説明

携帯型電子機器

【課題】 一定のセキュリティレベルを保ちつつ、ユーザの負担にならずにロック状態の設定又は解除を実行することができる携帯型電子機器を提供する。
【解決手段】 表示部(14)と、表示部(14)に対する入力を検出する入力検出部(46)と、入力検出部(46)によって所定の入力が検出されると、当該電子機器(10)の一部若しくは全部の機能に対してロック状態の設定又は解除を実行するロック制御部30とを備える。所定の入力は、表示部(14)の任意の領域において、予め決められた画面操作が所定回数連続して行われることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能の一部又は全部をロック状態にすることが可能な携帯型電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の携帯型電子機器には、セキュリティの観点から、ユーザの手書きパターンの入力によって、画面上の特定の項目(例えば、フォルダ等)の表示・非表示を切り替えるものがある。この電子機器では、例えばタッチパネルをなぞることにより手書きパターンを予め設定しておき、入力された手書きパターンが設定された手書きパターンと一致したときに、上記特定項目の表示・非表示を切り替えることとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−8697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の携帯型電子機器では、上記表示・非表示(セキュリティロックの解除・設定)の切り替えを行うために、タッチパネル上を手書きパターンが設定されたときと同様に、すなわち手書きパターンが設定されたときと同じ位置を同じ軌跡でなぞることにより、手書きパターンを入力する必要がある。よって、誤認識が生じやすくなるとともに、ユーザは注意深く手書きパターンを入力しなければならず、ユーザの負担が大きくなる。一方、ユーザが負担を軽くするために、予め設定する手書きパターンを簡略化すると、セキュリティレベルが低下するという課題が生じる。
【0005】
従って、一定のセキュリティレベルを保ちつつ、ユーザの負担にならずにロック状態の設定又は解除を実行することができる携帯型電子機器が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による携帯型電子機器は、表示部と、前記表示部に対する入力を検出する入力検出部と、前記入力検出部によって所定の入力が検出されると、当該電子機器の一部若しくは全部の機能に対してロック状態の設定又は解除を実行するロック制御部と、を備える。前記所定の入力は、前記表示部の任意の領域において、予め決められた画面操作が所定回数連続して行われることを含む。
【0007】
本発明の一態様による携帯型電子機器は、表示部と、前記表示部に対する入力を検出する入力検出部と、前記入力検出部によって所定の入力が検出されると、当該電子機器の一部若しくは全部の機能に対してロック状態の設定又は解除を実行するロック制御部と、を備える。前記所定の入力は、前記表示部の任意の領域において、予め決められた複数の画面操作が所定の順序で行われることを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様による携帯型電子機器によれば、一定のセキュリティレベルを保ちつつ、ユーザの負担を低減した状態で、ロック状態の設定又は解除を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態の携帯型電子機器を示す外観図であり、図1(a)は表面側から見た斜視図であり、図1(b)は裏面側から見た斜視図である。
【図2】図1に示す携帯端末装置の電気的な構成例を示す図である。
【図3】ユーザがタッチパネル上をスライド操作することにより、ロック状態を解除している様子を示す図である。
【図4】ユーザが図3に示す操作を実行している場合に、ディスプレイの表示が遷移する様子を示す図である。
【図5】ユーザがロック状態の解除操作として、図3および図4を用いて説明した操作を設定するための設定画面である。
【図6】プロセサによるロック状態の解除処理を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施形態の携帯型電子機器におけるロック状態の解除方法を説明するための図である。
【図8】ユーザがロック状態の解除操作を設定するための設定画面である。
【図9】第3の実施形態の携帯型電子機器におけるロック状態の設定方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による携帯型電子機器を示す外観図であり、図1(a)は表面側から見た斜視図であり、図1(b)は裏面側から見た斜視図である。図1に示すように、本実施形態による携帯型電子機器10としては、一例としてスマートフォン(smartphone)が挙げられる。ただし、本発明としての携帯型電子機器としては、従来のフューチャフォン(feature phone)、タブレット端末、PDAなど
