説明

携帯型記憶装置、および、携帯型記憶装置に記憶されるコンピュータプログラム

【課題】フラッシュメモリに記憶されたデータファイルを自動的に削除できるUSBストレージを提供する。
【解決手段】USBストレージ10のフラッシュメモリ13には、データファイル17に加え、AUTORUNファイル14によってPC2上で動作するファイル管理プログラム15が記憶されている。ファイル管理プログラム15は、PC2上で起動すると、起動回数カウンタ16をインクリメントした後、USBストレージ1のフラッシュメモリ13の管理領域13bに記憶されているデータファイル17の中から、削除カウンタ値18が起動回数カウンタ16の値以下のデータファイル17をフラッシュメモリ13から削除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USBストレージやUSB接続ハードディスクなどに代表され、携帯可能で大容量の記憶容量を有する携帯型記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の価格や磁気ディスクの価格の下落により、比較的低価格で大容量の記憶容量を備え、容易に持ち運び可能な、USBストレージやUSB接続ハードディスクなどの携帯型記憶装置が普及している。このような携帯型記憶装置を利用すれば、ユーザは大量のファイルを容易に持ち運び可能になる。
【0003】
しかし、個人情報や営業情報などのデータファイルを携帯型記憶装置に記憶させた場合、紛失や盗難によって、携帯型記憶装置に記憶させたデータファイルの内容が漏洩し、個人或いは企業が損害を被る可能性があるため、携帯型記憶装置には、データファイルの漏洩を防止する対策が必要になる。
【0004】
携帯型記憶装置に記憶させたデータファイルの漏洩を防止する対策としては、携帯型記憶装置に記憶させたデータファイルを暗号化する手法が一般的にとられる。例えば、特許文献1では、データファイルの暗号化および復号化における操作を簡単化するために、携帯型記憶装置がコンピュータから取り外しされる要求を受けたときに、携帯型記憶装置に記憶されたデータファイルを自動的に暗号化する発明が開示されている。
【特許文献1】特開2004−295358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、携帯型記憶装置に記憶されたデータファイルを暗号化したとしても、データファイルの暗号化にはパスフレーズが利用されることが多く、パスフレーズさえわかれば、暗号化したデータファイルを復号可能なため、不必要なデータファイルは速やかに携帯型記憶装置から削除されることが望ましいが、従来の携帯型記憶装置には、自動的にデータファイルを削除する機能は備えられていなかった。
【0006】
そこで、本発明は、USBストレージやUSB接続ハードディスクなどの携帯型記憶装置において、携帯型記憶装置に記憶されたデータファイルを自動的に削除する携帯型記憶装置、および、この携帯型記憶装置に実装されるコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決する第1の発明は、コンピュータに接続して利用される携帯型記憶装置であって、前記携帯型記憶装置は、データファイルが記憶される記憶手段と、前記携帯型記憶装置が接続された前記コンピュータによって読み取られ、前記コンピュータ上で動作するファイル管理手段と、前記携帯型記憶装置がコンピュータに接続されたとき、前記コンピュータで前記ファイル管理手段を自動的に動作させる起動手段と、を備え、前記ファイル管理手段は、前記コンピュータ上で起動したときに、前記記憶手段の一部の領域で、前記ファイル管理手段が管理する管理領域内に記憶された前記データファイル毎に、前記データファイルに設けられた削除条件を参照し、前記削除条件が成立している前記データファイルを前記記憶手段から削除することを特徴とする。
【0008】
上述した第1の発明によれば、前記削除条件が成立している前記データファイルを前記記憶手段から削除することで、前記携帯型記憶装置に記憶された前記データファイルは自動的に削除されるため、前記携帯型記憶装置のユーザが前記データファイルを手動で削除する手間を省くことができる。
【0009】
ここで前記携帯型記憶装置とは、USBストレージやUSB接続ハードディスクに代表され、携帯可能な大容量の記憶装置を意味する。
【0010】
更に、第2の発明は、第1の発明に記載の携帯型記憶装置において、前記ファイル管理手段は、前記ファイル管理手段が起動する毎に、前記ファイル管理手段によってインクリメントされる起動回数カウンタを前記記憶手段に有し、前記データファイル毎に設けられた前記削除条件の一つは、前記データファイルを削除するときの前記ファイル管理手段の起動回数で、前記ファイル管理手段は、前記コンピュータ上で起動したときに、前記削除条件として設定されている前記起動回数が前記起動回数カウンタの値以下の前記データファイルを前記記憶手段から削除することを特徴とする。
