説明

携帯型電子機器

【課題】ポインティングデバイスを持たない携帯型電子機器と同等の薄型化を実現することができる、ポインティングデバイスを有する携帯型電子機器を提供する。
【解決手段】携帯型電子機器が、ディスプレイ4と、メイン基板8と、メイン基板8の上に配置されている金属板9と、ディスプレイ内のカーソルを移動させるために操作可能であるとともに、押しボタンスイッチ機構を構成しているポインティングデバイス6と、を有している。ポインティングデバイス6の少なくとも一部が、金属板9に設けられている凹部9a内に収容されているか、または、ポインティングデバイス6は、金属板9に設けられている開口9bを介してメイン基板8の上に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯型電子機器、特にポインティングデバイスを有する携帯電話機などの携帯型電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の携帯型電子機器においてポインティングデバイスが設けられた構成が、特許文献1,2に開示されている。これらの構成では、初期状態では直立しているポインティングデバイスのキーを、使用者が任意の方向に傾けることによって、その傾けた方向にディスプレイ内のカーソルを移動させることができる。さらに、使用者がキーを押し下げることによって、ディスプレイ内でカーソルが指し示している処理を実行させるためのスイッチングを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−153233号公報
【特許文献2】特開2006−197159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなポインティングデバイスを構成するためには、携帯型電子機器内に、少なくとも、操作部であるキーと、キーに外力が加わっていないときにキーを初期状態に復帰させる復帰機構と、キーの傾き方向および傾き量を検知するセンサと、キーを押しボタンスイッチとして機能させるための機構とが配置されている。従って、ポインティングデバイスが構成されている部分は比較的厚くなり、携帯型電子機器のその他の部分、すなわち単純な押しボタンスイッチのみが構成されている部分等に比べて厚くなる。それにより、ポインティングデバイスを有する携帯型電子機器は、ポインティングデバイスを持たない携帯型電子機器よりも厚くなってしまう。
【0005】
そこで本発明の目的は、上述した課題を解決し、ポインティングデバイスを持たない携帯型電子機器と同等の薄型化を実現することができる、ポインティングデバイスを有する携帯型電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯型電子機器は、ディスプレイと、メイン基板と、メイン基板の上に配置されている板部材と、ディスプレイ内のカーソルを移動させるために操作可能であるとともに、押しボタンスイッチ機構を構成しているポインティングデバイスと、を有している。ポインティングデバイスの少なくとも一部が、板部材に設けられている凹部内に収容されているか、または、ポインティングデバイスは、板部材に設けられている開口を介してメイン基板の上に構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、ポインティングデバイスの少なくとも一部を、板部材に設けられた凹部内に収容した構成、または、ポインティングデバイスを、板部材に設けられた開口を介してメイン基板の上に形成した構成を採用している。そのため、ポインティングデバイスが構成された部分においては、板部材の厚さが部分的に小さくなっているか、または板部材が存在しない。このように、部分的に板部材の厚さを従来よりも低減またはなくすことによって、ポインティングデバイスの厚さを吸収することができる。その結果、ポインティングデバイスを有する携帯型電子機器の全体の厚さを、ポインティングデバイスを持たない携帯型電子機器と同等の薄さにすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の携帯型電子機器の一実施形態である携帯電話機を広げた状態を示す平面図である。
【図2】図1に示す携帯電話機の下側部分を示す分解斜視図である。
【図3】図1に示す携帯電話機のポインティングデバイスを示す、図1のa−a線断面図である。
【図4】図1に示す携帯電話機のフレキシブル基板の、ポインティングデバイスに対向する部分を示す斜視図である。
【図5】本発明の他の実施形態の携帯電話機の下側部分を示す分解斜視図である。
【図6】図5に示す携帯電話機のポインティングデバイスを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
本発明の携帯型電子機器の一実施形態である携帯電話機が、図1に示されている。この携帯電話機は、上ケース1を含む上側部分と下ケース2を含む下側部分とが、軸3を介して揺動可能に連結された折り畳み型である。上ケース1にディスプレイ4が設けられ、下ケース2に、テンキーを含む押しボタンスイッチ群5と、ポインティングデバイス6が設けられている。ポインティングデバイス6は、使用者がキー6aを任意の方向に傾けることによってディスプレイ4内のカーソル7を移動させることができるとともに、キー6aを押し下げることによって、ディスプレイ4内でカーソル7が指し示している処理を実行させるためのスイッチとして機能する。
【0011】
図2に示すように、下ケース2には、メイン基板8が挿入され、その上に板部材である金属板(板金)9が配置され、金属板9上にはフレキシブル基板10が貼り付けられており、さらにその上にキーシート11が配置されている。金属板9は、下ケース2との間にメイン基板8を挟み込んだ状態で、ねじ12によって下ケース2に固定されている。メイン基板8は電気部品を有している。
【0012】
図3に示すように、金属板9の上方にポインティングデバイス6が構成されており、ポインティングデバイス6は、キーシート11を介して外部に露出するキー6aを含む。キー6aは、初期状態では直立し、使用者の操作によって任意の方向に傾くことができるように、揺動可能に支持されている。そして、キー6aは、外力が加わっていないときには、復帰機構である弾性シート(不図示)によって初期状態(直立状態)に復帰させられる。さらに、キー6aが傾いたときの傾き方向および傾き量を検知するセンサ(不図示)が設けられている。初期状態のキー6aの直下の位置に、弾性を有するドーム状部分6bが設けられている。図示しないが、ドーム状部分6bの内部には導体部分(不図示)が設けられており、ドーム状部分6bの下方には、フレキシブル基板10に設けられた接点が配置されている。そして、キー6aと、導体部分を含むドーム状部分6bと、接点とによって押しボタンスイッチ機構が構成されている。
