説明

携帯式台紙無しラベル貼付け機

【課題】台紙無しラベルを続けて切断し続けても切断不良が発生せずに、良好に台紙無しラベルの切断を行うことのできる切断機構を備えた携帯式台紙無しラベル貼付け機を提供すること。
【解決手段】台紙無しラベルの幅方向に往復動する切断コマ71を採用し、切断コマ71を操作レバーに連動して作動させることに着目し、台紙無しラベルを移送する移送ローラー18と、操作レバーの操作により切断コマ71が台紙無しラベルの幅方向に台紙無しラベルの幅分だけ移動した後に、移送ローラー18を回転駆動させて前記台紙無しラベルを移送する移送ローラー駆動手段32、33と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯式台紙無しラベル貼付け機に係るもので、特に帯状の台紙無しラベルを装填して移送し、所望の被貼付け体に貼付け操作を行うための携帯式台紙無しラベル貼付け機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯式ラベル貼付け機を用いて、各種商品その他の被貼付け体にラベルを貼り付け、商品の価格やその他必要な情報を表示することが行われている。
【0003】
この携帯式ラベル貼付け機の使用にあたっては、ラベルをロール状に巻いた状態で、携帯式ラベル貼付け機における用紙ホルダーなどの保持部に装填保持するとともに、この用紙ホルダーからラベルを帯状に繰り出して、携帯式ラベル貼付け機内に挿通し、移送ないし印字する。
【0004】
携帯式ラベル貼付け機に装填するラベルとしては、帯状のラベル基材と、このラベル基材の裏面に設けた粘着剤層と、ラベル基材の表面に設けた剥離剤層と、を有する一方、台紙を持たない台紙無しラベル(いわゆるノンセパ(登録商標)型のラベル)があり、台紙無しラベルは、台紙を持たないことから省資源にも寄与することができる。
【0005】
ただし、台紙無しラベルは台紙による裏打ちがないことから、その貼付けにあたって、所定のピッチで切断して単葉のラベル片とする必要がある。すなわち、この台紙無しラベルを装填して使用する携帯式台紙無しラベル貼付け機において、機内に移送する帯状の台紙無しラベルを所定ピッチの部分で切断する機構が必要である。
【0006】
例えば特許文献1には、ラベル剥離紙(台紙)を有しないノンセパ型ラベルの連続体を適宜な長さに切断し、被貼着物に貼り付けるラベル連続体の携帯型切断器(携帯式台紙無しラベル貼付け機)が開示されている。特許文献1に記載された携帯式台紙無しラベル貼付け機では、操作レバーを握ると、操作レバーと連動したスイングアームの先端が下方向に移動し、その先端部位に取付けられたカッターにより、搬送ベルト上を送られてきた台紙無しラベルが個々のラベル片に切断され、切断されたラベル片の表面に表示装置により適宜な文字等が印字される。また一方、操作レバーが握られると、ラチェット送り爪がラチェットホイールに沿って所定ピッチ分移動し、次に操作レバーを解放すると、ギアを介した付勢手段の力によりラチェット送り爪がラチェットホイールを所定ピッチ分回転させる。するとラチェットホイールの回転とともに送りローラ及びピッチ決めローラが回転し、搬送ベルト上を台紙無しラベルが所定ピッチ分搬送されるようになっている。
【0007】
しかしながら、このとき操作レバーを完全に握らずに、操作レバーの握り操作を途中で止めた場合には、ラベル片に対する印字が例えばかすれた状態となるような不完全な印字状態あるいはまったく印字されないラベル片が発行されてしまうという問題がある。
また、操作レバーの握り操作を途中で止めた場合には、カッターが完全に下まで降りきらないため、台紙無しラベルの切断がなされなかったり、切断が不完全なラベル片が携帯式台紙無しラベル貼付け機から繰り出されることとなり、このような場合には、きちんとラベル貼り付けができないという問題がある。
【0008】
なおまた、あらかじめ販売促進情報や広告情報などを印刷したラベルを貼り付ける際には、印字部を設けず、操作レバーの操作のみで、ラベルを貼り付けることができるが、このように構成した携帯式台紙無しラベル貼付け機の場合であっても、台紙無しラベルの切断機構については、上記のように、操作レバーの握り操作を途中で止めた場合には、切断不良のラベル片が繰り出され、きちんとラベル貼り付けができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−133259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以上のような問題に鑑みてなされたもので、たとえ操作レバーの握り操作を途中で止めても切断不良のラベル片が繰り出されることなく、ラベル貼付操作ミスを防止することのできる携帯式台紙無しラベル貼付け機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ケーシングを構成する左右一対の側板および該側板に形成したグリップと、前記グリップとともに握持および解除される操作レバーと、台紙無しラベルを移送する移送ローラーと、前記移送ローラーにより移送されてくる前記台紙無しラベルをさらに移送可能な移送用無端ベルトと、前記移送用無端ベルト上に移送されてくる前記台紙無しラベルの幅方向に往復動することにより前記台紙無しラベルを単葉のラベル片に切断可能な切断コマを備えたバースターブラケットと、前記バースターブラケットの前記台紙無しラベルの幅方向への往復動を規制する移動規制部材と、前記操作レバーの握持および解除により前記バースターブラケットを前記台紙無しラベルの幅方向へ往復動させるように、前記バースターブラケットと前記操作レバーとを連動する連動機構と、前記操作レバーに連動し、前記バースターブラケットの切断コマが前記台紙無しラベルの幅方向に前記台紙無しラベルの幅分だけ移動した後に、前記移送ローラーを回転駆動させて前記台紙無しラベルを移送する移送ローラー駆動手段と、を備えた携帯式台紙無しラベル貼付け機である。
【0012】
