説明

携帯型警報装置

【課題】
本発明は、異常検知において誤作動がなく、警告時の避難を確実なものとし、あらゆる現場への持ち運びが可能な小型の携帯式であり、光がより遠くまで視認できる警報装置と、その警報システムを提供することを課題とする。
【解決手段】
異常検知時に信号を送信する送信手段と、信号を受信すると任意に設定した時間で警報ライト及びブザーを作動させる制御手段と、制御手段からの信号により光と音にて警報を発する警報手段と、蓄電池を充電する充電手段と、現場の状況を動画として記録できる動画記録手段とを備え、小型化と蓄電池駆動による携帯性に優れた構造であること、異常検知信号を送信する者を限定すること、光による警告を、2つの発光色の組み合わせであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場や店舗、銀行、公園等、人の集まる場所や建物等、あらゆる現場や場所にも移動可能な、危険予防及び防犯用の携帯型警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の警報装置は、異常を検知する検知手段と、検知された信号を受信し警報器を作動する制御手段と、制御手段から受けた信号により警報を音又は光等で発する警報手段を備え、検知、制御、警報までを一連のシステムとし、そのシステム内に人は介在せず、全て自動的に作動するものである。一方では、検知手段が本来検知すべき対象から外れるものであっても、センサー等が感知してしまい、警報の目的から考えると誤動作となり、誤報を発してしまう課題も抱えている。
【0003】
特開2004−272754においては、誤報防止の手段として、検知手段からの信号を受けたカメラ装置が侵入者を撮影し、伝達手段により端末装置へ画像データを送信し、端末装置に表示された画像を人が確認してから、警報を発する技術が記載されているが、検知手段はセンサー等の機械装置に依存しているため、検知そのものの誤作動は避けられない。
また、前述の警報装置は、例えば不審者の侵入等があった場合に、検知をする対象と、警報により威嚇等を発する対象が同一のものであり、監視する側には異常を通知することに留まり、監視側を警告し避難を促すものではない。警報装置を設置する対象も建物等の不動産が多く、持ち運び可能な携帯型の装置は少ない。
【0004】
道路工事においては、前方不注意や居眠り運転等により、その工事現場へ車両が突入してしまい、作業者が死亡するまたは重症を負う等の悲惨な事故も発生している。工事中であることを、その現場付近を通行する車両の運転手等の工事関係者以外の者に光や音等で認知させることも必要であるが、前方不注意や居眠り運転の場合にはそれらを認識できず、ほとんど効果が見込めない。これは湾岸工事の場合でも同様である。
【0005】
これらの事故を防止することは運転者等の資質にまで及ぶこととなり効果を期待することは難しい。しかし、万一事故が起きそうなときに、工事作業者等が早めにその場を避難できれば、最悪の事態は回避可能と考えられる。事故を予見することを、機械装置で判断することは、高度な技術と投資が必要であり非現実的である。また、これらの状況判断は機械ではなく、人に委ねることがより信頼度が高まると考えられる。
【0006】
警報装置も警告する対象が、工事等の関係者以外の者ではなく、工事等の関係者を対象とし、異常の検知と判断を人が行い、かつ検知と判断をする者を予め決め、関係者にはその検知と判断をする者を前もって知らせておくことで、警報が発せられたときに、誤作動を疑うことなく、迅速に避難行動をとることが可能であると考えられる。
【0007】
工事現場は作業が完了すると、また別の現場へ移動することを繰り返えしているため、警報装置も携帯型で移動が容易であるものが望ましい。更に、光で警告を発する場合は可能な限り遠くから視認でき、特に霧等の天候不順であっても視認可能なものが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−272754号(4頁、0018)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
警報装置は繰り返し誤作動が発生すると、装置の信頼性を失い本来異常が発生していても、いつもの誤作動と思い込んでしまい、本来の機能を果たせない事態に陥ることとなる。物損等の軽微な被害で済むものであればまだ被害も少ないが、これが人命に係わることとなると重大な事態となる。
【0010】
本発明は、異常検知において誤作動がなく、警告時の避難を確実なものとし、あらゆる現場への持ち運びが可能な小型の携帯式で、警報の光がより遠くまで視認でき、現場の状況を動画として記録できる警報装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
