説明

携帯情報端末、携帯情報端末の制御方法及び制御プログラム

【課題】GPS機能や地図データを用いることなく、移動距離を簡単且つ容易に求め、その移動距離に応じた再生音楽の自動切り替えを実現可能とする。
【解決手段】
音楽再生部35は、再生リストに従って音楽を再生して出力する。動作状況判定部30は、モーションセンサ23の出力信号により自端末の現実空間内における動きを検知し、その検知した動きが、現実空間内を自端末が移動する動作状況であるか否かを判定する。移動速度演算部31は、動作状況判定部30から供給される動作状況把握情報を基に自端末の移動速度を求め、移動距離算出部32は、その移動速度の積分値から移動距離を求める。再生リスト変更判定部33は、その移動距離と距離判定閾値とを比較し、移動距離が距離判定閾値を更新したか否か判定する。音楽再生リスト制御部34は、移動距離が距離判定閾値を更新したと判定された時、音楽再生部35にて再生される音楽の再生リストを変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば音楽の再生機能を備えた携帯電話端末などの携帯情報端末と、その携帯情報端末の制御方法方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2006−103520号の公開特許公報(特許文献1)には、GPS(Global Positioning System)機能を備えた自動車ナビゲーションシステムにおいて、GPS機能により得られた位置情報を利用して再生音楽を自動的に切り替えるような情報端末装置が提案されている。
【0003】
また、特開2006−337505号の公開特許公報(特許文献2)には、携帯電話機などの携帯情報端末において、加速度センサやジャイロなどによって構成された運動センサの出力を解析することにより、例えば歩行や走行のようなユーザの動作状況を把握し、その動作状況に応じて楽曲の選択や再生中の曲のテンポを変更可能とした音楽再生装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−103520号公報(図1)
【特許文献2】特開2006−337505号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年は、携帯電話端末を利用したサービスの一つとして、当該端末を持ったユーザが例えばジョギングや散歩をした際に、そのジョギング等による移動経路を表示したり、ジョギング等による消費カロリーを算出して表示するようなサービスが提供されている。
【0006】
このサービスの提供を受ける場合、携帯電話端末では、内蔵GPS機能により測位が実行されるとともに、その測位情報を基にインターネット回線上のサーバとの間で大量のデータ通信が行われて、上記ジョギング等による移動経路や消費カロリーが求められている。また、このサービスでは、後にパーソナルコンピュータを介してサーバへアクセスした場合に、上記ジョギング等による移動データが解析され、その解析により求められた移動経路と移動距離を、当該パーソナルコンピュータの画面上に表示するような付加サービスも提供されている。
【0007】
しかしながら、これらのサービスでは、ユーザが実際にジョギング等を行っている時に、どの程度の距離を移動したのかをリアルタイム且つ容易にユーザへ知らせることが出来ない。
【0008】
ここで、音楽再生機能を備えた携帯情報端末において、例えば移動距離に応じて再生音楽を自動的に切り替えるようなことが実現できれば、ユーザは、散歩やジョギング中に音楽を聴くことができるとともに、その再生音楽の自動切り替えにより、大凡の移動距離を略々リアルタイムに把握することができるようになると考えられる。
【0009】
このように、移動距離に応じて再生音楽を自動的に切り替えるようなことは、例えば上述の特許文献1に記載の技術のように、GPS機能による位置情報を利用すれば可能になると思われる。
【0010】
しかしながら、当該特許文献1に記載の技術の場合、移動距離を算出するためには、車載向けGPSナビゲーションシステム上の膨大な地図データが必要となり、例えば携帯電話端末のような携帯情報端末への実装には不向きである。
【0011】
すなわち、携帯電話端末のような携帯情報端末において、膨大な地図データを保持させておくことは搭載可能な内蔵メモリ容量から考えて無理がある。
【0012】
一方、無線ネットワークを経由して地図データ等を取得すれば、携帯情報端末であっても、特許文献1に記載の技術を利用して移動距離を算出可能になると思われる。しかしながら、この場合、無線ネットワークを経由して大量の地図データ等を定期的に通信しなければならなくなり、通信料が嵩む問題や通信トラフィックが増大するという問題が発生してしまう。さらに、特許文献1の技術を利用する場合、携帯情報端末にはGPS機能を必ず搭載しなければならなくなり、また、当該GPS機能による測位動作を定期的に行っていなければならなくなる。
【0013】
なお、特許文献2に記載の技術では、ユーザの動作状況を運動センサの出力を基に測定することで、ユーザの好みの音楽の自動再生を行うようにしているが、ユーザの移動距離を求めることはできず、そのため、移動距離に応じた音楽の自動切り替えもできない。
【0014】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、GPS機能の使用や地図データを使用することなく、移動距離を簡単且つ容易に求め、その移動距離に応じた再生音楽の自動切り替えを実現可能とする携帯情報端末、携帯情報端末の制御方法及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の携帯情報端末は、音楽再生部と、動作把握部と、距離演算部と、閾値判定部と、再生リスト変更制御部とを有する。音楽再生部は、再生リストに従って音楽を再生して出力する。動作把握部は、自端末の現実空間内における動きを検知するとともに、その検知した動きが、現実空間内を自端末が移動する動作状況であるか否かを判定する。距離演算部は、現実空間内を自端末が移動する動作状況であると動作把握部が判定した場合に、動作把握部から供給される自端末の移動による動作情報を基に、現実空間内における自端末の移動距離を求める。閾値判定部は、距離演算部にて求められた移動距離と、予め設定された距離判定閾値とを比較し、移動距離が距離判定閾値を更新したか否か判定する。再生リスト変更制御部は、閾値判定部にて移動距離が距離判定閾値を更新したと判定した時、音楽再生部にて再生される音楽の再生リストを変更する。これにより、本発明の携帯情報端末は、上述した課題を解決する。