前記移送ローラー駆動手段は、前記移送ローラーの側面にその中心から放射状に設けられた複数の移送用突起と、前記移送用突起の一つずつと順次係合可能に前記操作レバーに連結した部材に設けられた移送回動用爪とからなり、前記操作レバーの握持時に前記移送回動用爪が前回係合した前記移送用突起の次の前記移送用突起と係合し、前記操作レバーの解放時に前記移送回動用爪が該係合している前記移送用突起を付勢することにより前記移送ローラーを回転させるように構成されるとともに、前記移送ローラー駆動手段は、前記操作レバーの握持により、前記バースターブラケットの切断コマが前記台紙無しラベルの幅方向に前記台紙無しラベルの幅分だけ移動した後に、前記移送回動用爪が次の前記移送用突起と係合するように構成されたことが好ましい。
【0013】
また、前記移送ローラー駆動手段の前記複数の移送用突起は、一つ前の前記移送用突起とその次の前記移送用突起との前記移送ローラーの側面の中心の回りに関する間隔が、前記移送回動用爪によって前記移送用突起が付勢されたときに丁度前記ラベル片一枚分だけ前記台紙無しラベルを移送するように前記移送ローラーが回転するような間隔となるように、前記移送ローラーの側面の中心の回りに配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明による携帯式台紙無しラベル貼付け機においては、移送ローラー駆動手段が、バースターブラケットの切断コマが台紙無しラベルの幅方向に台紙無しラベルの幅分だけ移動した後でないと、移送ローラーを回転駆動させて台紙無しラベルを移送しないようにしたため、たとえ操作レバーの握り操作を途中で止めても切断不良のラベル片が繰り出されることなく、ラベル貼付操作ミスを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態の携帯式台紙無しラベル貼付け機1の側面図である。
【図2】用紙ホルダー4及びプラテンユニット6を開放した状態の携帯式台紙無しラベル貼付け機1の側面図である。
【図3】用紙ホルダー4及びプラテンユニット6を開放した状態で一方の側板2を取り除いた状態の携帯式台紙無しラベル貼付け機1の概略側面図である。
【図4】台紙無しラベル3を装填した状態のプラテンユニット6における台紙無しラベル分離装置69、移送ローラー18及び押付けエレメント19の斜視図である。
【図5】プラテンユニット6のプラテンフレーム17の一部を切り欠いて移送ロール18及び押付けエレメント19の構成がわかるように示した斜視図である。
【図6】台紙無しラベル3を装填した状態のプラテンユニット6における台紙無しラベル分離装置69、移送ローラー18、押付けエレメント19及び移送用無端ベルト23の、逆転防止片54部分における縦断面図である。
【図7】プラテンユニット6及び台紙無しラベル分離装置69の分解斜視図である。
【図8】操作レバー5および台紙無しラベル切断装置9の斜視図である。
【図9】台紙無しラベル切断装置9の分解斜視図である。
【図10】台紙無しラベル切断装置9と移送ローラー18付近を下方向から見上げた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、携帯式台紙無しラベル貼付け機の操作レバーと連動した、台紙無しラベルを切断する切断手段と台紙無しラベル搬送手段において、切断手段が台紙無しラベルを完全に切断した後でなければ、台紙無しラベル搬送手段の送りローラーを回転駆動させないで台紙無しラベルを移送しないようにするものである。具体的には、例えば以下説明する実施例のように、切断手段が台紙無しラベルを完全に切断した後でなければ、送りローラーを回転駆動する爪が送りローラーの次の回転を与えるピンに係合しないように構成することにより、たとえ操作レバーの握り操作を途中で止めても印字不良や切断不良のラベル片が繰り出されることなく、ラベル貼付操作ミスを防止することのできる携帯式台紙無しラベル貼付け機を実現した。
【実施例】
【0017】
次に、本発明の実施例による携帯式台紙無しラベル貼付け機を添付の図面にもとづき説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る携帯式台紙無しラベル貼付け機1の側面図である。図1に示すように、携帯式台紙無しラベル貼付け機1は、携帯式台紙無しラベル貼付け機1の本体ケーシングを形成する左右(紙面表裏)一対の側板2と、台紙無しラベル3の用紙ホルダー4と、操作レバー5と、プラテンユニット6と、印字器7と、貼付けローラー8と、台紙無しラベル切断装置(ラベル切断機構)9と、を有している。
【0019】
左右一対の側板2は、操作者が握持可能なグリップ10を一体に形成するとともに、このグリップ10に対してレバー軸11のまわりに操作レバー5を回動操作可能としている。
【0020】
なお、操作レバー5とグリップ10との間には、任意の付勢手段(例えば後述するようなコイルスプリング)を設けて、操作レバー5をグリップ10に対して、図1に示すような常時(操作レバー5の解放時)離反状態に付勢可能としている。
【0021】
操作者は、付勢手段の付勢力に抗してグリップ10および操作レバー5を握持して携帯式台紙無しラベル貼付け機1内のプラテンユニット6、台紙無しラベル切断装置9および印字器7を駆動するとともに、この握持操作を解放後、携帯式台紙無しラベル貼付け機1の貼付けローラー8による台紙無しラベル3の貼付け操作を行うことになる。
【0022】
台紙無しラベル3は、これをロール状に巻いて用紙ホルダー4のラベル保持軸15に保持するとともに、操作レバー5の操作にともなって、プラテンユニット6により印字器7方向に帯状に繰り出され、プラテンユニット6の先端部でプラテンユニット6から分離され、分離された台紙無しラベル3は貼付けローラー8により被貼付け体(図示せず)に貼り付け可能としている。
【0023】
すなわち、台紙無しラベル3は、プラテンユニット6上を移送され、台紙無しラベル切断装置9によって個々のラベル片(図示せず)に切断されて印字器7により印字され、さらにプラテンユニット6の先端部に移送される。貼付けローラー8は、側板2の先端下方部に位置し、プラテンユニット6の移送用無端ベルト(図示せず、後述)から剥離されたラベル片を被貼付け体に貼り付ける。
