説明

搬送装置

【課題】複数のマスクを露光装置から効率的に回収し又分配できる搬送装置及び露光装置を提供する。
【解決手段】それぞれパターンPを形成した複数のマスクMの間に間座20を配置して、重ねて搬送するので、重ねた時に間座20によりマスクMのパターンPが損傷しないように隙間をあけることができ、コンパクトな状態で搬送を行えると共に、複数のマスクMを一度で回収でき、且つ一度で分配できるので搬送時間が大幅に短縮され、マスクMを用いた装置の稼働率を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置及び露光装置に関し、例えば液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の大型のフラットパネルディスプレイの基板上にマスクのマスクパターンを露光転写するのに好適な露光装置及びそのマスクを搬送するのに好適な搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の薄形テレビ等に用いられる液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の大型のフラットパネルディスプレイは、基板上にマスクのパターンを分割逐次露光方式で近接露光転写することで製造される。例えば特許文献1には、被露光材としての基板より小さいマスクを用い、該マスクをマスクステージで保持すると共に基板をワークステージで保持して両者を近接して対向配置し、この状態でワークステージをマスクに対してステップ移動させて各ステップ毎にマスク側から基板にパターン露光用の光を照射することにより、マスクに描かれた複数のマスクパターンを基板上に露光転写して一枚の基板に複数のディスプレイ等を作成するようにしたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−155354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近接露光転写を行う場合においては、一般的に製品と同寸のパターンを有するマスクを用いている。しかるに、近年の薄形テレビ等はユーザーの嗜好に対応して画面が大型化する傾向があるが、それに応じて基板に露光転写されるパターン領域も大きくなるため、露光転写に用いるマスクも大型のものを用いる必要が生じている。ところが、マスクは大型化するにつれてコストが顕著に増大するという問題がある。加えて、マスクは石英などの脆性材料で形成されることが多く、取り扱いの不備等により破損を招きやすいため、それもコスト高を加速する要因となっている。
【0005】
これに対し、マスクを細分化してライン状に配置し、基板を一方向に移動させつつ分割して露光を行う新規な分割露光方式が検討されている。かかる露光方式は、基板に形成されるパターンに、ある程度繰り返される部位があることを前提として、これをつなぎ合わせることで大きなパターンを形成できることを利用したものである。このような分割露光方式によれば、高価なマスクを採用する必要はなく、比較的安価なマスクを用いて、基板に大きなパターンを露光転写することができる。
【0006】
ところで、かかる分割露光方式においては、複数のマスクを用いる必要がある。一方、マスクは比較的短いサイクルで洗浄などのメンテナンスを行わないと、適切な露光を行えないという実情もある。従って、露光装置の稼働率を高めるためには、使用したマスクを、いかに効率的に露光装置から回収し、且つ洗浄等したマスクを、いかに効率的に露光装置に装填するかが大きな課題となっている。
【0007】
そこで本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、複数のマスクを露光装置から効率的に回収し又分配できる搬送装置及び露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、下記のように構成される。
(1)それぞれパターンを形成した複数のマスクの間に間座を配置して、前記間座に円錐形突起を設けて、重ねて搬送することを特徴とする搬送装置。
(2)前記マスクの受け渡し場所で、前記間座は、その重力方向下方に配置された前記マスクと共に受け渡されるようになっていることを特徴とする(1)に記載の搬送装置。
(3)前記マスクの受け渡し場所で、前記マスクは吸着保持されて上昇することを特徴とする(2)に記載の搬送装置。