【0016】
すなわち本発明によれば、再生リストに従って音楽を再生して出力している時に、現実空間内における自端末の動きを基に、当該自端末の移動距離を求め、再生される音楽の再生リストを、その移動距離に応じて変更している。
【発明の効果】
【0017】
本発明においては、現実空間内における自端末の動きを基に、当該自端末の移動距離を求めているため、例えばGPS機能の使用や膨大な地図データを使用することなく、移動距離を簡単且つ容易に求めることができる。さらに本発明においては、その移動距離に応じて再生音楽を変更することにより、移動距離に応じた再生音楽の自動切り替えを実現可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明実施形態の携帯電話端末の概略的な内部構成例を示すブロック図である。
【図2】距離通知音楽再生プログラムの実行により制御・演算部にて行われる各処理を概略的に表した機能ブロックである。
【図3】移動距離に応じて再生音楽を切り替える機能のオン/オフを設定及び詳細設定のためのメニュー画面例を示す図である。
【図4】距離通知音楽再生プログラムの実行による本実施形態携帯電話端末の制御・演算部における概略的な動作制御フローチャートである。
【図5】図4のフローチャートのうち距離通知音楽再生処理の詳細な動作制御フローチャートである。
【図6】図3の設定E1に応じた距離通知音楽再生処理の具体的な動作制御フローチャートである。
【図7】図3の設定E2に応じた距離通知音楽再生処理の具体的な動作制御フローチャートである。
【図8】図3の設定E3に応じた距離通知音楽再生処理の具体的な動作制御フローチャートである。
【図9】図3の設定E3以降で設定登録値が無い場合の距離通知音楽再生処理の具体的な動作制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0020】
なお、本実施形態では、本発明の携帯情報端末の一例として、携帯電話端末を挙げているが、勿論、ここで説明する内容はあくまで一例であり、本発明はこの例に限定されないことは言うまでもない。
【0021】
[携帯電話端末の概略構成]
図1には、本実施形態の携帯電話端末の概略的な内部構成例を示す。
【0022】
図1において、通信アンテナ12は、例えば内蔵アンテナであり、通話や電子メール等のパケット通信のための信号電波の送受信を行う。通信回路11は、送受信信号の周波数変換、変調と復調等を行う。
【0023】
スピーカ20は、携帯電話端末に設けられている受話用のスピーカや、リンガ(着信音)、アラーム音、再生音楽等の出力用スピーカであり、制御・演算部10から供給された音声信号を音響波に変換して空気中に出力する。
【0024】
イヤホン出力部21は、外部イヤホン端子を備え、当該外部イヤホン端子にイヤホンが接続され且つその外部イヤホン端子からの音声出力が許可されている状態で、例えば音楽再生がなされている場合に、当該再生音楽等を外部イヤホン端子を介してイヤホンへ送出する。
【0025】
マイクロホン22は、送話用及び外部音声集音用のマイクロホンであり、音響波を音声信号に変換し、その音声信号を制御・演算部30へ送る。
【0026】
モーションセンサ23は、加速度センサとジャイロセンサを有して構成されており、例えばユーザの歩行や走行などによる振動等により携帯電話端末に加えられた外力を検出する。このモーションセンサ23の出力信号は制御・演算部10へ送られる。
【0027】
近距離無線通信部24は、近距離無線通信アンテナ25を通じて、例えばブルートゥース方式やワイヤレスLAN方式などによる近距離無線通信を行う。また、近距離無線通信部24は、近距離無線通信の全般的な制御と、制御・演算部10との間でのデータのやり取りを行う。
【0028】
カメラ部26は、写真画像の撮影のためのディジタルカメラである。当該カメラ部26は静止画像のみならず動画像も撮影可能である。
【0029】
表示部13は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(ElectroLuminescent)ディスプレイ等の表示デバイスと、そのディスプレイの表示駆動回路とを含み、制御・演算部10から供給された画像信号により、上記ディスプレイ上に待ち受け画像や着信画像,各種メニュー画像,ウェブブラウジング画像,電子メール等の各種文字等を表示する。
【0030】
操作部14は、本実施形態の携帯電話端末の図示しない筐体上に設けられているテンキーや発話キー、終話/電源キー等の各キーや十字キー,タッチセンサ等の各操作子と、それら操作子が操作された時の操作信号を発生する操作信号発生器とからなる。
【0031】
