携帯型表示装置用保護板
【課題】 透明窓部分の視認性に優れた携帯型表示装置用保護板を提供する。
【解決手段】 強化ガラス板の裏面に、透明窓部分を覆い且つ当該透明窓部分の周囲に金属薄膜層が全体的または部分的に形成されたフィルムが糊層にて貼付され、その裏面に前記透明窓部分を少なくとも覆う透明な塗膜を備えており、なお且つ前記透明窓部分の最裏面が硬質な材料で構成されている携帯型表示装置用保護板。
【解決手段】 強化ガラス板の裏面に、透明窓部分を覆い且つ当該透明窓部分の周囲に金属薄膜層が全体的または部分的に形成されたフィルムが糊層にて貼付され、その裏面に前記透明窓部分を少なくとも覆う透明な塗膜を備えており、なお且つ前記透明窓部分の最裏面が硬質な材料で構成されている携帯型表示装置用保護板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、携帯電話機、携帯情報端末等の携帯型表示装置に用いられる保護板に関し、より詳しくは、透明窓部分の視認性に優れた携帯型表示装置用の保護板に関する。
【背景技術】
【０００２】
携帯電話機、電子手帳等の携帯情報端末（ＰＤＡ）といった小型の表示装置を備える電気機器（以下、「携帯型表示装置」という。）には、その表示装置として、液晶ディスプレイ（ＬＣＤ）、有機ＥＬディスプレイ、電界放出型ディスプレイ（ＦＥＤ）、プラズマディスプレイパネル（ＰＤＰ）等のフラットパネルディスプレイが用いられている。
【０００３】
近年、携帯型表示装置における表示部は、多くの情報を一度に表示すべく、携帯の用に供し得る範囲で可能な限りサイズを大きくすることが求められている。このような傾向は、特に携帯電話機やＰＤＡの表示部において顕著である。表示部の大型化は、同時に、液晶パネル等の表示素子を保護するのに用いられる保護板にも大型化を求めている。一方、携帯型表示装置には、表示部の大型化だけでなく、装置の小型化（薄型化）や軽量化も重視されている。
【０００４】
そこで、従来、前記保護板には、透明性に優れかつ軽量なアクリル系樹脂からなる樹脂板が採用されている。アクリル系樹脂板を保護板として用いる場合には、携帯型表示装置の表示部に要求される文字情報や装飾目的の模様等を、シルクスクリーン印刷等によって当該樹脂板の表面にあらかじめ印刷しておくことも可能である。しかしながら、アクリル系樹脂板は、一般に耐衝撃性が低いものであることから、外部からの衝撃や荷重によって傷が生じたり、破損したりし易いという問題がある。
【０００５】
また、携帯型表示装置の軽量化・薄型化に対応すべく、アクリル系樹脂板は極めて薄く（通常、０．５〜１ｍｍ程度の厚さに）加工されているが、その結果、保護板の剛性が不十分となる。従って、例えば指で押圧することによって保護板が容易に撓んでしまい、液晶パネル等の表示素子と接触してその表示に乱れを生じさせたり、場合によっては、当該素子の機能に悪影響を及ぼしたりするおそれがある。
【０００６】
携帯電話機の形態は、画像表示部の大型化と電話機全体の小型化との相反する要求を満たす目的で、主に表示部３３や受話部３４を収容する第１の筐体３１と、主に操作部３５や送話部３６を収容する第２の筐体３２とに分けて、これらをヒンジ部３７で結合する、いわゆる折り畳み型が増加しつつある（図９参照）。このような折り畳み型の携帯電話機３０は、通常、表示部３３と操作部３５が向かい合わせとなった状態で折り畳まれることから、その開閉操作の際に、操作部３５のキー３８や特定のキー３８の頂面に設けられている位置確認用の突起３９と、表示部３３の保護板４０とが接触してしまい、これを繰り返すことで保護板１０に傷がついたり、破損したりするという問題が起こり易い。
【０００７】
携帯電話機やＰＤＡ等の携帯型表示装置では、その表示装置やその他の精密機器を埃や湿気等から保護すべく、容易に保護板を取り外すことができない構造となっている。しかも近年、携帯型表示装置は、装置自体の価格や付加価値が高くなる傾向にある。従って、多少の接触や衝撃によっては、保護板を取り替えざるを得ないような傷や破損を生じることがないように、保護板自体を強化することが求められている。
【０００８】
また、例えば携帯電話機においては、その使用時に表示部が頬等と接触することが多く、それゆえファンデーションや汗による汚れが保護板に付着し易いという問題もあるが、保護板が従来のアクリル系樹脂板である場合には、当該樹脂板の特性上、前記の汚れを拭い去るのが困難である。さらに、アクリル系樹脂板は静電気が起こり易い材質であることから、例えば保護板の表面に印刷を施したり、携帯型表示装置に実装したりする際にほこりが付着し易いという問題や、静電気によって表示装置をはじめとする精密機器の破損を招くという問題もある。
【０００９】
そこで、透明性、強度、防汚性および取扱性の各特性に優れた保護板が考案され、特許文献１に開示されている。すなわち、強化ガラス板の一方の表面に飛散防止皮膜が貼付され、かつ、同一の表面に、文字または模様の印刷を施したフィルムが貼付されてなる携帯型表示装置用保護板である。なお、フィルム１３は、フィルム地の部分にのみ文字１４または模様の印刷が施されている、いわゆるドーナツ状の部材であって、両面テープ１５もフィルム１３のフィルム時の部分に応じた形状を有するドーナツ状の部材である（図１０参照）。このようにドーナツ状に、すなわち中央部がくりぬかれた形状に成形した場合には、印刷を施していない部分での透過率の減少を防止することができるためである。
【００１０】
【特許文献１】特開２００３−１４０５５８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
しかしながら、特許文献１のように文字または模様の印刷を施したフィルムをドーナツ状の部材で形成するのは、ドーナツ状であるが故にフィルムが変形しやすく、貼付作業が難しい。そのため現実には、図１１に示すように、強化ガラス板１全体を覆うフィルムに枠状（ドーナツ状と同意）の装飾が施されている。
【００１２】
ところが、図１１に示すような構成において、前記枠状の装飾全体又ははその一部が部分的な金属薄膜層４を形成することによって金属光沢を呈するものである場合、通常、金属薄膜層４を必要としない部分に溶剤可溶性樹脂層を形成した後、その上に全面的に金属薄膜を形成し、溶剤洗浄を行って溶剤可溶性樹脂層と共に不要な金属薄膜を除去する方法が採られるため、溶剤可溶性樹脂層の除去が不十分であると透明窓部分１０ａに柚肌又は梨地模様が現われるという問題があった。
【００１３】
また、図１１に示すような構成においては、携帯型表示装置に保護板を取り付ける迄の間に、透明窓部分１０ａに当たるフィルムの露出面が傷付いてしまういう問題もあった。
