説明

携帯型情報処理装置

【課題】この発明は、本体部と蓋体部とが表裏反転可能に連結され、蓋体部に設けられた副入力装置による入力も可能とした携帯型情報処理装置において、簡易な構造により、蓋体部が反転したときに本体部に備えられた主入力装置による入力を排除し、蓋体部に備えられた副入力装置からのみ入力が可能となるようにすることを課題とするものである。
【解決手段】この発明は、主入力装置6を備えた本体部1と、副入力装置7を備えた蓋体部3とよりなり、前記本体部1と蓋体部3とはヒンジ機構により表裏反転可能に連結され、前記主入力装置6と副入力装置7とは閉蓋時に対向する面に配設された装置において、前記本体1部と蓋体部3とに、共同して作動する磁気スイッチ12を装着し、前記磁気スイッチ12により、蓋体部の反転時に主入力装置6からの入力回路がOFFとなるようにして携帯型情報処理装置を構成するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、本体部と蓋体部とが表裏反転可能に連結され、蓋体部に設けられた副入力装置による入力も可能とした携帯型情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、本体部と蓋体部とが表裏反転可能に連結され、蓋体部に設けられた副入力装置による入力も可能とした電子情報処理装置は提案されている。このような構成の装置においては、蓋体部を反転したときに本体部の主入力装置を誤って操作する場合があることから、蓋体部の反転時には主入力装置からの入力が排除されることが好ましい。
そして、以下の特許文献においては、蓋体部の回転角度に応じて入力制御を行うことが開示されている。
【特許文献1】特開2002−258982号公報
【0003】
上記公報には、ディスプレイパネルの本体部操作面に対する検出角度を検出するパネルセンサを装備し、システム制御設定部に予め設定回転角度とこれに対応するシステム制御の種別を登録しておき、パネルセンサが検出した回転角度を監視システムに送り、監視システムにおいてパネルセンサの検出角度がシステム制御設定部に予め登録された設定回転角度と一致するかを監視し、設定角度に対応してシステム制御設定部に登録されたシステム制御を実行すべくPCシステムを指令する技術が開示されている。
【0004】
上記技術によれば、詳細な条件設定、制御設定が可能であるが、プログラム回路を構成する必要があり、単に蓋体の反転時に主入力装置からの入力を不能とすることを目的とする場合にはオーバースペックであり、簡易な構成が望まれる。
【0005】
ディスプレーの回転と磁気スイッチとを関連づけた技術は、以下の特許文献に開示されている。
【特許文献2】特開2002−244764号公報
【0006】
上記公報には、本体部に入力装置を回転可能に取り付けた装置において、入力装置に磁石を、本体部に電磁スイッチをそれぞれ装着し、入力装置を回転したとき(入力時)に電磁スイッチの作動により電源がONとなるようにした技術が開示されている。
【0007】
上記技術は、本体電源のON,OFFに磁気スイッチを用いたものであり、入力装置の切替のための技術ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、本体部と蓋体部とが表裏反転可能に連結され、蓋体部に設けられた副入力装置による入力も可能とした携帯型情報処理装置において、簡易な構造により、蓋体部が反転したときに本体部に備えられた主入力装置による入力を排除し、蓋体部に備えられた副入力装置からのみ入力が可能となるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、主入力装置を備えた本体部と、副入力装置を備えた蓋体部とよりなり、前記本体部と蓋体部とはヒンジ機構により表裏反転可能に連結され、前記主入力装置と副入力装置とは閉蓋時に対向する面に配設された装置において、前記本体部と蓋体部とに、共同して作動する磁気スイッチを装着し、前記磁気スイッチにより、蓋体部の反転時に主入力装置からの入力回路がOFFとなるようにして携帯型情報処理装置を構成するものである。
前記「携帯型情報処理装置」には、パーソナルコンピュータ、電子手帳、電子辞書、電子学習機、携帯電話機など、キーボード、タッチパネルなどの入力装置を備えた携帯型機器を広く含むものである。
また、この発明において「反転」とは蓋体部が必ずしも360度回動する必要はなく、270度以上回動して本体部側に傾斜した状態を意味するものとする。また「ヒンジ機構」は必ずしも本体部と蓋体部とが直接連結された構造の他、アームなどを介して間接的に連結された構造も含むものである。
【0010】
主入力装置はキーボードとし、副入力装置はディスプレイパネルに設けられたタッチパネルとした構成(請求項2)の他、主入力装置、副入力装置共にディスプレイパネル又はキーボードである場合いずれもこの発明に含まれる。
前記磁気スイッチは、磁石とホールICとの組合せ(請求項3)とすることにより、高い切り替え精度を得ることができるが、リードスイッチを用いてよい。要は蓋体部の回動による本体部と蓋体部との位置関係の変化を磁気により検知し、主入力装置の回路がON/OFFされる構成であればよい。