メモリ部15は、当該端末の内部に設けられている内蔵メモリ16と、いわゆるSIM(Subscriber Identity Module)情報等を格納する着脱可能なカード状メモリ17とを含む。内蔵メモリ16は、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とからなる。上記ROMは、NAND型やNOR型のフラッシュメモリ、或いはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)のような書き換え可能なROMからなり、例えば、OS(Operating System)プログラム、制御・演算部10が各部を制御するための制御プログラム、様々なアプリケーションプログラム、各種の初期設定値、辞書データ、着信音やキー操作音等の音データなどが格納されている。特に、本実施形態の場合、上記アプリケーションプログラムの一つとして、移動距離の算出及びその移動距離に応じた再生音楽の自動切り替え制御を行う距離通知音楽再生制御プログラム(本発明の制御プログラム)が用意されている。その他、ROMには、音楽再生の際に読み出される楽曲データや楽曲プレイリストデータ、ディスプレイ表示用のデータ、電子メールデータ、電話帳や電子メールアドレス帳のデータ、スケジュール帳のデータ、通信履歴、インターネット等に接続した際のキャッシュデータ等の様々なデータ、ユーザ辞書データ、静止画や動画データ、各種のユーザ設定値等をも保存可能となされている。なお、図1の例では、上記内蔵メモリ16の上記各種データやプログラムの格納領域のうち、特に、上記OSやアプリケーションプログラム(特に本実施形態にかかる距離通知音楽再生制御プログラム)等を保持するプログラム格納部16aと、楽曲データや楽曲プレイリストデータ、その他の音データ、本実施形態にかかる距離通知音楽再生制御プログラム実行時に使用される各種設定データ、電話帳やスケジュール帳などの各種データを保持するデータ格納部16bのみを図示している。勿論、図示は省略しているが、当該メモリ部15には、辞書データや初期設定値、静止画や動画データ等の格納領域も用意されている。なお、RAMは、制御・演算部10が各種のデータ処理を行う際の作業領域として、随時データを格納する。
【0032】
制御・演算部10は、CPU(中央処理ユニット)からなり、通信回路11における通信の制御、音声・音楽処理及びその制御、画像処理及びその制御、その他各種信号処理や各部の制御等を行う。また、制御・演算部10は、メモリ部15に格納されている各種の制御プログラムやアプリケーションプログラムの実行及びそれに付随する各種データ処理等を行う。特に、本実施形態の場合、制御・演算部10は、メモリ部15のプログラム格納部16aに格納されている距離通知音楽再生制御プログラムを実行することにより、後述するような移動距離の算出とその移動距離に応じた再生音楽の自動切り替え制御のための各種処理を行う。
【0033】
その他、図1には図示を省略しているが、本実施形態の携帯電話端末は、バイブレータ、例えばいわゆるRFID(Radio Frequency-Identification:電波方式認識)や非接触型ICカード等で用いられる非接触通信を行う非接触通信部、キー照明や着信ライト用などのLED(発光ダイオード)とその駆動部、各部へ電力を供給するバッテリとその電力をコントロールするパワーマネージメントIC部、外部メモリ用スロット、ディジタル放送の受信チューナ部とAVコーデック部、タイマ(時計部)など、一般的な携帯電話端末に設けられる各構成要素についても備えている。なお、本実施形態において、GPS(Global Positioning System)の衛星電波を用いて現在位置等を検出するGPS部についても備えている。
【0034】
[移動距離の算出とその移動距離に応じた再生音楽の自動切り替えの構成]
図2には、距離通知音楽再生制御プログラムを実行することにより、制御・演算部10において行われる移動距離の算出とその移動距離に応じた再生音楽の自動切り替え制御の各処理を概略的な機能ブロックとして表している。なお、図2には、制御・演算部10における各機能ブロックの他に、モーションセンサ23と、スピーカ20又はイヤホン出力部21と、メモリ部15内のデータ格納部16b及びそれに含まれる楽曲データ格納部16cについても共に図示している。
【0035】
図2において、モーションセンサ23の出力信号は、制御・演算部10内に形成された機能ブロックの一つである動作状況判定部30へ供給される。当該動作状況判定部30は、上記モーションセンサ23からの出力信号を基に、携帯電話端末の動作状況を把握する。すなわち、動作状況判定部30は、モーションセンサ23からの出力信号を基に、携帯電話端末に対してどのような外力が加えられているのかを解析し、その解析結果を基に、携帯電話端末の動作状況を検知する。
【0036】
本実施形態において、動作状況判定部30が判定する動作状況としては、例えば、ユーザが止まっていることにより携帯電話端末の移動も止まっている時の動作状況、ユーザの歩行や走行等に伴って携帯電話端末が移動している時の動作状況、歩行や走行していたユーザが一時的に止まったことにより携帯電話端末の移動も一時的に停止した時の動作状況、一時的に止まっていたユーザが歩行や走行を再開したことにより携帯電話端末の移動も再開された時の動作状況、それら以外の動作状況などを挙げることができる。
【0037】
すなわち例えば、ユーザが歩行や走行している場合、一般に、その動きには周期性があり、且つ、当該周期性のある各動きの方向についてもそれぞれ或る程度決まった方向があり、さらに、それら各動きの方向が周期的に変化する際の変化のパターンにも或る程度決まったパターンがある。また、散歩などの歩行とジョギングなどの走行時とでは、一般に、上記動きの周期の時間間隔、上記周期性のある各動きの方向、上記周期性のある各動きの方向変化のパターン、上記周期性のある各動きの大きさ(加速度の大きさなど)がそれぞれ異なっている。なお、歩行についても、ゆっくり歩いている場合や競歩のように速く歩いている場合のように、歩行速度によって、上記周期の時間間隔、上記各動きの方向、上記各動きの方向変化のパターン、上記各動きの大きさは異なる。同様に、走行についても、ジョギングのようにゆっくり走っている場合や全力走行のように速く走っている場合のように、走行速度によって、上記周期の時間間隔、上記各動きの方向、上記各動きの方向変化のパターン、上記各動きの大きさは異なる。
【0038】
