説明

携帯情報端末、その表示制御方法およびプログラム

【課題】 利用者がディスプレイの表示画面側にフラットパネルスピーカを搭載した携帯情報端末に耳を当てて音声情報を聞く際、困惑することなく容易に耳を当てることができる使い勝手に優れた携帯情報端末、その方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】 LCD40の表示画面44側に配置された板状部材52をフラットパネルスピーカ駆動部54からの音声信号に基づいて振動させて音声情報を出力するフラットパネルスピーカ50を搭載する携帯情報端末10において、LCD40の表示画面44中の所定位置に、携帯情報端末10を利用する利用者が自らの耳を当てる位置として認識することが可能な耳当位置情報Aを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やPHS等の携帯情報端末、その表示制御方法およびプログラムに関し、特に、ディスプレイの表示画面側に配置された板状部材を音声信号に基づいて振動させ音声情報を出力するフラットパネルスピーカを搭載する携帯情報端末、その表示制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、図8に示すように、文字や画像等の視覚的情報を表示するディスプレイ1と、通話中の相手の声、留守番メッセージ、あるいはボイスメモ等の音声情報を出力するレシーバ2とを備える携帯情報端末、例えば、携帯電話3が広く用いられている。
【0003】
一方、近年、携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)等の携帯情報端末は、通話機能の他に、メール、カメラ、ゲーム機器等で使用される頻度が増し、これに伴い市場からはディスプレイの大画面化の要請を受けている。
【0004】
この大画面化の要請に応える技術として、特許文献1に開示された技術を挙げることができる。この技術は、携帯情報端末等の電子装置本体の所定箇所に配置されたディスプレイの前面に透明な板状部材を配置し、この板状部材を音声信号に応じて振動させることにより音声情報を出力するものである。すなわち、この技術を用いた携帯情報端末は、図8に示す従来の携帯電話3のレシーバ2が不要となるため、ディスプレイ1をレシーバ2のスペース分だけ大きくすることが可能となり、従って、前述した大画面化の要請に応えることが可能となる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−164977号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このようなディスプレイ全体から音が聞こえるように構成し、レシーバを不要とした携帯電話においては、利用者が携帯電話に耳を当てて音声を聞く場合、例えば、相手と通話する場合、従来のように携帯電話3の上端部に設けられたレシーバ2ではなく、ディスプレイに直接耳を当てて相手の声を聞くのが普通である。
【0007】
ところが、ディスプレイに直接耳を当てて音を聞くという使い方を知らない利用者、あるいは図8に示すようなレシーバ2が機体の上端部に設けられた従来の携帯電話3の使用に慣れた利用者は、このような携帯電話を使う場合、ディスプレイではなく従来レシーバがあった位置、すなわち、携帯電話の上端部に耳を当ててしまう可能性がある。この場合、相手の声が十分に聞こえない等の問題が起こりうる。
【0008】
さらに、ディスプレイは、図8に示す従来の携帯電話3のレシーバ2に比してかなり大きいので、ディスプレイに直接耳を当てて音を聞くことを知っている利用者も、ディスプレイ中のどの位置に耳を当てればよいのか、困惑する可能性が十分に予測される。この場合、耳を当てる位置を探す動作に時間を費やすあまりに通話の開始が遅れる等の問題が起こりうる。
【0009】
いずれにせよ、特許文献1に示すようなディスプレイ全体から音が聞こえる構成を採用し、レシーバを不要とした携帯電話は、通話中の相手の声、留守番メッセージ、あるいはボイスメモ等の音声情報を聞く際に非常に困惑するという、使い勝手上の問題を抱えている。
【0010】
本発明は、ディスプレイの表示画面側に配置された板状部材を音声信号に基づいて振動させ音声情報を出力するフラットパネルスピーカを搭載した携帯情報端末における従来の難点を解決するためになされたものであり、利用者が携帯情報端末に耳を当てて音声情報を聞く際、困惑することなく容易に耳を当てることができる使い勝手に優れた携帯情報端末、その方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の携帯情報端末は、ディスプレイの表示画面側に配置された板状部材を音声信号に基づいて振動させて音声情報を出力するフラットパネルスピーカを搭載する携帯情報端末であって、
