説明

携帯型の無線タグリーダ

【課題】無線タグと無線通信を行い得る携帯型の無線タグリーダに関し、電源オフ状態となっている場合であっても外部のタグリーダからの指示によって当該機器のみを選択的に起動させ得る構成を提供する。
【解決手段】無線タグリーダ1には、外部のタグリーダと通信可能な無線タグチップ40が設けられており、電源回路15による電力供給がオフ状態のときに、外部のタグリーダが無線タグチップ40と無線通信を行ったこと及び当該無線タグリーダ1を指定する指定情報を送信したことを検出可能となっている。そして、このような無線通信及び指定情報の送信が検出されたときに、電源回路15からの電力供給がオン状態に切り替えられるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型の無線タグリーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency IDentification)システムは、一般的に、IDや情報のデータを登録するRFIDタグと、このRFIDタグを認識・制御するRFIDリーダライタとによって構成されている。このシステムで用いられるRFIDタグは、例えば、内蔵アンテナとICチップとを備えており、RFIDリーダライタのアンテナから出力された電波や磁界を媒介として、RFIDリーダライタから供給される電力や通信データを内蔵アンテナで受けている。そして、RFIDリーダライタからのコマンドに応じてICチップ内にデータを記録したり、RFIDリーダライタに対してデータを送信したりしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−87399公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記無線タグリーダとしては携帯型の機器も広く提供されているが、携帯型の機器は一般的に装置の置き忘れが生じやすいといった問題を抱えており、このような問題を解消しようとする技術として、特許文献1のようなものが提供されている。この特許文献1の技術では、移動体の内部に無線送受信回路(5)と、無線タグ(8)とが設けられており、無線タグ(8)は、外部から電磁波を受信したときにこの受信による電力によって電源回路(6)を起動している。そして、無線タグ(8)が受信した情報に従って、無線送受信回路(5)や電源回路(6)の機能が停止、或いは再起動されるようになっている。
しかしながら、このように無線機器内に単純に無線タグを設けた構成では、同様の無線機器が付近に多数存在する場合、特定の無線機器だけ起動させようとしても、これら無線機器に設けられた無線タグが全て反応してしまい、全ての無線機器が同様に動作してしまうことになる(例えば一斉の起動等)。従って、このような方法では、無駄な起動を招くことになってしまい、同様の無線機器が多数存在する場合には特定の機器を探し出すことが難しくなる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、無線タグと無線通信を行い得る携帯型の無線タグリーダに関し、電源オフ状態となっている場合であっても外部のタグリーダからの指示によって当該機器のみを選択的に起動させ得る構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、
アンテナを介して無線タグと無線通信を行う携帯型の無線タグリーダであって、
電池と、
前記電池に接続されると共に、前記電池から装置内の電子部品への電力供給をオン状態とオフ状態とに切り替え可能な電源手段と、
前記電源手段による電力供給が前記オン状態のときに動作する構成をなし、前記アンテナを介して装置外の無線タグと無線通信を行い得る通信手段と、
無線タグ機能を有すると共に、外部のタグリーダと通信可能に構成された内部タグと、
前記電源手段による電力供給が前記オフ状態のときに動作可能に構成され、前記外部のタグリーダによって前記内部タグに対する無線通信がなされ且つ前記外部のタグリーダによって当該無線タグリーダを指定する指定情報が送信されたことを検出する検出手段と、
を備え、
前記電源手段は、当該電源手段による電力供給が前記オフ状態である場合において、前記検出手段により、前記外部のタグリーダによる前記内部タグとの無線通信及び前記指定情報の送信が検出されたときに、装置内への電力供給を前記オン状態に切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明には、外部のタグリーダと通信可能に構成された内部タグと、検出手段とが設けられており、検出手段は、電源手段による電力供給がオフ状態のときに動作可能に構成され、外部のタグリーダによって内部タグに対する無線通信がなされ且つ外部のタグリーダによって当該無線タグリーダを指定する指定情報が送信されたことを検出するように構成されている。
そして、電源手段は、当該電源手段による電力供給がオフ状態である場合において、検出手段により、外部のタグリーダによる内部タグとの無線通信及び指定情報の送信が検出されたときに、装置内への電力供給をオン状態に切り替えるように構成されている。
この構成では、無線タグリーダの電源がオフ状態のときに当該無線タグリーダの位置が分からなくなった場合であっても、外部タグリーダからの通信によって当該無線タグリーダの電源をオン状態とすることができる。更に、当該無線タグリーダを指定する指定情報の検出を条件として電源をオン状態としているため、外部タグリーダと通信可能な範囲に同種のタグリーダが複数存在する場合であっても、所望の無線タグリーダのみを選択的に起動させ、発見し易い状態とすることができる。
【0008】
請求項2の発明は、アンテナが、通信手段と内部タグとに接続可能に構成され、この接続状態を切り替える接続切替手段が設けられている。そして接続切替手段は、電源手段による電力供給がオン状態のときにアンテナと通信手段とを接続状態とし、電源手段による電力供給がオフ状態のときにアンテナと内部タグとを接続状態とするように構成されている。
