説明

携帯型電子機器、表示制御方法、及び表示制御プログラム

【課題】2個の画面に跨って一つの画像を表示する利用方法のとき、ユーザに与える不快感を軽減することができる携帯型電子機器を提供する。
【解決手段】本発明の携帯型電子機器は、画像に含まれる顔領域を検出する顔認識手段と、表示位置及び表示サイズの条件を定義した標準配置の態様で前記画像を表示した場合に、前記検出された顔領域が2個のディスプレイに跨って表示されるか否かを判断する判断手段と、前記顔領域が2個のディスプレイに跨らずに表示されると判断された場合、前記標準配置の態様で前記画像を表示し、前記顔領域が2個のディスプレイに跨って表示されると判断された場合、前記顔領域の全体が何れか一方のディスプレイに表示されるように表示位置及び/又は表示サイズを変更した態様で前記画像を表示する表示制御手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2画面を搭載した携帯型電子機器に関し、特に、コンテンツの表示制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンが普及し始め、携帯電話機の更なる高機能化が進み、携帯電話機の画面は拡大化する傾向にある。このようなスマートフォンの画面は、一例として3.5インチ程度である。
更に、3.5インチ程度の画面を2個搭載した携帯電話機も開発されている。このような2画面を搭載した携帯電話機では、それぞれの画面に別々の画像を表示することもできるが、2個の画面を4.7インチ相当の1画面として使用すれば、一つの画像を大きく表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−71588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2個の画面に一つの画像を表示する場合、2個の画面がそれぞれ配された筐体の枠により、画像が割れて表示されることになる。特に、映画やテレビドラマ等の再生中に人物の顔が2個の画面に跨って表示されると、ユーザに大きな不快感を与えるという問題がある。
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、2画面を搭載した携帯型電子機器において、2個の画面に跨って一つの画像を表示する利用方法のとき、ユーザに与える不快感を軽減することができる携帯型電子機器、表示制御方法、及び表示制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の携帯型電子機器は、ディスプレイが配置された筐体が2個連結され、2個のディスプレイに跨って一つの画像を表示する携帯型電子機器であって、前記画像に含まれる顔領域を検出する顔認識手段と、表示位置及び表示サイズの条件を定義した標準配置の態様で前記画像を表示した場合に、前記検出された顔領域が2個のディスプレイに跨って表示されるか否かを判断する判断手段と、前記顔領域が2個のディスプレイに跨らずに表示されると判断された場合、前記標準配置の態様で前記画像を表示し、前記顔領域が2個のディスプレイに跨って表示されると判断された場合、前記顔領域の全体が何れか一方のディスプレイに表示されるように表示位置及び/又は表示サイズを変更した態様で前記画像を表示する表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記の構成により、前記携帯型電子機器は、2個のディスプレイに跨って一つの画像を表示するとき、何れか一方のディスプレイに顔領域の全体を表示するので、ユーザに与える不快感を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】携帯型電子機器1の外観図である。
【図2】開状態のときに各ディスプレイに表示される画像の例を示す図である。
【図3】携帯型電子機器1の構成を機能的に示す機能ブロック図である。
【図4】標準配置について説明するための図である。
【図5】顔領域が検出された場合の実施形態1に係る配置変更を説明するための図である。
【図6】実施形態1のコンテンツ再生処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】実施形態1の効果について説明するための図である。
【図8】顔領域が検出された場合の実施形態2に係る配置変更を説明するための図である。
【図9】実施形態2のコンテンツ再生処理の動作を示すフローチャートである。
【図10】実施形態2の効果について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<1.実施形態1>
以下では、本発明に係る携帯型電子機器の一つの実施形態である携帯型電子機器1について、図面を参照しながら説明する。
<1−1.概要>
図1は、携帯型電子機器1の外観を示す図である。携帯型電子機器1は、上部筐体11及び下部筐体12から構成される。上部筐体11には第1ディスプレイ101が配され、下部筐体12には、第2ディスプレイ102が配されている。ここで、各筐体において、ディスプレイが配されている面を「主表面」と記載する。上部筐体11及び下部筐体12は、結合部13にて連結されている。結合部13は、その基端側が下部筐体12に回転自在に軸支されており、先端側が上部筐体11をスライド移動並びに回転自在に支持している。
【0009】
図1(a)に示す閉状態では、下部筐体12の主表面の上に、上部筐体11が重なるように位置する。上部筐体11により第2ディスプレイ102が隠れているため、第1ディスプレイ101のみが視認可能である。
携帯型電子機器1は、このような閉状態から、図1(b)に示すように、上部筐体11をスライドさせて、図1(c)に示す開状態に変形させることができる。開状態では、上部筐体11の主表面と下部筐体12の主表面とが略同一平面状に位置し、第1ディスプレイ101及び第2ディスプレイ102の両方が視認可能となる。
【0010】
