説明

携帯式台紙なしラベル貼付け機

【課題】簡単な構成で正確に単葉のラベル片を切り出して、被貼付け体に貼付ける操作を行うことができる携帯式台紙なしラベル貼付け機を提供すること。
【解決手段】操作レバー12を握持・開放操作することにより、移送用ローラー14が一定ピッチで回転し、台紙なしラベル連続体1が一定ピッチで移送される。また、操作レバー12を握持・開放操作することにより、可動刃26も作動し、移送用ローラー14の周面に向けて進退移動して、移送用ローラー14に巻き掛けられた台紙なしラベル連続体1を移送用ローラー14の周面に設けられた固定刃25との間で挟んで切断する。移送用ローラー14には、その周面に移送用爪24が設けられており、台紙なしラベル連続体1に形成されたスリット5に差し込まれて、台紙なしラベル連続体1を移送する。これにより、位置ズレを起こすことなく正確に移送することができ、正確にラベル片2を切り出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯式台紙なしラベル貼付け機にかかるもので、ラベル片を被貼付け体に貼付ける操作を行うための携帯式台紙なしラベル貼付け機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
価格等の情報が表示されたラベル片を商品等に貼付ける操作を行うための装置として、携帯式ラベル貼付け機が知られている。
【0003】
従来の携帯式ラベル貼付け機では、台紙(剥離紙)上にラベル片を一定間隔で仮着した構成のラベル連続体を使用し、台紙からラベル片を1枚1枚剥離させて、被貼付け体に貼付ける構成とされていた。
【0004】
近年、省資源化の観点から、台紙のないラベル連続体(台紙なしラベル連続体)が開発され、使用されるに至っている。台紙なしラベル連続体は、台紙のないラベル片が帯状に連なって構成される。このため、台紙なしラベル連続体を使用する携帯式ラベル貼付け機(携帯式台紙なしラベル貼付け機)には、台紙なしラベル連続体を単葉のラベル片に切断するための機構が必要となる。
【0005】
特許文献1、2には、台紙なしラベル連続体1を移送するための無端ベルト上で台紙なしラベル連続体を切断する構成が記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、台紙なしラベル連続体を移送するため無端ベルトの上に切断コマを設置し、操作レバーの握持・開放に連動して、切断コマを幅方向に往復動させることにより、無端ベルト上で台紙なしラベル連続体を切断する構成が記載されている。
【0007】
ところで、台紙なしラベル連続体を切断して単葉のラベル片に分離する場合、台紙なしラベル連続体は、前後のラベル片の接合部分(前後のラベル片の境界部分)で切断する必要がある。
【0008】
しかしながら、特許文献1、2のように、無端ベルト上で台紙なしラベル連続体を切断する構成の場合、台紙なしラベル連続体の移送を高精度に制御しなければならないという問題がある。すなわち、台紙なしラベル連続体から単葉のラベル片を正確に切り出すためには、前後のラベル片の接合部分で台紙なしラベル連続体を切断しなければならないが、そのためには、台紙なしラベル連続体を切断手段の設置位置に正確に移送しなければならないという問題がある。そして、台紙なしラベル連続体の移送を高精度に制御するためには、搬送部の組み付けを高精度に行わなければならないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−133259号公報
【特許文献2】特開2011−207518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上のような問題にかんがみなされたもので、簡単な構成で正確に単葉のラベル片を切り出して、被貼付け体に貼付ける操作を行うことができる携帯式台紙なしラベル貼付け機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は、台紙なしのラベル片が帯状に連なって構成されるとともに、前後のラベル片の接合部分に移送用のスリットが形成された台紙なしラベル連続体を使用して、被貼付け体にラベル片の貼付け操作を行うための携帯式台紙なしラベル貼付け機であって、本体フレームと、前記本体フレームに設けられるグリップと、前記本体フレームに設けられ、前記グリップとともに握持・解放操作される操作レバーと、前記本体フレームに設けられ、ロール状に巻回された前記台紙なしラベル連続体を保持するラベル保持部と、前記本体フレームに設けられ、前