【0011】
上述した第2の発明によれば、前記ファイル管理手段の起動回数に応じて前記データファイルを前記記憶手段から自動的に削除することができる。前記ファイル管理手段は、前記携帯型記憶装置がコンピュータに接続されたときに起動するため、前記ファイル管理手段の起動回数に応じて前記データファイルを前記記憶手段から自動的に削除することは、前記携帯型記憶装置がコンピュータに接続された回数に応じて、前記データファイルを前記記憶手段から自動的に削除することができることを意味している。
【0012】
更に、第3の発明は、第1の発明または第2の発明に記載の携帯型記憶装置において、前記ファイル管理手段は、アクセスを検知する毎にインクリメントするアクセスカウンタを、前記記憶手段の管理領域内に記憶された前記データファイル毎に設け、前記データファイル毎に設けられた前記削除条件の一つは、前記データファイルを削除するときの前記データファイルへのアクセス回数で、前記ファイル管理手段は、前記コンピュータ上で起動したときに、前記削除条件として設定されている前記アクセス回数が前記アクセスカウンタの値以下の前記データファイルを前記記憶手段から削除することを特徴とする。
【0013】
上述した第3の発明によれば、前記データファイルへのアクセス回数に応じて前記データファイルを前記記憶手段から自動的に削除することができるようになる。
【0014】
更に、第4の発明は、コンピュータに接続して利用される携帯型記憶装置に実装され、前記携帯型記憶装置が接続された前記コンピュータによって読み取られ、前記コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムであって、前記コンピュータ上で起動したときに、前記携帯型記憶装置に備えられた記憶手段に記憶されたデータファイル毎に、前記データファイルに設けられた削除条件を参照し、前記削除条件が成立している前記データファイルを前記記憶手段から削除する手段として、前記コンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムである。
【0015】
更に、第5の発明は、第4の発明に記載のコンピュータプログラムであって、前記データファイルに設けられた前記削除条件の一つは、前記データファイルを削除するときの前記コンピュータプログラムの起動回数で、前記コンピュータプログラムが起動する毎に、前記携帯型記憶装置の前記記憶手段に設けられた起動回数カウンタをインクリメントし、前記削除条件として設定されている前記起動回数が前記起動回数カウンタの値以下の前記データファイルを前記記憶手段から削除することを特徴とするコンピュータプログラムである。
【0016】
更に、第6の発明は、第4の発明または第5の発明に記載のコンピュータプログラムであって、前記データファイルに設けられた前記削除条件の一つは、前記データファイルを削除するときの前記データファイルへのアクセス回数で、前記データファイルへのアクセスを検知する毎に、前記データファイルに設けられたアクセスカウンタをインクリメントし、前記コンピュータプログラムが起動する毎に、前記削除条件として設定されている前記アクセス回数が前記アクセスカウンタの値以下の前記データファイルを前記記憶手段から削除することを特徴とするコンピュータプログラムである。
【0017】
第4の発明から第6の発明によれば、上述した第1の発明から第3の発明と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0018】
上述した本発明によれば、USBストレージやUSB接続ハードディスクなどの携帯型記憶装置において、携帯型記憶装置に記憶されたデータファイルを自動的に削除する携帯型記憶装置、および、この携帯型記憶装置に実装されるコンピュータプログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
ここから、本発明に係わる携帯型記憶装置をUSBストレージとしたときの実施形態について、図を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係わるUSBストレージ1の利用形態を説明する図である。
【0020】