(4)前記マスクは、前記パターンの露光に用いられ、前記間座は、少なくとも前記パターンを通過する露光用光を遮蔽しない位置に配置されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の搬送装置。
(5)1つの前記間座のみが、受け渡される前記マスクと共に移動することを特徴とする請求項(1)〜(4)のいずれかに記載の搬送装置。
(6)前記間座は、前記マスクを重ねたときに、前記マスク同士の相対的な位置ズレを補正する手段を有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の搬送装置。
【発明の効果】
【0009】
例えば、露光装置において複数のマスクを各々トレイに搭載して、単一の搬送装置を用いて搬送する場合、1つのマスク搬送のために1往復する時間がt秒であるとすると、マスクの回収のためにn×t秒の搬送時間がかかる。これに対し、本発明の第1の搬送装置によれば、それぞれパターンを形成した複数のマスクを重ねて搬送するので、複数のマスクを一度で回収でき、且つ一度で分配できるので搬送時間が大幅に短縮され、マスクを用いた装置の稼働率を向上させることができる。一方、複数のマスクを単に重ねて搬送するのみでは、マスク同士の擦れ合いが生じ、その損傷を招く恐れがある。そこで、本発明によれば、複数のマスクの間に円錐形突起を設けた間座を配置して、重ねて搬送することで、重ねた時に前記間座により前記マスクのパターンが損傷しないように隙間をあけることができ、コンパクトな状態で搬送を行えるようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態にかかる露光装置の上面図である。
【図2】本実施の形態にかかる露光装置の露光時の状態を示す側面断面図である。
【図3】保持部とマスクと間座の寸法関係を示す図である。
【図4】搬送時における保持部とマスクと間座の状態を示す図である。
【図5】マスク保管時の状態を示す図である。
【図6】マスク搬送時の状態を示す露光装置の側面断面図である。
【図7】マスク回収工程を示すフローチャート図である。
【図8】マスク分配工程を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる露光装置の上面図であり、図2は、本実施の形態にかかる露光装置の露光時の状態を示す側面断面図である。
【0012】
図1において、ベース1上で、薄板状の基板Wは基板チャック2により把持され、レール2aに沿って、基板チャック2と共に左から右に移動可能となっている。ベース1上には、マスクMを吸着保持する保持装置10が、搬送ラインLを挟んで左側に7個、右側に6個(計13個)配置されている。保持装置10により保持された基板Wに比較すると小型のマスクMは、搬送ラインLを挟んで千鳥状に配置される。なお、図1においては、左側の7個の保持装置10と、右側の上から3個の保持装置10は、露光位置にあり、右側の下から3個の保持装置10は、マスクの受け渡し位置にある。搬送ラインLの両側に配置された保持装置10により分配装置を構成する。
【0013】
各保持装置10は、ベース1上でX軸方向となる図2の左右方向(図1の搬送ラインLに対して直交する方向であり、基板WはX軸方向に沿って左から右へと移動するものとする)に移動可能に配置されたアーム11と、アーム11の先端に配置され、下面にマスクMを吸着保持する保持部12と、アーム11に対して保持部12をZ軸方向(図2でZ軸方向となる上下方向)に駆動するZ軸移動装置13と、ベース1の上面の法線回りに保持部12を回転駆動するθ軸移動装置14と、アーム11に対して保持部12をY軸方向(図2で紙面垂直方向)に駆動するY軸移動装置15とを有する。保持部12は、矩形開口12aを有している。
【0014】
図2に示すように、ベース1は、基板Wの下面に対向して、X軸方向に距離Dで隔置配置された吐出吸引ユニット3A、3Bを有している。一方の吐出吸引ユニット3Aは、ユニット本体4の下面から上面に貫通する多数の吐出孔5をX軸方向と直交するY軸方向に沿って2列平行配置で、かつ、ユニット本体4の長辺に沿って穿設している。また、上記2列平行配置の吐出孔5の中間位置にはY軸方向に沿って凹溝6が設けられ、かつ、凹溝6からユニット本体4の下面に貫通する多数の吸引孔7を設けている。他方の吐出吸引ユニット3Bも、前記一方の吐出吸引ユニット3Aと同様に構成されている。更に、前記一対の吐出吸引ユニット3A、3Bにおける各吐出孔5の下端には、配管群H1を介してエア吐出系(エアレギュレータ)8、吐出用ポンプP1が接続され、また、一対の吐出吸引ユニット3A、3Bにおける各吸引孔7の下端には、配管群H2を介してエア吸引系(エアレギュレータ)9、吸引用ポンプP2が接続されている。
