説明

携帯情報機器

【課題】本発明は、表示画面のスクロール、拡大、縮小、音量の調整等の多様な制御を簡単な操作で行なうことのできる携帯情報機器を提供することを目的とするものである。
【解決手段】この目的を達成するために、筐体22内に歪検出素子26を、筐体22の背面22dに機械的に結合するよう配置し、筐体の背面22dおよび第1、第2の側面22b、22c間に圧縮荷重を加えることにより、歪検出素子26から発生する電気信号に応じて携帯情報機器21の機能を制御するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面のスクロール、拡大、縮小、音量の調整等の多様な制御を簡単な操作で行なうことのできる携帯情報機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯型ゲーム機、携帯電話、携帯情報端末(PDA)など、ユーザーが携帯して使用できる携帯情報機器が広く知られている。このような携帯情報機器としては図14、図15に示すようなものがある。
【0003】
図14は前記従来の携帯情報機器の一つである携帯電話の外観構成を示す斜視図である(特許文献1参照)。図14において、携帯電話1の前面には文字や数字、記号などが表示される液晶ディスプレイ等の表示部2が設けられている。この表示部2の下部近傍には、表示画面の左右方向のスクロール動作をユーザーの指5で行なうための第1のスクロール操作部3が設けられている。また、この表示部2の左側部近傍には、表示画面の上下方向のスクロール動作をユーザーの指5で行なうための第2のスクロール操作部4が設けられている。ユーザーはこれら第1、第2のスクロール操作部を用いて表示画面を上下方向と左右方向など、二次元方向に操作できるものである。
【0004】
また、図15は従来の他の携帯電話の構成を示す平面図である(特許文献2参照)。図15において、携帯電話11は、矩形からなる薄型筐体の前面に表示画面12が設けられ、4つの側面にはタッチパッド13〜16がそれぞれ形成されている。タッチパッド13〜16は、その長手方向が、表示画面12に平行となるように配置された細長い形状の操作検出手段であり、1又は2以上のタッチパッド13〜16に対し、表示画面12に平行なスライド操作を行うことによって、表示画面12をスクロールしたり、表示画像の回転、表示倍率の変更を行なったりできるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−69223号公報
【特許文献2】特開2001−117842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の携帯電話1においては、第1、第2のスクロール操作部3、4を表示部2の近傍に設けるスペースが必要であるため、携帯電話1の前面に一定の大きさの表示部2を配置しようとすると、携帯電話1の大きさが大きくなってしまう。また、携帯電話1の大きさを変えずに、表示部2をできるだけ大きくしようとすると、第1、第2のスクロール操作部3、4の大きさを小さくせざるを得なくなるため、第1、第2のスクロール操作部3、4の操作性が悪化するという問題点があった。
【0007】
また、上記従来の他の携帯電話11においては、タッチパッド13〜16は携帯電話11の4つの側面に形成されているため、これらのタッチパッド13〜16によって表示画面12の大きさが制限を受けることがない。しかしながら、これらのタッチパッド13〜16に対し、表示画面12に平行なスライド操作を行うには片手ではきわめて困難であり、両手を使わねばならないという問題点があった。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、携帯情報機器の筐体にタッチパッド等の入力手段を付加することなく、表示画面のスクロール、拡大、縮小、音量の調整等の多様な制御を片手での簡単な操作で行なうことができる携帯情報機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。
【0010】
請求項1に記載の発明は、表示画面が配置される主表面を有する扁平な筐体を含む携帯情報機器であって、前記筐体は前記主表面を挟んで配置された第1、第2の側面と、前記筐体の前記主表面に対向して配置された背面を有し、前記筐体内に歪検出素子を、前記背面に機械的に結合するよう配置し、前記筐体の背面または前記第1、第2の側面間の少なくとも1つに圧縮荷重を加えることにより、前記歪検出素子から発生する電気信号に応じて前記携帯情報機器の機能のうちの少なくとも1つを制御するもので、この構成によれば、前記携帯情報機器の筐体表面上にタッチパッド等の入力手段を設けるスペースを確保する必要がないため、携帯情報機器を小形化できるという作用効果を有する。また、前記歪検出素子から発生する電気信号に応じて、表示機能、通信機能、ゲーム機能等の前記携帯情報機器の多様な機能を片手で制御できるため、ユーザーが容易に多様な操作入力を行なうことのできるという作用効果を有する。さらに、表示画面に触れずに操作入力ができるため、表示画面に指紋や指の油が付着して汚れることがなく、表示画面の良好な視認性を保つことができるという作用効果をも有する。
【0011】
