説明

携帯型電子機器

【課題】 液晶表示パネル用フレキシブル配線板から回路基板に向かって発せられる電気的ノイズを低減することができる上、部品点数を少なくする。
【解決手段】 方形枠状のフロントケース1の内側には方形状の板金2の外周部が埋め込まれている。板金2には、プレス加工等により、フレキシブル配線板挿通用開口部3およびノイズ低減用舌片4が形成されている。一端部を液晶表示パネル14に接続された液晶表示パネル用フレキシブル配線板16の他端部はフレキシブル配線板挿通用開口部3を挿通されて回路基板8上に接続されている。この場合、ノイズ低減用舌片4の上面にほぼ沿うように配置された液晶表示パネル用フレキシブル配線板16とその下側の回路基板8との間にはノイズ低減用舌片4が介在されている。ノイズ低減用舌片4は板金2の一部によって形成しているので、それ専用の部品を必要とせず、部品点数を少なくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は携帯電話等の携帯型電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、従来の携帯電話には、上ケーシングと下ケーシングとの間の上側および下側に液晶表示パネルおよび回路基板がそれぞれ設けられ、液晶表示パネルと回路基板とがフレキシブル配線板を介して電気的に接続されたものがある(例えば、特許文献1参照)。この場合、フレキシブル配線板から回路基板に向かって発せられる電気的ノイズを低減するため、回路基板の上側に金属シートを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−290522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の携帯電話では、フレキシブル配線板から回路基板に向かって発せられる電気的ノイズを低減するため、回路基板の上側に金属シートを設けているので、それ専用の部品が必要となり、部品点数が多くなってしまうという問題がある。
【0005】
そこで、この発明は、フレキシブル配線板から回路基板に向かって発せられる電気的ノイズを低減することができる上、部品点数を少なくすることができる携帯型電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る携帯型電子機器は、樹脂からなる枠状のケースと、外周部が前記ケースの内側に埋め込まれ、フレキシブル配線板挿通用開口部を有する板金と、前記板金の一面側に設けられた表示パネルと、前記ケース内において前記板金の他面側に設けられた回路基板と、前記表示パネルと前記回路基板とを前記板金のフレキシブル配線板挿通用開口部に挿通されて接続する表示パネル用フレキシブル配線板とを備え、前記板金には前記フレキシブル配線板挿通用開口部の一の内壁面から前記回路基板側に延びるノイズ低減用舌片が設けられ、前記表示パネル用フレキシブル配線板は前記ノイズ低減用舌片に沿うように配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、フレキシブル配線板から回路基板に向かって発せられる電気的ノイズを低減することができる上、部品点数を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の一実施形態としての携帯電話の要部の断面図。
【図2】図1に示す板金を含むフロントケースの一部の平面図。
【図3】図1に示す携帯電話のタッチパネル用フレキシブル配線板の部分の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1はこの発明の一実施形態としての携帯電話の要部の断面図を示す。この携帯電話はフロントケース1を備えている。フロントケース1はABS樹脂等によって方形枠状に形成されている。フロントケース1の内側にはステンレス等からなるほぼ方形状の板金2の外周部がインサート成形により埋め込まれている。この状態では、板金2の外周部を除く上面および下面は露出されている。
【0010】
図2は図1に示す板金2を含むフロントケース1の一部の平面図を示す。板金の図2における下側(図1における右側)には、ほぼコ字形状の切り込みを入れた後にプレス加工を行うことにより、方形状のフレキシブル配線板挿通用開口部3が形成され、且つ、フレキシブル配線板挿通用開口部3の図2における下内壁面(図1における右内壁面)から図1において下側に延びた後に右下方向に延びるノイズ低減用舌片4が形成されている。
【0011】
フロントケース1の下面側にはABS樹脂等からなる方形状のリアケース5が設けられている。フロントケース1の下面にはリング状の防水用溝6が設けられている。防水用溝6内には、フロントケース1とリアケース5との間を防水するためのパッキン7が設けられている。