この構成では、装置内に設けられたアンテナを、通信手段が通信を行う場合と内部タグが通信を行う場合とに共用することができ、高機能化を実現しつつ、部品点数の削減及び装置構成の簡素化を図ることができる。特に、電源手段による電力供給がオン状態のときに通信手段を使用し、オフ状態のときに内部タグを使用するように、状態に応じた適切な使い分けを可能とすることができる。
【0009】
請求項3の発明には、複数種類の処理を実行可能な処理実行手段と、処理実行手段によって実行可能ないずれかの処理を特定する処理特定情報を所定領域に記憶した処理特定情報記憶手段とが設けられている。
そして、処理実行手段は、外部のタグリーダによる内部タグとの無線通信及び指定情報の送信が検出手段によって検出されたことに応じて電源手段による電力供給がオン状態となった場合に、処理特定情報記憶手段の所定領域を読み出し、その読み出した処理特定情報に対応する処理を実行するように構成されている。
この構成によれば、所望の処理を特定する情報(処理特定情報)を所定領域に記憶しておくといった簡易な設定によって、起動の際(内部タグでの通信に応じて端末が起動される際)に当該処理を実行することが可能となる。
【0010】
請求項4の発明には、装置外への報知動作を行う報知手段と、報知手段の報知動作を制御する報知制御手段とが設けられている。そして、報知制御手段は、外部のタグリーダによる内部タグとの無線通信及び指定情報の送信が検出手段によって検出されたことに応じて電源手段による電力供給がオン状態となった場合に、報知手段に報知動作を実行させるように構成されている。
この構成によれば、内部タグでの通信に応じて端末が起動される際に外部に報知することができるため、外部に存在する者(例えば外部のタグリーダを操作する者)は、指定した無線タグリーダが存在する旨、及び当該無線タグリーダの位置をより確実に把握しやすくなる。
【0011】
請求項5の発明は、内部タグにおいて、登録パスワードを記録するパスワード記録手段と、認証手段と、書込手段と、出力手段とが設けられている。
そして、認証手段は、外部のタグリーダによって当該無線タグリーダを指定する指定情報が送信され、且つ外部のタグリーダから当該内部タグに対してパスワードが送信されたときに、当該パスワードとパスワード記録手段に記録された登録パスワードとに基づいて認証を行う構成をなしており、書込手段は、外部のタグリーダが当該内部タグに対してデータの書き込みを指示した場合において、認証手段による認証が成功している場合に、その指示されたデータの書込処理を行う構成をなしている。そして、出力手段は、書込手段によって書込処理が行われる場合に特定信号を出力するように構成されている。
そして、電源手段は、当該電源手段による電力供給がオフ状態となっている場合において、特定信号が出力されたときに、装置内への電力供給をオン状態に切り替えるように構成されている。
この構成では、電源オフ状態の無線タグリーダを外部のタグリーダによって起動させようとする場合、外部のタグリーダから正規のパスワードを送信しない限り認証が行われず、当該無線タグリーダを起動させることができないため、正規のパスワードを送信し得ないタグリーダからのアクセスを遮断することができる。従って、不正なタグリーダからの指示に応じた不正起動をより確実に防ぐことができ、セキュリティ性を強化することができる。
【0012】
請求項6の発明には、制御手段が設けられており、この制御手段は、電源手段による電力供給がオン状態となっている場合において、外部のタグリーダによる内部タグとの無線通信が検出手段により検出されたことを条件に特定処理を行うように構成されている。この構成では、無線タグリーダ内への電力供給がオフ状態のときだけでなく、オン状態の時にも、当該無線タグリーダを外部のタグリーダから動作させることができる。
【0013】
請求項7の発明は、内部タグにおいて、書込手段と、出力手段とが設けられ、書込手段は、外部のタグリーダが当該内部タグに対してデータの書き込みを指示した場合にデータの書込処理を行い、出力手段は、書込手段によって書込処理が行われる場合に特定信号を出力するように構成されている。
更に、制御手段は、電源手段による電力供給がオン状態となっている場合において、特定信号が出力されたときに、特定処理として書込手段によって書き込まれたデータを読み取る処理を行うように構成されている。
請求項7の発明では、電源手段による電力供給がオン状態となっている場合に、外部から内部タグに対して書き込まれたデータを読み取ることが可能となる。特に、内部タグで書込処理が行われる場合に特定信号が出力され、この特定信号の出力を条件として書き込まれたデータを読み取っているため、書き込みを常時監視しなくても適切な時期に読み取ることができるようになる。従って、全体的な処理時間を短縮化することができると共に省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る無線タグリーダの電気的構成を例示するブロック図である。
【図2】図2(A)は、図1の無線タグリーダにおける通信手段(無線リーダ部)の内部構成を概略的に例示するブロック図であり、図2(B)は、図1の無線タグリーダにおける情報コード読取部の内部構成を概略的に例示するブロック図である。
【図3】図3は、図1の無線タグリーダにおける無線タグチップの内部構成を概略的に例示するブロック図である。
【図4】図4は、図1の無線タグリーダで読み取られる無線タグの電気的構成を例示するブロック図である。
【図5】図5は、無線タグリーダ内の無線タグチップで行われる起動処理の流れを例示するフローチャートである。
【図6】図6は、外部のタグリーダで行われる通信処理の流れを例示するフローチャートである。
【図7】図7は、無線タグリーダで行われる起動時処理の流れを例示するフローチャートである。
【図8】図8は、処理特定情報を概念的に説明する説明図である。
【図9】図9は、他の実施形態に係る無線タグリーダの電気的構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明の無線タグリーダを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