であってもよい。
【0011】
携帯型電子機器10は、縦長の扁平矩形のハウジング12を含む。ハウジング12の一方主面(表面)には、たとえば液晶や有機ELなどのディスプレイ14が設けられる。ディスプレイ14の上には、タッチパネル16が設けられる。したがって、本実施形態による携帯型電子機器10では、後述のハードキーの操作によるものを除く大部分の入力操作は、このタッチパネル16を介して行われる。
【0012】
また、図1に示すように、ハウジング12の縦方向における一方の端部の表面にスピーカ18が内蔵され、他方の端部の表面にマイク20が内蔵される。
【0013】
さらに、図1に示す携帯型電子機器10では、タッチパネル16とともに、入力操作手段を構成するハードキーとして、通話キー22、終話キー24およびメニューキー26が設けられる。
【0014】
たとえば、ユーザは、ディスプレイ14に表示されたダイヤルキーに対して、タッチパネル16によってタッチ操作を行うことで電話番号を入力でき、通話キー22を操作して音声通話を開始することができる。終話キー24を操作すれば、音声通話を終了することができる。なお、この終話キー24を長押しすることによって、携帯型電子機器10の電源をオン/オフすることができる。
【0015】
また、メニューキー26を操作すれば、ディスプレイ14にメニュー画面が表示され、その状態でディスプレイ14に表示されているソフトキーやメニューアイコンなどに対して、タッチパネル16上におけるタッチ操作を行うことによってメニューを選択し、その選択を確定させることができる。
【0016】
なお、上述のメニューキー26は、この携帯型電子機器10がカメラモードに設定され
る場合には、シャッタキーないし撮影キーとして機能してもよい。
【0017】
また、ハウジング12の他方主面(裏面)にはレンズ開口28が設けられる。図1の携帯型電子機器10においてカメラモジュールによって写真を撮ろうとするときは、カメラ開口28を被写体に向けて、撮影キーとして機能するメニューキー26を操作する。
【0018】
図2は、図1に示す携帯型電子機器10の電気的な構成例を示す図である。図2に示すように、携帯型電子機器10は、コンピュータまたはCPUと呼ばれるプロセサ30を含む。プロセサ30には、無線通信回路32、A/D変換器34、D/A変換器36、入力装置38、表示ドライバ40、フラッシュメモリ42、RAM44、タッチパネル制御回路46およびカメラモジュール48などが接続される。
【0019】
プロセサ30は、携帯電話機10の全体制御を司る。RAM44には、フラッシュメモリ42に予め設定されているプログラムの全部または一部が使用に際して展開され、プロセサ30はこのRAM44上のプログラムに従って動作する。なお、RAM44はさらに、プロセサ30のワーキング領域ないしバッファ領域として用いられる。
【0020】
入力装置38は、図1に示すタッチパネル16、ハードキー22、24および26を含むものであり、操作部または入力部を構成する。ユーザが操作したハードキーの情報(キーデータ)はプロセサ30に入力される。
【0021】
無線通信回路32は、アンテナ50を通して、音声通話やメールなどのための電波を送受信するための回路である。実施例では、無線通信回路32は、CDMA方式での無線通信を行うための回路である。たとえば、ユーザが入力装置38を操作して電話発信(発呼)を指示すると、無線通信回路32は、プロセサ30の指示の下、電話発信処理を実行し、アンテナ50を介して電話発信信号を出力する。電話発信信号は、基地局および通信網を経て相手の電話機に送信される。そして、相手の電話機において着信処理が行われると、通信可能状態が確立され、プロセサ30は通話処理を実行する。
【0022】
通常の通話処理について具体的に説明すると、相手の電話機から送られてきた変調音声信号はアンテナ50によって受信される。受信された変調音声信号には、無線通信回路32によって復調処理および復号処理が施される。そして、これらの処理によって得られた受話音声信号は、D/A変換器36によって音声信号に変換された後、スピーカ18から出力される。一方、マイク20を通して取り込まれた送話音声信号は、A/D変換器34によって音声データに変換された後、プロセサ30に与えられる。音声データには、プロセサ30の指示の下、無線通信回路32によって符号化処理および変調処理が施され、アンテナ50を介して出力される。したがって、変調音声信号は、基地局および通信網を介して相手の電話機に送信される。
【0023】
また、相手の電話機からの電話発信信号がアンテナ50によって受信されると、無線通信回路32は、電話着信(着呼)をプロセサ30に通知する。これに応じて、プロセサ30は、表示ドライバ40を制御して、着信通知に記述された発信元情報(電話番号など)をディスプレイ14に表示する。また、これとほぼ同時に、プロセサ30は、スピーカ18から着信音(着信メロディ、着信音声と言うこともある。)を出力させる。
【0024】
