説明

携帯可能電子装置及び通信装置

【課題】簡便な手法による通信機能の選択を可能とするように形成された携帯可能電子装置、及び携帯可能電子装置に接触可能であり簡便な手法により通信機能を選択できる通信装置を提供する。
【解決手段】ICカードは、基板30と、基板30に設けられたICと、基板30上に形成され、基板30の表面側に露出し、ICに電気的に接続された複数の端子T1乃至T8と、を備えている。端子T1乃至T8の少なくとも1つは、分断され、互いに電気的に絶縁された第1分割部(T41、T61、T81)及び第2分割部(T42、T62、T82)で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯可能電子装置及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ICカードとして、接触通信の機能を有する接触式ICカード、非接触通信(無線通信)の機能を有する非接触式ICカード(無線ICカード)、並びに接触通信及び非接触通信の双方の機能を有するデュアルインターフェイスICカードが知られている。デュアルインターフェイスICカードとしては、接触通信及び非接触通信を1つのICで処理するコンビICカードと、接触通信及び非接触通信を個々のICで処理するハイブリッドICカードとに分類される。
【0003】
接触通信の機能を有するICカードは、収納用凹部を有したカード基材と、IC及び6乃至8個の端子を有したICモジュールとを有している。ICモジュールはカード基材の収納用凹部に収納されている。
【0004】
また、ICモジュールの端子とは別に、カード基材に他の端子を設ける技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、インターフェースの個数を増加できるため、多機能化に対応することができる。しかしながら、この場合、ICモジュールのICと他の端子とを接続する必要があり、製造工程が繁雑となる問題がある。
【0005】
またさらに、ICモジュールの端子の個数を増大させる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。これにより、製造工程が繁雑となること無しに多機能化に対応することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−322109号公報
【特許文献2】特開2004−133843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献2において、通信装置(ホルダ)の端子部は、ICモジュールの端子全てに接触している。端子部と端子とは、一対一で対応している。このため、USB(Universal Serial Bus)通信と、無線通信とがともに可能となるよう、端子部は端子に接触されている。ところで、上記の場合、USB通信と、無線通信とを切替えて使用することができない。例えば、USB通信時に無線通信ができないようにすることができない。このため、USB通信を選択的に使用したい場合、USB通信専用の通信装置(ホルダ)を用い、また、無線通信を選択的に使用したい場合、無線通信専用の通信装置(ホルダ)を用いる必要があるものと推測される。
【0008】
仮にUSB通信と、無線通信とを切替えて使用することができたとしても、制御部等により電気的に制御する必要があり、通信装置の構成が繁雑になってしまう。
【0009】
上記のことから、1つの通信装置を用い、簡便な手法により、通信機能(通信手段)の選択を可能とする技術が求められている。すなわち、簡便な手法による通信機能の選択を可能とするように形成されたICカード、及びICカードに接触可能であり簡便な手法により通信機能を選択できる通信装置が求められている。
【0010】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、簡便な手法による通信機能の選択を可能とするように形成された携帯可能電子装置、及び携帯可能電子装置に接触可能であり簡便な手法により通信機能を選択できる通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の態様に係る携帯可能電子装置は、
基板と、
前記基板に設けられたICと、
前記基板上に形成され、前記基板の表面に露出し、前記ICに電気的に接続された複数の端子と、を備え、