(無線タグリーダの全体構成)
まず、図1〜図4を参照し、無線タグリーダ1の全体構成等について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る無線タグリーダの電気的構成を例示するブロック図である。図2(A)は、図1の無線タグリーダにおける通信手段(無線リーダ部)の内部構成を概略的に例示するブロック図であり、図2(B)は、図1の無線タグリーダにおける情報コード読取部の内部構成を概略的に例示するブロック図である。図3は、図1の無線タグリーダにおける無線タグチップの内部構成を概略的に例示するブロック図である。図4は、図1の無線タグリーダで読み取られる無線タグの電気的構成を例示するブロック図である。
【0017】
無線タグリーダ1は、ユーザによる持ち運びが可能な携帯型の端末として構成されており、RFIDタグ等の非接触通信媒体を読み取る機能に加え、バーコードや二次元コードなどの情報コードを読み取る機能を有しており、読み取りを二方式で行いうる構成となっている。
【0018】
図1に示すように、無線タグリーダ1には、全体的制御を司る制御部10が設けられており、この制御部10に、メモリ11、表示部12、ブザー13、外部インタフェース14、無線リーダ部20、情報コード読取部30、無線タグチップ40などが接続されている。
【0019】
制御部10は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、メモリ11とともに情報処理装置として機能している。表示部12は、例えば液晶表示器などによって構成されており、制御部10によって表示内容が制御されるように構成されている。また、外部インタフェース14は、外部(例えばホスト装置)との間でのデータ通信(例えば、ケーブルを介したシリアル通信等)を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部10と協働して通信処理を行う構成をなしている。
【0020】
無線リーダ部20は、「通信手段」の一例に相当するものであり、アンテナ25及び制御部10と協働して無線タグ50との間で電磁波による通信を行い、無線タグ50に記憶されるデータの読み取り、或いは無線タグ50へのデータの書き込みを行うように機能している。この無線リーダ部20は、例えば公知の電波方式で伝送を行う回路として構成され、図2(A)に示すように、送信回路21、受信回路22、整合回路23などを有しており、電源回路15による電力供給がオン状態のときに動作するように構成されている。
【0021】
送信回路21は、キャリア発振器、符号化部、増幅器、送信部フィルタ、変調部などによって構成されており、キャリア発振器から例えば周波数953MHzのキャリア(搬送波)が出力される構成をなしている。また、符号化部は、制御部10に接続されており、当該制御部10より出力される送信データを符号化して変調部に出力している。変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)、及び符号化部からの送信データが入力される部分であり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を所定のゲインで増幅し、その増幅信号を送信部フィルタに出力しており、送信部フィルタは、増幅器からの増幅信号をフィルタリングした送信信号を、整合回路23を介してアンテナ25に出力している。このようにしてアンテナ25に送信信号が出力されると、その送信信号が電磁波として当該アンテナ25より外部に放射される。
【0022】
一方、アンテナ25によって受信された電波信号は、整合回路23を介して受信回路22に入力される。この受信回路22は、受信部フィルタ、増幅器、復調部、二値化処理部、複号化部などによって構成されており、アンテナ25を介して受信された信号を受信部フィルタによってフィルタリングした後、増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調する。そして、その復調された信号波形を二値化処理部によって二値化し、復号化部にて復号化した後、その復号化された信号を受信データとして制御部10に出力している。なお、図2(A)では、図1に示すスイッチSW1を省略して示しており、送信回路21及び受信回路22は、無線リーダ部20とアンテナ25とが導通するようにスイッチSW1が切り替えられているときに上記のように動作するようになっている。
【0023】
無線リーダ部20によって通信を行う場合の通信対象は、例えば図4のように構成されている。この無線タグ50は、ハードウェア的には例えば公知のRFIDタグとして構成され、図4に示すように、アンテナ51,電源回路52,復調回路53,制御回路54,メモリ55,変調回路56などによって構成されている。電源回路52は、アンテナ51を介して受信した無線タグリーダ1からの送信信号(キャリア信号)を整流、平滑して動作用電源を生成するものであり、その動作用電源を、制御回路54をはじめとする各構成要素に供給している。また、復調回路53は、送信信号(キャリア信号)に重畳されているデータを復調して制御回路54に出力している。メモリ55は、ROM,EEPROM等の各種半導体メモリによって構成されており、制御プログラムや無線タグ50を識別するための識別情報(固有ID)やその他のデータなどが記憶されている。制御回路54は、メモリ55から上記情報やデータを読み出し、それを送信データとして変調回路56に出力する構成をなしており、変調回路56は、キャリア信号を当該送信データで負荷変調してアンテナ51から反射波として送信するように構成されている。
【0024】
