説明

携帯型放送受信装置

【課題】 視聴制限を可能とする携帯型放送受信装置を提供する。
【解決手段】 システムコントローラ13は、前記メモリ14に格納した番組情報の中に前記視聴制限用のワード(文字列)が存在するかどうかを判断する。そして、前記視聴制限用のワードを前記番組情報の中に有する番組は視聴制限番組であると判断する。更に、視聴制限番組であると判断された番組については視聴要求(チャンネル選択)があっても番組映像出力を制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、TV機能付の携帯電話などの携帯型放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地上波ディジタル放送を受信するディジタル放送受信装置は、地上波アンテナを通して受け取った複数の放送波のなかから任意の放送波をディジタルチューナによって選択し、この選択した放送波に含まれる複数のチャンネルのなかから任意のチャンネルをデマルチプレクス処理によって選択し、この選択したチャンネルのディジタル信号を取り出し、これをデコードすることによって映像及び音声信号を出力する。
【0003】
ところで、地上波ディジタル放送を受信することができるTV機能付の携帯電話が開発されている。また、近年、携帯電話を低年齢者が所持することも多くなっている。
【0004】
なお、アナログ放送における受信規制の方法として、例えばマクロビジョン方式のように同期信号間に規制信号を重畳しておき、受信装置側で前記規制信号を検出して視聴制限を行う方法がある。また、ディジタル放送における視聴制限の方法としては、規制情報を番組情報(PSI/SI)内に記述し、受信装置は前記番組情報から前記規制情報を取り出して視聴制限を行う方法がある(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2004−7514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
TV機能付の携帯電話を低年齢者が持つと、自由に放送番組を視聴することが可能になってしまい、低年齢者にとって相応しくない内容の番組や相応しくない時間帯の番組を低年齢者が親の監視を逃れて見てしまうことが予想される。勿論、このようなことは、電話機能を持たない携帯型放送受信装置を低年齢者に買い与えた場合にも起こることである。
【0006】
この発明は、上記の事情に鑑み、視聴制限を可能とする携帯型放送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の携帯型放送受信装置は、上記課題を解決するために、受信した放送波から番組情報を取り出す手段と、管理者が設定した情報を登録する管理者情報登録手段と、前記管理者によって設定された視聴制限用のワードを番組情報の中に有する番組は視聴制限番組であると判断する手段と、視聴制限番組であると判断された番組については視聴要求があっても番組映像出力を制限する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
ここで、低年齢者にとって相応しくない暴力的な内容の番組だからといって、その番組情報の中に「暴力」といったワードが必ず存在するわけではないが、仮に、管理者が視聴制限用のワードとして「暴力」を登録しており、前記番組情報の中に「暴力」といったワードが存在していれば、当該番組の視聴を制限することができることになる。
【0009】
上記構成の携帯型放送受信装置において、前記視聴制限用のワードを番組情報の中に有する番組であっても、特定のジャンル又は前記管理者により許可されているジャンルの番組である場合には、視聴制限番組ではないと判断するように構成されていてもよい。例えば、上記ジャンルとして「ニュース」を設定しておくことにより、このニュースの番組情報の中に「暴力」といったワードが存在していても、当該ニュースを視聴することが可能になる。
【0010】
また、この発明の携帯型放送受信装置は、受信した放送波から番組情報を取り出す手段と、管理者が設定した情報を登録する管理者情報登録手段と、前記管理者によって設定された時間帯内の放送日時情報を番組情報の中に有する番組は視聴制限番組であると判断する手段と、視聴制限番組であると判断された番組については視聴要求があっても番組映像出力を制限する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
上記構成であれば、携帯型放送受信装置の時計に対する不正操作で視聴制限が実質的に解除されてしまうといった事態を防止することができる。
【0012】
また、この発明の携帯型放送受信装置は、受信した放送波から番組情報を取り出す手段と、管理者が設定した情報を登録する管理者情報登録手段と、前記番組情報の中の現在時刻を示す情報が前記管理者によって設定された時間帯内の時間を示しているときには視聴制限時間帯であると判断する手段と、視聴制限時間帯内では視聴要求があっても番組映像出力を制限する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