前記複数の端子の少なくとも1つは、分断され、互いに電気的に絶縁された第1分割部及び第2分割部で形成されていることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の他の態様に係る携帯可能電子装置は、
基板と、前記基板に設けられたICと、前記基板上に形成され、前記基板の表面に露出し、前記ICに電気的に接続された複数の端子と、を具備したICモジュールと、
前記複数の端子が露出するよう前記ICモジュールを収納した本体と、を備え、
前記複数の端子の少なくとも1つは、分断され、互いに電気的に絶縁された第1分割部及び第2分割部で形成されていることを特徴としている。
【0013】
また、本発明の他の態様に係る通信装置は、
基板と、前記基板に設けられたICと、前記基板上に形成され、前記基板の表面に露出し、前記ICに電気的に接続された複数の端子と、を具備したICモジュールと、前記複数の端子が露出するよう前記ICモジュールを収納した本体と、を備え、前記複数の端子の少なくとも1つは、分断され、互いに電気的に絶縁された第1分割部及び第2分割部で形成されている携帯可能電子装置と接触可能な通信装置であって、
装置本体と、
前記装置本体に設けられ、前記携帯可能電子装置の第1分割部又は第2分割部に接触可能な端子部と、
前記装置本体に設けられ、前記端子部と前記ICモジュールとの相対的な位置を前記第1分割部及び第2分割部の並んだ方向にずらすことが可能であり、前記相対的な位置を、前記端子部が前記第1分割部に対向する第1位置と、前記端子部が前記第2分割部に対向する第2位置と、に切替え可能である移動機構と、を備えていることを特徴としている。
【0014】
また、本発明の他の態様に係る通信装置は、
基板と、前記基板に設けられたICと、前記基板上に形成され、前記基板の表面に露出し、前記ICに電気的に接続された複数の端子と、を具備したICモジュールと、前記複数の端子が露出するよう前記ICモジュールを収納した本体と、を備え、前記複数の端子の少なくとも1つは、分断され、互いに電気的に絶縁された第1分割部及び第2分割部で形成されている携帯可能電子装置と接触可能な通信装置であって、
装置本体と、
前記装置本体に設けられた移動機構と、
前記移動機構に取付けられ、前記携帯可能電子装置の第1分割部又は第2分割部に接触可能な端子部と、を備え、
前記移動機構は、前記端子部と前記ICモジュールとの相対的な位置を前記第1分割部及び第2分割部の並んだ方向にずらすことが可能であり、前記相対的な位置を、前記端子部が前記第1分割部に対向する第1位置と、前記端子部が前記第2分割部に対向する第2位置と、に切替え可能であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、簡便な手法による通信機能の選択を可能とするように形成された携帯可能電子装置、及び携帯可能電子装置に接触可能であり簡便な手法により通信機能を選択できる通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係るICカードを示す平面図である。
【図2】図1に示した線II−IIに沿ったICカードの一部を示す断面図である。
【図3】図1及び図2に示したICモジュールを表面側から示す平面図である。
【図4】上記ICモジュールのICと端子(分割部)との接続状態を示す概略図である。
【図5】上記実施の形態に係るICカード、リーダライタ及び外部端末を示すブロック図であり、外部端末との間でデータ通信又はSWP通信を選択可能であることを示す図である。
【図6】上記リーダライタと、リーダライタに挿入される前の状態のICカードとを示す平面図である。
【図7】図6に示したリーダライタにICカードが浅く挿入され、端子部とICモジュールとの相対的な位置が第1位置である状態のリーダライタ及びICカードを示す平面図である。
【図8】図7に示した線VIII−VIIIに沿ったリーダライタ及びICカードの断面図である。
【図9】図6に示したリーダライタにICカードが深く挿入され、端子部とICモジュールとの相対的な位置が第2位置である状態のリーダライタ及びICカードを示す平面図である。
【図10】上記実施の形態に係るICカード、リーダライタの変形例及び外部端末を示すブロック図であり、外部端末との間で無線通信又はUSB通信を選択可能であることを示す図である。