【００１４】
したがって、本発明は、前記したような問題点を解消し、透明窓部分の視認性に優れた携帯型表示装置用保護板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１５】
前記目的を達成するために、本発明の携帯型表示装置用保護板は、強化ガラス板の裏面に、透明窓部分を覆い且つ当該透明窓部分の周囲に金属薄膜層が全体的または部分的に形成されたフィルムが糊層にて貼付され、その裏面に前記透明窓部分を少なくとも覆う透明な塗膜を備えており、なお且つ前記透明窓部分の最裏面が硬質な材料で構成されているようにした。
【００１６】
また、本発明の携帯型表示装置用保護板は、強化ガラス板の裏面に、透明窓部分を覆い且つ当該透明窓部分の周囲に金属薄膜層が全体的または部分的に形成されたフィルム、前記透明窓部分を少なくとも覆い且つ裏面にハードコート層が形成されたフィルムが順次糊層にて貼付されているように構成した。
【００１７】
また、前記構成において、前記ハードコート層が形成されたフィルムの裏面で且つ前記透明窓部分の周囲に、隠蔽層が形成されているようにした。
【００１８】
また、前記各構成において、前記金属薄膜層が形成されたフィルムの裏面で且つ前記透明窓部分の周囲に、隠蔽層が形成されているようにした。
【００１９】
また、本発明の携帯型表示装置用保護板は、強化ガラス板の裏面に、透明窓部分を覆い且つ当該透明窓部分の周囲に金属薄膜層が全体的または部分的に形成されたフィルムが糊層にて貼付され、その裏面に前記透明窓部分を少なくとも覆う硬質のオーバーコート層が形成されているように構成した。
【００２０】
また、前記オーバーコート層が形成された構成において、前記オーバーコート層の裏面で且つ前記透明窓部分の周囲に、隠蔽層が形成されているようにした。
【００２１】
また、前記オーバーコート層が形成された各構成において、前記金属薄膜層が形成されたフィルムの裏面で且つ前記透明窓部分の周囲に、隠蔽層が形成されているようにした。
【００２２】
また、前記各構成において、前記金属薄膜層が形成されたフィルムが、前記フィルムの裏面側に記金属薄膜層が形成されたものであるようにした。
【００２３】
また、前記各構成において、前記金属薄膜層が形成されたフィルムが、前記フィルムの表面側に前記金属薄膜層が形成されたものであるようにした。
【発明の効果】
【００２４】
本発明は、前記した構成からなるので、次のような効果を有する。
【００２５】
すなわち、本発明の携帯型表示装置用保護板は、強化ガラス板の裏面に、透明窓部分を覆い且つ当該透明窓部分の周囲に金属薄膜層が全体的または部分的に形成されたフィルムが糊層にて貼付され、その裏面に前記透明窓部分を少なくとも覆う透明な塗膜を備えているので、前記金属薄膜層が形成されたフィルムの表裏面のいずれに形成されている場合でも、金属薄膜をパターニングした面は前記糊層又は前記塗膜で覆われるため、仮にパターニングおいて溶剤可溶性樹脂層の除去が不十分であってとしても、残留した溶剤可溶性樹脂層によって形成される微細凹凸が空気層との界面とならない。その結果、保護板は、透明窓部分に柚肌又は梨地模様が現われないという効果が得られる。
【００２６】
また、前記透明窓部分の最裏面が硬質な材料で構成されているので、携帯型表示装置に保護板を取り付ける迄の間に、透明窓部分の最裏面が傷付くことがない。
【００２７】
したがって、透明窓部分の視認性に優れた携帯型表示装置用保護板が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２８】
図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳しく説明する。
【００２９】
図１に示す携帯型表示装置用保護板１０の第一実施形態は、強化ガラス１側の表面を表示装置の外部側に配置して使用される。この強化ガラス板１の裏面に、透明窓部分１０ａを覆い且つ当該透明窓部分１０ａの周囲に金属薄膜層４が形成されたフィルム３、前記透明窓部分１０ａを覆い且つ裏面にハードコート層７が形成されたフィルム６が順次糊層２，５にて貼付されている。なお、図１においては、前記金属薄膜層４が形成されたフィルム３が、前記フィルム３の裏面側に前記部分的な金属薄膜層４が形成されたものであり、さらに前記ハードコート層７が形成されたフィルム６の裏面で且つ前記透明窓部分１０ａの周囲に、隠蔽層８が形成されている。
【００３０】
本発明に係る携帯型表示装置用保護板１０において、当該保護板１０による保護の対象となる携帯型表示装置には、例えば携帯電話機、携帯情報端末、携帯型ゲーム機端末、携帯型テレビ受像機、デジタルカメラ、ビデオカメラ等の、携帯の用に供され得る小型の表示装置を備えた機器が挙げられる。なかでも、本発明に係る携帯型表示装置用保護板は、例えば図９に示すような携帯電話機３０における表示部３３や、電子手帳等の携帯情報端末（ＰＤＡ）における表示部において好適に用いられる。
【００３１】
強化ガラス１の材質については特に限定されるものではないが、汎用のいわゆる青ガラスよりも、白色ソーダガラス（いわゆる、白ガラス）を用いるのが、機械的強度等をより一層優れたものとする上で好ましい。強化ガラスの製造方法（強化加工の方法）についても特に限定されるものではないが、風冷による強化方法よりも、イオン交換による強化方法を採用するのが好ましい。イオン交換により強化された化学強化ガラスは、前述のように、風冷強化ガラスよりもより一層大きな圧縮応力を示す。強化ガラス板の厚さについては特に限定されるものではないが、軽量化を図りつつ、十分な強度特性を維持するという観点から、０．３〜１．１ｍｍの範囲とするのが好ましく、０．５〜０．８ｍｍの範囲とするのがより好ましい。
【００３２】
本発明に係る保護板においては、保護板自体に金属光沢を有する文字や模様を表示する目的で、あらかじめ部分的な金属薄膜層４が形成されたフィルム３が、強化ガラス板１の裏面に貼付される。
【００３３】
上記フィルムの素材は特に限定されるものではないが、透明性に優れたもの（透過率の高いもの）であるのが好ましく、例えばポリエステルフィルム等の樹脂フィルムが挙げられる。金属薄膜層４は、真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などによる金属薄膜をパターン化して形成する。この場合、表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金又は化合物を使用する。金属薄膜のパターン化手段としては、金属薄膜層４を必要としない部分に溶剤可溶性樹脂層を形成した後、その上に全面的に金属薄膜を形成し、溶剤洗浄を行って溶剤可溶性樹脂層と共に不要な金属薄膜を除去する。なお、金属薄膜層４は、図１において前記透明窓部分１０ａの周囲全体すなわち額縁状に形成されているが、前記透明窓部分１０ａの周囲の一部にのみに例えば携帯電話機の機種番号、電話会社名等の情報を表示するように形成されていてもよい。
