説明

携帯型電子機器、タッチ領域設定方法およびプログラム

【課題】タッチセンサを具備する携帯型情報機器において、所定の入力操作としてのタッチ操作を受け付けるタッチ領域をより適切に設定できるようにする。
【解決手段】支点位置検出部230が、携帯端末装置100(携帯型情報機器)を把持した状態で指を動かす際の親指の支点位置を検出し、指長取得部225が、親指の長さを取得する。そして、アプリケーション処理部290は、操作入力部120のタッチセンサがタッチを検出可能な領域のうち、親指の支点位置および親指の長さに基づいて求められる指の可動範囲内に、所定の入力操作としてのタッチ操作を受け付けるタッチ領域(例えば、押ボタンのアイコンの表示領域)を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型電子機器、タッチ領域設定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルまたはタッチパッドなどのタッチセンサを備える携帯型電子機器において、携帯型電子機器を把持した手で操作を容易に行えるようにするために幾つかの方法が提案されている。
例えば、特許文献1に記載の携帯端末は、タッチパネルを有する携帯端末であって、タッチパネル上にキーやアイコンである項目を配置する配置手段を有し、タッチパネル上または前記タッチパネル周辺には、操作するユーザの指の位置を感知するセンサをさらに有し、配置手段は、センサで感知した操作するユーザの指の位置によって、項目を指の位置近傍に配置する。
このように、項目を指の位置の近傍に配置することで、ユーザが操作し易い位置に項目が配置されることを期待し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−20601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電子機器において、所定の入力操作としてのタッチ操作を受け付けるタッチ領域(特許文献1における「項目」)を設定(配置)する際、携帯型電子機器を把持した手で操作可能な領域をより正確に把握できれば、当該タッチ領域をより適切に設定し得る。
例えば、操作可能な領域が広い場合、操作可能な領域内に、より多くのアイコンを表示する、あるいは、各アイコンをより大きく表示することができる。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決することのできる携帯型電子機器、タッチ領域設定方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様による携帯型電子機器は、携帯型電子機器であって、タッチ位置を検出するタッチセンサと、前記携帯型電子機器を把持した状態で指を動かす際の指の支点位置を検出する支点位置検出部と、前記指の長さを取得する指長取得部と、前記タッチセンサがタッチを検出可能な領域のうち、前記指の支点位置および前記指の長さに基づいて求められる指の可動範囲内に、所定の入力操作としてのタッチ操作を受け付けるタッチ領域を設定するタッチ領域設定部と、を具備することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様によるタッチ領域設定方法は、タッチ位置を検出するタッチセンサを具備する携帯型電子機器のタッチ領域設定方法であって、前記携帯型電子機器を把持した状態で指を動かす際の指の支点位置を検出する支点位置検出ステップと、前記指の長さを取得する指長取得ステップと、前記タッチセンサがタッチを検出可能な領域のうち前記指の支点位置および前記指の長さに基づいて求められる指の可動範囲内に、所定の入力操作としてのタッチ操作を受け付けるタッチ領域を設定するタッチ領域設定ステップと、を具備することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様によるプログラムは、タッチ位置を検出するタッチセンサを具備する携帯型電子機器としてのコンピュータに、前記携帯型電子機器を把持した状態で指を動かす際の指の支点位置を検出する支点位置検出ステップと、前記指の長さを取得する指長取得ステップと、前記タッチセンサがタッチを検出可能な領域のうち前記指の支点位置および前記指の長さに基づいて求められる指の可動範囲内に、所定の入力操作としてのタッチ操作を受け付けるタッチ領域を設定するタッチ領域設定ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所定の入力操作としてのタッチ操作を受け付けるタッチ領域をより適切に設定し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態における携帯端末装置の機能構成を示す概略ブロック図である。
【図2】同実施形態における携帯端末装置を前面側から見た外形の概略を示す斜視図である。
【図3】同実施形態において可動範囲取得部が取得する親指の可動範囲の例を示す説明図である。
【図4】同実施形態において、可動範囲取得部が親指の可動範囲を取得する際の携帯端末装置100の動作を示すフローチャートである。
【図5】同実施形態において、アプリケーション処理部が表示部の表示画面に、タッチ領域を示すアイコンを表示させる際の携帯端末装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態における携帯端末装置の機能構成を示す概略ブロック図である。
【図7】同実施形態における携帯端末装置を前面側から見た外形の概略を示す斜視図である。
【図8】同実施形態における携帯端末装置を背面側から見た外形の概略を示す斜視図である。
【図9】同実施形態において可動範囲取得部が取得する指の可動範囲の例を示す説明図である。
【図10】同実施形態において筐体背面の辺に左手の掌が接触している状態の例を示す説明図である。
【図11】同実施形態において、アプリケーション処理部が、第1表示部の表示画面と、第2表示部の表示画面とに互いに対向して設定するタッチ領域の例を示す説明図である。
【図12】同実施形態において、アプリケーション処理部が、第1表示部の表示画面における位置を指定するタッチ領域を、第2表示部の表示画面上に設定した例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明を携帯端末装置に適用する場合を例に本発明の実施の形態について説明する。本発明は、携帯電話機や携帯情報端末装置などの様々な携帯端末装置に適用可能である。ただし、本発明の適用範囲は携帯端末装置に限らない。例えば、独立型の(すなわち、端末型でない)ゲーム機や電子辞書など、様々な携帯型情報機器に本発明を適用し得る。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態における携帯端末装置の機能構成を示す概略ブロック図である。同図において、携帯端末装置100は、表示部110と、操作入力部120と、側面センサ部130と、音声入力部141と、音声出力部142と、無線通信部150と、制御部180と、記憶部190とを具備する。操作入力部120は、前面タッチセンサ(タッチセンサ)121を具備する。制御部180は、表示制御部210と、入力処理部220と、指長取得部225と、支点位置検出部230と、可動範囲取得部235と、音声処理部240と、通信制御部250と、アプリケーション処理部(タッチ領域設定部)290とを具備する。