携帯型電子機器1は、開状態のとき、図2(a)に示すように、各ディスプレイにそれぞれ別々の画像を表示することもできるし、図2(b)に示すように、一つの画像を第1ディスプレイ101及び第2ディスプレイ102に跨って大きく表示することもできる。
本実施形態では、携帯型電子機器1が映画やテレビドラマ等の動画像データ(以下、「コンテンツ」と記載する。)を再生する場合の処理について説明する。
【0011】
携帯型電子機器1は、コンテンツを再生する際に、コンテンツを、図2(b)に示すように、第1ディスプレイ101及び第2ディスプレイ102に跨って大きく表示する。このとき、携帯型電子機器1は、コンテンツを構成するフレーム画像(以下、単に「画像」と記載する。)に特定の人物の顔が含まれるか否かを判断する。そして、特定の人物の顔が含まれる場合には、携帯型電子機器1は、その人物の顔が、第1ディスプレイ101及び第2ディスプレイ102に跨らずに表示されるように、必要に応じて当該画像の表示位置を変更するシフト処理を行う。
<1−2.携帯型電子機器1の内部構成>
図3は、携帯型電子機器1の内部構成を機能的に示すブロック図である。
【0012】
同図に示すように、携帯型電子機器1は、第1ディスプレイ101、第2ディスプレイ102、システム制御部103、通信制御部104、アンテナ105、記憶部106、コンテンツ用バッファメモリ107、スピーカ108、及びコンテンツ表示制御部109から構成される。
携帯型電子機器1は、具体的には、プロセッサ、ROM、RAMなどを備えたコンピュータシステムである。ROMである記憶部106には、システム制御プログラム、コンテンツ表示制御プログラム、通信制御プログラム等のコンピュータプログラムが記憶されている。システム制御部103、通信制御部104、及びコンテンツ表示制御部109は、それぞれ、記憶部106に記憶されているコンピュータプログラムをプロセッサが実行することによりその機能を実現する。
【0013】
第1ディスプレイ101は、入力デバイスであるタッチバッド111と、表示デバイスであるLCD(Liquid Crystal Display)112とを含む。なお、図示していないが、第1ディスプレイは、光源であるLED(Light Emitting Diode)バックライトを含む。
第2ディスプレイ102も同様に、タッチパッド121とLCD122とLEDバックライトとを含む。LCD112及びLCD122は、一例として、3.5インチであり、最大で800×480ピクセルの画像を表示することが可能であるとする。
【0014】
タッチパッド111及び121は、静電容量方式のタッチセンサを含み、それぞれ、LCD112及び122に重畳して設けられている。タッチパッド111及び121は、透明部材で構成され、LCD112及び122に表示された画像が見えるように構成されている。また、タッチパッド111及び121は、ユーザの指等の接触を検出し、検出している間、単位時間(例えば、25ms)毎に、その接触位置の座標値(x,y)をシステム制御部103に出力する。
【0015】
システム制御部103は、携帯型電子機器1の各機能ブロックと接続されており、携帯型電子機器1の全体を制御する。
通信制御部104は、アンテナ105を介して、図示していない外部のコンテンツサーバからコンテンツを受信する。
コンテンツ用バッファメモリ107は、通信制御部104が受信したコンテンツを、システム制御部103を介して一時的に記憶するためのメモリ領域(RAM)である。システム制御部103は、コンテンツ表示制御部109の処理速度に合わせてコンテンツ用バッファメモリ107から順次画像を読み出し、読み出した画像をコンテンツ表示制御部109へ出力する。なお、コンテンツを構成する各画像は、すべての画像が同一の所定サイズ(例えば、1024×768ピクセル、1280×960ピクセル等)であってもよいし、画像毎にサイズが可変であってもよい。
<1−3.コンテンツ表示制御部109の詳細>
ここでは、コンテンツ表示制御部109の機能的構成について詳細に説明する。
【0016】
コンテンツ表示制御部109は、コンテンツを構成する各画像を表示するための配置を決定し、決定した配置で各画像を第1ディスプレイ及び第2ディスプレイに出力する。
図3に示すように、コンテンツ表示制御部109は、フレームメモリ展開部131、顔認識部132、判断部133、配置変更部134、及び出力部135から構成される。
フレームメモリ展開部131は、表示サイズ及び表示位置を定義した情報である標準配置141を予め保持している。フレームメモリ展開部131は、フレームメモリ144を含み、システム制御部103から順次画像を受け取ると、受け取った画像を標準配置141で示される態様でフレームメモリ144に展開する。
【0017】
標準配置141は、具体的には、図4(a)に示すように、表示サイズ142(960×800)及び表示位置143(0,0)から構成される。
表示サイズ142は、1フレームの表示サイズを画素数で表している。フレームメモリ展開部131は、受信したコンテンツのデータ量(画素数)が多い場合には、1フレーム当たりの画素数が960×800ピクセルになるように画素を間引く。逆に、受信したコンテンツのデータ量(画素数)が少ない場合には、1フレームの画素数が960×800ピクセルになるように画素を補完する。
【0018】
表示位置143は、フレームメモリ144に画像を書き込むときの書き込み位置を指定する情報であり、フレームメモリ144の基準点に書き込む画素の座標値を表している。
ここで、フレームメモリ144は、図4(b)に示すように、左上端部Aを基準点(0,0)とし、フレームメモリ144内の位置(アドレス)を、基準点から水平方向にx軸とし、垂直方向にy軸としたxy座標系で表す。
【0019】
さらに、「画素の座標値」とは、画像を構成する左上端部の画素201を基準(0,0)とし、基準の画素201から水平方向をx軸とし、垂直方向をy軸としたxy座標系における各画素の座標値(x,y)である。
標準配置141では表示位置143(0,0)であるから、フレームメモリ展開部131は、画像の左上端部の画素201(0,0)をフレームメモリ144の左上端部A(0,0)に合わせて書き込む。