したがって、動作状況判定部30は、モーションセンサ23からの出力信号を相関分析などにより解析し、上記動きに周期性があることを検出した場合には、現在の携帯電話端末の動作状況がユーザの歩行や走行に伴うものである可能性が高いと判定する。さらに、動作状況判定部30は、上記解析の結果から、上記動きの周期の時間間隔、上記周期性のある各動きの方向、上記周期性のある各動きの方向変化のパターン、上記周期性のある各動きの大きさ(加速度の大きさなど)を示す各動作パラメータが、各々予め決めた様々な歩行パターンに各々対応した複数の動作パラメータの何れに略々適合するか、或いは、各々予め決めた様々な走行パターンに各々対応した複数の動作パラメータの何れに略々適合するかを判断することにより、ユーザがどのように歩行しているか或いはどのように走行しているのかを判定する。
【0039】
一方、周期性のある動きが検出された場合であっても、その動きの周期の時間間隔、各動きの方向、各動きの方向変化のパターンなどを示す各動作パラメータが、歩行や走行用に予め決められた何れの動作パラメータと適合しない場合、動作状況判定部30は、当該周期性のある動きはユーザの歩行や走行によるものではないと判定する。
【0040】
また例えば、上述のようにユーザが歩行や走行していると判定された動作状況から、例えば動きの周期性が無くなると共にその動き自体も略々無くなったことを検出したような場合、動作状況判定部30は、歩行や走行していたユーザが一時的に止まったことにより携帯電話端末の移動も一時的に停止した動作状況になったことを検知する。その後、周期性のある動きが検出されるようになり、さらに動きの周期の時間間隔、各動きの方向、各動きの方向変化のパターン、各動きの大きさなどが、歩行や走行用に予め決められた何れかの動作パラメータと略々適合することになった場合、動作状況判定部30は、一時的に止まっていたユーザが歩行や走行を再開したことにより携帯電話端末の移動も再開された動作状況になったことを把握する。
【0041】
また例えば、距離通知音楽再生制御プログラムが起動された後、上述した歩行や走行による動作状況が検知される前や、歩行や走行による動作状況の停止から予め決めた一定時間が経過しても歩行や走行による動作状況の再開が検知されなかった場合、動作状況判定部30は、ユーザが完全に移動を止めたことにより携帯電話端末の移動も完全に止まっている動作状況であると把握する。
【0042】
さらに例えば、上述した歩行や走行による動作状況や一時的な移動停止による動作状況、完全に止まっている動作状況を除く、他の動きが検知されている場合、動作状況判定部30は、携帯電話端末が当該他の動きの動作状況にあることを把握する。
【0043】
上記動作状況判定部30は、上述のようにして動作状況を把握すると、その動作状況が、予め決めた所定の動作状況であるか判断する。すなわち本実施形態の場合、動作状況判定部30は、上記所定の動作状況として、ユーザが歩行や走行していることによる動作状況であるか判断する。そして、動作状況が所定の動作状況であることを検知すると、動作状況判定部30は、その動作状況判定の際に検出した各動作パラメータを動作状況把握情報として、移動速度演算部31へ送る。
【0044】
移動速度演算部31は、制御・演算部10内に形成された機能ブロックの一つであり、上記動作状況判定部30から上記歩行や走行による所定の動作状況についての動作状況把握情報(各動作パラメータ)を基に、携帯電話端末の移動速度を算出する。
【0045】
ここで、一般に、人が歩行している場合と走行している場合とでは各々の歩幅は異なり、身長や股下長によってもそれらの歩幅は異なる。また、人が歩行している場合、その時の走行速度によって歩幅は変化し、同様に、人が走行する場合にも、その時の走行速度によって歩幅は変化することになる。すなわち、歩幅は人が歩行している場合よりも走行している場合の方が広くなり、また、歩行速度や走行速度が変わればそれぞれ歩幅も変わることになる。
【0046】
また、人が歩行している場合、その時の歩行速度によって一歩分当たりの時間(つまり周期)は異なり、同様に、人が走行している場合にも、その時の走行速度によって一歩分当たりの時間(周期)は異なる。すなわち、一歩分当たりの時間(周期)は、歩行速度や走行速度が速くなれば短くなる傾向にあり、逆に歩行速度や走行速度が遅くなれば長くなる傾向にある。
【0047】
またさらに、人が歩行している場合、その時の歩行速度によって一歩当たりの動きにかかる大きさ(加速度)は異なり、同様に、人が走行している場合にも、その時の走行速度によって一歩当たりの動きにかかる大きさ(加速度)も異なる。すなわち、一歩当たりの動きにかかる大きさ(加速度)は、歩行速度や走行速度が速くなれば大きくなる傾向にあり、逆に歩行速度や走行速度が遅くなれば小さくなる傾向にある。
【0048】
言い換えると、歩行時や走行時の一歩分当たりの時間(周期)や一歩当たりの動きにかかる大きさ(加速度)が判れば、歩行時や走行時における大凡の速度を推測することが可能となる。
【0049】
これらのことから、移動速度演算部31は、上記動作状況判定部30から供給された動作状況把握情報による歩行や走行による一歩分当たりの時間(周期)と、同じく上記動作状況把握情報による当該周期的な動きの大きさと、歩行や走行に対して予め決められた歩幅とを基にして、歩行時や走行時の移動速度を算出する。なお、歩行や走行に対して予め決められた歩幅としては、例えば、平均的な男性や女性の歩幅、性別と身長(股下長)別に用意された複数の歩幅の中からユーザが自身の性別と身長(股下長)に適合させて選択した歩幅、或いは、ユーザが任意に入力設定した歩幅の何れかを用いることができる。
【0050】
一例を挙げて具体的に説明すると、移動速度演算部31は、上記動作状況把握情報による歩行や走行による一歩分当たりの時間(周期)と、同じく上記動作状況把握情報による周期的な動きの大きさとを基に、大凡の移動速度を推測し、さらにその推測した移動速度を基に、歩行や走行時の歩幅を調整する。そして、移動速度演算部31は、一歩分の周期を基に単位時間当たりの歩数を算出し、その単位時間当たりの歩数と上記調整後の歩幅とから、単位時間当たりの移動距離、つまり移動速度を算出する。
【0051】
移動速度演算部31は、例えば上述のようにして算出した移動速度の情報を、移動距離算出部32へ送る。