記操作レバーの握持・開放操作により一定ピッチで回転して、前記ラベル保持部に保持された前記台紙なしラベル連続体を一定ピッチで繰り出し、一定ピッチで移送する移送用ローラーと、前記台紙なしラベル連続体に形成される移送用の前記スリットの間隔と同じ間隔で前記移送用ローラーの周面に設けられ、前記移送用ローラーに巻き掛けられた前記台紙なしラベル連続体の前記スリットに差し込まれる移送用爪と、前記台紙なしラベル連続体の前記接合部分の間隔と同じ間隔で前記移送用ローラーの周面に設けられ、前記移送用ローラーに巻き掛けられた前記台紙なしラベル連続体の前記接合部分に当接される固定刃と、前記本体フレームに設けられ、前記操作レバーの握持・開放操作により、前記移送用ローラーの周面に向けて進退移動し、前記固定刃との間で前記移送用ローラーに巻き掛けられた前記台紙なしラベル連続体の前記接合部分を挟んで切断し、ラベル片に分離する可動刃と、前記本体フレームに備えられ、前記操作レバーの握持・開放操作により一定ピッチで回転して、前記台紙なしラベル連続体から分離された前記ラベル片を一定ピッチで移送する移送用無端ベルトと、前記本体フレームに備えられ、前記移送用無端ベルトによって移送された前記ラベル片を前記被貼付け体に貼付ける貼付けローラーと、を備えたことを特徴とする携帯式台紙なしラベル貼付け機である。
【0012】
本発明によれば、操作レバーを握持・開放操作することにより、移送用ローラーが一定ピッチで回転する。これにより、ラベル保持部から台紙なしラベル連続体が一定ピッチで繰り出されて、長手方向に一定ピッチで移送される。この台紙なしラベル連続体を移送する移送用ローラーには、その周面に移送用爪が設けられている。一方、この移送用ローラーに巻き掛けられて移送される台紙なしラベル連続体には、あらかじめ前後のラベル片の接合部分に移送用のスリットが形成されている。移送用爪は、このスリットの形成間隔と同じ間隔をもって移送用ローラーの周面に設けられている。移送用ローラーに巻き掛けられた台紙なしラベル連続体は、スリットに移送用爪が差し込まれて、移送される。したがって、移送ローラーに移送される台紙なしラベル連続体は、位置ズレを起こすことなく、正確に移送される。また、移送用ローラーには、その周面に固定刃が設けられている。固定刃は、台紙なしラベル連続体の前後のラベル片の接合部分の間隔と同じ間隔(=スリットと同じ間隔)で設けられており、移送用ローラーに巻き掛けられた台紙なしラベル連続体の前後のラベル片の接合部分に当接される。操作レバーが握持・開放操作されると、可動刃が作動し、移送用ローラーの周面に向けて進退移動する。これにより、移送用ローラーに巻き掛けられた台紙なしラベル連続体が、前後のラベル片の接合部分で固定刃と可動刃とに挟まれて切断される。これにより、台紙なしラベル連続体から単葉のラベル片が分離される。ここで、上記のように、移送ローラー上を移送される台紙なしラベル連続体は、位置ズレを起こすことなく、正確に移送される。したがって、前後のラベル片の接合部分が、常に一定位置に位置するように、台紙なしラベル連続体を移送することができる。これにより、前後のラベル片の接合部分で正確に切断することができる。また、台紙なしラベル連続体は、前後のラベル片の接合部分に固定刃が当接された状態で移送用ローラーに搬送され、この固定刃と可動刃との間に挟まれてラベル片に切断されるので、常に正確な大きさのラベル片を切り出すことができる。特に、固定刃側に刃を形成し、可動刃側を受け刃とすることにより、ラフな設定であっても、正確にラベル片を切り出すことができる。操作レバーが握持・開放操作されると、移送用無端ベルトも回転する。移送用無端ベルトは、操作レバーの握持・開放操作により一定ピッチで回転し、ラベル連続体から分離されたラベル片を一定ピッチで移送する。ラベル片は、移送用無端ベルトの先端部分まで移送されることにより、被貼付け体への貼付けが可能になり、貼付けローラーによって被貼付け体に貼付けられる。
【0013】
前記台紙なしラベル連続体は、前後のラベル片の接合部分をミシン目で形成することができる。
【0014】
前後のラベル片の接合部分(前後のラベル片の境界部分)をミシン目で形成することにより、より容易に切断することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡単な構成で正確に単葉のラベル片を切り出して、被貼付け体に貼付け操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】発明が適用された携帯式台紙なしラベル貼付け機の一実施形態を示す概略構成図
