説明

携帯型高周波空気パルス給送器具

携帯型空気パルス給送器具は、ハウジングとその内に配置されたモーターを備えるエアーコンプレッサとを備えている。該モーターは、1200〜4800rpmの回転速度で作動できる。エアーコンプレッサは、空気入口と空気出口とを備えている。無ケーブル式電源がハウジング内に設けられてモーターに作動可能に接続されている。吸い込みフィルタがハウジング内に設けられて、エアーコンプレッサの空気入口と流体連通している。エアーコンプレッサの空気出口には出口ポートが結合されており、出口ポートはハウジングの外部と連通している。マウスピースは、出口ポートに結合された入口と、気体出口ポートを備える出口とを備えている。エアーコンプレッサは、約2〜3リットル/分の平均気体流速を約20Hz〜80Hzの脈動周波数で気体出口ポートに生じさせるように作動する。空気−パルスをユーザーの口の中へ送り込む方法もまた提供されている。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2010年3月4日に出願された米国特許出願第61/310,590号に基づく優先権を主張している。該米国特許出願の全開示内容は、これに言及することによって本明細書に参考として組み入れられている。
【0002】
本願は、概して人間又は動物への刺激を管理して所望の生理学的応答を喚起し且つ/又は補助するための空気パルス給送器具に関し、特に、物質を人間又は動物に送り込んで嚥下又はその他の感覚運動現象を開始させ喚起し且つ/又は容易にするためにマウスピースに結合される携帯型の空気パルス給送器具、及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
嚥下障害は、唾液、飲料及び食品を、口から胃への送り込みが正常に機能しないことを特徴とする嚥下が困難な人の状態である。嚥下障害は、嚥下を生じさせる神経構造及び/又は気道消化管構造に対する疾患又は損傷によって生じる。嚥下障害は、脳卒中患者、その他の急性の神経的異常状態にある患者、パーキンソン病又はその他の神経変性疾患、脳性麻痺又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)、及び/又は種々の癌治療に対する反応において存在する場合が多く、この障害によって患者は嚥下が困難で且つ又は嚥下によって痛みを受ける。同様に、他の患者は、種々の嚥下障害、会話障害、唾液及び/又は口腔感覚障害を呈するかも知れない。嚥下障害は、結果的な合併症、最も一般的には唾液又は食物が肺へ入ること、脱水症、及び栄養失調に対する二次的な吸引による肺炎によって健康上の問題を大きくする。従って、発作に帰する幾つかの死亡は、実際には、嚥下障害及び肺炎の結果的な複雑化によって惹き起される。これらの合併症はまた、長期の入院、緊急処置室での受診、再入院、長期に亘る施設内医療、並びに費用のかかる呼吸及び栄養の支援にもつながる。
【0004】
これに応えて、嚥下を誘発又は刺激するための種々の技術及び治療方法が開発されて来ており、これらは患者又はユーザーに種々の治療上の利点を付与することができる。例えば、患者に嚥下を誘発させるための種々の器具及び方法としては、1以上の気体パルスを口及び/又は喉の中の所定の領域へ送り込む方法がある。しかしながら、このような器具は所望の周波数でパルス列を形成することができず、比較的高い圧力で作動し、圧力、継続時間、及び周波数に関する種々の入力を必要とし且つ/又は携帯できない場合が多い。他の器具は、喉頭筋を覆っている首部に電気的な刺激を加える。
【0005】
本発明は、特許請求の範囲によって規定されており、この節における何ものも特許請求の範囲に対する限定と考えられるべきではない。
【0006】
第一の特徴においては、携帯型の空気パルス給送器具の一実施形態は、ハウジングと、該ハウジング内に設けられているモーターを備えているエアーコンプレッサとを備えている。前記のモーターは、1200〜4800rpmの回転速度で作動することができる。前記のエアーコンプレッサは空気入口と空気出口とを備えている。無ケーブル式電源(線で繋がれていない電源)が前記のハウジング内に配置されており、該電源はモーターに作動可能形態で接続されている。吸い込みフィルタがハウジング内に設けられており、該フィルタはエアーコンプレッサの空気入口と流体連通している。エアーコンプレッサの空気出口に出口ポートが接続されており、該出口ポートはハウジングの外部と連通している。マウスピースは、出口ポートに結合される入口と、気体出口ポートを備えている出口とを備えている。エアーコンプレッサは、気体出口ポートに約20Hz〜80Hzの脈動周波数で約2〜3リットル/分の平均気体流速を生じさせるように作動する。
【0007】
もう一つ別の特徴において、空気パルスをユーザーの口の中へ送り込む方法は、ハウジングと該ハウジングに結合されたマウスピースとを備えている無ケーブル式の携帯型空気パルス給送器具を準備するステップと、前記マウスピースをユーザーの口の中へ挿入するステップと、を含んでいる。該方法は、前記ハウジング上の電源スイッチを入れてハウジング内に配置されているコンプレッサモーターを所定の時間間隔の所定のタイムシーケースでオンとオフとに自動的に切り換えるステップを更に含んでいる。該コンプレッサモーターは、オンに切り換えられたときに1200〜4800rpmの回転速度で作動し、気体出口ポートに約2〜3リットル/分の空気の平均気体流速を約20Hz〜80Hzの脈動周波数で生じさせる。
【0008】
該種々の特徴及び実施形態は、従来の公知の器具に対して著しい利点を提供する。特に、該給送器具は、嚥下を誘発させるための最適の筋肉の刺激範囲内に含まれる20〜80Hzの周波数でパルスの列を発生させることができる。これと同時に、該器具は低圧の空気パルスを提供し、これは、例えばペースメーカーが埋め込まれている患者における電気的刺激に関連する種々のリスク及び/又は高圧システムに関連する潜在的なリスク及び損傷を避ける。該装置はまた、一つの実施形態においては、ユーザーからの入力を何ら必要としないように最適化されて来た。ユーザーはむしろ、器具を、所定の周波数、継続時間、及び圧力で管理投与される空気パルス列の所定のシーケンスで単にオンに切り換えるだけである。該システムは次いで、ユーザーからの何らの入力もなく自動的に電源が切れる。このようにして、該器具は、不正使用又は誤使用を許さず、且つ継続時間、圧力、又は周波数についての択一的な入力についての過大な訓練又は知識を必要としない。従って、該器具は、例えば、家庭、オフィス、又は日常環境における使用を含む患者介護施設外での使用に特に好適である。