【0020】
さらにフレームメモリ展開部131は、画像の右上端部の画素202(959,0)を、フレームメモリ144の右上端部Bに合わせ、画像の右下端部の画素203(956,797)を、フレームメモリ144の右下端部Cに合わせ、画像の左下端部の画素204(0,797)を、フレームメモリ144の左下端部Dに合わせるようにして、当該画像を構成するすべての画素をフレームメモリ144に書き込む。
【0021】
フレームメモリ144に展開されている画像を第1ディスプレイ101及び第2ディスプレイ102に出力するとき、後述する出力部135が、フレームメモリ144の右半分の領域145に配置されている右画像を、図4(c)の第1ディスプレイ101に出力し、フレームメモリ144の左半分の領域146に配置されている左画像を、図4(c)の第2ディスプレイ102に出力する。
【0022】
顔認識部132は、標準配置141で示される態様でフレームメモリ144に展開されている各画像から、周知の顔認識技術を用いて、特定人物の顔が含まれる領域である「顔領域」を検出する機能を有する。
具体的には、顔認識部132は、人物の顔に含まれる特徴点(例えば、目、鼻、唇、眉の端点、頭頂点、顎の下端点等)に関する顔データを予め保持している。そして、顔認識部132は、フレームメモリ144に展開されている画像から特徴点を抽出し、抽出した特徴点と顔データとを用いて、人物の顔を検出する。その後、顔認識部132は、検出された人物の顔と、予め与えられている特定人物の顔との類似度を判断して、検出された人物の顔が、特定人物の顔であるか否かを判断する。
【0023】
そして、顔認識部132は、検出された人物の顔が、特定人物の顔であると判断する場合、特定人物の顔を含む矩形を形成する4頂点のフレームメモリ144上の座標値を特定する。本実施形態では、このように、特定人物の顔を含む矩形を形成する4頂点の座標値を特定することを「顔領域を検出する」と記載する。なお、一つのフレームに特定人物の顔を含む複数の人物の顔が含まれる場合には、本実施形態の顔認識部132は、特定の人物の顔領域のみを検出する。
【0024】
判断部133は、顔認識部132により顔領域が検出された場合、当該画像が標準配置141で示される態様で出力された場合に、検出された顔領域が、第1ディスプレイ101及び第2ディスプレイ102に跨って表示されるか否かを判断する。
例えば、フレームメモリ144に、図5(a)に示す画像150が展開されている場合を考える。画像150は、顔領域151を含む。
【0025】
判断部133は、顔認識部132にて特定された顔領域151を構成する4頂点a、b、c及びdそれぞれのx座標値を取得し、取得した各x座標値と、フレームメモリ144を二分する中心線EFのx座標値(xEF=480)とを用いて、顔領域151が第1ディスプレイ101及び第2ディスプレイ102に跨って表示されるか否かを判断する。
具体的には、すべてのx座標値が480より小さい場合、判断部133は、顔領域151の全体が第2ディスプレイ102に表示されると判断する。また、すべてのx座標値が480以上の場合、判断部133は、顔領域151の全体が第1ディスプレイ101に表示されると判断する。また、すべてのx座標値が480以下若しくはすべてのx座標値が480以上の場合を除いて、判断部133は、顔領域151が第1ディスプレイ101及び第2ディスプレイ102に跨って表示されると判断する。
【0026】
もし仮に顔領域151が2個のディスプレイに跨らずに表示される場合には、顔領域151を含む画像150は、標準配置141で示される態様のまま出力すればよい。図5(a)の例では、顔領域151は、2個のディスプレイに跨って表示されるため、シフト処理の必要がある。
配置変更部134は、判断部133において、顔領域が第1ディスプレイ101及び第2ディスプレイ102に跨って表示されると判断された場合に、フレームメモリ144に展開されている画像の表示位置を変更するシフト処理を行う。
【0027】
ここでは、図5(a)に示す画像150がフレームメモリ144に配置されている場合、及び、図5(c)に示す画像160がフレームメモリ144に配置されている場合のシフト処理の具体例について説明する。
(1)画像150の場合
図5(a)は、画像150が、標準配置141で示される態様でフレームメモリ144に展開されている状態を表している。配置変更部134は、顔領域151のうち、フレームメモリ144の中心線EFより左側の領域aefdの面積、及び、中心線EFより右側の領域ebcfの面積を算出し、算出された面積を比較する。ここでは、左側の領域aefdの面積が大きいため、配置変更部134は、領域aefdが表示されるディスプレイである第2ディスプレイ102を「シフト先ディスプレイ」に特定する。
【0028】
配置変更部134は、顔領域151を構成する辺ab及びdcのうち、シフト先ディスプレイからはみ出す部分eb及びfcの長さである「はみ出し量l」を算出する。ここではl=120ピクセルとする。
配置変更部134は、標準配置141で示される態様でフレームメモリ144に展開されている画像150の表示位置を変更し、座標値が(120,0)である画素をフレームメモリ144の左上端部Aに合わせて、再度、画像150をフレームメモリ144に書き直す。
【0029】
これにより、図5(b)に示すように、はみ出し量l=120ピクセル分だけ画像150が左にシフトし、顔領域151の全体が、シフト先ディスプレイである第2ディスプレイ102に表示されることになる。なお、受信した画像のサイズが960×800ピクセルより大きい場合や、時間的に前後する画像のサイズが960×800ピクセルより大きい場合には、配置変更部134は、これらのデータを用いて、図5(b)の斜線部分の画素を補完してもよい。
【0030】
(2)画像160の場合