情報コード読取部30は、図2(B)に示すように、CCDエリアセンサなどの固体撮像素子からなる受光センサ33、結像レンズ37、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部31などを備えた構成をなしており、制御部10と協働して読取対象物Rに付された情報コード(例えば、バーコード等の一次元コード、QRコード(登録商標)、データマトリックスコード、マキシコード等の二次元コードなど)を読み取るように機能する。
【0025】
この情報コード読取部30では、例えば情報コードCの読み取りを行う場合、まず、制御部10から指令を受けた照明部31にて照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取口(図示略)を通って読取対象物Rに照射されるようになっている。そして、照明光Lfが情報コードCにて反射した反射光Lrは読取口を通って装置内に取り込まれ、結像レンズ37を通って受光センサ33に受光される。読取口(図示略)と受光センサ33との間に配される結像レンズ37は、情報コードCの像を受光センサ33上に結像させる構成をなしており、受光センサ33はこの情報コードCの像に応じた受光信号を出力する。受光センサ33から出力される受光信号は、画像データとしてメモリ11(図1)に記憶され、デコード処理などに用いられるようになっている。なお、情報コード読取部30には、受光センサ33からの信号を増幅する増幅回路や、その増幅された信号をデジタル信号に変換するAD変換回路等が設けられているがこれらの回路については図示を省略している。
【0026】
無線タグチップ40は、「内部タグ」の一例に相当するものであり、例えば公知のRFIDタグと同様の構成をなしており、無線タグ機能を有すると共に、外部のタグリーダと通信可能に構成されている。この無線タグチップ40は、全体的には図4の無線タグ50と同様の構成でICチップ化されており、内部には制御回路42と通信回路41とメモリ43とが設けられている。通信回路41は、例えば図4の復調回路53及び変調回路56と同様の機能を有しており、制御回路42及びメモリ43は、例えば図4の制御回路54及びメモリ55と同様の機能を有している。また、この無線タグチップ40内にも図4の電源回路52と同様の電源回路が設けられており、外部のタグリーダから電波を受信したときに動作電力を生成し得るように構成されている。
【0027】
本実施形態では、図1に示すように、アンテナ25が、無線リーダ部20(通信手段)と無線タグチップ40(内部タグ)とに接続可能に構成されており、制御部10によってスイッチSW1を制御することでアンテナ25からの接続の経路を切り替えることができるようになっている。なお、スイッチSW1及び制御部10は、「接続切替手段」の一例に相当し、電源回路15による電力供給がオン状態のときにアンテナ25と無線リーダ部20(通信手段)とを接続状態とし、電源回路15による電力供給がオフ状態のときにアンテナ25と無線タグチップ40(内部タグ)とを接続状態とするように動作している。
【0028】
また、無線タグリーダ1には、電源となるバッテリ16や電源回路15が設けられている。バッテリ16は、リチウムイオン電池などの公知の二次電池によって構成されている。電源回路15は、例えばバッテリ16からの電力供給を受けて所定の出力電圧を生成するように構成されている。なお、電源回路15は、「電源手段」の一例に相当し、バッテリ16(電池)に接続されると共に、このバッテリ16から装置内への電力供給をオン状態とオフ状態とに切り替えるように機能する。
【0029】
操作キー18は、電源キーとして機能するものであり、例えば、電源回路15の動作停止中に操作キー18に対して所定操作がなされたときに操作キー18からオン信号(例えばHレベル信号)が出力されるようになっており、このとき、OR回路19から電源回路15に駆動信号(例えばHレベル信号)入力されることで、この信号をトリガとして電源回路15が動作(電力供給)を開始するようになっている。
【0030】
また、上記OR回路19には、無線タグチップ40からのトリガ信号も入力可能とされており、電源回路15は、動作停止中(電源オフ中)に無線タグチップ40からトリガ信号(例えばHレベル信号)が出力されたときにも、この信号をトリガとして動作を開始するようになっている。
【0031】
(制御動作)
次に、無線タグリーダ1で行われる制御動作について説明する。
図5は、無線タグリーダ内の無線タグチップで行われる起動処理の流れを例示するフローチャートである。図6は、外部のタグリーダで行われる通信処理の流れを例示するフローチャートである。図7は、無線タグリーダで行われる起動時処理の流れを例示するフローチャートである。
【0032】
図5に示す起動処理は、例えば無線タグリーダ1の電源オフ時(電源回路15が動作停止中)に外部のタグリーダから無線タグチップ40にアクセスがあったとき(外部のタグリーダと無線タグチップ40との間で無線通信が開始されたとき)に、当該無線タグチップ40で実行されるものである。
【0033】
まず、図6を参照し、起動処理を実行するために外部のタグリーダで行われる処理について説明する。図6の処理は、例えば無線タグリーダ1と同様の構成をなすタグリーダ(外部のタグリーダ)によって行われるものであり、まず、無線タグチップ40に対して書き込み要求を送信する(S21)。この書き込み要求は、通信相手の固有情報を指定して行われ、例えば、書き込み要求と共に固有IDを対応付けて送信する。その後、無線タグチップ40からの応答を待ち(S22)、無線タグチップ40からの応答が確認された後にパスワードを送信する(S23)。このパスワードは、例えば当該外部のタグリーダにおいて入力されたもの(例えば、ユーザが当該外部のタグリーダに設けられた操作部を用いて入力したパスワードデータ)が用いられる。S23でパスワードを送信した後には、その送信に対する無線タグチップ40からの応答を待つことになる(S24)。
【0034】
一方、無線タグチップ40では、図5のような流れで処理が行われ、まず、外部のタグリーダからの書き込み要求(図6のS21で送信された書き込み要求)を受信する(S1)。具体的には、例えば無線タグチップ40のメモリ43の固有IDが記録されており、外部のタグリーダからこの固有IDを指定した書き込み要求が送られてきたときに当該書き込み要求を受信してS2以降の処理を行う。なお、メモリ43に記録された固有ID以外を指定した書き込み要求の場合、この書き込み要求を無視する。