【0024】
貼付けローラー8は、側板2の端部に位置し、その円周部の一部が側板2の外部に露出しており、側板2の外部に排出するようにプラテンユニット6及びその移送用無端ベルトを通って側板2の外部に移送されてきたラベル片を、貼付けローラー8を被貼付け体に打ちつけるようにして回転させることにより、被貼付け体に貼り付け可能とする。
【0025】
用紙ホルダー4は、断面半円弧状のホルダーカバー14が、側板2の上面に設けたホルダー軸13の周りに、側板2に対して開閉回動可能であり、このホルダーカバー14の内部に設けたラベル保持軸15にロール状の台紙無しラベル3を装填保持可能としている。
【0026】
プラテンユニット6は、用紙ホルダー4から帯状に繰り出された台紙無しラベル3を、台紙無しラベル切断装置9、印字器7及び貼付けローラー8へと移送するものである。プラテンユニット6は、側板2に設けたプラテン開閉軸20の回りに回動可能である。詳しくは後述するが、プラテンユニット6の先端部が配置される側板2に設けた開閉用つまみ26を操作することにより、側板2に対してプラテンユニット6全体を開閉し、台紙無しラベル3の挿通装填を可能としている。
【0027】
台紙無しラベル切断装置9は、プラテンユニット6の上面に移送されてきた台紙無しラベル3を個々のラベルに切断するものである。台紙無しラベル切断装置9の詳細については後述する。
【0028】
印字器7は、操作レバー5を操作することにより、インキローラー50により印字器7の活字にインキが塗布され、プラテンユニット6によってその上面に移送され、台紙無しラベル切断装置9によって個々のラベル片に切断された、台紙無しラベル3に所定の情報を印字する。
【0029】
図2は、用紙ホルダー4及びプラテンユニット6を開放した状態の携帯式台紙無しラベル貼付け機1の側面図である。なお、図2では、ホルダーカバー14の内部に設けたラベル保持軸15に装填保持されたロール状の台紙無しラベル3は図示を省略している。
【0030】
図2に示すように、ホルダーカバー14がホルダー軸13のまわりに側板2に対して回動して、用紙ホルダー4が側板2から開放される。ホルダーカバー14の内部には、ラベル保持軸15と側板2への固定用フック16が設けられている。これにより、ラベル保持軸15にロール状の台紙無しラベルが装填保持される。
【0031】
プラテンユニット6は、プラテンユニット6を構成するプラテンフレーム17が側板2に設けたプラテン開閉軸20のまわりに回動することにより、側板2に対してその全体が開放される。これにより、台紙無しラベルをプラテンユニット6に対して挿通装填が可能となる。
【0032】
また、詳しくは後述するが、プラテンフレーム17は、駆動ギア及び従動コロと、これらのまわりに掛け回した移送用無端ベルトを備えている。図2には従動コロ22のみが表示されている。さらに、プラテンフレーム17の先端側の左右には一対の係脱軸25が突出形成され、係脱軸25が側板2に設けた開閉用つまみ26と連動してプラテンユニット6を側板2から開閉するようにしている。
【0033】
図3は、用紙ホルダー4及びプラテンユニット6を開放した状態で一方の側板2を取り除いた状態の携帯式台紙無しラベル貼付け機1の概略側面図である。
【0034】
図3に示すように、ホルダーカバー14がホルダー軸13のまわりに側板2に対して回動して、台紙無しラベル3を装填した用紙ホルダー4が側板2から開放されている。
【0035】
さらに図3においては、用紙ホルダー4の図中左横に矢印で示したように、台紙無しラベル3の一部を拡大して表示している。台紙無しラベル3は、ロール状に巻いて用紙ホルダー4のラベル保持軸15に保持され、操作レバー5の操作にともなってプラテンユニット6により、図3では図示を省略した台紙無しラベル切断装置9及び印字器7(ともに図1参照)の方向に移送される。
【0036】
このとき台紙無しラベル3には、図3左上に拡大して示すように、所定ピッチで移送用スリット3Aなどを形成し、プラテンユニット6上を移送する際に、後述する台紙無しラベル切断装置9により、帯状の台紙無しラベル3から単葉のラベル片3Bとすることができる。
【0037】
なお、移送用スリット3Aに合わせて台紙無しラベル3の両端側から内方部に向かって任意の数の切り目から構成したミシン目3Cを形成し、台紙無しラベル切断装置9による切断作用を容易にすることができる。
【0038】
また、側板2と一体に形成されたグリップ10に対して、レバー軸11のまわりに回動操作可能に操作レバー5が設けられており、操作レバー5とグリップ10との間には付勢手段としてのコイルスプリング12が設けられ、このコイルスプリング12によって、操作レバー5の解放時に操作レバー5とグリップ10とが離反状態となるように操作レバー5が付勢されている。
【0039】
操作レバー5は、その先端側に二股状のヨーク部5Aを有し、操作者が操作レバー5を操作すると、このヨーク部5Aを介して台紙無しラベル切断装置9や印字器7(ともに図1参照)が動作するようにしている。
【0040】
プラテンユニット6は、前述したように、用紙ホルダー4から帯状に繰り出された台紙無しラベル3をその上面に移送するものであり、プラテンフレーム17、移送ローラー18及び押付けエレメント19等を有し、移送ローラー18と押付けエレメント19との間を接離可能とている。
【0041】
また、プラテンフレーム17の両端部には、駆動ギア21及び従動コロ22とを備え、これら駆動ギア21及び従動コロ22の周りに移送用無端ベルト(図示せず)を掛け回して、その上を台紙無しラベル3を移送する。
【0042】
