説明

携帯ペットボトル用シャワーヘッド

【課題】片手で、水の入ったペットボトルの重量を支えながら、シャワーヘッドを上下動させてプッシュプル機構を機能させる操作を容易に行なうことができる携帯ペットボトル用シャワーヘッドを提供する。
【解決手段】ペットボトル1の飲み口3に形成される雄ネジ11に羅合する雌ネジ有する基端部5の周囲に、取手13が突設される。この基端部5に対して嵌合して連通し所定範囲で上下動する先端部7と、前記基端部5との間でプッシュプル機構15が構成され、前記上下動により開閉する。先端部7の先端にシャワー部17が設けられる。操作者が片手23の薬指側の指数本で前記取手13を挟み、残りの親指側の指数本で前記先端部7を上下操作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ペットボトルをシャワー装置として使用する為のシャワーヘッドの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
通常は飲料用容器等として使用されているペットボトルの先端口に、シャワーヘッドを取り付けるものが、例えば下記特許文献1に提案される。鑑賞植物への散水や、ペットの散歩時にペットの糞尿の後始末をするのに使用される。
しかし、単にシャワーヘッドを取り付けたものは、ペットボトルの内部に水を入れて持ち歩いた場合には揺れや振動により内部の水が漏れる。また、置いた状態で倒れた場合は大量に内部の水が漏れ出てしまう。
口を有する容器の水漏れを防ぐには、簡単な操作で容器の口を開閉できるプッシュプル機構が便利である。例えば、下記特許文献2には、容器に対して所定範囲で上下動させることで、開閉を行えるプッシュプル機構が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−211766号公報
【特許文献2】特開2004−051138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ペットボトルの水がシャワーヘッドから漏れるのを防止するには、シャワーヘッドを取り外して、別のキャップをするか、シャワーヘッド自体に別の蓋を被せるか、することが考えられるが、面倒である。そこで、シャワーヘッドに、開閉のためにプッシュプル機構を設ければ、そのような面倒はなくなる。
【0005】
しかしながら、ペットボトルにシャワーヘッドを取り付け、携帯して使用する場面では、一方の手に持ったバッグなどから、シャワーヘッド付ペットボトルを他方の手で取出して、使用することになる。このため、この他方の手は、水の入ったペットボトルの重量を支えながら、シャワーヘッドを上下動させてプッシュプル機構を機能させなければならない。よって、この片手で操作は難しいものとなる。
【0006】
この発明は、以上の問題点を解決するために、片手で、水の入ったペットボトルの重量を支えながら、シャワーヘッドを上下動させてプッシュプル機構を機能させる操作を容易に行なうことができる携帯ペットボトル用シャワーヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、第一発明は、ペットボトルの飲み口に形成される雄ネジに羅合する雌ネジと、この雌ネジを有し前記飲み口に連通する基端部と、この基端部に設けられ周囲に突出する取手と、前記基端部に対して嵌合して連通し所定範囲で上下動する先端部と、この先端部と前記基端部との間で構成され前記上下動により開閉するプッシュプル機構と、前記先端部の先端に設けられたシャワー部と、を有し、操作者が片手の薬指側の指数本で前記取手を挟み、残りの親指側の指数本で前記先端部を上下操作しうる距離に前記取手と前記先端部を位置させることを特徴とする携帯ペットボトル用シャワーヘッドである。
【0008】
第二発明は、さらに、前記取手は、基端部の周囲にリング状に突出し、前記シャワー部は、水平断面積が前記先端部の本体に比べて大きいことで前記本体との間でオーバーハング形状を形成することを特徴とする携帯ペットボトル用シャワーヘッド。
【発明の効果】
【0009】
第一、又は第二発明によれば、操作者は片手で基端部と先端部を掴むようにし、その片手の薬指側の指数本で、取手を挟み、残りの親指側の指数本で、先端部を上下操作する。このため、取手を指ではさむことで、水の入ったペットボトルの重量を容易に支えることができる。また、重量を支える指とは別の指すなわち親指側の指数本で、先端部を上下操作するので、重量が邪魔をせず容易に上下操作できる。
