説明

携帯型保温容器

【課題】
本発明は、携帯性に優れ、軽量で保温力に優れ、繰り返し容易に開閉することができ、さらに取り扱いに優れた携帯型保温容器を実現することを課題とする。
【解決手段】
携帯型保温容器は、容器本体と少なくとも1つの蓋部を有し、容器本体の開口部に蓋部を装着して形成される収容部空間が外部空間と熱的に遮断され、携帯型保温容器が熱源を収容する熱源収容部を有し、熱源として、昇華もしくは化学反応による保冷剤、化学反応による発熱剤、または蓄熱部材を使用することができ、収容部空間と熱源収容部との間には熱拡散部材が介在して、熱源収容部と収容部空間との間で、熱拡散部材を介して熱エネルギーが伝達される構成を有することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料等を所望の低温または高温状態に保って携行するための携帯型保温容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炎天下、ペットボトル入りの飲料等を低温状態に維持しつつ携行する場合には、飲料を例えば金属製二重真空容器等に詰め替えて携行することが考えられる。しかしこうした容器は、飲料の収容容量に対し大きく重いこと、且つ詰め替えが煩わしいことが否めない。そこで昨今、例えば断熱シート等からなる保温袋にペットボトルを入れて携行することが行われるようになってきた。
【0003】
しかしこうした保温袋は、保冷力が弱いため飲料の温度上昇を和らげるにすぎない。例えば冷えたペットボトル入り飲料を保温袋で携行しても、長時間にわたって飲料を冷たい状態に維持することができない。もちろんアイスクリーム等の冷菓を、保温袋を用いて低温に保つことは不可能である。こうしたことは、温かい飲料等を携行する場合についても同様である。
【0004】
冷菓や冷凍食品等については、これらを氷点下の雰囲気下で運搬等するために、断熱性に優れたプラスティック等の断熱保温容器にドライアイス等の保冷剤とともに収容することが行なわれている。こうした用途のために、断熱材料を備えたケースと、断熱材で覆われてドライアイス等とその冷熱をケース内に適度に拡散するディフューザーを備えた断熱容器が考案された(特許文献1)。飲料等を暖かい状態に維持しつつ携行する場合についても同様であり、ケース本体の少なくとも底部に発熱体を配設した保温ケースが考案された(特許文献2)。いずれも熱源(冷熱源あるいは暖熱源)を運搬用の断熱ケース内に収容して、冷熱あるいは暖熱を断熱ケースの内部に伝達するものといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3988119号公報
【特許文献2】特開2001−149233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように断熱シート等からなる保温袋では、飲料等を長い時間にわたって低温状態あるいは暖かい状態に保つことができない。
【0007】
また、ドライアイス等の保冷剤等を用いる運搬用のケースは、運搬等を目的とするものであって携行を目的とするものではないから、人が携行するために求められる利便性や取り扱いの容易さを備えていない。例えば保温容器で飲料等を携行するためには、当該保温容器が小型・軽量で、その開閉を容易にかつ繰り返し行うことができなければならず、当該保温容器の開閉に伴って生じ得る保冷剤の冷熱等の損失を、保冷剤の補充等で補えることが好ましい。
【0008】
これに対し、運搬等を目的とする保冷断熱容器では、運搬時間短縮、貨物としてデッドスペースを生じない形状、ダンボール等の材料費低減とリサイクル等が求められ、容器の封止・開封の繰り返しや、保冷剤の補充の機能が求められることはない。もちろん人による携行(携帯)の要求に応える必要もない。このことは発熱体を用いて暖かい状態を維持する保温ケースについても同様である。
【0009】
そこで本発明は、取り扱いや開閉が容易で、携帯性、保温力に優れ、好ましくは保冷剤等の熱源を容易に補充できる携帯型保温容器を実現することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る携帯型保温容器(請求項1)は、容器本体と少なくとも1つの蓋部を有して繰り返し開閉することができ、容器本体の開口部に蓋部を装着して形成される収容部空間が外部空間と熱的に遮断され、携帯型保温容器が熱源を収容する熱源収容部を有する簡便な構成とした。