【0035】
本実施形態では、無線タグチップ40の制御回路42が「検出手段」の一例に相当し、電源回路15による電力供給がオフ状態のときに動作可能に構成され、外部のタグリーダによって無線タグチップ40(内部タグ)に対する無線通信がなされ且つ外部のタグリーダによって当該無線タグリーダ1を指定する指定情報(具体的には無線タグチップ40の固有IDを指定する指定情報等)が送信されたことを検出するように機能する。
【0036】
S1で書き込み要求を受信した後には、無線タグリーダ1のセキュリティレベルが高レベルに設定されているか否かを判断する(S2)。本実施形態の無線タグリーダ1では、セキュリティレベルを高レベルと低レベルとに設定可能とされており、セキュリティレベルが高レベルに設定されている場合にはS2にてYesに進む。一方、セキュリティレベルが低レベルに設定されている場合にはS2にてNoに進む。なお、セキュリティレベルの設定は、例えばユーザが予め無線タグリーダ1においてセキュリティレベルを指定する情報を入力することで行うことができ、予めユーザがセキュリティレベルを高レベルに指示する情報入力操作を行っている場合には、メモリ43においてセキュリティレベルが高レベルである旨の情報を登録しておくことができる。S2では、このような情報が設定・登録されているか否かを判断する。なお、セキュリティレベルを高レベルに設定する場合には、高レベルを指定する情報と共にパスワード(登録パスワード)を入力しメモリ43に登録しておくことができる。なお、メモリ43は、「パスワード記録手段」の一例に相当する。
【0037】
S2の判断処理において、設定されたセキュリティレベルが高レベルと判断される場合には、S2にてYesに進み、外部のタグリーダから送信されるパスワード(S23で送信されるパスワード)を受信する(S4)。そして、S4で受信したパスワードと、メモリ43に登録されているパスワード(登録パスワード)とを比較し、一致しているか否かを判断する(S5)。S4で受信したパスワードとメモリ43に登録されているパスワードとが一致しない場合にはS5にてNoに進み、外部のタグリーダに対して書き込み拒否のコマンドを送信する(S9)。一方、S5においてパスワードが一致していると判断される場合には、S5にてYesに進み、外部のタグリーダに対して書き込み許可のコマンドを送信する(S6)。なお、S2においてセキュリティレベルが低レベルと判断される場合には、S3〜S5の処理を省略し、S6の処理(書き込み許可のコマンド送信処理)を行う。
【0038】
なお、本実施形態では、制御回路42が「認証手段」の一例に相当し、外部のタグリーダによって当該無線タグリーダ1を指定する指定情報が送信され、且つ外部のタグリーダから無線タグチップ40(内部タグ)に対してパスワードが送信されたときに、当該パスワードとメモリ43(パスワード記録手段)に記録された登録パスワードとに基づいて認証を行うように機能する。
【0039】
図6に示すように、外部のタグリーダ側では、S23でパスワードを送信した後に、無線タグチップ40からの応答を待ち(S24)、その後、応答が書き込み許可コマンドであるか否かを判断する(S25)。無線タグチップ40から送られてくる応答が書き込み許可コマンドである場合には、S25にてYesに進み、無線タグチップ40に書き込みを行うためのデータ(書き込みデータ)を送信する(S26)。一方、無線タグチップ40から送られてくる応答が書き込み拒否コマンドである場合、又は無線タグチップ40から応答が取得できない場合にはS25にてNoに進む。S25でNoに進む場合、又はS26の処理が終了した後には、次の機器にアクセスするか否かを判断し、他の機器にアクセスする場合(例えばユーザから他の機器にアクセスする指示があった場合等)には、S27にてYesに進む。他の機器にアクセスしない場合(例えばユーザから終了の指示があった場合等)には、図6の処理を終了する。
【0040】
無線タグチップ40側では、S6にて書き込み許可コマンドを送信した後、外部のタグリーダから送られてくる書き込みデータを受信する(S7)。そして、この書き込みデータで指示された内容をメモリ43に書き込む。本実施形態では、制御回路42とメモリ43の間の情報伝達ラインから電源回路15へ信号(W信号)が取り出されるようになっており、S8でメモリ43に対してデータ書き込み処理を行うときにOR回路19に対して動作信号(例えばHレベル信号)が入力されるようになっている。従って、この入力に応じてOR回路19から電源回路15に対し駆動信号(例えばHレベル信号)が出力され、電源回路15が起動する。これにより、無線タグリーダ1が電源オン状態となり、無線タグリーダ1内の各種電気部品が動作可能となる。
【0041】
本実施形態では、制御回路42が「書込手段」の一例に相当し、外部のタグリーダが当該無線タグチップ40(内部タグ)に対してデータの書き込みを指示した場合において、上記「認証手段」による認証が成功している場合に、その指示されたデータの書込処理を行うように機能する。また、制御回路42は、「出力手段」の一例に相当し、上記「書込手段」によって書込処理が行われる場合に特定信号(OR回路19に対する動作信号)を出力するように機能する。
【0042】
次に、電源投入後に無線タグリーダ1で行われる起動後処理について説明する。
本実施形態では、例えば図8のように事前にデータ登録がなされており、図8の登録情報は、書き込み文字と起動後の処理とを対応付けた構成となっている。従って、書き込み文字が指定されれば、この登録情報を参照することで、起動後の処理が特定されることになる。また、このような登録情報がメモリ11内においてどの領域に登録されているかが予め設定情報として記録されている。そして、無線タグリーダ1の制御部10は、起動時(電源回路15からの電力供給開始時)に、この設定情報に従って図8のような登録情報にアクセスすることができるようになっている。