【0052】
移動距離算出部32は、制御・演算部10内に形成された機能ブロックの一つであり、上記移動速度算出部31により求められた移動速度値を積分し、その積分値による移動距離を算出する。すなわち、移動距離算出部32では、ユーザが歩行や走行することに伴って携帯電話端末が移動した距離が算出されることになる。
【0053】
なお、ユーザが一時的に歩行や走行を止めたような場合、上記動作状況判定部30からの上記動作状況把握情報の出力も停止する。このため、上記ユーザが一時的に歩行や走行を止めた場合、移動速度演算部31では移動速度の演算が一時的に停止され、また、移動距離算出部32でも移動距離の算出が一時的に停止されることになる。そして、その後ユーザが歩行や走行を再開したような場合、上記動作状況判定部30からは上記動作状況把握情報の出力が再開され、このため、移動速度演算部31では移動速度の演算も再開される、移動距離算出部32でも移動距離の算出が再開される。またこの場合の移動距離算出部32では、ユーザが一時的に歩行や走行を停止する前に求めた移動距離に対し、上記歩行や走行を再開した後の移動距離を加算するような処理を行う。
【0054】
当該移動距離算出部32により求められた移動距離の情報は、再生リスト変更判定部33へ送られる。
【0055】
再生リスト変更判定部33は、上記移動距離算出部32にて求められた移動距離と、予め設定された距離判定閾値とを比較し、上記移動距離が距離判定閾値を更新した時点で、後段の音楽再生リスト制御部34へ再生リストの変更通知を送出する。なお、距離判定閾値は、例えば、予めユーザにより任意に入力設定されたり、予め用意された複数の距離判定閾値からユーザにより任意に選択設定されたり、距離通知音楽再生制御プログラムにより推奨値として設定される値である。
【0056】
一方、音楽再生部35は、制御・演算部10内に形成された機能ブロックの一つであり、音楽再生リスト制御部34による制御の基で、メモリ部15のデータ格納部16aに格納されている楽曲データを読み出して音楽信号を再生し、その音楽信号をスピーカ20又はイヤホン出力部21から出力する。
【0057】
音楽再生リスト制御部34は、制御・演算部10内に形成された機能ブロックの一つであり、メモリ部15のデータ格納部16aに格納されている楽曲リストやプレイリストの再生リスト情報を基に、音楽再生部35における音楽の再生動作を制御する。すなわち、例えば楽曲リストやプレイリストが登録されており、その楽曲リスト順やプレイリストを再生する旨の設定がなされているような場合、音楽再生リスト制御部34は、音楽再生部35における音楽再生をそれら再生リストに応じて行わせる。なお、例えば、ランダム再生の設定がなされているような場合、音楽再生リスト制御部34は、音楽再生部35における音楽再生を当該ランダムに行わせることもできる。
【0058】
また、本実施形態の距離通知音楽再生制御プログラムの実行により、移動距離の算出及びその移動距離に応じた再生音楽の自動切り替え制御が行われる場合、音楽再生リスト制御部34は、上記再生リスト変更判定部33から再生リストの変更通知を受け取ると、それに従って再生リストを変更する。そして、音楽再生リスト制御部34は、音楽再生部35における音楽再生を、当該変更した再生リストに応じて行わせる。
【0059】
これにより、音楽再生部35では、当該変更された再生リストによる音楽再生が行われることになる。すなわち、音楽再生部35において再生される音楽は、ユーザの移動に伴う本実施形態の携帯電話端末の移動距離が上記距離判定閾値を更新する毎に、自動的に切り替えられることになる。
【0060】
なお、再生音楽の切り替えの際には、例えば、切り替え前の再生リストの曲をフェードアウトする一方で切り替え後の新しい再生リストの曲をフェードインするような切り替え手法を用いることができる。もちろん、切り替え前の再生リストの曲が終了した後に新しい再生リストの曲へ切り替えるようにしてもよい。但しその場合、移動距離が距離判定閾値を更新したタイミングと、曲の切り替わりのタイミングは多少ずれる虞もある。
【0061】
[再生リストの設定と移動距離の設定]
図3の(A)には、移動距離に応じて再生音楽を切り替える機能のオン/オフの設定及び詳細設定をユーザが行うためのユーザインターフェース画面例(メニュー画面例)を示す。また、図3の(B)には、詳細設定例として、ユーザが距離判定閾値の距離を設定し、また、当該距離判定閾値の距離に応じて切り替えられる再生リスト(楽曲やプレイリスト)をユーザが行うためのユーザインターフェース画面例(メニュー画面例)を示す。
【0062】
図3の(A)に示すように、本実施形態の携帯電話端末において、距離通知音楽再生制御プログラムの実行時に、移動距離に応じて再生音楽を切り替える機能のオン/オフは、ユーザにより任意に設定可能となされている。すなわち、本実施形態において、移動距離通知再生機能の設定メニュー画面上には、当該機能のオン/オフを設定するためのアイコンが用意され、ユーザは、例えば操作部14を通じて当該アイコンを操作することにより、移動距離通知再生機能の設定メニュー画面上で“オン”と“オフ”の何れかを設定可能となされている。なお、このメニュー画面上で“オン”が選ばれた場合、距離通知音楽再生制御プログラムの実行時において、移動距離に応じた再生音楽の切り替え機能が有効となる。また、このメニュー画面には、詳細設定メニュー画面へ移行するためのアイコンも用意されており、ユーザにより操作部14を通じて当該詳細設定アイコンが選択されると、本実施形態の携帯電話端末は図3の(B)のメニュー画面へ遷移する。
【0063】
図3の(B)のメニュー画面には、設定番号と、各設定番号毎に設定される距離と再生リストが表示される。各距離の値は、ユーザが操作部14を通じて任意に入力したり、或いは、複数の距離の値の中からユーザが操作部14を通じて所望の距離の値を選択することにより設定される。また、再生リストの楽曲やプレイリストについても、ユーザが操作部14を通じて任意に入力したり、或いは、複数の楽曲やプレイリストの中からユーザが操作部14を通じて所望の楽曲やプレイリストを選択することにより設定される。