【図2】台紙なしラベル連続体の構成を示す平面図
【図3】移送用爪、固定刃及び可動刃の構成を示す斜視図
【図4】切断ユニットの概略構成を示す正面図
【図5】切断ユニットの概略構成を示す側面図
【図6】切断ユニットの動作説明図
【図7】切断ユニットの動作説明図
【図8】携帯式台紙なしラベル貼付け機の他の実施の形態の要部の説明図
【図9】移送用爪、固定刃及び可動刃の他の実施の形態の構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
つぎに、添付図面に従って、本発明にかかる携帯式台紙なしラベル貼付け機の好ましい実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明が適用された携帯式台紙なしラベル貼付け機の一実施形態を示す概略構成図である。
【0019】
同図に示すように、本実施の形態の携帯式台紙なしラベル貼付け機10は、本体フレーム11に、主として、操作レバー12と、ラベルホルダー13と、移送用ローラー14と、切断ユニット15と、移送用無端ベルト16と、印字ユニット17と、貼付けローラー18とを備えて構成される。
【0020】
本体フレーム11は、一対の側板19を備えて構成される。一対の側板19は、一定の間隔をもって互いに対向して配置される。この本体フレーム11には、グリップ20が一体的に形成される。ユーザーは、このグリップ20を把持して、被貼付け体へのラベル片の貼付け操作を行う。
【0021】
操作レバー12は、グリップ20の下部に配置され、グリップ20とともに握持・開放操作される。この操作レバー12は、本体フレーム11に設けられた揺動支軸21に軸支されて、本体フレーム11に揺動自在に設けられる。操作レバー12とグリップ20との間には、スプリング22が配置される。操作レバー12は、このスプリング22によって開放方向に付勢される。
【0022】
ラベルホルダー13は、本体フレーム11の上部に配置される。このラベルホルダー13には、ロール状に巻回された台紙なしラベル連続体1が装填される。
【0023】
台紙なしラベル連続体1は、台紙なしのラベル片2が帯状に連なって構成され、円筒状の巻芯3に巻かれて、ロール状に形成される。
【0024】
本実施の形態の携帯式台紙なしラベル貼付け機10で使用する台紙なしラベル連続体1には、図2に示すように、あらかじめ前後のラベル片2の接合部分(前後のラベル片2の境界部分)にミシン目4(切り取り用の破線状の孔)が形成される。ミシン目4は、前後のラベル片2の境界線をなすように形成され、台紙なしラベル連続体1の長手方向に直交して形成される(幅方向を横断して形成される。)。
【0025】
また、この台紙なしラベル連続体1には、あらかじめ前後のラベル片2の接合部分に移送用のスリット5が形成される。スリット5は、ミシン目4に重ねて形成され、台紙なしラベル連続体1の幅方向の中央部分に一定の長さをもって形成される。
【0026】
ラベルホルダー13には、装着軸13Aが備えられる。巻芯3にロール状に巻回された台紙なしラベル連続体1は、巻芯3を装着軸13Aに装着することにより、ラベルホルダー13に保持される。
【0027】
移送用ローラー14は、ラベルホルダー13の下部に配置される。この移送用ローラー14は、操作レバー12の握持・開放操作により一定ピッチで回転し、ラベルホルダー13に保持された台紙なしラベル連続体1を一定ピッチで繰り出して、一定ピッチで移送する。
【0028】
移送用ローラー14は、ドラム状に形成され、その周面に台紙なしラベル連続体1が巻き掛けられる。移送用ローラー14の中心には、回転軸14Aが設けられる。移送用ローラー14は、この回転軸14Aを本体フレーム11に設けられた軸受部(図示せず)に軸支されて、本体フレーム11に回転可能に設けられる。
【0029】
上記のように、移送用ローラー14は、操作レバー12の握持・開放操作により一定ピッチで回転する。なお、操作レバー12の握持・開放操作により移送用ローラー14を回転させる機構は、公知の技術なので(たとえば、上記特開2011−207518号公報等参照)、ここでは、その具体的な構成についての説明は省略する。
【0030】
移送用ローラー14の周面には、一対の移送用爪24と一対の固定刃25とが、周方向に一定のピッチで設けられる。この一対の移送用爪24と一対の固定刃25は、図3に示すように、板状に形成されたベース材23に一体的に形成される。一対の移送用爪24と一対の固定刃25とは、このベース材23を移送用ローラー14の周面に一定ピッチで植設することにより、移送用ローラー14の周面に一定ピッチで配設される(移送用ローラー14の周面からは、移送用爪24と固定刃25のみが突出して配置され、ベース材23は埋設される。)。