そして、ユーザが入力装置38に含まれる通話キー22(図1)を用いて応答操作を行うと、無線通信回路32は、プロセサ30の指示の下、通話状態確立処理を実行する。さらに、通話可能状態が確立され、プロセサ30は上述した通常の通話処理を実行する。
【0025】
また、通話可能状態に移行した後に入力装置38に含まれる終話キー24(図示1)に
よって通話終了操作が行われると、プロセサ30は、無線通信回路32を制御して、通話相手に通話終了信号を送信する。そして、通話終了信号の送信後、プロセサ30は通話処理を終了する。また、先に通話相手から通話終了信号を受信した場合も、プロセサ30は通話処理を終了する。さらに、通話相手によらず、移動通信網から通話終了信号を受信した場合も、プロセサ30は通話処理を終了する。
【0026】
A/D変換器34には図1に示すマイク20が接続され、上述のようにマイク20からの音声信号はこのA/D変換器34を通してディジタルの音声データとしてプロセサ30に入力される。D/A変換器36にはスピーカ18が接続される。D/A変換器36は、ディジタルの音声データを音声信号に変換して、アンプを介してスピーカ18に与える。したがって、音声データの音声がスピーカ18から出力される。
【0027】
なお、プロセサ30は、たとえばユーザによるボリュームの操作に応答して、D/A変換器36に接続されるアンプの増幅率を制御することによって、スピーカ18から出力される音声の音量を調整することができる。
【0028】
表示ドライバ40には図1に示すディスプレイ14が接続され、したがって、ディスプレイ14はプロセサ30から出力される映像または画像データに従って映像または画像を表示する。つまり、表示ドライバ40は、プロセサ30の指示の下、当該表示ドライバ40に接続されたディスプレイ14の表示を制御する。また、表示ドライバ40は表示する画像データを一時的に記憶するビデオメモリを含む。ディスプレイ14には、たとえばLEDなどを光源とするバックライトが設けられており、表示ドライバ40はプロセサ30の指示に従って、そのバックライトの明るさ(例えば、輝度)や、点灯/消灯を制御する。ディスプレイ14の表示パネルが照明される。
【0029】
タッチパネル制御回路46には、図1に示すタッチパネル16が接続される。タッチパネル制御回路46は、タッチパネル16に必要な電圧などを付与するとともに、タッチパネル16に対するユーザによるタッチの開始を示すタッチ開始信号、ユーザによるタッチの終了を示す終了信号、およびユーザがタッチしたタッチ位置を示す座標データをプロセサ30に入力する。したがって、プロセサ30はこの座標データに基づいて、そのときユーザがどのアイコンやキーにタッチしたかを判断することができる。
【0030】
実施例では、タッチパネル16は、指などの物体が表面に接近して生じた電極間の静電容量の変化を検出する静電容量方式で、たとえば1本または複数本の指がタッチパネル16に触れたことを検出する。また、タッチパネル16は、ディスプレイ14の上に設けられ、その画面内で、任意の位置を指示するためのポインティングデバイスである。タッチパネル制御回路46は、タッチパネル16のタッチ有効範囲内でのタッチ操作を検出して、そのタッチ操作の位置を示す座標データをプロセサ30に出力する。つまり、ユーザは、タッチパネル16の表面をタッチすることによって、操作位置や、操作方向などを携帯型電子機器10に入力する。
【0031】
なお、タッチ操作は指だけに限らず、スタイラスペンなどによって行われてもよい。また、タッチパネル16の検出方式には、表面型の静電容量方式が採用されてもよいし、抵抗膜方式、超音波方式、赤外線方式および電磁誘導方式などであってもよい。
【0032】
本実施形態による携帯型電子機器10では、セキュリティの観点から、携帯型電子機器10の一部又は全部の機能をロック状態に設定することができる。そして、再びその機能を実行しようとするときには、当該ロック状態を解除することができる。以下に、携帯型電子機器10におけるロック状態の解除方法を説明する。
【0033】
図3および図4は、携帯型電子機器10におけるロック状態の解除方法を説明するための図である。図3は、ユーザがタッチパネル16上をスライド操作することにより、ロック状態を解除している様子を示す図であり、図4は、ユーザが図3に示す操作を実行している場合に、ディスプレイ14の画面が遷移する様子を示す図である。図3に示すように、ユーザは、タッチパネル16上を右方向又は左方向に複数回スライド操作することにより、ロック状態を解除することができる。具体的には以下の通りである。
【0034】
例えば携帯型電子機器10の全機能がロック状態であるとき、ディスプレイ14には、図4(a)に示すように、全機能がロック状態であることを示す画面が表示される。ここで、全機能がロック状態であるときは、ユーザがロック状態の解除操作を行わない限り、全ての機能を実行することができないことをいう。ユーザは、これを確認すると、まずタッチパネル16上を右方向にスライド操作する(図3(a))。このとき、ディスプレイ14には、図4(b)に示すように、右方向のスライド操作が行われていることを示す画面が表示される。これは、タッチパネル制御回路46によって右方向へのスライド操作が検出されたことを示すものであり、ユーザは、この画面を確認することによって、現在行っている操作が、携帯型電子機器10に正しく認識されていることを知ることができる。