異常検知時に信号を送信する送信手段と、送信手段から送信された信号を受信し、任意に設定した時間で警報ライト及びブザーを作動させる制御手段と、制御手段からの信号により光と音にて警報を発する警報手段と、蓄電池を充電する充電手段と、現場の状況を動画として記録できる動画記録手段とを備え、小型化と蓄電池駆動により、携帯性の優れた構造としたことを第1の特徴とし、異常の検知及び判断をして、異常検知信号の送信を人が行い、その者を限定し、かつ予め決めておくことで、警報の信憑性と信頼性を確保し、迅速に避難できるシステムであることを第2特長とし、警報手段のひとつである光による警告は、2つの発光色を組み合わせることで、より遠くから視認でき、特に霧等の天候不順時にも視認可能とすることを第3の特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の携帯型警報装置により、異常を早期に発見し、或いは異常を予測することで、迅速な避難が実現可能となり、被害を最小限に抑えることが可能となる。
【0013】
本発明の携帯型警報装置により、携帯性が向上し、工事現場のみならず、コンビニアンスストア等の販売店、銀行、公園等の人の集まる場所での防犯用としても利用でき、事故や犯罪を未然に防止することが可能となる。
【0014】
本発明の警報手段である2つの発光色を組み合わせた光による警告により、より遠くから異常の発生や作業していることを視認でき、霧等の天候不順時にも視認性が向上し、事故等を未然に防止することが可能となる。
【0015】
本発明の動画記録手段により、事故発生時等の異常状態を動画として記録できることで、事故発生時の状況を検証することも可能となり、事故検証のみならず再発防止策の検討立案にも貢献することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一例の正面図
【図2】本発明の一例の背面図
【図3】本発明の一例の右側面図
【図4】本発明の一例の左側面図
【図5】本発明の一例の平面図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0017】
本発明の携帯型警報装置について、図面を引用して説明する。
【0018】
装置の構成は、異常検知時に信号を送信する送信器と、制御ボックス3に制御手段となる信号受信部を有する信号制御回路と蓄電池を収納し、光での警報手段となるパトライト及びフラッシュライトを取付ける。警報音ボックス4には、音の警報手段であるブザー9を取付け、ハンドル7に蓄電池を充電するための、太陽電池パネル8を取り付ける。また、ハンドル7には、現場の状況を動画で記録するための、カメラユニット12を取り付ける。
図1は本発明の一例の正面図、図2は本発明の一例の背面図、図3は本発明の一例の右側面図、図4は本発明の一例の左側面図、図5は本発明の一例の平面図である。
【0019】
ハンドル7に底板5及び車輪6を取付けて台車を構成し、該台車の底板5の上に警報音ボックス4を、その上に制御ボックス3を重ね固定する。制御ボックス3には、警報用のパトライト1を2つ上面に取付け、側面にフラッシュライト2を2つ取付け、制御ボックス3の内部に収納されている信号制御回路に配線する。信号制御回路には駆動源である蓄電池を配線する。ライトの数は2つに限定するものではないが、複数個用いたほうが効果的である。
【0020】
警報音ボックス4には、ブザーを取り付け、信号制御回路へ配線する。本実施例では左右側面及び正面にブザーを各々2つ取付けてあるが、警報音量を加減するために、ブザーを1つ又は3つ以上取付けてもよく、2つに限定するものではない。警報音ボックス4の背面にもブザーを設けてもよく、側面のいずれか一方又は正面のブザーを設けなくてもよい。また側面のいずれか一方及び正面のブザーを設けなくてもよい。警報音ボックスのブザー取付け面の中央部付近にブザーを取り付け、ブザーの前方にあたる警報音ボックス内をホーン状に形成してもよい。
【0021】
カメラユニット12は、本実施例では四方に向けてカメラを4個設けているが、これに限定するものではなく、カメラ3個で任意の三方向に向けてもよく、取付け角度を均等にして360度に渡り撮影できるように取付けてもよい。また、1個又は2個のカメラで必要な場所を撮影できるようにしてもよく、使用目的に合わせて必要に応じて取付ければよい。
【0022】
カメラユニット12はポール13の先端に取付け、水平に回動自在にする。ポール13は固定具14の内部に収まるよう差込み式とし、垂直方向に長さが可変可能とすることで、設置する高さを自在に調整できるようにする。固定具14はハンドル7の垂直側のポールへ固定する。
【0023】
