説明

携帯可能電子装置、ICカード、データ処理装置および携帯可能電子装置の通信制御方法

【課題】効率的な通信制御を行える携帯可能電子装置、ICカード、データ処理装置および携帯可能電子装置の通信制御方法を提供する。
【解決手段】実施の形態によれば、携帯可能電子装置は、通信手段と、設定手段と、依頼手段と、変更手段とを有する。通信手段は、外部装置と通信する。設定手段は、通信手段による外部装置との通信に用いる通信速度の初期設定を含む通信設定を行う。依頼手段は、通信手段により外部装置に対して通信速度の変更を依頼するデータを送信する。変更手段は、依頼手段により依頼した通信速度の変更に対する許可通知を受信した後、通信手段による外部装置との通信速度を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、たとえば、携帯可能電子装置、ICカード、データ処理装置および携帯可能電子装置の通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICカードと上位装置との通信速度は、起動時の初期応答、あるいは、初期応答直後のネゴシエーションでのみ設定でき、ネゴシエーション以降の処理では変更することができない。すなわち、従来のICカードでは、アプリケーションあるいはコマンド単位で通信速度を変更できない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】ISO/IEC 7816−3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態では、効率的な通信制御を行える携帯可能電子装置、ICカード、データ処理装置および携帯可能電子装置の通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、携帯可能電子装置は、通信手段と、設定手段と、依頼手段と、変更手段とを有する。通信手段は、外部装置と通信する。設定手段は、通信手段による外部装置との通信に用いる通信速度の初期設定を含む通信設定を行う。依頼手段は、通信手段により外部装置に対して通信速度の変更を依頼するデータを送信する。変更手段は、依頼手段により依頼した通信速度の変更に対する許可通知を受信した後、通信手段による外部装置との通信速度を変更する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、ICカードの構成例を概略的に示す図である。
【図2】図2は、ICカードとの通信機能を有するICカード処理装置の構成例を概略的に示す図である。
【図3】図3は、第1の通信制御の例を概略的に示す図である。
【図4】図4は、第2の通信制御の例を概略的に示す図である。
【図5】図5は、第3の通信制御の例を概略的に示す図である。
【図6】図6は、第4の通信制御の例を概略的に示す図である。
【図7】図7は、第5の通信制御の例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0008】
まず、実施の形態に係る携帯可能電子装置としてのICカードの構成について説明する。
図1は、ICカード1の構成例を概略的に示すブロック図である。
【0009】
携帯可能電子装置としてのICカード1は、データ処理装置(上位装置)としてのICカード処理装置2からのコマンドに応じて処理を実行する。すなわち、ICカード1とICカード処理装置2とは、互いにデータを送受信する通信機能を有し、図1に示すようなICカード処理システムを構成している。
【0010】
上記ICカード1は、上記ICカード処理装置2などの上位装置から電力などの供給を受けた際、活性化される(動作可能な状態になる)ようになっている。例えば、上記ICカード1が接触型の通信によりICカード処理装置2と接続される場合、つまり、ICカード1が接触型のICカードで構成される場合、上記ICカード1は、通信インターフェースとしてのコンタクト部を介してICカード処理装置2からの動作電源及び動作クロックの供給を受けて活性化される。
【0011】
また、上記ICカード1が非接触型の通信方式によりICカード処理装置2と接続される場合、つまり、上記ICカード1が非接触式のICカードで構成される場合、上記ICカード1は、通信インターフェースとしてのアンテナ及び変復調回路などを介してICカード処理装置2からの電波を受信し、その電波から図示しない電源部により動作電源及び動作クロックを生成して活性化するようになっている。
【0012】
図1に示すように、ICカード1は、CPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)11、ROM(リード・オンリ・メモリ)12、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)13、通信ユニット(UART)14、コプロセッサ(Co−Processor)15、および、不揮発性メモリ(NV(EEPROM))16などを有している。
【0013】
上記CPU11、ROM12、RAM13、通信ユニット14、コプロセッサ15および不揮発性メモリ16は、ICチップなどにより一体的に形成されたモジュールCaにより構成される。このモジュールCaは、当該ICカード1を形成する筐体(本体)Cの内部に埋設される。すなわち、上記ICカード1は、モジュールCaが埋設された筐体Cにより構成されている。
【0014】
また、上記ICカード1は、上位装置としての上記ICカード処理装置2から電力などの供給を受けた際、活性化し(動作可能な状態となり)、上記ICカード処理装置2からのコマンドに応じて動作するようになっている。ICカード処理装置2は、本ICカード1の通信方式に適合したリーダライタが接続されたパーソナルコンピュータなどにより構成される。たとえば、ICカード処理装置2は、図示しない制御部がアプリケーションプログラムを実行することにより、ICカード1に対してコマンドを送信したり、ICカード1からのレスポンスを受信したりする機能を実現している。
【0015】
上記CPU11は、当該ICカード1全体の制御およびデータ処理などを司るものである。上記CPU11は、制御プログラム等に基づいて動作することにより種々の処理を行う。上記ROM12は、制御用プログラムおよび制御データなどが予め格納されている不揮発性メモリである。上記RAM13は、ワーキングメモリとして機能する揮発性のメモリである。
【0016】
上記通信ユニット14は、通信手段として機能し、上位装置としてのICカード処理装置2とのデータ通信を制御するものである。また、上記通信ユニット14は、上記ICカード1が動作するための電源を受給する手段としても機能する。上記コプロセッサ15は、暗号化あるいは復号化などの演算の補助を行うものである。上記不揮発性メモリ16は、各種データやアプリケーション(アプリケーションプログラム)などを記憶する書き換え可能な不揮発性メモリである。
【0017】
また、上記通信ユニット14は、ICカード1の通信方式に応じた構成を有している。たとえば、上記ICカード1の通信方式が接触式の通信方式である場合、上記通信ユニット14は、上位装置としてのICカード処理装置2のコンタクト部と物理的に接触するためのコンタクト部などにより構成される。この場合、ICカード1は、ICカード処理装置2と物理的に接触している上記通信ユニット14によりICカード処理装置2からの電源を受給する。つまり、上記ICカード1が接触式ICカードである場合、上記ICカード1は、通信ユニット14としてのコンタクト部を介してICカード処理装置2からの動作電源および動作クロックの供給を受けて活性化される。
【0018】
