説明

搬送障害に対応した紙幣取扱装置及びその障害復旧開始方法

【課題】
本発明は、搬送障害の発生時における残留紙幣の取り忘れを防止し、復旧時間の短縮を図る紙幣取扱装置を目的とする。
【解決手段】
本発明にかかる紙幣取扱装置は、紙幣判別部を通過し、入出金口部、一時保管部、紙幣収納部を接続する紙幣搬送路に、搬送される紙幣の位置情報を検知する複数の検知手段を有し、紙幣判別部で判別された金種又は真偽に関する判別情報に基づいて紙幣を搬送させ、紙幣の判別情報及び紙幣の固有情報と、紙幣の位置情報と、を対応させて記憶部に記憶させ、それらを表示部に表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣の判別結果に基づき紙幣を搬送する紙幣取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣取扱装置にて紙幣の搬送中に障害が発生して搬送路に残留した場合、係員が残留した紙幣を取り除く際に、取り忘れがないことが復旧時間、および現金障害の観点から重要である。従来の紙幣取扱装置は、紙幣搬送中に搬送障害が発生すれば装置内部の障害位置を特定表示していた。特許文献1には、搬送表示器に装置内部の障害位置を特定表示することで、係員による障害紙幣の解除操作を迅速に行うことができ、その結果、復旧時間を大幅に短縮できる紙幣取扱装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−139449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、障害位置の情報だけでは紙幣を個別に特定する情報がないために確実な紙幣除去が出来ない場合がある。その場合、復旧作業の後、再度残留紙幣を除去したり、残留していないか捜索したりする等の余計な操作が必要となり、復旧作業時間が増加してしまうという課題があった。
【0005】
また、除去すべき紙幣が目視で見つからないために残留紙幣を取り除きを忘れて、障害が発生した取引とは別の取引において残留紙幣が搬送されたり、その残留紙幣により新たなジャム障害となり、現金障害が発生する可能性も高くなるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、紙幣を受け入れる又は放出する入出金口部と、紙幣の固有情報を読みとり、かつ、少なくとも紙幣の金種及び真偽を判別する紙幣判別部と、入金された紙幣を一時的に集積する一時保管部と、入金された紙幣を収納する又は出金の為の紙幣を収納する複数の紙幣収納庫と、紙幣判別部を通過し、入出金口部、一時保管部、紙幣収納部を接続する紙幣搬送路と、紙幣搬送路に設けられた、搬送される紙幣の位置情報を検知する複数の検知手段と、紙幣判別部で判別された金種又は真偽に関する判別情報に基づいて紙幣を搬送させ、紙幣の判別情報及び紙幣の固有情報と、紙幣の位置情報と、を対応させて記憶する又は記憶部に記憶させる制御部と、紙幣の搬送障害が発生し残留紙幣が存在する場合に、紙幣の判別情報、紙幣の固有情報及び紙幣の位置情報を表示する表示部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、残留紙幣を特定することができ、それらの取り忘れを防止することにより復旧時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施例に係る現金自動取引装置の外観図
【図2】本実施例に係る現金自動取引装置の制御機構図
【図3】本実施例に係る紙幣取扱装置の構成図
【図4】本実施例に係る紙幣取扱装置の制御機構図
【図5】本実施例に係る搬送位置のエリア情報を示す図
【図6a】本実施例に係る入金計数処理時の残留紙幣情報の表示図
【図6b】本実施例に係る入金計数処理時の残留紙幣情報の表示テーブル
【図7a】本実施例に係る残留紙幣の未除去時の残留紙幣情報の表示テーブル
【図7b】本実施例に係る残留紙幣の一部除去済みの残留紙幣情報の表示テーブル
【図8a】本実施例に係る入金収納処理時の残留紙幣情報の表示図
【図8b】本実施例に係る入金収納処理時の残留紙幣情報の表示テーブル
【図9a】本実施例に係る出金処理時の残留紙幣情報の表示図
【図9b】本実施例に係る出金処理時の残留紙幣情報の表示テーブル
【図10】実施例5に係る制御部の処理フロー図
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、本発明の実施例に係る特徴について説明する。
【0010】
本実施例にかかる紙幣取扱装置は、紙幣を受け入れる又は放出する入出金口部と、紙幣の固有情報を読みとり、かつ、少なくとも紙幣の金種及び真偽を判別する紙幣判別部と、入金された紙幣を一時的に集積する一時保管部と、入金された紙幣を収納する又は出金の為の紙幣を収納する複数の紙幣収納庫と、紙幣判別部を通過し、入出金口部、一時保管部、紙幣収納部を接続する紙幣搬送路と、紙幣搬送路に設けられた、搬送される紙幣の位置情報を検知する複数の検知手段と、紙幣判別部で判別された金種又は真偽に関する判別情報に基づいて紙幣を搬送させ、紙幣の判別情報及び紙幣の固有情報と、紙幣の位置情報と、を対応させて記憶する又は記憶部に記憶させる制御部と、紙幣の搬送障害が発生し残留紙幣が存在する場合に、紙幣の判別情報、紙幣の固有情報及び紙幣の位置情報を表示する表示部と、を有することを特徴とする。このように、紙幣の位置情報と、固有情報等を対応付けて表示することにより、除去すべき紙幣が明らかになるため、紙幣のとり忘れを防止することが可能となる。
【0011】
また、紙幣の搬送障害が入金計数時に発生した場合、制御部は入出金口部から紙幣判別部までの搬送路に残留した紙幣を入出金口部に戻し、かつ、入出金口部から紙幣判別部以外の搬送路に残留している紙幣の判別情報と、固有情報と、位置情報を表示部に表示させることを特徴とする。このように未判別の紙幣が搬送路に残留しない構成とすることにより、残留紙幣のとり忘れを抑制することが可能となる。