【0031】
移送用爪24は、矩形の板状に形成され、移送用ローラー14の周面から径方向に突出して形成される。一対の移送用爪24は、薄板状に形成され、移送用ローラー14の回転軸14Aに沿って並列して配置される。この一対の移送用爪24は、移送用ローラー14に巻き掛けられた台紙なしラベル連続体1のスリット5に差し込まれる。
【0032】
上記のように、スリット5は、台紙なしラベル連続体1を構成する個々のラベル片2の接合部分(境界部分)に形成される。したがって、移送用爪24は、スリット5の形成間隔と同じ間隔をもって、移送用ローラー14の周面に配置される。また、スリット5は、台紙なしラベル連続体1の幅方向の中央部分に一定の長さをもって形成されるので、一対の移送用爪24は、スリット5に挿入できるような間隔をもって配置される。
【0033】
移送用ローラー14によって移送される台紙なしラベル連続体1は、そのスリット5に移送用爪24が差し込まれることにより、位置ズレを起こすことなく、正確に一定ピッチで移送することができる。
【0034】
一対の固定刃25は、各移送用爪24の設置部に配置され、一対の移送用爪24を挟んで一対の移送用爪24に並列して配置される。すなわち、移送用ローラー14の周面には、この一対の固定刃25と一対の移送用爪24とが幅方向にわたって形成される。一対の固定刃25は、移送用ローラー14の周面から径方向に突出して形成され、その先端には、図3に示すように、鋭角な刃が形成される。
【0035】
一対の固定刃25は、移送用ローラー14に台紙なしラベル連続体1が巻き掛けられた際、ミシン目4の部分に当接される。上記のように、ミシン目4は、スリット5の両サイドに形成される。したがって、一対の固定刃25は、この左右両端のミシン目4の部分に当接するように、設置間隔が調整される。
【0036】
移送用ローラー14に巻き掛けられた台紙なしラベル連続体1は、スリット5に移送用爪24が差し込まれることにより、移送用ローラー14に対して位置決めされる。そして、これにより、ミシン目4の部分に正しく固定刃25が当接される。
【0037】
切断ユニット15は、移送用ローラー14の下部に配置され、移送用ローラー14によって移送される台紙なしラベル連続体1を切断し、単葉のラベル片2を生成する。
【0038】
図4、図5は、それぞれ切断ユニットの概略構成を示す正面図と側面図である。
【0039】
同図に示すように、切断ユニット15は、可動刃26と、その可動刃26を駆動するための可動刃駆動機構27とを備えて構成される。
【0040】
可動刃26は、本体部26Aと、その本体部26Aから突出して形成された一対の受刃部26Bとで構成される。
【0041】
本体部26Aは、矩形の板状に形成される。可動刃26は、この本体部26Aの左右両端部分を一対の可動刃ガイド28にガイドされて、スライド移動自在(図4における上下方向)に支持される。
【0042】
一対の可動刃ガイド28は、柱状に形成され、所定の間隔をもって本体フレーム11に設けられる。この一対の可動刃ガイド28の互いに対向する面には、ガイド溝28Aが形成される。可動刃26は、本体部26Aの左右両端部分が、ガイド溝28Aに嵌められて、スライド移動自在に支持される。
【0043】
ここで、一対の可動刃ガイド28は、移送用ローラー14の径方向に沿って配設されるとともに、移送用ローラー14の回転軸14Aの方向に並列して配置される。したがって、可動刃26は、移送用ローラー14の回転軸14Aと平行に配置されるとともに、可動刃ガイド28にガイドされて、移送用ローラー14の周面に対して進退移動自在に支持される。
【0044】
一対の受刃部26Bは、矩形の板状に形成され、本体部26Aの先端(上端)から突出して形成される。一対の受刃部26Bの先端(上端)は、移送用ローラー14の周面に設けられた一対の固定刃25に当接させることができるように、平坦に形成される。したがって、一対の受刃部26Bは、一対の固定刃25に対応して形成される。すなわち、一対の固定刃25とほぼ同じ幅で形成され、同じ間隔で配置される(図3参照)。
【0045】
移送用ローラー14に巻き掛けられた台紙なしラベル連続体1は、この可動刃26の受刃部26Bを固定刃25に押し当てることにより、可動刃26と固定刃25との間に挟まれて切断される。
【0046】
可動刃駆動機構27は、揺動するアーム29を備え、このアーム29を揺動させて、可動刃26を移動(上下動)させる。