請求項2に記載の発明は、主表面を有する扁平な筐体を含む携帯情報機器であって、前記筐体内に複数の歪検出素子を、前記筐体の少なくとも1つの面に機械的に結合するよう配置し、前記複数の歪検出素子が機械的に結合するよう配置された面に圧縮荷重を加えることにより、前記歪検出素子から発生する電気信号に応じて前記携帯情報機器の機能のうちの少なくとも1つを制御するもので、この構成によれば、前記複数の歪検出素子から発生する電気信号を処理することで、前記面内で圧縮荷重が加えられた位置を特定することができる。これにより、さらに多様な操作入力を行なうことができるという作用効果を有する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、特に、前記歪検出素子を基板の第1の主面に実装するとともに、該基板の第2の主面を前記筐体の内面に機械的に結合したもので、この構成によれば、前記基板に前記歪検出素子を搭載したものをモジュールとして作成することができるとともに、携帯情報機器の筐体内の面に簡便に取り付けることができるという作用効果を有する。
【0013】
請求項4に記載の発明は、特に、前記歪検出素子を基板の第1の主面に実装するとともに、前記基板の第2の主面と前記筐体の内面とを応力集中部を介して機械的に結合し、さらに該基板の第1または第2の主面両端を前記筐体内に設けた内部シャーシに機械的に接続したもので、この構成によれば、前記歪検出素子を実装した基板を携帯情報機器の筐体に直接取り付ける必要がないため、携帯情報機器の設計自由度が大きくなるとともに、前記基板の第2の主面と前記筐体の内面とを応力集中部を介して機械的に接続しているため、携帯情報機器の筐体面に加える圧縮荷重が小さくても、歪検出素子から十分な大きさの信号が発生し、携帯情報機器の機能をさらに精度よく制御できるという作用効果を有する。
【0014】
請求項5に記載の発明は、特に、前記歪検出素子を基板の第1の主面に実装するとともに、前記基板の第2の主面と前記筐体の内面とを応力集中部を介して機械的に結合し、さらに該基板の一端の第1または第2の主面を前記筐体内に設けた内部シャーシに機械的に接続したもので、この構成によれば、前記基板を片持ち支持しているため、内部シャーシと前記基板との熱膨張係数の違いにより基板に熱応力が働いても、前記歪検出素子から出力信号が発生することがなく、携帯情報機器の筐体の面に加える圧縮荷重を正確に検出することができるという作用効果を有する。
【0015】
請求項6に記載の発明は、特に、前記歪検出素子を基板の第1の主面上に実装するとともに、該基板の側面と前記筐体の内面とを応力集中部を介して機械的に結合したもので、この構成によれば、前記歪検出素子を搭載する基板を別途に設けることなく、携帯情報機器の電子部品を実装する基板に前記歪検出素子を搭載することができるため、構成部品を削減することができるという作用効果を有する。
【0016】
請求項7に記載の発明は、特に、前記基板の側面に略平行なスリットを形成し、前記基板の第1の主面上で、前記基板の側面と前記スリットとの間に前記検出素子を実装したもので、この構成によれば、前記歪検出素子を搭載した基板が撓みやすくなるため、携帯情報機器の筐体面に加える圧縮荷重が小さくても、歪検出素子から十分な大きさの信号が発生し、携帯情報機器の機能をさらに精度よく制御できるという作用効果を有する。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明は、主表面を有する扁平な筐体を含む携帯情報機器であって、前記筐体は前記主表面を挟んで配置された第1、第2の側面と、前記筐体の前記主表面に対向して配置された背面を有し、前記筐体内に歪検出素子を、前記背面に機械的に結合するよう配置し、前記筐体の背面または前記第1、第2の側面間の少なくとも1つに圧縮荷重を加えることにより、前記歪検出素子から発生する電気信号に応じて前記携帯情報機器の機能のうちの少なくとも1つを制御するもので、前記携帯情報機器の筐体表面上にタッチパッド等の入力手段を設けるスペースを確保する必要がないため、携帯情報機器を小形化できるとともに、前記歪検出素子から発生する電気信号に応じて、表示機能、通信機能、ゲーム機能等の前記携帯情報機器の多様な機能を片手で制御できるため、ユーザーが容易に多様な操作入力を行なうことのできるインタフェースを備えた携帯情報機器を提供できるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)本発明の実施の形態1における携帯情報機器の平面図、(b)同携帯情報機器のA−A線断面図
【図2】(a)本発明の実施の形態1における携帯情報機器に使用される歪検出素子の平面図、(b)同歪検出素子のB−B線断面図
【図3】(a)本発明の実施の形態1における携帯情報機器の筐体に圧縮荷重を加えない時に歪検出素子から発生する電気信号を処理して得られる出力信号を表す図、(b)同筐体の背面に圧縮荷重を加えた時に歪検出素子から発生する電気信号を処理して得られる出力信号を表す図、(c)同筐体の側面に圧縮荷重を加えた時の歪検出素子からの出力信号を表す図
【図4】(a)本発明の実施の形態2における携帯情報機器の平面図、(b)同携帯情報機器のC−C線断面図
【図5】(a)本発明の実施の形態3における携帯情報機器の平面図、(b)同携帯情報機器のD−D線断面図
【図6】(a)(b)(c)本発明の実施の形態3における携帯情報機器の第1の側面上の既知の位置に所定の圧縮荷重F3を加えたときの、Δ、Δ′の測定値を示す図
【図7】(a)δΔ/δΔ′と圧縮荷重F3を加える位置との関係を表わす較正図表を示す図、(b)δΔ/δΔ′およびδΔ′/δΔと圧縮荷重F3を加える位置との関係を表わす較正図表を示す図
【図8】(a)本発明の実施の形態4における携帯情報機器の平面図、(b)同携帯情報機器のE−E線断面図
【図9】(a)本発明の実施の形態5における携帯情報機器の平面図、(b)同携帯情報機器のF−F線断面図
【図10】(a)本発明の実施の形態6における携帯情報機器の平面図、(b)同携帯情報機器のG−G線断面図