前記ディスプレイの表示画面中の所定位置に、この携帯情報端末を利用する利用者が自らの耳を当てる位置として認識することが可能な耳当位置情報を表示する表示制御手段を有する。
【0012】
この場合、所定イベントの発生を検出するイベント検出手段をさらに備え、前記表示制御手段は、前記イベント検出手段の検出結果に基づいて前記耳当位置情報の表示制御を行うようにしてもよい。
【0013】
また、前記イベント検出手段が着信有りを検出した際、前記表示制御手段が前記耳当位置情報の表示をオンとするようにしてもよい。
【0014】
また、通話を開始させるためのスイッチをさらに備え、前記イベント検出手段がこのスイッチが操作されたことを検出した際、前記表示制御手段が前記耳当位置情報の表示をオンとするようにしてもよい。
【0015】
また、通話を終了させるためのスイッチをさらに備え、前記イベント検出手段がこのスイッチが操作されたことを検出した際、前記表示制御手段が前記耳当位置情報の表示をオフとするようにしてもよい。
【0016】
また、前記表示画面中において前記フラットパネルスピーカの音が最もよく聞こえる位置に、前記表示制御手段が前記耳当位置情報を表示する構成であってもよい。
【0017】
また、前記音が最も良く聞こえる位置を示す位置情報を外部の装置から入力する入力手段と、入力した前記位置情報を記憶する記憶手段とをさらに備え、
前記表示制御手段が、前記記憶手段に格納された前記位置情報を読み出し、読み出した前記位置情報で示される前記表示画面中の位置に、前記耳当位置情報を表示するように構成することもできる。
【0018】
また、前記表示制御手段が、前記耳当位置情報を表示するか否かを選択することができる機能をさらに備えてもよい。
【0019】
本発明の第1の携帯情報端末の表示方法は、ディスプレイの表示画面側に配置された板状部材を音声信号に基づいて振動させて音声情報を出力するフラットパネルスピーカを搭載する携帯情報端末の表示方法であって、
前記ディスプレイの表示画面中の所定位置に、この携帯情報端末を利用する利用者が自らの耳を当てる位置として認識することが可能な耳当位置情報を表示する。
【0020】
本発明の第2の携帯情報端末の表示方法は、ディスプレイの表示画面側に配置された板状部材を音声信号に基づいて振動させて音声情報を出力するフラットパネルスピーカを搭載する携帯情報端末の表示方法であって、
前記ディスプレイの表示画面中において前記フラットパネルスピーカの音が最もよく聞こえる位置に、この携帯情報端末を利用する利用者が自らの耳を当てる位置として認識することが可能な耳当位置情報を表示する。
【0021】
本発明の第1の携帯情報端末の表示プログラムは、ディスプレイの表示画面側に配置された板状部材を音声信号に基づいて振動させて音声情報を出力するフラットパネルスピーカを搭載する携帯情報端末の表示プログラムであって、
前記ディスプレイの表示画面中の所定位置に、この携帯情報端末を利用する利用者が自らの耳を当てる位置として認識することが可能な耳当位置情報を表示する機能をコンピュータに実現させる。
【0022】
本発明の第2の携帯情報端末の表示プログラムは、ディスプレイの表示画面側に配置された板状部材を音声信号に基づいて振動させて音声情報を出力するフラットパネルスピーカを搭載する携帯情報端末の表示プログラムであって、
前記ディスプレイの表示画面中において前記フラットパネルスピーカの音が最もよく聞こえる位置に、この携帯情報端末を利用する利用者が自らの耳を当てる位置として認識することが可能な耳当位置情報を表示する機能をコンピュータに実現させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、ディスプレイの表示画面側に配置された板状部材を音声信号に基づいて振動させて音声情報を出力するフラットパネルスピーカを搭載する携帯情報端末において、前記ディスプレイの表示画面中の所定位置に、この携帯情報端末を利用する利用者が自らの耳を当てる位置として認識することが可能な耳当位置情報を表示するようにした。これにより、利用者がこのような携帯情報端末に耳を当てて音声情報を聞く際、困惑することなく容易に耳を当てることができ、携帯情報端末の使い勝手を著しく向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の最良の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態の携帯情報端末10の構成ブロック図を示す。携帯情報端末10は、制御部12(表示制御手段)と、無線部14(イベント検出手段)と、操作部16(イベント検出手段)と、記憶部18と、ディスプレイ・スピーカ部20と、音声信号処理部22と、調整データ入力部24(入力手段)とから基本的に構成される。