【図11】上記ICモジュールの変形例を示す図であり、ICモジュールを表面側から示す平面図である。
【図12】上記ICカードの変形例を示す図であり、ICカードを表面側から示す平面図である。
【図13】図12に示したUIMカードを示す平面図である。
【図14】上記ICモジュールの他の変形例を示す図であり、ICモジュールを表面側から示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながらこの発明に係る携帯可能電子装置及び通信装置を、ICカード及びリーダライタに適用した実施の形態について詳細に説明する。この実施の形態において、ICカードは接触式ICカードである。
【0018】
図1乃至図4に示すように、ICカード1は、カード本体2と、ICモジュール3とを備えている。カード本体2は、カード基材10を有している。
カード基材10は、一主面側に設けられた収納用凹部15を有している。カード基材10は、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)、紙等の絶縁材で形成されている。
【0019】
ICモジュール3は、基板30と、IC31と、端子T1、T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8と、封止材35とを有している。ICモジュール3のサイズは、14mm×15mmである。
【0020】
基板30は、厚さ100pmのガラスエポキシ基板で形成されている。IC31は基板30に設けられている。詳しくは、ICモジュール3の裏面側において、IC31は基板30上に実装されている。ここでは、IC31の厚みは250μmである。
【0021】
基板30の表面側において、端子T1乃至T8は基板30上に配設されている。端子T1乃至T8は、カード基材10の表面側に露出している。端子T1乃至T8は、基板30上に形成された厚み35μmの銅箔にニッケルメッキと金メッキとを施して形成されている。IC31と、端子T1乃至T8とは、基板30に形成されたスルーホールを通って形成された金ワイヤ33にて電気的に接続されている。
【0022】
IC31及び金ワイヤ33は、絶縁材で形成された封止材35で封止されている。ここでは、IC31の厚みは250μmである。ICモジュール3は、カード基材10の収納用凹部15内に収納されている。ICモジュール3及びカード基材10は、ICモジュール3の周縁部に設けられた接着材51により接合されている。ICモジュール3は、端子T1乃至T8が露出するようカード基材10の表面に設けられている。
【0023】
この実施の形態において、IC31はLSI(large scale integrated circuit)のICチップであり、ICモジュール3はICチップモジュールである。なお、IC31との接続に、金ワイヤ33を用いたワイヤーボンディング方式を採用したが、この接続方式に限定されるものではなく、他の接続方式を採用しても良い。
【0024】
端子T1乃至T4、ICモジュール3の中央部を除く端子T5、端子T6乃至T8は、互いに略同一のサイズに形成されている。
端子T1乃至T8の少なくとも1つは、分断され、互いに電気的に絶縁された第1分割部及び第2分割部で形成されている。この実施の形態において、端子T4は第1分割部T41及び第2分割部T42で形成され、端子T6は第1分割部T61及び第2分割部T62で形成され、端子T8は第1分割部T81及び第2分割部T82で形成されている。第1分割部(T41、T61、T81)及び第2分割部(T42、T62、T82)は、互いに異なる金ワイヤ33に接続され、それぞれ独立してIC31に電気的に接続されている。
【0025】
第1分割部T41及び第2分割部T42の全体のサイズ、第1分割部T61及び第2分割部T62の全体のサイズ、並びに第1分割部T81及び第2分割部T82の全体のサイズは、他の端子(端子T1、端子T2、端子T3、ICモジュール3の中央部を除く端子T5、及び端子T7)のサイズと略同一である。第1分割部(T41、T61、T81)及び第2分割部(T42、T62、T82)は、カード基材10の表面の左右に沿った方向に分断されている。
【0026】