【0013】
携帯端末装置100は、例えば携帯情報端末装置であり、ユーザ操作に応じてインターネットブラウジング(Internet Browsing)機能や電子メール機能など各種機能を提供する。
表示部110は、例えば液晶ディスプレイまたは有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示画面を有し、表示制御部210の制御に従って動画像や静止画像やテキスト(文字)などの各種画像を表示する。
【0014】
操作入力部120は、表示部110の表示画面に設けられた前面タッチセンサ121にて、ユーザ操作を受け付ける。すなわち、表示部110の表示画面と操作入力部120のタッチセンサ121とで、タッチパネルを構成する。
操作入力部120は、表示部110の表示画面に対するタッチ操作を検出すると、タッチ位置(表示画面におけるタッチされた位置)を示す信号を入力処理部220に出力する。
【0015】
音声入力部141はマイクを有し、周囲音を採取して音声信号に変換し、音声処理部240に出力する。
音声出力部142はスピーカを有し、音声処理部240からアナログの電気信号にて出力される音声信号を音声に変換して出力する。
【0016】
側面センサ部130は、携帯端末装置100の筐体側面に設けられたセンサを有し、ユーザが携帯端末装置100の筐体を把持する際に、筐体側面に接触するユーザの手の位置を検出する。例えば、側面センサ部130は通電センサを有し、ユーザの手が当該通電センサに接触した際に、当該ユーザの手における電流の導通を検出することによってユーザの手の位置を検出する。ただし、側面センサ部130が有するセンサは、通電センサに限らず、ユーザの手の位置を検出可能なセンサであればよい。例えば、側面センサ部130が圧力センサを有し、携帯端末装置100の筐体を把持するユーザの手から加わる圧力を検出することによってユーザの手の位置を検出するようにしてもよい。
【0017】
無線通信部150は、無線基地局と通信を行うことにより、携帯電話通信網(通信事業者によって提供される携帯電話機用の無線通信ネットワーク)に接続する。具体的には、無線通信部150は、通信制御部250から出力される信号に対して変調処理を行って無線信号にて送信し、また、受信した無線信号に対して復調処理を行って通信制御部250に出力する。例えば、無線通信部150は、電子メールデータを無線信号にて送受信する。
【0018】
制御部180は、携帯端末装置100の各部を制御して各種機能を実行する。制御部180は、例えば、携帯端末装置100の具備するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が、携帯端末装置100の具備するメモリからプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0019】
表示制御部210は、表示部110を制御して各種画像を表示させる。具体的には、表示制御部210は、アプリケーション処理部290から出力される動画像データや静止画像データやテキストデータ等に基づいて画面表示用の信号を生成して表示部110に出力することにより、表示部110の表示画面に画像を表示させる。
【0020】
入力処理部220は、操作入力部120が受け付けた操作に応じた信号をアプリケーション処理部290に出力する。
例えば、入力処理部220は、表示部110がアイコン(Icon)を表示している状態で、表示部110の表示画面におけるタッチ位置を示す信号が操作入力部120から出力されると、アイコンをタッチされたか否かを判定する。そして、入力処理部220は、アイコンをタッチされたと判定すると、タッチされたアイコンを示す情報をアプリケーション処理部290に出力する。なお、ここでいうアイコンは、ファイル、フォルダ、アプリケーションプログラムあるいは機能など、選択対象ないし指定対象となっている事物を象徴する画像である。
【0021】
指長取得部225は、親指の長さを取得する。例えば、携帯端末装置100は、親指の長さの入力を受け付ける親指長入力モードを有し、指長取得部225は、当該親指長入力モードにおいて、表示部110の表示画面上にセンチメートル(cm)単位で手書き入力された親指の長さを検出して、当該親指の長さを記憶部190に書き込んでおく。そして、指長取得部225は、記憶部190から親指の長さを読み出すことによって親指の長さを取得する。
【0022】
支点位置検出部230は、ユーザが携帯端末装置100を把持した状態で親指を動かす際の親指の支点位置を検出する。支点位置検出部230が親指の支点位置を検出する方法については後述する。
可動範囲取得部235は、操作入力部120の前面タッチセンサ121がタッチを検出可能な領域のうち、携帯端末装置100の筐体を把持した手の親指が届く範囲を求める。以下では、携帯端末装置100の筐体を把持した手の親指が届く範囲を「親指の可動範囲」と称する。また、いずれかの指が届く範囲を「指の可動範囲」と称する。可動範囲取得部235は、支点位置検出部230が検出した親指の支点位置、および、指長取得部225が取得した親指の長さに基づいて、親指の可動範囲を求める。
【0023】
音声処理部240は、アプリケーション処理部290から出力される音声データを電気信号に変換して音声出力部142に出力することで、音声出力部142に音声を出力させる。また、音声処理部240は、音声入力部141が音声を採取して出力する電気信号を音声データに変換してアプリケーション処理部290に出力する。
【0024】
通信制御部250は、アプリケーション処理部290から出力されるデータに符号化等の処理を行って、無線通信部150に出力して変調させ、無線信号にて送信させる。また、通信制御部250は、無線通信部150が受信して復調した信号に、復号等の処理を行ってデータを抽出し、アプリケーション処理部290に出力する。例えば、通信制御部250は、アプリケーション処理部290から出力される電子メールデータに符号化等の処理を行って無線通信部150に出力し、また、無線通信部150が受信して復調した信号に復号等の処理を行って電子メールデータ等のデータを抽出してアプリケーション処理部290に出力する。
【0025】
アプリケーション処理部290は、アプリケーションを実行して(すなわち、アプリケーションプログラムを実行して)、インターネットブラウジング機能や電子メール機能など各種機能を提供する。