【0009】
該装置はまた真に携帯型として設計されており、その結果、種々の実施形態が、ユーザーのポケット例えばシャツ内に収まり且つ/又は掛け紐によってユーザーの首に固定され、又は例えばストラップ上のクリップ又はフック・アンド・ループ(例えばベルクロ)ファスナによって衣類品に固定され、又はレール若しくはフックのような他の固定部材に固定される。小さなサイズ及び無ケーブル式電源により、ユーザーは、日常生活動作で歩き回る際に電線に繋がれた状態ではなく且つハンズフリー状態で治療を受けることができる。
【0010】
上の文節は、一般的な導入部として提供されており且つ特許請求の範囲を限定することを意図されたものではない。更なる利点と共に種々の好ましい実施形態は、図面と組み合わせてなされる以下の詳細な説明を参照することによって更に良く理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、携帯型空気パルス給送器具の一実施形態の前方斜視図である。
【0012】
【図2】図2は、図1に示されている携帯型空気パルス給送器具の後方斜視図である。
【0013】
【図3】図3は、バッテリーカバーが取り外された状態の図1に示されている携帯型空気パルス給送器具の後方斜視図である。
【0014】
【図4】図4は、図1に示されている携帯型空気パルス給送器具の前方内視図である。
【0015】
【図5】図5は、図4の線5に沿った電源スイッチの拡大部分図である。
【0016】
【図6】図6は、図4に示されているフィルタハウジングの拡大部分内視図である。
【0017】
【図7】図7は、図1の実施形態において使用されているコンプレッサモーターを制御し且つ電力を供給するために使用されている回路の論理回路図である。
【0018】
【図8】図8はマウスピースの一実施形態の平面図である。
【0019】
【図9】図9は、ユーザーに適用された図8のマウスピースの前面図である。
【0020】
【図10】図10は、ユーザーの口の中に配置されているマウスピースの一実施形態の部分斜視図である。
【0021】
【図11】図11は、携帯型空気パルス給送器具のもう一つ別の実施形態の前方斜視図である。
【0022】
【図12】図12は、図11に示されている携帯型空気パルス給送器具の後方斜視図である。
【0023】
【図13】図13は、支持構造の斜視図である。
【0024】
【図14】図14は、前面カバーが取り外された状態の図11に示されている携帯型空気パルス給送器具の前方内視図である。
【0025】
【図15】図15は、プリント回路基板を示している図11に示されている携帯型空気パルス給送器具の後方内視図である。
【0026】
【図16】図16は、図11に示されている実施形態のコンプレッサモーターを制御し且つ電力を供給するために使用されている回路のための論理回路図である。
【0027】
【図17】図17は、携帯型空気パルス給送器具の代替実施形態の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
“頂部”、“底部”、“上方”及び“下方”という用語は、器具をユーザーの視野で見た場合の方向を指すものとして意図されている。本明細書で使用されている“横断方向”という用語は、例えば、側方から側方に向かって配置され、向けられ、又は延びていることを意味しており、ユーザーの口の片側からもう一方の側までという限定は無い。本明細書で使用されている“複数”という用語は、2以上を意味していることは理解されるべきである。本明細書で使用されている“長手方向”という用語は、長さ又は長手方向の意味又はそれに関する意味である。“結合されている”という用語は、直接的であるか又は例えば介在部材による間接的であるかに関わらず、結合されるか又は係合されるという意味であり、係合は、固定され即ち永久的取り付けであるかも知れないけれども固定され即ち永久的取り付けである必要はなく且つ機械的結合及び電気的接続との両方を包含している。本明細書において使用されている“物質”という用語は、限定的ではないが、気体、液体、又はこれらの組み合わせ(限定的ではないが、エーロゾル化された液体を含む)のような流体、及び/又は限定的ではないが流体内に飛沫同伴されている粒子を含む粉末、又はこれらの組み合わせを包含していることは理解されるべきである。
【0029】
本明細書に開示されている方法及び装置は、人間か動物かに拘わらず、ユーザーの口又は首の中に空気パルスの列を送り込み又は印加するために提供されており、(1)対象者に、嚥下、発話、唾液分泌、又は口腔若しくは中咽頭の感覚運動現象を開始させ、喚起し、又は補助すること、(2)対象者の口腔、中咽頭、及び咽頭の潤滑性を増大させること、(3)対象者の口腔又は中咽頭又は咽頭の不快感を減らすこと、(4)口腔用器具の繰り返しの使用によって筋肉の強化もたらし得る、唇、口、頬部位、舌、顎、軟口蓋、咽頭、喉頭の筋力を収縮させること、(5)嚥下前の口腔通過運動及び嚥下前の咀嚼状運動を含む喉頭の持ち上げを含む、唇、口、頬部位、舌、顎、軟口蓋、咽頭、喉頭を動かすこと、及び/又は(6)体感覚、温度感覚、又は味覚を含む感覚を、口腔又は中咽頭に形成すること、を目的としている。
【0030】
該携帯型空気パルス給送器具の一つの実施形態は、個別の空気−パルス列又はエーロゾル・パルス列の連続したものを、人の口蓋、中咽頭、又は咽頭へ送り込む手段を提供する。ここで列は、一連の少なくとも1つのパルスとして規定されている。個々の空気−パルス列は、パルスの継続時間、パルスの振幅、パルスの周波数、及び列の継続時間のようなパラメータが変化しても良い。一つの実施形態においては、空気−パルス列は、個々に且つ全体として所定の順序で提供される。
【0031】
図1〜7、11〜15、及び17を参照すると、携帯型空気パルス給送器具120,220,420が示されている。ここで使用されている“携帯型”という用語は、ケーブル式電源が無い状態で作動することができること、及びホイール付き運搬具のような運搬器具無しで手で運ぶことができることを意味している。“ハンズフリー”という用語は、器具がユーザーによって保持されるか若しくは保留される必要が無いように、ユーザーの体に又は隣接支持構造に結合させるか又は固定させることができる器具を指している。
【0032】