【0015】
本実施の形態の露光装置を用いて行う分割露光動作時には、まず不図示の駆動部より、レール2aに沿って、基板チャック2と共に基板Wを左から右に移動する。このとき、不図示の制御部により吐出用ポンプP1を駆動し、一対の吐出吸引ユニット3A、3Bの各吐出孔5から基板Wの下面側に空気吐出を行う。これにより、基板Wは一対の吐出吸引ユニット3A、3Bの上面から浮上した状態でX軸方向により搬送されることになり、基板Wの下面側に傷等が付くことを防止でき、基板Wの下面保護を図ることができる。
【0016】
基板Wを所定位置に移動させた後静止させ、上方の露光ユニットOPUから露光用光ELを投射すると、かかる露光用光ELは、保持装置10により保持されたマスクMを通過し、そのパターンを基板Wに露光転写する。基板Wの露光転写エリアは、一対の吐出吸引ユニット3A、3Bの間となっており、不図示の制御部により吸引用ポンプP2が駆動され、一対の吐出吸引ユニット3A、3Bの各吸引孔7から空気吸引を行う。これにより、基板Wは一対の吐出吸引ユニット3A、3Bの上面に吸着されて位置決め固定される状態となり、振動を極力排除した状態下で、露光転写を高精度で行うことが可能となる。一つのマスクMでの露光転写が終了すると、一対の吐出吸引ユニット3A、3Bの吸引動作が中断され、ワンステップだけ基板Wを移動させた後静止させ、更に一対の吐出吸引ユニット3A、3Bの吸引動作を開始し、次の露光転写を行うことができる。このとき、基板Wの移動誤差によるパターンのズレは、保持装置10のZ軸移動装置13、θ軸移動装置14,軸移動装置15、及びZ軸方向に可動のアーム11により、マスクMの位置を微調整することで補正することができる。同様にして、分割露光転写を繰り返し行うことで、基板W全体にパターンの露光を行うことができる。なお、本実施の形態において、搬送ラインLの両側で保持されたマスクMが千鳥状に配置されてるので、搬送ラインLの片側におけるマスクMが隔置して並べられていても、基板W上に隙間なくパターンを形成することができる。又、基板Wを静止させることなく、動かしながら連続して露光することもある。
【0017】
ところで、マスクは所定のタイミングで洗浄等するために随時回収される必要がある。又、露光装置の稼働率を高めるためには、使用されたマスクが洗浄されている間、別のマスクを露光装置に装着して露光動作を行う必要がある。そこで、複数のマスクを効率的に回収し、且つ効率的に分配することが必要となる。このために用いる搬送装置について説明する。
【0018】
図3は、保持部とマスクと間座の寸法関係を示す図であり、図4は、搬送時における保持部とマスクと間座の状態を示す図であり、図5は、マスク保管時の状態を示す図である。図6は、マスク搬送時の状態を示す露光装置の側面断面図であり、図7は、マスク回収工程を示すフローチャート図であり、図8は、マスク分配工程を示すフローチャート図である。なお、図3〜5においては理解しやすいように、保持部、マスク、間座は断面をとった状態で示している。
【0019】
図3において、矩形板状のマスクMには、下面中央にパターンPが形成されている。間座20は、矩形枠状であって、下方にはマスクMの上面とほぼ同寸(幅W1)に切除されたような矩形状の第1係合部20aが形成されている。一方、間座20の上方には、第1係合部20bよりも大きく(幅W2>W1)切除されたような矩形状の第2係合部20bが形成されている。第1係合部20aと第2係合部20bとの間には、周方向内側に連続して突出する矩形枠状のフランジ部20cが形成されている。
【0020】
保持装置10の保持部12は、矩形開口12aの寸法がパターンPより大きくなっている。保持部12の下部12bの外寸(幅W3)は、フランジ部20cの内寸(幅W4)より小さくなっており、その高さH1は、フランジ部20cと第2係合部20bの合計高さH2より大きくなっている。幅W1〜W4及び高さH1,H2の大小関係は、これらに直交する方向において同じである。間座20は、第1係合部20a、第2係合部20b、フランジ部20cの内寸のみ管理されればよく、安価に形成できる。なお、フランジ部20cの上面には、複数の円錐形突起20dが隔置配置されている。間座20は、マスクMより熱膨張係数が高く、また剛性の低い樹脂やアルミなどで形成されると、熱変形等の影響を回避できるので好ましい。