本実施の形態に係わるUSBストレージ1は、パーソナルコンピュータ2(以下、PC)のUSBインターフェース2aに接続され利用され、プラグアンドプレイに対応した記憶装置で、USBストレージ1のメモリには、データファイル1bを管理する手段であるファイル管理プログラム1aと、ファイル管理プログラム1aによって管理されるデータファイル1bが記憶されている。
【0021】
USBストレージ1に備えられたファイル管理プログラム1aは、USBストレージ1内で動作するコンピュータプログラムでなく、USBストレージ1がPC2に接続されたとき、ファイル管理プログラム1aはPC2によって自動的に読み取られ、PC2内で自動的に実行されるコンピュータプログラムである。
【0022】
USBストレージ1のメモリにはファイル管理プログラム1aによって管理される管理領域が設けられている。ファイル管理プログラム1aによって管理されるデータファイル1bは管理領域に記憶され、ファイル管理プログラム1aによって管理されるデータファイル1bへは、ファイル管理プログラム1aを介してのみアクセス可能である。
【0023】
ファイル管理プログラム1aは、USBストレージ1のメモリの管理領域に記憶されたデータファイル1bを編集する機能に加え、USBストレージ1のメモリに記憶されたデータファイル1bを自動的にメモリから削除する機能を備えている。
【0024】
USBストレージ1は、ファイル管理プログラム1aを自動的にPC2上で起動させる機能を備え、ファイル管理プログラム1aは、USBストレージ1がPC2に接続されたとき、PC2によって自動的に読み取られ、PC2上で自動的に起動する。
【0025】
ファイル管理プログラム1aは、PC2上で起動すると、USBストレージ1のメモリの管理領域内に記憶されているデータファイル1bの一覧をPC2上に表示させ、データファイル1bの一覧をPC2上に表示させるときに、削除条件が成立しているデータファイル1bを自動的にUSBストレージ1のメモリから削除する。
【0026】
本発明は、削除条件を限定するものではないが、削除条件として、ファイル管理プログラム1aの起動回数や、データファイル1bへのアクセス回数を利用することが好適である。
【0027】
ファイル管理プログラム1aの起動回数や、データファイル1bへのアクセス回数を利用して、USBストレージ1のメモリに記憶されたデータファイル1bを自動的に削除することで、ユーザがデータファイル1bの削除を忘れていても、データファイル1bは自動的にUSBストレージ1のメモリから削除されるため、USBストレージ1に記憶されたデータファイル1bを手動で削除する手間を省くことができる。
【0028】
(実施例1)
まず、ファイル管理プログラムの起動回数を利用して、USBストレージに記憶されたデータファイルを削除する実施例について説明する。
【0029】
図2は、ファイル管理プログラムの起動回数を利用してデータファイルを削除する、実施例1のUSBストレージ10のブロック図である。
【0030】
図2に図示したように、実施例1のUSBストレージ10には、USBの規格に準拠したデータ通信を実現する回路であるUSBコントローラ11と、ファームウェアやCPUなどを有するドライバモジュール12と、記憶手段としてフラッシュメモリ13を備えている。
【0031】
ドライバモジュール12は、USBコントローラ11を介してPC2から送信されたコマンドを解釈し、PC2に接続された記憶装置のように返信する機能を備え、このドライバーモジュール12によって、フラッシュメモリ13には仮想CD−ROM領域13aと、ファイル管理プログラム15によって管理される管理領域13bとが設けられる。
【0032】
PC2からの読み出しは許可されるが、書込みが許可されない仮想CD−ROM領域13aには、上述しているファイル管理プログラム15と、ファイル管理プログラム15を自動的にPC2上で起動させる仕組みであるAUTORUNファイル14が記憶されている。
【0033】
媒体であるCD−ROMに記憶されたコンピュータプログラムを自動で起動させるための一般的な手法であるAUTORUNファイル14には、少なくともファイル管理プログラム15のプログラム名が記述されている。
【0034】
PC2にUSBストレージ10が接続されると、PC2は、AUTORUNファイル14に記述されたプログラム名で特定されるコンピュータプログラム(ここでは、ファイル管理プログラム15)を読み取り、読み取ったコンピュータプログラム(ここでは、ファイル管理プログラム15)を実行することで、AUTORUNファイル14で特定されるコンピュータプログラム(ここでは、ファイル管理プログラム15)がPC2上で自動的に起動する。
【0035】
AUTORUNファイル14によって起動するファイル管理プログラム15は、管理領域13b内に記憶されたデータファイル17を管理するコンピュータプログラムで、この管理領域13bには、個人情報や営業情報などの複数のデータファイル17に加え、ファイル管理プログラム15が起動するごとにインクリメントされる起動回数カウンタ16が記憶される。