また、上記ICカード1の通信方式が非接触式(無線式)の通信方式である場合、上記通信ユニット14は、電波の送受信を行うアンテナおよび通信を制御する通信制御部等により構成される。この場合、上記ICカード1は、通信ユニット14により受信した電波から図示しない電源部により動作電源および動作クロックを生成するようになっている。つまり、上記ICカード1が非接触式ICカードである場合、上記ICカード1は、通信ユニット14としてのアンテナおよび通信制御部等を介してICカード処理装置2からの電波を受信し、その電波から図示しない電源部により動作電源および動作クロックを生成して活性化するようになっている。
【0019】
次に、ICカード処理装置2の構成について説明する。
図2は、ICカード(携帯可能電子装置)1との通信機能を有する上位装置としてのICカード処理装置2の構成例を概略的に示すブロック図である。
上記ICカード処理装置2は、図2に示すように、制御部21、表示部(ディスプレイ)22、操作部(キーボード、テンキー)24、及び、カードリーダライタ25などを有している。
【0020】
上記制御部21は、ICカード処理装置2全体の動作を制御するものである。上記制御部21は、CPU、種々のメモリ及び各種インターフェースなどにより構成される。たとえば、上記制御部21は、電子計算機により構成される。上記制御部21は、CPUがメモリに記憶したプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。たとえば、制御部21は、ICカード1との通信制御用のプログラムをCPUが実行することにより、カードリーダライタ25を介したICカード1との通信を制御する機能を有する。また、制御部21は、データ処理用のプログラムをCPUが実行することにより、ICカード1から受信したデータを基づく種々の処理を行う機能を有する。
【0021】
上記表示部22は、上記制御部21の制御により種々の情報を表示する表示装置である。上記操作部23は、当該ICカード処理装置2の操作員が操作するキーボード、および、使用者IDあるいはパスワードなど数字などの情報を入力する為のテンキーなどで構成する。操作部は、操作員により種々の操作指示あるいはデータなどが入力される。
【0022】
上記カードリーダライタ25は、上記ICカード1との通信を行うためのインターフェース装置である。上記カードリーダライタ25は、上記ICカード1の通信方式に応じたインターフェースにより構成される。たとえば、上記ICカード1が接触型のICカードである場合、上記カードリーダライタ25は、ICカード1のコンタクト部と物理的かつ電気的に接続するための接触部などにより構成される。
【0023】
また、上記ICカード1が非接触型のICカードである場合、上記カードリーダライタ25は、ICカード1との無線通信を行うためのアンテナおよび通信制御などにより構成される。上記カードリーダライタ25では、上記ICカード1に対する電源供給、クロック供給、リセット制御、データの送受信が行われるようになっている。このような機能によってカードリーダライタ25は、上記制御部21による制御に基づいて上記ICカード1の活性化(起動)、種々のコマンドの送信、及び送信したコマンドに対する応答の受信などを行なう。
【0024】
以下、ICカード1とICカード処理装置2との通信制御について説明する。
ICカードシステムでは、ICカードのリセット処理後、互いの通信設定を行う。本ICカードシステムでは、通信設定において、ICカード1とICカード処理装置とのネゴシエーションにより通信速度を設定する。さらに、本実施形態のICカードシステムでは、通信設定後、実際の通信中に通信速度を変更する機能を有する。通信速度の変更は、ICカード1から要求しても良いし、ICカード処理装置2から要求しても良い。また、通信速度を変更する回数は、所望の回数(例えば、1回だけなど)に限定できるようにしても良い。
【0025】
まず、ICカード1からICカード処理装置2に対して通信速度の変更を依頼する第1の通信制御について説明する。
第1の通信制御では、ICカード1が通信速度の変更をICカード処理装置2へ依頼する。ICカード処理装置2が通信速度の変更を許可した後、ICカード1とICカード処理装置2とは、通信速度をICカード1が依頼した通信速度に変更し、変更した通信速度でのデータ通信を継続する。
【0026】
図3は、第1の通信制御の例を概略的に示すシーケンス図である。
図3に示す例において、まず、ICカード処理装置2は、ICカード1へ電源を供給するととともに、リセット処理を要求する(ステップS1)。ICカード1のCPU11は、ICカード処理装置2からの電力供給を受けてリセット処理し(ステップS2)、初期応答(ATR:Answer To Reset)をICカード処理装置2へ送信する(ステップS3)。ICカード1とICカード処理装置2とは、通信速度変更手続き(PPS:Protocol and Parameter Selection)などを含むネゴシエーションによって通信速度の設定を含む通信設定を実施する(ステップS4)。図3に示す例では、通信速度の初期設定値として通信速度Vaが設定されるものとする。
【0027】
通信設定が完了すると、ICカード処理装置2の制御部21は、ICカード1に対して処理を要求するコマンドを生成し(ステップS5)、生成したコマンドをカードリーダライタ25により現在設定されている通信速度でICカード1へ送信する(ステップS6)。たとえば、図3に示す例では、ICカード処理装置2の制御部21は、ICカード1に対するREAD BINARYコマンドを生成し(ステップS5)、生成したREAD BINARYコマンドをカードリーダライタ25により通信速度VaでICカード1へ送信する(ステップS6)。
【0028】
通信ユニット14によりコマンドを受信すると、ICカード1のCPU11は、受信したコマンドに対する処理(コマンド処理)を実行し(ステップS7)、コマンド処理結果を示すレスポンスデータを作成する(ステップS8)。図3に示す例では、ICカード1のCPU11は、通信ユニット14によりICカード処理装置2から受信したREAD BINARYコマンドに対応する処理を実施する。READ BINARYコマンドに対する処理として、CPU11は、当該コマンドで指定されたバイナリデータを読出し、読み出したデータをレスポンスデータにセットする。
【0029】
第1の通信制御において、ICカード1のCPU11は、作成したレスポンスデータの内容に基づいて通信速度を変更すべきか否かを判断する(ステップS9)。たとえば、ICカード1のCPU11は、作成したレスポンスデータのデータ量が所定の閾値よりも多いか否かにより、通信速度を変更するか否かを判断するものとする。図3に示す例では、ICカード1のCPU11は、READ BINARYコマンドに対するレスポンスデータのデータ量が所定閾値よりも多いために通信速度をVbに変更すべきと判断するものとする(ステップS9)。
【0030】
通信速度を変更すべきと判断した場合、ICカード1のCPU11は、通信速度をVbに変更することをICカード処理装置2へ依頼するリクエストデータ(通信速度の変更依頼のリクエストデータ)を作成する(ステップS10)。図3に示す例では、ICカード1のCPU11は、通信速度をVbに変更する旨の通信速度の変更依頼のリクエストデータを作成する(ステップS10)。ICカード1のCPU11は、作成した通信速度の変更依頼のデータを通信ユニット14によりICカード処理装置2へ送信する(ステップS11)。
【0031】
カードリーダライタ25により通信速度の変更依頼のリクエストデータを受信したICカード処理装置2の制御部21は、当該リクエストデータで依頼された通信速度の変更が可能か否かを判断する(ステップS12)。通信速度の変更が可能であると判断した場合、ICカード処理装置2の制御部21は、通信速度の変更を許可する通知(通信速度の変更許可通知)を作成し(ステップS13)、カードリーダライタ25により作成した通信速度の変更許可通知をICカード1へ送信し(ステップS14)、ICカード1との通信速度の設定を依頼された通信速度に変更する(ステップS15)。なお、通信速度の変更が不可であると判断した場合、ICカード処理装置2の制御部21は、通信速度の変更不可通知を作成してカードリーダライタ25によりICカード1へ送信する。