【0012】
さらに、入金計数時に紙幣判別部で判別した紙幣の固有情報を、一時保管部に集積された順に記憶部に記憶し、紙幣の搬送障害が、紙幣返却時又は収納時に発生した場合であって、一時保管部から繰り出され搬送路に残留した紙幣について、紙幣判別部で固有情報が読みとれなかった場合は、入金計数時に記憶した固有情報を表示することを特徴とする。また、収納時に紙幣判別部で判別した紙幣の固有情報を、紙幣収納部に集積された順に記憶部に記憶し、紙幣の搬送障害が紙幣出金時に発生した場合であって、紙幣収納部から繰出され搬送路に残留した紙幣について、紙幣判別部で固有情報を読みとれなかった場合は、紙幣収納時に記憶した固有情報を表示することを特徴とする。このように、紙幣返却時又は紙幣収納時において固有情報を取得することができなくても、紙幣入金計数時の固有情報を表示することにより、除去すべき紙幣を特定することができる。
【0013】
さらに、搬送障害発生時に紙幣判別部で紙幣の固有情報の一部しか読み取れなかった場合は読み取れた一部の固有情報を表示し、表示部は、利用者に残留した紙幣を除去するように促す画面を表示することを特徴とする。そして、制御部は、検知センサにより紙幣が一時保管部又は紙幣収納部へ集積されたことを検知すると、集積された紙幣の判別情報及び固有情報と、入金順番情報とを対応付けて記憶部に記憶することを特徴とし、その後、一時保管部又は紙幣収納部から繰り出された紙幣の固有情報は、制御部に記憶され、記憶部から削除されることを特徴とする。ここで、紙幣の固有情報は、記番号に関する情報であることが好ましく、紙幣判別部は、紙幣の金種及び真偽に加えて、紙幣の状態を判別することが好ましい。このように一時保管部及び紙幣収納部に紙幣を集積した場合は、記憶部に紙幣情報を記憶させ、一方で、一時保管部及び紙幣収納部から紙幣を繰り出した場合は、記憶部に記憶された紙幣情報を削除し制御部に記憶させて、制御部に記憶させるデータ量を最小限にすることにより、制御部への負荷を抑制することができる。
【0014】
次に、紙幣を受け入れる又は放出する入出金口部と、紙幣の固有情報を読みとり、かつ、紙幣の金種及び真偽を判別する紙幣判別部と、入金された紙幣を一時的に集積する一時保管部と、入金された紙幣を収納する又は出金の為の紙幣を収納する複数の紙幣収納庫と、紙幣判別部を通過し、入出金口部、一時保管部、紙幣収納部を接続する紙幣搬送路と、紙幣搬送路に設けられた、搬送される紙幣の位置情報を検知する複数の検知手段と、紙幣判別部で判別された金種又は真偽に関する判別情報に基づいて、紙幣を搬送させ、紙幣の判別情報及び紙幣の固有情報と、紙幣の位置情報と、を対応させて記憶する又は記憶部に記憶させる制御部と、を有し、紙幣の搬送障害が発生した場合、搬送路に残留した紙幣の固有情報を記憶し、搬送路から除去した紙幣を入金計数させて紙幣判別部により除去紙幣の固有情報を読み取り、記憶した残留紙幣の固有情報と、入金計数させた除去紙幣の固有情報とが、一致することを契機に復旧処理を開始させることを特徴とする。また、紙幣の搬送障害が発生した場合、制御部は、残留紙幣の有無を判定し、
残留紙幣が存在する場合には、搬送路に残留した紙幣の固有情報及び位置情報を表示部に表示させて搬送路に残留した紙幣を除去するように促し、残留した紙幣を除去した後に、前記除去した紙幣を前記入出金口部に挿入するように促し、紙幣判別部に搬送し、挿入された除去紙幣の固有情報と、記憶された残留紙幣の固有情報と、を比較して判定することを特徴とする。このように、残留紙幣として記憶された紙幣情報と除去紙幣の紙幣情報とを比較する構成及び比較して一致した場合にのみ復旧処理を開始する構成とすることにより、とり忘れがなくなり、かつ、完全に残留紙幣が除去された後に復旧処理が始まるため、復旧完了までの時間を短縮することが可能となる。さらに、紙幣の搬送障害が入金計数時に発生した場合、制御部は、入出金口部から紙幣判別部までの搬送路に残留した紙幣を入出金口部に戻した後に、入出金口部から前記紙幣判別部以外の搬送路に残留した紙幣の固有情報及び位置情報を表示部に表示させて、搬送路に残留した紙幣を除去するように促すことを特徴とする。
【0015】
次に、本実施例にかかる搬送障害時の復旧開始方法は、搬送障害発生時に搬送路に残留した紙幣の固有情報を記憶するステップと、残留した紙幣の位置を表示して除去するように促すステップと、除去した紙幣を紙幣取扱装置へ挿入するように促すステップと、固有情報を記憶された紙幣の固有情報と、挿入された紙幣の固有情報とを比較して一致を判定するステップと、一致した場合には復旧処理を開始させるステップとを有することを特徴とする。
【0016】
続いて、本実施例を図面に基づいて説明する。まず、図1は、本実施例に係る紙幣取扱装置の外観図の一例である。本実施例の現金自動取引装置101には、顧客の取引カードや取引明細票を処理するカード明細票処理機構102と、通帳を処理する通帳処理機構103と、筐体104と、取引に必要な情報を利用者に表示又は利用者が入力する、あるいは係員が確認のために表示又は情報入力する操作表示部105が設けられている。なお、現金自動取引装置101では、利用者も係員も同じ操作表示部105を使用する構成について説明するが、利用者とは別に、係員専用の操作表示部を設ける構成としても良い。また、筐体104の内部には紙幣入出金装置1を備えている。図2は本実施例に係る装置の制御ブロック図である。カード明細票処理機構102、通帳処理機構103、操作表示部105および紙幣入出金装置1はバス110を介して本体制御部106と接続されており、本体制御部106の制御の下に必要な動作を行う。また、他に、インタフェース部107と、係員操作部108と、外部記憶装置109ともバス110で接続されており、必要なデータのやり取りを行うが、詳細な説明は省略する。なお、上記各機構、構成部分は、電源部111により電力を供給される。
【0017】