特に、アプリケーション処理部290は、操作入力部120の前面タッチセンサ121がタッチを検出可能な領域のうち、可動範囲取得部235が求めた親指の可動範囲内に、所定の入力操作としてのタッチ操作を受け付けるタッチ領域を設定する。例えば、アプリケーション処理部290は、ユーザの入力操作を受け付けるための押ボタン(入力キー)としてのアイコンを、表示部110の表示画面上の、親指の可動範囲内に表示させる。
【0026】
記憶部190は、例えば携帯端末装置100の具備するメモリの記憶領域にて実現され、各種データを記憶する。特に、記憶部190は、指長取得部225が検出した親指の長さを記憶する。また、記憶部190は、携帯端末装置100の具備するCPUが実行する各種プログラムを、予め記憶している。
【0027】
図2は、携帯端末装置100を前面側から見た外形の概略を示す斜視図である。同図において、携帯端末装置100の筐体前面に、表示部110の表示画面および操作入力部120のタッチセンサ(前面タッチセンサ121)に該当するタッチパネル式の表示画面と、音声入力部141のマイクと、音声出力部142のスピーカとが設けられている。また、携帯端末装置100の筐体の各側面には、側面センサ部130のセンサが設けられている。
【0028】
次に、図3を参照して、支点位置検出部230が検出する親指の支点位置、および、可動範囲取得部235が取得する親指の可動範囲について説明する。
図3は、可動範囲取得部235が取得する親指の可動範囲の例を示す説明図である。同図では、ユーザが、携帯端末装置100の筐体を両手持ちし、筐体前面のタッチパネルを親指で操作する場合の例が示されている。
【0029】
辺E101は、携帯端末装置100の筐体前面における左手側の辺である。また、辺E102は、携帯端末装置100の筐体前面における右手側の辺である。
点P101は、支点位置検出部230が検出する左手親指の支点位置である。また、点P102は、支点位置検出部230が検出する右手親指の支点位置である。
長さL101は、指長取得部225が取得する親指の長さを示す。
領域A111は、可動範囲取得部235が取得する左手親指の可動範囲である。また、領域A112は、可動範囲取得部235が取得する右手親指の可動範囲である。
また、領域A121と、領域A122とは、アプリケーション処理部290が表示部110の表示画面に表示させたアイコンによって示されるタッチ領域である。
また、領域A131は、辺E101のうち、左手親指の接する領域である。また、領域A132は、辺E102のうち、右手親指の接する領域である。
【0030】
ここで、支点位置検出部230は、側面センサ部130が検出するユーザの手の位置に基づいて、左手親指の支点位置(点P101)および右手親指の支点位置(点P102)を検出する。
例えば、支点位置検出部230は、側面センサ部130が検出するユーザの手の位置のうち、辺E101に接する領域(A131)の位置を、例えば携帯端末装置100の筐体前面における座標にて取得する。そして、支点位置検出部230は、領域A131の中心(線分の中心点)を、左手親指の支点位置(点P101)として検出する。
同様に、支点位置検出部230は、側面センサ部130が検出するユーザの手の位置のうち、辺E102に接する領域(A132)の位置を取得する。そして、支点位置検出部230は、領域A132の中心を、右手親指の支点位置(点P102)として検出する。
【0031】
また、可動範囲取得部235は、表示部110の表示画面の領域(すなわち、操作入力部120がタッチを検出可能な領域)のうち、左手親指の支点位置(点P101)を中心とし、親指の長さ(長さL101)を半径とする円と重なる領域(領域A111)を、左手親指の可動範囲として取得(設定)する。
同様に、可動範囲取得部235は、表示部110の表示画面の領域のうち、右手親指の支点位置(点P102)を中心とし、親指の長さ(長さL101)を半径とする円と重なる領域(領域A112)を、右手親指の可動範囲として取得(設定)する。
【0032】
そして、アプリケーション処理部290は、表示部110の表示画面の領域のうち、左手親指の可動範囲内または右手親指の可動範囲内に、所定の入力操作としてのタッチ操作を受け付けるタッチ領域を設定する。図3の例では、アプリケーション処理部290は、左手親指の可動範囲内に、押ボタンAのアイコンおよび押ボタンBのアイコンを表示させている。そして、これらアイコンの表示領域は、押ボタンを押下するタッチ操作を受け付けるタッチ領域に設定されている。
【0033】
次に図4および図5を参照して、携帯端末装置100の動作について説明する。
図4は、可動範囲取得部235が親指の可動範囲を取得する際の携帯端末装置100の動作を示すフローチャートである。携帯端末装置100は、例えば、アプリケーションの実行開始時に同図の処理を開始する。
【0034】
同図の処理において、まず、指長取得部225が、記憶部190から親指の長さを示す情報を読み出すことによって親指の長さを取得する(ステップS101)。
次に、支点位置検出部230は、図3で説明したように、側面センサ部130が検出するユーザの手の位置に基づいて、親指の支点位置を検出する(ステップS102)。
ここで、ユーザが携帯端末装置100の筐体を両手持ちしている場合は、側面センサ部130が、左手側と右手側との両方にユーザの手の接触する位置を検出し、支点位置検出部230は、左手と右手との両方について親指の支点位置を検出する。
一方、ユーザが携帯端末装置100の筐体を片手持ちしている場合、側面センサ部130が、当該手の側でのみユーザの手の接触する位置を検出し、支点位置検出部230は、当該手について親指の支点位置を検出する。例えば、ユーザが携帯端末装置100の筐体を右手のみで把持している場合、側面センサ部130が、筐体の右側(図3の例では辺E102側)でのみユーザの手の接触する位置を検出し、支点位置検出部230は、検出された位置に基づいて、右手親指の支点位置を検出する。
【0035】
次に、可動範囲取得部235が、指長取得部225が取得した指の長さと、支点位置検出部230が取得した親指の支点位置とに基づいて、表示部110の表示画面の領域における親指の可動範囲を取得する(ステップS103)。
ここで、ステップS102において、支点位置検出部230が、左手と右手との両方について親指の支点位置を検出した場合、可動範囲取得部235は、左手と右手との両方について親指の可動範囲を取得する。一方、支点位置検出部230が、一方の手について親指の支点位置を検出した場合、可動範囲取得部235は、当該手の親指の可動範囲を取得する。
その後、同図の処理を終了する。
【0036】
なお、携帯端末装置100が図4の処理を開始するタイミングは、上述したアプリケーションの実行開始時に限らない。例えば、携帯端末装置100が、アプリケーションの実行において操作キーのアイコンを表示する際に、同図の処理を開始するようにしてもよい。アイコンを表示する毎に可動範囲を取得することにより、ユーザが携帯端末装置100を持ち替えた場合でも、可動範囲取得部235は、親指の可動範囲を適切に検出し得る。従って、アプリケーション処理部290は、ユーザがタッチ操作容易な位置にタッチ領域を設定し得る。