上記構成であれば、携帯型放送受信装置の時計に対する不正操作で視聴制限が実質的に解除されてしまうといった事態を防止することができる。
【0014】
これら構成の携帯型放送受信装置において、携帯電話機能を備えていてもよい。
【0015】
これら構成の携帯型放送受信装置において、前記管理者が設定した情報にアクセスするためには暗証番号の入力が要求されるように構成されているのがよい。
【0016】
これら構成の携帯型放送受信装置において、視聴制限番組又は視聴制限時間帯の番組に対して視聴要求がなされた場合に、視聴制限されている旨のメッセージを表示するように構成されていてもよい。
【0017】
これら構成の携帯型放送受信装置において、電子番組ガイド上の視聴制限番組又は視聴制限時間帯の番組の欄に、視聴制限されていることを示す表示を行うように構成されていてもよい。かかる構成において、管理者が設定した情報として制限解除用パスワードが登録できるように構成されており、前記電子番組ガイド上で視聴制限番組又は視聴制限時間帯の番組が選択された状態で前記制限解除用パスワードが入力された場合に視聴制限解除を行うように構成されていてもよい。
【0018】
これら構成の携帯型放送受信装置において、受信した番組を録画する録画手段を備え、視聴制限番組又は視聴制限時間帯の番組については、録画要求がなされても、前記録画手段による録画を実行しないように構成されていてもよい。かかる構成において、前記録画を実行しない場合には、録画が実行されない旨のメッセージを表示するように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、現行のディジタル放送規格の範囲内で、当該放送から得られる番組情報に基づいて番組視聴制限をかけることができ、低年齢者にとって相応しくない内容の番組や相応しくない時間帯の番組を低年齢者が視聴してしまうといった事態を防止できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態の携帯型放送受信装置を図1乃至図3に基づいて説明する。
【0021】
アンテナ1は地上ディジタル放送を受信し、受信した信号を地上波ディジタルチューナ2に与える。
【0022】
地上波ディジタルチューナ2は、映像音声データを含む高周波ディジタル変調信号のうちから特定周波数の信号を取り出す。また、地上波ディジタルチューナ2は、復調回路、逆インタリーブ回路、誤り訂正回路などを備え、選択したディジタル変調信号を復調してトランスポート・ストリームを出力する。
【0023】
デマルチプレクサ(DEMUX)3は、前記トランスポート・ストリームを、MPEG2(Moving Picture Experts Group2)のビデオストリーム、オーディオストリーム、及びPSI/SI(Program Specific Information/Service Information)などに分離する。デマルチプレクサ3は、ビデオストリームとオーディオストリームをAVデコーダ4に供給し、PSI/SIや放送情報等をシステムコントローラ13に供給する。
【0024】
AVデコーダ4は、ビデオストリームに対してデコードを行うビデオデコーダ、及びオーディオストリームに対してデコードを行うオーディオデコーダを備える。ビデオデコーダは、入力された可変長符号を復号して量子化係数や動きベクトルを求め、逆DCT変換や動きベクトルに基づく動き補償制御などを行う。オーディオデコーダは、入力された符号化信号を復号して音声データを生成する。デコードにより生成された映像データはグラフィックスコントローラ5に出力され、音声データは音声処理回路6に出力される。
【0025】
グラフィックスコントローラ5はAVデコーダ4から供給された映像データに対して各種の映像処理を行う。例えば、システムコントローラ13から出力指示された文字情報や色情報に基づく映像データを生成するとともに、この映像データをAVデコーダ4から出力される受信映像データに組み込む処理(オンスクリーンディスプレイ(OSD)処理)を行う。このオンスクリーンディスプレイ処理により、EPG(電子番組ガイド)画面、メニュー画面や各種設定画面などの表示が行えることになる。前記電子番組ガイドで表示する内容(番組情報)は、前記SI(SDT,EIT,BIT,TOT)におけるEIT(Event Information Table )から取り出すことができる。前記EITには番組のタイトル、放送日時、放送内容、ジャンル情報などが格納されている。また、前記TOT(Time Offset Table には現在の時刻を示す情報が格納されている。音声処理回路6はAVデコーダ4から出力された音声データを受け取ってD/A変換を行い、アナログ音声信号を生成する。前記映像データはLCDモニタ7に供給され、前記音声信号はスピーカ8に供給される。
【0026】
メモリ14におけるNVRAMには、前記SIに基づく番組情報、放送情報が格納される。更に、NVRAMには、ユーザーとは異なる管理者(親など)によって、その設定情報(暗証番号、制限解除パスワード、視聴制限用のワード、視聴制限のための時間帯など)が格納される。これら設定情報は、携帯型放送受信装置を購入するときにおいて、店舗の装置を用いて入力することもできる。