プラテンフレーム17の先端側の左右には一対の係脱軸25が突出形成され、側板2に設けられた開閉用つまみ26(図1、図2参照)に連動してつまみ軸27のまわりに回動する開閉用係脱片28の係脱用凹部28Aに係脱可能としてある。ただし、つまみ軸27には任意のバネ材(図示せず)を設けて、開閉用係脱片28が係脱軸25に係合する方向にこれを付勢している。すなわち、開閉用つまみ26は、係脱軸25に係脱する開閉用係脱片28を操作して、プラテンユニット6と開閉用係脱片28とを互いに係脱可能としている。
【0043】
移送ローラー18は、プラテンフレーム17に設けたローラー軸29のまわりに移送方向に所定ピッチでこれを回転可能としてある。図3に示すように、操作レバー5のレバー軸11の下方部に延びる連結アーム30の連結軸31に、移送回動用爪32を往復動可能に取り付けてあり、この移送回動用爪32が移送ローラー18におけるローラーギア24の側面に放射状に設けた複数個の移送用突起33それぞれに順次係脱可能である。
【0044】
この移送回動用爪32及び移送用突起33が操作レバー5に連動して、移送ローラー18を回転駆動する移送ローラー駆動手段を構成する。すなわち、操作レバー5をグリップ10とともに握持及び解放することにより、連結アーム30、移送回動用爪32及びローラーギア24などを介してローラー軸29のまわりに移送ローラー18を所定ピッチだけ回転して台紙無しラベル3を移送可能とするとともに、移送ローラー18のローラーギア24と駆動ギア21との連結係合により移送用無端ベルト23を回転させて台紙無しラベル3をその上面に移送可能である。
【0045】
押付けエレメント19は、移送ローラー18に台紙無しラベル3を押し付けるためのものであり、エレメントフレーム40と、上下左右二対のバックアップローラー41の間で中央に位置するバックアップリング42とを有している。押付けエレメント19と移送ローラー18との間に台紙無しラベル3を挿通可能とする隙間45が形成される。
【0046】
なお、エレメントフレーム40は、プラテンフレーム17の外壁面に設けたエレメント軸46の周りにプラテンフレーム17に対して回動可能に連結されており、プラテンユニット6において押付けエレメント19に対してプラテンフレーム17を相対的に開閉可能としている。
【0047】
図4は、台紙無しラベル3を装填した状態のプラテンユニット6における台紙無しラベル分離装置69、移送ローラー18及び押付けエレメント19の斜視図である。
【0048】
図4に示すように、台紙無しラベル3は、移送ローラー18と押付けエレメント19との間に挿通され、プラテンフレーム17に設けられた移送用無端ベルト23上を搬送される。そして、図示を省略した台紙無しラベル切断装置9により帯状の台紙無しラベル3から単葉のラベル片3Bに切断された後、やはり図示を省略した印字器7により印字され、図に矢印で示したようにラベル片3Bが、移送用無端ベルト23から剥離され側板2(図3参照)の外部に排出される。
【0049】
プラテンフレーム17は、前述したように、側板2に設けたプラテン開閉軸20の周りに回動可能に配置されている。そして、プラテンユニット6は、台紙無しラベル3を移送ローラー18と押付けエレメント19との間に挿通するときや、台紙無しラベル3が移送不良、いわゆるジャムリを起こしたときや保守点検などのときに、側板2に対してその全体が開閉されるようにしている。
【0050】
プラテンフレーム17は、駆動ギア21及び従動コロ22と、これら駆動ギア21及び従動コロ22の周りに掛け回した移送用無端ベルト23とを備えており、駆動ギア21が移送ローラー18のローラーギア24に係合される。
【0051】
移送用無端ベルト23は、移送ローラー18によって移送されてくる台紙無しラベル3をさらに移送可能であって、その表面は、台紙無しラベル3の裏面(糊面)が接触されるため、非粘着性の物性を有するシリコーン、或いはフッ素系のゴム材から構成されるか、又は剥離剤などが塗布されている。
【0052】
また図4に示すように、押付けエレメント19は、エレメントフレーム40と、バックアップリング42の他に左右一対の板バネ44及び図示を省略したねじりコイルバネを有している。このねじりコイルバネと左右一対の板バネ44は、プラテンユニット6が開閉用係脱片28(図3参照)から離脱したときに、移送ローラー18と押付けエレメント19とを互いに離反させる付勢部材として機能し、押付けエレメント19から移送ローラー18を離反させ、前述したようにその間に台紙無しラベル3を挿通可能とする隙間45(図3参照)を形成可能とする。
【0053】
ただし、プラテンフレーム17は、係脱軸25と開閉用係脱片28(図3参照)との係合により、ねじりコイルバネ及び板バネ44の付勢力に抗して側板2に取り付けられる。
【0054】
なお、エレメントフレーム40は、プラテンフレーム17の外壁面に設けたエレメント軸46の周りにプラテンフレーム17に対して回動可能に連結されており、プラテンユニット6において押付けエレメント19に対してプラテンフレーム17を相対的に開閉可能としている。また、エレメントフレーム40は、バックアップローラー41及びバックアップリング42を取り付ける上下一対の回転軸47を有している。
【0055】
バックアップローラー41及びバックアップリング42は、台紙無しラベル3の裏面(糊面)が接触移送されるため、非粘着性の物性を有するシリコーン、或いはフッ素系のゴム材から構成されるか、剥離剤などが塗布されているもので、台紙無しラベル3を移送ローラー18側に押し付け可能である。
【0056】
また、バックアップローラー41及びバックアップリング42は、台紙無しラベル3の糊面に線接触するため、糊面との粘着力を極力小さくすることができるとともに、所定のバネ弾性を持った押付けが可能である。
【0057】
バックアップローラー41は、移送ローラー18の移送用爪38の外周部の外周円周溝39に接触回転するとともに、バックアップリング42が、移送ローラー18の移送用爪38の内周部の中央円周溝37に接触回転することにより、移送ローラー18と押付けエレメント19との間に台紙無しラベル3を挟持しつつ、また、移送用爪38が台紙無しラベル3の表面側からその移送用スリット3A(図3参照)に係合し移送ローラー18の回転によって台紙無しラベル3を移送用無端ベルト23上に送り出す。