【0036】
上述しているように、ファイル管理プログラム15は、PC2にUSBストレージ10が接続されるごとに起動するため、起動回数カウンタ16の値は、PC2にUSBストレージ10が接続された回数を意味することになる。
【0037】
データファイル17が管理領域13bに記憶されるとき、データファイル17を削除するときの削除条件として、データファイル17を削除するときの起動回数カウンタ16の値を示す削除カウンタ値18が、ファイル管理プログラム15によってデータファイル17に付与される。
【0038】
ここで、削除カウンタ値18をデータファイル17に付与するときは、データファイル17のファイル情報の未利用領域に削除カウンタ値18を記述しておくとよい。
【0039】
ファイル管理プログラム15は、PC2上で起動すると、起動回数カウンタ16をインクリメントした後、フラッシュメモリ13の管理領域13bに記憶されたデータファイル17の一覧をPC2上に表示させるときに、各々のデータファイル17の削除カウンタ値18と起動回数カウンタ16の値とを比較し、削除カウンタ値18が起動回数カウンタ16の値以下であるデータファイル17を削除する。
【0040】
図5は、ファイル管理プログラム15が表示する画面を説明する図である。図5で図示したように、画面3には、フラッシュメモリ13の管理領域13bに記憶されるデータファイル17を操作するためのアイコン3aに加え、フラッシュメモリ13の管理領域13bに記憶されるデータファイル17(ここでは、File1~File3の3つ)の一覧が表示される。
【0041】
画面3において、データファイル17内に括弧()で括って表示している数字は、それぞれのデータファイル17に設定された削除カウンタ値18を示し、実際の画面においては、この削除カウンタ値18を表示する必要はない。
【0042】
図5に従えば、File1のデータファイル17の削除カウンタ値18は「10」で、起動回数カウンタ16の値が「10」になったときに、File1のデータファイル17は自動的にUSBストレージ10から削除される。同様に、File2のデータファイル17の削除カウンタ値18は「11」、そして、File3のデータファイル17の削除カウンタ値18は「12」であるため、起動回数カウンタ16の値が「11」になったときに、File2のデータファイル17は自動的にUSBストレージ10から削除され、起動回数カウンタ16の値が「12」になったときに、File3のデータファイル17は自動的にUSBストレージ10から削除される。
【0043】
ここから、USBストレージ10が、ファイル管理プログラム15の起動回数を利用してデータファイル17を削除する手順について説明する。図3は、実施例1のUSBストレージ10が、ファイル管理プログラム15の起動回数を利用してデータファイル17を削除する手順を示した図である。
【0044】
USBストレージ10をユーザが利用するとき、ユーザはPC2のUSBポート2aにUSBストレージ10を挿入し、USBストレージ10をPC2に接続させる(ステップS1)。なお、本実施形態では携帯型記憶装置をUSBストレージ10としているが、携帯型記憶装置がIEEE-1394を通信インターフェースとして備えているときは、PC2と携帯型記憶装置とはIEEE-1394で接続される。
【0045】
USBストレージ10がPC2に接続されると、USBストレージ10に備えられたフラッシュメモリ13の仮想CD−ROM領域13aに記憶されたAUTORUNファイル14の機能によって、仮想CD−ROM領域13aに記憶されたファイル管理プログラム15がPC2上で起動し(ステップS2)、ファイル管理プログラム15が起動すると、ファイル管理プログラム15は管理領域13bの起動回数カウンタ16を一つインクリメントする(ステップS3)。
【0046】
次に実行される処理は、ループL1からループL2間で定義されるループ処理で、このループ処理は、管理領域13bに記憶された各々のデータファイル17に対して実行される。
【0047】
このループ処理の最初で、ファイル管理プログラム15はデータファイル17毎に設定されている削除カウンタ値18を取得し、起動回数カウンタ16の値と削除カウンタ値18とを比較する(ステップS4)。削除カウンタ値18が起動回数カウンタ16の値以下であるときは、そのデータファイル17をフラッシュメモリ13から削除し(ステップS5)、削除カウンタ値18が起動回数カウンタ16の値以下でないときは、そのデータファイル17を管理領域13bから削除しない。