図5(c)は、画像160が、標準配置141で示される態様でフレームメモリ144に展開されている状態を表している。配置変更部134は、顔領域161のうち、フレームメモリ144の中心線EFより左側の領域aefdの面積、及び、中心線EFより右側の領域ebcfの面積を算出し、算出された面積を比較する。ここでは、右側の領域ebcfの面積が大きいため、配置変更部134は、領域ebcfが表示されるディスプレイである第1ディスプレイ101を「シフト先ディスプレイ」に特定する。
【0031】
配置変更部134は、顔領域161を構成する辺ab及びdcのうち、シフト先ディスプレイからはみ出す部分ae及びdfの長さである「はみ出し量l」を算出する。ここではl=60ピクセルとする。
配置変更部134は、標準配置141で示される態様でフレームメモリ144に展開されている画像160の表示位置を変更し、座標値が(0,0)の画素を、フレームメモリ144のAに合わせて、再度、画像160をフレームメモリ144に書き直す。
【0032】
これにより、図5(d)に示すように、はみ出し量l=60ピクセル分だけ画像160が右にシフトし、顔領域161の全体が、シフト先ディスプレイである第1ディスプレイ101に表示されることになる。なお、上述した画像150の場合と同様に、配置変更部134は、図5(d)の斜線部分の画素を補完してもよい。
出力部135は、フレームメモリ144に展開されている画像を、第1ディスプレイ101及び第2ディスプレイ102に出力する。このとき、上述したように、出力部135は、左画像を第2ディスプレイ102に出力し、右画像を第1ディスプレイに出力する。
<1−4.携帯型電子機器1の動作>
ここでは、図6に示すフローチャートを用いて、携帯型電子機器1によるコンテンツ表示制御の動作について説明する。
【0033】
図6の動作は、ユーザ操作によるコンテンツ再生の指示を受け付けることにより開始する。
コンテンツ表示制御部109は、システム制御部103から受け取る画像毎に、ステップS1からステップS16までの処理を繰り返す。
先ず、フレームメモリ展開部131は、受け取った画像を、標準配置141で示される態様(表示サイズ960×800及び表示位置(0,0))で、フレームメモリ144に展開する(ステップS2)。
【0034】
次に、顔認識部132は、フレームメモリ144に展開されている画像の顔認識処理を行う(ステップS3)。顔認識処理の結果、特定人物の顔を含む顔領域が検出されなかった場合(ステップS4でNO)、ステップS15に進む。
顔認識処理の結果、特定人物の顔を含む顔領域が検出された場合(ステップS4でYES)、判断部133は、顔認識部132から顔領域を構成する4頂点の座標値を取得し(ステップS5)、顔領域がフレームメモリ144の中心線により分割されるか否か判断する。顔領域が分割されない場合(ステップS6でNO)、すなわち、顔領域の全体が、第1ディスプレイ101又は第2ディスプレイ102の何れかに表示される場合には、ステップS15に進む。
【0035】
顔領域が分割される場合(ステップS6でYES)、配置変更部134は、第1ディスプレイ101に表示される領域の面積と、第2ディスプレイ102に表示される面積とを算出する(ステップS7)。
第1ディスプレイ101に表示される領域の面積が大きい場合、又は、面積が等しい場合(ステップS8でYES)、配置変更部134は、第1ディスプレイ101をシフト先ディスプレイに特定する(ステップS9)。そして、顔領域のうち、第1ディスプレイ101からはみ出す長さである「はみ出し量l」を算出する(ステップS10)。そして、配置変更部134は、表示サイズは変更せず、はみ出し量lだけ、画像を右へシフトしてフレームメモリ144に再展開する(ステップS11)。
【0036】
第2ディスプレイ102に表示される領域の面積が大きい場合(ステップS8でNO)、配置変更部134は、第2ディスプレイ102をシフト先ディスプレイに特定する(ステップS12)。そして、顔領域のうち、第2ディスプレイ102からはみ出す長さである「はみ出し量l」を算出する(ステップS13)。そして、配置変更部134は、表示サイズは変更せず、はみ出し量lだけ、画像を左へシフトしてフレームメモリ144に再展開する(ステップS14)。
【0037】
続いて、出力部135は、フレームメモリ144から画像を読み出して、第1ディスプレイ101及び第2ディスプレイ102に出力する(ステップS15)。
コンテンツを構成するすべての画像について処理が終わると、コンテンツ再生が終了する。
<1−5.実施形態1の効果>
図7(a)に示すように、従来、画像に含まれる顔領域が第1ディスプレイ101及び第2ディスプレイ102に跨って表示されていたのに対して、本実施形態の携帯型電子機器1を用いれば、図7(b)のように、画像を左にシフトし、顔領域の全体が第2ディスプレイ102に収まるように、配置を変更することができる。
【0038】
これにより、コンテンツの再生中にユーザに与える不快感を軽減することができる。
<2.実施形態2>
以下では、本発明に係る携帯型電子機器の別の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<2−1.概要>
上記の実施形態1では、顔領域が2個のディスプレイに跨る場合には、画像を右又は左にシフトすることにより、顔領域が2個のディスプレイに跨らずに表示されるように制御した。
【0039】
これに対して、実施形態2では、画像の表示サイズを変更することにより、又は、画像の表示サイズ及び表示位置を変更することにより、顔領域が2個のディスプレイに跨らずに表示されるように制御する。
実施形態2に係る携帯型電子機器の構成は、図1〜図3に示した携帯型電子機器1と同様であるため、詳細な説明を省略する。以下では、実施形態1と異なる部分を中心に説明する。なお、便宜上、実施形態2に係る携帯型電子機器の構成要素について、図3に記載した符号を用いて説明する。
<2−2.配置変更部134の処理>
ここでは、図8(a)に示す画像170がフレームメモリ144に配置されている場合、及び、図8(c)に示す画像180がフレームメモリ144に配置されている場合に、配置変更部134が行う処理の具体例について説明する。