【0010】
第二発明によれば、さらに、取手はリング状に突出するので、どの方向からでも指で挟みやすい。また、シャワー部はオーバーハング形状となるので、親指側の指数本で、このオーバーハング形状の部分を押し上げ、容易に先端部を上へ動かすことができる。よって、操作が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の一実施形態に係る携帯ペットボトル用シャワーヘッドの使用状態を示す図である。
【図2】図1の携帯ペットボトル用シャワーヘッドの分解斜視図である。
【図3】図2の縦断面図である。
【図4】図3のプッシュプル機構が開いた状態を示す図である。
【図5】図4のプッシュプル機構が閉じた状態を示す図である。
【図6】図2の基端部の拡大斜視図である。
【図7】図6下側から見た拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の実施形態を、図1〜図7に示す。
[全体概略]
図2〜図5に示すように、ペットボトル1の飲み口3に基端部5が取付けられる。この基端部5に先端部7が嵌合して取付けられる。
すなわち、基端部5の下方には、雌ネジ9が形成され、この雌ネジ9が、ペットボトル1の飲み口3に形成される雄ネジ11に羅合する。基端部5は、ペットボトル1の飲み口3に連通する。この基端部5には、周囲にリング状に突出する取手13が一体に固定される。この基端部5に対して、先端部7が、嵌合して連通する。
先端部7は、基端部5に対して所定範囲で上下動できる構造を有する。この先端部7と基端部5との間で、プッシュプル機構15が構成され、前記上下動により連通部分が開閉する。
先端部7の先端にはシャワー部17が設けられる。このシャワー部17は、水平断面積が先端部7の本体19に比べて大きいことで、本体19との間でオーバーハング形状21を形成する。操作者が片手23の薬指側の指数本で取手13を挟み、残りの親指側の指数本で先端部7を上下操作しうる距離に、取手13と先端部7が位置する。
【0013】
[基端部5]
基端部5は、概略円錐台形状(図6,図7参照)を有し、内部は中空である。概略円錐台形状の底部には、雌ネジ9が形成され、ペットボトル1の雄ネジ11と羅合する。羅合することで、ペットボトル1と基端部5は連通する。概略円錐台形状の上底部25には、プッシュプル機構15を構成する円形の弁27が、リブ28に支えられて上方へ突設される。弁27の周囲の下方には、リブ28の間に隙間29が形成される。また、概略円錐台形状の上方の周囲には、先端部7の上下動をガイドするガイド溝31が円筒状に形成される。
【0014】
[取手13]
概略円錐台形状の下端の周囲には、リング状に突出する取手13が一体に固定される。このリング状は完全な円ではなく楕円である。楕円の長径部分には、紐などを通すのに便利な孔32が形成されている。
【0015】
[先端部7]
先端部7は、円筒状の本体19の先端に、漏斗状のシャワー部17が斜めに設けられる。本体19の内部は中空であり、シャワー部17に連通している。本体19の下方には、円筒状の周囲内側に、リング状に形成された突起35があり、この突起35が、基端部5のガイド溝31に嵌合する。本体19の円筒状の上底部36には、プッシュプル機構15を構成する円形の孔33である弁座37が、形成される。突起35や弁座37は、本体19の内側を構成するスリーブ38に形成される。
【0016】
[プッシュプル機構15]
先端部7にリング状に形成された突起35が、基端部5のガイド溝31に嵌合し、先端部7の上下動がガイドされる。先端部7に設けられた円形の弁座37へ、基端部5の弁27が、先端部7の上下動に伴い、接離する。図5に示すように、先端部7が下へ動き、弁座37へ弁27が接し、弁が閉じる。図4に示すように、先端部7が上へ動き、弁座37から弁27が離れ、弁が開く。弁が開くと、弁27の周囲の下方に形成された隙間29を経て、水が流通する。
【0017】
[シャワー部17]
シャワー部17は、逆の略円錐形状をなし、水が噴出されるように上面に多数の孔39が形成される。シャワー部17は、上面の水平断面積が、先端部7の本体19に比べて大きいことで、本体19との間でオーバーハング形状21を形成する。
【0018】
「実施形態の効果」