【0012】
フロントケース1とリアケース5との間において板金2の下方には回路基板8が設けられている。リアケース5の所定の箇所にはほぼ方形状の開口部からなる電池収納部9が設けられている。リアケース5の電池収納部9内において回路基板8の下面側には電池パック10が収納されている。この状態では、電池パック10は回路基板8に電気的に接続されている。
【0013】
リアケース5の下面側にはABS樹脂等からなる電池カバー11が取り外し可能に設けられている。リアケース5の下面において電池収納部10の周囲にはリング状の防水用溝13が設けられている。防水用溝13内には、リアケース5と電池カバー11との間を防水するためのパッキン13が設けられている。
【0014】
板金2の上面には液晶表示パネル14が設けられている。液晶表示パネル14の上面にはタッチパネル15が設けられている。液晶表示パネル14の一端部(図1における左端部)の所定の箇所には液晶表示パネル用フレキシブル配線板16の一端部が接続されている。液晶表示パネル用フレキシブル配線板16には液晶表示パネル用電子部品(図示せず)が搭載されている。
【0015】
液晶表示パネル用フレキシブル配線板16の他端部側は板金2のフレキシブル配線板挿通用開口部3を挿通されて板金2の下側に配置されている。この状態では、板金2のフレキシブル配線板挿通用開口部3の近傍に存在する液晶表示パネル用フレキシブル配線板16は板金2のノイズ低減用舌片4の上面にほぼ沿うように配置されている。そして、液晶表示パネル用フレキシブル配線板16の他端部の図1において下面に設けられたコネクタ17は、回路基板8の上面の所定の箇所に設けられたコネクタ18に接続されている。
【0016】
このように、この携帯電話では、板金2のフレキシブル配線板挿通用開口部3の近傍に存在する液晶表示パネル用フレキシブル配線板16を板金2のノイズ低減用舌片4の上面にほぼ沿うように配置しているので、板金2のノイズ低減用舌片4の上面にほぼ沿うように配置された液晶表示パネル用フレキシブル配線板16とその下側の回路基板8との間にはノイズ低減用舌片4が介在され、これにより液晶表示パネル用フレキシブル配線板16から回路基板8に向かって発せられる電気的ノイズを低減することができる。しかも、この場合、ノイズ低減用舌片4は板金2の一部によって形成しているので、それ専用の部品を必要とせず、部品点数を少なくすることができる。
【0017】
ここで、図3は図1に示す携帯電話のタッチパネル用フレキシブル配線板の部分の断面図を示す。タッチパネル15の一端部(図1における左端部)下面の所定の箇所にはタッチパネル用フレキシブル配線板21の一端部が接続されている。タッチパネル用フレキシブル配線板21にはタッチパネル用電子部品(図示せず)が搭載されている。
【0018】
タッチパネル用フレキシブル配線板21の他端部側は板金2のフレキシブル配線板挿通用開口部3を挿通されて板金2の下側に配置されている。この状態では、板金2のフレキシブル配線板挿通用開口部3の近傍に存在するタッチパネル用フレキシブル配線板21は板金2のノイズ低減用舌片4の上面にほぼ沿うように配置されている。そして、タッチパネル用フレキシブル配線板21の他端部の図3において下面に設けられたコネクタ22は、回路基板8の上面の所定の箇所に設けられたコネクタ23に接続されている。
【0019】
このように、この携帯電話では、板金2のフレキシブル配線板挿通用開口部3の近傍に存在するタッチパネル用フレキシブル配線板21を板金2のノイズ低減用舌片4の上面にほぼ沿うように配置しているので、板金2のノイズ低減用舌片4の上面にほぼ沿うように配置されたタッチパネル用フレキシブル配線板21とその下側の回路基板8との間にはノイズ低減用舌片4が介在され、これによりタッチパネル用フレキシブル配線板21から回路基板8に向かって発せられる電気的ノイズを低減することができる。しかも、この場合も、ノイズ低減用舌片4は板金2の一部によって形成しているので、それ専用の部品を必要とせず、部品点数が増加しないようにすることができる。
【0020】
ところで、板金2にはフレキシブル配線板挿通用開口部3を形成する必要があるが、フレキシブル配線板挿通用開口部3を打ち抜き加工によってただ単に形成した場合には、打ち抜き片がそのまま廃材となってしまう。これに対し、上述の如く、フレキシブル配線板挿通用開口部3を形成するための部分によってノイズ低減用舌片4を形成した場合には、廃材を大幅に削減することができる。
【0021】
また、液晶表示パネル用フレキシブル配線板16およびタッチパネル用フレキシブル配線板21を組み込むとき、各フレキシブル配線板16、21の他端部を板金2のフレキシブル配線板挿通用開口部3内にその上側から挿入すると、この挿入されたフレキシブル配線板16、21の他端部がノイズ低減用舌片4の上面にガイドされて回路基板8上のコネクタ18、23に向かって自然に移動していくので、その分、フレキシブル配線板16、21の組み込み作業を容易とすることができる。