次に、図3は、現金自動取引装置101に搭載される紙幣入出金装置1の構成を表す図の一例であり、図4はその制御機構を示す図の一例である。紙幣入出金装置1は、紙幣を出し入れする入出金口2と、搬送される各紙幣の金種、真偽若しくは状態を判別する紙幣判別部3を有する。特に、この紙幣判別部3は、紙幣の固有情報(例えば、紙幣に印刷された記番号等であり、紙幣を固有または一意に特定できる情報を示す)を読み取る機能又は手段も有している。さらに入金した紙幣を取引成立までの間一時的に収納する一時保管部4と、紙幣入出金装置1で取り扱う紙幣が収納される紙幣庫と、紙幣を収納する紙幣庫と紙幣入出金装置1の各構成要素を結び、紙幣を搬送する搬送路5a〜5eと、紙幣の通過を検出するための搬送路センサ13a〜13iとを有する。ここで、紙幣庫はその役割に応じて分類され、例えば紙幣の一部に折れなどが生じていると判断されたリジェクト紙幣等の出金として扱わない紙幣を収納する入金庫6、入金および出金に合わせて紙幣の金種ごとに収納および放出を行う還流庫7〜10がある。本実施例では、図3に示すように下部右に入金庫6を備える。入金された紙幣のうち、折れなどが生じて出金に適さないと判断された紙幣は入金庫6に収納される。下部右から2つ目から5つ目には還流庫7〜10を備える。還流庫7〜10は金種別に紙幣が収納され、収納された紙幣は出金のときに放出される。例えば左からは10ユーロ札用、50ユーロ札用、100ユーロ札用、200ユーロ札用の還流庫とすることができる。
【0018】
さらに、紙幣入出金装置1は記憶部11を備えており、記憶部11は複数の記憶エリアを具備している。まず、第1の記憶エリアには一時保管部4に一時的に保管された紙幣について、制御部12が決定した紙幣の搬送先へ紙幣を搬送する際に、紙幣判別部3が判別した紙幣の固有情報、判別情報(紙幣の金種、真偽又は状態を判別した情報)、入金順番情報(紙幣の搬送順番)を記憶する。一方、第2の記憶エリアには、入出金口2に搬送した紙幣について、第3〜6エリアには還流庫7〜10の各カセットに収納された紙幣について、搬送する際に紙幣判別部3が判別した紙幣の固有情報、判別情報(紙幣の金種、真偽又は状態を判別した情報)、入金順番情報(紙幣の搬送順番)をそれぞれ記憶する。制御部12は搬送センサ路13a〜13iからの紙幣検出信号を受信する。また、本体制御部106とバス110を介して接続され、本体制御部106からの指令および紙幣入出金装置1の状態検出に応じて紙幣入出金装置1の制御を行い、紙幣入出金装置1の状態を必要に応じて本体制御部に送る。
【0019】
図5は、紙幣の搬送位置情報を示す表示図である。紙幣入出金装置1の紙幣を出し入れする機構及び搬送路で分割し、さらに搬送路を搬送路センサ13a〜13iで分割した搬送位置501〜519を示す。制御部12は、搬送される紙幣の搬送位置を搬送路センサ13a〜13iを用いて監視し、図5の対応する搬送位置を制御部12の内蔵メモリに記憶する。
【0020】
利用者は現金自動取引装置101によって種々の取引を実行するが、代表的な取引として入金取引と出金取引が挙げられる。入金取引では利用者が入出金口2に紙幣を投入して操作表示部105にて投入した金額を確認する際、その金額で良ければ確認(OK)ボタンを押下して取引を終了する場合と、返却ボタンを押下して投入した紙幣を返却して終了する場合がある。ここでは、図1〜図5を用いて、入金計数処理、入金収納処理、入金返却処理という処理について説明する。また、出金取引では利用者が操作表示部105から入力した出金金額に応じて、還流庫7〜10の各金種毎の還流庫から所定の枚数ずつ紙幣を繰出して利用者に支払う出金処理について説明する。
(実施例1)
実施例1として、入金計数処理で障害が発生した場合について記載する。まず、紙幣入出金装置1にて実行される入金計数処理について図3〜5、図6及び図7を用いて説明する。紙幣入出金装置1の入金計数処理は、利用者により入出金口2に紙幣が投入されると、入出金口2から紙幣を1枚ずつ分離し、搬送路5a上に搬出する。搬送路を搬送される各紙幣は、紙幣判別部3によってその金種や真偽が判別され、更には当該紙幣の固有情報である記番号が読み取られる。このとき制御部12は、紙幣判別部3の紙幣を判別した判別結果である判別情報に基き、紙幣の搬送先を決定する。この搬送先の決定においては、紙幣判別部3により真券であると判別された紙幣の搬送先を還流庫7の運用方法に合わせて決定する。例えば、還流庫10に10ユーロ札を収納するとした運用方法においては、紙幣判別部3により紙幣の種類が10ユーロと判別された場合、制御部12は、当該紙幣の最終搬送先を還流庫10に決定し、最終搬送先に搬送する前に、一時保管部4に搬送する。また、制御部12は、紙幣判別部3により金種が判別できない紙幣、寸法が異常な紙幣、固有情報が取得できない紙幣などであると判別された紙幣の搬送先を、入出金口2をリジェクトスタッカ14とし、最終搬送先と決定する。これは、紙幣として認められないと判断し、利用者に返却するためである。このように、紙幣入出金装置1は、紙幣判別部3により判別された紙幣のうち、金種が判別できない、紙幣の固有情報が読み取れない、取得できないなどの紙幣は一時保管部4を介さずに入出金口2(リジェクトスタッカ14)に搬送して返却するが、それ以外の紙幣は、一時保管部4に搬送する。
【0021】
制御部12は、入出金口2から繰出された紙幣を一時保管部4または入出金口2に搬送されるまで、前述の搬送路センサ13a〜13iを用いて監視する。入出金口2から繰出された紙幣は、最初に搬送路センサ13aで紙幣が通過するのを監視する。搬送路センサ13aで紙幣の通過を検出すると、紙幣の搬送位置情報を記憶する。搬送位置は図5の搬送路を搬送路センサ13a〜13iで分割した位置情報で、図5に示すように搬送位置501〜519まで定義してあり、各搬送路センサで紙幣の通過を検出するたびに紙幣の搬送位置情報を記憶する。入金計数処理において、搬送路センサ13aで紙幣の通過を検出すると、制御部12は検出した紙幣の搬送位置情報として搬送位置502を記憶する。次に搬送路センサ13bで紙幣を通過するのを監視する。搬送路センサ13bで紙幣の通過を検出すると、記憶していた搬送位置情報を搬送位置503に更新する。さらに、紙幣判別部3で判別されるのを監視する。紙幣判別部3により紙幣が判別されると、紙幣判別部3が判別した紙幣の固有情報、判別情報(紙幣の金種、真偽又は状態を判別した情報)、搬送位置情報を関連付けて制御部12で記憶し、紙幣の判別情報から前述の方法で搬送先を決定する。