【００３４】
また、本発明に係る保護板においては、保護板の前記透明窓部分１０ａの最裏面に硬度を付与する目的で、あらかじめ裏面にハードコート層７が形成されたフィルム６が、前記金属薄膜層４が形成されたフィルム３の裏面に貼付される。
【００３５】
上記フィルムの素材は特に限定されるものではないが、透明性に優れたもの（透過率の高いもの）であるのが好ましく、例えばポリエステルフィルム等の樹脂フィルムが挙げられる。フィルム上へのハードコート層７の形成方法や使用されるハードコートインキ等についても特に限定されるものではなく、樹脂フィルム上へのハードコート層形成に使用される従来公知の種々のハードコート層７形成方法、ハードコートインキ等を採用することができる。
【００３６】
上記各フィルムの貼付に用いられる前記糊層２，５としては、樹脂フィルム上の貼付に使用される従来公知の種々の材料、例えば感圧性接着剤(Pressure-Sensitive-Adhesive：略称ＰＳＡ)や、ＵＶ接着剤等を採用することができる。ＵＶ接着剤を用いる場合、塗膜表面を平滑に均した状態で硬化させることにより、平滑面を維持できる。
【００３７】
図１の実施形態において、前記金属薄膜層４が形成されたフィルム３の裏面、すなわち金属薄膜をパターニングした面は前記糊層５で覆われるため、仮にパターニングおいて溶剤可溶性樹脂層の除去が不十分であってとしても、残留した溶剤可溶性樹脂層によって形成される微細凹凸が空気層との界面とならない。したがって、本構成において透明窓部分１０ａに柚肌又は梨地模様が現われないという効果が得られる。
【００３８】
また、本発明に係る保護板においては、保護板の前記透明窓部分１０ａの周囲を隠蔽する目的で、前記ハードコート層７が形成されたフィルム６の裏面に隠蔽層８が形成されている。隠蔽層８は、前記透明窓部分１０ａの周囲を額縁部により覆うことにより回路等を隠し、デザイン性を高めるためのものである。例えば、携帯電話機の表示部に用いられる保護板の場合、その周縁部には、装置の内部構造が見えないように遮るためのベタ印刷（通常、デザイン性を考慮した着色や模様の印刷）が施される。前記金属薄膜層４が前記透明窓部分１０の周囲全体を覆っている場合には当該隠蔽層８を省略することもできるが、前記金属薄膜層４の裏面側に隠蔽層８が存在する方がより隠蔽性が高まるため好ましい。隠蔽層８の形成方法や使用される隠蔽性の着色インキ等についても特に限定されるものではなく、樹脂フィルム上への隠蔽性の印刷層形成に使用される従来公知の種々の印刷方法、隠蔽性の着色インキ等を採用することができる。
【００３９】
また、隠蔽層８は、前記ハードコート層７が形成されたフィルム６の裏面で且つ前記透明窓部分１０ａの周囲に形成されていてもよいし（図１，図２参照）、前記金属薄膜層４が形成されたフィルム３の裏面で且つ前記透明窓部分１０ａの周囲に形成されていてもよい（図３，図４参照）。
【００４０】
また、本発明の携帯型表示装置用保護板１０の構成は、強化ガラス１板の裏面に、透明窓部分１０ａを覆い且つ当該透明窓部分１０ａの周囲に金属薄膜層４が全体的または部分的に形成されたフィルム３が糊層にて貼付され、その裏面に前記透明窓部分１０ａを少なくとも覆う透明な塗膜を備えており、なお且つ前記透明窓部分１０ａの最裏面が硬質な材料で構成されていればよく、上記第一実施形態に限定されない。たとえば、強化ガラス板１の裏面に、透明窓部分１０ａを覆い且つ当該透明窓部分１０ａの周囲に金属薄膜層４が形成されたフィルムが糊層２にて貼付され、その裏面に、前述のハードコート層７が形成されたフィルム６の貼付（図１参照）に代えて、前記透明窓部分１０ａを少なくとも覆う硬質のオーバーコート層９が形成されているように構成することもできる（第二実施形態：図５参照）。なお、第一実施形態と共通する構成については、同様であるので説明は省略する。
【００４１】
前記硬質のオーバーコート層９は、前述のハードコート層７が形成されたフィルム６と同様に、保護板の前記透明窓部分１０ａの最裏面に硬度を付与する目的で形成されるが、さらに前記フィルム３の金属薄膜をパターニングした面を覆う透明な塗膜である前記糊層５と同様の効果を奏する。すなわち、第二実施形態において、前記金属薄膜層４が形成されたフィルム３の裏面、すなわち金属薄膜をパターニングした面は前記オーバーコート層９で覆われるため、仮にパターニングおいて溶剤可溶性樹脂層の除去が不十分であってとしても、残留した溶剤可溶性樹脂層によって形成される微細凹凸が空気層との界面とならない。したがって、本構成において透明窓部分１０ａに柚肌又は梨地模様が現われないという効果が得られる。前記オーバーコート層９の形成方法としては、ポッティング法、コーティング法、スクリーン印刷法などが用いられる。また、使用されるオーバーコートインキとしては、前述のハードコート層と同様のものの他、熱可塑性樹脂の高透明タイプであるアクリル系樹脂等を採用することができる。
【００４２】
また、第二実施形態においても、第一実施形態と同様に、保護板の前記透明窓部分１０ａの周囲を隠蔽する目的で、前記オーバーコート層９の裏面に隠蔽層８が形成されている。本隠蔽層８の説明は、第一実施形態の場合と同じであるので省略する。
【００４３】
また、隠蔽層８は、前記ハードコート層７が形成されたフィルム６の裏面で且つ前記透明窓部分１０ａの周囲に形成されていてもよいし（図５，図６参照）、前記金属薄膜層４が形成されたフィルム６の裏面で且つ前記透明窓部分１０ａの周囲に、形成されていてもよい（図７，図８参照）。
【００４４】
また、本発明に係る保護板においては、前記金属薄膜層４が形成されたフィルム３が、前記フィルム３の裏面側に記金属薄膜層３が形成されたものであってもよいし（図１，図３，図５，図７参照）、前記金属薄膜層４が形成されたフィルム３が、前記フィルム３の表面側に前記金属薄膜層４が形成されたものであってもよい（図２，図４，図６，図８参照）。なお、後者の場合、前記金属薄膜層４が形成されたフィルム３の表面、すなわち金属薄膜をパターニングした面は前記糊層２及び前記強化ガラス板１で覆われるため、仮にパターニングおいて溶剤可溶性樹脂層の除去が不十分であってとしても、残留した溶剤可溶性樹脂層によって形成される微細凹凸が空気層との界面とならない。したがって、本構成において透明窓部分１０ａに柚肌又は梨地模様が現われないという効果が得られる。