【0048】
なお、ファイル管理プログラム15はデータファイル17を削除するとき、削除するデータファイル17に関連付けて記憶された削除カウンタ値18もフラッシュメモリから削除する。
【0049】
ループL1からループL2間で定義されるループ処理が実行されることで、削除カウンタ値18が起動回数カウンタ16の値以下でデータファイル17が管理領域13bからすべて削除される。
【0050】
上述した手順において、ファイル管理プログラム15に参照される削除カウンタ値18は、フラッシュメモリ13の管理領域13bにデータファイル17が記憶されるとき、ファイル管理プログラム15によってデータファイル17に付与される。
【0051】
図4は、実施例1のUSBストレージ10にデータファイル17が記憶される手順を示した図である。USBストレージ10とPC2が接続され、データファイル17がフラッシュメモリ13の管理領域13bに記憶されるとき、USBストレージ10のユーザによって、フラッシュメモリ133の管理領域13bに記憶されるデータファイル17が指定される(ステップS10)。
【0052】
例えば、ファイル管理プログラム15がPC2上に表示させる画面(例えば、図5)へ、データファイル17がドラック&ドロップされることで、フラッシュメモリ13の管理領域13bに記憶されるデータファイル17が指定される。
【0053】
指定されたデータファイル17を管理領域13bに記憶するとき、ファイル管理プログラム15は、管理領域13bに記憶するデータファイル17に付与する削除カウンタ値18を演算する(ステップS11)。
【0054】
データファイル17に付与する削除カウンタ値18は、データファイル17を管理領域13bに記憶するときの起動回数カウンタ16の値に、設定された回数を加算することで演算される。例えば、起動回数カウンタ16の値が「10」で、設定された回数が「5」ならば、削除カウンタ値18は「15」になり、データファイル17が記憶された後、USBストレージ10がPC2に5回接続されると、このデータファイル17はフラッシュメモリ13から削除される。
【0055】
起動回数カウンタ16の値に加算される回数は、ファイル管理プログラム15に予め設定されていてもよく、また、ユーザに設定させてもよい。
【0056】
図6は、ユーザが起動回数カウンタ16の値に加算される回数を設定するときに、PC2に表示される画面の一例である。起動回数カウンタ16の値に加算される回数をユーザに設定させるとき、ファイル管理プログラム15は、PC2に図6で図示したような画面を表示させ、図6のフォームに入力された値を起動回数カウンタ16の値に加算して、削除カウンタ値18を演算する。
【0057】
ファイル管理プログラム15は、管理領域に記憶するデータファイル17に付与する削除カウンタ値18を演算すると、指定されたデータファイル17と削除カウンタ値18をUSBストレージ10へ送信することで、データファイル17が管理領域13bに記憶される(ステップS12)。
【0058】
例えば、ファイル管理プログラム15は、管理領域13bに記憶するデータファイル17のファイル情報の未利用領域に削除カウンタ値108を記述する。
【0059】
(実施例2)
次に、データファイルへのアクセス回数を利用して、USBストレージに記憶されたデータファイルを削除する実施例について説明する。
【0060】
図7は、データファイルへのアクセス回数を利用してデータファイルを削除する、実施例2のUSBストレージ100のブロック図である。なお、図7において、図2で説明した内容と変更ない構成要素については、図2と同じ符号を付与している。
【0061】
図7に図示したように、USBストレージ100には、USBインターフェースを利用して、USBの規格に準拠したデータ通信を実現する回路であるUSBコントローラ11と、ファームウェアやCPUなどを備えたドライバモジュール12と、データファイル17などが記憶されるフラッシュメモリ13を備えている。
【0062】
ドライバモジュール12は、USBコントローラ11を介してPC2から送信されたコマンドを解釈し、PC2に接続された記憶装置のように返信する機能を備え、このドライバーモジュール12によって、フラッシュメモリ13には仮想CD−ROM領域13aと、ファイル管理プログラム105によって管理される管理領域13bとが設けられる。
【0063】
仮想CD−ROM領域13aには、図2と同様にファイル管理プログラム105と、ファイル管理プログラム105を自動的に起動させる仕組みであるAUTORUNファイル14が記憶され、AUTORUNファイル14によって、USBストレージ100がPC2と接続したときファイル管理プログラム105は自動的にPC2上で起動する。