【0011】
そして熱源収容部には、昇華もしくは化学反応による保冷剤、化学反応による発熱剤、または蓄熱部材(例えば比熱の大きい部材)が収容されるようになっており、収容部空間と熱源収容部との間には熱拡散部材が介在して、収容部空間と熱源収容部に収容された熱源との間で、熱拡散部材を介して熱エネルギーが伝達されるようになっている。
【0012】
従って、該携帯型保温容器では、収容部空間に例えばドライアイスを収容すれば、ドライアイスの冷熱が熱拡散部材を介して収容部空間に伝達されて、収容部空間に収容された飲料等(収容物)を低温状態に維持することができる。また熱源収容部に発熱剤を収容した場合には、その暖気が熱拡散部を介して収容部空間に伝達されて、収容物を暖かい状態に維持することができる。
【0013】
ここで、熱源として、昇華もしくは化学反応による保冷剤、化学反応による発熱剤、または蓄熱部材を使用することで、外部からの電力等のエネルギー供給を不要としたから、携帯に便利である。またドライアイス等は溶けて水となることもないから、そして化学反応による保冷、発熱剤および比熱の大きい蓄熱部材等はいずれもパッケージ化等されているから、取り扱いが便利である。
【0014】
さらに熱源収容部が開閉する構造を有していれば(請求項2)、保冷剤または発熱剤を交換もしくは補充等することができて、収容物を長時間、所望の状態に保温することができる。蓋部を容器本体から取り外すことなく、熱源収容部の開閉が可能ならば、収容部空間を開放することなく保冷剤等を交換・補充できるから、収容物をさらに長時間、所望の状態に保温することができる。
【0015】
熱源収容部は蓋部に設けられていてもよく(請求項3)、あるいは容器本体に設けられていてもよい(請求項4)。そして容器本体が有底容器(例えば外形が略円柱形状の有底容器)であれば、蓋を開閉することで収容部空間にペットボトル入り飲料等を容易に出し入れすることができる(請求項5)。
【0016】
収容部空間の少なくとも一部における径が他の箇所における径よりも小さい携帯型保温容器(請求項6)では、収容部空間に収容物を収容したときに、収容部空間の内周壁面と収容物の胴部の周面との間に通気路を形成することが可能となる。例えば収容部空間が、その底部において縮径しているときには、底部より上側の収容部空間において、収容物の胴部周面の近傍に通気路が形成されて、対流が生じやすくなる。
【0017】
収容部空間の少なくとも一部におけるラジアル方向の断面において、容器本体の内周壁面に凸部が形成された携帯型保温容器(請求項7)では、収容部空間に収容物を収容したときに、容器本体の内周壁面の凸部のすべてが収容物と接していても、少なくとも凸部以外の部分(凹部を形成している部分)が通気路を形成する。従って、熱拡散部材を介して伝達された熱エネルギーは、通気路で生じる対流で、効率よく収容物に伝達される。
【0018】
ここで、熱拡散部材が通気孔を有していれば(請求項8)、熱源収容部に収容された熱源と収容部空間との間で、熱伝導および対流による熱エネルギーの伝達がより効率よく行われる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る携帯型保温容器は、外部から電気等のエネルギーを供給することなく保冷等することができ、保冷剤等の熱源を容易に交換等でき、氷を用いた場合のような水の後始末の必要もないから取り扱いに優れており、また構造が簡便で小型化・軽量化が可能で開閉も容易だから携行に適している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例に係る携帯型保温容器の外観斜視図である。
【図2】図1に示す携帯型保温容器の断面概略構成を示す図である。
【図3】図1に示す携帯型保温容器が有する蓋部の断面概略構成を示す図である。
【図4】図1に示す携帯型保温容器が有する蓋部の一変形例における断面概略構成を示す図である。