【0022】
紙幣判別部3が判別した紙幣の判別情報から決定した搬送先が一時保管部4の場合は、次に搬送路センサ13cで紙幣の通過を監視する。搬送路センサ13cで紙幣の通過を検出したら制御部12は、紙幣の固有情報、紙幣の判別情報と関連付けで記憶している搬送位置情報を搬送位置504に更新する。続いて、一時保管部4に搬送されるのを監視して搬送されたことを検出すると、制御部12は記憶している紙幣の固有情報及び判別情報と、一時保管部4に搬送した入金順番情報を関連付けて、記憶部11の第1記憶エリアに記憶し、制御部12で記憶していた搬送した紙幣の固有情報、判別情報、搬送位置情報を削除する。一方、紙幣判別部3が判別した紙幣の判別情報から決定した搬送先が入出金部2の場合は、搬送路センサ13dで紙幣の通過を監視する。搬送路センサ13dで紙幣の通過を検出すると、制御部12は紙幣の固有情報及び判別情報と、関連付けて記憶している搬送位置情報を搬送位置505に更新する。続いて、入出金部2に搬送されるのを監視して搬送されたことを検出すると、制御部12は記憶している紙幣の固有情報及び判別情報と、入出金部2に搬送した入金順番情報を関連付けて記憶部11の第2記憶エリアに記憶し、制御部12で記憶していた搬送した紙幣の固有情報、判別情報、搬送位置情報を削除する。
【0023】
次に入金計数処理で、紙幣搬送中に障害が発生し、搬送路に紙幣が残留した場合の障害情報の表示方法について図6a及びbを用いて説明する。搬送中に障害が発生し、搬送路に紙幣が残留した場合、入出金部2から繰出されて搬送路5a上に残留している紙幣を入出金部2に戻すため、搬送路5aを繰出す時と逆方向に動作させて残留した紙幣を入出金部2に搬送する。紙幣判別部3により判別された紙幣の固有情報及び判別情報が存在しないため、係員等が残留紙幣を取り除く際に比較する情報がないことで生じる取り忘れを防ぐためである。まず、操作表示部105に搬送路に残留した各紙幣の固有情報、判別情報(紙幣の金種、真偽又は状態を判別した情報)、搬送位置情報を表示する。図6aでは搬送位置503〜505に計4枚の紙幣が残留しており、制御部12はバス部110を介して、記憶していた残留紙幣の情報を本体制御部106に渡し、本体制御部106は操作表示部105に表示する。
【0024】
図6bの残留紙幣61は、紙幣判別部3で固有情報としてLMN678を読み取り、判別情報として、金種については100ユーロ券、真偽については真、状態について良状態と判別している。従って制御部12は、前述した紙幣の搬送先の決定方法に従い、一時保管部4を搬送先に決定している。一時保管部4に搬送中に障害が発生し、搬送路の搬送位置504に残留した。残留紙幣62,63も同様に搬送先が一時保管部4に決定した紙幣で、残留紙幣64では、紙幣判別部3は固有情報として一部分のみ読取ることができ、判別情報として、金種については不明券、真偽については不明、状態については汚れ状態と判別している。利用者に返すため、搬送先を入出金部2に決定しており、入出金部2に搬送中に障害が発生し、搬送路の搬送位置505に残留した。ここで、紙幣判別部3で判別された紙幣の判別情報が存在しない場合や、スキュー等の搬送状態が悪い又は紙幣が汚れている等で紙幣の固有情報が一部分しか読み取れなかった場合は、読み取れなかった文字を”*“と表示する。
【0025】
次に、係員が操作表示部105に表示された残留紙幣情報を使用して残留紙幣を除去する方法について、図7a及びbを用いて説明する。現金自動取引装置は、取引中に障害が発生すると、装置の動作が停止し障害発生を通知する。係員は障害発生通知を受けると、図7aの操作表示部105に表示された残留紙幣情報の初期画面を見て紙幣の残留位置を判断する。その後、紙幣の搬送機構を手動により回転させ、搬送路の紙幣を取り出し易い場所まで移動させ、搬送路から取り除く。除去した紙幣の固有情報、金種を目視で判別し、操作表示部105に表示された残留紙幣情報の中で固有情報が一致する紙幣情報があれば、一致する残留紙幣情報の「除去」ボタンを選択することで、除去済みの紙幣として表示する。ここで、図7bの残留紙幣情報の作業中画面は、操作表示部105に表示された既に除去済みの紙幣と除去していない残留紙幣情報を示しており、残留紙幣61,64は既に除去し、残留紙幣62,63は除去していないことを示す。係員は、すべての紙幣の除去作業を終えた後に、操作表示部105の「確認」ボタンを押す。操作表示部105の残留紙幣情報の中に「除去」ボタンが押されていない未除去の情報が1つでもある場合は、操作表示部105に再度、障害発生時の情報となる残留紙幣情報の初期画面を表示して、係員に除去作業を行わせる。すべて除去済みの場合は、本体制御部106はバス部110を介し、制御部12に対して残留情報確認済みを連絡する。制御部12は連絡を受けると記憶している残留紙幣情報をすべて消去し、復旧処理に移行する。このように、操作表示部105に表示されたすべての残留紙幣情報の「除去」ボタンが押されていない場合は、紙幣の取り忘れがあるとして復旧できない構成になっており、何度でも残留紙幣情報を用いた除去作業を行えることで、紙幣の取り忘れを防止し、すべての紙幣を除去した状態で復旧させることができる。
(実施例2)