したがって、磁気スイッチの装着位置も上記作用が得られる限り制約はない。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、本体部を水平に載置して蓋体部を本体部に対して傾斜させて立ち上がらせた状態では、本体部に設けられたキーボードなどの入力装置により情報を入力することができる。そして、蓋体部を反転させて蓋体部の入力装置を使用しようとするときには、磁気スイッチの作動により本体部の入力装置からの入力は規制される。したがって、この発明の装置を手に持って、蓋体部の入力装置を使用するときに本体部の入力装置に指が触れても、入力されず、誤入力のおそれは解消する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
方形盤体とした本体部1の一方の長縁部1aの両側に連結支持杆2,2aが突設してあり、他方前記本体部1と同じく方形盤体とした蓋体部3の一方の長縁部3aの両側に連結支持杆4,4aが突設してあり、平面長方形の連結盤5の両側が前記連結支持杆2,2a及び連結支持杆4,4aに回動自在に取り付けてあり、前記連結板5によって本体部1と蓋体部3とは回動自在に連結されている。
【0013】
前記本体部1の裏面(閉じたときに隠れる面)にはキーボード6が配設してあり、前記蓋体部3の裏面(閉じたときに隠れる面)にはディスプレイパネル7が配設してあり、このディスプレイパネル7にはタッチセンサが装着してあり、タッチパネル入力が可能としてある。また、図中符号8,9に示すようにボタン式の入力装置も適宜配設してある。
【0014】
前記本体部1に内装された基板の前記長縁部1a側には、ホールIC10が取り付けてあり、他方前記蓋体3の前記長縁部3a側には、前記ホールICに対応する位置に磁石11が内装してある。
前記ホールIC10と磁石11とで構成された磁気スイッチ12は、図3のように回路構成され、本体部1を水平に保持して蓋体部3を本体部に対して斜めに立ち上げた状態においては、キーボード6からの入力及び蓋体のディスプレイパネル7からの入力を可能とし、蓋体部3を反転させてホールIC10と磁石11とが近接したときにはキーボード6からの入力が規制され、ディスプレイパネル7など蓋体3の入力装置からの入力のみが許容されるようにしてある。
【0015】
図3において、ホールIC10と磁石11とで構成された磁気スイッチ12がON状態のときには、ゲート1から入力された入力電源Vsはゲート2からOpen Drain Voltage Qとして出力され、キーボードは不稼働となる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
この発明によれば、蓋体部を反転して蓋体部裏面に設けられたディスプレイパネルその他から入力しようとする時には磁気スイッチの作動により本体部のキーボードなどからの入力が規制される。したがって、蓋体部を反転し本体部に手をあてがって支持する際にキーボードなどに指が触れても入力されない。よって、本体部の入力装置からの誤入力に気を使うことなく装置をしっかりと把持し、蓋体部から入力することができる。
このように、この発明によれば磁気スイッチを装着するという簡易な構成により、蓋体部を反転したときの入力操作性を向上することができ、産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明実施形態の蓋体部を開いた状態の斜視図
【図2】同じく蓋体部を反転したときの使用状態の斜視図
【図3】同じく磁気スイッチの回路図
【0018】
1 本体部
2,2a 連結支持杆
3 蓋体部
4,4a 連結支持杆
5 連結盤
6 キーボード
7 ディスプレイパネル
8、9 ボタン式入力装置
10 ホールIC
11 磁石
12 磁気スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主入力装置を備えた本体部と、副入力装置を備えた蓋体部とよりなり、前記本体部と蓋体部とはヒンジ機構により表裏反転可能に連結され、前記主入力装置と副入力装置とは閉蓋時に対向する面に配設され、
前記本体部と蓋体部とに、共同して作動する磁気スイッチが装着され、
前記磁気スイッチにより、蓋体部の反転時に主入力装置からの入力回路がOFFとなるようにした、
携帯型情報処理装置
【請求項2】
主入力装置はキーボードとし、副入力装置はディスプレイパネルに設けられたタッチパネルとした、請求項1記載の携帯型情報処理装置
【請求項3】
磁気スイッチは、磁石とホールICとの組合せとした、請求項1又は2に記載の携帯型情報処理装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−164493(P2007−164493A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360177(P2005−360177)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(591121498)株式会社ベネッセコーポレーション (30)
【Fターム(参考)】