【0035】
スライド操作が完了すると、ディスプレイ14には、図4(c)に示すように、右方向にスライド操作が行われたことを示す「R1」が表示される。「R1」は、直前の操作が1回目のスライド操作であり、かつ右方向へのスライド操作であったことを示す。
【0036】
次に、ユーザは、タッチパネル16上をもう一度右方向にスライド操作する(図3(b))。このとき、ディスプレイ14には、図4(d)に示すように、右方向のスライド操作が行われていることを示す画面が表示される。スライド操作が完了すると、ディスプレイ14には、直前の操作が2回目のスライド操作であり、かつ右方向へのスライド操作であったことを示す「R2」が表示される(図4(e))。
【0037】
さらに、ユーザは、タッチパネル16上を左方向にスライド操作する(図3(c))。このとき、ディスプレイ14には、図4(f)に示すように、左方向のスライド操作が行われていることを示す画面が表示される。スライド操作が完了すると、ディスプレイ14には、直前の操作が3回目のスライド操作であり、かつ左方向へのスライド操作であったことを示す「L3」が表示される(図4(g))。
【0038】
そして、以上の画面操作により、携帯型電子機器10のロック状態が解除されると、ディスプレイ14には、図4(h)に示すように、ロック状態が解除されたことを示す画面が表示される。
【0039】
このように、本実施形態による携帯型電子機器10によれば、ディスプレイ14において、右方向のスライド操作と左方向のスライド操作が所定の順序で、すなわち、右方向、右方向、左方向の順で行われることにより、ロック状態を解除することができる。
【0040】
ここで、プロセサ30は、タッチパネル制御回路46によって、ユーザがタッチしたタッチ位置を示す座標データが入力されると、スライド操作の操作方向を判断する。プロセサ30は、タッチパネル制御回路46からの入力信号に基づいて、右方向、右方向、左方向の順でスライド操作が行われたと判断した場合には、それらのスライド操作がタッチパネル16上のどの領域において行われたかに関わらず、ロック状態を解除する処理を行う。
【0041】
よって、本実施形態による携帯型電子機器10によれば、ロック状態を解除するために、従来のパターン認識のように、タッチパネル16上の予め決められた位置を予め決めら
れた軌跡でなぞる必要はないため、ユーザの負担にならずにロック状態の解除を実行することができる。また、ロック状態を解除するための操作が、スライド操作という簡単な画面操作の集合体であるため、ユーザの負担にならずにロック状態の解除を実行することができる。
【0042】
さらに、本実施形態による携帯型電子機器10によれば、ロック状態を解除するために、画面操作を所定の順序で行う必要があることから、個々の画面操作は簡単であっても、簡単にロック状態を解除することはできないため、一定のセキュリティレベルが保持される。
【0043】
以上により、本実施形態よる携帯型電子機器10によれば、一定のセキュリティレベルを保ちつつも、ユーザの負担を低減した状態で、ロック状態の設定又は解除を実現することができる。
【0044】
上述の携帯型電子機器10では、ユーザによる入力、すなわちスライド操作が開始されてから完了するまで、図4(b)〜図4(g)に示すように、ディスプレイ14に入力の過程を表示させることとしたが、これを省略することも可能である。
【0045】
また、携帯型電子機器10では、ユーザがスライド操作をしている途中およびスライド操作を完了した後に、ディスプレイ14に操作に関する情報が表示されていたが、ディスプレイ14に表示される代わりに、効果音が出力されてもよい。例えば、スライド操作が行われている途中でスライド操作の方向によって異なる効果音が出力されてもよいし、スライド操作が行われている途中とスライド操作が完了した後とで異なる効果音が出力されてもよい。さらには、スライド操作が行われている途中およびスライド操作が完了した後の少なくとも一方で効果音が出力されてもよい。
【0046】
また、静かな環境において効果音が出力されると不都合が生じる場合には、携帯型電子機器10を振動させてもよい。この場合も、上述の効果音の場合と同様に、スライド操作の方向によって異なる振動数で振動されるといった種々の変形が可能である。このように、効果音や振動を利用すれば、ユーザは、ディスプレイ14を見ることなく、自分が実行している操作を知ることができる。よって、ポケットの中に携帯型電子機器10を入れたままロック状態の解除操作を行うといったことも可能になる。
【0047】
図5は、ユーザがロック状態の解除操作として、図3および図4を用いて説明した操作を設定するための設定画面である。ユーザは、メニュー選択画面から例えば「ロック解除設定」と記載されたメニューを選択すると、図5に示すように、ディスプレイ14にロック解除設定画面が表示される。