図1〜4、11〜15、及び17を参照すると、該給送器具は、ハウジング122,222,422を備えており、該ハウジングは、ある実施形態においては、前方及び後方のハウジング構成要素124,126,224,226,424,426によって形成されており、これらの構成要素は、例えばスナップ嵌合、ファスナ、接着剤、タブ、及びこれらに類似の取り付け構成要素を単独で又は組み合わせることにより、相互に結合されている。該ハウジングは、前面128、後面130、頂面132、底面134、及び対向した側壁136を備えている。もちろん、該ハウジングは、他の形状及び形態で形成することができ、ここに開示されている矩形の平行六面体形状に限られない。該ハウジングは、適度な衝撃抵抗を有する耐久性のある材料、例えばABSによって作られている。該ハウジングは比較的小さく、その結果、例えばユーザーのシャツ又はパンツのポケット140に入れるか、そうでなければ、図9に示されているように、例えば、掛け紐142又はクリップによってハンズフリーな状態でユーザーによって又はユーザー上に支持される。ハウジングの全容積は、種々の実施形態において、約1,000cm未満、約600cm未満、又は約200cm未満とされる。例えば、図1〜4に示されている一つの実施形態においては、ハウジングは、146mm×75mm×46mmの寸法であり、すなわち約500cmの容積である。別の実施形態においては、ハウジングは、100mm×35mm×55mmの寸法であり、すなわち約193cmの容積である。図11〜15に示されている実施形態においては、ハウジングは、寸法が135mm×81mm×46mmであり、容積が約503cmである。もう一つ別の実施形態においては、ハウジングは、寸法が141mm×80mm×46mmであり、重さが約350gである。該器具のコンパクト性により、ハウジング並びに該ハウジング内に設けられているコンプレッサ160、コントローラ170,270、及びバッテリ180,280を含む器具全体の質量は約600g未満となり、一つの実施形態においては300gもの軽さとなる。
【0033】
図17に示されている一つの実施形態においては、ブラシレスモータを組み込み且つバッテリを排除することによって、ハウジングは、70mm×70mm×45mmの寸法すなわち約221cmの容積となり、重量は約215gとなる。別の方法として、器具のコストを低減できるブラシ付きのモーターを使用した場合には、該ハウジングの寸法は、90mm×90mm×47mmで重量は約285gである。
【0034】
図1,12,17に示されているように、空気吸い込みポート144,244,444は、各々、ハウジングの側壁136又は後面カバー226のうちの一つに配置されている。エアーフィルタ146が吸い込みポートに隣接してハウジングに配置されていて、該吸い込みポートに入る空気がエアーフィルタを通過するようになされている。該エア−フィルタは、50μmより大きい浮遊微粒子を取り除くことができるのが好ましい。一つの実施形態においては、フィルタは、図6に示されているように取り外し可能なモジュール145として形成されており、この場合には、該モジュールはフィルタハウジングを形成しているソケット内に収納されている。通常の作動状態において、空気パルス給送器具を毎日使用する場合、該エアーフィルタは年1回の交換を保証する。該エアーフィルタ媒体は、USPクラスVIの要件を満たす材料によって作られるのが好ましく、このような材料としては、例えば限定的ではないが、Sefar Medifab(登録商標)モノフィラメント・ポリアミド,6−6ナイロンがある。該フィルタは、該フィルタを通して引き込まれる空気に香りを付加する芳香剤が組み込まれても良い。エアーフィルタ内に香味(香り)を組み込むことについて、芳香剤の劣化を最少にするためには低融点材料が好ましく、このような材料としては、例えば低密度ポリエチレンがある。有益な芳香としてはレモン及びミントの香りがある。種々の長期間(100時間以上)続く食品グレード(USPクラスVI)の芳香含浸ポリマー(例えば、Schulman,Inc.から入手可能なPolyFlav(登録商標)材料を有孔プラグ部材として形成することができる。他の実施形態においては、フィルタメッシュ上に芳香コーティングが施され、これは比較的短期間に亘る所望の香りを生じさせることができる。
【0035】
図1〜5,11〜15を参照すると、電源ボタン148と空気出口ポート150とがハウジング頂面に配置されている。もちろん、空気吸い込みポート144、空気出口ポート150、及び電源ボタン148は、最も適切だと考えられるハウジング上のどこにでも配置することができることは理解できるはずである。ハウジングはまた、ループ又は穴152を備えており、該穴に掛け紐142を結合させることができる。掛け紐142をユーザーの首に掛けることで、該器具をハンズフリーで使用できるようにすることができる。該器具はまた、ユーザーのベルト又はポケット、縁等のような衣服の他の構造要素に取り外し可能に係合することができるクリップを作り付けることもできる。同様に、例えばストラップ上のフック・アンド・ループ又はベルクロファスナをリテーナアタッチメント152に取り付け、次いで、該ベルクロファスナのストラップを使用して、ユーザー上(例えば、ベルト)又はベッドのレール、チェアアーム、若しくは他の一般的なレール、フック、若しくは近くの支持構造上に該器具をハンズフリー状態に支持することができる。
【0036】
図2及び3参照すると、取り外し可能なパネル154がハウジングの後面に取り外し可能形態で取り付けられて該ハウジングの後面の一部分を形成している。例えば、弾性タブ155がハウジングに解除可能に係合している。電源180が該パネルの後方の空間内に配置されている。一つの実施形態においては、電源は、一対の9Vバッテリで構成されている。バッテリは、設置されるとバッテリ接点182の対応する対と係合する。単一のバッテリで足りることもあり、またバッテリは例えば12〜24Vの範囲の種々のサイズで形成することができ、更に使い捨て又は再充電可能とすることができることは、理解できるはずである。複数のパッド156例えばラバーが、カバー154を含むハウジングの後面に配置されており、衝撃吸収性をもたらすと共に表面で滑ることを防止するための滑り防止接触面がハウジングに付与されている。
【0037】