【００４５】
また、前記金属薄膜層４又は前記隠蔽層８が形成されたフィルムは当該金属薄膜層４又は前記隠蔽層８の形成部分と非形成部分との間で段差を生ずるため、この段差を有する面に前記糊層２，５を形成する場合、前記糊層２，５を充分に段差を埋めることが出来る厚みで形成する。本発明においては、たとえば２０μｍ以上である。充分に段差を埋めることが出来ないと空気を噛んでしまうおそれがあるからである。
【００４６】
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【実施例】
【００４７】
（実施例１）
まず、厚さ３８μｍのＰＥＴフィルムの一方の面に中央部に透明窓部分を構成するようにアルミニウムからなる金属薄膜層を額縁状に形成した。なお、金属薄膜層のパターニングは、金属薄膜層を必要としない部分に沈降性硫酸バリウム樹脂からなる溶剤可溶性樹脂層を形成した後、その上に全面的に前記金属からなる金属薄膜を真空蒸着法にて形成し、水にて洗浄を行って溶剤可溶性樹脂層と共に不要な金属薄膜を除去した。
【００４８】
また、別の、厚さ３８μｍのＰＥＴフィルムの一方の面にアクリル系樹脂からなるハードコート層をロールコート法にて全面的に形成し、その上に、中央部に透明窓部分を構成するように２液硬化型ウレタンからなる樹脂バインダーに黒色顔料を含有してなるインキを用いて隠蔽層をスクリーン印刷法にて額縁状に形成した。
【００４９】
次に、厚さ０．５ｍｍの強化ガラス板として石塚硝子株式会社製高強度ガラス 「クリスターナ」を用意し、その裏面に、前記金属薄膜層が形成されたフィルムを、前記金属薄膜層を形成した面が裏面となるように、ＰＳＡからなる糊層にて貼付した。次いで、この貼合物の裏面に、前記ハードコート層及び隠蔽層が形成されたフィルムを、前記ハードコート層及び隠蔽層を形成した面が裏面となるように、ＰＳＡからなる糊層にて貼付して、図１に示す表示装置用保護板を得た。
【００５０】
（実施例２）
実施例１と同様にして金属薄膜層が形成されたフィルムを得た後、前記金属薄膜層を形成した面全体を覆うアクリル系樹脂からなるからなる硬質のオーバーコート層がロールコート法にて形成した。次いで、その上に、中央部に透明窓部分を構成するように実施例１と同様にして隠蔽層を額縁状に形成した。
【００５１】
次に、厚さ０．５ｍｍの強化ガラス板として石塚硝子株式会社製高強度ガラス 「クリスターナ」を用意し、その裏面に、前記金属薄膜層、オーバーコート層及び隠蔽層が形成されたフィルムを、前記各層を形成した面が裏面となるように、ＰＳＡからなる糊層にて貼付して、図５に示す表示装置用保護板を得た。
【００５２】
実施例１及び実施例２で得られた携帯型表示装置用保護板は、いずれも透明窓部分の視認性に優れたものであった。
【図面の簡単な説明】
【００５３】
【図１】本発明に係る携帯型表示装置用保護板の一実施形態を示す断面図である。
【図２】本発明に係る携帯型表示装置用保護板の他の実施形態を示す断面図である。
【図３】本発明に係る携帯型表示装置用保護板の他の実施形態を示す断面図である。
【図４】本発明に係る携帯型表示装置用保護板の他の実施形態を示す断面図である。
【図５】本発明に係る携帯型表示装置用保護板の他の実施形態を示す断面図である。
【図６】本発明に係る携帯型表示装置用保護板の他の実施形態を示す断面図である。
【図７】本発明に係る携帯型表示装置用保護板の他の実施形態を示す断面図である。
【図８】本発明に係る携帯型表示装置用保護板の他の実施形態を示す断面図である。
【図９】折り畳み型携帯電話機の一例を示す斜視図である。
【図１０】特許文献に記載の携帯型表示装置用保護板を示す分解斜視図である。
【図１１】従来技術に係る携帯型表示装置用保護板の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【００５４】
１ 強化ガラス板
２ 接着層
３ フィルム
４ 金属蒸着層
５ 接着層
６ フィルム
７ ハードコート層
８ 隠蔽層
９ オーバーコート層
１０ 携帯型画像表示装置用保護板
１０ａ 透明窓部分
１１ 強化ガラス板
１２ 飛散防止皮膜
１３ フィルム
３０ 携帯電話機
３３ 表示部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、携帯電話機、携帯情報端末等の携帯型表示装置に用いられる保護板に関し、より詳しくは、透明窓部分の視認性に優れた携帯型表示装置用の保護板に関する。
【背景技術】
【０００２】
携帯電話機、電子手帳等の携帯情報端末（ＰＤＡ）といった小型の表示装置を備える電気機器（以下、「携帯型表示装置」という。）には、その表示装置として、液晶ディスプレイ（ＬＣＤ）、有機ＥＬディスプレイ、電界放出型ディスプレイ（ＦＥＤ）、プラズマディスプレイパネル（ＰＤＰ）等のフラットパネルディスプレイが用いられている。
【０００３】
近年、携帯型表示装置における表示部は、多くの情報を一度に表示すべく、携帯の用に供し得る範囲で可能な限りサイズを大きくすることが求められている。このような傾向は、特に携帯電話機やＰＤＡの表示部において顕著である。表示部の大型化は、同時に、液晶パネル等の表示素子を保護するのに用いられる保護板にも大型化を求めている。一方、携帯型表示装置には、表示部の大型化だけでなく、装置の小型化（薄型化）や軽量化も重視されている。
【０００４】
そこで、従来、前記保護板には、透明性に優れかつ軽量なアクリル系樹脂からなる樹脂板が採用されている。アクリル系樹脂板を保護板として用いる場合には、携帯型表示装置の表示部に要求される文字情報や装飾目的の模様等を、シルクスクリーン印刷等によって当該樹脂板の表面にあらかじめ印刷しておくことも可能である。しかしながら、アクリル系樹脂板は、一般に耐衝撃性が低いものであることから、外部からの衝撃や荷重によって傷が生じたり、破損したりし易いという問題がある。
【０００５】
また、携帯型表示装置の軽量化・薄型化に対応すべく、アクリル系樹脂板は極めて薄く（通常、０．５〜１ｍｍ程度の厚さに）加工されているが、その結果、保護板の剛性が不十分となる。従って、例えば指で押圧することによって保護板が容易に撓んでしまい、液晶パネル等の表示素子と接触してその表示に乱れを生じさせたり、場合によっては、当該素子の機能に悪影響を及ぼしたりするおそれがある。
【０００６】
