説明

搬送車

【課題】搬送車において、ケーブルチェーンを配置しても搬送車の走行方向の長さの増加を抑える。
【解決手段】搬送車は、左右Y方向に走行する。搬送車3は、車体と、移載装置とケーブルチェーン31と第1ケーブルチェーン支持部33と第2ケーブルチェーン支持部35とを備える。車体は、左右Y方向に走行可能である。移載装置は、車体に設けられ、左右Y方向に移動する。ケーブルチェーン31は、車体に一端31bが固定され、他端31cが移載装置に固定される。第1ケーブルチェーン支持部33は、車体側のケーブルチェーン31の固定部分から連続し、移載装置の移動範囲より外側に向かって下方に傾斜する。第2ケーブルチェーン支持部35は、第1ケーブルチェーン支持部33よりケーブルチェーン31の可動曲率に応じた距離以上離して配置され、移載装置の移動範囲より外側に向かって下方に傾斜する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車、特に、物品を移載場所との間で移載する搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を搬送する搬送車には、物品を移載場所との間で移載する移載装置が設けられることがある。移載装置が搬送車の車体上で移動する場合、移載装置と車体との間に電気配線を保護するケーブルチェーンが用いられる。
例えば、開閉する一対のアームを用いて物品を移載する移載装置では、アームが搬送車の走行方向と同じ方向に移動する(例えば、特許文献1参照)。
従来、ケーブルチェーンは通常は水平に配置されている。ケーブルチェーンは、一端が移載装置に固定され、他端が車体に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−163215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケーブルチェーンを水平に配置すると、移載装置に固定されるケーブルチェーンの一端が他端に近づくと、ケーブルチェーンの湾曲部分が固定部分から最も離れて配置される。搬送車の走行方向と同じ方向に移載装置が移動する場合、ケーブルチェーンが走行方向に沿って配置される。このため、ケーブルチェーンを車体に配置すると、搬送車の走行方向の長さが長くなる。
【0005】
本発明の課題は、移載装置が走行方向に移動する搬送車において、ケーブルチェーンを配置しても搬送車の走行方向の長さの増加を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明に係る搬送車は、第1方向に走行し、物品を移載場所との間で移載する。搬送車は、車体と、移載装置と、ケーブルチェーンと、第1ケーブルチェーン支持部と、第2ケーブルチェーン支持部と、を備える。車体は、第1方向に走行可能である。移載装置は、車体に設けられ、第1方向に移動する。ケーブルチェーンは、車体に一端が固定され、他端が移載装置に固定される。第1ケーブルチェーン支持部は、車体側のケーブルチェーンの固定部分から連続し、移載装置の移動範囲より外側に向かって下方に傾斜する。第2ケーブルチェーン支持部は、第1ケーブルチェーン支持部よりケーブルチェーンの可動曲率に応じた距離以上離して配置され、移載装置の移動範囲より外側に向かって下方に傾斜する。
【0008】
この搬送車では、第1方向に車体が走行可能であり、車体に設けられる移載装置も車体に対して第1方向に移動する。移載装置がケーブルチェーンの一端と他端とが接近する方向に搬送車に対して移動するとき、湾曲部分が固定部分から離れて配置される。このとき、湾曲部分までのケーブルチェーンの車体に固定される一端側は、第1ケーブルチェーン支持部により支持され、他端側は第2ケーブルチェーン支持部により支持される。第1ケーブルチェーン支持部及び第2ケーブルチェーン支持部は、ケーブルチェーン固定部分から移載装置の移動範囲より外側に向かって下方に傾斜するので、ケーブルチェーンは斜めに配置される。このため、ケーブルチェーンを水平に配置するより、ケーブルチェーンが占める第1方向の長さを短くすることができる。ここでは、湾曲部分が固定部分より下方に配置されるように、ケーブルチェーンを斜めに配置できるので、ケーブルチェーンを配置しても搬送車の走行方向の長さの増加を抑えることができる。
【0009】
搬送車は、第2ケーブルチェーン支持部とケーブルチェーンのリンクの幅以上離して配置され、ケーブルチェーンの移動範囲より外側に向けて下方に傾斜したケーブル浮き上がり防止部をさらに備えてもよい。