図11〜16の実施形態を参照すると、固定の再充電可能なバッテリ280が組み込まれており且つバッテリコネクタ281に接続されている。一つの適切な実施形態は、一対の9VdcのNiMH再充電型バッテリを使用している。この実施形態においては、バッテリへのアクセスを提供している取り外し可能なパネルは省略しても良い。バッテリを再充電している最中にバッテリ充電器を装置に電力を供給するために使用しても良く、この場合には、該充電器は、図11及び17に示されているようにDC入力283に接続される。バッテリは、再充電のために現場で取り外すか又は保留されていても良い。別の方法として、密閉されたコンプレッサ装置とその制御回路とが、図17に示されているように(バッテリ無しの)比較的小さなケース内に密閉されており、これらは、代わりにモーターと制御回路とを駆動するために必須のdc電圧を提供する115Vac電源変圧器によって電力が供給される。図17に示されているように、電源ボタン148とその下方に配置されているスイッチ482とは器具の頂部上に配置されている。図11〜16を参照すると、出力ジャック281は1Vdc信号を提供し、該信号は、空気の脈動期間を、嚥下変換器、喉当てマイクロフォン及び呼吸変換器からの相補性の記録と同調させるために使用される。図13及び14を参照すると、ブラケット構造290が、例えば複数の取り付け部材によってハウジング内に配置され且つハウジングに固定されている。ブラケット構造290はプレート構造300を備えており、該プレート構造は、バッテリ280を定位置に保持すると共にプリント回路基板270のための一対の固定用突出部306として形成されている取り付け構成要素304を提供しており、取り付け構成要素304は、電源ボタン148、LEDライトとして形成されているバッテリ出力インジケータ271、信号出力281、マウスピース用コネクタ150、のための一連の穴292、294,296,298を備えている。バッテリ出力インジケータ271は、再充電可能なバッテリ270の出力が低い場合の指示を提供する。取り付け構成要素304は、図11に示されているように、前面カバーと後面カバーとの端部によって形成されている穴と同面で該穴内に収納されている。
【0038】
図4及び14〜15を参照すると、コンプレッサ140はモーター162とポンプ164とを備えており、これらはハウジング内に配置されている。該コンプレッサはポンプへの空気入口166を備えている。空気入口166は、吸い込みフィルタを介して、例えば導管168(図14及び15には図示されていない)と流体連通している。該コンプレッサは更に空気出口172を備えており、該空気出口は、例えば導管174(図14及び15には図示されていない)を介して出口ポート150に接続され且つ出口ポート150と流体連通している。内側導管168,174はUSPクラスVI(ISO 10993−1)のものであり、例えば限定的ではないが、シリコーンラバー、PVC、又はポリウレタンによって作られている。一つの実施形態においては、これらの材料はDEHP可塑剤を含んでいない。コンプレッサ160は、時間が制御された低圧の空気パルスを20〜80Hzの範囲内の周波数で供給する構造とされている。例えば、モーター162は、約1,200〜4,800rpmの回転速度で回転するように作動でき、これによって歯車装置を必要とすることなく所望の周波数に対応している。例えば一つの実施形態においては、該モーターは、オンに切り換えられると約2,400rpmの回転速度でコントローラによって作動される。
【0039】
ポンプ164はモーター162に結合されている。一つの適切なポンプはダイアフラムポンプであり、該ポンプはダイアフラムピストンによって構成されており且つ約1ミリリットルの適切な排気量を有している。一つの例示的なポンプは、ノースカロライナ州ムーアズヴィルにあるHargraves Technology Corp.,から入手可能であるHargraves BTCダイアフラムポンプである。このようなポンプにおいては、空気は、該ポンプの如何なる可動部品とも接触することなく送り込まれる。空気と接触状態にあるポンプの部品は、ベクトラ(Vectra;液晶ポリマー)によって作ることができ、一方、ダイアフラムはEPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・モノマー)によって作ることができる。該ポンプはまた電磁駆動ポンプとして作られても良い。呼吸された空気と接触する状態にある該ポンプの部分は、生体適合性であり且つ意に沿わない香りをその中を循環する空気の中に導入しない。
【0040】
マウスピース2は、(標準の温度及び圧力(STP)において測定して)約2〜3リットル/分の空気の流速が得られるサイズ及び構造とされている。例えば、2,400rpm(40Hzの脈動)で作動するときに、約1ミリリットルの排気量を有するポンプ164は、内径が1.5mmで長さが1mのマウスピースチューブ内に平均2.5リットル/分の流速を提供することができる。このような装置においては、マウスピースを出て行く空気は雰囲気圧での運動エネルギを有している。2.5リットル/分の流速によってマウスピースの出口ポートから1〜8mmの位置の表面で最終的に得られる運動によって発生される圧力は1.5〜2mmHgの範囲内である、ということが試験によって示された。種々の好ましい実施形態においては、圧力は約2.25mmHg未満である。
【0041】
図4,5,7,15,16,17を参照すると、コントローラ170,270,470が、ハウジング内に配置され且つ電源180及び電源スイッチ182に接続されている。一つの実施形態においては、コントローラは、回路基板上に組み込まれている制御回路として形成されている。図7及び16を参照すると、該制御回路は、コンプレッサモーター162とポンプ164とを所定の時間間隔シーケンスでオンとオフの間を循環させる配置及び構造とされている。ハードウエア及びソフトウエアの他の配置もまた適切であることがわかるはずである。例えば、コントローラはソフトウエアを動作させるプロセッサを備えている。該器具は、モータースピード、オン/オフ期間の継続時間、動作全体の時間を変更することができる構造とされている。
【0042】
脈動する空気パルスの炸裂は、実質的に通常の呼吸サイクルと干渉しないのが好ましい。例えば普通の大人は1分間に15回呼吸し、その際の吸気は3秒である。従って、一つの実施形態においては、コントローラ170,270は、モーター162に、X秒間オンし且つY秒間オフする(X:Y)ように電圧を印加する。嚥下障害患者のリハビリのための一つの実施形態においては、所定のX:Yシーケンスが、所定の時間例えば20分間繰り返され、この場合に治療は例えば毎日3回繰り返される。
【0043】