【0032】
図3に示す例では、カードリーダライタ25により通信速度をVbに変更する旨を依頼するリクエストデータを受信したICカード処理装置2の制御部21は、通信速度をVbに変更することを許可し(ステップS12)、通信速度の変更許可通知を作成する(ステップS13)。ICカード処理装置2の制御部21は、カードリーダライタ25により通信速度の変更許可通知をICカード1へ送信し(ステップS14)、ICカード1との通信速度の設定をVaからVbに変更する(ステップS15)。
【0033】
ICカード1は、通信ユニット14により通信速度の変更許可通知を受信する。通信速度の変更許可通知したICカード1のCPU11は、通信速度を変更し(ステップS16)、コマンドの処理結果を示すレスポンスデータを変更後の通信速度で通信ユニット14によりICカード処理装置2へ送信する(ステップS17)。図3に示す例では、ICカード1のCPU11は、通信速度の変更許可通知を受信すると、通信速度をVaからVbに変更し(ステップS16)、READ BINARYコマンドに対するレスポンスデータを変更後の通信速度Vbで通信ユニット14によりICカード処理装置2へ送信する(ステップS17)。
【0034】
第1の通信制御では、一旦通信速度を変更した後、ICカード1及びICカード処理装置2は、変更された通信速度でコマンドおよびレスポンスデータの送受信などのデータ通信を実行する。図3に示す例では、ICカード1がREAD BINARYコマンドに対するレスポンスデータを送信した後、ICカード1及びICカード処理装置2は、変更された通信速度Vbでコマンドおよびレスポンスデータの送受信を実行する。
【0035】
上記したように、第1の通信制御において、ICカードは、通信速度を変更すべきか否かを判断し、通信速度を変更すべきと判断した場合には通信速度を変更することをICカード処理装置へ依頼する。依頼した通信速度の変更をICカード処理装置が許可した場合、ICカードは、通信速度を依頼した通信速度に変更し、ICカード処理装置とのデータの送受信を行う。これにより、第1の通信制御によれば、ICカードにおける判断によって、ICカード及びICカード処理装置間の通信速度を変更する制御が可能となる。
【0036】
次に、ICカード1からICカード処理装置2に対して通信速度の変更を依頼する第2の通信制御について説明する。
第2の通信制御では、ICカード1が1回だけ通信速度を変更することをICカード処理装置2へ依頼する。ICカード処理装置2が1回だけの通信速度の変更を許可した後、ICカード1とICカード処理装置2とは、1回だけ通信速度をICカード1が依頼した通信速度に変更する。ICカード1は、変更した通信速度で1回だけICカード処理装置2へデータを送信する。ICカード1とICカード処理装置2とは、変更した通信速度でのICカード1からICカード処理装置2へのデータ送信が終了すると、通信速度を変更前の通信速度に戻す。
【0037】
図4は、第2の通信制御の例を概略的に示すシーケンス図である。
図4に示す例において、まず、ICカード処理装置2は、ICカード1へ電源を供給するととともに、リセット処理を要求する(ステップS21)。ICカード1のCPU11は、ICカード処理装置2からの電力供給を受けてリセット処理し(ステップS22)、初期応答(ATR:Answer To Reset)を通信ユニット14によりICカード処理装置2へ送信する(ステップS23)。ICカード1のCPU11とICカード処理装置2の制御部21とは、通信速度変更手続き(PPS:Protocol and Parameter Selection)などを含むネゴシエーションによって、互いに通信速度の設定を含む通信設定を実施する(ステップS24)。図4に示す例では、通信速度の初期設定値として通信速度Vaが設定されるものとする。
【0038】
通信設定が完了すると、ICカード処理装置2の制御部21は、ICカード1に対して処理を要求するコマンドを生成し(ステップS25)、生成したコマンドをカードリーダライタ25により現在設定されている通信速度でICカード1へ送信する(ステップS26)。たとえば、図4に示す例では、ICカード処理装置2の制御部21は、ICカード1に対してバイナリデータの読出しを要求するREAD BINARYコマンドを生成し(ステップS25)、生成したREAD BINARYコマンドをカードリーダライタ25により通信速度VaでICカード1へ送信する(ステップS26)。
【0039】
ICカードは、通信ユニット14によりICカード処理装置2からのコマンドを受信する。通信ユニット14によりコマンドを受信した場合、ICカード1のCPU11は、受信したコマンドで要求される処理(コマンド処理)を実行し(ステップS27)、コマンド処理結果を示すレスポンスデータを作成する(ステップS28)。図4に示す例では、ICカード1のCPU11は、ICカード処理装置2から受信したREAD BINARYコマンドを実施する(ステップS27)。READ BINARYコマンドに対する処理として、CPU11は、当該コマンドで指定されたバイナリデータを読出し、読み出したデータをレスポンスデータにセットする(ステップS28)。
【0040】
第2の通信制御において、ICカード1のCPU11は、作成したレスポンスデータの内容に基づいて1回(1つのレスポンスデータを送信する間)だけ通信速度を変更すべきか否かを判断する(ステップS29)。たとえば、ICカード1のCPU11は、作成したレスポンスデータのデータ量が所定の閾値よりも多いか否かにより、1回だけ通信速度を変更すべきか否かを判断するものとする。図4に示す例では、第2の通信制御として、ICカード1のCPU11は、READ BINARYコマンドに対するレスポンスデータのデータ量が所定閾値よりも多いため、1回だけ(つまり、READ BINARYコマンドに対するレスポンスデータを送信するときだけ)通信速度をVbに変更すべきと判断するものとする(ステップS29)。
【0041】
1回だけ通信速度をVaからVbに変更すべきと判断した場合、ICカード1のCPU11は、1回だけ通信速度をVbに変更することを依頼する通信速度の変更を依頼するリクエストデータを作成する(ステップS30)。ICカード1のCPU11は、作成した1回のみの通信速度の変更依頼のリクエストデータを通信ユニット14によりICカード処理装置2へ送信する(ステップS31)。ICカード処理装置2は、カードリーダライタ25によりICカード1からの1回のみ通信速度の変更依頼のリクエストデータを受信する。1回のみの通信速度の変更依頼のリクエストデータを受信したICカード処理装置2の制御部21は、当該リクエストデータで依頼された1回だけの通信速度への変更が可能か否かを判断する(ステップS32)。
【0042】
1回のみの通信速度の変更が可能であると判断した場合、ICカード処理装置2の制御部21は、1回のみの通信速度の変更許可通知を作成し(ステップS33)、作成した変更許可通知をカードリーダライタ25によりICカード1へ送信し(ステップS34)、通信速度の設定を変更する(ステップS35)。なお、1回のみの通信速度の変更が不可であると判断した場合、ICカード処理装置2の制御部21は、通信速度の変更が不可である旨の通信速度の変更不可通知を作成してカードリーダライタ25によりICカード1へ送信する。
【0043】
図4に示す例では、ICカード処理装置2は、1回だけ通信速度をVbに変更する旨を依頼するリクエストデータを受信する。当該リクエストデータを受信したICカード処理装置2の制御部21は、1回だけ通信速度をVbに変更することを許可し(ステップS33)、1回のみの通信速度の変更許可通知を作成する(ステップS34)。ICカード処理装置2の制御部21は、1回だけ通信速度をVbへ変更することを許可する通知をカードリーダライタ25によりICカード1へ送信し(ステップS34)、ICカード1との通信速度の設定をVaからVbに変更する(ステップS35)。