携帯電話機の形態は、画像表示部の大型化と電話機全体の小型化との相反する要求を満たす目的で、主に表示部３３や受話部３４を収容する第１の筐体３１と、主に操作部３５や送話部３６を収容する第２の筐体３２とに分けて、これらをヒンジ部３７で結合する、いわゆる折り畳み型が増加しつつある（図９参照）。このような折り畳み型の携帯電話機３０は、通常、表示部３３と操作部３５が向かい合わせとなった状態で折り畳まれることから、その開閉操作の際に、操作部３５のキー３８や特定のキー３８の頂面に設けられている位置確認用の突起３９と、表示部３３の保護板４０とが接触してしまい、これを繰り返すことで保護板１０に傷がついたり、破損したりするという問題が起こり易い。
【０００７】
携帯電話機やＰＤＡ等の携帯型表示装置では、その表示装置やその他の精密機器を埃や湿気等から保護すべく、容易に保護板を取り外すことができない構造となっている。しかも近年、携帯型表示装置は、装置自体の価格や付加価値が高くなる傾向にある。従って、多少の接触や衝撃によっては、保護板を取り替えざるを得ないような傷や破損を生じることがないように、保護板自体を強化することが求められている。
【０００８】
また、例えば携帯電話機においては、その使用時に表示部が頬等と接触することが多く、それゆえファンデーションや汗による汚れが保護板に付着し易いという問題もあるが、保護板が従来のアクリル系樹脂板である場合には、当該樹脂板の特性上、前記の汚れを拭い去るのが困難である。さらに、アクリル系樹脂板は静電気が起こり易い材質であることから、例えば保護板の表面に印刷を施したり、携帯型表示装置に実装したりする際にほこりが付着し易いという問題や、静電気によって表示装置をはじめとする精密機器の破損を招くという問題もある。
【０００９】
そこで、透明性、強度、防汚性および取扱性の各特性に優れた保護板が考案され、特許文献１に開示されている。すなわち、強化ガラス板の一方の表面に飛散防止皮膜が貼付され、かつ、同一の表面に、文字または模様の印刷を施したフィルムが貼付されてなる携帯型表示装置用保護板である。なお、フィルム１３は、フィルム地の部分にのみ文字１４または模様の印刷が施されている、いわゆるドーナツ状の部材であって、両面テープ１５もフィルム１３のフィルム時の部分に応じた形状を有するドーナツ状の部材である（図１０参照）。このようにドーナツ状に、すなわち中央部がくりぬかれた形状に成形した場合には、印刷を施していない部分での透過率の減少を防止することができるためである。
【００１０】
【特許文献１】特開２００３−１４０５５８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
しかしながら、特許文献１のように文字または模様の印刷を施したフィルムをドーナツ状の部材で形成するのは、ドーナツ状であるが故にフィルムが変形しやすく、貼付作業が難しい。そのため現実には、図１１に示すように、強化ガラス板１全体を覆うフィルムに枠状（ドーナツ状と同意）の装飾が施されている。
【００１２】
ところが、図１１に示すような構成において、前記枠状の装飾全体又ははその一部が部分的な金属薄膜層４を形成することによって金属光沢を呈するものである場合、通常、金属薄膜層４を必要としない部分に溶剤可溶性樹脂層を形成した後、その上に全面的に金属薄膜を形成し、溶剤洗浄を行って溶剤可溶性樹脂層と共に不要な金属薄膜を除去する方法が採られるため、溶剤可溶性樹脂層の除去が不十分であると透明窓部分１０ａに柚肌又は梨地模様が現われるという問題があった。
【００１３】
また、図１１に示すような構成においては、携帯型表示装置に保護板を取り付ける迄の間に、透明窓部分１０ａに当たるフィルムの露出面が傷付いてしまういう問題もあった。
【００１４】
したがって、本発明は、前記したような問題点を解消し、透明窓部分の視認性に優れた携帯型表示装置用保護板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１５】
前記目的を達成するために、本発明の携帯型表示装置用保護板は、強化ガラス板の裏面に、透明窓部分を覆い且つ当該透明窓部分の周囲に金属薄膜層が全体的または部分的に形成されたフィルムが糊層にて貼付され、その裏面に前記透明窓部分を少なくとも覆う透明な塗膜を備えており、なお且つ前記透明窓部分の最裏面が硬質な材料で構成されているようにした。
【００１６】
また、本発明の携帯型表示装置用保護板は、強化ガラス板の裏面に、透明窓部分を覆い且つ当該透明窓部分の周囲に金属薄膜層が全体的または部分的に形成されたフィルム、前記透明窓部分を少なくとも覆い且つ裏面にハードコート層が形成されたフィルムが順次糊層にて貼付されているように構成した。
【００１７】
また、前記構成において、前記ハードコート層が形成されたフィルムの裏面で且つ前記透明窓部分の周囲に、隠蔽層が形成されているようにした。
【００１８】
また、前記各構成において、前記金属薄膜層が形成されたフィルムの裏面で且つ前記透明窓部分の周囲に、隠蔽層が形成されているようにした。
【００１９】
また、本発明の携帯型表示装置用保護板は、強化ガラス板の裏面に、透明窓部分を覆い且つ当該透明窓部分の周囲に金属薄膜層が全体的または部分的に形成されたフィルムが糊層にて貼付され、その裏面に前記透明窓部分を少なくとも覆う硬質のオーバーコート層が形成されているように構成した。
【００２０】
また、前記オーバーコート層が形成された構成において、前記オーバーコート層の裏面で且つ前記透明窓部分の周囲に、隠蔽層が形成されているようにした。
【００２１】
また、前記オーバーコート層が形成された各構成において、前記金属薄膜層が形成されたフィルムの裏面で且つ前記透明窓部分の周囲に、隠蔽層が形成されているようにした。
【００２２】
また、前記各構成において、前記金属薄膜層が形成されたフィルムが、前記フィルムの裏面側に記金属薄膜層が形成されたものであるようにした。
【００２３】
また、前記各構成において、前記金属薄膜層が形成されたフィルムが、前記フィルムの表面側に前記金属薄膜層が形成されたものであるようにした。
【発明の効果】
【００２４】
本発明は、前記した構成からなるので、次のような効果を有する。
【００２５】
すなわち、本発明の携帯型表示装置用保護板は、強化ガラス板の裏面に、透明窓部分を覆い且つ当該透明窓部分の周囲に金属薄膜層が全体的または部分的に形成されたフィルムが糊層にて貼付され、その裏面に前記透明窓部分を少なくとも覆う透明な塗膜を備えているので、前記金属薄膜層が形成されたフィルムの表裏面のいずれに形成されている場合でも、金属薄膜をパターニングした面は前記糊層又は前記塗膜で覆われるため、仮にパターニングおいて溶剤可溶性樹脂層の除去が不十分であってとしても、残留した溶剤可溶性樹脂層によって形成される微細凹凸が空気層との界面とならない。その結果、保護板は、透明窓部分に柚肌又は梨地模様が現われないという効果が得られる。