【0021】
搬送時には、図4に示すように、間座20の第2の係合部20bと同様なトレー係合部21aを有する搬送用トレー21の上に、マスクMが重ねて載置される。このとき間座20は、隣接するマスクM間に配置され、マスクMの下面に形成されたパターンPが、その下方のマスクMの上面と擦れることなどにより損なわれないようにしている。なお、搬送トレー21の上面にも、マスクMの下面との間隔をあけるための浅い凹部21bが形成されており、最も下方のマスクMの下面は、搬送トレー21により保護される。又、搬送トレー21の下面に、後述する搬送装置30のトレー支持部32が係合する凹部21c(図6参照)を設けると、トレー支持部32により支持したときの安定性を確保できる。
【0022】
保持装置10の保持部12の下部12bには、マスクMを吸着保持するための吸引部(不図示)が設けられている。Z軸移動装置13(図2参照)により保持部12を下降させると、上述の寸法関係を有する間座20の内側を通過した下部12bがマスクMの上面に突き当たるので、吸引部の吸引を行うことで、マスクMの上面が下部12bにより吸引されて保持されるようになる。そのままZ軸移動装置13により保持部12を上昇させることで、吸着保持したマスクMを上昇させることができる。保持部12がマスクMの上面を直接吸着するので、間座20の精度を高める必要がなく、コストを低く抑えることができる。
【0023】
このとき、図4に示すように、吸着保持されたマスクMの重力方向上方の間座20は、フランジ部20cがマスクMの上面に引っかかるため、落下することなく、マスクMと一体で上昇する。又、間座20が、保持部12の下部12bの下面に当接し、一定の弾性力を与えることで、マスクMや間座20の振動等を抑制することができる。更に、吸着保持されたマスクMの重力方向下方における間座20は、その第2係合部20bの寸法がマスクMの寸法より大きくなっているので連結力が弱く、吸着保持されたマスクMに連れて、その重力方向下方の間座20が一緒に上昇することはなく、間座20の不用意な落下などを招く恐れはない。更にマスクMとその上方の間座20とは、保持装置10により露光位置に移動されて、その状態で露光動作が行われる。
【0024】
このとき、保持部12の下部12bは、マスクMの上面に対して、図3にダブルハッチングで図示するように、パターンPを避けるようにして配置されているので、矩形開口12aを通過した露光用光EL(図2)は、マスクMの外周に配置された間座20により遮られることなく、基板Wに対してパターンの露光転写を適切に行うことができる。又、万が一間座20の装着によりマスクMの外周もしくはその近傍にキズが付いたとしても、露光に影響を与える恐れはない。
【0025】
次に、搬送の態様について説明する。図6に示すように、ベース1の下方に設けられた搬送装置30は、搬送ラインLに沿って移動可能に配置されている。搬送装置30は、搬送ラインLに沿ってベース1に形成された貫通溝状の搬送路1aを通って、ベース1の上方に延在させたトレー支持部32により、マスクMを重ねて配置した搬送トレー21を支持している。
【0026】
まず、マスクMの回収について説明する。ここでは、下流側(図1で右側)の保持装置10は、アーム11を駆動して、保持部12により保持したマスクMを搬送ラインL上の受け渡し位置に予め配置しているものとする。図7のフローチャートにおいて、ステップS101で、n=1とした後、ステップS102で、搬送装置30を搬送ラインLに沿って正方向(図1では上方)に移動させ、搬送トレー21を支持したトレー支持部32を、下流側1番目の受け渡し場所に移動させる。
【0027】
ステップS103で、下流側1番目の保持装置10を駆動して、保持部12の吸着を中断して搬送トレー21上にマスクMを間座20と共に受け渡す。ステップS104で、下流側の受け渡しが最後(ここではn=6)でなければ、ステップS105でn=n+1とした上で、ステップS102に戻って、トレー支持部32を、次の受け渡し場所に移動させ、受け渡されたマスクMの上に、間座20を介在させるような形で新たにマスクMを重ねて行く。これを繰り返して、ステップS104で、下流側の受け渡しが最後(ここではn=6)となった場合、ステップS106で、m=1とする。ここで、下流側の保持装置10は、アーム11を露光位置に戻し、それと入れ替わるようにして、上流側(図1で左側)の保持装置10は、アーム11を駆動して、保持部12により保持したマスクMを搬送ラインL上の受け渡し位置に配置する。
