ダクトAの一端を前記支柱側防塵機構内の下部に配置して、前記集塵機に、前記ファンが発生させた気流に沿って降下した前記塵を前記ダクトAを介して吸込ませるのが好ましい。
【0011】
本発明に係る搬送装置において、前記走行台車の進退動作の動力を発生させる第1の電動モータを前記カバーリング内に配置し、前記キャリッジの昇降動作の動力を発生させる第2の電動モータを前記支柱側防塵機構内に配置するのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る搬送装置は、レールが複数設けられ互いに距離を有して配置されているので、走行台車に立設された支柱は、転倒することなく走行台車と一体となって安定的に進退でき、上部をガイドレール等によって支持しなくともよい。従って、上部にガイドレールを設ける必要はなく、防塵設計のために要する部材の点数を少なくすることが可能である。
また、レール及び走行台車は、支柱の通過領域を除いてカバーリングによって覆われ、支柱の通過領域を覆うスクリーンをカバーリングに張設しているので、走行台車がレール上を走行することによって発生する塵をカバーリング内に留めておくことができ、搬送装置が設置された空間をクリーンに保つことが可能である。
【0013】
本発明に係る搬送装置において、支柱側防塵機構内及びカバーリング内の塵が集塵機によって吸込まれる場合、支柱側防塵機構内及びカバーリング内に浮遊する塵を集塵機によって積極的に捕捉することができ、搬送装置が設置された空間に塵が飛散するのを抑制可能である。
【0014】
本発明に係る搬送装置において、集塵機が支柱側防塵機構の内側又はカバーリングの内側に設けられている場合、集塵機に接続されるダクトの配管を簡素にすることができ、ダクトの配管作業を容易にすることが可能である。
【0015】
本発明に係る搬送装置において、支柱側防塵機構の内側に支柱側防塵機構内にダウンフローの気流を発生させるファンを設け、ダクトAの一端を支柱側防塵機構内の下部に配置して、集塵機に、ファンが発生させた気流に沿って降下した塵をダクトAを介して吸込ませる場合、集塵機によって支柱側防塵機構内の塵を確実に捕捉することができ、支柱側防塵機構内の塵が外部に出るのを防止することが可能である。
【0016】
本発明に係る搬送装置において、第1の電動モータをカバーリング内に配置し、第2の電動モータを支柱側防塵機構内に配置する場合、第1、第2の電動モータの作動によって発生する塵が、搬送装置を設置した空間に飛散するのを抑制でき、その空間をクリーンな環境に保つことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係る搬送装置の説明図である。
【図2】同搬送装置の説明図である。
【図3】同搬送装置の防塵設計の説明図である。
【図4】集塵機に連結されたダクトの配管の説明図である。
【図5】(A)、(B)は搬送装置の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る搬送装置10は、レール11、11a上を進退する走行台車12と、走行台車12に立設された支柱13、13a、13b、13cの各ガイド部にガイドローラ14を当接させて支柱13、13a、13b、13cに沿って昇降するキャリッジ15と、支柱13、13a、13b、13cの各ガイド部を覆う支柱側防塵機構16を備えている。以下、詳細に説明する。
【0019】
搬送装置10は、図2に示すように、距離を有して対向配置されたラック17、17aと共に自動倉庫に設けられている。
ラック17、17aは、床18に設置され、それぞれ物品Gを収納可能な複数の収納棚を備えている。搬送装置10はラック17、17aの間に配置されて、ラック17、17aの一方から他方に物品Gを運ぶ。
【0020】
搬送装置10は、図1、図2に示すように、床18に固定されたベースプレート19とベースプレート19に固定された対となったレール11、11aを備えている。レール11、11aは、長さが同じであり、距離を有して平行に配置されている。
搬送装置10が備える走行台車12は、レール11上を走行するサドル21とレール11a上を走行するサドル21aを有し、走行台車12、レール11、11a及びベースプレート19は、支柱13、13a、13b、13cの通過領域を除いてカバーリング20によって覆われている。
【0021】