【００２６】
また、前記透明窓部分の最裏面が硬質な材料で構成されているので、携帯型表示装置に保護板を取り付ける迄の間に、透明窓部分の最裏面が傷付くことがない。
【００２７】
したがって、透明窓部分の視認性に優れた携帯型表示装置用保護板が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２８】
図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳しく説明する。
【００２９】
図１に示す携帯型表示装置用保護板１０の第一実施形態は、強化ガラス１側の表面を表示装置の外部側に配置して使用される。この強化ガラス板１の裏面に、透明窓部分１０ａを覆い且つ当該透明窓部分１０ａの周囲に金属薄膜層４が形成されたフィルム３、前記透明窓部分１０ａを覆い且つ裏面にハードコート層７が形成されたフィルム６が順次糊層２，５にて貼付されている。なお、図１においては、前記金属薄膜層４が形成されたフィルム３が、前記フィルム３の裏面側に前記部分的な金属薄膜層４が形成されたものであり、さらに前記ハードコート層７が形成されたフィルム６の裏面で且つ前記透明窓部分１０ａの周囲に、隠蔽層８が形成されている。
【００３０】
本発明に係る携帯型表示装置用保護板１０において、当該保護板１０による保護の対象となる携帯型表示装置には、例えば携帯電話機、携帯情報端末、携帯型ゲーム機端末、携帯型テレビ受像機、デジタルカメラ、ビデオカメラ等の、携帯の用に供され得る小型の表示装置を備えた機器が挙げられる。なかでも、本発明に係る携帯型表示装置用保護板は、例えば図９に示すような携帯電話機３０における表示部３３や、電子手帳等の携帯情報端末（ＰＤＡ）における表示部において好適に用いられる。
【００３１】
強化ガラス１の材質については特に限定されるものではないが、汎用のいわゆる青ガラスよりも、白色ソーダガラス（いわゆる、白ガラス）を用いるのが、機械的強度等をより一層優れたものとする上で好ましい。強化ガラスの製造方法（強化加工の方法）についても特に限定されるものではないが、風冷による強化方法よりも、イオン交換による強化方法を採用するのが好ましい。イオン交換により強化された化学強化ガラスは、前述のように、風冷強化ガラスよりもより一層大きな圧縮応力を示す。強化ガラス板の厚さについては特に限定されるものではないが、軽量化を図りつつ、十分な強度特性を維持するという観点から、０．３〜１．１ｍｍの範囲とするのが好ましく、０．５〜０．８ｍｍの範囲とするのがより好ましい。
【００３２】
本発明に係る保護板においては、保護板自体に金属光沢を有する文字や模様を表示する目的で、あらかじめ部分的な金属薄膜層４が形成されたフィルム３が、強化ガラス板１の裏面に貼付される。
【００３３】
上記フィルムの素材は特に限定されるものではないが、透明性に優れたもの（透過率の高いもの）であるのが好ましく、例えばポリエステルフィルム等の樹脂フィルムが挙げられる。金属薄膜層４は、真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などによる金属薄膜をパターン化して形成する。この場合、表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金又は化合物を使用する。金属薄膜のパターン化手段としては、金属薄膜層４を必要としない部分に溶剤可溶性樹脂層を形成した後、その上に全面的に金属薄膜を形成し、溶剤洗浄を行って溶剤可溶性樹脂層と共に不要な金属薄膜を除去する。なお、金属薄膜層４は、図１において前記透明窓部分１０ａの周囲全体すなわち額縁状に形成されているが、前記透明窓部分１０ａの周囲の一部にのみに例えば携帯電話機の機種番号、電話会社名等の情報を表示するように形成されていてもよい。
【００３４】
また、本発明に係る保護板においては、保護板の前記透明窓部分１０ａの最裏面に硬度を付与する目的で、あらかじめ裏面にハードコート層７が形成されたフィルム６が、前記金属薄膜層４が形成されたフィルム３の裏面に貼付される。
【００３５】
上記フィルムの素材は特に限定されるものではないが、透明性に優れたもの（透過率の高いもの）であるのが好ましく、例えばポリエステルフィルム等の樹脂フィルムが挙げられる。フィルム上へのハードコート層７の形成方法や使用されるハードコートインキ等についても特に限定されるものではなく、樹脂フィルム上へのハードコート層形成に使用される従来公知の種々のハードコート層７形成方法、ハードコートインキ等を採用することができる。
【００３６】
上記各フィルムの貼付に用いられる前記糊層２，５としては、樹脂フィルム上の貼付に使用される従来公知の種々の材料、例えば感圧性接着剤(Pressure-Sensitive-Adhesive：略称ＰＳＡ)や、ＵＶ接着剤等を採用することができる。ＵＶ接着剤を用いる場合、塗膜表面を平滑に均した状態で硬化させることにより、平滑面を維持できる。
【００３７】
図１の実施形態において、前記金属薄膜層４が形成されたフィルム３の裏面、すなわち金属薄膜をパターニングした面は前記糊層５で覆われるため、仮にパターニングおいて溶剤可溶性樹脂層の除去が不十分であってとしても、残留した溶剤可溶性樹脂層によって形成される微細凹凸が空気層との界面とならない。したがって、本構成において透明窓部分１０ａに柚肌又は梨地模様が現われないという効果が得られる。
【００３８】
また、本発明に係る保護板においては、保護板の前記透明窓部分１０ａの周囲を隠蔽する目的で、前記ハードコート層７が形成されたフィルム６の裏面に隠蔽層８が形成されている。隠蔽層８は、前記透明窓部分１０ａの周囲を額縁部により覆うことにより回路等を隠し、デザイン性を高めるためのものである。例えば、携帯電話機の表示部に用いられる保護板の場合、その周縁部には、装置の内部構造が見えないように遮るためのベタ印刷（通常、デザイン性を考慮した着色や模様の印刷）が施される。前記金属薄膜層４が前記透明窓部分１０の周囲全体を覆っている場合には当該隠蔽層８を省略することもできるが、前記金属薄膜層４の裏面側に隠蔽層８が存在する方がより隠蔽性が高まるため好ましい。隠蔽層８の形成方法や使用される隠蔽性の着色インキ等についても特に限定されるものではなく、樹脂フィルム上への隠蔽性の印刷層形成に使用される従来公知の種々の印刷方法、隠蔽性の着色インキ等を採用することができる。