【0027】
操作部15には、図2に示すように、十字キー(方向キー)、数字キー、機能キーなどが配置されている。
【0028】
携帯電話機能部19は携帯型放送受信装置100を携帯電話として機能させるときに動作する。
【0029】
システムコントローラ13は、携帯型放送受信装置100における全体制御を行うものであるが、この制御に加えて、以下に説明する視聴制限処理を実行する。
【0030】
(1)システムコントローラ13は、前記メモリ14に格納した番組情報の中に前記視聴制限用のワード(文字列)が存在するかどうかを判断する。そして、前記視聴制限用のワードを前記番組情報の中に有する番組は視聴制限番組であると判断する。更に、視聴制限番組であると判断された番組については視聴要求(チャンネル選択)があっても番組映像出力を制限する。この番組映像の出力制限は、例えば、前記チューナ2による受信処理は継続するけれども、前記グラフィックスコントローラによる番組映像以外の映像を生成する処理(後述するメッセージ表示参照)、或いは、LCDモニタ7への通電停止処理などによって行う。勿論、受信処理そのものを行わないこととしてもよい。
【0031】
(2)システムコントローラ13は、前記視聴制限用のワードを番組情報の中に有する番組であっても、特定のジャンル又は前記管理者により許可されているジャンルの番組である場合には、視聴制限番組ではないと判断するようになっていてもよい。前記ジャンルとしては、ニュース、スポーツなどが挙げられる。例えば、「暴力」といったワードが視聴制限用のワードとして登録されていても、前記ニュースにおける放送内容として存在しているのであれば、このニュースについての視聴制限はかからないことになる。
【0032】
(3)システムコントローラ13は、前記管理者によって設定された時間帯内の放送日時情報を有する番組は視聴制限番組であると判断する。更に、視聴制限番組であると判断された番組については視聴要求(チャンネル選択)があっても番組映像出力を制限する。
【0033】
(4)システムコントローラ13は、前記番組情報の中の現在時刻を示す情報(TOT)が前記管理者によって設定された時間帯内の時間であるときには視聴制限時間帯であると判断する。この視聴制限時間帯内では視聴要求があっても番組映像出力を制限する。
【0034】
ここで、携帯型放送受信装置100が現在時刻を提示するための時計(タイマー)を備えており、この時計の時刻と前記管理者が設定した時間帯との比較を行うとすると、前記時計を不正操作して現在時刻を偽り、視聴制限を実質的に外すことが考えられる。これに対し、上述した(3)及び(4)の処理によれば、携帯型放送受信装置100の時計を用いないので、上述のような不正を防止できることになる。なお、管理者は、前記時間帯として就学時間帯や深夜時間帯などを選択するであろう。
【0035】
(5)システムコントローラ13は、前記管理者が設定した情報に対してアクセスが行われようとするとき、暗証番号の入力を要求する。例えば、メニュー内の「管理者情報」といった項目にカーソルが載せられて決定ボタンが押下されたときには、暗証番号の入力用の枠を表示する。前記枠内に入力された数字列が暗証番号と一致しない場合には、管理者情報へのアクセスを許可しない。
【0036】
(6)システムコントローラ13は、視聴制限番組に対して視聴要求がなされた場合に、視聴制限番組である旨のメッセージを表示する。例えば、システムコントローラ13は、「提示できません」といった文字列のデータをグラフィックスコントローラ5に与え、そのOSD機能を用いてLCDモニタ7にメッセージ表示を行わせる。
【0037】
(7)システムコントローラ13は、前記番組情報を用いて電子番組ガイドのための表示データを生成し、これをグラフィックスコントローラ5に与える。グラフィックスコントローラ5のOSD機能により、図3に示すように、LCDモニタ7上に電子番組ガイドが表示される。更に、システムコントローラ13は、前記電子番組ガイドのデータを生成するときに、視聴制限番組が存在するかどうかを判断し、視聴制限番組が存在するときには、その番組欄に例えば「×」印を配置した電子番組ガイドのデータを生成する。
【0038】
(8)システムコントローラ13は、電子番組ガイド上の番組欄にカーソル(例えば、太枠)が載せられた状態で決定ボタンの押下を検出すると、前記カーソルが載せられている番組の受信処理(或いは、視聴予約処理等)を実行する。一方、前記カーソルが載せられている番組が視聴制限番組である場合、前記決定ボタンの押下を検出すると、上記図3に示しているように、制限解除用パスワードの入力枠を表示する。この入力枠に入力されたパスワードと、前記メモリ14に格納されている制限解除用パスワードとが一致した場合には、前記カーソルが載せられている番組の受信処理(或いは、視聴予約処理等)を実行する。すなわち、視聴制限を解除する処理を行う。
【0039】