【0037】
図5は、アプリケーション処理部290が表示部110の表示画面に、タッチ領域を示すアイコンを表示させる際の携帯端末装置100の動作を示すフローチャートである。携帯端末装置100は、例えば、アプリケーションの実行において操作キーのアイコンを表示する際に、同図の処理を開始する。
同図の処理において、まず、アプリケーション処理部290は、表示部110の表示画面の領域のうち、可動範囲取得部235によって親指の可動範囲に設定された領域内に、タッチ領域を設定する(ステップS201)。
【0038】
次に、アプリケーション処理部290は、タッチ領域を示すアイコン(例えば押ボタンのアイコン)の画像を取得し、取得したアイコンの画像を、ステップS201で設定したタッチ領域に表示させる(ステップS202)。
例えば、アプリケーション処理部290は、記憶部190が予め記憶するアイコン画像を読み出すことによって当該アイコン画像を取得し、取得したアイコン画像を、ステップS201で設定したタッチ領域に表示するよう指示する信号を、表示制御部210に出力する。そして、表示制御部210は、当該信号に従って表示部110を制御して、表示画面上の当該タッチ領域に当該アイコンを表示させる。
その後、同図の処理を終了する。
【0039】
以上のように、指長取得部225が、親指の長さを取得し、また、支点位置検出部230が、携帯端末装置100を把持した状態で指を動かす際の指の支点位置を検出する。そして、アプリケーション処理部290は、操作入力部120の前面タッチセンサ121がタッチを検出可能な領域のうち、親指の支点位置および親指の長さに基づいて求められる指の可動範囲内に、所定の入力操作としてのタッチ操作を受け付けるタッチ領域を設定する。
これによって、所定の入力操作としてのタッチ操作を受け付けるタッチ領域をより適切に設定し得る。すなわち、携帯端末装置100(可動範囲取得部235)は、親指の長さおよび親指の支点位置に基づいて、親指の可動範囲をより正確に取得し得る。そして、携帯端末装置100(アプリケーション処理部290)は、得られた親指の可動範囲内にタッチ領域を設定することで、ユーザがタッチ操作容易な位置にタッチ領域を設定し得る。
【0040】
また、携帯端末装置100は、タッチ領域を設定する位置を親指の可動範囲内に限定することで、タッチ操作の誤検出を防止し得る。
ここで、親指の可動範囲外にて検出されるタッチは、ネクタイまたは髪の毛が偶然接触して行われたタッチなど、ユーザの指以外によって行われたユーザの意図しないタッチであることが考えられる。特に、ユーザが携帯端末装置100の筐体を両手持ちしている場合、親指の可動範囲外にて検出されるタッチは、ユーザの指以外によって行われたユーザの意図しないタッチである可能性が高い。
そこで、携帯端末装置100は、タッチ領域を設定する位置を親指の可動範囲内に限定することで、親指の可動範囲外にて検出されるタッチを無視する(すなわち、当該タッチに対して別段の処理を行わない)ようにでき、タッチ操作の誤検出を防止し得る。
【0041】
<第2の実施形態>
図6は、本発明の第2の実施形態における携帯端末装置の機能構成を示す概略ブロック図である。同図において、携帯端末装置300は、第1表示部311と、第2表示部312と、第1操作部321と、第2操作部322と、側面センサ部130と、音声入力部141と、音声出力部142と、無線通信部150と、重力センサ部360と、制御部380と、記憶部190とを具備する。第1操作部321は、前面タッチセンサ326を具備する。第2操作部322は、背面タッチセンサ327を具備する。制御部380は、表示制御部410と、入力処理部420と、指長取得部425と、支点位置検出部430と、可動範囲取得部435と、音声処理部240と、通信制御部250と、傾き検出部460と、アプリケーション処理部(タッチ領域設定部、処理部)490とを具備する。
同図において、図1の各部に対応して同様の機能を有する部分には同一の符号(130、141、142、150、190、240、250)を付して説明を省略する。
【0042】
携帯端末装置300は、携帯端末装置100(図1)と同様、例えば携帯情報端末装置であり、ユーザ操作に応じてインターネットブラウジング(Internet Browsing)機能や電子メール機能など各種機能を提供する。ただし、携帯端末装置300は、背面にもタッチセンサ(背面タッチセンサ327)を具備する点で携帯端末装置100と異なる。
【0043】
第1表示部311は、例えば液晶ディスプレイまたは有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示画面を、携帯端末装置300の筐体前面に有し、表示制御部410の制御に従って動画像や静止画像やテキスト(文字)などの各種画像を表示する。
第2表示部312は、例えば液晶ディスプレイまたは有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示画面を、携帯端末装置300の筐体背面に有し、表示制御部410の制御に従って動画像や静止画像やテキスト(文字)などの各種画像を表示する。
【0044】
第1操作部321は、第1表示部311の表示画面に設けられたタッチセンサ(前面タッチセンサ326)を有し、ユーザ操作を受け付ける。すなわち、第1表示部311の表示画面と第1操作部321の前面タッチセンサ326とで、タッチパネルを構成する。
第1操作部321は、第1表示部311の表示画面に対するタッチ操作を検出すると、タッチ位置(表示画面におけるタッチされた位置)を示す信号を入力処理部420に出力する。
【0045】
第2操作部322は、第2表示部312の表示画面に設けられたタッチセンサ(背面タッチセンサ327)を有し、ユーザ操作を受け付ける。すなわち、第2表示部312の表示画面と第2操作部322の背面タッチセンサ327とで、タッチパネルを構成する。
但し、第2操作部322が有するタッチセンサは、携帯端末装置300の筐体背面に設けられたタッチパッドのタッチセンサであってもよい。すなわち、携帯端末装置300が、第2表示部312を具備せず、従って筐体背面に表示画面を具備せず、代わりに筐体背面にタッチパッドを具備するようにしてもよい。
第2操作部322は、第2表示部312の表示画面に対するタッチ操作を検出すると、タッチ位置(表示画面におけるタッチされた位置)を示す信号を入力処理部420に出力する。
【0046】
重力センサ部360は、筐体内部に設けられた重力センサ(加速度センサ)を有し、重力加速度を検出することで鉛直下向きを検出する。
【0047】