これにより、ケーブルチェーンを斜めに配置してもケーブルチェーンの浮き上がりを防止できる。
【0010】
搬送車において、ケーブル浮き上がり防止部の上端は、第1方向に配置されるケーブルチェーンの上面の高さ位置と実質的に同じ位置まで延びている。
この場合には、ケーブルチェーンの浮き上がりの防止を最小の長さで実現できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、湾曲部分が下方に配置されるように、ケーブルチェーンを斜めに配置できるので、ケーブルチェーンを配置しても搬送車の第1方向の長さの増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る一実施形態の搬送車が採用された自動倉庫の概略平面図。
【図2】図1のII−II矢視図であり、ラックと移載装置を説明するための図。
【図3】移載装置の模式平面図。
【図4】移載装置の一部断面模式側面図。
【図5】図4の第2カバー部側の拡大一部断面模式側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1)自動倉庫全体
以下、本発明に係る第1実施形態が採用された自動倉庫1を説明する。なお、この実施形態において、図1の上下方向が自動倉庫1の前後X方向であり、図1の左右方向が自動倉庫1の左右Y方向(走行方向である第1方向の一例)である。
【0014】
図1において、自動倉庫1は、主に、前ラック2a及び後ラック2bと、前ラック2a及び後ラック2bの各階を左右Y方向に走行する本発明の一実施形態による複数の搬送車3とから構成されている。
【0015】
(2)ラック
前ラック2a及び後ラック2bは、左右Y方向に延びる搬送車3の走行通路5を挟むよう前後に配置されている。前ラック2a及び後ラック2bは、走行通路5側に所定間隔で左右に並ぶ多数の第1支柱7と、走行通路5と反対側に所定間隔を空けて並ぶ第2支柱9と、隣り合う第1支柱7及び第2支柱9の間に設けられた多数の荷物収納棚11とを有している。荷物収納棚11には、図1から明らかなように、搬送車3が荷物W(物品の一例)を載置する。物収納棚11は、上下方向に複数階にわたって設けられている。
【0016】
前ラック2aの各階の左側の最下段の荷物収納棚11には、荷物Wを入庫するための入庫ステーション17が配置されている。後ラック2bの各階の左側の最下段の荷物収納棚11には、荷物Wを出庫するための出庫ステーション19が配置されている。
【0017】
(3)搬送車
図1、図2及び図3において、走行通路5に沿って、各階の前ラック2a及び後ラック2bの第1支柱7に、各階毎に前後一対のレール21が設けられており、前後一対のレール21に複数の搬送車3が左右Y方向に移動可能に案内されている。複数の搬送車3は、多数の荷物収納棚11と入庫ステーション17と出庫ステーション19との間で荷物Wを搬送する。
【0018】
複数の搬送車3は、図1、図2、図3及び図4に示すように、車体22と、車体22に設けられた移載装置29と、ケーブルチェーン31と、を備えている。また、搬送車3は、ケーブルチェーン31を支持する第1ケーブルチェーン支持部33と、第2ケーブルチェーン支持部35と、浮き上がり防止部37と、を備える。車体22は、左右Y方向に間隔を隔てて配置される一対の駆動輪23a及び一対の従動輪23bを有している。駆動輪23a及び従動輪23bは、車体22に軸受により回転自在に支持され、一対のレール21上を走行する。車体22は、図示しないガイドローラによりレール21からの脱線が防止されている。駆動輪23aは、走行用モータ87により駆動される。車体22は、左右Y方向に延びるフレーム22aと、フレーム22aの両端に固定される第1カバー部22b及び第2カバー部22cと、を有している。第1カバー部22bは、フレーム22aの右端に設けられ、内部に走行用モータ87と、アーム開閉モータ90と、アーム移動モータ92(図3)とを収納する。走行用モータ87は、例えばチェーンにより駆動輪23aに回転を伝達している。第2カバー部22cは、フレーム22aの左端に固定され、内部にケーブルチェーン31を収納する。
【0019】
(4)移載装置