【0044】
ICカード1は、1回のみの通信速度の変更許可通知を通信ユニット14によりICカード処理装置2から受信する。1回のみの通信速度の変更許可通知を受信したICカード1のCPU11は、1回だけ通信速度をVbに変更し(ステップS36)、コマンドの処理結果を示すレスポンスデータを変更後の通信速度で通信ユニット14によりICカード処理装置2へ送信する(ステップS37)。図4に示す例では、ICカード1のCPU11は、1回のみの通信速度の変更許可通知を受信すると、ICカード処理装置2との通信速度をVaからVbに変更し(ステップS36)、READ BINARYコマンドに対するレスポンスデータを変更後の通信速度Vbで通信ユニット14によりICカード処理装置2へ送信する(ステップS37)。
【0045】
第2の通信制御では、ICカード1およびICカード処理装置2は、1回(ICカードから1つのレスポンスデータを送信する間)だけ通信速度を変更するものである。このため、変更後の通信速度でデータ(レスポンスデータ)を送信した後、ICカード1のCPU11およびICカード処理装置2の制御部21は、それぞれ通信速度を元の通信速度に戻す(ステップS38およびS39)。図4に示す例では、通信速度VbでICカード1からICカード処理装置2へのREAD BINARYコマンドに対するレスポンスデータの送信が完了すると、ICカード1のCPU11およびICカード処理装置2の制御部21は、それぞれ通信速度を変更前の通信速度Vaに戻す(ステップS38及びS39)。
【0046】
上記したように、第2の通信制御において、ICカードは、1回データを送信する間(つのデータ列を送信する間)だけ通信速度を変更すべきか否かを判断し、1回だけ通信速度を変更すべきと判断した場合にはICカード処理装置へ1回のみの通信速度の変更を依頼する。1回のみの通信速度の変更をICカード処理装置が許可した場合、ICカードは、1回データを送信する間(1つのデータ列を送信する間)だけ通信速度を依頼した通信速度に変更し、1つのデータ列をICカード処理装置へ送信する。これにより、第2の通信制御によれば、ICカードにおける判断によって、ICカードからICカード処理装置へ1つのデータ列(1つのレスポンスデータ)を送信する間だけ通信速度を変更する制御が可能となる。
【0047】
次に、ICカード処理装置2がICカード1に対して通信速度の変更を要求する場合の第3の通信制御について説明する。
第3の通信制御では、ICカード処理装置2がICカード1へ通信速度の変更を要求する。ICカード1が通信速度の変更を許可した後、ICカード1およびICカード処理装置2は、それぞれ通信速度をICカード処理装置2が要求した通信速度に変更し、変更した通信速度でのデータ通信を継続する。
【0048】
図5は、第3の通信制御の例を概略的に示すシーケンス図である。
図5に示す例において、まず、ICカード処理装置2は、ICカード1へ電源を供給するととともに、リセット処理を要求する(ステップS101)。ICカード1のCPU11は、ICカード処理装置2からの電力供給を受けてリセット処理し(ステップS102)、初期応答(ATR)を通信ユニット14によりICカード処理装置2へ送信する(ステップS103)。ICカード1のCPU11とICカード処理装置2の制御部21とは、通信速度変更手続き(PPS)などを含むネゴシエーションによって、お互い通信速度の設定を含む通信設定を実施する(ステップS104)。図5に示す例では、通信速度の初期設定値として通信速度Vaが設定されるものとする。
【0049】
通信設定が完了すると、ICカード処理装置2の制御部21は、ICカード1に対して処理を要求するコマンドを生成し(ステップS105)、生成したコマンドをカードリーダライタ25により現在設定されている通信速度でICカード1へ送信する(ステップS106)。たとえば、図5に示す例では、ICカード処理装置2の制御部21は、ICカード1に対するREAD BINARYコマンドを生成し(ステップS105)、生成したREAD BINARYコマンドをカードリーダライタ25により通信速度VaでICカード1へ送信する(ステップS106)。
【0050】
ICカード1は、ICカード処理装置2からのコマンドを通信ユニット14により受信する。通信ユニット14によりコマンドを受信すると、ICカード1のCPU11は、受信したコマンドで要求される処理(コマンド処理)を実行し(ステップS107)、コマンド処理結果を示すレスポンスデータを作成する(ステップS108)。ICカード1のCPU11は、作成したレスポンスデータを通信ユニット14により現在設定されている通信速度でICカード処理装置2へ送信する(ステップS109)。
【0051】
図5に示す例では、ICカード1のCPU11は、ICカード処理装置2から受信したREAD BINARYコマンドに対する処理を実施する(ステップS107)。READ BINARYコマンドに対する処理として、ICカード1のCPU11は、当該コマンドで指定されたバイナリデータを読出し、読み出したデータをレスポンスデータにセットし(ステップS108)、作成したレスポンスデータを通信ユニット14により現在設定されている通信速度VaでICカード処理装置2へ送信する(ステップS109)。
【0052】
ICカード1からのレスポンスデータを受信したICカード処理装置2の制御部21は、次にICカード1へ供給するコマンドを生成する(ステップS110)。第3の通信制御において、コマンドを生成すると、ICカード処理装置2の制御部21は、生成したコマンドの内容に基づいて通信速度を変更すべきか否かを判断する(ステップS111)。
【0053】
たとえば、ICカード処理装置2の制御部21は、コマンドとして送信するデータ量が所定の閾値よりも多いか否かにより、通信速度を変更するか否かを判断する。また、ICカード処理装置2の制御部21は、コマンドに対するレスポンスデータのデータ量が所定の閾値よりも多いと予想されるか否かにより、通信速度を変更するか否かを判断しても良い。また、ICカード処理装置2の制御部21は、コマンドの種類により通信速度を変更するか否かを判断しても良い。
【0054】
図5に示す例では、ICカード処理装置2の制御部21は、ICカード1へ供給するコマンドとしてEXTERNAL AUTHENTICATE コマンドを生成し(ステップS110)、生成したEXTERNAL AUTHENTICATE コマンドのデータ量が所定閾値よりも多いために通信速度をVbに変更すべきと判断するものとする(ステップS111)。
【0055】
通信速度を変更すべきと判断した場合、ICカード処理装置2の制御部21は、通信速度の変更を要求するリクエストデータ(コマンド)を作成する(ステップS112)。図5に示す例では、ICカード処理装置2の制御部21は、通信速度をVaからVbに変更することを要求する通信速度の変更要求のリクエストデータを作成する(ステップS112)。ICカード処理装置2の制御部21は、作成した通信速度の変更要求のリクエストデータをカードリーダライタ25によりICカード1へ送信する(ステップS113)。
【0056】
通信速度の変更要求のリクエストデータを受信したICカード1のCPU11は、当該リクエストデータで要求された通信速度の変更が可能か否かを判断する(ステップS114)。通信速度の変更が可能であると判断した場合、ICカード1は、通信速度の変更許可通知を作成し(ステップS115)、作成した通信速度の変更許可通知をICカード処理装置2へ送信し(ステップS116)、通信速度の設定値を要求された通信速度に変更する(ステップS117)。なお、通信速度の変更が不可であると判断した場合、ICカード1のCPU11は、通信速度の変更不可通知を作成して通信ユニット14によりICカード処理装置2へ送信する。
【0057】