次に、入金収納処理で障害が発生した場合について説明する。まず、入金収納処理について図3、図4、図5、図8a及びbを用いて説明する。この入金収納処理は、操作表示部105に紙幣を計数した結果を示し、利用者に対して利用者の入金した入金額を確認させた後に、紙幣庫に紙幣を収納するときの紙幣入出金装置1の処理を示す。紙幣入出金装置1は、紙幣を一時保管部4から搬送路5c上に紙幣を搬出する。搬送する紙幣は紙幣判別部3によって再び判別され、紙幣判別部3による判別情報から制御部12が決定した搬送先(還流庫7〜10、入金庫6)に紙幣を搬送し、各紙幣庫に収納する。制御部12は、一時保管部4から繰出された紙幣を還流庫7〜10または入金庫6に搬送されるまで、前述の搬送路センサ13a〜13iを用いて監視する。一時保管部4から繰出された紙幣は最初に搬送路センサ13cで紙幣が通過するのを監視する。搬送路センサ13cで紙幣の通過を検出すると、制御部12は、記憶部11の第1エリアに一時保管部4に保管された紙幣として、関連付けして記憶している紙幣の固有情報、判別情報(紙幣の金種、真偽又は状態を判別した情報)、入金順番情報の中で、入金順番情報が最後になっている紙幣に関する情報を、入金計数処理時の紙幣情報として、搬送位置情報(このときは搬送位置503)と関連付けて記憶する。その際、記憶部11の第1エリアの入金順番情報が最後になっている紙幣の情報を削除する。そして、搬送路センサ13b、13a、13eほかを順番に通過するのを監視する。搬送路センサ13bにより紙幣の通過を検出すると、制御部12が記憶している紙幣の搬送位置情報を搬送位置502に更新し、搬送路センサ13aにより紙幣の通過を検出すると、制御部12が記憶している紙幣の搬送位置情報を搬送位置501に更新する。この際に紙幣判別部3で判別が行われるが、制御部12は紙幣判別部3により紙幣が判別されたのを検出すると、入金収納時の紙幣情報として、紙幣判別部3が判別した紙幣の固有情報及び判別情報(紙幣の金種、真偽又は状態を判別した情報)と、前述の既に記憶している入金計数時の紙幣情報(紙幣の固有情報、及び判別情報)と、搬送位置情報(このときは搬送位置501)を関連付けて記憶し、さらに紙幣判別部3が判別した紙幣の判別情報から前述の方法で搬送先を決定する。
【0026】
次に搬送路センサ13eで紙幣の通過を監視する。搬送路センサ13eで紙幣の通過を検出すると、記憶している搬送位置情報を搬送位置506に更新する。さらに、紙幣判別部3が判別した紙幣の判別情報から決定した搬送先が入金庫6の場合は、入金庫6に紙幣が搬送されるのを監視する。紙幣判別部3が判別した紙幣の判別情報から決定した搬送先が還流庫7の場合は、次に搬送路センサ13fを監視し、還流庫8の場合は、搬送路センサ13f、13gの順番で監視、還流庫9の場合は、搬送路センサ13f、13g、13hの順番で監視、還流庫10の場合は、搬送路センサ13f、13g、13h、13iの順番で、紙幣の通過を監視する。制御部12は、搬送路センサ13f〜13iで紙幣の通過を検出したら、記憶している紙幣の搬送位置情報をそれぞれ搬送位置507〜510に更新する。順番に監視する搬送路センサのうち、最後の搬送路センサで紙幣の通過を検出すると、制御部12は、次に搬送先の還流庫7〜10に紙幣が搬送されるのを監視する。入金庫6に紙幣が搬送されるのを検出すると、制御部12は、搬送された紙幣の、記憶している入金係数時と入金収納時の、紙幣の固有情報及び判別情報と搬送位置情報を削除する。一方で、還流庫7〜10に紙幣が搬入されるのを検出すると、制御部12は、搬送された紙幣の、記憶している入金収納処理で紙幣判別部3が読み取った紙幣の固有情報、紙幣の判別情報と、各還流庫7〜10に搬送した入金順番情報を関連付けて、記憶部11の還流庫7〜10に対応する第3〜6記憶エリアに記憶し、制御部12で記憶していた搬送した紙幣の紙幣情報を削除する。
【0027】
入金収納処理において、搬送中に障害が発生し、搬送路に紙幣が残留した場合、操作表示部105に残留した各紙幣の、入金計数時と入金収納時の、固有情報、判別情報(紙幣の金種、真偽又は状態を判別した情報)と、搬送位置情報を表示する。入金計数時の紙幣の固有情報、判別情報を表示することにより、入金収納時に紙幣判別部3による紙幣の固有情報や判別情報が存在しない場合でも、係員等が残留紙幣を取り除く際に、比較する情報があるため取り忘れを防ぐことができる。次に入金収納処理で、紙幣搬送中に障害が発生し、搬送路に紙幣が残留した場合の障害情報の表示方法について図8を用いて説明する。図8aでは入金収納処理において、搬送路5a〜5eに計6枚の紙幣が残留しており、制御部12はバス部110を介して、本体制御部106に記憶していた残留紙幣の情報を渡し、本体制御部106は操作表示部105に表示する。
【0028】
図8bの残留紙幣81は、入金収納処理時に、紙幣判別部3で固有情報としてABC123を読み取り、判別情報として、金種については10ユーロ券、真偽については真、状態について良状態と判別している。また、入金計数時に紙幣判別部3が読み取った、紙幣の固有情報、判別情報と同一である。従って、制御部12は、前述した紙幣の搬送先の決定方法に従い、還流庫10を搬送先に決定している。しかし、残留紙幣81は、還流庫10に搬送中に障害が発生して搬送路の搬送位置510に残留した。残留紙幣82も紙幣判別部3が読み取った金種が10ユーロ券だったため、同様に搬送先が還流庫10に決定した紙幣で、残留紙幣83は、金種情報が50ユーロ券となったため、搬送先を還流庫8に決定した紙幣で、搬送路5eに残留している。残留紙幣84では、紙幣判別部3は固有情報として一部分のみ読取ることができ、読み取れなかった文字は”*“として、読み取れた部分を表示し、判別情報として、金種については不明券、真偽については不明、状態については破れ状態と判別しており、金種不明のため搬送先を入金庫6に決定した。入金庫6に搬送中に障害発生し、搬送路の搬送位置506に残留した。残留紙幣85,86は紙幣判別部3で判別される前に障害が発生したので、入金収納時の紙幣の固有情報、紙幣の判別情報はなく、全て不明とし、入金計数時に紙幣判別部3が読みとった紙幣の固有情報、紙幣の判別情報(例えば、残留紙幣85は固有情報として、KLM357、判別情報として、金種については100ユーロ券、真偽については真、状態については良状態)を表示する。係員が入金収納処理における残留紙幣を除去する方法については、実施例1と同様に操作表示部105に表示された残留紙幣情報を使用して除去する。