移載装置29は、搬送車3と、入庫ステーション17、出庫ステーション19及び荷物収納棚11と、の間で荷物Wを移載するための装置である。移載装置29は、図4及び図5に示すように、物品Wを移載方向である前後X方向に移動させる第1ベース51a及び第2ベース51bと、第1アーム53a及び第2アーム53bと、を備えている。また、移載装置29は、第2ベース51bを第1ベース51aに左右Y方向に接近及び離反させる第1駆動部60と、第1アーム53a及び第2アーム53bを前後X方向に移動させる第2駆動部61と、を有している。
【0020】
第1アーム53a及び第2アーム53bは、図3に示すホームポジションでは、前後X方向の中心が第1ベース51a及び第2ベース51bの前後X方向の中心に一致するように配置されている。また、左右Y方向では、第1アーム53a及び第2アーム53bが最も離反して配置される。
【0021】
(4−1)第1ベース及び第2ベース
第1ベース51aは、車体22に固定されている。第2ベース51bは、左右Y方向に第1ベース51aに対して接近及び離反可能に車体22に、例えばリニア軸受及びリニアガイドにより、支持されている。第1ベース51a及び第2ベース51bは、第1カバー部22b及び第2カバー部22cの間に左右Y方向に間隔を隔てて配置される。第1ベース51a及び第2ベース51bは、対向する内側面で第1アーム53a及び第2アーム53bを前後X方向に移動自在に支持する。
【0022】
(4−2)第1アーム及び第2アーム
第1アーム53a及び第2アーム53bは、第1ベース51a及び第2ベース51bに前後X方向に進出及び退入可能に各別に設けられている。
【0023】
第1アーム53aは、第1中間アーム部54aと、第1先端アーム部55aと、を有している。第2アーム53bは、第2中間アーム部54bと、第2先端アーム部55bと、を有している。第1中間アーム部54a及び第2中間アーム部54bは、第1ベース51a及び第2ベース51bの内側面に前後X方向に移動自在に支持されている。第1中間アーム部54a及び第2中間アーム部54bは概ね矩形板状の部材である。
【0024】
第1先端アーム部55a及び第2先端アーム部55bは、第1中間アーム部54a及び第2中間アーム部54bの内側面に前後X方向に移動自在に支持されている。第1先端アーム部55a及び第2先端アーム部55bは、概ね矩形板状の部材である。第1先端アーム部55a及び第2先端アーム部55bは、図示しない連動機構を介して第1中間アーム部54a及び第2中間アーム部54bに連結されている。連動機構は、第1中間アーム部54a及び第2中間アーム部54bの移動に連動して第1先端アーム部55a及び第2先端アーム部55bを2倍の速度で移動するように動作させる。
【0025】
第1先端アーム部55aの前後X方向の両端部には、揺動する一対の第1引っ掛けアーム部55cが装着されている。第1引っ掛けアーム部55cは、第2アーム53bに接近する図4に示す第1位置と、第2アーム53bから離反する第2位置と、に前後X軸回りに揺動自在に第1先端アーム部55aの両端に揺動自在に連結される。一対の第1引っ掛けアーム部55cは、図示しない一対のモータにより揺動駆動される。第2先端アーム部55bの前後X方向の両端部には、揺動する一対の第2引っ掛けアーム部55dが装着されている。第2引っ掛けアーム部55dは、第1アーム53aに接近する第1位置と、第1アーム53aから離反する第2位置と、に前後X軸回りに揺動自在に第2先端アーム部55bの両端に揺動自在に連結される。一対の第2引っ掛けアーム部55dは、図示しない一対のモータによりそれぞれ揺動駆動される。
【0026】
(4−3)第1駆動部
第1駆動部60は、図3に示すように、第2ベース51bを左右Y方向に第1ベース51aに接近及び離反するように開閉駆動するための機構である。この開閉駆動により、第1先端アーム部55a及び第2先端アーム部55bが荷物Wの両側面に接近して第1引っ掛けアーム部55c及び第2引っ掛けアーム部55dが荷物を引っ張り又は押圧可能な位置に移動する。第1駆動部60は、アーム開閉モータ90と、アーム開閉モータ90に連結されたボールねじ軸62と、を有している。図4に示すように、ボールねじ軸62は、第2ベース51bに設けられるナット部材64に螺合する。
【0027】
アーム開閉モータ90によりボールねじ軸62が一方向に回転することで、第2ベース51bが第1ベース51aに離反する開方向に移動し、他方向に回転することで接近する閉方向に移動する。
【0028】
(4−4)第2駆動部
第2駆動部61は、図3に示すように、第1アーム53a及び第2アーム53bを同期して前後X方向に往復移動させるものである。第2駆動部61は、モータとスプライン軸の組み合わせ又は複数モータ等で構成される。
【0029】