端子T1乃至T8は、カード基材10の表面の左辺S1(左端)及び上辺S2(上端)を基準に規定された領域(端子領域)に対向している。ここでは、端子T1乃至T3、第2分割部T42、端子T5、第1分割部T61、端子T7及び第1分割部T81は、それぞれ国際標準規格(ISO7816)に準拠した領域全体に対向して設けられている。また、端子T1乃至T3、端子T5、第1分割部T61及び端子T7の割付けは、国際標準規格(ISO7816)に準拠している。なお、第2分割部T42及び第1分割部T81の割付けは、国際標準規格(ISO7816)に準拠していない。
【0027】
ISO7816を参照しながら詳述すると、端子T1は、端子番号C1であり、VCC(供給電圧)として割付けられている。端子T2は、端子番号C2であり、RST(リセット信号)として割付けられている。端子T3は、端子番号C3であり、CLK(クロック信号)として割付けられている。端子T5は、端子番号C5であり、GND(接地)として割付けられている。第1分割部T61は、端子番号C6であり、VPP(可変供給電圧)として割付けられている。端子T7は、端子番号C7であり、I/O(データ入出力)として割付けられているインターフェースである。
【0028】
また、この実施の形態において、第1分割部T41はANT1として割付けられ、第1分割部T81はANT2として割付けられている。第1分割部T41及び第1分割部T81は、通信装置のアンテナに接続される無線通信用のインターフェースである。第2分割部T62は、SWP(Single wire protocol)として割付けられている。第2分割部T62は、通信装置内の非接触通信用LSIに接続されるSWP(Single wire protocol)通信インターフェースである。第2分割部T42はUSB1として割付けられ、第2分割部T82はUSB2として割付けられている。第2分割部T42及び第2分割部T82は、通信装置のUSB(Universal Serial Bus)端子に接続されるUSB(Universal Serial Bus)通信用のインターフェースである。
【0029】
図5に示すように、上記のICカード1は、インターフェース5(端子T1乃至T8、特に、端子T7及び第2分割部T62)をリーダライタ70の後述する端子部に接触させる接触通信により、IC31のメモリ7に記憶されたデータを基に、IC31のCPU6と外部端末101、102との間でデータ通信を行なうことができる。
【0030】
図6乃至図9に示すように、リーダライタ70は、上記ICカード1との間で接触通信可能である。リーダライタ70は装置本体71と、移動機構72と、端子部73と、移動機構75とを備えている。ICカード1は、表向きの状態、即ち、ICモジュール3側を表向きにしてリーダライタ70(装置本体71)内に挿入される。
【0031】
移動機構72は装置本体71に設けられている。端子部73は移動機構72に取り付けられている。端子部73は、ICカード1の端子T1乃至T8に接触可能である。ここで、端子T4において、端子部73は、第1分割部T41又は第2分割部T42に接触可能である。端子T6において、端子部73は、第1分割部T61又は第2分割部T62に接触可能である。端子T8において、端子部73は、第1分割部T81又は第2分割部T82に接触可能である。
【0032】
移動機構72は、端子部73を上下に移動させるものであり、端子部73をICカード1の端子T1乃至T8に接触状態にする接触位置と、端子部73を端子T1乃至T8に非接触状態にする非接触位置とに切替えることができる。端子部73は8個設けられ、それぞれ接触ピンで形成されている。
【0033】
移動機構75は装置本体71に設けられている。移動機構75は、端子部73とICモジュール3との相対的な位置を第1分割部及び第2分割部の並んだ方向にずらすことが可能である。移動機構75は、端子部73とICモジュール3との相対的な位置を端子部73が第1分割部に対向する第1位置と、端子部73が第2分割部に対向する第2位置と、に切替え可能である。
【0034】
ここでは、移動機構75は、挿入されるICカード1の側面に対向した個所に設けられている。詳しくは、移動機構75はICカード1が挿入される方向に対向して設けられている。移動機構75は、例えば、装置本体71の内壁からの突出量を異ならせることができる。
【0035】
例えば、端子部73とICモジュール3との相対的な位置を第1位置とする場合、移動機構75の突出量を大きくし、ICカード1が浅く挿入されるようにすることができる。これにより、端子部73を、端子T1乃至T3、第1分割部T41、端子T5、第1分割部T61、端子T7及び第1分割部T81に接触させることができる(図7)。