制御部380は、携帯端末装置300の各部を制御して各種機能を実行する。制御部380は、例えば、携帯端末装置300の具備するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が、携帯端末装置300の具備するメモリからプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0048】
表示制御部410は、第1表示部311と第2表示部312とを制御して、各々に各種画像を表示させる。具体的には、表示制御部410は、アプリケーション処理部490から出力される動画像データや静止画像データやテキストデータ等に基づいて画面表示用の信号を生成して第1表示部311に出力することにより第1表示部311の表示画面に画像を表示させ、また、同様に画面表示用の信号を生成して第2表示部312に出力することにより第2表示部312の表示画面に画像を表示させる。
【0049】
入力処理部420は、第1操作部321や第2操作部322が受け付けた操作に応じた信号をアプリケーション処理部490に出力する。
例えば、入力処理部420は、第1表示部311がアイコンを表示している状態で、第1表示部311の表示画面におけるタッチ位置を示す信号が第1操作部321から出力されると、アイコンをタッチされたか否かを判定する。そして、入力処理部420は、アイコンをタッチされたと判定すると、タッチされたアイコンを示す情報をアプリケーション処理部490に出力する。
【0050】
指長取得部425は、指長取得部225(図1)と同様、親指の長さを取得する。加えて、指長取得部425は、人差し指、中指、薬指または小指の少なくともいずれか1つの長さを取得する。
例えば、携帯端末装置300は、親指、人差し指、中指、薬指および小指の各々の長さの入力を受け付ける指長入力モードを有し、指長取得部425は、当該指長入力モードにおいて、第1表示部311の表示画面上にセンチメートル(cm)単位で手書き入力された各指の長さを検出して、当該各指の長さを記憶部190に書き込んでおく。そして、指長取得部425は、記憶部190から各指の長さを読み出すことによって各指の長さを取得する。
【0051】
支点位置検出部430は、支点位置検出部230(図1)と同様、ユーザが携帯端末装置300を把持した状態で親指を動かす際の親指の支点位置を検出する。加えて、支点位置検出部430は、携帯端末装置300を把持した状態で人差し指、中指、薬指または小指の少なくともいずれか1つを動かす際の当該指の支点位置を検出する。支点位置検出部430が人差し指、中指、薬指または小指の支点位置を検出する方法については後述する。
【0052】
可動範囲取得部435は、可動範囲取得部235(図1)と同様、第1操作部321の前面タッチセンサ326がタッチを検出可能な領域のうち、親指の可動範囲を求める。加えて、可動範囲取得部435は、第2操作部322の背面タッチセンサ327がタッチを検出可能な領域のうち、人差し指、中指、薬指または小指の少なくともいずれか1つについて、携帯端末装置300の筐体を把持した手の当該指が届く範囲を求める。以下では、人差し指、中指、薬指または小指について、携帯端末装置300の筐体を把持した手の当該指が届く範囲を、当該指の「可動範囲」と称する。
可動範囲取得部435は、支点位置検出部430が検出した指の支点位置、および、指長取得部425が取得した当該指の長さに基づいて、当該指の可動範囲を求める。
【0053】
傾き検出部460は、携帯端末装置300の筐体における基準の向きと、重力センサ部360が検出する鉛直下向きとの差を算出することによって、携帯端末装置300の筐体の傾きを検出する。例えば、傾き検出部460は、携帯端末装置300の筐体を横長に立てた際の鉛直下向きを携帯端末装置300の筐体における基準の向きとして、当該基準の向きと重力センサ部360が検出する鉛直下向きとの差を算出することによって、携帯端末装置300の筐体の左右方向の傾きを検出する。
【0054】
アプリケーション処理部490は、アプリケーション処理部290(図1)と同様、アプリケーションを実行して(すなわち、アプリケーションプログラムを実行して)、インターネットブラウジング機能や電子メール機能など各種機能を提供する。
特に、アプリケーション処理部490は、アプリケーション処理部290と同様、第1操作部321の前面タッチセンサ326がタッチを検出可能な領域のうち、可動範囲取得部435が求めた親指の可動範囲内に、所定の入力操作としてのタッチ操作を受け付けるタッチ領域を設定する。
また、アプリケーション処理部490は、第2操作部322の背面タッチセンサ327がタッチを検出可能な領域のうち、可動範囲取得部435が人差し指、中指、薬指または小指の少なくともいずれか1つについて求めた指の可動範囲内に、所定の入力操作としてのタッチ操作を受け付けるタッチ領域を設定する。
【0055】
図7は、携帯端末装置300を前面側から見た外形の概略を示す斜視図である。同図における外形は、図2における携帯端末装置100の外形と同様であり、携帯端末装置300の筐体前面に、第1表示部311の表示画面および第1操作部321のタッチセンサ(前面タッチセンサ326)に該当するタッチパネル式の表示画面と、音声入力部141のマイクと、音声出力部142のスピーカとが設けられている。また、携帯端末装置300の筐体の各側面には、側面センサ部130のセンサが設けられている。
【0056】
図8は、携帯端末装置300を背面側から見た外形の概略を示す斜視図である。同図において、携帯端末装置300の筐体裏面に、第2表示部312の表示画面および第2操作部322のタッチセンサ(背面タッチセンサ327)に該当するタッチパネル式の表示画面が設けられている。また、図7で説明したように、携帯端末装置300の筐体の各側面には、側面センサ部130のセンサが設けられている。
ここで図8に示す第2表示部312の表示画面は、図7に示す第1表示部311の表示画面に対向して配置されている。
【0057】
次に、図9を参照して、支点位置検出部430が検出する指の支点位置、および、可動範囲取得部435が取得する指の可動範囲について説明する。
図9は、可動範囲取得部435が取得する指の可動範囲の例を示す説明図である。同図では、ユーザが、携帯端末装置300の筐体を両手持ちし、筐体背面のタッチパネルを中指でタッチ操作する場合の例が示されている。
【0058】
辺E201は、携帯端末装置300の筐体背面における左手側の辺である。また、辺E202は、携帯端末装置300の筐体背面における右手側の辺である。
点P201は、支点位置検出部430が検出する左手中指の支点位置である。また、点P202は、支点位置検出部430が検出する右手中指の支点位置である。
長さL201は、指長取得部425が取得する中指の長さを示す。
領域A211は、可動範囲取得部435が取得する左手中指の可動範囲である。また、領域A212は、可動範囲取得部435が取得する右手中指の可動範囲である。
【0059】