【0047】
アーム29は、揺動軸29Aを備え、この揺動軸29Aを中心に揺動する。揺動軸29Aは、本体フレーム11に設けられた図示しない軸受に軸支されて、移送用ローラー14の回転軸14Aと平行に配置される。
【0048】
アーム29の先端には、一対の係合爪30が形成される。係合爪30は、棒状に形成される。可動刃26の本体部26Aには、この一対の係合爪30が嵌入される一対の係合穴32が形成される。アーム29は、一対の係合爪30が、可動刃26に形成された一対の係合穴32に嵌入されることにより、可動刃26に係合される。これにより、アーム29を揺動させることにより、可動刃26が、可動刃ガイド28にガイドされて、移動(上下動)する。
【0049】
なお、このように、可動刃26は、アーム29の揺動によって移動させるため、係合穴32は、若干の遊びをもって、係合爪30が嵌入されるように形成される。
【0050】
アーム29の後端には、アーム押下用コマ33が取り付けられる。アーム押下用コマ33は、アーム29の後端部に配置された軸34の周りを揺動自在に設けられる。アーム押圧用コマ33は、先端部が円弧状に形成されるとともに、アーム29の後端側(図5において右側)にストッパ部33Aが形成される。アーム押圧用コマ33は、このストッパ部33Aが、アーム29の上面に当接することにより、アーム29の後端方向の回転(図5において時計回りの方向の回転)が規制される。
【0051】
アーム押圧用コマ33とアーム29との間には、図示しないバネ(たとえば、トーションバネ)が設けられており、アーム押圧用コマ33は、このバネによって、アーム29の後端方向に付勢される(図5において時計回りの方向に付勢される。)。したがって、アーム押圧用コマ33は、自然状態では、ストッパ部33Aがアーム29の上面部に当接して固定される。一方、アーム29の先端方向に押圧されると(図5において、反時計回りの方向に押圧されると)、バネの付勢力に抗して揺動する。
【0052】
操作レバー12の基端部には、揺動ローラー35が取り付けられる。揺動ローラー35は、操作レバー12の揺動支軸21と平行に配置され、ブラケット36を介して、操作レバー12の基端下部に回転自在に支持される。揺動ローラー35は、操作レバー12が握持・開放操作されることにより、揺動支軸21を中心とした円弧上を揺動する。
【0053】
アーム29は、アーム付勢バネ37によって、基端部が上方に揺動する方向(先端部が下方に揺動する方向)に付勢される。アーム付勢バネ37は、一端が本体フレーム11に固定され、他端がアーム29の基端部に固定される。これにより、基端部が上方に揺動する方向(先端部が下方に揺動する方向)にアーム29が付勢される。
【0054】
アーム付勢バネ37に付勢されることによって、アーム押下用コマ33が、揺動ローラー35に押圧当接される。上記のように、操作レバー12を握持・開放操作することにより、揺動ローラー35が揺動支軸21を中心に揺動する。
【0055】
ここで、操作レバー12の握持により、揺動ローラー35は、図5において、反時計回りの方向に揺動する。揺動ローラー35が、図5において、反時計回りの方向に揺動すると、その揺動ローラー35によって、アーム押圧用コマ33が、アーム29の後端側に押下される(図5において、時計回りの方向に押下される。)。
【0056】
アーム押圧用コマ33のアーム29の後端側には、ストッパ部33Aが設けられているので、アーム押圧用コマ33が、アーム29の後端側に押下(時計回りの方向に押下)されると、アーム29がアーム押圧用コマ33と一体となって、後端部が押下される。押下された、アーム29は、揺動ローラー35によるアーム押圧用コマ33の押圧が解除された後(揺動ローラー35がアーム押圧用コマ33を通過した後)、アーム付勢バネ37の付勢力で元の位置に復帰する。
【0057】
このように、操作レバー12の握持により、アーム29が、揺動軸29Aを中心に揺動する。そして、このアーム29が揺動することにより、可動刃26が、可動刃ガイド28にガイドされて、上下動する(図6、図7参照)。
【0058】
一方、操作レバー12の開放により、揺動ローラー35は、図5において、時計回りの方向に揺動する。揺動ローラー35が、図5において、時計回りの方向に揺動すると、その揺動ローラー35によって、アーム押圧用コマ33が、アーム29の先端側に押下される(図5において、反時計回りの方向に押下される。)。
【0059】