(5)ケーブルチェーン
ケーブルチェーン31は、図5に示すように、移載装置29の第2アーム53bに設けられる電気部品用の配線を車体22に案内するために設けられる。第2アーム53bに設けられる電気部品は、例えば一対の第2引っ掛けアーム部55dを駆動するモータ及び第2先端アーム部55bに設けられる各種のセンサ等である。ケーブルチェーン31は、例えば合成樹脂製であり、電気配線80を収納可能な空間を有する断面がコ字状の複数のリンク31aを連結して構成される。リンク31aのピッチPは、例えば20mmであり、リンク31aの幅Wは、例えば15mmである。リンク31aの開口部分は開閉可能な平坦な図示しない蓋部により覆われている。ケーブルチェーン31の一端31bは、車体22を構成する第2カバー部22cの内部に固定された第1ケーブルチェーン支持部33に固定される。ケーブルチェーン31の他端31cは、移載装置29を構成する第2ベース51bに設けられる配線用ブラケット51cに固定される。
【0030】
(6)第1ケーブルチェーン支持部
第1ケーブルチェーン支持部33は、第2カバー部22cの内部に配置されている。第1ケーブルチェーン支持部33は、第2カバー部22cの内部に固定された第1支持ブラケット40に固定されている。第1支持ブラケット40は、第2カバー部22cの内側面にボルト及びナットにより固定される第1固定部40aと、第1固定部40aに溶接等の適宜の固定手段により固定される第1支持部40bと、を有する。第1支持部40bは、鋼板製の部材であり、第1固定部40aの固定部分から60度の角度で斜め上方に延びている。第1支持部40bの上端は、ケーブルチェーン31の一端31bをわずかに超えている。
【0031】
第1ケーブルチェーン支持部33は、上部が第1支持部40bにボルト部材42により固定された鋼板製の板状部材である。第1ケーブルチェーン支持部33は、車体22側のケーブルチェーン31の一端31bから連続し、移載装置29の移動範囲より外側に向かって下方に直線的に傾斜している。したがって、図5において、第1ケーブルチェーン支持部33は、左下がりに傾斜している。第1ケーブルチェーン支持部33の傾斜角度αは、第1支持ブラケット40の第1支持部40bの傾斜と同じ角度であり、この実施形態では概ね60度である。第1ケーブルチェーン支持部の下端33aは、第2ベース51bが第1ベース51aから最も離反した位置に配置されたとき、ケーブルチェーン31の湾曲部分31dが配置される位置まで直線的に延びている。なお湾曲部分31dは、第2ベース51bが第1ベース51aに接近するにつれて上方に移動する。
【0032】
(7)第2ケーブルチェーン支持部
第2ケーブルチェーン支持部35は、第1ケーブルチェーン支持部33よりケーブルチェーン31の可動曲率に応じた距離以上離して配置される。ケーブルチェーン31の可動曲率、すなわち湾曲部分31dの可動曲げ半径Rは、例えば28mmであり、第2ケーブルチェーン支持部35は、第1ケーブルチェーン支持部33と、曲げ半径の2倍、すなわち56mm以上離れて配置される。第2ケーブルチェーン支持部35は、全体として移載装置29の移動範囲より外側に向かって下方に傾斜している。
【0033】
第2ケーブルチェーン支持部35は、第1支持ブラケット40の第1支持部40bに固定される第2固定部35aと、第2固定部35aから折り曲げて形成されたガイド部35bと、を有している。ガイド部35bは、車体22側から順に、導入部35cと、湾曲部35dと、直線部35eと、逃がし部35fと、を有している。導入部35cは、移載装置29側の端部に配置され下方に湾曲している。湾曲部35dは、ケーブルチェーン31を斜め下方に案内するために円弧状に湾曲している。直線部35eは、第1ケーブルチェーン支持部33と概ね平行に配置される。直線部35eは、第2固定部35aから折り曲げられている。逃がし部35fは、直線部35eの端部からケーブルチェーン31から離反するように屈曲している。
【0034】
(8)浮き上がり防止部
浮き上がり防止部37は、第2固定部35aに固定される第3固定部37aと、第3固定部37aから折り曲げて形成された対向部37bと、を有している。対向部37bは、第2ケーブルチェーン支持部35とケーブルチェーン31のリンク31aの幅W以上離して配置され、ケーブルチェーン31の移動範囲より外側に向けて下方に傾斜して配置される。対向部37bの傾斜角度βは、第1ケーブルチェーン支持部33の傾斜角度αよりわずかに大きい。この実施形態では、例えば62度である。対向部37bの上端37cは、左右Y方向に配置されるケーブルチェーン31の上面の高さ位置Hと実質的に同じ位置まで延びている。対向部37bの下端部37dはケーブルチェーン31から離反する方向に折り曲げられている。