図5に示す例では、通信速度をVaからVbに変更する旨を要求するリクエストデータを受信したICカード1のCPU11は、通信速度をVbに変更することを許可し(ステップS114)、通信速度の変更許可通知を作成する(ステップS115)。通信速度の変更許可通知を作成したICカード1のCPU11は、通信速度の変更許可通知を通信ユニット14によりICカード処理装置2へ送信し(ステップS116)、ICカード処理装置2との通信速度の設定値をVaからVbに変更する(ステップS117)。
【0058】
通信速度の変更許可通知を受信したICカード処理装置2の制御部21は、通信速度を変更し(ステップS118)、カードリーダライタ25により変更後の通信速度でコマンドをICカード1へ送信する(ステップS119)。図5に示す例では、ICカード処理装置2の制御部21は、通信速度の変更許可通知を受信すると、通信速度をVaからVbに変更し(ステップS118)、EXTERNAL AUTHENTICATE コマンドを変更後の通信速度Vbでカードリーダライタ25によりICカード1へ送信する(ステップS119)。
【0059】
第3の通信制御では、一旦通信速度を変更した後、ICカード1及びICカード処理装置2は、変更された通信速度でコマンドおよびレスポンスデータの送受信などのデータ通信を行う。図5に示す例では、ICカード処理装置2がEXTERNAL AUTHENTICATE コマンドを送信した後、ICカード1及びICカード処理装置2は、変更された通信速度Vbでコマンドおよびレスポンスデータの送受信を実行する。
【0060】
上記したように、第3の通信制御において、ICカード処理装置は、通信速度を変更すべきか否かを判断し、通信速度を変更すべきと判断した場合には通信速度を変更することをICカードへ要求する。要求した通信速度の変更をICカードが許可した場合、ICカード処理装置は、通信速度を変更要求した通信速度に変更し、ICカードとのデータの送受信を行う。これにより、第3の通信制御によれば、ICカード処理装置における判断によって、ICカード及びICカード処理装置間の通信速度を変更する制御が可能となる。
【0061】
次に、ICカード処理装置2がICカード1に対して1回だけ通信速度の変更を要求する場合の第4の通信制御について説明する。
第4の通信制御では、ICカード処理装置2がICカード1へ1回だけの通信速度の変更を要求する。ICカード1が1回だけの通信速度の変更を許可した後、ICカード1およびICカード処理装置2は、それぞれ1回だけ通信速度をICカード処理装置2が要求した通信速度に変更する。すなわち、ICカード処理装置2は、変更した通信速度で1回だけICカード1へデータを送信する。ICカード1とICカード処理装置2とは、変更した通信速度でのICカード処理装置2からICカード1へのデータ送信が終了すると、通信速度を変更前の通信速度に戻す。
【0062】
図6は、第4の通信制御の例を概略的に示すシーケンス図である。
図6に示す例において、まず、ICカード処理装置2は、ICカード1へ電源を供給するととともに、リセット処理を要求する(ステップS121)。ICカード1のCPU11は、ICカード処理装置2からの電力供給を受けてリセット処理し(ステップS122)、初期応答(ATR)を通信ユニット14によりICカード処理装置2へ送信する(ステップS123)。ICカード1のCPU11とICカード処理装置2の制御部21とは、通信速度変更手続き(PPS)などを含むネゴシエーションによって、互いに通信速度の設定を含む通信設定を実施する(ステップS124)。図6に示す例では、通信速度の初期設定値として通信速度Vaが設定されるものとする。
【0063】
通信設定が完了すると、ICカード処理装置2の制御部21は、ICカード1に対して処理を要求するコマンドを生成し(ステップS125)、生成したコマンドをカードリーダライタ25により通信速度VaでICカード1へ送信する(ステップS126)。たとえば、図6に示す例では、ICカード処理装置2の制御部21は、ICカード1に対するREAD BINARYコマンドを生成し(ステップS125)、生成したREAD BINARYコマンドをカードリーダライタ25により通信速度VaでICカード1へ送信する(ステップS126)。
【0064】
ICカード処理装置2からのコマンドを通信ユニット14により受信すると、ICカード1のCPU11は、受信したコマンドに対する処理(コマンド処理)を実行し(ステップS127)、コマンド処理結果を示すレスポンスデータを作成する(ステップS128)。ICカード1のCPU11は、作成したレスポンスデータを現在設定されている通信速度で通信ユニット14によりICカード処理装置2へ送信する(ステップS129)。図6に示す例では、ICカード1のCPU11は、ICカード処理装置2から受信したREAD BINARYコマンドで要求される処理を実施する(ステップS127)。READ BINARYコマンドに対する処理として、ICカード1のCPU11は、当該コマンドで指定されたバイナリデータを読出し、読み出したデータをレスポンスデータにセットする(ステップS128)。レスポンスデータを作成したICカード1のCPU11は、通信ユニット14により現在設定されている通信速度VaでICカード処理装置2へレスポンスデータを送信する(ステップS129)。
【0065】
ICカード1からのレスポンスデータを受信したICカード処理装置2の制御部21は、次にICカードへ供給するコマンドを生成する(ステップS130)。第4の通信制御において、コマンドを生成すると、ICカード処理装置2の制御部21は、生成したコマンドの内容に基づいて通信速度を1回だけ変更すべきか否かを判断する(ステップS131)。たとえば、ICカード処理装置2の制御部21は、コマンドとして送信するデータ量が所定の閾値よりも多いか否かにより、通信速度を変更するか否かを判断する。また、ICカード処理装置2の制御部21は、コマンドの種類により通信速度を変更するか否かを判断しても良い。
【0066】
図6に示す例では、ICカード処理装置2の制御部21は、ICカード1へ供給するコマンドとしてEXTERNAL AUTHENTICATE コマンドを生成し(ステップS130)、生成したEXTERNAL AUTHENTICATE コマンドを1回だけ通信速度Vbで送信すべき(つまり、当該コマンドを送信する間だけ通信速度をVaからVbに変更すべき)であると判断するものとする(ステップS131)。
【0067】
ICカード1との通信速度を1回だけ変更すべきと判断した場合、ICカード処理装置2の制御部21は、1回のみ通信速度の変更を要求するリクエストデータ(コマンド)を作成する(ステップS132)。図6に示す例では、ICカード処理装置2の制御部21は、通信速度Vaを1回だけVbに変更する旨の通信速度の変更要求のリクエストデータを作成する(ステップS132)。ICカード処理装置2の制御部21は、作成した1回のみの通信速度の変更要求のリクエストデータをカードリーダライタ25によりICカード1へ送信する(ステップS133)。
【0068】
1回のみの通信速度の変更要求のリクエストデータを受信したICカード1のCPU11は、当該リクエストデータで要求された1回のみの通信速度の変更が可能か否かを判断する(ステップS134)。1回のみの通信速度の変更が可能であると判断した場合、ICカード1のCPU11は、1回だけ通信速度を変更する旨の通信速度の変更許可通知を作成し(ステップS135)、作成した通信速度の変更許可通知を通信ユニット14によりICカード処理装置2へ送信し(ステップS136)、通信速度の設定値を1回だけ要求された通信速度に変更する(ステップS137)。なお、1回のみの通信速度の変更が不可であると判断した場合、ICカード1のCPU11は、通信速度の変更不可通知を作成して通信ユニット14によりICカード処理装置2へ送信する。
【0069】