【0058】
また、図4に示すように、台紙無しラベル分離装置69は、プラテンユニット6のプラテンフレーム17に回動可能に設けた分離爪エレメント49を有している。分離爪エレメント49は、移送ローラー18と移送用無端ベルト23との間に配置されるとともに、押付けエレメント19によって移送ローラー18に押し付けられていた台紙無しラベル3を移送ローラー18から確実に分離可能とし、移送ローラー18と移送用無端ベルト23との間において台紙無しラベル3を移送ローラー18から移送用無端ベルト23に移行させる。
【0059】
分離爪エレメント49は、左右一対の回動アーム50及びその間の横断アーム51を有している。また、分離爪エレメント49は、移送ローラー18の中央円周溝37に移送用爪38と同じ所定ピッチで形成された逆転防止凹部58それぞれに係脱可能な逆転防止片54を有している。
【0060】
また、プラテンフレーム17におけローラー軸29(図3参照)の近傍には、回動用凹部57が形成されている。また、プラテンフレーム17には、爪エレメント係脱孔部59が形成されている。
【0061】
図5は、プラテンユニット6のプラテンフレーム17の一部を切り欠いて移送ローラー18及び押付けエレメント19の構成がわかるように示した斜視図である。なお、図5では、台紙無しラベル3は省略している。
【0062】
図5では、プラテンフレーム17の一部を切り欠くことにより、いままで見えていなかったいくつかの部材が見えるようにしている。まず、押付けエレメント19は、プラテンユニット6が開閉用係脱片28(図3参照)から離脱したときに、左右一対の板バネ44とともに、移送ローラー18と押付けエレメント19とを互いに離反させる付勢部材として機能するねじりコイルバネ43を有している。
【0063】
ねじりコイルバネ43は、移送ローラー18と押付けエレメント19との間において、隙間45(図3参照)から側方にずれた位置に設けられたバネ取付け軸(図示せず)に取り付けられており、プラテンフレーム17(プラテンユニット6)全体を押付けエレメント19に対して常時解放方向(図3参照)に付勢する。
【0064】
板バネ44は、移送ローラー18とは反対側のエレメントフレーム40の背面に取り付けられており、操作レバー5(図3参照)のレバー軸11(図3参照)部分に当接して、ねじりコイルバネ43と協動して、プラテンフレーム17(プラテンユニット6)全体を押付けエレメント19に対して常時解放方向(図3参照)に付勢する。
【0065】
また、台紙無しラベル分離装置69の分離爪エレメント49(図4参照)の左右一対の回転アーム50の先端に、回動突起56が形成されている。この回動突起56は、プラテンフレーム17におけるローラー軸29近傍に形成された回動用凹部57(図4参照)と係合する。
【0066】
また、前述したように操作レバー5のレバー軸11の下方部に延びる連結アーム30の連結軸31(いずれも図3参照)に往復動可能に取り付けられた移送回動用爪32が、移送ローラー18のローラーギア24の側面に放射状に設けられた複数個の移送用突起33それぞれに係脱可能としている。
【0067】
この移送回動用爪32が往復動作することにより移送用突起33との係合・離脱を繰り返して、ローラーギア24及び移送ローラー18を回転させることにより台紙無しラベル3を所定ピッチずつ移送する。
【0068】
なお、図5におけるその他の要素については、図4と同じであり、すでに説明しているので、説明を省略する。
【0069】
図6は、台紙無しラベル3を装填した状態のプラテンユニット6における台紙無しラベル分離装置69、移送ローラー18、押付けエレメント19及び移送用無端ベルト23の、逆転防止片54部分における縦断面図である。
【0070】
図6に示すように、逆転防止片54は、移送ローラー18に所定ピッチで設けられた逆転防止凹部58それぞれに係脱可能であり、移送ローラー18(ローラーギア24)がローラー軸29の周りに図で反時計回りに回転するのを防止している。
【0071】
また、押付けエレメント19のエレメントフレーム40は、バックアップリング42を取り付けるための上下一対の回転軸47、47を有している。バックアップリング42は、バックアップリング42と移送ローラー18との間に挿通される台紙無しラベル3を移送ローラー18側に押し付けて、移送ローラー18の回転に伴い台紙無しラベル3を移送する。
【0072】
また図6に示すように、駆動ギア21及び従動コロ22のまわりに移送用無端ベルト23が掛け回されている。この移送用無端ベルト23は、台紙無しラベル切断装置9(図1参照)による台紙無しラベル3の切断の切断動作の受け台及び印字器7(図1参照)による台紙無しラベル3への押印動作の受け台となるもので、台紙無しラベル切断装置9及び印字器7の位置において移送用無端ベルト23の内側にはそれぞれ受圧用プレート23Aが配置されている。
【0073】
移送用無端ベルト23上を搬送された台紙無しラベル3は、図示を省略した台紙無しラベル切断装置9により帯状の台紙無しラベル3から単葉のラベル片3Bに切断され、図示を省略した印字器7により印字された後、従動コロ22の位置で移送用無端ベルト23から剥離され外部に排出される。
【0074】
図7は、プラテンユニット6及び台紙無しラベル分離装置69の分解斜視図である。
【0075】
図7に示すように、操作レバー5のレバー軸11の下方部に延びる連結アーム30の連結軸31に、移送回動用爪32が取り付けられている。この移送回動用爪32は移送ローラー18のローラーギア24の側面に設けられた複数個の移送用突起33にそれぞれ係脱される。
【0076】
なお、連結軸31には、連結ガイドプレート34が取り付けられており、連結ガイドプレート34の左右先端部の連結突起35が、プラテンフレーム17の底部におけるガイド溝36内に往復摺動可能に嵌め込まれ、操作レバー5の握持及びその解放に伴う連結軸31及び移送回動用爪32の往復作動を保証している。
【0077】