【図5】図1に示す携帯型保温容器が有する蓋部の他の変形例における断面概略構成を、容器本体とともに示す図である。
【図6】図1に示す携帯型保温容器が有する熱拡散部材の変形例を示す図である。
【図7】図1に示す携帯型保温容器が有する胴部断熱部材および底部断熱部材の変形例を示す図である。
【図8】図1に示す携帯型保温容器が有する胴部断熱部材の変形例を示す図である。
【図9】本発明の他の実施例(実施例2)における携帯型保温容器の容器本体底部側の断面概略構成を示す図である。
【図10】本発明他の実施例(実施例3)における携帯型保温容器の容器本体底部側の断面概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明に係る携帯型保温容器を説明する。
【実施例1】
【0022】
(携帯型保温容器について)
図1は、本発明の一実施例に係る携帯型保温容器の外観の斜視図であり、図2はその断面概略構成を示す図であり、図3はその蓋部の断面概略構成を示す図である。図1に示すように、携帯型保温容器10は、有底形状を有する容器本体20および容器本体20の開口部21に装着される(矢印A)蓋部30を有している。
【0023】
図2に示すように、容器本体20は、いずれも例えばプラスティック等からなる胴部22(略円筒形状)および底部23を有している。胴部22および底部23の内部側には、例えば発泡スチロール等で一体的に形成された胴部断熱部材22aおよび底部断熱部材23aが接するように配設されて、それらの内側に形成された収容部空間24(略円柱形状の空間)を容器本体20の外部空間と熱的に遮断できるようになっている。なお容器本体20は、例えば胴部22と底部23とが分割可能に構成されて、胴部断熱部材22aおよび底部断熱部材23aを胴部22に挿入した後、底部23でこれらを塞いで形成される構成とすることもできる。
【0024】
図3に示すように蓋部30は、いずれも例えばプラスティックから形成された栓部31、蓋胴部32および天井部33を有しており、蓋胴部32および天井部33が有底円筒形状(天井部33が底部側となる)をなしている。かかる蓋部30は、栓部31側で容器本体20の開口部21を塞ぐようになっている。
【0025】
蓋胴部32および天井部33の内部には、蓋胴部断熱部材32aおよび天井部断熱部材33aが接するように配設されて、更にそれらの内部側に熱源収容部34(略円柱形状の空間)が形成されている。図3に示すように熱源収容部34は、栓部31側で開口しており、熱拡散部材11を栓部31の内部側にねじ込むことで、その開口を塞ぐことができる(矢印B)。熱拡散部材11は、適度な熱伝導性を有するプラスティックや、良好な適度な熱伝導性を有する金属などで形成される。
【0026】
図2に示すように、蓋部30の熱源収容部34に熱源12(例えば冷熱源であるドライアイス)を収容して熱拡散部材11で塞いだ後、蓋部30を容器本体20の開口部21に装着する。そうすると外部空間から熱的に遮断された収容部空間24には、熱拡散部材11の熱伝導、および収容部空間24内における空気の対流によって、熱源12の冷熱が伝達され拡散される。
【0027】
ここで蓋部30の装着は、例えば蓋部30の栓部31を容器本体20の開口端部21aに挿入した後、図示しない例えばバックル等で蓋部30を容器本体20に連結することで行なわれ、あるいは蓋部30の栓部31と容器本体20の開口端部21aとを例えばネジ部によって連結することで行なわれる。
【0028】
また携帯型保温容器10は、その収容部空間24を、例えば、ペットボトル入り飲料を収容できるサイズのものや、アイスクリーム等の冷菓を複数積み重ねて収容できるサイズのものに合わせて、携帯に便利な形状・大きさ等を種々定めることができる。
【0029】
(保温について)
かかる携帯型保温容器10に、冷菓またはペットボトル入り飲料を収納し、熱源12としてドライアイスを用いれば、冷菓を氷点下の温度に維持することができ、あるいはペットボトル入り飲料を低温に維持することができる。ドライアイスは昇華することで低温を維持して、氷のように解けて水になったとき等の後始末の手間がないから、携帯型保温容器10は取り扱いに優れている。
【0030】