サドル21(サドル21aについても同じ)は、間隔を有して対向配置された長尺の横架材22、22aを備えている。横架材22、22aの間には、サドル21の走行方向に沿って距離を有して配置された対となる車輪23が設けられ、車輪23は軸受を介して横架材22、22aに取り付けられレール11に当接している。
また、サドル21には、走行台車12の進退方向に沿って距離を有して配置された支柱13、13aが立設され、サドル21aにも走行台車12の進退方向に沿って距離を有して配置された支柱13b、13cが立設されている。走行台車12の進退方向に沿って支柱13a、13cの前側にある支柱13、13bは、図2に示すように、複数の横架材25を介して連結され、支柱13a、13cも複数の横架材25を介して連結されている。
【0022】
サドル21には、一の車輪23に連結された電動モータ26(第1の電動モータ)が取り付けられており、電動モータ26が駆動すると、サドル21、21a及び支柱13、13a、13b、13cは一体となって進退する。
床18に固定されたカバーリング20には、図2、図3に示すように、レール11に沿って、支柱13、13aの通過領域に形成されたスリット28及びレール11aに沿って、支柱13b、13cの通過領域に形成されたスリット28aが設けられ、スリット28には支柱13、13aが挿通し、スリット28aには支柱13b、13cが挿通している。
電動モータ26は、カバーリング20内に配置されている。
【0023】
カバーリング20には、図3に示すように、帯状のスクリーン29、29aが張設されており、スリット28(即ち、支柱13、13aの通過領域)はスクリーン29、スリット28a(即ち、支柱13b、13cの通過領域)はスクリーン29aによって上から覆われている。
支柱13、13aにはそれぞれ、図2、図3に示すように、カバーリング20から突出した部分に、走行台車12の走行方向に沿って貫通する貫通孔30が形成されている。スクリーン29(スクリーン29aについても同じ)は、支柱13、13a(スクリーン29aに対しては支柱13b、13c)の貫通孔30に挿通され、スクリーン29の長手方向両端はカバーリング20の表面に固定されている。
【0024】
支柱13(支柱13a、13b、13cについても同じ)を基準にして走行台車12の前進方向には、図3に示すように、ローラ31、32が配置され、支柱13を基準にして走行台車12の後退方向にもローラ31、32が配置されている。
ローラ31、32は、支柱13(支柱13a、13b、13cについても同じ)の貫通孔30にスクリーン29(支柱13b、13cに対してはスクリーン29a)を案内するためのものであり、支柱13に固定された図示しない保持材によって回転可能に支持されている。
ローラ31は、平面視してローラ32に比べて支柱13の近くに設けられ、上部が支柱13に形成された貫通孔30と同じ高さに配置され、ローラ31より低い位置にあるローラ32は、下部がカバーリング20の上面と同じ高さに配置されている。
スクリーン29は、支柱13の一側のローラ32の下部に当接した後、上方に案内されてローラ31の上部に当接し、支柱13の貫通孔30を挿通し、支柱13の他側のローラ31の上部に当接した後、下方に案内されてローラ32の下部に当接している。
【0025】
そして、スクリーン29は、走行台車12の進退方向に沿って、1)前側に配置された端部と支柱13の前側に配置されたローラ32の下部に当接している部分との間の領域と、2)支柱13の後側に配置されたローラ32の下部に当接している部分と支柱13aの前側に配置されたローラ32の下部に当接している部分との間の領域と、3)支柱13aの後側に配置されたローラ32の下部に当接している部分とその後側に配置された端部との間の領域でスリット28を上から覆っている。
スクリーン29aとスリット28aについてもスクリーン29とスリット28の関係と同じである。
【0026】
従って、スクリーン29、29aは、カバーリング20内で発生する塵がスリット28、28aを介してカバーリング20の外部に出るのを抑制することができる。なお、スクリーン29、29aは、それぞれスリット28、28aに比べて幅広である。
また、支柱13(支柱13a、13b、13cについても同じ)は柱材33と、上部が柱材33に固定され、下部が横架材22(支柱13b、13cに対しては横架材22a)に固定されたベース材34を備えている。柱材33とベース材34の連結部は、支柱13の他の部位より太くなっており、この連結部に貫通孔30が形成されているので、貫通孔30に、スリット28より幅広のスクリーン29を挿通するのに十分な横幅を設けることができる。