【図11】(a)本発明の実施の形態7における携帯情報機器の平面図、(b)同携帯情報機器のH−H線断面図
【図12】(a)本発明の実施の形態8における携帯情報機器の平面図、(b)同携帯情報機器のI−I線断面図
【図13】(a)本発明の実施の形態9における携帯情報機器の平面図、(b)同携帯情報機器のJ−J線断面図
【図14】従来の携帯電話の外観構成を示す斜視図
【図15】従来の他の携帯電話の構成を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1および2を用いて、本発明の請求項1に記載の発明について、図面を参照しながら説明する。図1(a)は本発明の実施の形態1における携帯情報機器21の平面図、図1(b)は同携帯情報機器21のA−A線断面図である。図1(a)(b)において、22は略矩形の扁平な形状を有する筐体であり、液晶画面等の表示画面23や操作キー(図示せず)を設けることのできる主表面22aと、この主表面22aを挟んで配置された第1の側面22bと、第2の側面22cと、前記主表面22aに対向して配置された背面22dとを有する。24はCPU等の電子部品(図示せず)が搭載されたプリント基板であり、ポスト25により前記背面22dに取り付けられている。また、26は歪検出素子であり、前記背面22dに発生した歪が伝達されるように前記背面22d上に機械的に結合されるとともに、歪検出素子26から発生する電気信号が前記プリント基板24上の電子部品にて処理されるように電気的に結合するよう構成されている。
【0020】
図2(a)は本発明の実施の形態1における携帯情報機器21に使用される歪検出素子26の構成を示す平面図、図2(b)は同歪検出素子26のB−B線断面図である。図2(a)(b)において、31はシリコン等からなる半導体基板で、この半導体基板31の表面には酸化シリコン層や窒化シリコン層からなる絶縁層が形成されている。32は第1の振動子であり、前記半導体基板31をエッチング処理して形成され、かつ力学量の作用により固有振動数が変化する第1の梁状の振動体33と、前記第1の梁状の振動体33の表面上で、各々中央部および端部に配置された検出素子34、駆動素子35とからなる。前記検出素子34、駆動素子35は順に下部電極、PZT等からなる圧電体層、上部電極(図示せず)を積層して形成したものである。そして、前記検出素子34、駆動素子35は配線パターン(図示せず)により前記プリント基板24に電気的に接続されている。
【0021】
また、42は第2の振動子で、前記第1の振動子32と同様にして前記半導体基板31をエッチング処理して形成され、かつ力学量の作用により固有振動数が変化する第2の梁状の振動体43と、前記第2の梁状の振動体43の表面上で各々中央部および端部に配置された検出素子44、駆動素子45とからなる。前記検出素子44、駆動素子45は順に下部電極、PZT等からなる圧電体層、上部電極(図示せず)を積層して形成したものである。そして、前記検出素子44、駆動素子45は配線パターン(図示せず)により前記プリント基板24に電気的に接続されている。
【0022】
ここで、前記半導体基板31の底面は、前記筐体22の背面22dに発生する歪が前記第1および第2の振動子32、42に伝達されるようにAu−Au接合等の金属系接合材やエポキシ樹脂等の剛性を有する物質50で接続固定されている。さらに、前記第2の振動子42の第2の梁状の振動体43の長手方向は、前記第1の振動子32の第1の梁状の振動体33の長手方向とは互いに直交するように配置している。
【0023】
上記歪検出素子26において、前記プリント基板24から第1の振動子32の駆動素子35に第1の梁状の振動体33の固有振動数faに近接した周波数を持つ交流電圧が印加されると、前記駆動素子35は第1の梁状の振動体33の長手方向に伸縮振動を開始する。この伸縮振動によって第1の梁状の振動体33は自身が持つ固有振動数faで上下に弦振動を開始する。この弦振動は検出素子34によって受信され、この検出素子34から第1の梁状の振動体33の固有振動数faと等しい周波数を持つ交流信号が発生する。この交流信号は前記プリント基板24内で位相調整、増幅されて駆動素子35にフィードバックされる。これにより、第1の梁状の振動体33はその固有振動数faに等しい周波数で上下に弦振動を持続する。同様にして、前記プリント基板24の信号処理により、第2の梁状の振動体43はその固有振動数fbに等しい周波数で上下に弦振動を持続することになる。
【0024】
このように第1の振動子32における第1の梁状の振動体33と、第2の振動子42における第2の梁状の振動体43とが弦振動をしている状態で、前記筐体22の背面22dに前記第1の梁状の振動体33の長手方向に平行な荷重Fが印加されると、前記歪検出素子26は前記第1の梁状の振動体33の長手方向に伸びるとともに、前記筐体22の背面22dのポアソン比に相当する長さだけ前記第2の梁状の振動体43の長手方向に縮む。これにより、前記第1の梁状の振動体33には伸張力が働くため、第1の梁状の振動体33の振動周波数はfaからfa+fa′に上昇するとともに、第2の梁状の振動体43の振動周波数はfbからfb−fb′に低下することになる。したがって、前記第1の梁状の振動体33の振動周波数と、第2の梁状の振動体43の振動周波数との差をとることにより、前記筐体22の背面22dに働く荷重を高感度で測定することができる。また、前記第1の振動子32、第2の振動子42とは同一素材の半導体基板から形成しているため、温度変化に対する振動周波数の変化の方向と変化量は同一となる。これにより、温度変化による振動周波数の変動をキャンセルできるため、前記筐体22の背面22dに働く荷重を正確に測定できるものである。