【0022】
なお、上記では、液晶表示パネル用フレキシブル配線板16とタッチパネル用フレキシブル配線板21とが互いに重なり合わない場合について説明したが、これに限らず、フレキシブル配線板16、21の各一部が互いに重なり合うようにしてもよい。また、この発明は、携帯電話に限らず、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal
Data Assistance, Personal Digital Assistance:個人向け携帯型情報通信機器)等の携帯端末機器等の電子機器にも適用することができる。
【0023】
以下、この発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0024】
(付記1)
付記1の発明は、樹脂からなる枠状のケースと、外周部が前記ケースの内側に埋め込まれ、フレキシブル配線板挿通用開口部を有する板金と、前記板金の一面側に設けられた表示パネルと、前記ケース内において前記板金の他面側に設けられた回路基板と、前記表示パネルと前記回路基板とを前記板金のフレキシブル配線板挿通用開口部に挿通されて接続する表示パネル用フレキシブル配線板とを備え、前記板金には前記フレキシブル配線板挿通用開口部の一の内壁面から前記回路基板側に延びるノイズ低減用舌片が設けられ、前記表示パネル用フレキシブル配線板は前記ノイズ低減用舌片に沿うように配置されていることを特徴とする携帯型電子機器である。
【0025】
(付記2)
付記2の発明は、付記1に記載の発明において、前記表示パネルには表示パネル用電子部品が搭載されていることを特徴とする携帯型電子機器である。
【0026】
(付記3)
付記3の発明は、付記1または2に記載の発明において、前記表示パネル上にタッチパネルが設けられ、前記タッチパネルと前記回路基板とを前記板金のフレキシブル配線板挿通用開口部に挿通されて接続するタッチパネル用フレキシブル配線板は前記ノイズ低減用舌片に沿うように配置されていることを特徴とする携帯型電子機器である。
【0027】
(付記4)
付記4の発明は、付記3に記載の発明において、前記タッチパネルにはタッチパネル用電子部品が搭載されていることを特徴とする携帯型電子機器である。
【符号の説明】
【0028】
1 フロントケース
2 板金
3 フレキシブル配線板挿通用開口部
4 ノイズ低減用舌片
5 リアケース
10 電池パック
11 電池カバー
14 液晶表示パネル
15 タッチパネル
16 液晶表示パネル用フレキシブル配線板
21 タッチパネル用フレキシブル配線板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂からなる枠状のケースと、外周部が前記ケースの内側に埋め込まれ、フレキシブル配線板挿通用開口部を有する板金と、前記板金の一面側に設けられた表示パネルと、前記ケース内において前記板金の他面側に設けられた回路基板と、前記表示パネルと前記回路基板とを前記板金のフレキシブル配線板挿通用開口部に挿通されて接続する表示パネル用フレキシブル配線板とを備え、前記板金には前記フレキシブル配線板挿通用開口部の一の内壁面から前記回路基板側に延びるノイズ低減用舌片が設けられ、前記表示パネル用フレキシブル配線板は前記ノイズ低減用舌片に沿うように配置されていることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の発明において、前記表示パネルには表示パネル用電子部品が搭載されていることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発明において、前記表示パネル上にタッチパネルが設けられ、前記タッチパネルと前記回路基板とを前記板金のフレキシブル配線板挿通用開口部に挿通されて接続するタッチパネル用フレキシブル配線板は前記ノイズ低減用舌片に沿うように配置されていることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の発明において、前記タッチパネルにはタッチパネル用電子部品が搭載されていることを特徴とする携帯型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−70166(P2013−70166A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206177(P2011−206177)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】