【0027】
走行台車12の進退方向に沿って前側にある支柱13、13bには、図1に示すように、支柱13、13bのカバーリング20から上に突出した部分を覆う、カバー体35が固定されている。走行台車12の進退方向に沿って後側にある支柱13a、13cにも、支柱13、13bのカバーリング20から上に突出した部分を覆うカバー体36が固定されている。
そして、支柱13、13bと支柱13a、13cの間には、ラック17又はラック17aから取り出した物品Gを載せて昇降するキャリッジ15が設けられている。
【0028】
キャリッジ15は、図1、図3に示すように、カバー体35内にある支柱13、13bに案内されて上下動する昇降ブロック38とカバー体36内にある支柱13a、13cに案内されて上下動する昇降ブロック38aを備えている。
昇降ブロック38、38aは距離を有して配置され、平面視して、昇降ブロック38、38aの間には、矩形のプレート材40が設けられ、プレート材40は、4隅が昇降ブロック38に固定された2本の支持アーム39と昇降ブロック38aに固定された2本の支持アーム39によって保持されている。
【0029】
昇降ブロック38には、図3に示すように、支柱13、13bの各柱材33に当接する複数のガイドローラ14が取り付けられ、昇降ブロック38aには、支柱13a、13cの各柱材33に当接する複数のガイドローラ14が取り付けられている。なお、支柱13、13a、13b、13cは、それぞれガイドローラ14が当接するガイド部を備えている。
カバー体35内には、図1、図2に示すように、電動モータ41(第2の電動モータ)が設けられ、電動モータ41の出力軸42には、チェーン44が巻き付けられたチェーンドラム43とチェーン44aが巻き付けられたチェーンドラム43aが固定されている。
【0030】
支柱13、13bは、各上部が連結材45によって接続され、支柱13a、13cは、各上部が連結材46によって接続されている。そして、連結材45にはスプロケット47、47aが設置され、連結材46にはスプロケット48が設置されている。
一端がチェーンドラム43に固定されたチェーン44は、スプロケット47に噛合し、他端が昇降ブロック38に取り付けられている。また、一端がチェーンドラム43aに固定されたチェーン44aはスプロケット47a、48に噛合し、他端が昇降ブロック38aに取り付けられている。
なお、スプロケット47、47aはカバー体35内に配置され、スプロケット48はカバー体36内に配置されている。また、スプロケット47、47a、48は、周知の支持機構によって回転可能に支持され、チェーン44aは、スプロケット47a、48の間にある部分が、カバー体48aによって覆われている。
【0031】
従って、キャリッジ15は、チェーンドラム43、43aにそれぞれチェーン44、44aが巻き取られると上昇し、チェーンドラム43、43aからそれぞれチェーン44、44aが繰り出されると降下する。
キャリッジ15の昇降動作の動力を発生させる電動モータ41は、出力軸42の回転方向を反転することができ、キャリッジ15が上昇するか降下するかは、出力軸42の回転方向によって決定される。
【0032】
キャリッジ15には、図1に示すように、プレート材40の上部に対となったガイドレール49が固定され、ガイドレール49には、ガイドレール49に沿って進退するスライド部材50が設置されている。スライド部材50は、複数のフリーローラ及び複数のモーターローラを備え、プレート材40に設けられた駆動装置51から動力を与えられて進退する。
なお、駆動装置51は周知のボールネジと電動モータによって構成することができる。
また、スライド部材50の代わりに、キャリッジ15に進退可能に取り付けられ、搬送対象物を載せることが可能なフォーク部材を採用することもできる。
図3はガイドレール49、スライド部材50及び駆動装置51を省略して描かれている。
【0033】
以下に、ラック17の収納棚(以下、収納棚C1という)からラック17aの収納棚(収納棚C2)に搬送対象物である物品Gを搬送する際の搬送装置10の動作について説明する。
走行台車12を、スライド部材50が収納棚C1から搬送対象物を取り出し可能な位置までレール11、11aに沿って進退させた後、電動モータ41を作動してキャリッジ15の高さ位置を収納棚C1に合わせる。
【0034】