【００３９】
また、隠蔽層８は、前記ハードコート層７が形成されたフィルム６の裏面で且つ前記透明窓部分１０ａの周囲に形成されていてもよいし（図１，図２参照）、前記金属薄膜層４が形成されたフィルム３の裏面で且つ前記透明窓部分１０ａの周囲に形成されていてもよい（図３，図４参照）。
【００４０】
また、本発明の携帯型表示装置用保護板１０の構成は、強化ガラス１板の裏面に、透明窓部分１０ａを覆い且つ当該透明窓部分１０ａの周囲に金属薄膜層４が全体的または部分的に形成されたフィルム３が糊層にて貼付され、その裏面に前記透明窓部分１０ａを少なくとも覆う透明な塗膜を備えており、なお且つ前記透明窓部分１０ａの最裏面が硬質な材料で構成されていればよく、上記第一実施形態に限定されない。たとえば、強化ガラス板１の裏面に、透明窓部分１０ａを覆い且つ当該透明窓部分１０ａの周囲に金属薄膜層４が形成されたフィルムが糊層２にて貼付され、その裏面に、前述のハードコート層７が形成されたフィルム６の貼付（図１参照）に代えて、前記透明窓部分１０ａを少なくとも覆う硬質のオーバーコート層９が形成されているように構成することもできる（第二実施形態：図５参照）。なお、第一実施形態と共通する構成については、同様であるので説明は省略する。
【００４１】
前記硬質のオーバーコート層９は、前述のハードコート層７が形成されたフィルム６と同様に、保護板の前記透明窓部分１０ａの最裏面に硬度を付与する目的で形成されるが、さらに前記フィルム３の金属薄膜をパターニングした面を覆う透明な塗膜である前記糊層５と同様の効果を奏する。すなわち、第二実施形態において、前記金属薄膜層４が形成されたフィルム３の裏面、すなわち金属薄膜をパターニングした面は前記オーバーコート層９で覆われるため、仮にパターニングおいて溶剤可溶性樹脂層の除去が不十分であってとしても、残留した溶剤可溶性樹脂層によって形成される微細凹凸が空気層との界面とならない。したがって、本構成において透明窓部分１０ａに柚肌又は梨地模様が現われないという効果が得られる。前記オーバーコート層９の形成方法としては、ポッティング法、コーティング法、スクリーン印刷法などが用いられる。また、使用されるオーバーコートインキとしては、前述のハードコート層と同様のものの他、熱可塑性樹脂の高透明タイプであるアクリル系樹脂等を採用することができる。
【００４２】
また、第二実施形態においても、第一実施形態と同様に、保護板の前記透明窓部分１０ａの周囲を隠蔽する目的で、前記オーバーコート層９の裏面に隠蔽層８が形成されている。本隠蔽層８の説明は、第一実施形態の場合と同じであるので省略する。
【００４３】
また、隠蔽層８は、前記ハードコート層７が形成されたフィルム６の裏面で且つ前記透明窓部分１０ａの周囲に形成されていてもよいし（図５，図６参照）、前記金属薄膜層４が形成されたフィルム６の裏面で且つ前記透明窓部分１０ａの周囲に、形成されていてもよい（図７，図８参照）。
【００４４】
また、本発明に係る保護板においては、前記金属薄膜層４が形成されたフィルム３が、前記フィルム３の裏面側に記金属薄膜層３が形成されたものであってもよいし（図１，図３，図５，図７参照）、前記金属薄膜層４が形成されたフィルム３が、前記フィルム３の表面側に前記金属薄膜層４が形成されたものであってもよい（図２，図４，図６，図８参照）。なお、後者の場合、前記金属薄膜層４が形成されたフィルム３の表面、すなわち金属薄膜をパターニングした面は前記糊層２及び前記強化ガラス板１で覆われるため、仮にパターニングおいて溶剤可溶性樹脂層の除去が不十分であってとしても、残留した溶剤可溶性樹脂層によって形成される微細凹凸が空気層との界面とならない。したがって、本構成において透明窓部分１０ａに柚肌又は梨地模様が現われないという効果が得られる。
【００４５】
また、前記金属薄膜層４又は前記隠蔽層８が形成されたフィルムは当該金属薄膜層４又は前記隠蔽層８の形成部分と非形成部分との間で段差を生ずるため、この段差を有する面に前記糊層２，５を形成する場合、前記糊層２，５を充分に段差を埋めることが出来る厚みで形成する。本発明においては、たとえば２０μｍ以上である。充分に段差を埋めることが出来ないと空気を噛んでしまうおそれがあるからである。
【００４６】
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【実施例】
【００４７】
（実施例１）
まず、厚さ３８μｍのＰＥＴフィルムの一方の面に中央部に透明窓部分を構成するようにアルミニウムからなる金属薄膜層を額縁状に形成した。なお、金属薄膜層のパターニングは、金属薄膜層を必要としない部分に沈降性硫酸バリウム樹脂からなる溶剤可溶性樹脂層を形成した後、その上に全面的に前記金属からなる金属薄膜を真空蒸着法にて形成し、水にて洗浄を行って溶剤可溶性樹脂層と共に不要な金属薄膜を除去した。
【００４８】
また、別の、厚さ３８μｍのＰＥＴフィルムの一方の面にアクリル系樹脂からなるハードコート層をロールコート法にて全面的に形成し、その上に、中央部に透明窓部分を構成するように２液硬化型ウレタンからなる樹脂バインダーに黒色顔料を含有してなるインキを用いて隠蔽層をスクリーン印刷法にて額縁状に形成した。
【００４９】
次に、厚さ０．５ｍｍの強化ガラス板として石塚硝子株式会社製高強度ガラス 「クリスターナ」を用意し、その裏面に、前記金属薄膜層が形成されたフィルムを、前記金属薄膜層を形成した面が裏面となるように、ＰＳＡからなる糊層にて貼付した。次いで、この貼合物の裏面に、前記ハードコート層及び隠蔽層が形成されたフィルムを、前記ハードコート層及び隠蔽層を形成した面が裏面となるように、ＰＳＡからなる糊層にて貼付して、図１に示す表示装置用保護板を得た。
【００５０】
（実施例２）
実施例１と同様にして金属薄膜層が形成されたフィルムを得た後、前記金属薄膜層を形成した面全体を覆うアクリル系樹脂からなるからなる硬質のオーバーコート層がロールコート法にて形成した。次いで、その上に、中央部に透明窓部分を構成するように実施例１と同様にして隠蔽層を額縁状に形成した。
【００５１】
次に、厚さ０．５ｍｍの強化ガラス板として石塚硝子株式会社製高強度ガラス 「クリスターナ」を用意し、その裏面に、前記金属薄膜層、オーバーコート層及び隠蔽層が形成されたフィルムを、前記各層を形成した面が裏面となるように、ＰＳＡからなる糊層にて貼付して、図５に示す表示装置用保護板を得た。
【００５２】
実施例１及び実施例２で得られた携帯型表示装置用保護板は、いずれも透明窓部分の視認性に優れたものであった。
【図面の簡単な説明】
【００５３】