【0035】
(9)移載装置の動作
移載装置29は、搬送車3に移載場所から荷物を移載する荷積み動作の時は、搬送車3が所望の移載位置に到達までに、第2ベース51bを荷物Wの幅に合わせた位置に配置する。この位置は、第1引っ掛けアーム部55c及び第2引っ掛けアーム部55dを第2位置から第1位置に揺動したとき、荷物Wを引っ掛けて引き込み可能な位置である。この位置が最大幅の荷物Wを荷積みする場合は、ケーブルチェーン31の湾曲部分31dが最も移載装置29から離反して配置される。しかし、ケーブルチェーン31は、移載装置29の移動範囲より外側に向かって下方に傾斜するので、ケーブルチェーン31は斜めに配置される。このため、移載装置が最も開いた状態であってもケーブルチェーン31の湾曲部分31dが第2カバー部22cからはみ出さなくなる。
【0036】
移載場所に搬送車3が移動すると、荷物収納棚11に向けて第1アーム53a及び第2アーム53baを進出させる。第2アーム53bが進出すると、移載場所に近い側の第1引っ掛けアーム部55c及び第2引っ掛けアーム部55dを第2位置から第1位置に揺動させ荷物Wの端面を引っ掛けて搬送車3に荷物Wを引き込む。
【0037】
一方、移載場所に荷物Wを荷下ろしする場合は、搬送車3が移載場所に到達すると、第1アーム53a及び第2アーム53bを移載場所と逆側に向けて後退させる。そして、移載場所に近い側の第1引っ掛けアーム部55c及び第2引っ掛けアーム部55dを第1位置に揺動させる。この状態で第1位置にある移載場所に近い側の第1引っ掛けアーム部55c及び第2引っ掛けアーム部55dで荷物Wを押圧して荷物収納棚11に荷物Wを移載する。
【0038】
(10)実施形態の作用効果
(A)搬送車3は、左右Y方向(第1方向の一例)に走行し、荷物W(物品の一例)を荷物収納棚11との間で移載する。搬送車3は、車体22と、移載装置29と、ケーブルチェーン31と、第1ケーブルチェーン支持部33と、第2ケーブルチェーン支持部35と、を備える。車体22は、左右Y方向に走行可能である。移載装置29は、車体22に設けられ、左右Y方向に移動する。ケーブルチェーン31は、車体22に一端が固定され、他端が移載装置29に固定される。第1ケーブルチェーン支持部33は、車体22側のケーブルチェーン31の固定部分から連続し、移載装置29の移動範囲より外側に向かって下方に傾斜する。第2ケーブルチェーン支持部35は、第1ケーブルチェーン支持部33よりケーブルチェーン31の可動曲率に応じた距離以上離して配置され、移載装置29の移動範囲より外側に向かって下方に傾斜する。
【0039】
この搬送車3では、左右Y方向に車体22が走行可能であり、車体22に設けられる移載装置29も搬送車3に対して左右Y方向に移動する。移載装置がケーブルチェーン31の一端31bと他端31cが接近する方向に搬送車3に対して移動するとき、湾曲部分31dが固定部分から徐々に離れる。このとき、湾曲部分31dまでのケーブルチェーン31の車体22に固定される一端31b側は、第1ケーブルチェーン支持部33により支持され、他端31c側は第2ケーブルチェーン支持部35により支持される。第1ケーブルチェーン支持部33及び第2ケーブルチェーン支持部35は、ケーブルチェーン固定部分から移載装置29の移動範囲より外側に向かって下方に傾斜するので、ケーブルチェーン31は斜めに配置される。このため、ケーブルチェーン31を水平に配置するより、ケーブルチェーンが占める左右Y方向の長さを短くすることができる。ここでは、湾曲部分31dが固定部分より下方に配置されるように、ケーブルチェーン31を斜めに配置できるので、ケーブルチェーン31を配置しても搬送車3の走行方向の長さの増加を抑えることができる。
【0040】
(B)搬送車3は、第2ケーブルチェーン支持部35とケーブルチェーン31のリンク31aの幅W以上離して配置され、ケーブルチェーンの移動範囲より外側に向けて下方に傾斜したケーブル浮き上がり防止部37をさらに備えてもよい。
これにより、ケーブルチェーン31を斜めに配置してもケーブルチェーン31の浮き上がりを防止できる。
【0041】
(C)搬送車3において、ケーブル浮き上がり防止部37の上端37cは、左右Y方向に配置されるケーブルチェーン31の上面の高さ位置Hと実質的に同じ位置まで延びている。