すなわち、操作レバー5を握持すると連結アーム30の連結軸31に取り付けられた移送回動用爪32が、連結アーム30の動きに伴って後退し、一つ後の(図で反時計回りに一つ後の)移送用突起33と係合する。そして、操作レバー5を解放すると、コイルスプリング12(図3)の付勢力により連結アーム30が前方(斜め下方)に移動し、それに伴い移送回動用爪32が係合している移送用突起33を前方に押し出すことにより移送ローラー18が移送用突起33一つ分だけ図で時計回りに回転し、これによりラベル片3B一枚分だけ台紙無しラベル3が移送される。
【0078】
また、台紙無しラベル分離装置69は、プラテンユニット6のプラテンフレーム17に回動可能に設けた分離爪エレメント49を有する。この分離爪エレメント49は、移送ローラー18と移送用無端ベルト23との間に配置されるとともに、押付けエレメント19によって移送ローラー18に押し付けられていた台紙無しラベル3を移送ローラー18から確実に分離可能とし、移送ローラー18と移送用無端ベルト23との間において台紙無しラベル3を移送ローラー18から移送用無端ベルト23に移行させる。
【0079】
分離爪エレメント49は、左右一対の回動アーム50及びその間の横断アーム51を有する爪エレメント本体52と、横断アーム51から移送ローラー18に向かって突出形成した左右一対の分離爪片53と、分離爪片53に対してほぼ直角方向に分離爪片53の間に形成した逆転防止片54と、回動アーム50の基部に弾性的に形成した爪エレメント係合片55と、を有する。分離爪エレメント49の回動アーム50の先端部には回動突起56が形成され、この回動突起56は、プラテンフレーム17の回動用凹部57に回動可能に係合される。
【0080】
なお、プラテンユニット6、移送ローラー18及び押付けエレメント19等の構成についてはすでに説明したのでここでは説明を省略する。
【0081】
次に、携帯式台紙無しラベル貼付け機1の台紙無しラベル切断装置9について図8および図9を参照して説明する。図8は、操作レバー5および台紙無しラベル切断装置9の斜視図であり、図9は、台紙無しラベル切断装置9の分解斜視図である。
【0082】
台紙無しラベル切断装置9は、図8に示すように、操作レバー5と連動する連動機構72を有している。連動機構72は、側板2(図3参照)に固定した縦レール部材73(第1のレール部材)と、操作レバー5に連結するとともに縦レール部材73に沿って往復動する連結プレート74と、リンクバー75と、横レール部材77(第2のレール部材)とを有している。なお、操作レバー5はレバー軸11のまわりに回動操作可能であり、レバー軸11の下方部に延びる連結アーム30には連結軸31が設けられている。
【0083】
また、図9に示すように、リンクバー75と連結するとともに横レール部材77に沿って往復動するバースターブラケット76が設けられている。バースターブラケット76には、切断コマ71が回転自在に取り付けられている。切断コマ71は、移送用無端ベルト23(図4参照)上に移送されてくる台紙無しラベル3の幅方向に、図3に示す移送用スリット3A及びミシン目3Cに沿って往復動することにより台紙無しラベル3を単葉のラベル片3Bに切断可能である。
【0084】
切断コマ71の材料としては、所定の剛性及び非粘着性を有することが望ましく、例えばポリアセタール(POM)を採用可能であり、必要であればシリコーンやフッ素系のコーティング剤(剥離剤)などを塗布したポリカーボネート(PC)やアクリルニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)なども採用することができる。
【0085】
縦レール部材73は、一方の側板2の内壁面にこれを固定してあり、図9に示すように、その中央部に縦ガイド溝78を形成し、この縦ガイド溝78内に連結プレート74を上下往復動可能に組み付けている。
【0086】
連結プレート74は、図8に示すように、操作レバー5に連結しているとともに、縦レール部材73に沿って往復動するもので、操作レバー5の一方のヨーク部5Aに形成したヨーク連結孔79に嵌め込む連結ピン80を有するとともに、図9に示すように、リンク連結孔81を形成して、このリンク連結孔81にリンクバー75の連結ピン82を嵌め込み、操作レバー5(ヨーク部5A)からの駆動力をリンクバー75に伝達可能とする。
【0087】
リンクバー75は、連結プレート74とバースターブラケット76とに連結しているとともに、縦レール部材73と横レール部材77との間に傾斜した姿勢の状態で連結プレート74の往復動に応じて動作するもので、連結ピン82とは反対側の端部に左右一対のブラケット連結ピン83を設けている。
【0088】
バースターブラケット76は、移送用無端ベルト23の幅方向に沿って往復動可能であるとともに、切断コマ71を回転自在に取り付けてあり、ブラケット本体84と、左右一対の支点ピン85と、左右一対の姿勢規制ピン86と、左右一対の弾性突起87とを有する。
【0089】
ブラケット本体84には、バー連結孔88が形成され、このバー連結孔88にリンクバー75のブラケット連結ピン83を嵌め込んで、ブラケット本体84にリンクバー75が連結される。したがって、リンクバー75を縦レール部材73および横レール部材77の間に傾斜した状態で稼働させることにより、バースターブラケット76(切断コマ71)を台紙無しラベル3の幅方向に往復動させることができる。
【0090】
横レール部材77は、バースターブラケット76を台紙無しラベル3の幅方向にガイドするとともにその動作範囲を規制するもので、縦レール部材73に対して直角に移送用無端ベルト23(図4参照)の上部に位置するように移送用無端ベルト23の幅方向に沿ってこれを配置し、バースターブラケット76の支点ピン85および姿勢規制ピン86が案内されるガイド窓89をその左右側壁面に開口形成している。
【0091】
すなわち、支点ピン85および姿勢規制ピン86は、横レール部材77に形成したガイド窓89に沿って移動可能である。姿勢規制ピン86は、図9に示すように、ガイド窓89の上方内壁面89A及び下方内壁面89Bに接離してバースターブラケット76の姿勢、ないし切断コマ71の台紙無しラベル3に対する接離(押付けおよび離反)態勢を規制する。