空気パルスの列はマウスピース2を介して咽頭へ送り込まれるが、このマウスピース2は、クイックロック型のコネクタ18によって出口ポートに取り外し可能形態で結合される入力端部も備えている(例えば、図8及び9を参照のこと)。図10に示されている一つの実施形態においては、マウスピースの部分38は、歯と頬との間の口腔前庭内に配置される。この実施形態においては、患者が自分の上の歯114と下の歯116とを咬合状態に維持することができるように、上の歯と下の歯との間にマウスピースの材料が存在しない。このことは、咽頭期嚥下中に上の歯と下の歯とが咬合面に沿って位置決めされることを示しているので好ましい。該マウスピースは明らかに、対象者の安静位の口、舌、中咽頭、及び顔の位置での影響が比較的小さい。例えば、安静位にある舌はマウスピースと接触しない。マウスピースは薄いので、対象者は唇同士を閉じ合わせることができる。該マウスピースは舌下領域内又は歯の舌側面に沿って溜まった唾液に接する状態とならない。該マウスピースは、上頬又は下頬領域内に位置決めされているので、マウスピースが定位置にある間に患者が食べ物を受け入れ且つ咀嚼したり飲んだりすることが本質的に可能である。
【0044】
図8及び9に示されている一つの実施形態においては、マウスピース2は口腔用カニューレとして作られている。該口腔用カニューレは一対の可撓性のチューブ4,6を備えており、これらの可撓性のチューブはユーザーの顔の両側部に配置される構造とされている。もちろん、該口腔用カニューレは、ユーザーの顔の一方の側部に配置された唯一つのチューブを備えていても良いこともわかるはずである。該口腔用カニューレはまた2つのチューブによって構成されていても良いが、幾つかの所望の治療法においては、気体はチューブのうちの一方のみの中を通して送り込まれる。可撓性のチューブ4,6は熱成形されたチューブによって作られても良く、このチューブは、特別な形状及び構造に成形されるがユーザーの顔及び口に合致するための何らかの可撓性及び機能を有している。一つの適切な実施形態においては、該可撓性のチューブは、ポリウレタン、ポリエチレン、PVC、その他の適当で生体適合性の材料、及び/又はこれらの組合せによって作られている。該チューブは、外径が1/8インチ(3.18ミリメートル)で管腔を形成している内径が1/16インチ(1.59ミリメートル)である。もちろん、他のサイズのチューブもまた適しており、断面形状は円形としても良いし又は他の幾何学的形状としても良い。該チューブは、透明すなわち透き通ったものとするか、半透明とするか、着色するか若しくは不透明なものとするか、且つ/又はこれらの組合せとすることができ、その場合には、例えば1以上の窓を提供するためにチューブの長さに沿って異なる光学的特徴を有している。各チューブにはまた、例えば限定的ではないが、エーロゾル化された液体の給送を含む、光、センサー、流体の給送等のような付加的な特徴を可能にする複数の管腔又は溝もまた形成されていても良い。このような実施形態においては、管腔は、互いに平行に延び且つ例えば限定的ではないが第一の内側管腔と該内側管腔の周囲に形成された第二の外側管腔とを備えていても良く、又は別の方法として並列に延びている2以上の管腔を備えていても良い。もちろん、該複数の管腔には2以上の管腔が含まれる。
【0045】
一つの実施形態においては、可撓性のチューブ4,6の少なくとも一部分の長さに沿ってワイヤが延びていても良い。該ワイヤは該可撓性のチューブに形状記憶を付与する。該ワイヤは、チューブと共に同時押出し成形されても良く、又は成形、溶着、接着等、若しくはこれらの組合せによってチューブに結合されても良い。該チューブはまた、別のポリマーをオーバーモールディングすることによって整形されても良く、又はチューブの真っ直ぐな部分に連続して取り付けられる形成された複数の湾曲区分によって整形されても良い。
【0046】
図8及び9を参照すると、可撓性のチューブ4,6は、限定的ではないが、ユーザーにとって気持ちが良く且つ嚥下を補助する、果物(例えばレモン)かメントールか又はミントの香りを含む芳香剤によって作るか、該芳香剤を含浸させるか又はコーティングされている。該チューブはまた、帯電防止材料若しくは別の方法として導電性材料によって作るか、これらを含浸させるか又はコーティングしても良い。帯電防止材料は、約10E10オーム/スクエア〜約10E12オーム/スクエアの表面抵抗を有している。静電気散逸性材料は、約10E6オーム/スクエア〜約10E12オーム/スクエアの表面抵抗を有している。導電性材料は、約10E1オーム/スクエア〜約10E6オーム/スクエアの表面抵抗を有している。金属は、典型的には約10E1オーム/スクエア〜約10E5オーム/スクエアの表面抵抗を有している。ここに記載した表面抵抗は、ASTM試験D257に準じて測定されたものである。該チューブはまた、抗菌性材料によって作られるか又は該抗菌性材料をコーティングされていても良い。例えば、銀を含浸させることによって抗菌性が付与される。
【0047】
可撓性チューブ4,6の各々は入口部分10を備えており、該入口部分10は細長く且つユーザーの首部から耳まで延びているのが好ましい。該入口部分はアダプタ(例えば、Y型アダプタ)14に接続されている入口端部12を備えており、該アダプタはその反対側の端部に接続されている給送チューブ16を備えている。一つの実施形態においてはスリーブとして形成されている摺動可能なコネクタ20が、チューブの入口部分10の外周に配置されて該入口部分を摺動可能形態で収容している。コネクタ20は、チューブの入口部分10の長さの一部に沿って前後に動いて端部12を伸ばして、チューブがユーザーの顎の下に固定されるか又は端部12を短くして心地良さ又は取り外しのためにチューブを緩めることができる。
【0048】
上に説明したように、給送チューブ16は出口ポートに接続される構造とされており、該出口ポートは、例えば限定的ではないが戻り止めのような解除可能な部品を備えているクイックコネクタ18を介して空気を供給する。Oral Device(口腔用器具)という名称の米国特許出願公開第2006/0282010 A1号及び2009年4月15日に出願されたSwallowing Air Pulse Therapy Mouthpiece and Methods for the Use Thereof(空気パルスによる嚥下治療用ハウジング及びその使用方法)という名称の米国特許出願第12/424,191号には、種々の例示的なマウスピース及び制御装置が示され且つ開示されている。これらの公報は、これらに言及することにより、その全内容が参考として本明細書に組み込まれている。
【0049】