例えば、指長取得部425が、人差し指、中指、薬指または小指のうちいずれか1本のみの長さを取得した状態(すなわち、記憶部190が、人差し指、中指、薬指または小指のうちいずれか1本のみの長さを記憶している状態)で、側面センサ部130が、辺E201において1本の指のみの接触を検出した場合、支点位置検出部430は、当該指の支点位置を検出する。ここで、タッチ操作を行う指は、タッチパネルに接触するために、他の指よりも筐体本体に近い位置にあることが期待される。そこで、側面センサ部130が接触を検出した指によってタッチ操作が行われるものと仮定して、支点位置検出部430が当該指の支点位置を検出するようにし、可動範囲取得部435が当該視点位置に基づいて指の可動範囲を取得するようにする。
支点位置検出部430は、図3で説明したのと同様に、指が辺201に接する領域の中心を、当該指の支点位置(P201)として検出する。
同様に、指長取得部425が、人差し指、中指、薬指または小指のうちいずれか1本のみの長さを取得した状態で、側面センサ部130が、辺E202において1本の指のみの接触を検出した場合、支点位置検出部430は、当該指の支点位置を検出する。
【0060】
また、可動範囲取得部435は、第2操作部322がタッチを検出可能な領域のうち、支点位置検出部430が検出した支点位置(図9の例では左手中指の支点位置である点P201、および、右手中指の支点位置である点P202)を中心とし、指長取得部425が取得する指の長さ(図9の例では中指の長さL201)を半径とする円と重なる領域(領域A211およびA212)を、指の可動範囲として取得(設定)する。
【0061】
そして、アプリケーション処理部490は、第2操作部322がタッチを検出可能な領域のうち、可動範囲取得部435が設定した指の可動範囲内に、所定の入力操作としてのタッチ操作を受け付けるタッチ領域を設定する。このタッチ領域の具体例については後述する。
なお、ユーザが携帯端末装置300の筐体を片手持ちしている場合、図4で説明したのと同様に、可動範囲取得部435は、筐体を把持している手の側について指の可動範囲を取得する。
【0062】
なお、側面センサ部130が、辺E201において4本の指の接触を検出した場合、支点位置検出部430は、各指の支点位置を検出し、可動範囲取得部435は、各指の可動範囲を取得する。この場合、可動範囲取得部435は、第1表示部311が表示画面に表示している画像における上側を、ユーザの体から遠い側と判定して、当該ユーザの体から遠い側の指から順に人差し指、中指、薬指、小指と判定する。そして、可動範囲取得部435は、各指の支点位置と、指長取得部425が取得する各指の長さとに基づいて、各指の可動範囲を取得する。右手(辺202側)についても同様である。
【0063】
また、側面センサ部130は、掌の接触を検出した場合、支点位置検出部430は、当該掌の接触位置に基づいて、各指の支点位置を検出する。
図10は、筐体背面の辺に左手の掌が接触している状態の例を示す説明図である。
ここで、長さL301は、筐体背面の辺に左手の掌が接触している部分の長さを示す。また、長さL302は、長さL301を8等分した長さである。
また、点P301〜P304は、支点位置検出部430が指の支点位置として検出する点である。
【0064】
支点位置検出部430は、筐体背面の辺に掌が接触している部分の端から長さL302の位置に支点位置(点P301)を検出する。同様に、支点位置検出部430は、筐体背面の辺に掌が接触している部分の端から長さL302の3倍の位置、5倍の位置、7倍の位置にそれぞれ支点位置(点P302、P303、P304)を検出する。ここで、人差し指、中指、薬指および小指の太さはおよそ等しい。そこで、各指の太さを長さL301の4分の1として、支点位置検出部430が上記のように支点位置を検出するようにする。
【0065】
次に、図11および図12を参照して、アプリケーション処理部490が設定するタッチ領域について説明する。
図11は、アプリケーション処理部490が、第1表示部311の表示画面と、第2表示部312の表示画面とに互いに対向して設定するタッチ領域の例を示す説明図である。
【0066】
同図において、領域A311およびA312は、第1表示部311の表示画面の領域において可動範囲取得部435が取得する親指の可動範囲を示す領域である。また、領域A321およびA322は、第2表示部312の表示画面の領域において可動範囲取得部435が取得する指(タッチ操作を行う指。以下では当該指を中指として説明するが、他の指であってもよいし、複数の指のいずれかでタッチ可能な領域であってもよい)の可動範囲を示す領域である。
また、領域A331は、アプリケーション処理部490が、第1表示部311の表示画面上に設定したタッチ領域である。また、領域A332は、アプリケーション処理部490が、第2表示部312の表示画面上に設定したタッチ領域である。
【0067】
アプリケーション処理部490は、第1表示部311の表示画面のうち親指の可動範囲内に、タッチ領域A331を設定する。その際、アプリケーション処理部490は、第2表示部312の表示画面において、タッチ領域A331に対向する領域(領域A332)が、中指の可動領域に含まれるように、タッチ領域A331を設定する。そして、アプリケーション処理部490は、このタッチ領域A331に対向する領域A332もタッチ領域として設定する。
すなわち、アプリケーション処理部490は、第1表示部311の表示画面と、第2表示部312の表示画面との、互いに対向する位置、かついずれの表示画面においても指の可動範囲に含まれる位置に、それぞれタッチ領域を設定する。
【0068】
このように、アプリケーション処理部490が、第1表示部311の表示画面と、第2表示部312の表示画面との、互いに対向する領域に、かつ、いずれの表示画面においても指の可動範囲内にタッチ領域を設定することで、ユーザは、これらのタッチ領域の間に関連性があることを直感的に把握して、容易に操作を行うことができる。
【0069】
例えば、アプリケーション処理部490が、第1操作部321が領域A331へのタッチ操作を受け付けた場合と、第2操作部322が領域A332へのタッチ操作を受け付けた場合とで同一の処理を行うようにすれば、ユーザは、第1表示部311の表示画面へのタッチ操作と、第2表示部312の表示画面へのタッチ操作とのうちいずれかを選択してタッチ操作を行うことができる。第1表示部311の表示画面へのタッチ操作を行う場合、ユーザは、タッチ位置を視認して、より確実にタッチ操作を行うことができる。また、第2表示部312の表示画面へのタッチ操作を行う場合、ユーザは、視界を指で遮られずに第1表示部311の表示画面を見ながらタッチ操作を行うことができる。
【0070】