(実施例3)
次に、入金返却処理で障害が発生した場合について記載する。まず、入金返却処理について図3、図4、図5を用いて説明する。この入金返却処理は操作表示部105にて表示した入金金額の確認において、返却ボタンを押下されることで利用者に入金取引を取り消されたときに、一時保管部4に一時的に保管された紙幣を入出金口2に返却する紙幣入出金装置1の処理を示す。
【0029】
紙幣入出金装置1は、紙幣を一時保管部4から搬送路5c上に紙幣を搬出し、搬送先の入出金口2に紙幣を搬送する。制御部12は、一時保管部4から繰出された紙幣を入出金部2のリジェクトスタッカ14に搬送されるまで、搬送路センサ13c、13bを用いて監視する。一時保管部4から繰出された紙幣は最初に搬送路センサ13cで紙幣が通過するのを監視する。搬送路センサ13cで紙幣の通過を検出すると、制御部12は、記憶部11の第1エリアに関連付けして記憶されている紙幣の固有情報、判別情報(紙幣の金種、真偽又は状態を判別した情報)、入金順番情報の中で、入金順番情報が最後の情報を、入金計数時の紙幣情報として、搬送位置情報(このときは搬送位置503)と関連付けて記憶する。その際、記憶部11の第1エリアの入金順番情報が最後の紙幣の情報を削除する。
【0030】
次に搬送路センサ13bを通過するのを監視する。搬送路センサ13bにより紙幣の通過を検出すると、制御部12が記憶している紙幣の搬送位置情報を搬送位置501に更新する。ここで、紙幣判別部3で判別されるのを監視する。紙幣判別部3により紙幣が判別されたのを検出すると、紙幣判別部3が判別した紙幣の固有情報、判別情報(紙幣の金種、真偽又は状態を判別した情報)を入金返却時の紙幣情報として、既に記憶している入金計数時の紙幣情報(紙幣の固有情報及び判別情報)と、搬送位置情報(このときは搬送位置501)を関連付けて記憶する。次に入出金部2に、紙幣が搬送されるのを監視する。制御部12は、入出金部2に紙幣が搬送されるのを検出すると、制御部12は、搬入された紙幣の記憶している、入金返却処理で紙幣判別部3が読取った紙幣の固有情報、紙幣の判別情報と入金順番情報を関連付けて、記憶部11の第2記憶エリアに記憶し、制御部12で記憶していた搬送した紙幣の紙幣情報を削除する。
【0031】
この入金返却処理において、搬送中に障害が発生して搬送路に紙幣が残留した場合、操作表示部105に残留した各紙幣の、入金計数時と入金返却時の、固有情報、判別情報(紙幣の金種、真偽又は状態を判別した情報)と、搬送位置情報を表示する。入金計数時の紙幣の固有情報、判別情報を表示することにより、入金返却時に紙幣判別部3による紙幣の固有情報や判別情報が存在しない場合でも、係員等が残留紙幣を取り除く際に、紙幣の固有情報に基づいた比較する情報があるため取り忘れを防ぐことができる。入金返却処理で、紙幣搬送中に障害が発生し、搬送路に紙幣が残留した場合の障害情報の表示方法については、実施例2と同様の方法で表示する。係員が入金返却処理における残留紙幣を除去する方法については、実施例2と同様に操作表示部105に表示された残留紙幣情報を使用して除去する。
(実施例4)
次に、出金処理で障害が発生した場合について記載する。還流庫7から繰出すときの出金処理について図3〜5、図9a及びbを用いて説明する。紙幣入出金装置1は、紙幣を還流庫7から搬送路5e上に紙幣を搬出する。搬送路を搬送する紙幣は紙幣判別部3によって判別され、紙幣判別部3による判別情報から制御部12は、出金リジェクト(利用者に支払う紙幣として認められない)紙幣は、搬送先を一時保管部4に、そうでない紙幣は入出金口2に決定する。制御部12は、還流庫7から繰出された紙幣を入出金口2または一時保管部4に搬送されるまで、前述の搬送路センサ13a〜13jを用いて監視する。還流庫7から繰出された紙幣は最初に搬送路センサ13fで紙幣が通過するのを監視する。搬送路センサ13fで紙幣の通過を検出すると、制御部12は、記憶部11の第3エリアに還流庫7に保管された紙幣として、関連付けされて記憶されている紙幣の固有情報、判別情報(紙幣の金種、真偽又は状態を判別した情報)、入金順番情報の中で、入金順番情報が最後の情報を、入金収納処理時の紙幣情報として、搬送位置情報(このときは搬送位置506)と関連付けて記憶する。その際、記憶部11の第3エリアの入金順番情報が最後の紙幣の情報を削除する。
【0032】
次に搬送路センサ13e、13a、13bを通過するのを順番に監視する。搬送路センサ13eにより紙幣の通過を検出すると、制御部12が記憶している紙幣の搬送位置情報を搬送位置501に更新する。次に搬送路センサ13aにより紙幣の通過を検出すると、制御部12が記憶している紙幣の搬送位置情報を搬送位置502に更新する。さらに、搬送路センサ13bにより紙幣の通過を検出すると、制御部12が記憶している紙幣の搬送位置情報を搬送位置503に更新する。さらに、紙幣判別部3で判別されるのを監視する。紙幣判別部3により紙幣が判別されたのを検出すると、出金時の紙幣情報として、紙幣判別部3が判別した紙幣の固有情報、判別情報(紙幣の金種、真偽又は状態を判別した情報)と、前述の既に記憶している入金収納処理時の紙幣情報(紙幣の固有情報及び判別情報)と、搬送位置情報(このときは搬送位置503)を関連付けて記憶し、さらに紙幣判別部3が判別した紙幣の判別情報から前述の方法で搬送先を決定する。
【0033】