【図１】本発明に係る携帯型表示装置用保護板の一実施形態を示す断面図である。
【図２】本発明に係る携帯型表示装置用保護板の他の実施形態を示す断面図である。
【図３】本発明に係る携帯型表示装置用保護板の他の実施形態を示す断面図である。
【図４】本発明に係る携帯型表示装置用保護板の他の実施形態を示す断面図である。
【図５】本発明に係る携帯型表示装置用保護板の他の実施形態を示す断面図である。
【図６】本発明に係る携帯型表示装置用保護板の他の実施形態を示す断面図である。
【図７】本発明に係る携帯型表示装置用保護板の他の実施形態を示す断面図である。
【図８】本発明に係る携帯型表示装置用保護板の他の実施形態を示す断面図である。
【図９】折り畳み型携帯電話機の一例を示す斜視図である。
【図１０】特許文献に記載の携帯型表示装置用保護板を示す分解斜視図である。
【図１１】従来技術に係る携帯型表示装置用保護板の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【００５４】
１ 強化ガラス板
２ 接着層
３ フィルム
４ 金属蒸着層
５ 接着層
６ フィルム
７ ハードコート層
８ 隠蔽層
９ オーバーコート層
１０ 携帯型画像表示装置用保護板
１０ａ 透明窓部分
１１ 強化ガラス板
１２ 飛散防止皮膜
１３ フィルム
３０ 携帯電話機
３３ 表示部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
強化ガラス板の裏面に、透明窓部分を覆い且つ当該透明窓部分の周囲に金属薄膜層が全体的または部分的に形成されたフィルムが糊層にて貼付され、その裏面に前記透明窓部分を少なくとも覆う透明な塗膜を備えており、なお且つ前記透明窓部分の最裏面が硬質な材料で構成されていることを特徴とする携帯型表示装置用保護板。
【請求項２】
強化ガラス板の裏面に、透明窓部分を覆い且つ当該透明窓部分の周囲に金属薄膜層が全体的または部分的に形成されたフィルム、前記透明窓部分を少なくとも覆い且つ裏面にハードコート層が形成されたフィルムが順次糊層にて貼付されている請求項１に記載の携帯型表示装置用保護板。
【請求項３】
前記ハードコート層が形成されたフィルムの裏面で且つ前記透明窓部分の周囲に、隠蔽層が形成された請求項２に記載の携帯型表示装置用保護板。
【請求項４】
前記金属薄膜層が形成されたフィルムの裏面で且つ前記透明窓部分の周囲に、隠蔽層が形成された請求項２又は請求項３のいずれかに記載の携帯型表示装置用保護板。
【請求項５】
強化ガラス板の裏面に、透明窓部分を覆い且つ当該透明窓部分の周囲に金属薄膜層が全体的または部分的に形成されたフィルムが糊層にて貼付され、その裏面に前記透明窓部分を少なくとも覆う硬質のオーバーコート層が形成されている請求項１記載の携帯型表示装置用保護板。
【請求項６】
前記オーバーコート層の裏面で且つ前記透明窓部分の周囲に、隠蔽層が形成された請求項４に記載の携帯型表示装置用保護板。
【請求項７】
前記金属薄膜層が形成されたフィルムの裏面で且つ前記透明窓部分の周囲に、隠蔽層が形成された請求項５又は請求項６のいずれかに記載の携帯型表示装置用保護板。
【請求項８】
前記金属薄膜層が形成されたフィルムが、前記フィルムの裏面側に記金属薄膜層が形成されたものである請求項２〜７記載の携帯型表示装置用保護板。
【請求項９】
前記金属薄膜層が形成されたフィルムが、前記フィルムの表面側に前記金属薄膜層が形成されたものである請求項２〜７記載の携帯型表示装置用保護板。
【請求項１】
強化ガラス板の裏面に、透明窓部分を覆い且つ当該透明窓部分の周囲に金属薄膜層が全体的または部分的に形成されたフィルムが糊層にて貼付され、その裏面に前記透明窓部分を少なくとも覆う透明な塗膜を備えており、なお且つ前記透明窓部分の最裏面が硬質な材料で構成されていることを特徴とする携帯型表示装置用保護板。
【請求項２】
強化ガラス板の裏面に、透明窓部分を覆い且つ当該透明窓部分の周囲に金属薄膜層が全体的または部分的に形成されたフィルム、前記透明窓部分を少なくとも覆い且つ裏面にハードコート層が形成されたフィルムが順次糊層にて貼付されている請求項１に記載の携帯型表示装置用保護板。
【請求項３】
前記ハードコート層が形成されたフィルムの裏面で且つ前記透明窓部分の周囲に、隠蔽層が形成された請求項２に記載の携帯型表示装置用保護板。
【請求項４】
前記金属薄膜層が形成されたフィルムの裏面で且つ前記透明窓部分の周囲に、隠蔽層が形成された請求項２又は請求項３のいずれかに記載の携帯型表示装置用保護板。
【請求項５】
強化ガラス板の裏面に、透明窓部分を覆い且つ当該透明窓部分の周囲に金属薄膜層が全体的または部分的に形成されたフィルムが糊層にて貼付され、その裏面に前記透明窓部分を少なくとも覆う硬質のオーバーコート層が形成されている請求項１記載の携帯型表示装置用保護板。
【請求項６】
前記オーバーコート層の裏面で且つ前記透明窓部分の周囲に、隠蔽層が形成された請求項４に記載の携帯型表示装置用保護板。
【請求項７】
前記金属薄膜層が形成されたフィルムの裏面で且つ前記透明窓部分の周囲に、隠蔽層が形成された請求項５又は請求項６のいずれかに記載の携帯型表示装置用保護板。
【請求項８】
前記金属薄膜層が形成されたフィルムが、前記フィルムの裏面側に記金属薄膜層が形成されたものである請求項２〜７記載の携帯型表示装置用保護板。
【請求項９】
前記金属薄膜層が形成されたフィルムが、前記フィルムの表面側に前記金属薄膜層が形成されたものである請求項２〜７記載の携帯型表示装置用保護板。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【公開番号】特開２００８−８３２６３（Ｐ２００８−８３２６３Ａ）
【公開日】平成２０年４月１０日（２００８．４．１０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−２６１５７６（Ｐ２００６−２６１５７６）
【出願日】平成１８年９月２６日（２００６．９．２６）
【出願人】（０００２３１３６１）日本写真印刷株式会社 (477)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年４月１０日（２００８．４．１０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年９月２６日（２００６．９．２６）
【出願人】（０００２３１３６１）日本写真印刷株式会社 (477)
【Ｆターム（参考）】
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