【0048】
図5に示すように、ロック解除設定画面は、ロックコード数を設定することができるロックコード数設定アイコン60と、スライド操作の方向を設定することができる3つの方向設定アイコン61と、スライド操作の回数を設定することができる3つの回数設定アイコン62とを有する。ロックコード数とは、ロック状態を解除するために必要なスライド操作の総数であり、ここでは、3回と設定されている。
【0049】
並んで表示された方向設定アイコン61と回数設定アイコン62とは対応しており、各スライド操作の回数を設定することができる。図5の例でいうと、右方向のスライド操作を1回、右方向のスライド操作を1回、左方向のスライド操作を1回実行すれば、ロック状態を解除することができる。
【0050】
方向設定アイコン61は、タッチされる毎に「右」および「左」が切り替わる。回数設
定アイコン62は、タッチされると選択肢として複数の数字が表示され、それらから1つを選択できるようになっていてもよい。
【0051】
また、解除設定画面には、解除ボタン63が表示される。ロックコード数設定アイコン60、方向設定アイコン61、および回数設定アイコン62を用いて入力を行った後、解除ボタン63を押下することにより、ロックコード数設定アイコン60、方向設定アイコン61、および回数設定アイコン62によって入力された操作が、解除操作として設定される。なお、各アイコン60,61,62を用いて行った入力は、ユーザが確認することができるように、例えば、解除操作表示領域64に表示されてもよい。
【0052】
なお、この解除設定画面では、方向設定アイコン61が3つしか表示されてないため、ロックコード数が4以上になったときは、例えば、一番上に表示されている「右」と設定された方向設定アイコン61に対応する回数設定アイコン62の回数を「2」に設定し、中央に表示されている方向設定アイコン61を「左」に設定し、かつ当該「左」に設定された方向設定アイコン61に対応する回数設定アイコン62を「1」に設定することにより、一番下に表示された方向設定アイコン61および回数設定アイコン62を用いて、新たなスライド操作を追加することができる。このように、ユーザは、ロックコード数に合わせて各設定アイコン61,62を適宜設定することができる。また、方向設定アイコン61および回数設定アイコン62の数は、それぞれ3に限らず任意であってよい。
【0053】
次に、プロセサ30によるロック状態の解除処理を説明する。図6は、プロセサ30によるロック状態の解除処理を示すフローチャートである。ここで、図6における「N」は、ロック状態の解除のためにユーザによって行われた画面操作の回数を示す。この回数は、RAM44における所定の領域に記憶され、ユーザによって画面操作がされる毎に、プロセサ30によって書き直され、1ずつ増大する。以下では、ロックコード数がM(Mは2以上の整数)であるものとして説明を行う。なお、ロックコード数Mは、図5に示した解除設定画面においてユーザによって設定された後、RAM44に記憶される。
【0054】
携帯型電子機器10がロック状態になったとき、N=0に設定されている(ステップ1:S1)。プロセサ30は、ユーザによってタッチパネル16上で画面操作が行われ、タッチパネル制御回路46から信号が入力されると(ステップ2:S2においてYES)、RAM44の所定領域に記憶されたN(=0)を1に書き直す(ステップ3:S3)。プロセサ30は、タッチパネル制御回路46から信号が入力されない場合には(ステップ2:S2においてNO)、ステップ2の処理、すなわちタッチパネル制御回路46から信号が入力されたか否かを判断する処理を繰り返す。
【0055】
プロセサ30は、タッチパネル制御回路46から信号が入力され(ステップ2:S2においてYES)、N=1とした場合、ユーザによって次の画面操作が行われたか否か、すなわちタッチパネル制御回路46から信号が入力されたか否かを判断する(ステップ4:S4)。
【0056】
ステップ4において、タッチパネル制御回路46から信号が入力されなかった場合(ステップ4においてNO)、所定時間が経過したか否か判断する(ステップ5:S5)。タッチパネル制御回路46から信号が入力されないまま、所定時間が経過した場合には(ステップ5においてYES)、表示ドライバ40を介して、ディスプレイ14にロック状態を解除できない旨を表示させる(ステップ6:S6)。所定時間が経過していない場合には(ステップ5においてNO)、ステップ4の処理を繰り返す。
【0057】
一方、プロセサ30は、ステップ4において、タッチパネル制御回路46から信号が入力されると(ステップ4においてYES)、RAM44の所定領域に記憶されたN(=1
)の数を1つ増大させる(ステップ7:S7)。そして、プロセサ30は、RAM44の所定領域を読みだして、Nがロックコード数に到達したか否か、すなわちN=Mになったか否かを判断する(ステップ8:S8)。NがMに到達していない場合には、ステップ4に戻って、再度タッチパネル制御回路46から信号が入力されたか否か判断する(ステップ4)。