【0064】
なお、図3の(B)の例では、設定E1として、距離が“1000”メートルに設定されると共に再生リストが“楽曲MA”に設定され、設定E2として、距離が“5000”メートルに設定されると共に再生リストが“プレイリストPA”に設定され、設定E3として、距離が“10000”メートルに設定されると共に再生リストが“楽曲MB”に設定され、それ以降は何も設定されていない例を挙げている。これらの各種設定情報は、メモリ部15のデータ格納部16bに登録される。
【0065】
この図3の(B)に示した詳細設定値が登録されている場合、その後、後述するように距離通知音楽再生制御プログラムが起動され、例えばユーザが歩行や走行を開始した後、移動距離が1000メートルになると、本実施形態携帯電話端末の制御・演算部10は、自動的に楽曲MAを再生する。次に、移動距離が5000メートルになった場合、制御・演算部10は、自動的にプレイリストPAの再生を開始し、その後、移動距離が10000メートルになった場合には、自動的に楽曲MBの再生を開始する。
【0066】
なおこの例のように、設定E3の後に何も設定されていない場合、上記移動距離が10000メートルになって楽曲MBの再生が開始された後は、そのまま楽曲MBを繰り返し再生しつづけても良いし、楽曲MBが終わった時点で音楽再生を停止してもよい。その他の設定として、設定E1から設定E3を繰り返すような設定であってもよい。
【0067】
また、図3の例は、歩行と走行による移動を区別していないが、歩行時にのみ有効となされる移動距離通知再生機能のオン/オフの設定及び詳細設定や、走行時にのみ有効となされる移動距離通知再生機能のオン/オフの設定及び詳細設定も可能である。この場合、例えば移動距離通知再生機能のオンの設定及び詳細設定が歩行時にのみ有効となされていたとすると、走行時には移動距離に応じた再生音楽の切り替えは行われず、一方、例えば移動距離通知再生機能のオンの設定及び詳細設定が走行時にのみ有効となされていたとすると、歩行時には移動距離に応じた再生音楽の切り替えは行われないことになる。
【0068】
また、歩行時と走行時とで移動距離通知再生機能の詳細設定内容を異ならせるようなことも可能である。この場合、同じ距離を移動した場合であっても、歩行時と走行時とで異なる音楽やプレイリストを再生するようなことが可能となり、或いは、歩行時に再生リストが切り替わる距離と、走行時に再生リストが切り替わる距離をそれぞれ異ならせるようなことも可能となる。
【0069】
[距離通知音楽再生制御プログラム実行時の動作制御フロー]
図4〜図8には、距離通知音楽再生制御プログラムの実行による本実施形態携帯電話端末の制御・演算部10の動作制御フローを示す。
【0070】
先ず、距離通知音楽再生制御プログラムが起動されると、制御・演算部10は、ステップS1の処理として、既に移動距離通知再生機能の各詳細設定値が登録されており、その詳細設定値を用いることがユーザにより指示された場合には、その登録済みの詳細設定値を読み込む。また、ステップS1において、移動距離通知再生機能の詳細設定値が登録されていない場合、制御・演算部10は、前述した図3のような設定メニュー画面を表示部13のディスプレイ上に表示させ、各詳細設定値の入力をユーザへ求める。そして、制御・演算部10は、ステップS1において登録済みの詳細設定値等の読み込み、或いは、操作部14を通じてユーザから新規な詳細設定値等の入力がなされると、ステップS2へ処理を進める。
【0071】
ステップS2の処理に進むと、制御・演算部10は、距離通知音楽再生を開始する指示が、ユーザから操作部14を介して入力されたか否か監視し、入力された時にはステップS3へ処理を進める。
【0072】
ステップS3の処理に進むと、制御・演算部10は、モーションセンサ23からの出力信号を取得し、ステップS4へ処理を進める。
【0073】
ステップS4の処理に進むと、制御・演算部10は、前述の図2に示した動作状況判定部30の機能により、ユーザ(つまり端末)は、歩行や走行によって移動している所定の動作状況にあるか否か判定する。そして、制御・演算部10は、歩行や走行による移動の所定動作状況にないと判定している場合にはステップS3へ処理を戻し、歩行や走行による移動の所定動作状況にあると判定した場合にはステップS5へ処理を進める。
【0074】
ステップS5の処理に進むと、制御・演算部10は、距離通知音楽再生処理の実行を開始する。図5には、当該図4のステップS5における距離通知音楽再生処理の詳細な流れを示す。
【0075】
上記図4のステップS4にて、歩行や走行による移動にかかる所定の動作状況であると判定してステップS5の処理に進むと、制御・演算部10は、動作状況判定部30の機能により求めた前述の動作状況把握情報(各動作パラメータ)を基に、図2の移動速度演算部31の機能によりユーザ(端末)の歩行や走行による移動速度を算出する。
【0076】
そして、制御・演算部10は、ステップS7の処理として、図2の移動距離算出部32の機能により、上記移動速度の情報を基に移動距離を算出する。
【0077】
次に、制御・演算部10は、ステップS8の処理として、図2の再生リスト変更判定部32の機能により、移動距離に応じた再生リスト変更の判定処理と、図2の音楽再生リスト制御部34及び音楽再生部35の機能により、上記再生リスト変更の判定結果に応じた音楽再生処理を行う。当該図5のステップS8における移動距離に応じた再生リスト変更の判定処理と、再生リスト変更の判定結果に応じた音楽再生処理の詳細な流れの具体例について、図6〜図9を用いて説明する。
【0078】
図6〜図9に示したフローチャートは、前述した図3の(B)に示した詳細設定がなされていた場合を例に挙げた処理の流れを示している。
【0079】