この場合には、ケーブルチェーン31の浮き上がりの防止を最小の長さで実現できる。
【0042】
(11)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0043】
(a)前記実施形態では、搬送車3に対して開閉する移載装置を例に本発明を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、搬送車としては昇降台を有するスタッカクレーンを含む。この昇降台にスタッカクレーンの走行方向の複数の移載位置に移動する移載装置を設けた搬送車も本発明に含まれる。すなわち、本発明は、車体の走行方向に移動する移載装置とその移載装置に固定されるケーブルチェーンを含む全ての搬送車に適用可能である。
【0044】
(b)前記実施形態では、第1アーム53aを第1中間アーム部54a及び第1先端アーム部55a(又は、第2アーム53bを第2中間アーム部54b及び第2先端アーム部55b)で構成したが、本発明はそのような実施形態に限定されない。第1アーム及び第2アームの各々が一つのアーム部で構成されてもよい。
【0045】
(c)前記実施形態では、第2アームだけを開閉方向に移動するように構成したが、第1アームも第2アームと連動し開閉するようにしてもよい。この場合、第1引っ掛けアーム及び第2引っ掛けアームを設けずに、物品を第1アームと第2アームとで挟持してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る搬送車は、例えば、自動倉庫の搬送車等に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 自動倉庫
2a 前ラック
2b 後ラック
3 搬送車
5 走行通路
7 第1支柱
9 第2支柱
11 荷物収納棚
17 入庫ステーション
19 出庫ステーション
21 レール
22 車体
22a フレーム
22b 第1カバー部
22c 第2カバー部
23a 駆動輪
23b 従動輪
29 移載装置
31 ケーブルチェーン
31a リンク
31b 一端
31c 他端
31d 湾曲部分
33 第1ケーブルチェーン支持部
33a 下端
35 第2ケーブルチェーン支持部
35a 第2固定部
35b ガイド部
35c 導入部
35d 湾曲部
35e 直線部
35f 逃がし部
37 浮き上がり防止部
37a 第3固定部
37b 対向部
37c 上端
37d 下端部
40 第1支持ブラケット
40a 第1固定部
40b 第1支持部
42 ボルト部材
51a 第1ベース
51b 第2ベース
53a 第1アーム
53b 第2アーム
54a 第1中間アーム部
54b 第2中間アーム部
55a 第1先端アーム部
55b 第2先端アーム部
55c 第1引っ掛けアーム部
55d 第2引っ掛けアーム部
60 第1駆動部
61 第2駆動部
62 ボールねじ軸
64 ナット部材
69 スプライン軸
87 走行用モータ
90 アーム開閉モータ
92 アーム移動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に走行し、物品を移載場所との間で移載する搬送車であって、
前記第1方向に走行可能な車体と、
前記車体に設けられ、前記車体に対して前記第1方向に移動する移載装置と、
前記車体に一端が固定され、他端が前記移載装置に固定されるケーブルチェーンと、
前記車体側の前記ケーブルチェーンの固定部分から連続し、前記移載装置の移動範囲より外側に向かって下方に傾斜する第1ケーブルチェーン支持部と、
前記第1ケーブルチェーン支持部より前記ケーブルチェーンの可動曲率に応じた距離以上離して配置され、前記移載装置の移動範囲より外側に向かって下方に傾斜する第2ケーブルチェーン支持部と、
を備える搬送車。
【請求項2】
前記第2ケーブルチェーン支持部と前記ケーブルチェーンのリンクの幅以上離して配置され、前記ケーブルチェーンの移動範囲より外側に向けて下方に傾斜したケーブル浮き上がり防止部をさらに備える、請求項1に記載の搬送車。
【請求項3】
前記ケーブル浮き上がり防止部の上端は、前記第1方向に配置される前記ケーブルチェーンの上面の高さ位置と実質的に同じ位置まで延びている、請求項2に記載の搬送車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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