次に、スライド部材50を基準位置(平面視してスライド部材50の中央とプレート材40の中央が重なる位置)から移動させて、スライド部材50の一部がプレート材40から突出した状態にし、スライド部材50が備えるモーターローラによって搬送対象物をスライド部材50の上まで移動させた後、スライド部材50を基準位置に戻す。
次に、走行台車12を、スライド部材50が搬送対象物を収納棚C2に収納可能な位置まで進退させ、キャリッジ15の高さ位置を収納棚C2に合わせた後、スライド部材50を収納棚C2内に向かって移動し、スライド部材50のモーターローラによって搬送対象物を収納棚C2に送り出す。
【0035】
ここで、搬送装置10が設けられている自動倉庫は、クリーンな環境が求められているので、搬送装置10には、スクリーン29、29aを利用した防塵設計に加え、複数の防塵設計が施されている。以下、スクリーン29、29aを利用した防塵設計以外の防塵設計について説明する。
図1、図3に示すように、キャリッジ15が下限位置から上限位置まで移動する際の昇降ブロック38(昇降ブロック38aについても同じ)に設けられた複数のガイドローラ14の軌跡(転動可能領域)はカバー体35(昇降ブロック38aに対してはカバー体36)によって覆われている。
【0036】
カバー体35(カバー体36についても同じ)には、上下方向に沿って開口部53が形成されている。昇降ブロック38は、カバー体35の内側に配置された部分と、カバー体35の外側に配置された部分を備え、このカバー体35の外側に配置された部分は、開口部53を介してカバー体35から外側に突出している。なお、支持アーム39は、昇降ブロック38のカバー体35の外側に配置された部分に固定されている。
開口部53は、昇降ブロック38の下限位置から上限位置にかけて形成されており、昇降ブロック38の可動領域を確保するためのものである。
【0037】
支柱13、13bの各柱材33にはそれぞれ、図1に示すように、上部及び下部に、カバー体35内に配置されたローラ保持部材55、56がそれぞれ取り付けられている。支柱13a、13cの各柱材33にもそれぞれ、上部にローラ保持部材55と同じ高さに配置されたローラ保持部材55aが取り付けられ、下部にローラ保持部材56と同じ高さに配置されたローラ保持部材56aが取り付けられている。
ローラ保持部材55(ローラ保持部材55aについても同じ)には、軸心が水平配置された対となったローラ57、58が回転自在に支持されており、ローラ保持部材56(ローラ保持部材56aについても同じ)にも、軸心が水平配置された対となったローラ57a、58aが回転自在に支持されている。
なお、図3は、ローラ保持部材55、55a、56、56aを省略して描かれている。
【0038】
カバー体35(カバー体36についても同じ)内には、図1、図3に示すように、カバー体35の開口部53をカバー体35の内側から覆うカバーベルト59が設けられている。カバーベルト59は、一端が昇降ブロック38の上部に連結され、順にローラ58、57、57a、58aに掛け渡された後に他端を昇降ブロック38の下部に連結してカバー体35内に取り付けられている。
ローラ57、57aは平面視して同じ位置に配置され、カバーベルト59と昇降ブロック38の連結部及びローラ58、58aも平面視して同じ位置に配置されているので、カバーベルト59は、ローラ57、57a、58、58aに掛け渡され上下方向に張られた状態になっている。
【0039】
そして、カバーベルト59の幅は、開口部53の横幅より広いため、カバーベルト59は、カバー体35内の塵が開口部53を介してカバー体35の外に出るのを防止することができる。
本実施の形態では、スクリーン29、29a及びカバーベルト59が樹脂(具体的にはポリウレタンとポリエチレンテレフタラートの複合材)によって形成されている。
なお、支柱側防塵機構16は、カバー体35、36、カバー体35内に配置されたカバーベルト59、カバー体36内に配置されたカバーベルト59及びローラ57、57a、58、58aによって構成されている。従って、支柱側防塵機構16は、支柱13、13a、13b、13cのガイド部と共に、支柱13、13a、13b、13cのカバーリング20から突出した部分を覆っている。
【0040】
また、カバー体36(支柱側防塵機構16)内には、図1、図4に示すように、カバー体35、36(支柱側防塵機構16)内及びカバーリング20内の塵を吸込む集塵機60が設けられている。集塵機60にはエアフィルタ(本実施の形態ではHEPAフィルタ)が装着されており、集塵機60内に吸込んだ塵を集塵機60の外に放出するのを防ぐ設計となっている。なお、集塵機60の排気は、エアフィルタによって塵が取り除かれているので、カバー体36の外側、即ち自動倉庫内に排出可能である。