図6において、制御・演算部10は、再生リスト変更判定部32の機能により、ステップS20として、移動距離が前述の設定E1の距離(“1000”メートル)以上になったか判定する。当該ステップS20において、移動距離が設定E1の距離値未満である場合、制御・演算部10は、図4のステップS3へ処理を戻す。一方、移動距離が設定E1の距離値以上になったと判定した場合、制御・演算部10は、ステップS21へ処理を進める。
【0080】
ステップS21の処理に進むと、制御・演算部10は、音楽再生リスト制御部34の機能により、再生リストを楽曲MAに変更し、次いで、ステップS22の処理として、音楽再生部35の機能により、その楽曲MAの再生を行う。その後、制御・演算部10は、図4のステップS3へ処理を戻す。
【0081】
次に、図7において、制御・演算部10は、再生リスト変更判定部32の機能により、ステップS23として、移動距離が前述の設定E2の距離(“5000”メートル)以上になったか判定する。当該ステップS23において、移動距離が設定E2の距離値未満である場合、制御・演算部10は、図4のステップS3へ処理を戻す。一方、移動距離が設定E2の距離値以上になったと判定した場合、制御・演算部10は、ステップS24へ処理を進める。
【0082】
ステップS24の処理に進むと、制御・演算部10は、音楽再生リスト制御部34の機能により、再生リストをプレイリストPAに変更し、次いで、ステップS25の処理として、音楽再生部35の機能により、そのプレイリストPA内の各楽曲の再生を行う。その後、制御・演算部10は、図4のステップS3へ処理を戻す。
【0083】
次に、図8において、制御・演算部10は、再生リスト変更判定部32の機能により、ステップS26として、移動距離が前述の設定E3の距離(“10000”メートル)以上になったか判定する。当該ステップS26において、移動距離が設定E3の距離値未満である場合、制御・演算部10は、図4のステップS3へ処理を戻す。一方、移動距離が設定E3の距離値以上になったと判定した場合、制御・演算部10は、ステップS27へ処理を進める。
【0084】
ステップS27の処理に進むと、制御・演算部10は、音楽再生リスト制御部34の機能により、再生リストを楽曲MBに変更し、次いで、ステップS28の処理として、音楽再生部35の機能により、その楽曲MB内の各楽曲の再生を行う。その後、制御・演算部10は、図4のステップS3へ処理を戻す。
【0085】
次に、図9において、制御・演算部10は、再生リスト変更判定部32の機能により、ステップS29として、さらに設定値が登録されているか判定する。なお、当該ステップS29において、さらに設定値が登録されていた場合には、このフローチャートでは省略している次の設定値の処理に遷移することになる。一方、これ以上の設定値の登録がなされていないと判定した場合、制御・演算部10は、ステップS30へ処理を進める。
【0086】
ステップS30の処理に進むと、制御・演算部10は、音楽再生リスト制御部34の機能により、再生リストを“無し”に変更し、次いで、ステップS31の処理として、音楽再生部35の機能における音楽再生を停止する。その後、制御・演算部10は、図5のステップS9へ処理を進める。
【0087】
図5に戻り、制御・演算部10は、ステップS9の処理に進むと、例えば操作部14を介してユーザから距離通知音楽再生の終了を指示する入力がなされたか否か判定し、入力がなされた時にはステップS10の処理として距離通知音楽再生アプリケーションを終了させる。
【0088】
[他の例]
本実施形態では、距離に応じて切り替えられる音楽の再生リストをユーザが設定した例を挙げたが、例えば、制御・演算部10が楽曲のデータベースをシャッフル等して、移動距離に応じた再生リストを自動的に作成するようにしてもよい。他の例として、移動距離に応じて、曲のジャンルやステレオチャンネル、音場を切り替えるようにしたり、再生音楽から他の音への切り替え、例えばラジオの音や英会話等の教材の音への切り替えなどを行うことも可能である。すなわちこの場合、本実施形態にかかる再生リストは、音楽やプレイリストだけでなく、曲のジャンルやステレオチャンネル、音場、音楽以外の他の音(例えばラジオの音や英会話等の教材の音)などを含むものとなる。
【0089】
また本実施形態では、モーションセンサによる検知信号を基に、ユーザの歩行や走行による所定の動作状況であるか否か判定した例を挙げたが、例えば、ワイヤレスLAN等の近距離無線通信用のアクセスポイントが例えばユーザの移動により切り替わることを検知することにより、所定の動作状況であるか否かを判定してもよい。すなわちこの例の場合、距離通知音楽再生アプリケーションが起動し、移動距離通知再生機能を実行している時に、アクセスポイントが切り替わった場合、動作状況判定部30は、ユーザの移動により携帯電話端末が移動している動作状況であると判定する。また、この例の場合、ワイヤレスLAN等のアクセスポイントの設置位置は予め判っているため、移動速度演算部31は、それら切り替わり前後のアクセスポイントの設置位置間の距離と、前回のアクセスポイント切り替わりと今回のアクセスポイント切り替わりの時間差とから、上記距離の移動に要した時間を求め、さらに単位時間当たりの移動距離から移動速度を求めることができる。なお、この例の場合、移動速度は必ずしも必要ないため、移動速度演算部31での演算は省略し、移動距離算出部32において、上記切り替わり前後のアクセスポイントの設置位置間の距離をそのまま移動距離として算出するようにしてもよい。
【0090】