【0013】
キー6aが、初期状態において使用者によって押し下げられると、弾性を有するドーム状部分6bを加圧して変形させる。変形させられたドーム状部分6bは、図示しないが、内部に設けられている導体部分がその下方の接点と接触することによって導通する。そして、キー6aを押し下げる力が解除されると、ドーム状部分6bの弾性によって、その変形状態から初期状態に復帰し、導体部分が接点から離れて導通が解除される。押しボタンスイッチ機構はこのように機能する。
【0014】
また、キー6aは、金属板9上で任意の方向に傾くように揺動可能である。そして、キー6aの傾き方向および傾き量は、図示しないセンサによって検知される。そして、センサが検知した傾き方向および傾き量に従って、ディスプレイ4内のカーソル7が移動するように設定されている。そして、キー6aを傾ける力が解除されると、図示しない弾性シートの弾性力によってキー6aは初期状態に復帰させられる。このようにキー6aが初期状態に復帰させられるときには、ディスプレイ4内のカーソル7は移動しないように設定されている。
【0015】
このような構成において、本実施形態では、金属板9のポインティングデバイス6を支持する部分に、深さαの凹部9aが形成されている。そして、メイン基板8の厚さ(厳密に言うと、メイン基板8に含まれる電気部品の高さ)が、凹部9aに対向する部分では凹部9aの深さαに相当する分だけ小さくなっている。
【0016】
従来は、ポインティングデバイス6のキー6aの裏面の凸部(押し子)とドーム状部分6bの厚さだけ、携帯電話機の下側部分全体の厚さが厚くなっていた。しかし、本実施形態では、ポインティングデバイス6のキー6aの裏面の凸部とドーム状部分6bの少なくとも一部、好ましくは大部分が、金属板9の凹部9a内に収容されている。従って、ポインティングデバイス6を有するにもかかわらず、携帯電話機の下側部分全体の厚さが厚くなることはない。なお、凹部9aは、ポインティングデバイス6のキー6aの動作範囲に合わせて必要最小限の平面形状および寸法に形成されている。
【0017】
以上説明したように、金属板9に凹部9aが設けられているため、フレキシブル基板10はこの凹部9aに沿って配置される。本実施形態では、フレキシブル基板10の、凹部に対向する部分は、腕部10aのみでつながり、腕部10a以外の部分は周囲から分断された浮島部10bになっている。このような構成であるため、腕部10aが下方に屈曲して浮島部10bが凹部9a内に円滑に入り込む。従って、金属板9に凹部9aが形成されることによって金属板9とフレキシブル基板10の密着性が悪くなる危険性が回避できる。さらに、浮島部10b内に複数(図示されている例では3つ)の位置決め孔10cを設け、これらの位置決め孔10cを、金属板9に設けられた位置決め突起(不図示)等に嵌合させることによって、浮島部10bを形成したことによる位置精度低下を防ぐことができる。
【0018】
図5,6には、本発明の他の実施形態が示されている。この実施形態では、金属板9に、凹部9aではなく、開口9bを形成している。そして、ドーム状部分6bや不図示の接点は、メイン基板8(厳密に言うと、メイン基板8に含まれる電気部品)の上に直接配置されたフレキシブル基板10上に位置している。それ以外の構成は、前記した第1の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0019】
本実施形態によると、ポインティングデバイス6に対向する部分に金属板9が存在しないため、前記した第1の実施形態と同様に、ポインティングデバイス6を有するにもかかわらず、携帯電話機の下側部分全体の厚さが厚くなることはないという効果が得られる。さらに、金属板9とフレキシブル基板10の密着性の悪化や位置精度低下をより確実に防止することができる。
【0020】
なお、本発明は、図1に示すような折り畳み型の携帯電話機に限られず、折り畳み型でないストレート型の携帯電話機にも適用でき、さらに、携帯電話機以外の様々な携帯型電子機器にも広く適用できる。
【符号の説明】
【0021】
1 上ケース
2 下ケース
3 軸
4 ディスプレイ
5 押しボタンスイッチ群
6 ポインティングデバイス
6a キー
6b ドーム状部分
7 カーソル
8 メイン基板
9 金属板(板部材)
9a 凹部
9b 開口
10 フレキシブル基板
10a 腕部
10b 浮島部
10c 位置決め孔
11 キーシート
12 ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、メイン基板と、前記メイン基板の上に配置されている板部材と、前記ディスプレイ内のカーソルを移動させるために操作可能であるとともに、押しボタンスイッチ機構を構成しているポインティングデバイスと、を有し、前記ポインティングデバイスの少なくとも一部が、前記板部材に設けられている凹部内に収容されている、携帯型電子機器。
【請求項2】
前記板部材の上にフレキシブル基板が貼り付けられており、前記フレキシブル基板は、前記凹部に対向する部分が、腕部のみでつながって腕部以外の部分は周囲から分断された浮島部になっており、前記浮島部は前記凹部内に収容されている、請求項1に記載の携帯型電子機器。
【請求項3】
ディスプレイと、メイン基板と、前記メイン基板の上に配置されている板部材と、前記ディスプレイ内のカーソルを移動させるために操作可能であるとともに、押しボタンスイッチ機構を構成しているポインティングデバイスと、を有し、前記ポインティングデバイスは、前記板部材に設けられている開口を介して前記メイン基板の上に構成されている、携帯型電子機器。
【請求項4】
前記板部材の上にフレキシブル基板が貼り付けられており、前記フレキシブル基板は、前記開口に対向する部分が、腕部のみでつながって腕部以外の部分は周囲から分断された浮島部になっており、前記浮島部は前記開口を介して、前記メイン基板上に位置している、請求項3に記載の携帯型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−181729(P2012−181729A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44945(P2011−44945)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】