図6に示す例では、通信速度Vaを1回だけVbに変更する旨を要求するリクエストデータを受信したICカード1のCPU11は、通信速度Vaを1回だけVbに変更することを許可し(ステップS134)、通信速度を1回だけVbに変更する旨の通信速度の変更許可通知を作成する(ステップS135)。通信速度の変更許可通知を作成したICカード1のCPU11は、通信速度の変更許可通知を通信ユニット14によりICカード処理装置2へ送信し(ステップS136)、通信速度の設定値を1回のデータ(1つのコマンド)を受信する間だけVaからVbに変更する(ステップS137)。
【0070】
通信速度の変更許可通知を受信したICカード処理装置2の制御部21は、1回のデータを送信する間(1つのコマンドを送信する間)だけ通信速度を変更し(ステップS138)、カードリーダライタ25により変更後の通信速度でコマンドをICカード1へ送信する(ステップS139)。図6に示す例では、ICカード処理装置2の制御部21は、通信速度の変更許可通知を受信すると、1回データを送信する間(当該EXTERNAL AUTHENTICATE コマンドを送信する間)だけ通信速度をVaからVbに変更し(ステップS138)、カードリーダライタ25により変更後の通信速度Vbで当該EXTERNAL AUTHENTICATE コマンドをICカード1へ送信する(ステップS139)。
【0071】
第4の通信制御では、ICカード処理装置2が1回データを送信する間(1コマンドを送信する間)だけ通信速度を変更する。このため、ICカード処理装置2が変更後の通信速度で1つのデータ列(コマンド)を送信した場合、ICカード1のCPU11およびICカード処理装置2の制御部21は、それぞれ通信速度を元の通信速度に戻す(ステップS140およびS141)。図6に示す例では、通信速度VbでのICカード処理装置2からICカード1へのEXTERNAL AUTHENTICATE コマンドの送信が完了した場合、ICカード処理装置2の制御部21は、通信速度を変更前の通信速度Vaに戻し(ステップS140)、ICカード1のCPU11も、通信速度を変更前の通信速度Vaに戻す(ステップS141)。
【0072】
上記したように、第4の通信制御において、ICカード処理装置は、1回のデータ送信間(1コマンドを送信する間)だけ通信速度を変更すべきか否かを判断し、1回だけ通信速度を変更すべきと判断した場合にはICカードへ1回のみの通信速度の変更を依頼する。1回のみの通信速度の変更をICカードが許可した場合、ICカード処理装置は、1回のデータ送信間(1コマンドを送信する間)だけ通信速度を依頼した通信速度に変更し、データ列(コマンド)をICカードへ送信する。これにより、第4の通信制御によれば、ICカード処理装置における判断によって、ICカード処理装置からICカードへのデータ送信における通信速度を1回だけ変更する制御が可能となる。
【0073】
次に、ICカード処理装置2がICカード1に対して1ペアのコマンド及びレスポンスを送受信する間だけ通信速度の変更を要求する場合の第5の通信制御について説明する。
第5の通信制御では、ICカード処理装置2がICカード1へ1ペアのコマンド及びレスポンスを送受信する間だけ通信速度の変更を要求する。ICカード1が1ペアだけの通信速度の変更を許可した後、ICカード1およびICカード処理装置2は、それぞれコマンド及びレスポンスを1回づつ送受信する間だけ通信速度をICカード処理装置2が要求した通信速度に変更する。
【0074】
すなわち、ICカード処理装置2は、変更した通信速度で1つのコマンドをICカード1へデータを送信し、当該コマンドに対するレスポンスデータを変更した通信速度で受信する。また、ICカード1は、変更した通信速度でICカード処理装置2からの1コマンドを受信し、当該コマンドに対するレスポンスデータを変更した通信速度でICカード処理装置2へ送信する。ICカード1およびICカード処理装置2は、1ペアのコマンド及びレスポンスの送受信を終了すると、それぞれ通信速度を変更前の通信速度に戻す。
【0075】
図7は、第5の通信制御の例を概略的に示すシーケンス図である。
図7に示す例において、まず、ICカード処理装置2は、ICカード1へ電源を供給するととともに、リセット処理を要求する(ステップS151)。ICカード1のCPU11は、ICカード処理装置2からの電力供給を受けてリセット処理し(ステップS152)、初期応答(ATR)を通信ユニット14によりICカード処理装置2へ送信する(ステップS153)。ICカード1のCPU11とICカード処理装置2の制御部21とは、通信速度変更手続き(PPS)などを含むネゴシエーションによって、互いに通信速度の設定を含む通信設定を実施する(ステップS154)。図7に示す例では、通信速度の初期設定値として通信速度Vaが設定されるものとする。
【0076】
通信設定が完了すると、ICカード処理装置2の制御部21は、ICカード1に対して処理を要求するコマンドを生成し(ステップS155)、生成したコマンドをカードリーダライタ25により現在設定されている通信速度でICカード1へ送信する(ステップS156)。たとえば、図7に示す例では、ICカード処理装置2の制御部21は、ICカード1に対してバイナリデータの読取りを要求するREAD BINARYコマンドを生成し(ステップS155)、生成したREAD BINARYコマンドをカードリーダライタ25により通信速度VaでICカード1へ送信する(ステップS156)。
【0077】
ICカード処理装置2からコマンドを受信すると、ICカード1のCPU11は、受信したコマンドに対する処理(コマンド処理)を実行し(ステップS157)、コマンド処理結果を示すレスポンスデータを作成する(ステップS158)。ICカード1のCPU11は、作成したレスポンスデータを現在設定されている通信速度でICカード処理装置2へ送信する(ステップS159)。
【0078】
図7に示す例では、ICカード1のCPU11は、ICカード処理装置2から受信したREAD BINARYコマンドで要求される処理を実施する(ステップS157)。READ BINARYコマンドに対する処理として、ICカード1のCPU11は、当該コマンドで指定されたバイナリデータを読出し、読み出したデータをレスポンスデータにセットする(ステップS158)。レスポンスデータを作成したICカード1のCPU11は、通信ユニット14により現在設定されている通信速度VaでICカード処理装置2へレスポンスデータを送信する(ステップS159)。
【0079】
ICカード1からのレスポンスデータを受信したICカード処理装置2の制御部21は、次にICカードへ供給するコマンドを生成する(ステップS160)。第5の通信制御において、コマンドを生成すると、ICカード処理装置2の制御部21は、生成したコマンドの内容に基づいて、1ペアのコマンド及びレスポンスを送受信する間だけ通信速度を変更すべきか否かを判断する(ステップS161)。
【0080】
たとえば、ICカード処理装置2の制御部21は、コマンドとして送信するデータ量が所定の閾値よりも多いか否かにより、通信速度を変更するか否かを判断する。また、ICカード処理装置2の制御部21は、当該コマンドに対するレスポンスデータのデータ量が所定の閾値よりも多いと予想されるか否かにより、通信速度を変更するか否かを判断しても良い。また、ICカード処理装置2の制御部21は、コマンドの種類により通信速度を変更するか否かを判断しても良い。
【0081】
図7に示す例では、ICカード処理装置2の制御部21は、ICカード1へ供給するコマンドとしてEXTERNAL AUTHENTICATE コマンドを生成し(ステップS160)、当該EXTERNAL AUTHENTICATE コマンドとこのEXTERNAL AUTHENTICATE コマンドに対するレスポンスデータとの送受信(1ペアのコマンド及びレスポンスの送受信)における通信速度をVaからVbへ変更すべきであるものと判断する(ステップS161)。
【0082】