【0036】
また、端子部73とICモジュール3との相対的な位置を第2位置とする場合、移動機構75の突出量を小さくし、ICカード1が深く挿入されるようにすることができる。これにより、端子部73を、端子T1乃至T3、第2分割部T42、端子T5、第2分割部T62、端子T7及び第2分割部T82に接触させることができる(図9)。
【0037】
図3、図5及び図7に示すように、端子部73とICモジュール3との相対的な位置を第1位置とすることにより、インターフェース76を介し、さらに図示しないケーブル等を介して外部端末101との間でデータ通信を行なうことができる。
【0038】
図3、図5及び図9に示すように、端子部73とICモジュール3との相対的な位置を第2位置とすることにより、第2分割部T62と非接触通信用LSI77との間でシリアル伝送にてデータを伝送でき、非接触通信用LSI77と外部端末102との間でSWP通信を行なうことができる。
【0039】
以上のように構成されたICカード1及びリーダライタ70によれば、ICモジュール3は、基板30と、IC31と、複数の端子T1乃至T8と、を備えている。ICカード1は、上記ICモジュール3を備えている。端子T1乃至T8の少なくとも1つは、分断され、互いに電気的に絶縁された第1分割部及び第2分割部で形成されている。
【0040】
リーダライタ70は、端子部73とICモジュール3との相対的な位置を上記第1位置又は第2位置に切替えることにより、端子部73を第1分割部又は第2分割部に接触させることができるため、簡便な手法により、通信機能を、インターフェース76を介したデータ通信、又は非接触通信用LSI77を介したSWP通信に切替えることができる。
【0041】
端子T1乃至T3、端子T5、第1分割部T61,端子T7は、ISO7816の規定を準拠しているため、ICモジュール3と、ISO7816の規定に準拠した接触通信を行うことができる。また、ISO7816の規定に違反することなく、ICモジュール3自体にインターフェースの個数を増加させることができるため、多機能化に対応することができる。
【0042】
ICモジュール3のサイズは、14mm×15mmである。このため、上述したICモジュール3を、一般的なICモジュールと同じサイズにて形成することができる。また、上述したICモジュール3を製造する際、一般的なICモジュールの製造装置を使用できるため、製造コストを抑制することができる。詳しくは、35mm幅の帯状の基板を用い、この基板の幅方向に2個ずつ並べてICモジュールを形成することができる。なお、上述した効果は、ICモジュール3のサイズが14mm×15mm以内の場合に得ることができる。
【0043】
上記したことから、簡便な手法による通信機能の選択を可能とするように形成されたICカード1、及びICカード1に接触可能であり簡便な手法により通信機能を選択できるリーダライタ70を得ることができる。
【0044】
ここで、図10に示すように、リーダライタ70は、無線通信又はUSB通信を選択可能とするように形成されていてもよい。
図3、図7及び図10に示すように、端子部73とICモジュール3との相対的な位置を第1位置とすることにより、リーダライタ70に設けられたアンテナ78を介して外部端末103との間で無線通信を行なうことができる。
【0045】
図3、図9及び図10に示すように、端子部73とICモジュール3との相対的な位置を第2位置とすることにより、リーダライタ70に設けられ又は取付けられたUSB端子79を介して外部端末104との間でUSB通信を行なうことができる。
【0046】
リーダライタ70は、移動機構75無しに形成されていてもよい。例えば、移動機構72が、上記移動機構75の機能を有していてもよい。この場合、移動機構72は、端子部73とICモジュール3との相対的な位置を第1分割部及び第2分割部の並んだ方向にずらすことが可能である。詳しくは、移動機構72は、端子部73のみをずらすものである。そして、移動機構72は、上記相対的な位置を、端子部73が第1分割部に対向する第1位置と、端子部73が第2分割部に対向する第2位置と、に切替え可能であればよい。
【0047】
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0048】