【0092】
さらに、横レール部材77の底面部には、移送用無端ベルト23の幅方向に沿って姿勢制御窓(図示せず)を開口形成している。なお、特に図8に示すように、横レール部材77の底部にはラベル押付け部材91を固定し、このラベル押付け部材91の底部に取り付けたラベル押付けプレート(図示せず)により台紙無しラベル3を移送無端ベルト23の上面方向に押し付けて台紙無しラベル3の浮き上がりを防止し、これにより台紙無しラベル切断装置9による台紙無しラベル3の切断作用を確実化している。
【0093】
すなわち、操作レバー5およびグリップ10が握持されると、ヨーク部5Aからの駆動力が連結プレート74からリンクバー75に伝達され、姿勢規制ピン86が支点ピン85のまわりに時計方向にわずかに回動して、下方内壁面89Bに当接し、切断コマ71が移送用無端ベルト23上の台紙無しラベル3より下方に入り込むことができるレベル位置に下がり、操作レバー5およびグリップ10のさらなる握持により、切断コマ71を有するバースターブラケット76が横レール部材77のガイド窓89内を移動し始め、台紙無しラベル3が切断し始められる。
【0094】
操作レバー5およびグリップ10のさらなる握持により操作レバー5からの駆動力の伝達により、連結プレート74が縦レール部材73の縦ガイド溝78内を下降し、リンクバー75を介してバースターブラケット76が横レール部材77のガイド窓89の端まで移動し、切断コマ71が、移送用無端ベルト23(図4)の幅方向に沿って移動し、台紙無しラベル3の移送用スリット3Aおよびミシン目3C(図3参照)の部分を破断させて、台紙無しラベル3を単葉のラベル片3Bに切断する。
【0095】
操作レバー5およびグリップ10を完全に握りきった状態で、切断コマ71が台紙無しラベル3を切断しきった後、つぎの操作レバー5の解放操作をまつことになる。操作レバー5を解放すると、コイルスプリング12(図3)により連結プレート74に対して上向きの力が作用し、この力により連動機構72を介して切断コマ71が台紙無しラベル3から離反し始める。
【0096】
したがって、操作レバー5の解放時には、移送ローラー18により台紙無しラベル3が所定ピッチで移送されるとともに、移送用無端ベルト23上に台紙無しラベル3が同ピッチで移送される最中、すなわち、台紙無しラベル3自体が移送用無端ベルト23上を移動している最中であり、この移動中には、切断コマ71が台紙無しラベル3とは接触ないし干渉せず、台紙無しラベル3の移送用無端ベルト23上での移送に支障がないようにしている。
【0097】
かくして、連動機構72は、操作レバー5の握持操作時に、台紙無しラベル3を切断可能とし、操作レバー5の解除操作時に、台紙無しラベル3を移送用無端ベルト23上において移送可能とする。さらに連動機構72は、切断コマ71の往動切断動作時には、切断コマ71を台紙なしラベル3に所定の押圧力で押し付け可能であるとともに、切断コマ71の復動非切断動作時には、切断コマ71を台紙無しラベル3から離反可能とする。換言すれば、操作レバー5の握持により連動機構72を介して切断コマ71を台紙無しラベル3の幅方向に往動させて、台紙無しラベル3を切断可能である。
【0098】
図10は、台紙無しラベル切断装置9と移送ローラー18付近を下方向から見上げた斜視図である。
【0099】
前述したように、操作レバー5(図8)の握持操作に連動して、台紙無しラベル切断装置9の切断コマ71が横レール部材77内を台紙無しラベル3の幅方向に移動し、台紙無しラベル3を単葉のラベル片3Bに切断する。また、一方で、同じく操作レバー5の握持操作に連動して、連結アーム30の連結軸31に取り付けられた移送回動用爪32が、移送ローラー18の側面に放射状に設けられた移送用突起33に係合し、移送回動用爪32が移送用突起33を付勢することにより、移送ローラー18が回転して台紙無しラベル3がラベル片3B(図4)一枚分移送される。
【0100】
ここで、前述したように、操作レバー5を握持すると連結アーム30の連結軸31に取り付けられた移送回動用爪32が、連結アーム30の動きに伴って後退しながら斜め上方に移動して、一つ後の(図で反時計回りに一つ後の)移送用突起33と係合する。そして、操作レバー5を解放すると、コイルスプリング12(図3)の付勢力により連結アーム30が前進しながら斜め下方に移動し、それに伴い移送回動用爪32が、係合している移送用突起33を前方に押し出すことにより移送ローラー18が移送用突起33一つ分だけ図で時計回りに回転する。このように移送ローラー18が回転することにより、台紙無しラベル3が前方(図の左方向)にラベル片3B一枚分だけ移送される。
【0101】
このとき、本発明においては、移送回動用爪32が移送用突起33に係合するタイミングが、台紙無しラベル切断装置9の切断コマ71が横レール部材77内を台紙無しラベル3の幅方向に移動し、台紙無しラベル3からラベル片3Bを一枚完全に切断した後となるように構成されている。
【0102】
すなわち、操作レバー5を握持して台紙無しラベル切断装置9の切断コマ71が横レール部材77内を台紙無しラベル3の幅方向に移動し、台紙無しラベル3からラベル片3Bを一枚完全に切断した直後に、移送回動用爪32が移送用突起33に係合するよう移送回動用爪32の連結アーム30の連結軸31に対する取り付けが調整されている。
【0103】
これにより、操作レバー5を完全に握持して、少なくとも切断コマ71が台紙無しラベル3の幅分だけ横移動した後でなければ、移送ローラー18を回転駆動させる移送回動用爪32が次の移送用突起33に係合しないようにしている。従って、操作レバー5を半握りしただけでは、移送回動用爪32が次の移送用突起33に係合しないため、操作レバー5を半握りした後で操作レバー5を解放しても移送回動用爪32が移送用突起33を付勢することができないので、移送ローラー18は回転せず台紙無しラベル3は移送されないため、ラベル片3Bは発行されない。
