説明

携帯可能なLEDランプ

【課題】常時は据付型などの照明用ランプとして機能し、停電時には非常灯として機能させることができ、取り外すと懐中電灯として用いることのできるLEDランプを提案すること。
【解決手段】LEDランプ1は白熱ランプと同様に天井等に設置したソケットに取り付けて据付型の照明器具として使用でき、停電時には充電・切替回路13によって電源が内蔵の非常用電源14に切り替わり、LED5が発光した点灯状態が維持され非常灯として機能する。この状態では手動操作スイッチ6の操作が有効となり、LEDランプ1をソケットから取り外して、懐中電灯と同様にLEDランプ1を用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋の天井などに設置されたソケットなどに取り付けて用いられるLEDランプに関し、停電時などの非常時に、ソケットなどの取り付け部から外して懐中電灯として用いることのできる携帯可能なLEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、白熱電球、蛍光管の代わりに、消費電力が少なく寿命の長いLEDランプが普及し始めている。特許文献1には、既存の白熱電球の代わりに使用できるように、白熱電球を取り付けるソケットに取り付け可能な口金部を備えたLEDランプが提案されている。特許文献2には、バッテリが搭載され、停電時などにバッテリによりLEDを発光させる非常用点灯装置が提案されている。一方、特許文献3には、懐中電灯用の電球の代わりに用いることのできるLEDランプが提案されている。
【特許文献1】特開2005−222750号公報
【特許文献2】特開平09−260070号公報
【特許文献3】特開2005−116379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、懐中電灯は分かりやすい場所においておかないと停電時などの非常時に役立たないので、目に付く場所に置いておく必要がある。しかし、常時は使用されないので目に付く場所に置いておくと邪魔になることが多い。また、置き場所が分かっていたとしても停電時に暗闇の中で手探り状態で懐中電灯を探すことは極めて不便である。
【0004】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、常時は照明用ランプとして機能し、停電時などの非常時には非常灯として機能させることができ、しかも、そのまま懐中電灯として携帯して用いることのできるLEDランプを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明のLEDランプは、
把持用のランプケースと、
前記ランプケースの後端に取り付けられている交流電源供給用の口金部と、
前記ランプケースの前端に取り付けられているランプカバーと、
前記ランプカバーによって覆われているLEDと、
前記ランプケースに内蔵されているLED点灯用の非常用電源と、
前記口金部を介して供給される交流電流を直流電流に変換して前記LEDに供給するAC/DCコンバータと、
前記非常用電源から前記LEDへの電力供給をオンオフする手動操作スイッチとを有していることを特徴としている。
【0006】
本発明のLEDランプは、白熱ランプと同様に、部屋の天井、壁などに取り付けられているソケットに口金部をねじ込むことにより据付型の照明用のランプとして用いることができる。また、ソケットから取り外して懐中電灯として用いることができる。
【0007】
ここで、本発明のLEDランプは、前記非常用電源から前記LEDへの電力供給をオンオフ制御する切替回路を有しており、前記切替回路は、常時は前記非常用電源から前記LEDへの電力供給をオフに保持し、前記交流電源からの電力供給が遮断するとオンに切り替えることを特徴としている。
【0008】
LEDランプを部屋などに取り付けた据付け型の照明器具などとして使用している場合に、停電などの非常時において交流電源からの電力供給が遮断されると、非常用電源によって点灯状態が維持される。よって、LEDランプは非常灯として機能する。
【0009】
また、停電時において、点灯状態のLEDランプをソケットから取り外して懐中電灯として携帯することができる。LEDランプが点灯しているので、停電時の暗闇の中で懐中電灯を探す場合とは異なり、LEDランプを探す必要がなく、ソケットからLEDランプを取り外す作業を迅速かつ簡単に行うことができる。
【0010】
次に、本発明の携帯可能なLEDランプにおいて、前記切替回路は、前記交流電源からの電力供給が遮断されている状態において、前記手動操作スイッチによる前記非常用電源から前記LEDヘの電力供給のオンオフ操作を有効にすることを特徴としている。
【0011】
LEDランプを取り外して使用する場合には、交流電源からの電力供給が遮断されて切替回路によって電源が内蔵の非常用電源に切り替わる。したがって、取り外した後は、手動操作スイッチの操作が有効となり、当該手動操作スイッチによってオンオフすることにより、通常の懐中電灯と同様にLEDランプを用いることができる。
【0012】
次に、本発明のLEDランプにおいて、前記非常用電源は、前記交流電源の側から供給される電力によって充電される充電式の電源であることを特徴としている。通常の照明器具として用いる状態において常に充電状態に保持しておくことができるので、非常時に電池切れで機能しないという弊害を防止できる。
【0013】