例えば、端子T1乃至T8は、少なくとも何れか1つが分断されていればよく、図11に示すように、端子T1乃至T8の全てが分断されていてもよい。これにより、一般的なICモジュールに比べ、インターフェースの個数を8個多いICモジュールを得ることができる。端子T1乃至T8は、3つに分断されていてもよく、この場合、端子は、分断され、互いに電気的に絶縁された3個の分割部で形成されていればよい。
【0049】
本発明の携帯可能電子装置は、ICカードに限定されるものではなく、種々変形可能である。携帯可能電子装置は、基板と、基板に設けられたICと、基板上に形成され、基板の表面に露出し、ICに電気的に接続された複数の端子と、を備え、複数の端子の少なくとも1つは、分断され、互いに電気的に絶縁された第1分割部及び第2分割部で形成されている携帯可能電子装置であってもよい。
【0050】
また、携帯可能電子装置は、基板と、基板に設けられたICと、基板上に形成され、基板の表面に露出し、ICに電気的に接続された複数の端子と、を具備したICモジュールと、複数の端子が露出するようICモジュールを収納した本体と、を備え、複数の端子の少なくとも1つは、分断され、互いに電気的に絶縁された第1分割部及び第2分割部で形成されている携帯可能電子装置であってもよい。ICモジュールを収納する本体としては、例えばカード本体が挙げられる。この場合、携帯可能電子装置は、ICモジュールを備えたSIM(Subscriber Identity Module)カードや、UIM(Universal Identity Module)カード、ID−1/000カードと呼ばれるUIMカード搭載ICカード等であってもよい。
【0051】
ここで、本発明の携帯可能電子装置がUIMカード搭載ICカードである場合を例に説明する。
図12及び図13に示すように、ICカード1は、カード本体2と、ICモジュール3とを備えている。カード本体2は、カード基材(支持基材)10と、カード基材10内にカード基材の一部を用いて形成されたカード基材11とを備えている。カード基材10から取外し可能なカード基材11は、矩形の1つの角部を切り欠いた板状に形成されている。ICモジュール16はカード基材11に設けられている。カード基材11及びICモジュール16はUIMカード12を形成している。
【0052】
端子T4は第1分割部T41及び第2分割部T42で形成され、端子T6は第1分割部T61及び第2分割部T62で形成され、端子T8は第1分割部T81及び第2分割部T82で形成されている。
【0053】
カード基材10には、カード基材11の外周に沿って延びるスリット18がカード基材10を貫通して形成されている。カード基材11は、スリット18内に設けられたブリッジ部20によりカード基材10に連結されている。カード基材11をブリッジ部20から切取ることにより、UIMカード12を採り出すことができる。
【0054】
ICカード1として、端子T1乃至T8は、カード基材10の表面の左辺S1(左端)及び上辺S2(上端)を基準に規定された領域(端子領域)に対向している。UIMカード12として、端子T1乃至T8は、カード基材11の表面の左辺Sa(左端)及び上辺Sb(上端)を基準に規定された領域(端子領域)に対向している。ここでは、端子T1乃至T3、第2分割部T42、端子T5、第1分割部T61、端子T7及び第1分割部T81は、それぞれ国際標準規格に準拠した領域全体に対向して設けられている。
【0055】
上述したように、端子T1乃至T8は、何れか1つが分断して形成されていればよく、国際標準規格に準拠していなくともよい(国際標準規格非準拠)。例えば、図14に示すように、端子T1乃至T8全てが国際標準規格に準拠していなくともよい。端子T1乃至T8それぞれにおいて、第1分割部及び第2分割部が、国際標準規格で規定された領域(図中、破線で示す領域)の一部にそれぞれ対向していてもよい。
【0056】
本発明の通信装置は、上述したリーダライタ70に限定されるものではなく種々変形可能であり、通信機能を選択可能な各種の通信装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1…ICカード、2…カード本体、3…ICモジュール、10,11…カード基材、12…UIMカード、16…ICモジュール、30…基板、31…IC、70…リーダライタ、71…装置本体、72,75…移動機構、73…端子部、76…インターフェース、77…非接触無線チップ、78…アンテナ、79…USB端子、T1〜T8…端子、T11,T21,T31,T41,T51,T61,T71,T81…第1分割部、T12,T22,T32,T42,T52,T62,T72,T82…第2分割部、S1,Sa…左辺、S2,Sb…上辺。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられたICと、