また蓋部30の熱拡散部材11を簡単に取り外すことができるから、ドライアイスを補充することで長時間にわたって収容物を低温状態に維持することができる。昨今、コンビニエンス・ストアー等でペレット状のドライアイスを購入することができるから、消費者は、行楽などの際に携帯型保温容器10を用いれば、行楽先におけるドライアイスの補充で、冷菓を長時間にわたって低温保存することができる。あるいは熱源12として例えば化学反応による発熱剤を用いることで、ペットボトル入りのお茶などを暖かい状態に維持することもできる。
【0031】
また家庭内において短時間の保温を目的とするときには、比熱の比較的大きい金属等を冷却あるいは加熱して熱源とすることができる。このように携帯型保温容器10は、用途に応じて熱源を使い分けできる点においても優れている。
【0032】
(蓋部の変形例1)
図4は蓋部30の変形例である蓋部30Aの概略構成を示す図である(蓋部30と蓋部30Aは互換性を維持できる)。ここで蓋部30と同一の機能を有する構成要素には同一符号を付して、それらの説明を省略する。蓋部30Aの蓋胴部は、天井部33側の第1胴部32xと、栓部31側の第2胴部32yとに分離可能に構成されている。熱源収容部34は、第1胴部32xと栓部31側の第2胴部32yとを、例えば両者のネジ部(図示しない)によって連結することで一体的に形成される(矢印C)。
【0033】
かかる蓋部30Aは、熱源収容部34にドライアイス等の熱源12を収容することはもとより、容器本体20の開口部21を塞いだ状態で(収容部空間24を外部空間から熱的に遮断した状態で)ドライアイス等の熱源12を補充等することができるから、収容物をさらに長時間にわたって低温状態に維持・保管することを可能とする。
【0034】
(蓋部の変形例2)
図5は蓋部30の変形例である蓋部30Bの概略構成を、容器本体20とともに示す図である。蓋部30Bは、ヒンジ13によって容器本体20の胴部22と連結されて、容器本体20の開口部21を開閉することができる。ヒンジ13と相対する側では、蓋部30Bを図示しないバックルで容器本体20に係止することができる。蓋部30Bの熱源収容部34は、着脱可能な熱拡散部材11で塞がれて、ドライアイス等の熱源12を収容することができる。もちろん蓋部30Bを、蓋部30Aのように、その蓋胴部を天井部33側の第1胴部32xと、栓部31側の第2胴部32yとに分離可能に構成することもできる。
【0035】
(熱拡散部材の変形例)
熱拡散部材11は、孔無しの円盤形状に形成されたものであってもよいが、図6(a)に示すように、円盤形状の熱拡散部材11Aの周縁近傍に、直径方向の細いスリット11sを多数設けてもよい。かかるスリット11sは、熱拡散部材11Aの周縁近傍において、収容部空間24と熱源収容部34との間の通気孔となって、収容部空間24に収容された例えばペットボトルの胴部の周面に対流を生じさせるから、冷却効果が促進される。もちろん熱拡散部材11Aのスリット11s以外における領域では、冷熱が熱伝導によって収容部空間24に伝達される。
【0036】
あるいは、図6(b)に示すように、円盤形状の熱拡散部材11Bのほぼ全容域を網目状に形成してもよい。そうすると多数の網目11mが収容部空間24と熱源収容部34との間の通気孔となって、熱源12(例えばドライアイス)の冷熱が収容部空間24に導かれるから、冷却効果が促進される。
【0037】
(胴部等の変形例1)
図7は容器本体20の胴部22および底部23における、胴部断熱部材22aおよび底部断熱部材23aの変形例を示す図である。胴部断熱部材22aの内周壁面22bの内径は、大部分の領域においてdとなっている(収容部空間24の直径は大部分の領域においてdとなっている)。しかし底部断熱部材23aの近傍では、内周壁面22bの直径が徐々に縮径し、底部断熱部材23aの表面23bにおいてd1まで縮径している。
【0038】
かかる収容部空間24に直径d以下のペットボトル1を収容すると、内周壁面22bの直径が縮径した領域にペットボトルの底部が位置づけられて、ペットボトル1の胴部外周面と胴部断熱部材22aの内周壁面22bとの間に通気路24aが形成される(図7)。かかる通気路24aは、円筒形状をなして蓋部30側で熱拡散部材11と接するから、蓋部30の熱源収容部34に収容された熱源12(例えばドライアイス)による冷気等が、通気路24aに生じる対流によってペットボトル1に効率よく伝達される(ペットボトル1に収容された飲料が効率よく冷却等される。)。