【0028】
ステップS107で、搬送装置30を搬送ラインLに沿って正方向に移動させ、上流側m=1番目の受け渡し場所に移動させる。更に、ステップS108で、上流側1番目の保持装置10を駆動して、保持部12の吸着を中断して搬送トレー21上にマスクMを受け渡すことで、下流側で受け渡されたマスクMの上に、間座20を介在させるような形で新たにマスクMを重ねる。更にステップS109で、m=2とする。ここから搬送装置30を逆方向(図1では下方)に移動させ(ステップS110)、搬送トレー21を支持したトレー支持部32を、上流側m番目の受け渡し場所に移動させる。そして、ステップS111で、上流側m番目の保持装置10を駆動して、保持部12の吸着を中断して搬送トレー21上にマスクMを受け渡すことで、マスクMの上に間座20を介在させるような形で新たにマスクMを重ねる。ステップS112で、上流側の受け渡しが最後(ここではm=7)でなければ、ステップS113でm=m+1とした上で、ステップS110に戻って、トレー支持部32を、次の受け渡し場所に移動させる。これを繰り返して、ステップS109で、上流側の受け渡しが最後(ここではm=7)となった場合、搬送装置30は初期位置に戻ることでマスクMの回収を終了する。
【0029】
搬送装置30によって回収された積み重ねられたマスクMは、図1に示すように、搬送装置30の近傍に位置するロボットRBTの回転且つ伸縮自在なアームAMにより、搬送トレー21ごと持ち上げられ、図5に示すマスクストッカMS1に、間座20を介して重ねた状態で収容され保管される。なお、洗浄時には、間座20をマスクMから取り外すことで、洗浄効果を高めることができる。但し、間座20は、接着剤などでマスクMに取り外し不能に接着されていても良い。
【0030】
続いて、マスクMの分配について説明する。マスクストッカMS2に、洗浄後のマスクMが間座20を介して重ねて保管されているものとする。ロボットRBTは、アームAMによりマスクストッカMS2から、搬送トレー21ごと重ねられたマスクMを取り出して、搬送装置30のトレー支持部32上に載置する。
【0031】
回収直後には、上流側の保持装置10の保持部12は、搬送ラインL上に配置されたままである。そこで、上流側よりマスクMの分配を行うものとする。図8のフローチャートにおいて、ステップS201で、n=1とした後、ステップS202で、搬送装置30を搬送ラインLに沿って正方向(図1では上方)に移動させ、マスクMを重ねた搬送トレー21を支持したトレー支持部32を、上流側1番目の受け渡し場所に移動させる。
【0032】
ステップS203で、上流側1番目の保持装置10を駆動して、保持部12により搬送トレー21からマスクMを吸着保持して、間座20と共に上昇させる。ステップS204で、上流側の受け渡しが最後(ここではn=6)でなければ、ステップS205でn=n+1とした上で、ステップS202に戻って、トレー支持部32を、次の受け渡し場所に移動させ、新たにマスクMを吸着保持する。これを繰り返して、ステップS204で、上流側の受け渡しが最後(ここではn=7)となった場合、ステップS206で、m=1とする。ここで、上流側の保持装置10は、アーム11を露光位置に戻し、それと入れ替わるようにして、下流側の保持装置10は、アーム11を駆動して、保持部12を搬送ラインL上の受け渡し位置に配置する。
【0033】
ステップS207で、搬送装置30を搬送ラインLに沿って逆方向(図1では下方)に移動させ、下流側m=1番目の受け渡し場所に移動させる。更に、ステップS208で、下流側1番目の保持装置10を駆動して、保持部12により搬送トレー21からマスクMを吸着保持して、間座20と共に上昇させる。ステップS209で、m=2とする。更に搬送装置30を逆方向に移動させ(ステップS210)、搬送トレー21を支持したトレー支持部32を、下流側m番目の受け渡し場所に移動させる。そして、ステップS211で、下流側m番目の保持装置10を駆動して、保持部12により搬送トレー21からマスクMを吸着保持して、間座20と共に上昇させる。ステップS212で、下流側の受け渡しが最後(ここではm=6)でなければ、ステップS213でm=m+1とした上で、ステップS210に戻って、トレー支持部32を、次の受け渡し場所に移動させる。これを繰り返して、ステップS212で、下流側の受け渡しが最後(ここではm=6)となった場合、搬送装置30は初期位置に戻ることでマスクMの分配を終了する。