以上の実施形態の構造によって、図1に示すように、操作者は片手23で基端部5と先端部7を掴むようにして、水の入ったペットボトル1を持上げて支える。このとき通常は、図1に示すように、この手の上側に親指が位置し、下側に小指が位置する。その片手23の薬指側の指数本で、すなわち、この実施形態では薬指と中指で、取手13を挟む。残りの親指側の指数本で、すなわち、この実施形態では親指と人差指で、先端部7を上下操作する。このため、取手13を指ではさむことで、水の入ったペットボトル1の重量を容易に支えることができる。また、重量を支える指とは別の指すなわち親指側の指数本で、すなわちこの実施形態では親指と人差指で、先端部7を上下操作するので、重量が邪魔をせず容易に上下操作でき、プッシュプル機構15による開閉(図4,図5参照)が行える。
【0019】
さらに、取手13はリング状に突出するので、リング状の取手13が位置する平面のどの方向からでも、取手13を指で挟みやすい。また、シャワー部17はオーバーハング形状21となるので、親指側の指数本で、このオーバーハング形状21の下の部分を押し上げ、容易に先端部7を上へ動かすことができる。また、このオーバーハング形状21の上の部分を押し下げ、容易に先端部7を下へ動かすことができる。よって、上下操作が容易になる。
【0020】
また、プッシュプル機構15で容易に弁27を閉じることができるので、シャワーヘッド7,5をペットボトル1に取り付けた状態で、水漏れする事なく持ち歩く事ができ、水漏れ防止の為、キャップへの付け替えやシャワーヘッドへの蓋が不要となった。
また取手13には、紐などを通すことができ、この紐で例えば腰などに吊り下げた状態で、片手23で掴みながら親指と人差し指の第一関節で、オーバーハング形状21の下の部分を押し上げる動作により開栓でき、閉栓する時には、シャワーヘッドの上部を押すだけでよく、常時素早く簡単に片手23で操作できる。
【0021】
ペットボトル1の内部に水を入れシャワーを取り付けた状態で持ち歩いた時でも、揺れや振動により、ボトル内部の水が漏れることを防げる。また、犬の散歩時での排尿時による急な使用時において、犬の綱やバック等の荷物を持ちながら、片手23で迅速に操作でき、シャワーを得ることができる。
【0022】
「他の実施形態」
以上の実施形態では、プッシュプル機構15は先端部7を上下操作し、下へ動かしたときに閉栓し、上へ動かしたときに開栓するものであったが、他の実施形態では、逆の動きで機能することもできる。すなわち、下へ動かしたときに開栓し、上へ動かしたときに閉栓する構造であっても良い。
【0023】
また、以上の実施形態では、取手13は基端部5の周囲にリング状に突出するもので、形状は楕円であったが、他の実施形態では、円形でもよい。また、横8の字のように、二つのリング状に突出する形状でもよい。
また、以上の実施形態では、先端部の本体19は、内側が別体のスリーブ38によって構成されるものであったが、他の実施形態では、別体ではなく、一体的に構成されるのもであってもよい。
【符号の説明】
【0024】
1…ペットボトル、3…飲み口、5…基端部、7…先端部、9…雌ネジ、11…雄ネジ、13…取手、15…プッシュプル機構、17…シャワー部、19…先端部の本体、21…オーバーハング形状、23…片手、25…上底部、27…弁、29…隙間、31…ガイド溝、33、32…孔、35…突起、37…弁座、38・・スリーブ、39…多数の孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットボトルの飲み口に形成される雄ネジに羅合する雌ネジと、この雌ネジを有し前記飲み口に連通する基端部と、この基端部に設けられ周囲に突出する取手と、前記基端部に対して嵌合して連通し所定範囲で上下動する先端部と、この先端部と前記基端部との間で構成され前記上下動により開閉するプッシュプル機構と、前記先端部の先端に設けられたシャワー部と、を有し、操作者が片手の薬指側の指数本で前記取手を挟み、残りの親指側の指数本で前記先端部を上下操作しうる距離に前記取手と前記先端部を位置させることを特徴とする携帯ペットボトル用シャワーヘッド。
【請求項2】
前記取手は、基端部の周囲にリング状に突出し、前記シャワー部は、水平断面積が前記先端部の本体に比べて大きいことで前記本体との間でオーバーハング形状を形成することを特徴とする請求項1に記載の携帯ペットボトル用シャワーヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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