アーム押圧用コマ33は、図5において、反時計回りの方向には、自由に揺動できるので、アーム押圧用コマ33が、アーム29の先端側に押下(反時計回りの方向に押下)されると、アーム29に対してアーム押圧用コマ33のみが押下される。したがって、操作レバー12が開放された場合には、アーム29は揺動しない。
【0060】
すなわち、アーム29は、操作レバー12を握持した時のみ揺動し、これにより、可動刃26が上下動する。
【0061】
なお、可動刃26は、上死点に位置した時、受刃部26Bが移送用ローラー14に設けられた固定刃25に当接するように、設置位置が調整される。したがって、操作レバー12を握持・開放操作すると、受刃部26Bが固定刃25に当接し、退避する。
【0062】
また、可動刃26は、移送用ローラー14に設けられた固定刃25が、可動刃26の設置位置に位置した時に、受刃部26Bの刃先が固定刃25に当接するように、その上下動のタイミングが設定される。ここでは、移送用ローラー14が停止した後に、受刃部26Bが固定刃25に当接するように設定される。
【0063】
以上のように、切断ユニット15は、操作レバー12の握持・開放操作により、可動刃26が上下動して、移送用ローラー14に巻き掛けられた台紙なしラベル連続体1を先頭のラベル片2から順に切断する。
【0064】
移送用無端ベルト16は、図1に示すように、移送用ローラー14の下端部の接線方向に配置され、前方に向けて配置される。この移送用無端ベルト16は、操作レバー12の握持・開放操作により一定ピッチで回転し、台紙なしラベル連続体1から切り離された単葉のラベル片2を一定ピッチで移送する。
【0065】
移送用無端ベルト16は、一対のプーリー38に巻き掛けられて、本体フレーム11に回転自在に設けられる。一対のプーリー38は、本体フレーム11に設けられた図示しない軸受に軸支されて、移送用無端ベルト16の回転軸14Aと平行に配置される。
【0066】
上記のように、移送用無端ベルト16は、操作レバー12の握持・開放操作により一定ピッチで回転(走行)する。なお、操作レバー12の握持・開放操作により移送用無端ベルト16を回転(走行)させる機構は、公知の技術なので(たとえば、上記特開2011−207518号公報等参照)、ここでは、その具体的な構成についての説明は省略する。
【0067】
なお、移送用無端ベルト16は、移送用ローラー14に同期して回転する。したがって、移送用ローラー14によって順次移送される台紙なしラベル連続体1(ラベル片2)を順次移送することができる。
【0068】
印字ユニット17は、図1に示すように、移送用無端ベルト16の上方に配置される。この印字ユニット17は、移送用無端ベルト16によって移送されるラベル片2に所定の情報を印字する。印字ユニット17は、たとえば、スタンプで構成される。印字ユニット17は、操作レバー12の握持・開放操作により、移送用無端ベルト16上のラベル片2に接離して、ラベル片2の表面に所定の情報を印字する。
【0069】
なお、操作レバー12の握持・開放操作により印字ユニット17を駆動する構成は、公知の技術なので(たとえば、上記特開2011−207518号公報等参照)、ここでは、その具体的な構成についての説明は省略する。
【0070】
貼付けローラー18は、移送用無端ベルト16の先端部に配置される。貼付けローラー18は、移送用無端ベルト16によって移送されたラベル片2の表面を押圧して、ラベル片2を被貼付け体に貼付ける。貼付けローラー18は、本体フレーム11に設けられた図示しない軸受に軸支されて、移送用ローラー14の回転軸14Aと平行に配置され、本体フレーム11の下面部から一部突出して配置される。
【0071】
以上のように構成される本実施の形態の携帯式台紙なしラベル貼付け機10の作用は、つぎのとおりである。
【0072】
まず、ラベルホルダー13に台紙なしラベル連続体1を装填する。台紙なしラベル連続体1は、巻芯3にロール状に巻回されたものを使用し、巻芯3をラベルホルダー13の装着軸13Aに嵌めて、ラベルホルダー13に装填する。
【0073】
装填後、台紙なしラベル連続体1をラベルホルダー13から引き出して、移送用ローラー14に巻き掛ける。
【0074】
ここで、移送用ローラー14の周面には、移送用爪24が形成されているので、この移送用爪24を台紙なしラベル連続体1に形成された移送用のスリット5に差し込むようにして、台紙なしラベル連続体1を移送用ローラー14に巻き掛ける。
【0075】
スリット5に移送用爪24が差し込まれることにより、台紙なしラベル連続体1は、移送用ローラー14に対して位置決めされ、ミシン目4の部分に固定刃25が当接される。
【0076】