【0026】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)を備え、記憶部18に記憶されたプログラムを実行し、端末10全体を制御する。
【0027】
無線部14は、アンテナ30を備え、このアンテナ30を介して電波の送受信を行うとともに、各種イベントの発生(例えば、着信有や通話終了)を示す信号を制御部12に出力する。
【0028】
操作部16は、電源/終了ボタン、通話開始ボタン、通話終了ボタン、電話番号や文字入力用のテンキーダイヤルボタン、あるいはメニュー項目の選択や決定を行うマルチダイヤルボタン等を備える。操作部16は、これらのボタンの入力結果や、各ボタンの操作パターンから導かれるイベント発生結果(例えば、送信メール画面の表示開始や電話番号の表示終了等)を示す信号を制御部12に出力する。
【0029】
記憶部18は、制御部12を構成するCPUがアクセスすることが可能なROM、RAM等の半導体メモリデバイスで構成され、それらには実行プログラム、住所録あるいは着信メロディ等のデータなどが格納されている。さらに、必要に応じて、画像や音声等の大容量データを記憶するメモリカード等の記録メディアを読み書きするための専用のスロットが設けられる。
【0030】
また、記憶部18には、図2に示す耳当位置情報データ100が格納される。耳当位置情報データ100は、制御部12によって読み出され、LCD40の表示画面44に表示される耳当位置情報A(図3参照)を表示するためのデータである。耳当位置情報Aとは、利用者が後述するディスプレイ・スピーカ部20に耳を当てる際に、LCD40のどの部分に耳を当てればよいのかを認識することが可能な情報である。耳当位置情報データ100は、表示位置データ102と、表示内容データ104とから構成される。表示位置データ102は、耳当位置情報Aを表示画面44のどの位置に表示するかを示すデータであり、表示内容データ104は、耳当位置情報Aをどのような内容にするかを示すデータである。図3は、表示画面44における耳当位置情報Aの具体的な表示例である。この場合、表示位置データ102には表示画面44における表示開始座標P1と表示終了座標P2とが格納され、表示内容データ104には座標P1と座標P2とで形成される矩形領域W内に表示される内容、すなわち「ここに耳をあててね」という文字データが格納される。
【0031】
ディスプレイ・スピーカ部20は、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)40と、フラットパネルスピーカ50とから構成される。
【0032】
LCD40は、文字や画像等の視覚的情報を表示する表示装置であって、携帯情報端末10本体の所定位置に配設される。LCD40は、LCDドライバ42を介して制御部12によって表示制御される。
【0033】
フラットパネルスピーカ50は、LCD40の表示画面44側に配設されたアクリル板等の透明な板状部材52と、板状部材52の所定部位(図1においては、左右両端の各中央部)に配設され、この板状部材52をフラットパネルスピーカ駆動部54からの音声信号に応じて振動させて音声情報を出力する圧電素子等のアクチュエータ56とから基本的に構成される。なお、LCD40と板状部材52との間には、両者が直接ぶつからないようにするための図示しないクッション部材が挿入されている。
【0034】
すなわち、ディスプレイ・スピーカ部20は、音声信号に基づいて振動することにより音声情報を出力する板状部材52を、LCD40の表示画面44側に蜜着させているので、その音声情報はLCD40から直接出力されるといってよい。従って、利用者が携帯情報端末10に耳を当てて音声を聞く場合、例えば、通話中の相手の声を聞く場合、LCD40に直接耳を当てるのが普通である。
【0035】
音声信号処理部22は、以下の3つの機能を備える。
【0036】