【0025】
再び、図1(b)において、本発明の実施の形態1における携帯情報機器21の筐体22をたとえば、片手の親指と中指で持ちながら、人差し指で背面22dに圧縮荷重F1を加えると、前記筐体22の背面22dは紙面の上方に撓む。これにより、前記歪検出素子26は前記第1の梁状の振動体33の長手方向に伸びるとともに、前記筐体22の背面22dのポアソン比に相当する長さだけ前記第2の梁状の振動体43の長手方向に縮む。そのため、前記歪検出素子26における前記第1の梁状の振動体33の振動周波数と、第2の梁状の振動体43の振動周波数との差Δはfa−fbから(fa−fb)+(fa′+fb′)に、(fa′+fb′)だけ増加する。一方、本発明の実施の形態における携帯情報機器21の筐体22をたとえば、片手の親指と中指で持ちながら、第1の側面22bと第2の側面22cとに圧縮荷重F2を加えると、前記歪検出素子26は前記第1の梁状の振動体33の長手方向に縮むとともに、前記筐体22の背面22dのポアソン比に相当する長さだけ前記第2の梁状の振動体43の長手方向に伸びる。そのため、前記歪検出素子26における前記第1の梁状の振動体33の振動周波数と、第2の梁状の振動体43の振動周波数との差Δはfa−fbから(fa−fb)−(fa′+fb′)に、(fa′+fb′)だけ減少する。このように、前記歪検出素子26における前記第1の梁状の振動体33と、第2の梁状の振動体43とから発生する電気信号をプリント基板24に搭載した電子回路で処理することにより、前記筐体22に加える圧縮荷重により変化する、これら2つの交流信号の周波数の差Δの増減分に相当する電気信号、たとえば電圧信号を得ることができる。
【0026】
図3は上記の電圧信号の一例を示すもので、図3(a)は本発明の実施の形態1における携帯情報機器21の筐体22に圧縮荷重を加えない、あるいは所定の閾値以下の圧縮荷重しか加えない時に、前記歪検出素子26から発生する電気信号を処理して得られる出力電圧信号を示すもので、出力電圧は発生しない。
【0027】
一方、図3(b)は本発明の実施の形態1における携帯情報機器21の筐体22の背面22dに時間0〜t1およびt2〜t3に圧縮荷重F1を加えた時に歪検出素子26から発生する電気信号を処理して得られる出力電圧信号を示すもので、時間0〜t1およびt2〜t3において、正の電圧が発生し、時間t1〜t2およびt3以降においては、出力電圧は発生しない。そして、この正電圧の電圧値は携帯情報機器21の筐体22の背面22dに加える圧縮荷重F1の大きさに実質的に比例するものである。さらに、図3(c)は本発明の実施の形態における携帯情報機器21の筐体22の第1の側面22bと第2の側面22cとに時間0〜t1およびt2〜t3に圧縮荷重F2を加えた時に歪検出素子26から発生する電気信号を処理して得られる出力電圧信号を示すもので、時間0〜t1およびt2〜t3において、負の電圧が発生し、時間t1〜t2およびt3以降においては、出力電圧は発生しない。そして、この負電圧の電圧値は携帯情報機器21の筐体22の背面22dに加える圧縮荷重F2の大きさに実質的に比例するものである。
【0028】
本発明の実施の形態1における携帯情報機器21は筐体22の背面22dおよび第1の側面22bと第2の側面22cとの少なくとも1つに圧縮荷重を加えることにより歪検出素子26から発生する電気信号から、図3に示すような正、負、零の3値および正、負のアナログ電圧信号を出力させ、この電圧信号に応じて携帯情報機器21の機能の少なくとも1つを制御するものである。制御される機能としては、たとえば、以下に述べるようなものがある。
【0029】
(1)筐体22の背面22dに圧縮荷重F1を連続的に加えることにより、表示画面23を順方向にスクロールするとともに、圧縮荷重F1を変化させることにより、スクロール速度を変化させる。
【0030】
(2)筐体22の第1の側面22bと第2の側面22cに圧縮荷重F2を連続的に加えることにより、表示画面23を逆方向にスクロールするとともに、圧縮荷重F2を変化させることにより、スクロール速度を変化させる。
【0031】
(3)筐体22の背面22dを所定のリズムでタップして、パルス的な圧縮荷重F1を加えることにより、音量を変化させる。
【0032】
(4)筐体22の第1の側面22bと第2の側面22cに所定のリズムで圧縮荷重F2を加えることにより、インターネットに接続する。
【0033】
このように、本発明の実施の形態1における携帯情報機器21は前記筐体22の背面22dおよび第1の側面22bと第2の側面22cとの少なくとも1つに圧縮荷重を加えることにより、前記歪検出素子26から発生する電気信号に応じて前記携帯情報機器21の機能のうちの少なくとも1つを制御するもので、表示機能、通信機能、ゲーム機能等の前記携帯情報機器の多様な機能を片手で制御できるもので、これにより、ユーザーが容易に多様な操作入力を行なうことができるものである。また、本発明の実施の形態における携帯情報機器21においては、前記携帯情報機器21の主表面22aや第1の側面22b、第2の側面22c等の筐体表面上にタッチパッド等の入力手段を設けるスペースを新たに確保する必要がない。これにより、携帯情報機器21を小形化できるとともに、携帯情報機器21の主表面22aに設けた表示画面23を大型化できるものである。
【0034】
(実施の形態2)