【0104】
その結果、誤って操作レバー5を半握りした場合でも、台紙無しラベル3が完全に切断されていなければ台紙無しラベル3は移送されないので、ラベル片3Bに一枚一枚切り離されたラベル片3Bしか発行されないため、貼り付けミスが発生することが防止される。
【0105】
以上説明したように、本実施形態の携帯式台紙無しラベル貼付け機によれば、バースターブラケットの切断コマが台紙無しラベルの幅分だけ横移動して台紙無しラベルを完全に切断した後でなければ、移送ローラーを回転駆動させる移送回動用爪が次の移送用突起に係合しないようにしているため、誤って操作レバーを半握りした場合でも、一枚一枚切り離されたラベル片しか発行されないため、貼り付けミスの発生を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0106】
1 携帯式台紙無しラベル貼付け機(図1)
2 左右一対の側板
3 台紙無しラベル
3A 台紙無しラベル3の移送用スリット(図3)
3B 台紙無しラベル3の単葉のラベル片
3C 台紙無しラベル3のミシン目
4 用紙ホルダー
5 操作レバー
5A 操作レバー5の二股状のヨーク部
6 プラテンユニット(図4)
7 印字器
8 貼付けローラー
9 携帯式台紙無しラベル貼付け機1の台紙無しラベル切断装置(実施例、図8、図9)
10 グリップ
11 レバー軸
12 コイルスプリング
13 ホルダー軸
14 ホルダーカバー
15 ラベル保持軸
16 固定用フック
17 プラテンフレーム(図4)
18 移送ローラー
19 押付けエレメント(図4)
20 プラテン開閉軸
21 駆動ギア
22 従動コロ
23 移送用無端ベルト
24 ローラーギア
25 係脱軸
26 開閉用つまみ
27 つまみ軸
28 開閉用係脱片
28A 開閉用係脱片28の係脱用凹部
29 ローラー軸
30 連結アーム
31 連結軸
32 移送回動用爪
33 移送ローラー18の移送用突起
34 連結ガイドプレート
35 連結ガイドプレート34の左右先端部の連結突起
36 ガイド溝
37 中央円周溝
38 移送用爪
39 外周円周溝
40 エレメントフレーム
41 上下左右二対のバックアップローラー
42 バックアップリング
43 ねじりコイルバネ
44 左右一対の板バネ
45 間隙
46 エレメント軸
47 上下一対の回転軸
49 分離爪エレメント
50 インキローラー
51 横断アーム
52 爪エレメント本体
53 左右一対の分離爪片
54 逆転防止片
55 爪エレメント係合片
56 回動突起
57 回動用凹部
58 逆転防止凹部
59 爪エレメント係脱孔部
69 台紙無しラベル分離装置
71 切断コマ
72 連動機構
73 縦レール部材(第1のレール部材)
74 連結プレート
75 リンクバー
76 バースターブラケット
77 横レール部材(第2のレール部材)
78 縦ガイド溝
79 ヨーク連結孔
80 連結ピン
81 リンク連結孔
82 連結ピン
83 左右一対のブラケット連結ピン
84 ブラケット本体
85 左右一対の支点ピン
86 左右一対の姿勢規制ピン
87 左右一対の弾性突起
88 バー連結孔
89 ガイド窓
89A 上方内壁面
89B 下方内壁面
91 ラベル押付け部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングを構成する左右一対の側板および該側板に形成したグリップと、
前記グリップとともに握持および解除される操作レバーと、
台紙無しラベルを移送する移送ローラーと、
前記移送ローラーにより移送されてくる前記台紙無しラベルをさらに移送可能な移送用無端ベルトと、
前記移送用無端ベルト上に移送されてくる前記台紙無しラベルの幅方向に往復動することにより前記台紙無しラベルを単葉のラベル片に切断可能な切断コマを備えたバースターブラケットと、
前記バースターブラケットの前記台紙無しラベルの幅方向への往復動を規制する移動規制部材と、
前記操作レバーの握持および解除により前記バースターブラケットを前記台紙無しラベルの幅方向へ往復動させるように、前記バースターブラケットと前記操作レバーとを連動する連動機構と、
前記操作レバーに連動し、前記バースターブラケットの切断コマが前記台紙無しラベルの幅方向に前記台紙無しラベルの幅分だけ移動した後に、前記移送ローラーを回転駆動させて前記台紙無しラベルを移送する移送ローラー駆動手段と、
を備えた携帯式台紙無しラベル貼付け機。
【請求項2】
前記移送ローラー駆動手段は、前記移送ローラーの側面にその中心から放射状に設けられた複数の移送用突起と、前記移送用突起の一つずつと順次係合可能に前記操作レバーに連結した部材に設けられた移送回動用爪とからなり、
前記操作レバーの握持時に前記移送回動用爪が前回係合した前記移送用突起の次の前記移送用突起と係合し、前記操作レバーの解放時に前記移送回動用爪が該係合している前記移送用突起を付勢することにより前記移送ローラーを回転させるように構成されるとともに、
前記移送ローラー駆動手段は、前記操作レバーの握持により、前記バースターブラケットの切断コマが前記台紙無しラベルの幅方向に前記台紙無しラベルの幅分だけ移動した後に、前記移送回動用爪が次の前記移送用突起と係合するように構成された請求項1に記載の携帯式台紙無しラベル貼付け機。
【請求項3】
前記移送ローラー駆動手段の前記複数の移送用突起は、一つ前の前記移送用突起とその次の前記移送用突起との前記移送ローラーの側面の中心の回りに関する間隔が、前記移送回動用爪によって前記移送用突起が付勢されたときに丁度前記ラベル片一枚分だけ前記台紙無しラベルを移送するように前記移送ローラーが回転するような間隔となるように、前記移送ローラーの側面の中心の回りに配置されている請求項2に記載の携帯式台紙無しラベル貼付け機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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