(1)レシーバ機能:アンテナ30によって電波として受信された後、無線部14で復調されたリアルタイムなデジタル音声信号、および記憶部18に格納されている留守番メッセージ、伝言メモ等のリアルタイムではないデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、フラットパネルスピーカ駆動部54に出力する。フラットパネルスピーカ駆動部54は、このアナログ音声信号に基づいて、アクチュエータ56を振動させることにより、板状部材52から音声情報を出力する。すなわち、レシーバ機能は、相手と会話する時、留守番メッセージやサービスガイダンスを聞く特、伝言メモ(携帯電話に録音された相手の音声)を聞く時等、通常他人に聞かれたくない音声情報であってスピーカからの大きな音で聞くにはふさわしくない内容の音声情報を聞く時に作動する機能である。
【0037】
(2)スピーカ機能:(1)以外の音声出力機能、すなわち、他人に聞かれても特に支障のない音声情報であってスピーカから大きな音を出す音声情報(例えば、着信メロディやボタン確認音等)を聞く時に作動する機能である。動作としては、(1)と略同様で、記憶部18に格納されている着信メロディ等のデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、フラットパネルスピーカ駆動部54に出力する。
【0038】
なお、(1)および(2)は、音声情報出力手段としてはフラットパネルスピーカ50を共用しているが、両者ではゲイン(音量)等の処理が異なるので、音声信号処理部22は、(1)(2)専用の処理回路を各々備え、モードによって切り替えている。
【0039】
(3)マイク音声処理機能:マイク70から入力したアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換し、変換したデジタル音声信号を無線部14に出力する。無線部14は、このデジタル音声信号を変調してアンテナ30から電波として放射する。
【0040】
調整データ入力部24は、工場等における出荷前の検査工程において、RS232CやUSB(Universal Serial Bus)等の専用ケーブル32を介して調整用外部端末34と接続され、調整用外部端末34から各種の調整データを取得する。
【0041】
本実施の形態の携帯情報端末10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、この携帯情報端末10の動作について説明する。なお、以下に説明する動作を実行するためのプログラムは記憶部18に格納され、制御部12によって読み出されたのち実行される。利用者が携帯情報端末10に耳を当てて音声情報を聞く場合、すなわち、フラットパネルスピーカ20をレシーバとして使用する場合の一例として、相手から着信があった場合を例に挙げる。図4は、その場合の利用者の操作手順を含む携帯情報端末10の動作手順を示すフローチャートである。
【0042】
なお、以下に説明する動作を行う前提として、記憶部18内の耳当位置情報データ100を構成する表示位置データ102には、着信中表示や電波状態表示等の重要な表示の邪魔にならない表示画面44内の所定位置を示す表示開始座標P1と表示終了座標P2が設定される(本実施の形態では、表示画面44の中央部分よりやや下側に表示する場合を例に挙げる)。さらに、耳当位置情報データ100を構成する表示内容データ104には、図3と同様に「ここに耳をあててね」という文字データが設定されているものとする。
【0043】
先ず、携帯情報端末10は待ち受け状態にある。このとき、制御部12は表示画面44を図5に示すような待ち受けの画面表示とする(ステップS1)。
【0044】
制御部12は、無線部14から着信有を示す信号が入力されているか否かチェックし(ステップS2)、着信有を示す信号が入力されている場合、図6に示すように、表示画面44における着信メッセージB表示をオンにし(ステップS3)、さらに、相手の電話番号C表示をオンにする(ステップS4)。
【0045】
次いで、制御部12は、記憶部18の耳当位置情報データ100にアクセスして表示位置データ102および表示内容データ104を取得し、表示位置データ102で指定される表示画面44上の所定範囲内に表示内容データ104の表示内容を表示することで耳当位置情報Aを表示する(ステップS5)。
【0046】
ここで、制御部12は、記憶部18にアクセスし、利用者によってあらかじめ選択された着信メロディのデジタル音声信号を取得し、音声信号処理部22へ出力する。音声信号処理部22は、フラットパネルスピーカ50をスピーカとして利用するための処理回路を選択し、この処理回路に前記デジタル音声信号を出力する。前記処理回路は、デジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、変換したアナログ音声信号をフラットパネルスピーカ駆動部54に出力する。フラットパネルスピーカ駆動部54は、このアナログ音声信号に基づいてアクチュエータ56を振動させることにより、板状部材52、すなわち、フラットパネルスピーカ50から前記着信メロディを出力する。この場合、制御部12は、必要に応じて、図示しないバイブレータやLED(Light Emitting Diode)をあわせて駆動し、利用者に着信があった旨を報知する(ステップS6)。