ICカード1との通信速度を1ペアだけ変更すべきと判断した場合、ICカード処理装置2の制御部21は、1ペアとなる1つのコマンド及び当該コマンドに対するレスポンスデータを送受信する間だけ、通信速度の変更を要求するリクエストデータ(コマンド)を作成する(ステップS162)。
【0083】
図7に示す例では、ICカード処理装置2の制御部21は、EXTERNAL AUTHENTICATEコマンドとそのレスポンスとを送受信する間だけ通信速度VaをVbに変更する旨の通信速度の変更要求のリクエストデータを作成する(ステップS162)。ICカード処理装置2の制御部21は、作成した1回のみの通信速度の変更要求のリクエストデータをICカード1へ送信する(ステップS163)。
【0084】
1ペアのみの通信速度の変更要求のリクエストデータを受信したICカード1のCPU11は、当該リクエストデータで要求された1ペアのみの通信速度の変更が可能か否かを判断する(ステップS164)。1ペアのみの通信速度の変更が可能であると判断した場合、ICカード1のCPU11は、1ペアとなる1つのコマンド及び当該コマンドに対する1つのレスポンスを送受信する間だけ通信速度を変更する旨の通信速度の変更許可通知を作成し(ステップS165)、作成した通信速度の変更許可通知をICカード処理装置2へ送信し(ステップS166)、通信速度の設定値を1ペアのコマンド及びレスポンスを送受信する間だけ要求された通信速度に変更する(ステップS167)。なお、1ペアでの通信速度の変更が不可であると判断した場合、ICカード1のCPU11は、通信速度の変更不可通知を作成してICカード処理装置2へ送信する。
【0085】
図7に示す例では、ICカード1のCPU11は、1ペアのコマンド及びレスポンスを送受信する間だけ通信速度VaをVbに変更する旨を要求するリクエストデータを通信ユニット14によりICカード処理装置2から受信する。このリクエストデータを受信したICカード1のCPU11は、1ペアのコマンド及びレスポンスを送受信する間だけ通信速度VaをVbに変更することを許可し(ステップS164)、1ペアだけ通信速度をVbに変更する旨の通信速度の変更許可通知を作成する(ステップS165)。通信速度の変更許可通知を作成したICカード1のCPU11は、通信速度の変更許可通知を通信ユニット14によりICカード処理装置2へ送信し(ステップS166)、1ペアのコマンド及びレスポンスを送受信する間だけ通信速度の設定値をVaからVbに変更する(ステップS167)。
【0086】
通信速度の変更許可通知を受信したICカード処理装置2の制御部21は、1つのコマンドを送信して当該コマンドに対するレスポンスを受信する間だけ通信速度を変更し(ステップS168)、カードリーダライタ25により変更後の通信速度でコマンドをICカード1へ送信する(ステップS169)。
【0087】
図7に示す例では、ICカード処理装置2の制御部21は、通信速度の変更許可通知を受信すると、EXTERNAL AUTHENTICATEコマンドの送信とそのレスポンスを受信までの間だけ通信速度をVaからVbに変更し(ステップS168)、カードリーダライタ25によりEXTERNAL AUTHENTICATEコマンドを変更後の通信速度VbでICカード1へ送信する(ステップS169)。
【0088】
また、リクエストデータに応じて1ペアのみ通信速度を変更したICカード1は、通信ユニット14により変更した通信速度でICカード処理装置2からコマンドを受信する。ICカード処理装置2から変更した通信速度でコマンドを受信すると、ICカード1のCPU11は、受信したコマンドに対する処理(コマンド処理)を実行し(ステップS170)、コマンド処理結果を示すレスポンスデータを作成する(ステップS171)。ICカード1のCPU11は、1ペアのみ限定で設定されている通信速度で作成したレスポンスデータを通信ユニット14によりICカード処理装置2へ送信する(ステップS172)。当該レスポンスデータを送信した後、ICカード1のCPU11は、ICカード処理装置2との通信速度を変更前の通信速度に戻す(ステップS173)。
【0089】
図7に示す例では、ICカード1は、通信ユニット14により変更された通信速度でICカード処理装置2からのEXTERNAL AUTHENTICATE コマンドを受信する。当該コマンドを受信したICカード1のCPU11は、EXTERNAL AUTHENTICATE コマンドに対する処理を実行し(ステップS170)、実行したコマンド処理の結果を含むレスポンスデータを作成する(ステップS171)。レスポンスデータを作成したICカード1のCPU11は、通信ユニット14により、1ペアのみ限定で設定されている通信速度VbでICカード処理装置2へレスポンスデータを送信する(ステップS172)。当該レスポンスデータを送信した後、ICカード1のCPU11は、通信速度の設定値をVaからVbに戻す(ステップS173)。
【0090】
1ペアのみ限定で変更した通信速度でレスポスデータを受信した場合、ICカード処理装置2の制御部21は、通信速度の設定値を変更前の設定値に戻す(ステップS174)。図7に示す例では、ICカード処理装置2の制御部21は、EXTERNAL AUTHENTICATE コマンドに対するレスポンスデータをICカード1から通信速度Vbで受信した後、通信速度をVbからVaに戻す(ステップS174)。
【0091】
第5の通信制御では、ICカード処理装置2およびICカードは1ペアのコマンド及びレスポンスを送受信する間だけ通信速度を変更する。このため、1ペア限定で変更した通信速度で1ペアのコマンド及びレスポンスの送受信が終了すると、ICカード1のCPU11およびICカード処理装置2の制御部21は、それぞれ通信速度を元の通信速度に戻す。図7に示す例では、通信速度VbでICカード処理装置2からICカード1へのEXTERNAL AUTHENTICATE コマンドの送信とICカード1からICカード処理装置2へのレスポンスデータの送信とが完了した場合、ICカード1のCPU11は、それぞれ通信速度を変更前の通信速度Vaに戻し(ステップS173)、ICカード処理装置2の制御部21も、通信速度を変更前の通信速度Vaに戻す(ステップS174)。
【0092】
上記したように、第5の通信制御において、ICカード処理装置は、1ペアのコマンド及びレスポンスを送受信する間だけ通信速度を変更すべきか否かを判断し、1ペアだけ通信速度を変更すべきと判断した場合にはICカードへ1ペアのコマンド及びレスポンスを送受信する間だけ通信速度を変更する旨を要求する。1ペアのみの通信速度の変更をICカードが許可した場合、ICカード処理装置は、1ペアのコマンド及びレスポンスを送受信する間だけ通信速度を要求した通信速度に変更し、変更した通信速度で1つのコマンドの送信とそのコマンドに対するレスポンスデータの受信とを実行する。これにより、第5の通信制御によれば、ICカード処理装置における判断によって、ICカード処理装置及びICカードの間で1ペアのコマンド及びレスポンスを送受信する間だけ通信速度を変更する制御が可能となる。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
Ca…モジュール、C…筐体(本体)、1…ICカード(携帯可能電子装置)、2…ICカード処理装置(データ処理装置)、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…通信ユニット、15…コプロセッサ、16…不揮発性メモリ、21…制御部、22…表示部、23…操作部、25…カードリーダライタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置と通信する通信手段と、
前記通信手段による前記外部装置との通信に用いる通信速度の初期設定を含む通信設定を行う設定手段と、
前記通信手段により前記外部装置に対して通信速度の変更を依頼するデータを送信する依頼手段と、
前記依頼手段により依頼した通信速度の変更に対する許可通知を受信した後、前記通信手段による前記外部装置との通信速度を変更する変更手段と、