【0064】
AUTORUNファイル14によって起動するファイル管理プログラム105は、管理領域13b内に記憶されたデータファイル17を管理するコンピュータプログラムで、この管理領域13bには、個人情報や営業情報などの複数のデータファイル17が記憶される。
【0065】
データファイル17が管理領域13bに記憶されるとき、データファイル17へのアクセス回数をカウントするためのアクセスカウンタ106と、データファイル17を削除するときの削除条件として、データファイル17を削除するときのアクセスカウンタ106の値を示す削除カウンタ値108とが、ファイル管理プログラム105によってデータファイル17に付与される。
【0066】
ファイル管理プログラム105は、AUTORUNファイル14によって起動すると、フラッシュメモリ13の管理領域13bに記憶された各データファイル17のアクセスカウンタ106の値と削除カウンタ値108とを比較し、削除カウンタ値108がアクセスカウンタ106の値以下のデータファイル17をすべて削除する。
【0067】
図8は、ファイル管理プログラム105によってPC2上に表示される画面5を説明する図である。図8で図示したように、画面5には、管理領域13bに記憶されるデータファイル17を操作するためのアイコン5aに加え、管理領域13bに記憶されるデータファイル17(ここでは、File10~File12の3つ)の一覧が表示される。
【0068】
画面5おいて、データファイル17内に括弧()で括って表示している数字は、それぞれのデータファイル17のアクセスカウンタ106の値と削除カウンタ値108を示し、実際の画面においては、これらの数字を表示する必要はない。
【0069】
図8に従えば、File10のデータファイル17のアクセスカウンタ106の値は「1」で、削除カウンタ値108は「5」、File11のデータファイル17のアクセスカウンタ106の値は「1」で、削除カウンタ値108は「6」、File12のデータファイル17のアクセスカウンタ106の値は「1」で、削除カウンタ値108は「7」である。
【0070】
File10のアクセスカウンタ106の値が「5」以上になると、File10のデータファイル17は自動的に削除され、File11のアクセスカウンタ106の値が「6」以上になると、File11のデータファイル17は自動的に削除され、File12のアクセスカウンタ106の値が「7」以上になると、File12のデータファイル17は自動的に削除される。
【0071】
ここから、USBストレージ100が、データファイル17へのアクセス回数を利用してデータファイル17を削除する手順について説明する。図9は、実施例2のUSBストレージ100が、データファイル17へのアクセス回数を利用してデータファイル17を削除する手順を示したフロー図である。
【0072】
USBストレージ100をユーザが利用するとき、ユーザはPC2のUSBポート2aにUSBストレージ100を挿入し、PC2とUSBストレージ100を接続させると(ステップS20)、フラッシュメモリ13の仮想CD−ROM領域13aに記憶されたAUTORUNファイル14の機能によって、仮想CD−ROM領域13aに記憶されたファイル管理プログラム105がPC2上で起動する(ステップS21)。
【0073】
次に実行される処理は、ループL10からループL11間で定義されるループ処理で、このループ処理は、管理領域13bに記憶された各々のデータファイル17に対して実行される。
【0074】
このループ処理の最初で、ファイル管理プログラム105はデータファイル17毎に付与されている削除カウンタ値108とアクセスカウンタの値106とを取得し、それぞれの値を比較する(ステップS22)。
【0075】
そして、削除カウンタ値108がアクセスカウンタ106の値以下であるときは、そのデータファイル17をフラッシュメモリ13から削除し(ステップS23)、削除カウンタ値108がアクセスカウンタ106の値以下でないときは、そのデータファイル17をフラッシュメモリ13から削除しない。
【0076】
なお、ファイル管理プログラム105はデータファイル17を削除するとき、削除するデータファイル17に付与されたアクセスカウンタ106と削除カウンタ値108もフラッシュメモリ13から削除する。
【0077】
ループL10からループL11間で定義されるループ処理が実行されることで、削除カウンタ値108がアクセスカウンタ106の値以下であるデータファイル17すべてが管理領域13bから削除される。
【0078】
上述した手順において、ファイル管理プログラム105に参照されるアクセスカウンタ106および削除カウンタ値108は、USBストレージ100に備えられたフラッシュメモリ13の管理領域13bにデータファイル17が記憶されるときに、ファイル管理プログラム105によってデータファイル17ごとに付与される。