また、本発明のLEDランプにおいて、前記口金部は、白熱電球のソケット部にねじ込み固定可能であることを特徴としている。このようにしておくと、既存の白熱ランプの代わりに本発明のLEDランプを用いることができるので便利である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のLEDランプは、部屋の天井などに設置したソケットに取り付けることにより通常の白熱ランプと同様な据付型などの照明器具として用いることができ、ソケットから取り外した場合には懐中電灯として用いることができる。したがって、非常時に置き場所が不明で使用できないという弊害、そのために目に付く場所を懐中電灯の置き場所として確保しておかなければならないという不便さを解消できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したLEDランプの実施の形態を説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係るLEDランプを示す斜視図である。LEDランプ1は、耐熱樹脂などの素材からなる円筒状のランプケース2を備えており、このランプケース2の後端には交流電源入力部としての口金部3が同軸状に取り付けられている。口金部3は通常の白熱ランプの口金部と同一寸法のものであり、白熱ランプの代わりに取り付け可能である。
【0017】
ランプケース2の前端には前方に広がったランプカバー4が同軸状に取り付けられている。ランプカバー4は例えば樹脂製であり、湾曲面状の内周反射面を備えている反射鏡部分4aと、この前面の射出開口を封鎖している拡散板4bとを備えている。このランプカバー4の内部の中心部分に複数個のLED5が配置されている。
【0018】
ランプケース2は、当該LEDランプ1を把持するための把持部として機能し、当該ランプケース2の外周面には点灯、消灯切り替え用の手動操作スイッチ6が配置されている。後述のように、LEDランプ1を交流電源から切り離した状態において手動操作スイッチ6の操作が有効になる。
【0019】
図2はLEDランプ1のLED駆動制御回路を示す概略ブロック図である。LED駆動制御回路10は、AC/DCコンバータを含む整流回路11を備えており、ここには、交流電流、例えば100ボルトの交流電流が、口金部3を介して供給される。整流回路11では、交流電流を所定電圧の直流電流に変換し、変換後の直流電流を入力検知回路12を介して充電・切替回路13に供給する。入力検知回路12は、整流回路11からの直流電流の供給が遮断されると、遮断検知信号12S1を充電・切替回路13に供給する。また、入力検知回路12は、整流回路11からの直流電流の供給が再開された時には遮断解除検知信号12S2を充電・切替回路13に供給する。
【0020】
充電・切替回路13には非常用電源14が接続されており、常時は、整流回路11から供給される直流電流によって駆動されると共に、当該直流電流を用いてLED5を発光させる。入力検知回路12から遮断検知信号12S1が入力されると、電源を非常用電源14に切り替え、ここから供給される所定電圧の直流電流によって駆動すると共に、当該非常用の直流電流を用いてLED5を発光させる。また、入力検知回路12から遮断解除検知信号12S2が入力されると、電源を再び交流電源側に切り替え、整流回路11から供給される直流電流によって駆動すると共に、当該直流電流を用いてLED5を発光させる。
【0021】
非常用電源14は、本例では充電式の電源、例えば二次電池である。充電・切替回路13は、交流電源をLED駆動電源として用いる場合には、整流回路11から供給される直流電流によって非常用電源14を充電し、常に満充電状態に維持する。
【0022】
ここで、充電・切替回路13には手動操作スイッチ6が接続されており、手動操作スイッチ6を操作すると、切替信号6Sが充電・切替回路13に供給される。充電・切替回路13は、入力検知回路12から遮断検知信号12S1が入力されて、非常用電源14をLED駆動電源として利用している場合に、手動操作スイッチ6の操作によって切替信号6Sが入力すると、非常用電源14からLED5への電力供給をオフに切り替える。この状態で再度、手動操作スイッチ6が操作されて切替信号6Sが入力すると、充電・切替回路13は非常用電源14からLED5への電力供給をオンに切り替える。入力検知回路12から遮断解除検知信号12S2が入力されて電源が交流電源の側に切り替わった通常状態では、手動操作スイッチ6の入力操作は無効とされる。
【0023】
この構成のLEDランプ1は、白熱ランプの代わりに、当該白熱ランプのソケット(図示せず)に取り付けて通常の据付型の照明器具として使用することができる。使用中に停電などの非常事態が発生して交流電流の供給が遮断すると、電源が内蔵の非常用電源14に切り替わり、点灯状態が維持される。
【0024】
この状態において、LEDランプ1のランプケース2の部分を把持して、LEDランプ1をソケットから取り外すと、このLEDランプ1を携帯用の照明器具である懐中電灯として用いることができる。非常用電源14を用いている状態では、手動操作スイッチ6の操作が有効とされ、手動操作スイッチ6を操作すると、点灯状態のLEDランプ1を消灯状態に切り替えることができる。再度、手動操作スイッチ6を操作すると点灯状態に切り替えることができ、通常の懐中電灯と同様に取り扱うことができる。
【0025】