この状態で操作レバー12を握持・開放操作すると、移送用ローラー14が一定ピッチで回転し、台紙なしラベル連続体1が一定ピッチで移送される。この際、台紙なしラベル連続体1は、スリット5に移送用爪24が差し込まれた状態で移送されるため、位置ズレを起こすことなく、正確に一定ピッチで移送することができる。
【0077】
また、操作レバー12が握持・開放操作されると、切断ユニット15も作動し、可動刃26が、移送用ローラー14の周面に向かって進退移動する。移送用ローラー14によって移送される台紙なしラベル連続体1は、可動刃26の設置位置に到達すると、この可動刃26によってミシン目4の部分で切断される。具体的には、つぎのように切断される。
【0078】
操作レバー12が握持・開放操作されると、図6、図7に示すように、操作レバー12に設けられた揺動ローラー35が、操作レバー12の揺動支軸21を中心とした円弧上を揺動する。これにより、アーム29に設けられたアーム押下用コマ33が押下され、アーム29が、揺動軸29Aを中心に揺動する。そして、このアーム29が揺動することにより、可動刃26が、可動刃ガイド28にガイドされて、上下動する。可動刃26は、上死点の位置で受刃部26Bの先端が、移送用ローラー14の周面に設けられた固定刃25に当接する。これにより、移送用ローラー14に巻き掛けられた台紙なしラベル連続体1が、固定刃25と可動刃26とに挟まれて切断される。
【0079】
この際、台紙なしラベル連続体1は、切断部分であるミシン目4の部分に固定刃25が、すでに当接されているため、固定刃25と可動刃26とで挟むことにより、前後のラベル片2の間で正確に切断することができる。
【0080】
また、この切断部分である、前後のラベル片2の境界部分には、ミシン目4が形成されているため、簡単に切断することができる。
【0081】
ここで、台紙なしラベル連続体1は、移送用ローラー14に送られて停止する際、その先端のミシン目4の部分が、可動刃26の設置位置に位置する。また、その先端部が、移送用無端ベルト16に到達する。これにより、切り離された単葉のラベル片2は、移送用無端ベルト16に仮着される。
【0082】
移送用無端ベルト16は、移送用ローラー14と同様に、操作レバー12の握持・開放操作によって一定ピッチで回転(走行)する。したがって、移送用無端ベルト16に仮着されたラベル片2は、操作レバー12を握持・開放操作することによって、移送用ローラー14によって移送される。
【0083】
ラベル片2は、移送用無端ベルト16の先端まで移送されると、一部が移送用無端ベルト16から剥離され、貼付けローラー18の下部に配置される。これにより、被貼付け体に貼り付けることが可能になる。
【0084】
貼付けは、貼付けローラー18を被貼付け体に押し付けるように操作することにより行われる。これにより、ラベル片2が貼付けローラー18に押されて、被貼付け体に貼付けられる。
【0085】
以上説明したように、本実施の形態の携帯式台紙なしラベル貼付け機10では、操作レバー12の握持・開放操作によって作動する可動刃26と、移送用ローラー14に設けられた固定刃25とによって、移送用ローラー14上で台紙なしラベル連続体1を切断し、単葉のラベル片2を生成する。移送用ローラー14は、その周面に移送用爪24が設けられており、その移送用爪24を台紙なしラベル連続体1に形成されたスリット5に差し込んで移送するので、正確に移送することができる。これにより、所定の切断位置(前後のラベル片の境界部分)で台紙なしラベル連続体1を切断することができ、正確に単葉のラベル片2を切り出すことができる。
【0086】
また、刃は、固定刃25側に形成され、台紙なしラベル連続体1に対して位置ズレを起こすことなく当接されるため、所定の切断位置(前後のラベル片の境界部分)で台紙なしラベル連続体1を正確に切断することができる。これにより、単葉のラベル片2を正確に切り出すことができる。また、これにより、組み付け精度もラフで済み、組み立ての作業効率を向上させることができる。
【0087】
なお、上記実施の形態では、台紙なしラベル連続体1に対して移送用のスリット5を形成する際、台紙なしラベル連続体1の幅方向の中央に所定の長さで1本のスリット5を形成しているが、台紙なしラベル連続体1に形成するスリット5は、移送用ローラー14の周面に形成される移送用爪24を差し込むことができる形態であればよい。したがって、たとえば、一対の移送用爪24が移送用ローラー14に形成されている場合は、図8に示すように、移送用爪24の設置間隔に合わせて、一対のスリット5を台紙なしラベル連続体1に形成するようにしてもよい。この場合、台紙なしラベル連続体1を切断するための固定刃25と、可動刃26の受刃部26Bの部分は、図9に示すように、3カ所に形成する。すなわち、台紙なしラベル連続体1の繋がった部分(ミシン目4の部分)を切断するように、固定刃25と受刃部26Bを形成する。