【0047】
次いで、制御部12は、操作部16から通話開始ボタンが押されたことを示す信号が入力されているか否かをチェックする(ステップS7)。
【0048】
通話開始ボタンが押されたことを示す信号が入力されている場合、制御部12は、図7に示すように、耳当位置情報A表示および相手の電話番号C表示をオンにした状態で着信メッセージBの表示をオフにして通話中であることを示す(ステップS8)。
【0049】
次いで、制御部16は、携帯情報端末10を通話ができる状態とする(ステップS9)。具体的には、無線部14、マイク70、音声信号処理部22、フラットパネルスピーカ50を動作可能とすることで、相手の声を聞くと同時に、自分の声を相手に伝えることができるようにする。
【0050】
制御部12は、通話と並行して、通話が終了したか否かをチェックする(ステップS10)。具体的には、制御部12は、操作部16から通話終了ボタンが押されたことを示す信号が入力されているか否かをチェックするとともに、無線部14から通話終了を示す信号が入力されているか否かをチェックし、通話が終了したと判断した場合、通話を終了する(ステップS11)。
【0051】
制御部12は、相手の電話番号C表示をオフにした後、ステップS1の処理(待ち受け可能な状態にする処理)から再度実行する。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態の携帯情報端末10は、相手から着信を受けたときから通話が終了するまでの間、LCD40の表示画面44上に耳当位置情報Aを表示するよう構成した。これにより、利用者が、フラットパネルスピーカ50を搭載した本実施の形態の如き携帯情報端末10に耳を当てて音声情報を聞く際、この耳当位置情報Aに従い迷うことなく容易に耳を当てることが可能となる。例えば、LCD40に直接耳を当てて音声情報を聞くという使い方を知らない利用者や筐体の上端部に専用のレシーバを設けた従来型の携帯情報端末の使用に慣れた利用者も容易にこの携帯情報端末10を使用することが可能となる。すなわち、携帯情報端末10の使い勝手を著しく向上させることが可能となる。
【0053】
尚、上記実施の形態では、耳当位置情報Aの表示内容を図3、図6および図7に示すように、「ここに耳をあててね」とう表示内容にしているが、もちろんこれに限定されるものではない。他の文字列で表現してもよいことはもちろんのこと、文字情報である必要もない。例えば、耳やイヤホン等を示す記号情報であってもよいし、耳当位置を背景と別の色にするようにしてもよい。要するに、利用者が耳当位置を認識できればそれで充分であって、その具体的な表示内容は問わない。
【0054】
上記実施の形態では、耳当位置情報Aを表示画面44の中央部よりやや下側に表示する場合の例を挙げたが、もちろんこれに限定されるものではなく、表示画面44内であれば、表示位置を任意に設定することができる。例えば、耳当位置情報Aをフラットパネルスピーカ50の音を最もよく聞くことができる場所に設定することも可能である。これについて、以下具体的に説明する。
【0055】
先ず、出荷前の検査工程において、携帯情報端末10と音量を測定する測定器等を備える調整用外部端末34とをケーブル32で接続する。そして、この測定器を用いてフラットパネルスピーカ50全域の音量分布を測定する。前記測定器は、その音量分布の中で音量が最も多い領域(あるいは、音が最も鮮明に聞こえる領域)を特定し、その具体的な座標データを調整用外部端末34に送信する。さらに、調整用外部端末34は、この座標データをケーブル32および調整データ入力部24を介して制御部12に送信する。制御部12は、受信した座標データを記憶部18に格納された耳当位置情報データ100に格納し、その後、必要な場面(具体的には、図4のステップS5の処理実行時)で、その座標で特定される領域内に耳当位置情報Aを表示すればよい。このようにすることにより、利用者は、通話中の相手の声、留守番メッセージやボイスメッセージ等の音声情報をより鮮明に聞くことができる。
【0056】
また、上記実施の形態では、図4を用いて説明したとおり、耳当位置情報Aを、相手から着信を受けたときから通話が終了するまでの間、常に表示する場合を例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、着信時ではなく、通話開始ボタンが押されたタイミングで耳当位置情報Aを表示するようにしてもよい。