【0043】
図7の起動後処理は、無線タグチップ40へのアクセス(外部のタグリーダと無線タグチップ40との通信)に基づいて電源回路15から電力供給が開始された時に制御部10によって行われるものであり、例えば、電源オン時に制御部10に対して信号Stが入力された場合に図7の処理が実行される。なお、信号Stは、例えば、上述の書き込み処理の際に制御回路42とメモリ43の間から取り出される書き込み信号(W信号)がこれに相当する。この処理では、まず、無線タグチップ40のメモリ43にアクセスし(S31)、外部のタグリーダによって書き込まれた情報を読み取る(S32)。S31では、例えば無線リーダ部20と無線タグチップ40とを接続するように切り替えて読み取るようにしてもよく、図示しないアクセスラインを介して制御部10から直接読み取るようにしてもよい。
【0044】
S32の処理で書き込み内容を読み取った後には、メモリ11に記憶されている上述の登録情報(図8)を参照し、外部のタグリーダによって書き込まれた書き込み情報に対応する処理を特定する(S33)。そして、メモリ43に書き込まれたデータ(外部のタグリーダによって書き込まれた書き込み情報)と一致するデータが存在するか否かを判断し(S34)、一致するデータが存在する場合にはS34にてYesに進み、その一致するデータに対応付けられた処理を実行する。例えば、外部のタグリーダによってメモリ43に書き込まれたデータが「444」である場合には、S34にてYesに進み、ブザー13の鳴動を行う(図8参照)。このように構成されているため、外部のタグリーダでの書き込み情報の選択により起動後の処理を指定することができるようになる。
【0045】
なお、この場合、ブザー13は「報知手段」の一例に相当する。また、制御部10は、「報知制御手段」の一例に相当し、外部のタグリーダによる無線タグチップ40(内部タグ)との無線通信及び指定情報の送信が検出されたことに応じて電源回路15による電力供給がオン状態となった場合に、ブザー13(報知手段)に報知動作を実行させるように機能する。なお、ここではブザー13によって報知する例を示しているが、表示部12による表示や図示しないLEDの点灯などによって報知するようにしてもよい。また、上記の例では、ブザー13の鳴動を指定する書き込みがあった場合にブザー13によって報知する例を示したが、書き込み内容に関係なく、図7の起動時処理を行う場合に一律に報知処理を行うようにしてもよい。
【0046】
なお、本実施形態では、メモリ11が「処理特定情報記憶手段」の一例に相当し、処理実行手段によって実行可能ないずれかの処理を特定する処理特定情報をメモリ11内の所定領域に記憶するように機能する。また、制御部10は、「処理実行手段」の一例に相当し、外部のタグリーダによる無線タグチップ40(内部タグ)との無線通信及び指定情報の送信が検出されたことに応じて電源回路15による電力供給がオン状態となった場合に、メモリ11(処理特定情報記憶手段)の所定領域を読み出し、その読み出した処理特定情報に対応する処理を実行するように機能する。
【0047】
(電源オン時の処理)
上記説明では、主として、電源オフ時(電源回路15からの電力供給が停止している時)に無線タグチップ40に対してアクセスがあった場合の処理について説明したが、電源回路15からの電力供給がオン状態となっているときにも図7と同様の処理を行うことができる。即ち、図7の処理は、電源オン時に信号Stが入力された場合(即ち、電源オン時に外部のタグリーダから無線タグチップ40に対して書き込みがあった場合)にも実行されるようになっており、この場合にもS31にて無線タグチップ40にアクセスし、メモリ43に書き込まれたデータを読み出す(S32)。そして、メモリ11に記憶されている上述の登録情報を参照し、外部のタグリーダによって書き込まれた書き込み情報に対応する処理を特定する(S33)。そして、メモリ43に書き込まれたデータ(外部のタグリーダによって書き込まれた書き込み情報)と一致するデータが存在するか否かを判断し(S34)、一致するデータが存在する場合にはS34にてYesに進み、その一致するデータに対応する処理を実行することになる。例えば、電源オン時に外部のタグリーダが111を書き込んだ場合には、制御部10はこの「111」に対応する処理(「111」に対応するプログラム(アプリ1)の起動)を行うことになる。
【0048】
なお、本実施形態では、制御部10が「制御手段」の一例に相当し、電源回路15による電力供給がオン状態となっている場合において、外部のタグリーダによる無線タグチップ40(内部タグ)との無線通信が検出されたことを条件に特定処理(外部のタグリーダによって書き込まれたデータを読み取る処理等)を行うように機能する。具体的には、メモリ11に記録された登録情報(図8)を参照し、外部のタグリーダによって書き込まれたデータに対応する処理を特定して実行するように機能する。
【0049】
(第1実施形態の主な効果)
本実施形態の無線タグリーダ1では、電源がオフ状態のときに当該無線タグリーダ1の位置が分からなくなった場合であっても、外部タグリーダからの通信によって当該無線タグリーダ1の電源をオン状態とすることができる。更に、当該無線タグリーダ1を指定する指定情報の検出を条件として電源をオン状態としているため、外部タグリーダと通信可能な範囲に同種のタグリーダが複数存在する場合であっても、所望の無線タグリーダのみを選択的に起動させ、発見し易い状態とすることができる。
【0050】
また、本実施形態では、アンテナ25が、無線リーダ部20(通信手段)と無線タグチップ40(内部タグ)とに接続可能に構成され、この接続状態を切り替える接続切替手段が設けられている。そして接続切替手段は、電源回路15による電力供給がオン状態のときにアンテナ25と無線リーダ部20(通信手段)とを接続状態とし、電源回路15による電力供給がオフ状態のときにアンテナ25と無線タグチップ(内部タグ)とを接続状態とするように構成されている。