紙幣判別部3が判別した紙幣の判別情報から決定した搬送先が入出金口2の場合は、搬送路センサ13dで紙幣の通過を監視する。制御部12は、搬送路センサ13dで紙幣の通過を検出したら、記憶している紙幣の搬送位置情報を搬送位置505に更新する。搬送路センサ13dで紙幣の通過を検出すると、制御部12は、次に入出金口2に紙幣が搬入されるのを監視する。そして、入出金口2に紙幣が搬入されるのを検出すると、制御部12は、搬送された紙幣の記憶している出金処理時の紙幣の固有情報及び判別情報と入金順番情報を関連付けて、記憶部11の第2記憶エリアに記憶し、制御部12で記憶していた搬送した紙幣の紙幣情報を削除する。紙幣判別部3が判別した紙幣の判別情報から決定した搬送先が一時保管部4の場合は、次に搬送路センサ13cで紙幣の通過を監視する。制御部12は、搬送路センサ13cで紙幣の通過を検出したら、記憶している紙幣の搬送位置情報をそれぞれ搬送位置504に更新する。搬送路センサ13cで紙幣の通過を検出すると、制御部12は、次に一時保管部4に紙幣が搬送されるのを監視する。次に一時保管部4に紙幣が搬入されるのを検出すると、制御部12は、搬入された紙幣の記憶している出金処理時の紙幣の固有情報及び判別情報と入金順番情報を関連付けて、記憶部11の第1記憶エリアに記憶し、制御部12で記憶していた搬送した紙幣の紙幣情報を削除する。
【0034】
この一連の出金処理において、搬送中に障害が発生し、搬送路に紙幣が残留した場合、操作表示部105に残留した各紙幣の、出金時と入金収納時の固有情報、判別情報(紙幣の金種、真偽又は状態を判別した情報)、搬送位置情報を表示する。入金収納時の紙幣の固有情報及び判別情報を表示することにより、出金時に紙幣の固有情報や判別情報が存在しない場合でも、係員等が残留紙幣を取り除く際に、比較する情報があるため取り忘れを防ぐことができる。ここで、出金処理で紙幣搬送中に障害が発生し搬送路に紙幣が残留した場合の障害情報の表示方法について図9a及びbを用いて説明する。図9aでは出金処理において、搬送路5a〜5eに計3枚の紙幣が残留しており、制御部12はバス部110を介して、本体制御部106に記憶していた残留紙幣の情報を渡し、本体制御部106は操作表示部105に表示する。
【0035】
図9bの残留紙幣91は、出金処理時に、紙幣判別部3は固有情報としてACE135を読み取り、判別情報として、金種については200ユーロ券、真偽については真、状態について良状態と判別している。また、入金収納時に紙幣判別部3が読み取った、紙幣の固有情報及び判別情報と同一である。従って、制御部12は前述した紙幣の搬送先の決定方法に従い、入出金部2を搬送先に決定しているが、入出金部2に搬送中に障害が発生して搬送路の搬送位置505に残留している。残留紙幣92は、紙幣判別部3は固有情報として一部分のみ読取ることができ、判別情報として、金種については不明券、真偽については不明、状態については汚れ状態と判別し、搬送先を一時保管部4に決定し、一時保管部4に搬送中に障害が発生し、搬送路の搬送位置503に残留した。残留紙幣93は紙幣判別部3で判別される前に障害が発生したので、出金時の紙幣の固有情報及び判別情報はなく不明とし、入金収納時に紙幣判別部3が読みとった紙幣の固有情報として、PRT579、判別情報として、金種については200ユーロ券、真偽については真、状態については良状態を表示する。係員が出金処理における残留紙幣を除去する方法については、実施例1と同様に操作表示部105に表示された残留紙幣情報を使用して除去する。
(実施例5)
次に、残留紙幣の紙幣情報と除去した紙幣の情報とを比較して、その情報が一致した場合にのみ復旧させる紙幣入出金装置について図10を用いて説明する。まず、実施例1と同じように入金計数処理、入金返却処理、入金収納処理、出金処理で、紙幣判別部3から判別した紙幣の固有情報を制御部12が記憶する。そして、搬送中に障害が発生し、搬送路に紙幣が残留した場合、制御部12は搬送路に残留している紙幣の固有情報を記憶した状態で、紙幣入出金装置は利用者による入金や出金などの通常の取引を停止する(ステップ1001)。その際に、取扱中止である旨を操作表示部に表示しても良い。そして、搬送路に残留している紙幣がない場合は、引き続き復旧処理へと移行する(ステップ1006)。一方で、搬送路に残留している紙幣がある場合は(ステップ1002)、制御部で残留紙幣の固有情報、判別情報等の紙幣情報を記憶し、操作表示部に残留紙幣の位置を表示させ(ステップ1003)、操作表示部により残留紙幣の位置を確認した係員等に残留紙幣を取り除かせる。そして、操作表示部等を利用して、その除去紙幣を入出金部2に投入するよう指示をする(ステップ1004)。除去紙幣が挿入されると、通常の取引が実施できる状態に復旧させるために入金計数処理が行われる。その際、紙幣判別部で読み取った固有情報の中に、障害発生時に制御部が記憶している搬送路に残留した紙幣の固有情報がすべて含まれているかどうかを制御部12で判定する(ステップ1005)。ここで、残留紙幣の固有情報が全て含まれていれば、復旧処理に移行する(ステップ1006)。一方で、上記残留紙幣の固有情報が全て含まれていなければ、残留紙幣が存在すると判断し通常取引の停止を維持し、かつ、再度操作表示部に残留紙幣の位置を表示させて残留紙幣を除去するように促す構成となる(ステップ1003)。
【0036】
このように、復旧用入金計数処理で紙幣をすべて除去したことを確認できない場合は紙幣の取り忘れがあるとして復旧できない構成を採用することにより、紙幣が残留している場合は何度でも復旧用入金計数処理を行うことができることで、紙幣の取り忘れを防止し、すべての紙幣を除去した状態で復旧させることが可能となる。
【符号の説明】
【0037】
1…紙幣取扱装置、2…入出金口、3…紙幣判別部、4…一時保管部、5a〜5e…搬送路、6…入金庫、7〜10…還流庫、11…記憶部、12…制御部、13a〜13i…搬送路センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を受け入れる又は放出する入出金口部と、
紙幣の固有情報を読みとり、かつ、少なくとも紙幣の金種及び真偽を判別する紙幣判別部と、
入金された紙幣を一時的に集積する一時保管部と、
入金された紙幣を収納する又は出金の為の紙幣を収納する複数の紙幣収納庫と、
前記紙幣判別部を通過し、前記入出金口部、前記一時保管部、前記紙幣収納部を接続する紙幣搬送路と、
前記紙幣搬送路に設けられた、搬送される紙幣の位置情報を検知する複数の検知手段と、