【0040】
(1)画像170の場合
図8(a)は、画像170が、標準配置141で示される態様でフレームメモリ144に展開されている状態を表している。配置変更部134は、顔領域171のうち、フレームメモリ144の中心線EFより左側の領域aefdの面積、及び、中心線EFより右側の領域ebcfの面積を算出し、算出された面積を比較する。ここでは、左側の領域aefdの面積が大きいため、配置変更部134は、領域aefdが表示されるディスプレイである第2ディスプレイ102を「シフト先ディスプレイ」に特定する。
【0041】
配置変更部134は、顔領域171を構成する辺ab及びdcのうち、シフト先ディスプレイ102からはみ出す部分eb及びfcの長さである「はみ出し量l」を算出する。さらに、配置変更部134は、辺ab及びdcの長さLに対するlの割合である「はみ出し割合r」を算出する。ここでは、r=l/L=0.2とする。
配置変更部134は、標準配置141で示される態様でフレームメモリ144に展開されている画像170の表示サイズを20%縮小し、768×640ピクセルの画像に変更する。そして、768×640ピクセルの画像170の座標値が(0,0)である画素をフレームメモリ144の左上端部Aに合わせて、再度、画像170をフレームメモリ144に書き直す。
【0042】
これにより、図8(b)に示すように、画像170が20%縮小することにより、顔領域171の全体が、シフト先ディスプレイである第2ディスプレイ102に表示されることになる。なお、上述した画像150の場合と同様に、配置変更部134は、図8(b)の斜線部分の画素を補完してもよい。
(2)画像180の場合
図5(c)は、画像180が、標準配置141で示される態様でフレームメモリ144に展開されている状態を表している。配置変更部134は、顔領域181のうち、フレームメモリ144の中心線EFより左側の領域aefdの面積、及び、中心線EFより右側の領域ebcfの面積を算出し、算出された面積を比較する。ここでは、右側の領域ebcfの面積が大きいため、配置変更部134は、領域ebcfが表示されるディスプレイである第1ディスプレイ101を「シフト先ディスプレイ」に特定する。
【0043】
配置変更部134は、顔領域181を構成する辺ab及びdcのうち、シフト先ディスプレイからはみ出す部分ae及びdfの長さである「はみ出し量l」を算出する。さらに、配置変更部134は、辺ab及びdcの長さLに対するlの割合である「はみ出し割合r」を算出する。ここでは、r=l/L=0.2とする。
配置変更部134は、標準配置141で示される態様でフレームメモリ144に展開されている画像180の表示サイズを20%縮小し、768×640ピクセルの画像に変更する。そして、768×640ピクセルの画像170の座標値が(767,0)である右上端部の画素をフレームメモリ144の右上端部Bに合わせて、再度、画像180をフレームメモリ144に展開しなおす。
【0044】
これにより、図8(d)に示すように、画像180が20%縮小し、且つ、表示位置をシフトすることにより、顔領域181の全体が、シフト先ディスプレイである第1ディスプレイ101に表示されることになる。なお、上述した画像150の場合と同様に、配置変更部134は、図8(d)の斜線部分の画素を補完してもよい。
<2−3.実施形態2に係る携帯型電子機器の動作>
ここでは、図9に示すフローチャートを用いて、実施形態2に係る携帯型電子機器によるコンテンツ表示制御の動作について説明する。図9の動作は、ユーザ操作によるコンテンツ再生の指示を受け付けることにより開始する。
【0045】
コンテンツ表示制御部109は、システム制御部103から受け取る画像毎に、ステップS21からステップS36までの処理を繰り返す。
先ず、フレームメモリ展開部131は、受け取った画像を、標準配置141で示される態様(表示サイズ960×800及び表示位置(0,0))でフレームメモリ144に展開する(ステップS22)。
【0046】
次に、顔認識部132は、フレームメモリ144に展開されている画像の顔認識処理を行う(ステップS23)。顔認識処理の結果、特定人物の顔を含む顔領域が検出されなかった場合(ステップS24でNO)、ステップS35に進む。
顔認識処理の結果、特定人物の顔を含む顔領域が検出された場合(ステップS24でYES)、判断部133は、顔認識部132から顔領域を構成する座標値を取得し(ステップS25)、顔領域が分割されるか否か判断する。顔領域が分割されない場合(ステップS26でNO)、すなわち、顔領域の全体が、第1ディスプレイ101又は第2ディスプレイ102の何れかに表示される場合には、ステップS35に進む。
【0047】
顔領域が分割される場合(ステップS26でYES)、配置変更部134は、第1ディスプレイ101に表示される領域の面積と、第2ディスプレイ102に表示される面積とを算出する(ステップS27)。
第1ディスプレイ101に表示される領域の面積が大きい場合、又は、面積が等しい場合(ステップS28でYES)、配置変更部134は、第1ディスプレイ101をシフト先ディスプレイに特定する(ステップS29)。そして、顔領域のうち、第1ディスプレイ101からはみ出している割合である「はみ出し割合r」を算出する(ステップS30)。配置変更部134は、画像の表示サイズを960(1−r)×800(1−r)に縮小し、且つ、表示位置を右上端へシフトしてフレームメモリ144に再展開する(ステップS31)。
【0048】
第2ディスプレイ102に表示される領域の面積が大きい場合(ステップS28でNO)、配置変更部134は、第2ディスプレイ102をシフト先ディスプレイに特定する(ステップS32)。そして、顔領域のうち、第2ディスプレイ102からはみ出している割合である「はみ出し割合r」を算出する(ステップS33)。配置変更部134は、画像の表示サイズを960(1−r)×800(1−r)に縮小し、表示位置は変更せずに、フレームメモリ144に再展開する(ステップS34)。
【0049】