【0034】
本実施の形態によれば、それぞれパターンPを形成した複数のマスクMの間に間座20を配置して、重ねて搬送するので、重ねた時に間座20によりマスクMのパターンPが損傷しないように隙間をあけることができ、コンパクトな状態で搬送を行えると共に、複数のマスクMを一度で回収でき、且つ一度で分配できるので搬送時間が大幅に短縮され、マスクMを用いた装置の稼働率を向上させることができる。又、マスクMは、保管時・搬送時・露光時において、間座20により外周を覆われて保護されているので、誤って周囲部品に衝接させたような場合でも、マスクMの損傷を回避することができる。
【0035】
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、下流側の保持装置10から、上流側の保持装置10にマスクMを受け渡す場合、搬送装置30を正方向に移動させながら、下流側の保持装置10よりマスクMを順次重ねて回収し、その後、搬送装置30を逆方向に移動させながら、上流側の保持装置10に対して重ねたマスクを順次分配することも可能である。又、間座20の上方の第2係合部20bを、下方に向かうにつれて間隔が狭まる一対のテーパ面(マスク同士の相対的な位置ズレを補正する手段)を含むようにすることで、ここにマスクMをのせるだけで、マスクMの位置決めを行うことができ、保持装置10による吸着の際に保持部12に対して精度良く保持されることで、例えばマスクに形成されたアライメントマークを観察するカメラの観察許容範囲に含まれるようにすることができるため、迅速な露光動作を行うことができる。
【符号の説明】
【0036】
1 ベース
1a 搬送路
2 基板チャック
2a レール
3A 吐出吸引ユニット
3B 吐出吸引ユニット
4 ユニット本体
5 吐出孔
6 凹溝
7 吸引孔
10 保持装置
11 アーム
12 保持部
12a 矩形開口
12b 下部
13 Z軸移動装置
14 θ軸移動装置
15 Y軸移動装置
20 間座
20a 第1係合部
20b 第2係合部
20c フランジ部
20d 円錐形突起
21 搬送トレー
21b 凹部
30 搬送装置
32 トレー支持部
AM アーム
EL 露光用光
H1 配管群
H2 配管群
L 搬送ライン
M マスク
MS1 マスクストッカ
MS2 マスクストッカ
OPU 露光ユニット
P パターン
P1 吐出用ポンプ
P2 吸引用ポンプ
RBT ロボット
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれパターンを形成した複数のマスクの間に円錐形突起を設けた間座を配置して、重ねて搬送することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記マスクの受け渡し場所で、前記間座は、その重力方向下方に配置された前記マスクと共に受け渡されるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記マスクの受け渡し場所で、前記マスクは吸着保持されて上昇することを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記マスクは、前記パターンの露光に用いられ、前記間座は、少なくとも前記パターンを通過する露光用光を遮蔽しない位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項5】
1つの前記間座のみが、受け渡される前記マスクと共に移動することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
前記間座は、前記マスクを重ねたときに、前記マスク同士の相対的な位置ズレを補正する手段を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−8913(P2013−8913A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141774(P2011−141774)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(311011449)NSKテクノロジー株式会社 (51)
【Fターム(参考)】