この構成では、装置内に設けられたアンテナ25を、無線リーダ部20(通信手段)が通信を行う場合と無線タグチップ40(内部タグ)が通信を行う場合とに共用することができ、高機能化を実現しつつ、部品点数の削減及び装置構成の簡素化を図ることができる。特に、電源回路15による電力供給がオン状態のときに無線リーダ部20(通信手段)を使用し、オフ状態のときに無線タグチップ40(内部タグ)を使用するように、状態に応じた適切な使い分けを可能とすることができる。
【0051】
また、本実施形態では、複数種類の処理を実行可能な処理実行手段と、処理実行手段によって実行可能ないずれかの処理を特定する処理特定情報を所定領域に記憶した処理特定情報記憶手段とが設けられている。
そして、処理実行手段は、外部のタグリーダによる無線タグチップ40との無線通信及び指定情報の送信が検出手段によって検出されたことに応じて電源手段による電力供給がオン状態となった場合に、処理特定情報記憶手段の所定領域を読み出し、その読み出した処理特定情報に対応する処理を実行するように構成されている。
この構成によれば、所望の処理を特定する情報(処理特定情報)を所定領域に記憶しておくといった簡易な設定によって、起動の際(無線タグチップ40での通信に応じて端末が起動される際)に当該処理を実行することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態では、装置外への報知動作を行う報知手段と、報知手段の報知動作を制御する報知制御手段とが設けられている。そして、報知制御手段は、外部のタグリーダによる無線タグチップ40との無線通信及び指定情報の送信が検出手段によって検出されたことに応じて電源手段による電力供給がオン状態となった場合に、報知手段に報知動作を実行させるように構成されている。
この構成によれば、無線タグチップ40での通信に応じて端末が起動される際に外部に報知することができるため、外部に存在する者(例えば外部のタグリーダを操作する者)は、指定した無線タグリーダが存在する旨、及び当該無線タグリーダの位置をより確実に把握しやすくなる。
【0053】
また、本実施形態では、内部タグにおいて、登録パスワードを記録するパスワード記録手段と、認証手段と、書込手段と、出力手段とが設けられている。
そして、認証手段は、外部のタグリーダによって当該無線タグリーダを指定する指定情報が送信され、且つ外部のタグリーダから当該内部タグに対してパスワードが送信されたときに、当該パスワードとパスワード記録手段に記録された登録パスワードとに基づいて認証を行う構成をなしており、書込手段は、外部のタグリーダが当該内部タグに対してデータの書き込みを指示した場合において、認証手段による認証が成功している場合に、その指示されたデータの書込処理を行う構成をなしている。そして、出力手段は、書込手段によって書込処理が行われる場合に特定信号を出力するように構成されている。
そして、電源手段は、当該電源手段による電力供給がオフ状態となっている場合において、特定信号が出力されたときに、装置内への電力供給をオン状態に切り替えるように構成されている。
この構成では、電源オフ状態の無線タグリーダを外部のタグリーダによって起動させようとする場合、外部のタグリーダから正規のパスワードを送信しない限り認証が行われず、当該無線タグリーダを起動させることができないため、正規のパスワードを送信し得ないタグリーダからのアクセスを遮断することができる。従って、不正なタグリーダからの指示に応じた不正起動をより確実に防ぐことができ、セキュリティ性を強化することができる。
【0054】
また、本実施形態では、制御手段が設けられており、この制御手段は、電源手段による電力供給がオン状態となっている場合において、外部のタグリーダによる内部タグとの無線通信が検出手段により検出されたことを条件に特定処理を行うように構成されている。この構成では、無線タグリーダ内への電力供給がオフ状態のときだけでなく、オン状態の時にも、当該無線タグリーダを外部のタグリーダから動作させることができる。
【0055】
また、本実施形態では、内部タグにおいて、書込手段と、出力手段とが設けられ、書込手段は、外部のタグリーダが当該内部タグに対してデータの書き込みを指示した場合にデータの書込処理を行い、出力手段は、書込手段によって書込処理が行われる場合に特定信号を出力するように構成されている。
更に、検出手段は、出力手段から出力される特定信号を検出可能に構成され、制御手段は、電源手段による電力供給がオン状態となっている場合において、特定信号が出力されたときに、特定処理として書込手段によって書き込まれたデータを読み取る処理を行うように構成されている。
また、本実施形態では、電源手段による電力供給がオン状態となっている場合に、外部から内部タグに対して書き込まれたデータを読み取ることが可能となる。特に、内部タグで書込処理が行われる場合に特定信号が出力され、この特定信号の出力を条件として書き込まれたデータを読み取っているため、書き込みを常時監視しなくても適切な時期に読み取ることができるようになる。従って、全体的な処理時間を短縮化することができると共に省電力化を図ることができる。
【0056】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0057】
上記実施形態では、図1のような構成を例示したが、図9のような構成としてもよい。この例では、第1実施形態と同様に無線タグチップ40からの信号St(無線タグチップ40に書き込みがなされたことを示す信号)が制御部10に入力可能となっており、この信号Stが制御部10の割込み入力端子INTにも入力されるようになっている。この例では、電源がオン状態のときに外部のタグリーダから無線タグチップ40に対して書き込み処理が行われたときに、割込み入力端子INTに信号Stが入力されるようになっている。制御部10は、この信号Stが入力されたときに一律に特定処理(例えばブザーの鳴動等)を行うようにしてもよく、図7のような処理を行うようにしてもよい。図7の処理を行う場合は第1実施形態と同様であり、登録情報(図8)を参照し、無線タグチップ40のメモリ43に記憶された情報(外部のタグリーダによって書き込まれたデータ)に対応する処理を実行することになる。