【0039】
(胴部等の変形例2)
図8は、容器本体20の胴部22の少なくとも一部において、胴部断熱部材22aの内周壁面22b(容器本体の内周壁面であり、その直径はdである)に4つの凸部22cを設けた場合の胴部断面構成の一例を示す図である(図8は、例えば図5に示す容器本体20の胴部22のX−X線における断面構成を開口部21側から見た例を示す図である)。ここで各凸部22cの各頂点22dを結ぶ仮想の円(2点鎖線の円)の直径をd2として、容器本体20の収容部空間24に、直径がd2より僅かに小さいペットボトル等を収容すると、ペットボトル等の胴部外周面と胴部断熱部材22aの内周壁面22bとの間に4つの通気路24bが形成される。
【0040】
こうして容器本体20の胴部22の少なくとも一部において、通気路24bを形成することによって、収容部空間24の上部側(蓋部30の熱拡散部材11と接する側)と収容部空間24の底部側(底部断熱部材23a側)との間で対流を生じさせて、収容物を効率よく冷却等することができる。
【実施例2】
【0041】
図9は、本発明に係る携帯型保温容器の他の実施例(実施例2)における容器本体20Aの、底部23X側の断面概略構成を示す図である。容器本体20Aは、底部23X側にも熱源を収容するための熱源収容部25を有する点において、携帯型保温容器10の容器本体20と相違する。なお実施例1と同一の機能を有する構成要素には同一符号を付して、それらの説明を省略する。
【0042】
容器本体20Aの胴部22Xは、その底部側に底部開口部21bを有している。底部開口部21bから距離Lのところで、胴部断熱部材22aの内部が熱拡散部材11Xによって仕切られている。胴部22Xの底部開口部21bを底部23Xで塞ぐと(図9、矢印D)、胴部22Xの底部23X側において熱源収容部25が形成される(熱源収容部25と収容部空間24の間に熱拡散部材11Xが介在した状態で、底部23Xの内部に配設された底部断熱部材23aと胴部22Xの胴部断熱部材22aとで、外部空間と熱的に遮断された熱源収容部25が形成される)。
【0043】
かかる容器本体20Aを有する携帯型保温容器では、その底部23X側に設けられた熱源収容部25に収容された熱源によっても収容物を低温状態等に保温・維持することができるから、例えば更なる低温状態での保存(例えば氷点下での保存)、あるいは更なる長時間の保存が可能となる。また収容部空間24を開放することなく、熱源収容部25に収容した熱源の補充を行うことができから、保温容器として優れている。
【0044】
もちろん蓋部30に熱源収容部34を設けず、容器本体20の底部23Xの内部に設けた熱源収容部25の熱源だけで収容物の保温を行うこともできる。
【実施例3】
【0045】
図10は、本発明に係る携帯型保温容器の他の実施例(実施例3)における容器本体20Bの底部側の断面概略構成を示す図である。容器本体20Bは底部側にも底部側蓋部40を有する点において、携帯型保温容器10の容器本体20と相違する。なお実施例1および2と同一の機能を有する構成要素には同一符号を付して、それらの説明を省略する。
【0046】
底部側蓋部40は、いずれも例えばプラスティックから形成された蓋底部41、蓋胴部42および栓部43を有しており、蓋底部41および蓋胴部42が有底円筒形状をなし、この有底円筒形状の開口側に栓部43が位置づけられている。かかる底部側蓋部40は、栓部43側で容器本体20Bの底部開口部21bを塞ぐようになっている(矢印E)。
【0047】
蓋底部41および蓋胴部42の内部には、蓋底部断熱部材41aおよび蓋胴部断熱部材42aが接するように配設されて、それらの内部側に熱源収容部44(略円柱形状の空間)が形成されている。
【0048】
図10に示す熱源収容部44では、栓部43側に配設された熱拡散部材11Yは、栓部43の内部側にねじ込む等することで着脱可能に取りつけられている。この熱拡散部材11Yを取り外せば、熱源収容部44にドライアイス等の冷熱源等を入れることができる。
【0049】