集塵機60の吸込口には、図4に示すように、一端がカバー体35内に配置されたダクト61(ダクトA)の他端と、一端がカバー体36内に配置されたダクト62(ダクトA)の他端と、一端がカバーリング20内に配置されたダクト63(ダクトB)の他端とが接続されている。従って、集塵機60は、ダクト61を介してカバー体35内の塵を吸込み、ダクト62を介してカバー体36内の塵を吸込み、ダクト63を介してカバーリング20内の塵を吸込むことができる。
【0041】
ダクト61は、カバー体36内、カバーリング20内、カバー体35内を順に配管されて、吸込口である一端がカバー体35内の下部に固定されている。ダクト62はカバー体36内に配管され、吸込口である一端がカバー体36内の下部に固定されている。
そして、ダクト63は、カバー体36内からカバーリング20内にかけて配管されている。本実施の形態では、ダクト63の吸込口は2つであり、走行台車12の進退方向に沿って、一方の吸込口は、走行台車12の前側に配置された2つの車輪23の間に配置され、他方の吸込口は、走行台車12の後側に配置された2つの車輪23の間に配置されている。これは、カバーリング20内においては、車輪23とレール11、11aの接触箇所で最も多く塵が発生するためである。
【0042】
また、カバー体35(カバー体36についても同じ)の内側には、図1、図4に示すように、上部に、カバー体35内にダウンフローの気流を発生させるファン64が設けられている。
カバー体35内にある塵は、ファン64の作動によって発生する気流に沿って降下し、カバー体35の下部に配置されたダクト61(カバー体36の場合はダクト62)の吸込口からダクト61内に吸込まれる。
従って、集塵機60は、ダクト61、62を介してカバー体35、36内で発生した塵を確実に吸引することができる。
【0043】
次に、搬送装置10の変形例である搬送装置70について説明する。
搬送装置70は、図5(A)、(B)に示すように、2本のレール71、71a上を走行する走行台車72と、走行台車72に立設された一本の支柱73と、レール71、71a及び走行台車72が内側に配置されたカバーリング74を備えている。
カバーリング74には、支柱73の通過領域に沿って一本のスリット75が形成され、スリット75は、カバーリング74に張設された帯状のスクリーン76によって覆われている。
【0044】
支柱73は、走行台車72に下部が連結されたベース材77とベース材77の上部に連結された柱材78を備え、ベース材77と柱材78の連結部には、スクリーン76が挿通された貫通孔79が形成されている。
スクリーン76は、複数のローラを備えた図示しないガイド部材によって貫通孔79に案内されている。
【0045】
柱材78には、柱材78に沿って昇降するキャリッジ80が取り付けられ、ベース材77のカバーリング74から突出した部分及び柱材78は、キャリッジ80の一部と共に支柱側防塵機構81によって覆われている。
柱材78は、ベース材77に連結されている部分より上側が回転可能になっており、図示しない電動モータから動力を与えられることによって回転する。
【0046】
支柱側防塵機構81は、上下に沿って開口部82が形成されたカバー体83と、開口部82を覆うカバーベルト84を備えている。カバーベルト84は、一端をキャリッジ80の上部に連結し、複数のローラに掛け渡した後に他端をキャリッジ80の下部に連結して設置されている。
また、キャリッジ80は、搬送対象物である物品を載せる2本のアーム80aを有し、柱材78のガイド部に複数のガイドローラ85を当接させ、柱材78に沿って昇降する。
柱材78の回転可能な部分が電動モータから動力を与えられて回転すると、キャリッジ80及び支柱側防塵機構81は、この柱材78の回転可能な部分と一体となって回転する。
【0047】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、集塵機をカバー体36内に加えてカバー体35内にも設け、カバー体35内の塵はカバー体35に設定された集塵機によって吸引するようにしてもよく、更に、カバーリング20内にもカバーリング20内の塵を吸引する集塵機を設けることができる。