【符号の説明】
【0058】
1…無線タグリーダ
10…制御部(検出手段、接続切替手段、処理実行手段、報知制御手段、制御手段)
11…メモリ(処理特定情報記憶手段)
13…ブザー(報知手段)
15…電源回路(電源手段)
16…バッテリ(電池)
20…無線リーダ部(通信手段)
25…アンテナ
40…無線タグチップ(内部タグ)
42…制御回路(認証手段、書込手段、出力手段)
43…メモリ(パスワード記録手段)
SW1…スイッチ(接続切替手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナを介して無線タグと無線通信を行う携帯型の無線タグリーダであって、
電池と、
前記電池に接続されると共に、前記電池から装置内の電子部品への電力供給をオン状態とオフ状態とに切り替え可能な電源手段と、
前記電源手段による電力供給が前記オン状態のときに動作する構成をなし、前記アンテナを介して装置外の無線タグと無線通信を行い得る通信手段と、
無線タグ機能を有すると共に、外部のタグリーダと通信可能に構成された内部タグと、
前記電源手段による電力供給が前記オフ状態のときに動作可能に構成され、前記外部のタグリーダによって前記内部タグに対する無線通信がなされ且つ前記外部のタグリーダによって当該無線タグリーダを指定する指定情報が送信されたことを検出する検出手段と、
を備え、
前記電源手段は、当該電源手段による電力供給が前記オフ状態である場合において、前記検出手段により、前記外部のタグリーダによる前記内部タグとの無線通信及び前記指定情報の送信が検出されたときに、装置内への電力供給を前記オン状態に切り替えることを特徴とする携帯型の無線タグリーダ。
【請求項2】
前記アンテナは、前記通信手段と前記内部タグとに接続可能に構成され、
前記電源手段による電力供給が前記オン状態のときに前記アンテナと前記通信手段とを接続状態とし、前記電源手段による電力供給が前記オフ状態のときに前記アンテナと前記内部タグとを接続状態とする接続切替手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の携帯型の無線タグリーダ。
【請求項3】
複数種類の処理を実行可能な処理実行手段と、
前記処理実行手段によって実行可能ないずれかの処理を特定する処理特定情報を所定領域に記憶した処理特定情報記憶手段と、
を備え、
前記処理実行手段は、前記外部のタグリーダによる前記内部タグとの無線通信及び前記指定情報の送信が前記検出手段によって検出されたことに応じて前記電源手段による電力供給が前記オン状態となった場合に、前記処理特定情報記憶手段の前記所定領域を読み出し、その読み出した前記処理特定情報に対応する処理を実行することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯型の無線タグリーダ。
【請求項4】
装置外への報知動作を行う報知手段と、
前記報知手段の報知動作を制御する報知制御手段と、
を備え、
前記報知制御手段は、前記外部のタグリーダによる前記内部タグとの無線通信及び前記指定情報の送信が前記検出手段によって検出されたことに応じて前記電源手段による電力供給が前記オン状態となった場合に、前記報知手段に報知動作を実行させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の携帯型の無線タグリーダ。
【請求項5】
前記内部タグは、
登録パスワードを記録するパスワード記録手段と、
前記外部のタグリーダによって当該無線タグリーダを指定する指定情報が送信され、且つ前記外部のタグリーダから当該内部タグに対してパスワードが送信されたときに、当該パスワードと前記パスワード記録手段に記録された前記登録パスワードとに基づいて認証を行う認証手段と、
前記外部のタグリーダが当該内部タグに対してデータの書き込みを指示した場合において、前記認証手段による認証が成功している場合に、その指示されたデータの書込処理を行う書込手段と、
前記書込手段によって前記書込処理が行われる場合に特定信号を出力する出力手段と、
を備え、
前記電源手段は、当該電源手段による電力供給が前記オフ状態となっている場合において、前記特定信号が出力されたときに、装置内への電力供給を前記オン状態に切り替えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の携帯型の無線タグリーダ。
【請求項6】
前記電源手段による電力供給が前記オン状態となっている場合において、前記外部のタグリーダによる前記内部タグとの無線通信が前記検出手段により検出されたことを条件に特定処理を行う制御手段を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の携帯型の無線タグリーダ。
【請求項7】
前記内部タグは、
前記外部のタグリーダが当該内部タグに対してデータの書き込みを指示した場合にデータの書込処理を行う書込手段と、
前記書込手段によって前記書込処理が行われる場合に特定信号を出力する出力手段と、
を備え、
前記検出手段は、前記出力手段から出力される前記特定信号を検出可能に構成され、
前記制御手段は、前記電源手段による電力供給が前記オン状態となっている場合において、前記検出手段により前記特定信号が検出されたときに、前記特定処理として前記書込手段によって書き込まれたデータを読み取る処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の携帯型の無線タグリーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−209835(P2012−209835A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75084(P2011−75084)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】