【0079】
そして、データファイル17へアクセス(例えば、図8において、データファイル17がダブルクリック)される毎に、アクセスされるデータファイル17に付与されたアクセスカウンタ106は、ファイル管理プログラム105によって一つインクリメントされる。
【0080】
図10は、実施例2のUSBストレージ100にデータファイル17が記憶される手順を示したフロー図である。ファイル管理プログラム105が削除カウンタ値108をデータファイル17に付与するとき、USBストレージ100とPC2が接続された状態で、USBストレージ100のユーザによって、フラッシュメモリ13の管理領域13bに記憶されるデータファイル17が指定される(ステップS30)。
【0081】
例えば、ファイル管理プログラム105がPC2上に表示させる画面(例えば、図8)へ、フラッシュメモリ13の管理領域13bに記憶されるデータファイル17がドラック&ドロップされることで、フラッシュメモリ13の管理領域13bに記憶されるデータファイル17が指定される。
【0082】
指定されたデータファイル17を管理領域13bに記憶するとき、ファイル管理プログラム105は、データファイル17に付与する削除カウンタ値108を決定する(ステップS31)。データファイル17に付与する削除カウンタ値108は、ファイル管理プログラム105に予め設定されていてもよく、また、ユーザに設定させてもよい。
【0083】
ファイル管理プログラム105は、データファイル17に付与する削除カウンタ値108を決定すると、データファイル17をUSBストレージ100へ送信することで、指定されたデータファイル17は管理領域13bに記憶される(ステップS32)。
【0084】
例えば、ファイル管理プログラム105は、管理領域13bに記憶するデータファイル17のファイル情報の未利用領域に、アクセスカウンタ106を設け、更に、削除カウンタ値108を記述する。
【0085】
なお、本発明は、これまで説明した実施の形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能である。
【0086】
例えば、本発明に係わる携帯型記憶装置をUSBストレージとして説明したが、本発明に係わる携帯型記憶装置はUSBストレージに限定されるものではない。例えば、USBインターフェースを備えたハードディスクも携帯型記憶装置として利用することができる。
【0087】
USBインターフェースを備えたハードディスクを携帯型記憶装置とするとき、USBストレージに備えられたフラッシュメモリを磁気ディスクとして考えればよい。
【0088】
更に、データファイルを削除する削除条件は一つでなくともよい。例えば、ファイル管理プログラムの起動回数とデータファイルへのアクセス回数の2つを利用して、データファイルを削除するようにしてもよい。
【0089】
このときは、データファイルを削除する削除条件として、データファイルを削除するときのファイル管理プログラムの起動回数とデータファイルのアクセス回数の2つがデータファイルに付与される。
【0090】
そして、実施例1で説明したように、起動回数が起動回数カウンタの値以下、或いは、実施例2で説明したように、アクセス回数がアクセスカウンタの値以下のいずれかになったとき、ファイル管理プログラムはデータファイルを削除する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本実施の形態に係わるUSBストレージの利用形態を説明する図。
【図2】実施例1のUSBストレージのブロック図。
【図3】実施例1のUSBストレージがデータファイルを削除する手順を示した図。
【図4】実施例1のUSBストレージにデータファイルが記憶される手順を示した図。
【図5】実施例1のファイル管理プログラムが表示する画面を説明する図。
【図6】ユーザが起動回数カウンタの値に加算される回数を設定するときに、PCに表示される画面の一例を示した図。
【図7】実施例2のUSBストレージのブロック図。
【図8】実施例2のファイル管理プログラムが表示する画面を説明する図。
【図9】実施例2のUSBストレージがデータファイルを削除する手順を示した図。
【図10】実施例2のUSBストレージにデータファイルが記憶される手順を示した図。
【符号の説明】
【0092】
1、10、100 USBストレージ
11 USBコントローラ
12 ドライバモジュール
13 フラッシュメモリ
13a 仮想CD−ROM領域
13b 管理領域
14 AUTORUNファイル