図8及び9を参照すると、一対のチューブ4,6は、互いに鏡像であり、すなわち長手軸線24に沿って一方を地方の上に折り重ねることができる。該チューブの種々の部分は平面内に形成されるか又は位置決めされているけれども、使用中は、チューブ4,6は、ユーザーの顔28と合致し且つ顔の上及び口30の中にそれ自体が支持され、このことは、ユーザー及び/又は介護者が自分の手、唇、舌、歯、及び/又はその他の器具によってチューブを保持し又は位置決めする必要がないことを意味している。
【0050】
チューブ4,6の各々は、入口部分10に結合されている耳用ループを形成している湾曲部分32を備えている。一つの実施形態においては、耳用ループ32は、発泡材のようなパッド材40によって保護され又は覆われており、該パッド材はユーザーに更に大きな心地良さを提供する。もちろん、ユーザーの顔に沿って延びている部分42のようなチューブの他の部分もまた、心地良さを改良するためにパッドのような介在材料によって覆われ又は固定されていても良い。
【0051】
別の湾曲部分34は唇用湾曲部を形成している。湾曲部分34は、ユーザーの顔又は頬に沿って延びている細長い部分42によって湾曲部分32に結合されている。湾曲部分34は湾曲部分32の曲率より小さく、このことは、この実施形態においては湾曲部分32の半径は第二の湾曲部分34の半径よりも大きいことを意味している。一つの適切な実施形態においては、湾曲部分34の曲率は約0.25インチ(6.35ミリメートル)である。該湾曲部は四分円のような半円以外であっても良く、例えば、曲線をなすか又は多角形(すなわち、複数の別個の直線区分によって形成されている)であっても良いことはわかるはずである。“曲率”という用語は、第一のベクトルを規定している第一の部分と第二のベクトルを規定している第二の部分とを備えているチューブであって、これらのベクトルが同一平面内にあるが同じではない(これらは、異なる角度又は向き(例えば、平行であるが反対方向に向けられている))チューブを指している。湾曲部分は、例えば、一つの面内に1つの湾曲を有し且つ別の面内にもう一つ別の湾曲を有している多数の湾曲を有していることはわかるはずである。例えば、湾曲部分34すなわち唇用湾曲部は、一つの面内に第一の湾曲を有し且つ湾曲部34が前記の面にほぼ直角な面内に一つの湾曲を有している出口部分36へ移る際にその一部分に第二の湾曲を有している複数の湾曲を有している。これらの湾曲は互いに直角でも平行でもない多数の面内に形成することができることは理解できるはずである。湾曲部32,34は互いに正反対の第一及び第二の方向50,52に開口している。
【0052】
出口部分42は、湾曲した部分32から延びて気体出口部分54を備えている端部38において終端している。出口部分42は、面26に対して30°の角度βを形成している第一及び第二のベクトル44,46によって規定されている湾曲を有している。一つの実施形態においては、該出口部分の長さ(L1)は、湾曲部分32から端部38の終端までが、約1.6インチ(±0.2インチ)(40.64ミリメートル(±5.08ミリメートル))又は1.760インチ(±0.2インチ)(44.7ミリメートル(±5.08ミリメートル))であり、この場合に、該端部は第一の面の下方に延びている。端部38はまた湾曲部分として形成されても良い。
【0053】
図10に示されている出口部分36は、ユーザーの口30の中へ延び且つユーザーの上歯の列の側部(好ましくは歯肉線の上方)とユーザーの頬の内面との間に配置されるように湾曲している。もちろん、該構造及び形状は、下の歯の側部又は咬合面にも沿った似た位置への配置に適合するように変えることができることはわかるはずである。端部38又は湾曲部は、ユーザーの口30及び喉の後方の目標とされている領域において横断方向内方へ向けられている。該端部には気体出口ポート54が形成されている。このようにして、ユーザーの上の歯と下の歯との間又はユーザーの舌と口蓋(口の蓋部分)との間には、チューブの如何なる部分も配置されない。従って、該チューブは、通常の会話、飲食、嚥下等を邪魔せず、例えば、食塊が口蓋に接触したときに、舌が持ち上がり且つ該食塊を後方へ動かすことを可能にしており、また、該チューブはユーザーの歯の上又は歯と歯の間の定位置に保持される必要がない。一つの実施形態においては、入口部分、耳用ループ、唇用屈曲部、及び出口部分の各々は、チューブの単一部片によって一体に形成される。
【0054】
作動時に、ユーザーまたは介護者は、マウスピースの一部分例えば可撓性のチューブ及び特に出口ポート38,408,410を、(上又は下の)歯列114,116の外側側面と頬の内側面との間に配置する。一つの実施形態においては、これらのチューブは口の両側に配置される。これらのチューブは、出口ポート54が口の後方領域に位置決めされ、この場合に、該可撓性チューブのどの部分もユーザーの上の歯と下の歯との間に配置されず、その結果、上の歯と下の歯とが相対的に閉じることができ、又は該可撓性チューブのどの部分もユーザーの舌と口蓋上との間に配置されず、その結果、舌が口蓋に自由に接触できる。耳用ループ32はユーザーの耳100の周りに配置され、この状態で、口/唇湾曲部が唇102の周り/上に位置決めされ且つチューブの出口部分が上記したように歯の側部に沿って位置決めされる。次いで、コネクタ20の位置を調整してカニューレをユーザーに更に固定することができる。ここに開示されているマウスピースは例示的なものであり、他のマウスピースもまた該空気パルス給送器具と共に使用することができることは理解できるはずである。
【0055】
これらの実施形態のいずれにおいても、マウスピースの給送チューブ16はハウジング122の出口ポートに結合される。正しいサイズのチューブが小型のコンプレッサと共に使用されるようにするために、マウスピースとハウジングとの間の結合は、特別な構造のかみ合いを可能にするためにカスタマイズすることができる。別の方法として、無線周波数識別すなわちRFIDタグを使用して、マウスピースと携帯用の空気パルス供給器具との適切な組み合わせを確保し、この状態で、該装置は適正なRFIDによってのみ起動させることができるようにすることができる。該装置は、代替的には、メモリチップ及び直接的な電気接続を組み込んでいても良い。
【0056】