一方、アプリケーション処理部490が、第1操作部321が領域A331へのタッチ操作を受け付けた場合と、第2操作部322が領域A332へのタッチ操作を受け付けた場合とで異なる処理を行うようにすれば、ユーザは、表示画面上の所定の領域(例えば第1表示部311の表示画面においてアイコンが表示されている領域A331)に対する異なる操作を、直感的に容易に行うことが出来る。例えば、アプリケーション処理部490が、領域A331へのタッチ操作をマウスの左クリック操作(マウスの左ボタンを押下する操作)として処理し、領域A332へのタッチ操作をマウスの右クリック操作(マウスの右ボタンを押下する操作)として処理することで、ユーザは、マウス等の器具を用いずとも、同一の領域に対する異なる操作を容易に行うことが出来る。
【0071】
図12は、アプリケーション処理部490が、第1表示部311の表示画面における位置を指定するタッチ領域(第1表示部311の表示画面に対するポインティングデバイス用途のタッチ領域)を、第2表示部312の表示画面上に設定した例を示す説明図である。
同図において、領域A321およびA322は、図11の場合と同様、第2表示部312の表示画面の領域において可動範囲取得部435が取得する中指の可動範囲を示す領域である。
また、領域A431は、アプリケーション処理部490が、第2表示部312の表示画面上に設定したタッチ領域である。
また、位置P411は、領域A431のうちタッチ操作の行われた位置を示し、位置P412は、第1表示部311の表示画面において位置P411に対応付けられた位置を示す。
【0072】
アプリケーション処理部490は、第2表示部312の表示画面のうち中指の可動範囲内にタッチ領域A431を設定する。このタッチ領域A431の各部は、第1表示部311の表示画面の各部に対応付けられている。そして、アプリケーション処理部490は、タッチ領域A431へのタッチ操作が行われると、第1表示部311の表示画面において、タッチ位置に対応付けられた位置にカーソルを表示する。図12の例では、アプリケーション処理部490は、位置P411へのタッチ操作に応じて、この位置P411に対応付けられた位置P412にカーソルを表示している。
【0073】
このように、アプリケーション処理部490が、第2表示部312の表示画面のうち中指の可動範囲(タッチ操作を行う指の可動範囲)内に、第1表示部311の表示画面における位置を指定するタッチ領域を設定することで、ユーザは、第1表示部311の表示画面における位置を容易に指定できる。例えば、ユーザは、第1表示部311の表示画面に表示されたカーソルの位置を容易に移動させることができる。
【0074】
以上のように、指長取得部425が、人差し指、中指、薬指または小指のうち少なくとも1つの長さを取得し、また、支点位置検出部430が、携帯端末装置300を把持した状態で当該指を動かす際の指の支点位置を検出する。そして、アプリケーション処理部490は、第2操作入力部322の背面タッチセンサ327がタッチを検出可能な領域のうち、当該指の支点位置および当該指の長さに基づいて求められる指の可動範囲内に、所定の入力操作としてのタッチ操作を受け付けるタッチ領域を設定する。
これによって、第1の実施形態において前面側のタッチ領域について説明したのと同様、背面側においても、携帯端末装置300は、所定の入力操作としてのタッチ操作を受け付けるタッチ領域をより適切に設定し得る。すなわち、携帯端末装置300(可動範囲取得部435)は、指の長さおよび指の支点位置に基づいて、指の可動範囲をより正確に取得し得る。そして、携帯端末装置300(アプリケーション処理部490)は、得られた指の可動範囲内にタッチ領域を設定することで、ユーザがタッチ操作容易な位置にタッチ領域を設定し得る。
【0075】
また、携帯端末装置300は、第1の実施形態において前面側のタッチ領域について説明したのと同様、背面側においても、タッチ領域を設定する位置を指の可動範囲内に限定することで、タッチ操作の誤検出を防止し得る。
【0076】
また、アプリケーション処理部490が、第1表示部311の表示画面と、第2表示部312の表示画面との、互いに対向する領域に、かつ、いずれの表示画面においても指の可動範囲内にタッチ領域を設定することで、ユーザは、これらのタッチ領域の間に関連性があることを直感的に把握して、容易に操作を行うことができる。
例えば、アプリケーション処理部490が、第1操作部321が領域A331へのタッチ操作を受け付けた場合と、第2操作部322が領域A332へのタッチ操作を受け付けた場合とで同一の処理を行うようにすれば、ユーザは、第1表示部311の表示画面へのタッチ操作と、第2表示部312の表示画面へのタッチ操作とのうちいずれかを選択してタッチ操作を行うことができる。第1表示部311の表示画面へのタッチ操作を行う場合、ユーザは、タッチ位置を視認して、より確実にタッチ操作を行うことができる。また、第2表示部312の表示画面へのタッチ操作を行う場合、ユーザは、視界を指で遮られずに第1表示部311の表示画面を見ながらタッチ操作を行うことができる。
【0077】
また、アプリケーション処理部490が、第1操作部321が領域A331へのタッチ操作を受け付けた場合と、第2操作部322が領域A332へのタッチ操作を受け付けた場合とで異なる処理を行うようにすれば、ユーザは、表示画面上の所定の領域に対する異なる操作を、直感的に容易に行うことが出来る。
【0078】
なお、第1表示部311が表示画面にブラウザ画像を表示する状態において、アプリケーション処理部490が、第2表示部312の表示画面のうち指の可動範囲内に、ブラウザ機能の戻り操作(直前に表示していた画面(ウェブページ等)のブラウザ画像を表示させる操作)のタッチ領域を設定するようにしてもよい。例えば、アプリケーション処理部490は、第2表示部312の表示画面のうち指の可動範囲全体を、戻り操作のタッチ領域に設定する。
そして、アプリケーション処理部490は、設定したタッチ領域へのタッチ操作が行われると、第1表示部311に、直前に表示していた画面のブラウザ画像を表示させる。すなわち、アプリケーション処理部490は、第1表示部311の表示する画面を戻す。
これによって、ユーザは、例えば人差し指または中指でのタッチ操作という容易な操作で、ブラウザに表示される画面を戻すことができる。
【0079】
なお、アプリケーション処理部490が、第1表示部311の表示画面にカーソルを表示させ、傾き検出部460の検出する携帯端末装置300の筐体の傾きに応じてカーソルを移動(スクロール)させる状態、すなわち、重力スクロールを行う状態において、アプリケーション処理部490が、第2表示部312の表示画面のうち指の可動範囲内に、カーソル(スクロール)停止操作のタッチ領域を設定するようにしてもよい。例えば、アプリケーション処理部490は、第2表示部312の表示画面のうち指の可動範囲全体を、カーソル停止操作のタッチ領域に設定する。
そして、アプリケーション処理部490は、設定したタッチ領域へのタッチ操作が行われると、第1表示部311の表示画面に表示させるカーソルを停止させる。すなわち、アプリケーション処理部490は、重力スクロールを中止させる。
これによって、ユーザは、例えば人差し指または中指でのタッチ操作という容易な操作で、カーソルを停止させることができる。
【0080】