なお、携帯型放送受信装置100は、受信した番組を小型のHDDや半導体メモリに録画する録画機能を備えていてもよい。また、視聴制限番組又は視聴制限時間帯の番組については、録画要求がなされても、前記録画機能による録画を実行しないのがよい。また、前記録画を実行しない場合には、録画は実行されない旨のメッセージをLCDモニタ7に表示してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の実施形態の携帯型放送受信装置を示したブロック図である。
【図2】携帯型放送受信装置の外観を示した説明図である。
【図3】携帯型放送受信装置による電子番組ガイドの表示を示した説明図である。
【符号の説明】
【0041】
1 アンテナ
2 チューナ
3 デマルチプレクサ(DEMUX)
4 AVデコーダ
5 グラフィックスコントローラ
13 システムコントローラ
14 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した放送波から番組情報を取り出す手段と、管理者が設定した情報を登録する管理者情報登録手段と、前記管理者によって設定された視聴制限用のワードを番組情報の中に有する番組は視聴制限番組であると判断する手段と、視聴制限番組であると判断された番組については視聴要求があっても番組映像出力を制限する手段と、を備えたことを特徴とする携帯型放送受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯型放送受信装置において、前記視聴制限用のワードを番組情報の中に有する番組であっても、特定のジャンル又は前記管理者により許可されているジャンルの番組である場合には、視聴制限番組ではないと判断するように構成されたことを特徴とする携帯型放送受信装置。
【請求項3】
受信した放送波から番組情報を取り出す手段と、管理者が設定した情報を登録する管理者情報登録手段と、前記管理者によって設定された時間帯内の放送日時情報を番組情報の中に有する番組は視聴制限番組であると判断する手段と、視聴制限番組であると判断された番組については視聴要求があっても番組映像出力を制限する手段と、を備えたことを特徴とする携帯型放送受信装置。
【請求項4】
受信した放送波から番組情報を取り出す手段と、管理者が設定した情報を登録する管理者情報登録手段と、前記番組情報の中の現在時刻を示す情報が前記管理者によって設定された時間帯内の時間を示しているときには視聴制限時間帯であると判断する手段と、視聴制限時間帯内では視聴要求があっても番組映像出力を制限する手段と、を備えたことを特徴とする携帯型放送受信装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の携帯型放送受信装置において、携帯電話機能を備えたことを特徴とする携帯型放送受信装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の携帯型放送受信装置において、前記管理者が設定した情報にアクセスするためには暗証番号の入力が要求されるように構成されていることを特徴とする携帯型放送受信装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の携帯型放送受信装置において、視聴制限番組又は視聴制限時間帯の番組に対して視聴要求がなされた場合に、視聴制限されている旨のメッセージを表示するように構成されたことを特徴とする携帯型放送受信装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の携帯型放送受信装置において、電子番組ガイド上の視聴制限番組又は視聴制限時間帯の番組の欄に、視聴制限されていることを示す表示を行うように構成されたことを特徴とする携帯型放送受信装置。
【請求項9】
請求項8に記載の携帯型放送受信装置において、管理者が設定した情報として制限解除用パスワードが登録できるように構成されており、前記電子番組ガイド上で視聴制限番組又は視聴制限時間帯の番組が選択された状態で前記制限解除用パスワードが入力された場合に視聴制限解除を行うように構成されていることを特徴とする携帯型放送受信装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の携帯型放送受信装置において、受信した番組を録画する録画手段を備え、視聴制限番組又は視聴制限時間帯の番組については、録画要求がなされても、前記録画手段による録画を実行しないように構成されたことを特徴とする携帯型放送受信装置。
【請求項11】
請求項10に記載の携帯型放送受信装置において、前記録画を実行しない場合には、録画が実行されない旨のメッセージを表示するように構成されたことを特徴とする携帯型放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−319613(P2006−319613A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−139627(P2005−139627)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】