【0058】
ステップ6において、NがMに到達した場合、すなわちN=Mになった場合には(ステップ8においてYES)、入力された画面操作が予め設定された解除操作であるか否か、ここでは、スライド操作が右方向、右方向、左方向の順で行われたか否か判断する(ステップ9:S9)。入力された画面操作が予め設定された解除操作であると判断した場合には(ステップ9においてYES)、ロック状態の解除処理を行う(ステップ10:S10)。
【0059】
一方、プロセサ30は、ステップ7において、入力された画面操作が予め設定された解除操作でないと判断した場合には(ステップ9においてNO)、表示ドライバ40を介して、ディスプレイ14にロック状態を解除できない旨を表示させる(ステップ6:S6)。この表示は、文字であっても、アイコンであってもよい。
【0060】
なお、これまでは、図3〜図6を用いて、ロック状態の解除方法について説明してきたが、図3および図4の操作は、ロック状態を解除する場合に限らず、ロック状態を設定する場合においても適用可能である。この場合、ディスプレイ14が待ち受け画面や実行されている機能の機能画面等を表示している間に、上述の解除方法で説明したようなスライド操作をタッチパネル16上で行うことにより、当該機能に対してロック状態を設定することができる。また、設定画面については、図5に示した解除ボタン63を設けたロック解除設定画面の代わりに、設定ボタンを設けたロック設定画面を用いるとよい。
【0061】
また、ロック状態を設定する場合には、図6に示すフローチャートのステップ9,ステップ10、ステップ11の処理が、それぞれ「予め決められた設定操作?」、「ロック状態の設定」および「ロック状態を設定できない旨の表示」となる。
【0062】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態による携帯型電子機器について説明する。本実施形態による携帯型電子機器は、ロック状態の設定又は解除の方法が、第1の実施形態による携帯型電子機器10と異なる。本実施形態による携帯型電子機器の構成は、図1および図2で示した構成と同様であるため、説明を省略する。また、本実施形態による携帯型電子機器において、第1の実施形態による携帯型電子機器10の構成と同一の構成については、同一の符合を付して図示および説明を行う。
【0063】
図7は、本実施形態の携帯型電子機器におけるロック状態の解除方法を説明するための図である。まず、図7(a)は、セキュリティロック状態におけるディスプレイ14の画面の一例を示している。この画面は、図4(a)と同様に、ロック状態であることをユーザに認識させる画面であればよいが、ユーザの利便性を向上させるために、例えば、ユーザがロック状態を解除する際に行うべきタッチ操作についてヒントを与えるものであってもよい。
【0064】
具体的に、本実施形態による携帯型電子機器では、ディスプレイ14に、タッチ操作の始点を示すマーク71と円環状のルート72とが表示される(図7(a))。これらは、いずれもユーザがロック状態を解除する際に行うべきタッチ操作のガイドとしての役割を果たす。すなわち、この画面は、ロック状態が、円環状のルート72に沿ったスライド操作によって解除されることを示している。よって、ロック状態を解除する際にユーザが必
ずしもこのルート72に沿ってスライド操作を行う必要はない。
【0065】
図7(b)は、ディスプレイ14の画面において右周回方向(時計回りの方向)にスライド操作を行っていることを示し、図7(c)は、当該スライド操作を行った場合にディスプレイ14に表示される画面を示している。ここで、ディスプレイ14には、「R1/2」が表示されている。これは、直前の操作が、1回目のスライド操作であり、かつ右周回方向に全円周長さの1/2の長さのスライド操作を行ったことを示す。
【0066】
次に、図7(d)は、図7(b)の操作に続いて、ディスプレイの画面において右周回方向にスライド操作を行っていることを示している。スライド操作が完了した場合には、ディスプレイ14に、直前の操作が2回目のスライド操作であり、かつ右周回方向に全円周長さの1/2の長さのスライド操作を行ったことを示す「R1/2」が表示される(図7では省略している。)
【0067】
図7(e)は、図7(d)の操作に続いて、画面における左周回方向にスライド操作を行ったことを示し、図7(f)は、当該スライド操作を行った場合にディスプレイ14に表示される画面を示している。ここで、ディスプレイ14には、直前の操作が3回目のスライド操作であり、かつ左周回方向のスライド操作であったことを示す「L3」が表示されている。図7(g)は、図7(b)(d)(e)の操作を経て、ロック状態が解除された場合のディスプレイ14の画面の一例を示している。また、図7(h)は、ユーザによる画面操作ではロック状態が解除できない場合にディスプレイ14が表示する画面の一例を示している。
【0068】
図8は、ユーザがロック状態の解除操作として、図7を用いて説明した操作を設定するための解除設定画面である。ここで、図5と同様の構成には、同一の符合を付し、説明を省略する。