かかる容器本体20Bを有する携帯型保温容器では、容器本体20Bの底部側に位置づけられた底部側蓋部40の熱源収容部44に収容された熱源によっても収容物を低温状態に保温・維持することができるから、例えば更なる低温状態での保存(例えば氷点下での保存)、あるいは更なる長時間の保存が可能となる。また底部側蓋部40の熱源収容部44に収容した熱源だけで収容物の保温を行うこともできる。
【0050】
ここで熱拡散部材11Yを容器本体20B側に配設してもよい。このようになっていれば底部側蓋部40を容器本体20Bから取り外すことで、収容部空間24を熱拡散部材11Yで塞いだ状態で、熱源収容部44の熱源を補充等することができる。もちろん容器本体20Bに底部側蓋部40を装着すれば、熱源収容部44を密閉することができる。
【0051】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る携帯型保温容器は、冷菓や飲料等を低温状態等に維持して携行もしくは保管等することができる商品等として、これを製造・販売等することができるから、本発明は経済的価値を有するとともに産業上利用することができる発明である。
【符号の説明】
【0053】
10 携帯型保温容器
11、11A、11B、11X、11Y 熱拡散部材
11m 通気孔(熱拡散部材の網目)
11s 通気孔(熱拡散部材のスリット)
12 熱源
20、20A、20B 容器本体
21 開口部
21b 開口部(底部開口部)
22 胴部
22b 容器本体の内周壁面(胴部断熱部材の内周壁面)
22c (収容部の壁部に形成された)凸部
24 収容部空間
25、34、44 熱源収容部
30、30A、30B 蓋部
40 蓋部(底部側蓋部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と少なくとも1つの蓋部を有する携帯型保温容器において、
前記容器本体の開口部に前記蓋部を装着して形成される収容部空間が外部空間と熱的に遮断され、
前記携帯型保温容器が熱源を収容する熱源収容部を有し、
前記熱源として、昇華もしくは化学反応による保冷剤、化学反応による発熱剤、または蓄熱部材を使用することができ、
前記収容部空間と前記熱源収容部との間には熱拡散部材が介在して、
熱源収容部と前記収容部空間との間で、熱拡散部材を介して熱エネルギーが伝達されることを特徴とする携帯型保温容器。
【請求項2】
前記熱源収容部が開閉可能に構成されて、
前記保冷剤または前記発熱剤を交換することができることを特徴とする請求項1に記載の携帯型保温容器。
【請求項3】
前記蓋部に熱源収容部を有することを特徴とする
請求項1または2に記載の携帯型保温容器。
【請求項4】
前記容器本体に熱源収容部を有することを特徴とする
請求項1または2に記載の携帯型保温容器。
【請求項5】
前記容器本体が有底容器であることを特徴とする
請求項3または4に記載の携帯型保温容器。
【請求項6】
前記収容部空間が柱状空間であり、
収容部空間の少なくとも一部における直径が他の箇所における直径よりも縮径していることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の携帯型保温容器。
【請求項7】
前記収容部空間が柱状空間であり、
前記収容部空間の少なくとも一部における、ラジアル方向の断面において、前記容器本体の内周壁面に凸部が形成されたことを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の携帯型保温容器。
【請求項8】
前記熱拡散部材が通気孔を有することを特徴とする請求項3ないし7のいずれか1項に記載の携帯型保温容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−250739(P2012−250739A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124546(P2011−124546)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(510203784)株式会社薬膳壷焼本舗五行 (3)
【Fターム(参考)】