動画の撮影時間は、カメラに取り付けるメモリー媒体の容量により決定されるが、メモリー媒体の容量を使いきった段階で、新たな映像を上書き記録する構成とする。この構成により、可動時は常時映像を記録できるが、メモリー媒体の容量以上の記録はできないため、過去の映像は消去され、随時映像が更新記録されることになる。事故等の異常発生時は、後述する異常検知時の送信器により、撮影を停止することが可能とする。
【0024】
ハンドル7の上下中央部付近であって制御ボックス3の反対側には、太陽電池パネル8がアングル10を用いて取り付けられ、蓄電池へ配線する。監視時に太陽光が射している間は常に蓄電池を充電している。アングル10により、太陽電池パネル8の角度を可変可能とし、未使用時は折りたたむことができる。これらの構成により、小型で携帯可能な警告装置となる。
【0025】
異常検知後に信号を送信する送信手段は、送信器を用いて行うが、これは一般的にリモコンと呼ばれるもので、手のひらサイズの携帯型である。異常事態発生時に、即座に操作を可能とするために、腕に送信器収納ケースをベルト等で固定し、収納ケースへ送信器を収納しておき、使用時に即取り出せる構造とすることが望ましい。
【0026】
送信器からの信号を受信すると、信号制御回路はパトライト1、フラッシュライト2、ブザー9を稼動する信号を伝達することで、パトライト1及びフラッシュライト2を点灯し、同時にブザー9から警告音を鳴らし、異常事態が発生した事を告げる。
ライトの点灯とブザーを鳴らす時間は、信号制御回路内のプログラムにより設定が可能な構成とする。これら信号制御回路、パトライト、フラッシュライト、ブザーの駆動源は蓄電池である。
【0027】
送信器の操作は、例えばその現場での監督者等に代表される権限ある者に限定して行うことで、警報が作動した場合に疑いなく異常事態であることを認識し、作業者等は速やかにその場から避難することになる。送信機の操作者を予め決めておき、その現場の作業者等にも予め伝達しておくとより効果的である。該操作者は常に現場の周りの状況を把握し、場合によっては事態を予測する等をして、異常事態に備えて監視をする。また、それらの資質を備えた者が望ましい。
【実施例2】
【0028】
光で警告を発するライトは、赤色と黄色の2色の組合せであると、より遠くから視認が可能であり、霧や靄が発生していても視認性が高い。本発明者の実験結果では、霧発生時に、赤色又は黄色単独の場合に視認できる距離は30m程度であるが、赤色と黄色2色の組合せの場合、色は紫色となり視認可能な距離も2倍以上の70m程度まで長くなる。例えば、青色と他の色の組合せの場合、色が白っぽくなり霧のときなどはほとんど視認できない。ライトは本発明の構成である、パトライト及びフラッシュライトでも、同じ効果が得られる。
【0029】
この構成は、本発明の警報装置において、遠くで作業している者にも視認が可能で、より広範囲に異常事態を警告することが可能となる。また、道路や湾岸工事等において、工事中であることの標識として利用する場合にも、より遠くから視認でき、事故等を未然に防止するための効果的手段となる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の携帯型警報装置は、道路又は湾岸等の工事現場、銀行、店舗、公園等の人の集まる場所での防犯用として利用が可能であり、生産者において、製造及び販売することも可能となる。
【符号の説明】
【0031】
1 パトライト 7 ハンドル 13 ポール
2 フラッシュライト 8 太陽電池パネル 14 固定具
3 制御ボックス 9 ブザー
4 警報音ボックス 10 アングル
5 底板 11 警報信号受信部
6 車輪 12 カメラユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常検知時に信号を送信する送信手段と、送信手段から送信された信号を受信すると警報ライト及びブザーを作動させる制御手段と、光及び音で警報を発する警報手段と、動画を撮影記録する記録手段とを備えたことを特徴とする携帯型警報装置。
【請求項2】
太陽電池パネルにより、蓄電池を充電することを特長とするとする請求項1記載の携帯型警報装置。
【請求項3】
異常検知と信号を送信する者を限定したことを特長とするとする請求項1または2に記載の携帯型警報装置。
【請求項4】
ライトの色に、赤色と黄色の2色の組合せであることを特徴とする、請求項1から3いずれか1項に記載の携帯型警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−100366(P2011−100366A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255647(P2009−255647)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(308027488)有限会社吉辰工業 (1)
【Fターム(参考)】