また、搬送装置の設置場所は、自動倉庫に限定されず、部品の組立工場に搬送装置を設けてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10:搬送装置、11、11a:レール、12:走行台車、13、13a、13b、13c:支柱、14:ガイドローラ、15:キャリッジ、16:支柱側防塵機構、17、17a:ラック、18:床、19:ベースプレート、20:カバーリング、21、21a:サドル、22、22a:横架材、23:車輪、25:横架材、26:電動モータ、28、28a:スリット、29、29a:スクリーン、30:貫通孔、31、32:ローラ、33:柱材、34:ベース材、35、36:カバー体、38、38a:昇降ブロック、39:支持アーム、40:プレート材、41:電動モータ、42:出力軸、43、43a:チェーンドラム、44、44a:チェーン、45、46:連結材、47、47a:スプロケット、48:スプロケット、48a:カバー体、49:ガイドレール、50:スライド部材、51:駆動装置、53:開口部、55、55a:ローラ保持部材、56、56a:ローラ保持部材、57、57a:ローラ、58、58a:ローラ、59:カバーベルト、60:集塵機、61〜63:ダクト、64:ファン、70:搬送装置、71、71a:レール、72:走行台車、73:支柱、74:カバーリング、75:スリット、76:スクリーン、77:ベース材、78:柱材、79:貫通孔、80:キャリッジ、80a:アーム、81:支柱側防塵機構、82:開口部、83:カバー体、84:カバーベルト、85:ガイドローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール上を進退する走行台車と、前記走行台車に立設された支柱のガイド部にガイドローラを当接させて該支柱に沿って昇降するキャリッジと、前記ガイド部を覆う支柱側防塵機構とを備えた搬送装置において、
前記レールは、複数設けられ互いに距離を有して配置され、前記走行台車と共に、前記支柱の通過領域を除いてカバーリングによって覆われ、前記支柱の通過領域を覆うスクリーンを該カバーリングに張設し、しかも前記支柱には、前記スクリーンが挿通する貫通孔を設けることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載の搬送装置において、集塵機を備え、前記支柱側防塵機構は、前記ガイド部と共に前記支柱の前記カバーリングから突出した部分を覆い、該支柱側防塵機構内及び前記カバーリング内の塵は前記集塵機によって吸込まれることを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項2記載の搬送装置において、前記集塵機は前記支柱側防塵機構の内側又は前記カバーリングの内側に設けられ、前記集塵機の吸込口には、一端が前記支柱側防塵機構内に配置されたダクトAの他端と、一端が前記カバーリング内に配置されたダクトBの他端とが接続されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項3記載の搬送装置において、前記支柱側防塵機構の内側に該支柱側防塵機構内にダウンフローの気流を発生させるファンを設け、前記ダクトAの一端を前記支柱側防塵機構内の下部に配置して、前記集塵機に、前記ファンが発生させた気流に沿って降下した前記塵を前記ダクトAを介して吸込ませることを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の搬送装置において、前記走行台車の進退動作の動力を発生させる第1の電動モータを前記カバーリング内に配置し、前記キャリッジの昇降動作の動力を発生させる第2の電動モータを前記支柱側防塵機構内に配置することを特徴とする搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−6681(P2013−6681A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142023(P2011−142023)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000196705)西部電機株式会社 (80)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(511156472)株式会社ティエーエンジニアリング (1)
【Fターム(参考)】