図4(a)は本発明の実施の形態2における携帯情報機器61の平面図、図4(b)は同携帯情報機器61のC−C線断面図である。なお、この本発明の実施の形態2における携帯情報機器61においては、上記した本発明の実施の形態1における携帯情報機器21の構成と同様の構成を有するものについては、同一符号を付しており、その説明は省略する。図4(a)(b)において、本発明の実施の形態2における携帯情報機器61が上記した本発明の実施の形態1における携帯情報機器21と相違する点は、歪検出素子26がプリント基板24上に電気的、機械的に結合するよう配置されるとともに、このプリント基板24の両端が携帯情報機器61の第1の側面22b、第2の側面22cと機械的に結合されている点である。このように構成することによっても、前記筐体22の背面22dおよび第1の側面22bと第2の側面22cとの少なくとも1つに圧縮荷重を加えることにより、前記歪検出素子26から発生する電気信号に応じて前記携帯情報機器61の機能のうちの少なくとも1つを制御することができるとともに、歪検出素子26をプリント基板と一体に実装できるため、製造効率と品質をさらに改善できるものである。
【0035】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3および4を用いて、本発明の請求項2に記載の発明について、図面を参照しながら説明する。図5(a)は本発明の実施の形態3における携帯情報機器71の平面図、図5(b)は同携帯情報機器71のD−D線断面図である。なお、この本発明の実施の形態3における携帯情報機器71においては、上記した本発明の実施の形態1における携帯情報機器21の構成と同様の構成を有するものについては、同一符号を付しており、その説明は省略する。図5(a)(b)において、本発明の実施の形態3における携帯情報機器71が上記した本発明の実施の形態1における携帯情報機器21と相違する点は、2つの歪検出素子26a、26bが第1の側面22bに機械的に結合するように、携帯情報機器71の筐体22内に配置されている点である。前記歪検出素子26a、26bはシリコン等からなる半導体基板を微細加工して形成した振動子タイプの歪検出素子であり、図2と同様な構成を有し、各々第1の梁状の振動子と、この第1の梁状の振動子と直交する第2の梁状の振動子とを備えている。ここで、歪検出素子26aの第1の梁状の振動子と、歪検出素子26bの第1の梁状の振動子とが前記筐体22の背面22dに平行な1つの直線上に配置されていることが望ましい。
【0036】
図5(a)において、本発明の実施の形態3における携帯情報機器71の筐体22をたとえば、片手の親指と中指、薬指、小指で持ちながら、親指で前記第1の側面22b上で前記歪検出素子26aの背面中央に当る部分に圧縮荷重F3を加えると、前記第1の側面22bは筐体22の中側に撓んで、前記歪検出素子26の第1の梁状の振動体は長手方向に伸びるとともに、この第1の梁状の振動体に対して垂直方向に設けられた第2の梁状の振動体は長手方向に縮む。そのため、第1の梁状の振動体の振動周波数はfaからfa+fa′に上昇するとともに、第2の梁状の振動体の振動周波数はfbからfb−fb′に低下することになる。そのため、前記歪検出素子26aにおける前記第1の梁状の振動体の振動周波数と、第2の梁状の振動体の振動周波数との差Δはfa−fbから(fa−fb)+(fa′+fb′)に、(fa′+fb′)だけ増加する。一方、前記歪検出素子26bは圧縮荷重F3の作用点から離れているために第1、第2の梁状の振動体の振動周波数はほとんど変化しない。そのため、第1の梁状の振動体の振動周波数と、第2の梁状の振動体の振動周波数との差Δ′の変化量はほぼ零に等しくなる。
【0037】
次に、前記第1の側面22b上で同一の圧縮荷重F3を加える位置を前記歪検出素子26bの方向に移動させると、前記歪検出素子26aの第1の梁状の振動体の長手方向の伸び量が減少するとともに、第2の梁状の振動体の長手方向の縮み形量が減少する。そのため、前記歪検出素子26aの第1の梁状の振動体の振動周波数と、第2の梁状の振動体の振動周波数との差Δの変化量は前の場合より小さくなる。一方、前記歪検出素子26bと圧縮荷重F3の作用点との距離が縮まるために、前記歪検出素子26bの第1の梁状の振動体の長手方向の伸び量が増加するとともに、第2の梁状の振動体の長手方向の縮み形量も増加する。そのため、前記歪検出素子26bの第1の梁状の振動体の振動周波数と、第2の梁状の振動体の振動周波数との差Δ′の変化量が増加する。
【0038】
前記第1の側面22b上で同一の圧縮荷重F3を加える位置を、前記歪検出素子26aから歪検出素子26bの方向にさらに移動させると、歪検出素子26aの第1の梁状の振動体の振動周波数と、第2の梁状の振動体の振動周波数との差Δの変化量はさらに小さくなるとともに、歪検出素子26bの第1の梁状の振動体の振動周波数と、第2の梁状の振動体の振動周波数との差Δ′の変化量はさらに大きくなる。そして、前記第1の側面22b上で同一の圧縮荷重F3を、前記歪検出素子26bの背面中央に当る位置に加えると、歪検出素子26bの第1の梁状の振動体の振動周波数と、第2の梁状の振動体の振動周波数との差Δ′の変化量は最大となる。一方、前記歪検出素子26aの第1の梁状の振動体の振動周波数と、第2の梁状の振動体の振動周波数との差Δの変化量はほぼ零に等しくなる。
【0039】
本発明の実施の形態3における携帯情報機器は、前記第1の側面22b上に圧縮荷重F3を加えたときに、前記歪検出素子26aの第1の梁状の振動体の振動周波数と、第2の梁状の振動体の振動周波数との差Δの変化量および歪検出素子26bの第1の梁状の振動体の振動周波数と、第2の梁状の振動体の振動周波数との差Δ′の変化量とから圧縮荷重F3が加えられた位置を検出して携帯情報機器71の機能の少なくとも1つを制御するものである。以下、実験結果を示しながら、前記Δ、Δ′から圧縮荷重F3が加えられた位置を検出する方法を説明する。