続いて、出力部135は、フレームメモリ144から画像を読み出して、第1ディスプレイ101及び第2ディスプレイ102に出力する(ステップS35)。
コンテンツを構成するすべての画像について処理が終わると、コンテンツ再生が終了する。
<2−4.実施形態2の効果>
図10(a)に示すように、従来、画像に含まれる顔領域が第1ディスプレイ101及び第2ディスプレイ102に跨って表示されていたのに対して、本実施形態の携帯型電子機器を用いれば、図10(b)のように、画像を縮小することにより、顔領域の全体が第2ディスプレイ102に収まるように、配置を変更することができる。
【0050】
これにより、コンテンツの再生中にユーザに与える不快感を軽減することができる。
<3.変形例>
以上、本発明に係る携帯型電子機器の実施形態を説明したが、例示した携帯型電子機器を以下のように変形することも可能であり、本発明が上述の実施形態で示したとおりの携帯型電子機器に限られないことは勿論である。
(1)上記の実施形態では、コンテンツは、映画やテレビドラマなどの動画像データを例に説明した。しかし、本発明はこれに限定されない。コンテンツは、静止画データであってもよい。
(2)本発明に係る携帯型電子機器は、図1に示したようなスライド式のものに限定されない。携帯型電子機器は、ディスプレイが配置された2個の筐体が折り畳み式に接続された構成でもよい。折り畳み式とは、閉状態においては、ディスプレイが配置された主表面同士が対向することにより両ディスプレイが視認不可能であり、開状態において、2個のディスプレイが同時に視認可能となる構成を言う。
(3)本発明は、携帯型電子機器1を備えた携帯電話機であってもよい。携帯電話機は、図3の構成に加えて、無線通信用のアンテナ、無線通信部、信号処理部、レシーバ、マイクなどを備える。また、携帯型電子機器1を備えた携帯電話機に限定されず、携帯型電子機器1を備えた携帯型ゲーム機、携帯型音楽プレーヤなど各種の情報端末も本発明に含まれる。
(4)上記の実施形態では、各タッチパッドは、静電容量方式のタッチセンサにより実現されるものとして説明したが、この静電容量方式のタッチセンサとして、多数の電極パターンをプラスチックやガラス等の基板上に形成し、接触点の近傍の複数の電極パターンによる電流量の比率を計測することで判別する投影型や、導電膜と基板とを有して構成され、基板の隅に電極を設け、導電膜による均一な電界を形成し、指等の接触による隅の端子の電流量の比率を計測して接触位置を判別する表面型等、適宜なものを用いることができる。
【0051】
また、各タッチパッドの検出方式は、静電容量方式に限らず、電子ペン等の専用のペンを用いる電磁誘導方式や、2層構造の透明電極からなるマトリクススイッチ方式や、2枚の抵抗膜の1枚に電圧を印加し、他方の抵抗膜において操作した位置に応じた電圧を検知する抵抗膜方式や、振動波の跳ね返りを圧電素子の電圧変化によって検出し、指等の接触を検知する表面弾性波方式や、遮光された赤外線により指等が接触した位置を検出する赤外線方式や、画像に光センサを組み込んで接触位置を検知する光センサ方式等、適宜なものを用いてもよい。
(5)上記の実施形態では、検出された顔領域が2個のディスプレイにより略二分される場合には、顔領域が第1ディスプレイ101に表示されるように配置を変更した。しかし、顔領域が第2ディスプレイ102に表示されるように配置を変更しても良いことは言うまでも無い。
【0052】
更には、検出された顔領域が2個のディスプレイにより略二分される場合には、上記のように予め設定されている一方のディスプレイに顔領域が表示されるように配置を変更する場合に限定されない。
例えば、現在処理中の画像に顔領域が含まれ、顔領域が2個のディスプレイにより略二分される場合には、当該画像と時間的に前後する画像の顔領域の位置を用いて、シフト先ディスプレイを決定するように構成してもよい。
【0053】
すなわち、特定人物が画面の左から右へ移動している場合、当該画像に含まれる顔領域が右側のディスプレイに表示されるように、配置変更部134は、第1ディスプレイ101をシフト先ディスプレイに特定する。逆に、特定人物が、画面の右から左へ移動している場合、当該画像に含まれる顔領域が左側のディスプレイに表示されるように、配置変更部134は、第2ディスプレイ102をシフト先ディスプレイに特定する。
(6)上記の実施形態では、顔認識部132は、特定人物の顔領域のみを検出する構成としていた。しかし、本発明にはこれに限定されない、一つの画像から複数の人物の顔領域を検出し、検出されたすべての顔領域が2個のディスプレイに跨らずに表示されるように、配置を変更する場合も本発明に含まれる。
(7)上記の実施形態1では、配置変更部134がフレームメモリ144上で画像の表示位置を変更することにより、画像をシフト処理する構成を有していた。しかし、本発明はこれに限定されない。標準配置141で示される態様でフレームメモリ144に展開されている画像を出力部135が読み出すとき、出力部135が読み出し開始位置をシフトすることにより、シフト処理する場合も本発明に含まれる。この場合、配置変更部134から出力部135へ読み出し開始位置を指定する情報を通知する必要がある。
(8)上記の実施形態および上記の変形例を適宜組み合わせてもよい。
<4.補足>
以下、更に本発明の一実施形態としての構成およびその変形例と効果について説明する。
(a)本発明の一実施形態に係る携帯型電子機器は、ディスプレイが配置された筐体が2個連結され、2個のディスプレイに跨って一つの画像を表示する携帯型電子機器であって、前記画像に含まれる顔領域を検出する顔認識手段と、表示位置及び表示サイズの条件を定義した標準配置で前記画像を表示した場合に、前記検出された顔領域が2個のディスプレイに跨って表示されるか否かを判断する判断手段と、前記顔領域が2個のディスプレイに跨らずに表示されると判断された場合、前記標準配置態様で前記画像を表示し、前記顔領域が2個のディスプレイに跨って表示されると判断された場合、前記顔領域の全体が何れか一方のディスプレイに表示されるように表示位置及び/又は表示サイズを変更した態様で前記画像を表示する表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【0054】