を有することを特徴とする携帯可能電子装置。
【請求項2】
前記依頼手段は、前記外部装置との通信速度を1回だけ変更することを依頼し、
前記変更手段は、前記依頼手段により依頼した通信速度の変更を許可する通知を受信した後、1回だけ変更した通信速度で前記外部通信へデータを送信する、
ことを特徴とする前記請求項1に記載の携帯可能電子装置。
【請求項3】
さらに、前記通信手段により前記外部装置から受信したコマンドに対応する処理を実行するコマンド処理手段と、
前記コマンド処理手段によるコマンド処理の結果を示すレスポンスデータの内容に基づいて前記外部装置との通信速度を変更すべきか否かを判断する判断手段と、を有し、
前記依頼手段は、前記判断手段により前記外部装置との通信速度を変更すべきと判断した場合に前記外部装置へ通信速度の変更を依頼する、
ことを特徴とする前記請求項1又は2の何れかに記載の携帯可能電子装置。
【請求項4】
外部装置と通信する通信手段と、
前記通信手段による前記外部装置との通信に用いる通信速度の初期設定を含む通信設定を行う設定手段と、
前記通信手段により前記外部装置から通信速度の変更要求を受信した場合、前記外部装置との通信速度を変更する変更手段と、
前記変更手段により前記外部装置との通信速度を変更する場合、前記通信速度を変更する旨を通知する通知手段と、
を有することを特徴とする携帯可能電子装置。
【請求項5】
さらに、前記変更手段は、前記通信手段により前記外部装置から1回だけ通信速度を変更する要求を受信した場合、前記通信手段により前記外部装置から1回分のデータを受信する間だけ前記通信速度を変更する、
ことを特徴とする前記請求項4に記載の携帯可能電子装置。
【請求項6】
さらに、前記変更手段は、前記通信手段により前記外部装置から1ペアとなるコマンドの受信と当該コマンドに対するレスポンスデータの送信とだけ通信速度を変更する要求を受信した場合、前記通信手段により前記外部装置から1コマンドを受信してから当該コマンドに対するレスポンスデータを前記外部装置へ送信するする間だけ前記通信速度を変更する、
ことを特徴とする前記請求項4に記載の携帯可能電子装置。
【請求項7】
外部装置と通信する通信手段と、前記通信手段による前記外部装置との通信に用いる通信速度の初期設定を含む通信設定を行う設定手段と、前記通信手段により前記外部装置に対して通信速度の変更を依頼するデータを送信する依頼手段と、前記依頼手段により依頼した通信速度の変更に対する許可通知を受信した後、前記通信手段による前記外部装置との通信速度を変更する変更手段とを具備するモジュールと、
前記モジュールを具備する本体と、
を有することを特徴とするICカード。
【請求項8】
外部装置と通信する通信手段と、前記通信手段による前記外部装置との通信に用いる通信速度の初期設定を含む通信設定を行う設定手段と、前記通信手段により前記外部装置から通信速度の変更要求を受信した場合、前記外部装置との通信速度を変更する変更手段と、前記変更手段により前記外部装置との通信速度を変更する場合、前記通信速度を変更する旨を通知する通知手段と、を具備するモジュールと、
前記モジュールを具備する本体と、
を有することを特徴とするICカード。
【請求項9】
携帯可能電子装置に対して処理を要求するデータ処理装置であって、
前記携帯可能電子装置と通信する通信手段と、
前記通信手段による前記携帯可能電子装置との通信に用いる通信速度の初期設定を含む通信設定を行う設定手段と、
前記通信手段により前記携帯可能電子装置に対して通信速度の変更を要求するデータを送信する要求手段と、
前記要求手段により要求した通信速度への変更通知を前記携帯可能電子装置から受信した場合、前記携帯可能電子装置との通信速度を変更する変更手段と、
前記変更手段により前記携帯可能電子装置との通信速度を変更する場合、前記通信速度を依頼された通信速度に変更する旨を通知する通知手段と、
を有することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項10】
さらに、前記変更手段は、前記通信手段により前記携帯可能電子装置から1回だけ通信速度を変更する要求を受信した場合、前記通信手段により前記携帯可能電子装置から1回分のデータを受信する間だけ前記通信速度を変更する、
ことを特徴とする前記請求項9に記載のデータ処理装置。
【請求項11】
携帯可能電子装置に対して処理を要求するデータ処理装置であって、
前記携帯可能電子装置と通信する通信手段と、
前記通信手段による前記携帯可能電子装置との通信に用いる通信速度の初期設定を含む通信設定を行う設定手段と、
前記通信手段により前記携帯可能電子装置に対して通信速度の変更を要求するデータを送信する要求手段と、
前記要求手段により要求した通信速度への変更通知を前記携帯可能電子装置から受信した場合、前記通信手段による前記携帯可能電子装置との通信速度を変更する変更手段と、
を有することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項12】
前記要求手段は、前記携帯可能電子装置との通信速度を1回だけ変更することを要求し、
前記変更手段は、前記要求手段により要求した通信速度の変更を許可する通知を受信した後、1回だけ変更した通信速度で前記携帯可能電子装置へデータを送信する、
ことを特徴とする前記請求項11に記載のデータ処理装置。
【請求項13】
前記要求手段は、前記携帯可能電子装置へ送信するコマンドと当該コマンドに対する前記携帯可能電子装置からのレスポンスデータとの1ペアのみ前記携帯可能電子装置との通信速度を変更することを要求し、
前記変更手段は、前記要求手段により要求した通信速度の変更を許可する通知を受信した後、1ペアとなるコマンドの送信とレスポンスデータの受信とだけ変更した通信速度で通信する、
ことを特徴とする前記請求項11に記載のデータ処理装置。
【請求項14】
さらに、前記通信手段により前記携帯可能電子装置に処理を要求するコマンドを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成したコマンドの内容に基づいて前記携帯可能電子装置との通信速度を変更すべきか否かを判断する判断手段と、を有し、
前記要求手段は、前記判断手段により通信速度を変更すべきと判断した場合に通信速度の変更を前記携帯可能電子装置へ要求する、
ことを特徴とする前記請求項11乃至13の何れか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項15】
外部装置との通信手段を有する携帯可能電子装置における通信制御方法であって、
前記通信手段による前記外部装置との通信に用いる通信速度の初期設定を含む通信設定を行い、
前記通信手段により前記外部装置に対して通信速度の変更を依頼するデータを送信し、
前記依頼した通信速度の変更に対する許可通知を受信した後、前記通信手段による前記外部装置との通信速度を変更する、
ことを特徴とする携帯可能電子装置の通信制御方法。
【請求項16】
外部装置との通信手段を有する携帯可能電子装置における通信制御方法であって、
前記通信手段による前記外部装置との通信に用いる通信速度の初期設定を含む通信設定を行い、
前記通信手段により前記外部装置から通信速度の変更要求を受信した場合、前記外部装置との通信速度を変更し、
前記変更要求に応じて前記外部装置との通信速度を変更する場合、前記通信速度を変更する旨を通知する、
を有することを特徴とする携帯可能電子装置の通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−194927(P2012−194927A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59915(P2011−59915)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】