前記基板上に形成され、前記基板の表面に露出し、前記ICに電気的に接続された複数の端子と、を備え、
前記複数の端子の少なくとも1つは、分断され、互いに電気的に絶縁された第1分割部及び第2分割部で形成されていることを特徴とする携帯可能電子装置。
【請求項2】
前記基板のサイズは、14mm×15mm以内であることを特徴とする請求項1に記載の携帯可能電子装置。
【請求項3】
前記複数の端子が露出するようカード本体に収納される前記携帯可能電子装置において、
前記第1分割部は前記カード本体の左端及び上端を基準に規定された領域全体に対向し、前記第2分割部は前記領域から外れていることを特徴とする請求項1に記載の携帯可能電子装置。
【請求項4】
前記複数の端子が露出するようカード本体に収納される前記携帯可能電子装置において、
前記第1分割部及び第2分割部は、前記カード本体の左端及び上端を基準に規定された領域の一部にそれぞれ対向していることを特徴とする請求項1に記載の携帯可能電子装置。
【請求項5】
前記第1分割部及び第2分割部の全体のサイズは、他の端子のサイズと略同一であることを特徴とする請求項1に記載の携帯可能電子装置。
【請求項6】
基板と、前記基板に設けられたICと、前記基板上に形成され、前記基板の表面に露出し、前記ICに電気的に接続された複数の端子と、を具備したICモジュールと、
前記複数の端子が露出するよう前記ICモジュールを収納した本体と、を備え、
前記複数の端子の少なくとも1つは、分断され、互いに電気的に絶縁された第1分割部及び第2分割部で形成されていることを特徴とする携帯可能電子装置。
【請求項7】
基板と、前記基板に設けられたICと、前記基板上に形成され、前記基板の表面に露出し、前記ICに電気的に接続された複数の端子と、を具備したICモジュールと、前記複数の端子が露出するよう前記ICモジュールを収納した本体と、を備え、前記複数の端子の少なくとも1つは、分断され、互いに電気的に絶縁された第1分割部及び第2分割部で形成されている携帯可能電子装置と接触可能な通信装置であって、
装置本体と、
前記装置本体に設けられ、前記携帯可能電子装置の第1分割部又は第2分割部に接触可能な端子部と、
前記装置本体に設けられ、前記端子部と前記ICモジュールとの相対的な位置を前記第1分割部及び第2分割部の並んだ方向にずらすことが可能であり、前記相対的な位置を、前記端子部が前記第1分割部に対向する第1位置と、前記端子部が前記第2分割部に対向する第2位置と、に切替え可能である移動機構と、を備えていることを特徴とする通信装置。
【請求項8】
基板と、前記基板に設けられたICと、前記基板上に形成され、前記基板の表面に露出し、前記ICに電気的に接続された複数の端子と、を具備したICモジュールと、前記複数の端子が露出するよう前記ICモジュールを収納した本体と、を備え、前記複数の端子の少なくとも1つは、分断され、互いに電気的に絶縁された第1分割部及び第2分割部で形成されている携帯可能電子装置と接触可能な通信装置であって、
装置本体と、
前記装置本体に設けられた移動機構と、
前記移動機構に取付けられ、前記携帯可能電子装置の第1分割部又は第2分割部に接触可能な端子部と、を備え、
前記移動機構は、前記端子部と前記ICモジュールとの相対的な位置を前記第1分割部及び第2分割部の並んだ方向にずらすことが可能であり、前記相対的な位置を、前記端子部が前記第1分割部に対向する第1位置と、前記端子部が前記第2分割部に対向する第2位置と、に切替え可能であることを特徴とする通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−65474(P2011−65474A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216063(P2009−216063)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】