【0057】
さらに、耳当位置情報Aの表示を様々なイベントの発生に対応させて、こまめにオン/オフするようにしてもよい。通話中、利用者は携帯情報端末10を耳から離して通話以外の作業を行うことある。例えば、操作部16を構成する各種ボタンを操作して、記憶部18に格納されている電話番号等の情報や送信メール画面を表示画面44上に表示させることがある。ここで、イベントの具体例として、送信メール画面を表示する場合を例に挙げて説明する。操作部16から最初のイベント発生結果(送信メール画面表示開始)を受信した制御部12は、LCDドライバ42を制御して表示画面44における耳当位置情報Aの表示をオフにする。次いで、操作部16から次のイベント発生結果(送信メール画面表示終了)を受信した制御部12は、LCDドライバ42を制御して表示画面44に耳当位置情報Aを再び表示する。このようにすることにより、耳当位置情報Aの表示が他の作業、すなわち、送信メール画面の表示作業の遂行の妨げになることがない。
【0058】
ところで、筐体略中央部にヒンジ機構を有し2つに折り畳むことが可能な携帯情報端末が広く知られている。このような携帯情報端末の中には、折り畳んだ状態で着信を受けた場合、筐体を開くと同時に自動的に通話に移行するタイプのものがある。このような携帯情報端末の場合は、例えば、図1に示すように、筐体の開閉状態を検出する開閉検出デバイス110(イベント検出手段)を新たに備え、制御部12がこの開閉検出デバイス110からイベント発生結果(この場合は、筐体が開いたことを示す信号)を受信した時点で耳当位置情報Aを表示するようにすればよい。
【0059】
尚、前記イベントは上記説明したものに限定されず、携帯情報端末の処理全般に亘ることはもちろんである。例えば、通話中にデジタルカメラの画像やTVの中継画像を見る場合に耳当位置情報Aの表示をオフにしてもよい。あるいは、有料ウェブサイトからダウンロードされて前記記録メディアに記録された音楽、記憶部18に記憶されている留守番メッセージやボイスメモ、メッセージセンター(メールサーバ)から送信されるガイダンス情報、あるいはメール等の文字情報に対応した音声情報を、携帯情報端末10に耳を当てて聞く場合(すなわち、フラットパネルスピーカ50をレシーバとして使用する場合)、耳当位置情報Aを表示するようにしてもよい。
【0060】
また、耳当位置情報Aを表示するか否かを選択できるようにしてもよい。例えば、携帯情報端末10の動作モードを変更するメニュー内に耳当位置情報Aを表示するか否かを選択することができる機能を追加する。そして、「表示する」を選択した場合は耳当位置情報Aを常に表示するようにし、一方「表示しない」を選択した場合は耳当位置情報Aを表示しないようにする。このようにすることにより、耳を当てる位置を既に把握し耳当位置情報Aの表示を不要と感じる人が煩わしさを感じることがなくて好適である。
【0061】
尚、以上説明した実施の形態および各種応用例は、携帯電話、PHS、PDA(Personal Digital Assistance)等の携帯情報端末全般に広く適用することができる。さらに、その場合、携帯情報端末の筐体構造にも限定されず、一体型のもの、ヒンジ機構を搭載した折り畳み式や回転式のもの等あらゆる構造の携帯情報端末に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本実施の形態の携帯情報端末の構成ブロック図である。
【図2】記憶部に格納される耳当位置情報データのフォーマット図である。
【図3】表示画面における耳当位置情報の具体的表示例である。
【図4】相手から着信があった場合の携帯情報端末の動作手順を示すフローチャートである。
【図5】携帯情報端末が待ち受け状態の表示画面の表示例である。
【図6】携帯情報端末が着信した状態の表示画面の表示例である。
【図7】携帯情報端末が通話中の状態の表示画面の表示例である。
【図8】フラットパネルスピーカを採用せず、レシーバを別途設けた構成の従来の携帯電話の平面図である。
【符号の説明】
【0063】
10 携帯情報端末
12 制御部
18 記憶部
20 ディスプレイ・スピーカ部
22 音声信号処理部
24 調整データ入力部
34 調整用外部端末
40 LCD
44 表示画面
50 フラットパネルスピーカ
52 板状部材
56 アクチュエータ
100 耳当位置情報データ
110 開閉検出デバイス
A 耳当位置情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイの表示画面側に配置された板状部材を音声信号に基づいて振動させて音声情報を出力するフラットパネルスピーカを搭載する携帯情報端末であって、