この構成によると、前記携帯型電子機器は、2個のディスプレイに跨って一つの画像を表示するとき、何れか一方のディスプレイに顔領域の全体を表示するので、ユーザに与える不快感を軽減することができる。
(b)前記携帯型電子機器において、前記表示制御手段は、前記顔領域が2個のディスプレイに跨って表示されると判断された場合、表示される顔領域の面積が大きい一方のディスプレイをシフト先ディスプレイとして特定する特定部と、前記シフト先ディスプレイに、前記顔領域の全体が表示されるように、表示位置及び/又は表示サイズを変更する変更部とを備えることを特徴とする。
【0055】
この構成によると、表示位置及び/又は表示サイズの変更量を抑制することができるので、画像の表示位置及び/又は表示サイズを変更することによってユーザが感じる違和感を軽減することができる。
(c)前記携帯型電子機器において、前記顔認識手段により検出される前記顔領域は矩形であり、前記表示制御手段は、前記顔領域を形成し、前記2個のディスプレイに跨る一つの辺のうち、前記シフト先ディスプレイからはみ出す部分の長さを算出する算出部を備え、前記変更部は、算出された長さ分だけ前記画像が前記シフト先ディスプレイの方向にシフトするように表示位置を変更し、変更した表示位置及び前記標準配置態様で定義された表示サイズで前記画像を表示することを特徴とする。
【0056】
この構成によると、顔領域の全体がシフト先ディスプレイに収まる最小限の範囲で表示位置をシフトするので、画像の表示位置を変更することによってユーザが感じる違和感を軽減することができる。
(d)前記携帯型電子機器において、前記顔認識手段により検出される前記顔領域は矩形であり、前記表示制御手段は、前記顔領域を形成し、前記2個のディスプレイに跨る一つの辺に対し、前記シフト先ディスプレイからはみ出す部分の割合を算出する算出部を備え、前記変更部は、算出された割合だけ前記画像の表示サイズを縮小し、前記標準配置態様で定義された表示位置及び縮小した表示サイズで前記画像を表示することを特徴とする。
【0057】
この構成によると、顔領域の全体がシフト先ディスプレイに収まる最小限の範囲で表示サイズを縮小するので、画像の表示サイズを変更することによってユーザが感じる違和感を軽減することができる。
(e)前記携帯型電子機器において、前記顔認識手段により検出される前記顔領域は矩形であり、前記表示制御手段は、前記顔領域を形成し、前記2個のディスプレイに跨る一つの辺に対し、前記シフト先ディスプレイからはみ出す部分の割合を算出する算出部を備え、前記変更部は、算出された割合だけ前記画像の表示サイズを縮小し、且つ、縮小された長さ分だけ前記画像が前記シフト先ディスプレイの方向にシフトするように表示位置を変更し、変更した表示位置及び縮小した表示サイズで前記画像を表示することを特徴とする。
【0058】
この構成によると、顔領域の全体がシフト先ディスプレイに収まる最小限の範囲で表示サイズを縮小し、且つ、表示位置をシフトするので、画像の表示サイズ及び表示位置を変更することによってユーザが感じる違和感を軽減することができる。
(f)前記携帯型電子機器において、前記画像は、動画像データを構成する複数の画像の各々であり、前記顔認識手段は、前記動画像データの再生開始から再生終了に至るまで、予め指定された特定の人物の顔が含まれる前記顔領域を各画像から検出することを特徴とする。
【0059】
例えば、映画やテレビドラマの主人公を前記特定人物として設定すれば、主人公の顔が常に何れか一方のディスプレイに表示される。したがって、主人公の顔が2個のディスプレイに跨って表示されることがなくなり、ユーザに与える不快感を抑制することができる。
(g)前記携帯型電子機器において、前記動画像データを構成する前記画像において検出された前記特定の人物の顔領域が標準配置態様で表示された場合に2個のディスプレイに略二分されて表示される場合、前記特定部は、当該画像の一つ前の画像又は一つ後ろの画像に含まれる前記顔領域の位置を用いて、前記シフト先ディスプレイを特定することを特徴とする。
【0060】
例えば、当該画像の一つ前の画像又は一つ後ろの画像に含まれる前記顔領域の位置を用いて、特定人物が画面の左から右へ移動しているのか、右から左へ移動しているのかを判断することができる。そこで、特定人物が画面の左から右へ移動している場合、特定部は、当該画像に含まれる顔領域が移動先である右側のディスプレイに表示されるようにシフト先ディスプレイを特定し、逆に、特定人物が、画面の右から左へ移動している場合、特定部は、当該画像に含まれる顔領域が移動先である左側のディスプレイに表示されるようにシフト先ディスプレイを特定することができる。
【0061】
これにより、画像の表示位置及び/又は表示サイズが変更することによってユーザが感じる違和感を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、2個のディスプレイを備え、2個のディスプレイを用いてコンテンツを表示・再生する電子機器の製造及び販売を行う産業において、コンテンツに含まれる人物の顔画像が2個のディスプレイに跨らずに表示されることにより、ユーザにより快適なコンテンツ視聴環境を提供する技術として利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 携帯型電子機器
11 上部筐体
12 下部筐体
13 結合部
101 第1ディスプレイ
102 第2ディスプレイ
103 システム制御部
104 通信制御部
105 アンテナ
106 記憶部
107 コンテンツ用バッファメモリ
108 スピーカ
109 コンテンツ表示制御部
131 フレームメモリ展開部
132 顔認識部
133 判断部
134 配置変更部
135 出力部
144 フレームメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイが配置された筐体が2個連結され、2個のディスプレイに跨って一つの画像を表示する携帯型電子機器であって、