該器具が適正に作られ且つマウスピース2を装填したあとに、電源ボタン148が押されると、電源スイッチ182がON位置へ動き、緑のLEDライトが点灯し、そしてコントローラ170が入力信号を受け取る。LEDライトはボタン148内に設けられるか又はハウジング上の別の位置に設けられる。約1秒後に、空気−パルスの自動化されたシーケンスが開始され、脈動空気がマウスピースのポート54を介して対象者の口の中の後方へ送り込まれる。脈動の、周波数、継続時間、又は圧力を制御するために、治療されている人又は介護者による調整は必要とされない。コンプレッサ160が停止する前に、空気パルスは2〜3秒間(又は何らかの他の所望時間)続く。第二の所定時間(例えば、17秒又は20秒又はその他の何らかの所望の且つ制御された時間)の後に、コンプレッサは、別の所定時間例えば2〜3秒間に亘って空気パルスを再開する。この所定のX:Yシーケンス例えば2〜3秒間のオンと17秒又は20秒間のオフが、それより前に手動によってオフに切り換えられない限り、所定時間例えば20分間に亘って続く。該器具を更に使用するためには、ユニットがオフに切り換えられ、次いで再びオンに切り換えられる必要がある。別の方法として、該器具は、自動的にオフに切り換わり、この状態ではLEDライトはもはや電源の指示を表示しない。一対の2つの9Vバッッテリを電源180として使用することによって、該器具は、20分間の治療を12回すなわち約4時間の作動を提供することができる。該器具は、バッテリが変換又は再充電を必要としているときにLEDライト271が点灯する構造とされている。
【0057】
もう一つ別の実施形態においては、給送器具120は外部のパルス適用装置に接続される。特に、内径が約18mmで深さが4mmのカップが、手又はストラップによってユーザーの首190に保持される。該カップはユーザーの皮膚がカップを充填するのを避ける形状及び構造とされている。該器具は、次いで、首の外側の皮膚に空気パルスを付与して、更に複雑な電子−機械装置によってなされる方法と同じ方法で嚥下を喚起するように作動される。
【0058】
以上、本発明を好ましい実施形態に関して説明したけれども、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形状及び細部を変更することができることがわかるであろう。従って、上記の詳細な説明は、限定ではなく例示とみなされることが意図されており、本発明の範囲を規定することを意図されているのは、すべての等価物を含む特許請求の範囲である。
【符号の説明】
【0059】
2 マウスピース、 4 可撓性チューブ、
6 可撓性チューブ、 10 入口部分、
12 入口端部、 14 アダプタ、
16 給送チューブ、 18 クイック型コネクタ、
20 摺動可能なコネクタ、 24 長手軸線、
28 顔、 30 口、
32 湾曲部分、 34 第二の湾曲部分、
36 出口部分、 38 マウスピースの部分、
40 パッド材、 42 細長い部分、
50 第一の方向、 52 第二の方向、
54 気体出口部分、 100 耳、
102 唇、 114 上の歯、
116 下の歯、 120 携帯型空気パルス給送器具、
122 ハウジング、 124 ハウジング構成要素、
126 ハウジング構成要素、 128 前面、
130 後面、 132 頂面、
134 底面、 136 側壁、
140 ポケット、 142 掛け紐、
144 空気吸い込みポート、
145 取り外し可能なフィルタモジュール、
146 エアーフィルタ、 148 電源ボタン、
150 空気出口ポート、 152 穴、
154 パネル、 155 弾性タブ、
156 パッド、 160 コンプレッサ、
162 モーター、 164 ポンプ、
166 空気出口、 168 導管、
170 コントローラ、 172 空気出口、
174 導管、 180 バッテリ、
182 バッテリ接点、 190 首、
220 空気パルス給送器具、 222 ハウジング、
224 ハウジング構成要素、
226 ハウジング構成要素、後面カバー、
244 空気吸い込みポート、 270 プリント回路基板、
271 バッテリ出力インジケータ、 280 バッテリ、
281 信号出力、バッテリコネクタ、 283 DC入力、
290 ブラケット構造、 292 穴、
294 穴、 296 穴、
298 穴、 300 プレート構造、
304 取り付け構成要素、 306 固定用突出部、
420 空気パルス給送器具、 424 ハウジング構成要素、
426 ハウジング構成要素、 444 空気吸い込みポート、
470 コントローラ、 482 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
該ハウジング内に設けられたエアーコンプレッサであって、1200〜4800rpmの回転速度で作動することができるモーター、空気入口、及び空気出口を備えているエアーコンプレッサと、
前記ハウジング内に設けられ、前記モーターに作動可能な形態で接続されている無ケーブル式電源と、
前記ハウジング内に設けられ、前記エアーコンプレッサの前記空気入口と流体連通する吸い込みフィルタと、
前記エアーコンプレッサの前記空気出口に結合され且つ前記ハウジングの外部と連通している出口ポートと、
前記出口ポートに接続された入口、及び気体出口ポートを備えている出口を備えているマウスピースと、を備えており、
前記エアーコンプレッサは、前記気体出口ポートにおいて、約2〜3リットル/分の平均気体流速を約20Hz〜80Hzの脈動周波数で生じさせるように作動する、ことを特徴とする携帯型空気パルス給送器具。
【請求項2】
前記マウスピースが前記出口ポートに取り外し可能に結合される、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯型空気パルス給送器具。
【請求項3】
前記ハウジングに結合されているハンズフリー支持部材を更に備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯型空気パルス給送器具。
【請求項4】
前記ハウジングの容積が約1000cm未満である、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯型空気パルス給送器具。
【請求項5】
前記ハウジングの容積が約600cm未満である、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯型空気パルス給送器具。
【請求項6】
前記ハウジングの容積が約200cm未満である、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯型空気パルス給送器具。
【請求項7】
前記モーターに作動可能に結合され、所定のタイムシーケンスで前記モーターのオンとオフとを繰り返すようにされたコントローラを更に備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯型空気パルス給送器具。