停電が解除された後に、LEDランプ1を、取り外したソケットに再度ねじ込むと、再び、通常の据付型の照明器具として機能する。すなわち、口金部3を介して交流電流が供給されると、入力検知回路12からの遮断解除検知信号12S2が充電・切替回路13に入力され、電源が内蔵の非常用電源から交流電源の側に切り替わり、手動操作スイッチ6が無効状態に戻る。
【0026】
以上説明したように、LEDランプ1は、部屋の天井、壁などに取り付けた据付型の照明器具として機能すると共に、取り外すことにより、懐中電灯として機能する。
【0027】
また、停電時には駆動電源が内蔵の非常用電源に切り替わるので、点灯状態を維持でき、停電時の照明として利用できる。この場合、点灯状態のLEDランプを取り外して懐中電灯として用いることができるので、暗がりの中で懐中電灯を探す必要がない。また、懐中電灯の置き場所を忘れて暗がりの中で懐中電灯を探し回る必要もない。
【0028】
さらには、LEDランプは通常は据付型の照明器具として用いているので、懐中電灯のように、その置き場所を確保しておく必要もなく、非常時に利用しやすいように目に付きやすい場所に置いておいた場合のように、通常時には邪魔になるという弊害も発生しないので便利である。
【0029】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態は、天井、壁などに取り付けられる据付型のランプとして用いる場合の例であるが、例えば、卓上などに載せて使用する電気スタンドのランプとして本発明のLEDランプを用いることも勿論可能である。
【0030】
また、上記の実施の形態では、複数個のLED5を直列接続して用いている。単一のLED5を用いることも可能であり、直列接続した複数個のLEDの列を並列に接続して用いることも可能である。また、LEDとしては、赤色発光、緑色発光および青色発光のLEDを用いることにより白色光以外のカラー光を発光できる。勿論、これ以外の発光色のLEDを用いることも可能である。
【0031】
次に、非常用電源14からLED5ヘの駆動電力供給ラインに、直列状態で、手動操作スイッチおよび自動切替スイッチを配置しておくことも可能である。この場合には、自動切替スイッチをオフ状態に保持し、交流電流が遮断された場合に当該自動切替スイッチがオンに切り替わるようにすればよい。また、この場合には、手動操作スイッチは常に、ばね力などによってオン状態に付勢しておき、手動操作スイッチが操作されたときにのみオフに切り替わるようにしておけばよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明を適用したLEDランプの外観図である。
【図2】図1のLEDランプのLED駆動制御回路の概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0033】
1 LEDランプ
2 ランプケース
3 口金部
4 ランプカバー
5 LED
6 手動操作スイッチ
6S 切替信号
10 LED駆動制御回路
11 整流回路
12 入力検知回路
12S1 遮断検知信号
12S2 遮断解除検知信号
13 充電・切替回路
14 非常用電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持用のランプケースと、
前記ランプケースの後端に取り付けられている交流電源接続用の口金部と、
前記ランプケースの前端に取り付けられているランプカバーと、
前記ランプカバーによって覆われているLEDと、
前記ランプケースに内蔵されているLED点灯用の非常用電源と、
前記口金部を介して供給される交流電流を直流電流に変換して前記LEDに供給するAC/DCコンバータと、
前記非常用電源から前記LEDへの電力供給をオンオフするために操作される手動操作スイッチとを有していることを特徴とする携帯可能なLEDランプ。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯可能なLEDランプにおいて、
前記非常用電源から前記LEDへの電力供給をオンオフ制御する切替回路を有しており、
前記切替回路は、常時は前記非常用電源から前記LEDへの電力供給をオフに保持し、前記交流電源からの電力供給が遮断するとオンに切り替えることを特徴とする携帯可能なLEDランプ。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯可能なLEDランプにおいて、
前記切替回路は、前記交流電源からの電力供給が遮断されている状態において、前記手動操作スイッチによる前記非常用電源から前記LEDヘの電力供給のオンオフ操作を有効にすることを特徴とする携帯可能なLEDランプ。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれかの項に記載の携帯可能なLEDランプにおいて、
前記非常用電源は、前記交流電源の側から供給される電力によって充電される充電式の電源であることを特徴とする携帯可能なLEDランプ。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれかの項に記載のLEDランプにおいて、
前記口金部は、白熱電球のソケット部にねじ込み固定可能であることを特徴とする携帯可能なLEDランプ。

【図1】
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【図2】
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