なお、制御部180または制御部380の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0081】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0082】
100、300 携帯端末装置
110 表示部
120 操作入力部
130 側面センサ部
141 音声入力部
142 音声出力部
150 無線通信部
180、380 制御部
190 記憶部
210、410 表示制御部
220、420 入力処理部
225、425 指長取得部
230、430 支点位置検出部
235、435 可動範囲取得部
240 音声処理部
250 通信制御部
290、490 アプリケーション処理部
311 第1表示部
312 第2表示部
321 第1操作部
322 第2操作部
360 重力センサ部
460 傾き検出部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型電子機器であって、
タッチ位置を検出するタッチセンサと、
前記携帯型電子機器を把持した状態で指を動かす際の指の支点位置を検出する支点位置検出部と、
前記指の長さを取得する指長取得部と、
前記タッチセンサがタッチを検出可能な領域のうち、前記指の支点位置および前記指の長さに基づいて求められる指の可動範囲内に、所定の入力操作としてのタッチ操作を受け付けるタッチ領域を設定するタッチ領域設定部と、
を具備することを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
前記タッチセンサは、前記携帯型電子機器を把持する手の親指で操作可能なタッチ入力装置である前面タッチセンサであり、
前記支点位置検出部は、親指の支点位置を検出し、
前記指長取得部は、前記親指の長さを取得し、
前記タッチ領域設定部は、前記前面タッチセンサがタッチを検出可能な領域のうち前記親指の支点位置および前記親指の長さに基づいて求められる親指の可動範囲内に、前記前面タッチセンサにおけるタッチ領域を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯型電子機器。
【請求項3】
前記携帯型電子機器を把持する手の人差し指、中指、薬指または小指のいずれかで操作可能なタッチセンサである背面タッチセンサをさらに具備し、
前記支点位置検出部は、前記人差し指、中指、薬指または小指の少なくともいずれか1つの支点位置を検出し、
前記指長取得部は、前記支点位置検出部が支点位置を検出した指の長さを取得し、
前記タッチ領域設定部は、前記背面タッチセンサがタッチを検出可能な領域のうち、前記支点位置検出部が検出した指の支点位置および前記指長検出部が取得した指の長さに基づいて求められる指の可動範囲内に、前記背面タッチセンサにおけるタッチ領域を設定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯型電子機器。
【請求項4】
表示画面を有する表示部と、
前記背面タッチセンサが、前記タッチ領域設定部が設定した前記タッチ領域内でタッチ位置を検出すると、前記表示画面の当該タッチ位置に応じた位置にカーソルを表示させる表示制御部と、
を具備することを特徴とする請求項3に記載の携帯型電子機器。
【請求項5】
表示画面を有する表示部と、
前記表示画面にアイコンを表示させる表示制御部と、
前記前面タッチセンサの検出するタッチ操作および前記背面タッチセンサの検出するタッチ操作に応じて処理を行う処理部と、
を具備し、
前記前面タッチセンサは、前記表示画面に設けられ、
前記背面タッチセンサは、前記表示画面に対向する面に設けられ、
前記処理部は、前記前面タッチセンサが前記アイコンの表示領域へのタッチ操作を受け付けた場合と、前記背面タッチセンサが前記アイコンの表示領域に対向する領域へのタッチ操作を受け付けた場合とで異なる処理を行う、
ことを特徴とする請求項3に記載の携帯型電子機器。
【請求項6】
表示画面を有する表示部と、
前記表示部が前記表示画面にブラウザ画像を表示する状態において、前記背面タッチセンサが、前記タッチ領域設定部が設定した前記タッチ領域内でタッチ位置を検出すると、前記表示部に、直前に表示していた画面のブラウザ画像を表示させる処理部と、
を具備することを特徴とする請求項3に記載の携帯型電子機器。
【請求項7】
前記携帯型電子機器の筐体の傾きを検出する傾き検出部と、
前記表示画面にカーソルを表示させ、前記傾き検出部の検出する前記傾きに応じて前記カーソルを移動させ、前記背面タッチセンサが、前記タッチ領域設定部が設定した前記タッチ領域内でタッチ操作を検出すると、前記カーソルを停止させる表示制御部と、
を具備することを特徴とする請求項3に記載の携帯型電子機器。
【請求項8】
表示画面を有する表示部と、
前記表示画面にアイコンを表示させる表示制御部と、
前記前面タッチセンサの検出するタッチ操作および前記背面タッチセンサの検出するタッチ操作に応じて処理を行う処理部と、
を具備し、
前記前面タッチセンサは、前記表示画面に設けられ、
前記背面タッチセンサは、前記表示画面に対向する面に設けられ、
前記処理部は、前記前面タッチセンサが前記アイコンの表示領域へのタッチ操作を受け付けた場合と、前記背面タッチセンサが前記アイコンの表示領域に対向する領域へのタッチ操作を受け付けた場合とで同一の処理を行う
ことを特徴とする請求項3に記載の携帯型電子機器。
【請求項9】
タッチ位置を検出するタッチセンサを具備する携帯型電子機器のタッチ領域設定方法であって、
前記携帯型電子機器を把持した状態で指を動かす際の指の支点位置を検出する支点位置検出ステップと、
前記指の長さを取得する指長取得ステップと、
前記タッチセンサがタッチを検出可能な領域のうち前記指の支点位置および前記指の長さに基づいて求められる指の可動範囲内に、所定の入力操作としてのタッチ操作を受け付けるタッチ領域を設定するタッチ領域設定ステップと、
を具備することを特徴とするタッチ領域設定方法。
【請求項10】
タッチ位置を検出するタッチセンサを具備する携帯型電子機器としてのコンピュータに、
前記携帯型電子機器を把持した状態で指を動かす際の指の支点位置を検出する支点位置検出ステップと、
前記指の長さを取得する指長取得ステップと、
前記タッチセンサがタッチを検出可能な領域のうち前記指の支点位置および前記指の長さに基づいて求められる指の可動範囲内に、所定の入力操作としてのタッチ操作を受け付けるタッチ領域を設定するタッチ領域設定ステップと、
を実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−73330(P2013−73330A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210586(P2011−210586)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】