【0088】
また、上記実施の形態では、台紙なしラベル連続体1に対して前後のラベル片2の接合部分(境界部分)にミシン目4を形成しているが、ミシン目4を形成しない態様とすることもできる。なお、上記実施の形態のように、ミシン目4を形成することにより、切断をより容易に行うことができる。
【0089】
なお、台紙なしラベル連続体1に形成されているスリット5の間隔と、移送用ローラー14に形成されている移送用爪24の間隔は、同じにする必要があるので、台紙なしラベル連続体1に形成されているスリット5の間隔に合わせて、移送用ローラー14を交換できるようにすることが好ましい。すなわち、移送用爪24の形成間隔が異なる移送用ローラー14を複数用意しておき、使用する台紙なしラベル連続体1に合わせて、適宜交換できるようにする。これにより、さまざまなサイズのラベル片2の貼付け操作を行うことができる。
【符号の説明】
【0090】
1 台紙なしラベル連続体
2 ラベル片
3 巻芯
4 ミシン目
5 スリット
10 携帯式台紙なしラベル貼付け機
11 本体フレーム
12 操作レバー
13 ラベルホルダー
13A 装着軸
14 移送用ローラー
14A 回転軸
15 切断ユニット
16 移送用無端ベルト
17 印字ユニット
18 貼付けローラー
19 側板
20 グリップ
21 揺動支軸
22 スプリング
24 移送用爪
25 固定刃
26 可動刃
26A 本体部
26B 受刃部
27 可動刃駆動機構
28 可動刃ガイド
28A ガイド溝
29 アーム
29A 揺動軸
30 係合爪
32 係合穴
33 アーム押下用コマ
34 軸
35 揺動ローラー
36 ブラケット
37 アーム付勢バネ
38 プーリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙なしのラベル片が帯状に連なって構成されるとともに、前後のラベル片の接合部分に移送用のスリットが形成された台紙なしラベル連続体を使用して、被貼付け体にラベル片の貼付け操作を行うための携帯式台紙なしラベル貼付け機であって、
本体フレームと、
前記本体フレームに設けられるグリップと、
前記本体フレームに設けられ、前記グリップとともに握持・解放操作される操作レバーと、
前記本体フレームに設けられ、ロール状に巻回された前記台紙なしラベル連続体を保持するラベル保持部と、
前記本体フレームに設けられ、前記操作レバーの握持・開放操作により一定ピッチで回転して、前記ラベル保持部に保持された前記台紙なしラベル連続体を一定ピッチで繰り出し、一定ピッチで移送する移送用ローラーと、
前記台紙なしラベル連続体に形成される移送用の前記スリットの間隔と同じ間隔で前記移送用ローラーの周面に設けられ、前記移送用ローラーに巻き掛けられた前記台紙なしラベル連続体の前記スリットに差し込まれる移送用爪と、
前記台紙なしラベル連続体の前記接合部分の間隔と同じ間隔で前記移送用ローラーの周面に設けられ、前記移送用ローラーに巻き掛けられた前記台紙なしラベル連続体の前記接合部分に当接される固定刃と、
前記本体フレームに設けられ、前記操作レバーの握持・開放操作により、前記移送用ローラーの周面に向けて進退移動し、前記固定刃との間で前記移送用ローラーに巻き掛けられた前記台紙なしラベル連続体の前記接合部分を挟んで切断し、ラベル片に分離する可動刃と、
前記本体フレームに備えられ、前記操作レバーの握持・開放操作により一定ピッチで回転して、前記台紙なしラベル連続体から分離された前記ラベル片を一定ピッチで移送する移送用無端ベルトと、
前記本体フレームに備えられ、前記移送用無端ベルトによって移送された前記ラベル片を前記被貼付け体に貼付ける貼付けローラーと、
を備えたことを特徴とする携帯式台紙なしラベル貼付け機。
【請求項2】
前記台紙なしラベル連続体は、前後のラベル片の接合部分にミシン目が形成されることを特徴とする請求項1に記載の携帯式台紙なしラベル貼付け機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−107667(P2013−107667A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253012(P2011−253012)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】