前記画像に含まれる顔領域を検出する顔認識手段と、
表示位置及び表示サイズの条件を定義した標準配置の態様で前記画像を表示した場合に、前記検出された顔領域が2個のディスプレイに跨って表示されるか否かを判断する判断手段と、
前記顔領域が2個のディスプレイに跨らずに表示されると判断された場合、前記標準配置の態様で前記画像を表示し、前記顔領域が2個のディスプレイに跨って表示されると判断された場合、前記顔領域の全体が何れか一方のディスプレイに表示されるように表示位置及び/又は表示サイズを変更した態様で前記画像を表示する表示制御手段と
を備えることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
前記表示制御手段は、
前記顔領域が2個のディスプレイに跨って表示されると判断された場合、表示される顔領域の面積が大きい一方のディスプレイをシフト先ディスプレイとして特定する特定部と、
前記シフト先ディスプレイに、前記顔領域の全体が表示されるように、表示位置及び/又は表示サイズを変更する変更部とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯型電子機器。
【請求項3】
前記顔認識手段により検出される前記顔領域は矩形であり、
前記表示制御手段は、
前記顔領域を形成し、前記2個のディスプレイに跨る一つの辺のうち、前記シフト先ディスプレイからはみ出す部分の長さを算出する算出部を備え、
前記変更部は、算出された長さ分だけ前記画像が前記シフト先ディスプレイの方向にシフトするように表示位置を変更し、変更した表示位置及び前記標準配置で定義された表示サイズで前記画像を表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯型電子機器。
【請求項4】
前記顔認識手段により検出される前記顔領域は矩形であり、
前記表示制御手段は、
前記顔領域を形成し、前記2個のディスプレイに跨る一つの辺に対し、前記シフト先ディスプレイからはみ出す部分の割合を算出する算出部を備え、
前記変更部は、算出された割合だけ前記画像の表示サイズを縮小し、前記標準配置で定義された表示位置及び縮小した表示サイズで前記画像を表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯型電子機器。
【請求項5】
前記顔認識手段により検出される前記顔領域は矩形であり、
前記表示制御手段は、
前記顔領域を形成し、前記2個のディスプレイに跨る一つの辺に対し、前記シフト先ディスプレイからはみ出す部分の割合を算出する算出部を備え、
前記変更部は、算出された割合だけ前記画像の表示サイズを縮小し、且つ、縮小された長さ分だけ前記画像が前記シフト先ディスプレイの方向にシフトするように表示位置を変更し、変更した表示位置及び縮小した表示サイズで前記画像を表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯型電子機器。
【請求項6】
前記画像は、動画像データを構成する複数の画像の各々であり、
前記顔認識手段は、前記動画像データの再生開始から再生終了に至るまで、予め指定された特定の人物の顔が含まれる前記顔領域を各画像から検出する
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯型電子機器。
【請求項7】
前記動画像データを構成する前記画像において検出された前記特定の人物の顔領域が標準配置の態様で表示された場合に2個のディスプレイに略二分されて表示される場合、前記特定部は、当該画像の一つ前の画像又は一つ後ろの画像に含まれる前記顔領域の位置を用いて、前記シフト先ディスプレイを特定する
ことを特徴とする請求項6に記載の携帯型電子機器。
【請求項8】
ディスプレイが配置された筐体が2個連結され、2個のディスプレイに跨って一つの画像を表示する携帯型電子機器で用いられる表示制御方法であって、
前記画像に含まれる顔領域を検出する顔認識ステップと、
表示位置及び表示サイズの条件を定義した標準配置の態様で前記画像を表示した場合に、前記検出された顔領域が2個のディスプレイに跨って表示されるか否かを判断する判断ステップと、
前記顔領域が2個のディスプレイに跨らずに表示されると判断された場合、前記標準配置の態様で前記画像を表示し、前記顔領域が2個のディスプレイに跨って表示されると判断された場合、前記顔領域の全体が何れか一方のディスプレイに表示されるように表示位置及び/又は表示サイズを変更した態様で前記画像を表示する表示制御ステップと
を含むことを特徴とする表示制御方法。
【請求項9】
ディスプレイが配置された筐体が2個連結され、2個のディスプレイに跨って一つの画像を表示する携帯型電子機器で用いられる表示制御プログラムであって、
前記画像に含まれる顔領域を検出する顔認識ステップと、
表示位置及び表示サイズの条件を定義した標準配置の態様で前記画像を表示した場合に、前記検出された顔領域が2個のディスプレイに跨って表示されるか否かを判断する判断ステップと、
前記顔領域が2個のディスプレイに跨らずに表示されると判断された場合、前記標準配置の態様で前記画像を表示し、前記顔領域が2個のディスプレイに跨って表示されると判断された場合、前記顔領域の全体が何れか一方のディスプレイに表示されるように表示位置及び/又は表示サイズを変更した態様で前記画像を表示する表示制御ステップとを前記携帯型電子機器のコンピュータに実行させる
ことを特徴とする表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−92735(P2013−92735A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236172(P2011−236172)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】