【0069】
図8に示すように、解除設定画面は、3つの方向設定アイコン61と3つの回数設定アイコン62とを有する。ロックコード数は、3回に設定されている。図8の例でいうと、右周回方向のスライド操作を1/2回、右周回方向のスライド操作を1/2回、左方向のスライド操作を1回実行すれば、ロック状態を解除することができる。
【0070】
なお、本実施形態による携帯型電子機器において利用する上述のスライド操作は、ロック状態を解除する場合に限らず、ロック状態を設定する場合においても適用可能である。
【0071】
また、第1および第2の実施形態において説明したロック状態の設定又は解除方法は、タッチパネル16上でスライド操作を行うことにより行うことができるため、例えば、タッチパネル16上で手書きパターンを入力する場合、又は暗証番号を入力するといった場合と比較して、それほど大きい操作領域を必要としない。よって、ディスプレイ14にロック状態の設定および解除のための領域を常に確保しておき、その領域上に設けられたタッチパネル16上を操作することにより、ロック状態の設定又は解除を行うこともできる。
【0072】
(第3の実施形態)
さらに、第1および第2の実施形態において説明したロック状態の設定又は解除方法は、ディスプレイ14の画面に表示された項目のすべてについてロック状態を設定又は解除する場合に限らず、特定の項目のみについてロック状態を設定又は解除する場合においても適用可能である。その場合のロック状態の設定方法を説明する。図9は、本実施形態の携帯型電子機器におけるロック状態の設定方法を説明するための図である。まず、図9(a)は、あらかじめ登録しておいたファイルやプログラムをアイコン70で一覧表示するランチャ画面である。このランチャ画面には、ロック状態の設定又は解除を行うプログラムを示すアイコン70aが表示される。図9(b)に示すように、ユーザがこのアイコン70aを選択すると、ロック状態の設定を行うことができるプログラムが一覧表示される。ユーザは、このリストから、ロック状態を設定したいプログラムを選択することができる。そして、ユーザは、プログラムを選択した後、設定ボタン71を押下することにより、所望のプログラムに対してロック状態の設定を行うことができる。なお、設定ボタン71と同時にキャンセルボタン72を表示してもよい。
【0073】
ユーザは、プログラムの選択および設定を行った後、第1および題2の実施形態において説明した解除処理と同様の画面操作を行うと(図9(d),(e))、ロック状態を設定することができる。なお、図9に示した例では、設定ボタン71を押下した後、画面が最初のランチャ画面に戻るように設定されているものとする。一連の操作によって、ロック状態が設定されると、ロック状態が設定された旨を表示する画面が表示される(図9(f))。
【0074】
なお、本実施形態による携帯型電子機器では、ロック状態の設定を行うことができるプログラムを一覧表示させ、その中からロック状態を設定するプログラムを選択するようにしたが、プログラムを起動させてその動作画面(実行されている機能の機能画面)をディスプレイ14に表示させている間に上記画面操作を行うことにより、そのプログラムに対してロック状態を設定できるようにしてもよい。
【0075】
また、ロック状態の設定又は解除をするための画面操作は、直線方向のスライド操作のみに限らず、周回方向のスライド操作、タップ操作、およびダブルタップ操作等のその他のタッチ操作を組み合わせて構成されてもよい。また、複数の操作の組み合わせではなく、右方向のスライド操作等の予め決められた画面操作が、例えば、5回等の予め決められた回数だけ連続して行われた場合に、ロック状態の設定又は解除がなされてもよい。
【0076】
なお、ロック状態の設定又は解除をするための画面操作は、パスワードとしてみなすことができる。この場合、パスワードの構成要素を、画面操作の種類と当該画面操作の連続操作回数とにより定めることができる。例えば、右方向のスライド操作を1回操作することを「1」、右方向のスライド操作を連続して2回操作することを「2」、右方向のスライド操作を連続して3回操作することを「3」、左方向のスライド操作を1回操作することを「4」、左方向のスライド操作を2回操作することを「5」などと定めておけば、図3で示した操作は、「2」「4」という入力に相当する。ここで、RAM44にパスワード「2」「4」を記憶させておけば、プロセサ30は、ユーザによって図3に示した操作が、予めRAM44に記憶させたパスワードに一致する、言い換えれば、入力された複数の画面操作が、RAM44に記憶させたパスワードに対応する複数の画面操作に一致するとして、ロック状態の設定又は解除を行う。なお、RAM44に記憶させるパスワードは、ディスプレイ14に表示される設定画面からユーザによって適宜設定できるようにしてもよい。
【0077】