【請求項8】
前記無ケーブル式電源が少なくとも1つの9Vバッテリからなる、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯型空気パルス給送器具。
【請求項9】
前記フィルタが香り付けされた部材を含んでいる、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯型空気パルス給送器具。
【請求項10】
前記ハンズフリー支持部材が掛け紐である、ことを特徴とする請求項3に記載の携帯型空気パルス給送器具。
【請求項11】
前記ハンズフリー支持部材がフック・アンド・ループ式のストラップである、ことを特徴とする請求項3に記載の携帯型空気パルス給送器具。
【請求項12】
前記エアーコンプレッサが作動しているときに信号を送る出力を更に備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯型空気パルス給送器具。
【請求項13】
ハウジングと、
該ハウジング内に設けられたエアーコンプレッサであって、1200〜4800rpmの回転速度で作動可能であるモーター、空気入口、及び空気出口を備えている前記エアーコンプレッサと、
前記ハウジング内に設けられ、前記モーターに作動可能な形態で接続されている電源と、
前記ハウジング内に設けられ、前記エアーコンプレッサの前記空気入口と流体連通する吸い込みフィルタと、
前記エアーコンプレッサの前記空気出口に結合され且つ前記ハウジングの外部と連通している出口ポートと、
前記出口ポートに結合された入口、及び気体出口ポートを備えている出口を備えているマウスピースと、
前記エアーコンプレッサを制御して、前記気体出口ポートにおいて、所定の周波数、継続時間、及び圧力の気体の流れを生じさせるコントローラと、
を備えている携帯型空気パルス給送器具。
【請求項14】
前記気体出口ポートにおける前記気体の流れの前記周波数、継続時間、及び圧力が、感覚運動現象を惹き起こす刺激を付与している間、呼吸サイクルの妨げを最小化するものである、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯型空気パルス給送器具。
【請求項15】
空気−パルスをユーザーの口の中へ送り込む方法であって、
ハウジングと該ハウジングに結合されており且つ気体出口ポートを有するマウスピースとを備えている、無ケーブル式の携帯型空気パルス給送器具を準備するステップと、
前記マウスピースを、前記気体出口ポートがユーザーの口の中に配置されるようにユーザーの口の中へ挿入するステップと、
前記ハウジング上に設けられている電源スイッチを入れるステップと、
前記ハウジング内に配置されているコンプレッサモーターを、所定の時間間隔の所定のタイムシーケンスでオン及びオフに自動的に切り換えて、前記コンプレッサモーターによってポンプを起動させるステップと、
前記コンプレッサモーターがオンされたときに、該コンプレッサモーターを1200〜4800rpmの回転速度で作動させるステップと、
前記コンプレッサモーターがオンに切り換えられているときに、前記ポンプによって、前記気体出口ポートに、約20Hz〜80Hzの脈動周波数で約2〜3リットル/分の空気の平均気体流速を生じさせるステップと、を含む方法。
【請求項16】
前記コンプレッサモーターが、前記所定のタイムシーケンスの後の最終時点で、ユーザーが介入することなく自動的にオフに切り換えられる、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ユーザーがハンズフリーで保持できるように該器具をユーザーに結合させるステップを更に含んでいる、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記器具をユーザーに結合させる前記ステップが、前記ハウジングを衣料品のポケット内に配置するステップを含んでいる、ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記器具をユーザーに結合させる前記ステップが、前記ハウジングに結合されている掛け紐をユーザーの首にかけるステップを含んでいる、ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記空気の平均気体流速を生じさせるステップが、前記気体出口ポートに2.25mmHg未満の圧力で空気−パルスを発生させるステップを含んでいる、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記コンプレッサモーターによって駆動されて前記ポンプに入る空気を濾過するステップを更に含んでいる、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記空気を濾過するステップが、芳香剤によって前記空気に芳香を付けるステップを含んでいる、ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記マウスピースを前記ハウジングに解除可能な形態で結合させるステップを更に含んでいる、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記コンプレッサモーターに、前記ハウジング内に設けられている無ケーブル式電源によって電力を供給するステップを更に含んでいる、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記モーターを作動させている間、出力信号を送り込むステップを更に含んでいる、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2013−521038(P2013−521038A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555508(P2012−555508)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/IB2011/000443
【国際公開番号】WO2011/107860
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(501393922)トルーデル メディカル インターナショナル (14)
【出願人】(510274913)ザ ユニヴァーシティ オブ ウェスタン オンタリオ (3)
【Fターム(参考)】