【0040】
図6(a)(b)(c)は携帯情報機器71の第1の側面22b上の既知の位置に所定の圧縮荷重F3を加えたときの、前記Δ、Δ′を測定したものである。ここで、第1の梁状の振動体に沿う方向の長さがともに9mmである歪検出素子26a、26bを筐体22内の第1の側面22bに対向する面に中心間距離を20mmとして接着剤にて取付けているが、筐体22内に設けたプリント基板に歪検出素子26a、26bを装着し、これらの歪検出素子26a、26bと前記第1の側面22bとを機械的に接続するようにしてもよい。
【0041】
図6(a)は第1の側面22b上で歪検出素子26aの背面中央に当る位置に圧縮荷重F3を50gr間隔で1000grまで加えたときの前記Δ、Δ′の変化を測定したものである。また、図6(b)は第1の側面22b上で2つの歪検出素子26a、26bの中央に当る位置に圧縮荷重F3を50gr間隔で1000grまで加えたときの前記Δ、Δ′の変化を測定したものである。同様にして、図6(c)は第1の側面22b上で歪検出素子26bの背面中央に当る位置に圧縮荷重F3を50gr間隔で1000grまで加えたときの前記Δ、Δ′の変化を測定したものである。これらの測定結果から、前記Δ、Δ′は1000grまでの圧縮荷重F3に対して、ほぼ線形に変化すると判断できる。すなわち、前記Δの初期値からの変化量δΔおよび前記Δ′の初期値からの変化量δΔ′は以下のような数式でモデル化できる。
【0042】
【数1】

【0043】
ここで、A(x)、B(x)は圧縮荷重F3が加えられる位置座標xのみの関数である。これらの式から
【0044】
【数2】

【0045】
となる。ここで、C(x)は圧縮荷重F3を加える位置xのみの関数である。
【0046】
このことから、前記Δの初期値からの変化量δΔと、前記Δ′の初期値からの変化量δΔ′との比δΔ/δΔ′と圧縮荷重F3を加える位置との関係を予め測定して、較正図表を作成しておけば、第1の側面22b上に任意の圧縮荷重F3を加えたときのδΔと、δΔ′を測定することで圧縮荷重F3を加えられた位置が検出できることになる。
【0047】
図7(a)は上記の較正図表を示す。この較正線は圧縮荷重F3をパラメータとして、圧縮荷重F3を加える位置xに対するδΔ/δΔ′を測定し、統計処理を行なって決定したものである。ここで、前記第1の側面22b上で前記歪検出素子26aの背面中央に当る部分を原点とし、歪検出素子26bに向かう方向を正にとっている。この較正図表において、xが10mm、すなわち第1の側面22b上で2つの歪検出素子26a、26bの中央に当る位置に近づくと、δΔ/δΔ′が急速に小さくなり分解能が悪くなるという問題点がある。
【0048】
図7(b)はこの問題点を解決する方法の一例であり、δΔ/δΔ′が所定の値、たとえば1以下になった場合には、δΔ/δΔ′に代えてδΔ′/δΔをとるようにした較正図表である。この較正図表を用いて、第1の側面22b上に任意の圧縮荷重F3を加えたときのδΔと、δΔ′を測定し、δΔ/δΔ′が1以上であれば左側の軸でδΔ/δΔ′の値に対応する位置xを求め、δΔ/δΔ′が1以下であれば、δΔ′/δΔを計算して右側の軸でδΔ′/δΔに対応する位置xを求めれば圧縮荷重F3を加えられた位置が検出できることになる。
【0049】
こうして得られた位置情報を用いて、携帯情報機器71の機能を制御してさらに多様な操作入力を行なうことができるものである。なお、3つ以上の歪検出素子を携帯情報機器の筐体の一面に互いに直線状に隣接させ、機械的に結合するように携帯情報機器の筐体内に配置してもよい。これにより、隣接する2つの歪検出素子間を押された位置を検出でき、さらに、多様な操作入力を行なうことができるものである。
【0050】
(実施の形態4)
図8(a)は本発明の実施の形態4における携帯情報機器81の平面図、図8(b)は同携帯情報機器81のE−E線断面図である。なお、この本発明の実施の形態4における携帯情報機器81においては、上記した本発明の実施の形態1における携帯情報機器21の構成と同様の構成を有するものについては、同一符号を付しており、その説明は省略する。図8(a)(b)において、本発明の実施の形態4における携帯情報機器81が上記した本発明の実施の形態1における携帯情報機器21と相違する点は、3つの歪検出素子26a、26b、26cが背面22dに機械的に結合するように、携帯情報機器81の筐体22内に配置されている点である。また、これらの歪検出素子26a、26b、26cは直角三角形の頂点に当る位置に設けられている。前記歪検出素子26a、26b、26cはシリコン等からなる半導体基板を微細加工して形成した振動子タイプの歪検出素子であり、図2と同様な構成を有し、各々第1の梁状の振動子と、この第1の梁状の振動子と直交する第2の梁状の振動子とを備えている。
【0051】
図8(a)において、本発明の実施の形態4における携帯情報機器81の筐体22をたとえば、片手の親指と中指、薬指、小指で持ちながら、人指し指で前記背面22dに圧縮荷重F4を加えると、各歪検出素子26a、26b、26cの第1の梁状の振動体の振動周波数と、第2の梁状の振動体の振動周波数が変化する。この振動周波数変化量は圧縮荷重F4と圧縮荷重を加える二次元位置座標(x、y)の関数となるが、圧縮荷重F4に対して、ほぼ線形に変化するため、前記歪検出素子26a、26b、26cの第1の梁状の振動体の振動周波数と、第2の梁状の振動体の振動周波数との差Δの変化量を各々δΔ1、δΔ2、δΔ3とすれば、これらは以下のような数式でモデル化できる。
【0052】