前記ディスプレイの表示画面中の所定位置に、この携帯情報端末を利用する利用者が自らの耳を当てる位置として認識することが可能な耳当位置情報を表示する表示制御手段を有することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
所定イベントの発生を検出するイベント検出手段をさらに備え、前記表示制御手段は、前記イベント検出手段の検出結果に基づいて前記耳当位置情報の表示制御を行うことを特徴とする請求項1記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記イベント検出手段が着信有りを検出した際、前記表示制御手段が前記耳当位置情報の表示をオンとすることを特徴とする請求項2記載の携帯情報端末。
【請求項4】
通話を開始させるためのスイッチをさらに備え、
前記イベント検出手段がこのスイッチが操作されたことを検出した際、前記表示制御手段が前記耳当位置情報の表示をオンとすることを特徴とする請求項2記載の携帯情報端末。
【請求項5】
通話を終了させるためのスイッチをさらに備え、
前記イベント検出手段がこのスイッチが操作されたことを検出した際、前記表示制御手段が前記耳当位置情報の表示をオフとすることを特徴とする請求項3または4記載の携帯情報端末。
【請求項6】
前記表示画面中において前記フラットパネルスピーカの音が最もよく聞こえる位置に、前記表示制御手段が前記耳当位置情報を表示することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の携帯情報端末。
【請求項7】
前記音が最も良く聞こえる位置を示す位置情報を外部の装置から入力する入力手段と、入力した前記位置情報を記憶する記憶手段とをさらに備え、
前記表示制御手段が、前記記憶手段に格納された前記位置情報を読み出し、読み出した前記位置情報で示される前記表示画面中の位置に、前記耳当位置情報を表示することを特徴とする請求項6記載の携帯情報端末。
【請求項8】
前記表示制御手段が、前記耳当位置情報を表示するか否かを選択することができる機能をさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の携帯情報端末。
【請求項9】
ディスプレイの表示画面側に配置された板状部材を音声信号に基づいて振動させて音声情報を出力するフラットパネルスピーカを搭載する携帯情報端末の表示方法であって、
前記ディスプレイの表示画面中の所定位置に、この携帯情報端末を利用する利用者が自らの耳を当てる位置として認識することが可能な耳当位置情報を表示するようにしたことを特徴とする携帯情報端末の表示方法。
【請求項10】
ディスプレイの表示画面側に配置された板状部材を音声信号に基づいて振動させて音声情報を出力するフラットパネルスピーカを搭載する携帯情報端末の表示方法であって、
前記ディスプレイの表示画面中において前記フラットパネルスピーカの音が最もよく聞こえる位置に、この携帯情報端末を利用する利用者が自らの耳を当てる位置として認識することが可能な耳当位置情報を表示するようにしたことを特徴とする携帯情報端末の表示方法。
【請求項11】
ディスプレイの表示画面側に配置された板状部材を音声信号に基づいて振動させて音声情報を出力するフラットパネルスピーカを搭載する携帯情報端末の表示プログラムであって、
前記ディスプレイの表示画面中の所定位置に、この携帯情報端末を利用する利用者が自らの耳を当てる位置として認識することが可能な耳当位置情報を表示する機能をコンピュータに実現させるための携帯情報端末の表示プログラム。
【請求項12】
ディスプレイの表示画面側に配置された板状部材を音声信号に基づいて振動させて音声情報を出力するフラットパネルスピーカを搭載する携帯情報端末の表示プログラムであって、
前記ディスプレイの表示画面中において前記フラットパネルスピーカの音が最もよく聞こえる位置に、この携帯情報端末を利用する利用者が自らの耳を当てる位置として認識することが可能な耳当位置情報を表示する機能をコンピュータに実現させるための携帯情報端末の表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−135858(P2006−135858A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324967(P2004−324967)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】