前記紙幣判別部で判別された金種又は真偽に関する判別情報に基づいて、紙幣を搬送させ、前記紙幣の判別情報及び前記紙幣の固有情報と、前記紙幣の位置情報と、を対応させて記憶する又は記憶部に記憶させる制御部と、
紙幣の搬送障害が発生し残留紙幣が存在する場合に、前記紙幣の判別情報、前記紙幣の固有情報及び前記紙幣の位置情報を表示する表示部と、を有することを特徴とする紙幣取扱装置。
【請求項2】
前記紙幣の搬送障害が、入金計数時に発生した場合、
前記制御部は、前記入出金口部から前記紙幣判別部までの搬送路に残留した紙幣を前記入出金口部に戻し、かつ、前記入出金口部から前記紙幣判別部以外の搬送路に残留している紙幣の判別情報と、固有情報と、位置情報を表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の紙幣取扱装置。
【請求項3】
入金計数時に前記紙幣判別部で判別した紙幣の固有情報を、前記一時保管部に集積された順に前記記憶部に記憶し、
前記紙幣の搬送障害が、紙幣返却時又は収納時に発生した場合であって、
前記一時保管部から繰り出され搬送路に残留した紙幣について、前記紙幣判別部で固有情報が読みとれなかった場合は、入金計数時に記憶した固有情報を表示することを特徴とする請求項1に記載の紙幣取扱装置。
【請求項4】
収納時に前記紙幣判別部で判別した紙幣の固有情報を、前記紙幣収納部に集積された順に前記記憶部に記憶し、
前記紙幣の搬送障害が、紙幣出金時に発生した場合であって、
前記紙幣収納部から繰出され搬送路に残留した紙幣について、前記紙幣判別部で固有情報を読みとれなかった場合は、紙幣収納時に記憶した固有情報を表示することを特徴とする請求項1に記載の紙幣取扱装置。
【請求項5】
搬送障害発生時に前記紙幣判別部で紙幣の固有情報の一部しか読み取れなかった場合は読み取れた一部の固有情報を表示することを特徴とする請求項1に記載の紙幣取扱装置。
【請求項6】
前記表示部は、利用者に残留した紙幣を除去するように促す画面を表示することを特徴とする請求項1に記載の紙幣取扱装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記検知センサにより紙幣が前記一時保管部又は前記紙幣収納部へ集積されたことを検知すると、前記集積された紙幣の判別情報及び固有情報と、入金順番情報とを対応付けて前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項3又は4に記載の紙幣取扱装置。
【請求項8】
前記一時保管部又は前記紙幣収納部から繰り出された紙幣の固有情報は、前記制御部に記憶され、前記記憶部から削除されることを特徴とする請求項3又は4に記載の紙幣取扱装置。
【請求項9】
前記紙幣の固有情報は、記番号に関する情報であることを特徴とする請求項1に記載の紙幣取扱装置。
【請求項10】
前記紙幣判別部は、紙幣の金種及び真偽に加えて、紙幣の状態を判別することを特徴とする請求項1に記載の紙幣取扱装置。
【請求項11】
紙幣を受け入れる又は放出する入出金口部と、
紙幣の固有情報を読みとり、かつ、紙幣の金種及び真偽を判別する紙幣判別部と、
入金された紙幣を一時的に集積する一時保管部と、
入金された紙幣を収納する又は出金の為の紙幣を収納する複数の紙幣収納庫と、
前記紙幣判別部を通過し、前記入出金口部、前記一時保管部、前記紙幣収納部を接続する紙幣搬送路と、
前記紙幣搬送路に設けられた、搬送される紙幣の位置情報を検知する複数の検知手段と、
前記紙幣判別部で判別された金種又は真偽に関する判別情報に基づいて、紙幣を搬送させ、前記紙幣の判別情報及び前記紙幣の固有情報と、前記紙幣の位置情報と、を対応させて記憶する又は記憶部に記憶させる制御部と、を有し、
紙幣の搬送障害が発生した場合、
搬送路に残留した紙幣の固有情報を記憶し、前記搬送路から除去した紙幣を入金計数させて前記紙幣判別部により除去紙幣の固有情報を読み取り、前記記憶した残留紙幣の固有情報と、前記入金計数させた除去紙幣の固有情報とが、一致することを契機に復旧処理を開始させることを特徴とする紙幣取扱装置。
【請求項12】
前記紙幣の搬送障害が発生した場合、
前記制御部は、残留紙幣の有無を判定し、
残留紙幣が存在する場合には、搬送路に残留した紙幣の固有情報及び位置情報を表示部に表示させて前記搬送路に残留した紙幣を除去するように促し、
残留した紙幣を除去した後に、前記除去した紙幣を前記入出金口部に挿入するように促し、
前記紙幣判別部に搬送し、
挿入された除去紙幣の固有情報と、前記記憶された残留紙幣の固有情報と、を比較して判定することを特徴とする請求項11に記載の紙幣取扱装置。
【請求項13】
前記紙幣の搬送障害が、入金計数時に発生した場合、
前記制御部は、前記入出金口部から前記紙幣判別部までの搬送路に残留した紙幣を前記入出金口部に戻した後に、前記入出金口部から前記紙幣判別部以外の搬送路に残留した紙幣の固有情報及び位置情報を表示部に表示させて、前記搬送路に残留した紙幣を除去するように促すことを特徴とする請求項11に記載の紙幣取扱装置。
【請求項14】
紙幣取扱装置における搬送障害時の復旧開始方法であって、
搬送障害発生時に搬送路に残留した紙幣の固有情報を記憶するステップと、
前記残留した紙幣の位置を表示して除去するように促すステップと、
前記除去した紙幣を紙幣取扱装置へ挿入するように促すステップと、
前記固有情報を記憶された紙幣の固有情報と、前記挿入された紙幣の固有情報とを比較して、一致を判定するステップと、
一致した場合には復旧処理を開始させるステップと、を有することを特徴とする搬送障害時の復旧開始方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−141863(P2012−141863A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−304(P2011−304)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】