【数3】

【0053】
ここで、A1(x)、A2(x)、A3(x)は圧縮荷重F4が加えられる二次元位置座標(x、y)のみの関数である。これらの式から
【0054】
【数4】

【0055】
となる。ここで、C1(x)、C2(x)は圧縮荷重F4を加える二次元位置座標(x、y)のみの関数である。
【0056】
このことから、前記δΔ1とδΔ2との比δΔ1/δΔ2および前記δΔ2とδΔ3との比δΔ2/δΔ3と圧縮荷重F4を加える位置との関係を予め測定して、較正図表を作成しておけば、背面22d上に任意の圧縮荷重F4を加えたときのδΔ1、δΔ2、δΔ3を測定することで圧縮荷重F4を加えられた位置が検出できることになる。こうして得られた位置情報を用いて、携帯情報機器81の機能を制御してさらに多様な操作入力を行なうことができるものである。
【0057】
なお、3つの歪検出素子を携帯情報機器の筐体の一面に一般的な三角形の頂点に当る位置に置いても同様の効果が得られるものである。また、4つ以上の歪検出素子を携帯情報機器の筐体の一面に一般的な多角形の頂点に当る位置に置くことにより、冗長度を増すことで圧縮荷重F4を加えられた位置がさらに精度よく検出できるものである。
【0058】
(実施の形態5)
図9(a)は本発明の実施の形態5における携帯情報機器91の平面図、図9(b)は同携帯情報機器91のF−F線断面図である。なお、この本発明の実施の形態5における携帯情報機器91においては、上記した本発明の実施の形態3における携帯情報機器71の構成と同様の構成を有するものについては、同一符号を付しており、その説明は省略する。図9(a)(b)において、本発明の実施の形態5における携帯情報機器91が上記した本発明の実施の形態3における携帯情報機器71と相違する点は、歪検出素子26a、26bを基板92の第1の主面92aに実装するとともに、前記基板92の第2の主面92bを筐体22の第1の側面22bの内側に接着剤やねじを用いて機械的に接続している点である。基板92の第1の主面92aには、配線パターン(図示せず)が設けられているが、前記歪検出素子26a、26bから出力される電気信号を処理する電子回路をも同時に設けられていることが望ましい。基板92はフレキシブル基板、ガラエポ基板、金属薄板上にガラス等の絶縁膜を形成した基板等から任意に選択可能である。このように構成することにより、歪検出素子26a、26bを基板92に実装したものをモジュールとして作成することができるとともに、携帯情報機器の筐体内の面に簡便に取り付けることができるものである。
【0059】
(実施の形態6)
図10(a)は本発明の実施の形態6における携帯情報機器101の平面図、図10(b)は同携帯情報機器101のG−G線断面図である。なお、この本発明の実施の形態6における携帯情報機器101においては、上記した本発明の実施の形態5における携帯情報機器91の構成と同様の構成を有するものについては、同一符号を付しており、その説明は省略する。図10(a)(b)において、本発明の実施の形態6における携帯情報機器101が上記した本発明の実施の形態5における携帯情報機器91と相違する点は、前記歪検出素子26a、26bを基板92の第1の主面92aに実装するとともに、前記基板92の第2の主面92bと、筐体22の第1の側面22bの内側とを応力集中部93を介して機械的に結合し、さらに該基板92の第1または第2の主面92a、92bの両端を前記筐体22内に設けた内部シャーシ94に機械的に接続している点である。応力集中部93は筐体22の第1の側面22bの内側に設けても、基板92の第2の主面92b上に設けてもよい。このように構成することにより、前記歪検出素子26a、26bを実装した基板92を携帯情報機器101の筐体22に直接取り付ける必要がないため、携帯情報機器101の設計自由度が大きくなるとともに、前記基板92の第2の主面92bと前記筐体22の内面とを応力集中部93を介して機械的に接続しているため、携帯情報機器101の筐体面に加える圧縮荷重が小さくても、歪検出素子26a、26bから十分な大きさの信号が発生し、携帯情報機器101の機能をさらに精度よく制御できるものである。
【0060】
(実施の形態7)
図11(a)は本発明の実施の形態7における携帯情報機器111の平面図、図11(b)は同携帯情報機器111のH−H線断面図である。なお、この本発明の実施の形態7における携帯情報機器111においては、上記した本発明の実施の形態6における携帯情報機器101の構成と同様の構成を有するものについては、同一符号を付しており、その説明は省略する。図11(a)(b)において、本発明の実施の形態7における携帯情報機器111が上記した本発明の実施の形態6における携帯情報機器101と相違する点は、前記基板92を前記内部シャーシ94に片持ち支持している点である。このように構成することにより、前記内部シャーシ94と前記基板92との熱膨張係数の違いにより基板92に熱応力が働いても、前記歪検出素子26a、26bから出力信号が発生することがなく、携帯情報機器111の筐体22の面に加わる圧縮荷重を正確に検出することができるものである。
【0061】
(実施の形態8)