15、105 ファイル管理プログラム
16 起動回数カウンタ
106 アクセスカウンタ
17 データファイル
18、108 削除カウンタ値
2 パーソナルコンピュータ(PC)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに接続して利用される携帯型記憶装置であって、前記携帯型記憶装置は、データファイルが記憶される記憶手段と、前記携帯型記憶装置が接続された前記コンピュータによって読み取られ、前記コンピュータ上で動作するファイル管理手段と、前記携帯型記憶装置がコンピュータに接続されたとき、前記コンピュータで前記ファイル管理手段を自動的に動作させる起動手段と、を備え、前記ファイル管理手段は、前記コンピュータ上で起動したときに、前記記憶手段の一部の領域で、前記ファイル管理手段が管理する管理領域内に記憶された前記データファイル毎に、前記データファイルに設けられた削除条件を参照し、前記削除条件が成立している前記データファイルを前記記憶手段から削除することを特徴とする携帯型記憶装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯型記憶装置において、前記ファイル管理手段は、前記ファイル管理手段が起動する毎に、前記ファイル管理手段によってインクリメントされる起動回数カウンタを前記記憶手段に有し、前記データファイル毎に設けられた前記削除条件の一つは、前記データファイルを削除するときの前記ファイル管理手段の起動回数で、前記ファイル管理手段は、前記コンピュータ上で起動したときに、前記削除条件として設定されている前記起動回数が前記起動回数カウンタの値以下の前記データファイルを前記記憶手段から削除することを特徴とする携帯型記憶装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の携帯型記憶装置において、前記ファイル管理手段は、アクセスを検知する毎にインクリメントするアクセスカウンタを、前記記憶手段の管理領域内に記憶された前記データファイル毎に設け、前記データファイル毎に設けられた前記削除条件の一つは、前記データファイルを削除するときの前記データファイルへのアクセス回数で、前記ファイル管理手段は、前記コンピュータ上で起動したときに、前記削除条件として設定されている前記アクセス回数が前記アクセスカウンタの値以下の前記データファイルを前記記憶手段から削除することを特徴とする携帯型記憶装置。
【請求項4】
コンピュータに接続して利用される携帯型記憶装置に実装され、前記携帯型記憶装置が接続された前記コンピュータによって読み取られ、前記コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムであって、前記コンピュータ上で起動したときに、前記携帯型記憶装置に備えられた記憶手段に記憶されたデータファイル毎に、前記データファイルに設けられた削除条件を参照し、前記削除条件が成立している前記データファイルを前記記憶手段から削除する手段として、前記コンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のコンピュータプログラムであって、前記データファイルに設けられた前記削除条件の一つは、前記データファイルを削除するときの前記コンピュータプログラムの起動回数で、前記コンピュータプログラムが起動する毎に、前記携帯型記憶装置の前記記憶手段に設けられた起動回数カウンタをインクリメントし、前記削除条件として設定されている前記起動回数が前記起動回数カウンタの値以下の前記データファイルを前記記憶手段から削除することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のコンピュータプログラムであって、前記データファイルに設けられた前記削除条件の一つは、前記データファイルを削除するときの前記データファイルへのアクセス回数で、前記データファイルへのアクセスを検知する毎に、前記データファイルに設けられたアクセスカウンタをインクリメントし、前記コンピュータプログラムが起動する毎に、前記削除条件として設定されている前記アクセス回数が前記アクセスカウンタの値以下の前記データファイルを前記記憶手段から削除することを特徴とするコンピュータプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−15468(P2009−15468A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174622(P2007−174622)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】