また、第1乃至第3の実施形態による携帯型電子機器によれば、ロック状態を解除するために、ディスプレイ14の画面上で数字等の入力を行うわけではなく、タッチパネル上を触れる(タッチする)だけでよいため、ディスプレイ14の照明を必ずしも明るくする必要はない。よって、プロセサ30および表示ドライバ40は、携帯型電子機器の一部若しくは全部の機能に対してロック状態が設定されている場合に、タッチパネル16によって所定の画面操作が検出されるまで、ディスプレイ14の照明の明るさ(例えば、輝度)をロック状態が設定されている場合と同様に維持(多くは、消灯したまま維持)し、又はディスプレイ14の輝度を上げた場合であっても、その輝度が所定値以下になるように制御してよい。これにより、省電力化を図ることができる。また、このように制御すること
により、ロック状態の解除の過程において直前の操作に関する情報がディスプレイ14に表示される場合であっても、ディスプレイ14の画面を外部から見難くすることができるため、ユーザ(解除者)以外の第三者がディスプレイ14を覗き見したとしても、その第三者に対して解除操作に関する情報が漏曳することを低減することができる。
【0078】
なお、第1乃至第3の実施形態において説明したロック状態の設定又は解除のための画面操作は、上述したように、比較的小さい操作領域しか必要としないため、ディスプレイ14の面積が小さい小型の携帯型電子機器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0079】
10:携帯型電子機器
12:ハウジング
14:ディスプレイ
16:タッチパネル
18:スピーカ
20:マイク
22:通話キー
24:終話キー
26:メニューキー
30:プロセサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部に対する入力を検出する入力検出部と
を備えた携帯型電子機器であって、
前記入力検出部によって所定の入力が検出されると、当該携帯型電子機器の一部若しくは全部の機能に対してロック状態の設定又は解除を実行するロック制御部を備え、
前記所定の入力は、前記表示部の任意の領域において、予め決められた画面操作が所定回数連続して行われることを含む、携帯型電子機器。
【請求項2】
表示部と、
前記表示部に対する入力を検出する入力検出部と
を備えた携帯型電子機器であって、
前記入力検出部によって所定の入力が検出されると、当該携帯型電子機器の一部若しくは全部の機能に対してロック状態の設定又は解除を実行するロック制御部を備え、
前記所定の入力は、前記表示部の任意の領域において、予め決められた複数の画面操作が所定の順序で行われることを含む、携帯型電子機器。
【請求項3】
複数の画面操作に対応させたパスワードを記憶する記憶部を有し、
前記ロック制御部は、入力された複数の画面操作が、前記パスワードに対応する複数の画面操作に一致する場合に、前記ロック状態の設定又は解除を実行し、
前記パスワードの構成要素は、画面操作の種類と、当該画面操作の連続操作回数により定まる、請求項2に記載の携帯型電子機器。
【請求項4】
前記複数の画面操作は、第1の方向に沿ったスライド操作および第2の方向に沿ったスライド操作が所定の順序で実行されることである、請求項2又は請求項3に記載の携帯型電子機器。
【請求項5】
前記複数の画面操作は、第1の方向に沿ったスライド操作、第2の方向に沿ったスライド操作およびその他のタッチ操作が所定の順序で実行されることである、請求項2又は請求項3に記載の携帯型電子機器。
【請求項6】
前記表示部は、前記所定の入力が開始されてから完了するまで当該入力の過程を表示する、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の携帯型電子機器。
【請求項7】
前記画面操作が行われる毎に、当該画面操作が完了したことを報知する報知音を発生する報知音発生部を有する、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の携帯型電子機器。
【請求項8】
前記表示部は、実行されている機能に対応する機能画面を表示し、
前記ロック制御部は、ロックが解除された状態で前記所定の入力がなされると、前記表示部が表示している機能画面に対応する機能に対してロック状態を設定する、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の携帯型電子機器。
【請求項9】
前記表示部の輝度を制御する輝度制御部を備え、
前記輝度制御部は、当該携帯型電子機器の一部若しくは全部の機能に対してロック状態が設定されている場合に、前記入力検出部によって所定の入力が検出されるまで、前記表示部の輝度を所定値以下になるように制御する請求項1から請求項8のいずれかに記載の携帯型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−114317(P2013−114317A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257574(P2011−257574)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】