図12(a)は本発明の実施の形態8における携帯情報機器121の平面図、図12(b)は同携帯情報機器121のI−I線断面図である。なお、この本発明の実施の形態8における携帯情報機器121においては、上記した本発明の実施の形態3における携帯情報機器71の構成と同様の構成を有するものについては、同一符号を付しており、その説明は省略する。図12(a)(b)において、本発明の実施の形態8における携帯情報機器121が上記した本発明の実施の形態3における携帯情報機器71と相違する点は、前記歪検出素子26a、26bを基板122の第1の主面122a上に実装するとともに、該基板の側面122bと前記筐体22の内面とを応力集中部93を介して機械的に結合している点である。このように構成することにより、前記歪検出素子26a、26bを搭載する基板92を別途に設けることなく、携帯情報機器の電子部品を実装する基板122に前記歪検出素子26a、26bを搭載することができるため、構成部品を削減することができるものである。
【0062】
(実施の形態9)
図13(a)は本発明の実施の形態9における携帯情報機器131の平面図、図13(b)は同携帯情報機器131のJ−J線断面図である。なお、この本発明の実施の形態9における携帯情報機器131においては、上記した本発明の実施の形態8における携帯情報機器121の構成と同様の構成を有するものについては、同一符号を付しており、その説明は省略する。図13(a)(b)において、本発明の実施の形態9における携帯情報機器131が上記した本発明の実施の形態8における携帯情報機器121と相違する点は前記基板122の側面122bに略平行なスリット132を形成し、前記基板122の第1の主面122a上で、前記基板122の側面122bと前記スリット132との間に前記歪検出素子26a、26bを実装している点である。このように構成することにより、前記歪検出素子26a、26bを搭載した基板122が撓みやすくなるため、携帯情報機器131の筐体22面に加える圧縮荷重が小さくても、歪検出素子26a、26bから十分な大きさの信号が発生し、携帯情報機器131の機能をさらに精度よく制御できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明に係る携帯情報機器は、主表面を有する扁平な筐体を含む携帯情報機器であって、前記筐体は前記主表面を挟んで配置された第1、第2の側面と、前記筐体の前記主表面に対向して配置された背面を有し、前記筐体内に歪検出素子を、前記背面に機械的に結合するよう配置し、前記第1、第2の側面および前記筐体の背面の少なくとも1つに圧縮荷重を加えることにより、前記歪検出素子から発生する電気信号に応じて前記情報機器の機能のうちの少なくとも1つを制御するもので、前記携帯情報機器の筐体表面上にタッチパッド等の入力手段を設ける必要がないため、美観、防水性に優れ、携帯情報機器を小形化できるとともに、前記歪検出素子から発生する電気信号に応じて、表示機能、通信機能、ゲーム機能等の前記携帯情報機器の多様な機能を片手で制御できるという効果を有するものであり、特に、スマートフォン等に適用して有用なものである。
【符号の説明】
【0064】
21、71、81、91、101、111、121、131 携帯情報機器
22 筐体
22a 主表面
22b 第1の側面
22c 第2の側面
22d 背面
26、26a、26b、26c 歪検出素子
92、122 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主表面を有する扁平な筐体を含む携帯情報機器であって、前記筐体は前記主表面を挟んで配置された第1、第2の側面と、前記筐体の前記主表面に対向して配置された背面を有し、前記筐体内に歪検出素子を、前記背面に機械的に結合するよう配置し、前記筐体の背面または前記第1、第2の側面間の少なくとも1つに圧縮荷重を加えることにより、前記歪検出素子から発生する電気信号に応じて前記携帯情報機器の機能のうちの少なくとも1つを制御する携帯情報機器。
【請求項2】
主表面を有する扁平な筐体を含む携帯情報機器であって、前記筐体内に複数の歪検出素子を、前記筐体の少なくとも1つの面に機械的に結合するよう配置し、前記複数の歪検出素子が機械的に結合するよう配置された面に圧縮荷重を加えることにより、前記歪検出素子から発生する電気信号に応じて前記携帯情報機器の機能のうちの少なくとも1つを制御する携帯情報機器。
【請求項3】
前記歪検出素子を基板の第1の主面に実装するとともに、該基板の第2の主面を前記筐体の内面に機械的に結合したことを特徴とする請求項1または2記載の携帯情報機器。
【請求項4】
前記歪検出素子を基板の第1の主面に実装するとともに、前記基板の第2の主面と前記筐体の内面とを応力集中部を介して機械的に結合し、さらに該基板の第1または第2の主面両端を前記筐体内に設けた内部シャーシに機械的に接続したことを特徴とする請求項1または2記載の携帯情報機器。
【請求項5】
前記歪検出素子を基板の第1の主面に実装するとともに、前記基板の第2の主面と前記筐体の内面とを応力集中部を介して機械的に結合し、さらに該基板の一端の第1または第2の主面を前記筐体内に設けた内部シャーシに機械的に接続したことを特徴とする請求項1または2記載の携帯情報機器。
【請求項6】
前記歪検出素子を基板の第1の主面上に実装するとともに、該基板の側面と前記筐体の内面とを応力集中部を介して機械的に結合したことを特徴とする請求項1または2記載の携帯情報機器。
【請求項7】
前記基板の側面に略平行なスリットを形成し、前記基板の第1の主面上で、前記基板の側面と前記スリットとの間に前記検出素子を実装したことを特徴とする請求項5記載の携帯情報機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−102416(P2013−102416A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−140505(P2012−140505)
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】