また例えば、ユーザの歩行や走行による所定動作状況であるか否かは、例えばマイクロホン22から取り込んだ外部音により判断することも可能である。例えば、ユーザが歩行や走行している場合、一般に、当該歩行や走行により周期的な音が発生する。また、歩行時と走行時とでは、一般に、上記周期的な音の当該周期の時間間隔、上記周期性のある音の大きさ、上記周期性のある各音の変化のパターンなどがそれぞれ異なっている。さらに、歩行や走行時の速度によって、上記周期の時間間隔、上記音の大きさ、上記音の変化のパターンは異なる。したがって、この例の場合、動作状況判定部30は、マイクロホン22の検出音声を相関分析などにより解析し、上記音に周期性があることを検出した場合には、現在の携帯電話端末の動作状況がユーザの歩行や走行に伴うものである可能性が高いと判定することができる。さらにこの例の場合、動作状況判定部30は、上記解析の結果から、上記音の周期の時間間隔、当該周期性のある音の大きさ、当該周期性のある各音の変化のパターンを示す各動作パラメータが、各々予め決めた様々な歩行パターンに各々対応した複数の動作パラメータの何れに略々適合するか、或いは、各々予め決めた様々な走行パターンに各々対応した複数の動作パラメータの何れに略々適合するかを判断することにより、ユーザがどのように歩行しているか或いはどのように走行しているのかを判定することができる。
【0091】
また例えば、ユーザの歩行や走行による所定動作状況であるか否かは、カメラ部26が撮影している動画像から判断することも可能である。例えば、ユーザが歩行や走行している場合において、例えばユーザの腕や腰、胸部分、或いは鞄などに携帯電話端末を取り付けた状態でカメラ部26のレンズを例えばユーザの身体の側面外側方向や進行方向等に向けて動画像を撮影し、その動画像を解析することにより、ユーザが歩行や走行している時の動作状況を把握することができる。すなわち、ユーザが歩行や走行している場合、上記カメラ部26の撮影動画像は、ユーザの動きに応じて揺れることになり、その揺れは周期性を有することになる。したがって、当該カメラ部26の撮影動画像について、例えば動きベクトル検出などにより求めた動き成分を基に、当該動画像の揺れの周期性、当該周期の時間間隔、動画像の揺れの大きさ、動画像の揺れの変化のパターンなどを求め、それらから、ユーザが歩行や走行していることによる所定の動作状況の有無を判定することができる。より具体的に説明すると、この例の場合、動作状況判定部30は、カメラ部26による動画像の動きを、動きベクトル検出などにより解析し、当該動画像の動きに周期性があることを検出した場合には、現在の携帯電話端末の動作状況がユーザの歩行や走行に伴うものである可能性が高いと判定することができる。さらにこの例において、動作状況判定部30は、上記解析の結果から、上記動きの周期の時間間隔、当該周期性のある動きのの大きさ、当該周期性のある各動きの変化のパターンを示す各動作パラメータが、各々予め決めた様々な歩行パターンに各々対応した複数の動作パラメータの何れに略々適合するか、或いは、各々予め決めた様々な走行パターンに各々対応した複数の動作パラメータの何れに略々適合するかを判断することにより、ユーザがどのように歩行しているか或いはどのように走行しているのかを判定することができる。
【0092】
[まとめ]
以上説明したように、本実施形態によれば、モーションセンサ等の出力信号によりユーザの歩行や走行のような所定動作状況を検知し、当該所定動作状況による移動の距離を求めている。すなわち本実施形態の携帯電話端末は、モーションセンサ等のように既に広く実用化されている携帯電話端末の機能を利用することにより、例えばGPS機能の使用や膨大な地図データを使用することなく、簡単且つ容易に距離を算出することができる。さらに、本実施形態によれば、その移動距離により再生音楽を自動的に切り替えるようになされているため、ユーザは音楽を楽しみつつ、例えばディスプレイ画面等を確認するような作業を要せずに、散歩やジョギング等によりどの程度の距離を移動したのかをリアルタイム且つ容易に知ることができるようになる。
【0093】
なお、上述した実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した各実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。例えば、上述の実施形態では、ユーザが所持する携帯情報端末として携帯電話端末を挙げているが、本発明の携帯情報端末は、例えばPDA(Personal Digital Assistant)やウェアラブルパーソナルコンピュータ、携帯ゲーム機、携帯型デジタルテレビジョン受信機、携帯ナビゲーション端末などであってもよい。
【符号の説明】
【0094】
10…制御・演算部、11…通信回路、12…通信アンテナ、13…表示部、14…操作部、15…メモリ部、16…内蔵メモリ、16a…プログラム格納部、16b…データ格納部、17…カード状メモリ、20…スピーカ、21…イヤホン出力部、22…マイクロホン、23…モーションセンサ、24…近距離無線通信部、25…近距離無線通信用のアンテナ
30…動作状況判定部、31…移動速度演算部、32…移動距離算出部、33…再生リスト変更判定部、34…音楽再生リスト制御部、35…音楽再生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生リストに従って音楽を再生して出力する音楽再生部と、
自端末の現実空間内における動きを検知するとともに、その検知した動きを基に、現実空間内を自端末が移動している動作状況か否かを把握する動作把握部と、
上記現実空間内を自端末が移動する動作状況であると上記動作把握部が把握した場合に、上記動作把握部から供給される上記自端末の移動による動作情報を基に、現実空間内における自端末の移動距離を求める距離演算部と、
上記距離演算部にて求められた移動距離と、予め設定された距離判定閾値とを比較し、上記移動距離が距離判定閾値を更新したか否か判定する閾値判定部と、
上記閾値判定部にて上記移動距離が距離判定閾値を更新したと判定した時、上記音楽再生部にて再生される音楽再生リストを変更する再生リスト制御部と、
を有する携帯情報端末。
【請求項2】
上記動作把握部は、自端末に加えられた外力を検知するモーションセンサを有し、上記モーションセンサが検知した外力の検知信号を基に、現実空間内を自端末が移動する動作状況であるか否かを判定する請求項1記載の携帯情報端末。
【請求項3】
上記距離演算部は、上記動作把握部から供給される上記動作情報を基に、自端末の移動速度を算出し、その移動速度の積分値により上記移動距離を算出する請求項1又は請求項2記載の携帯情報端末。
【請求項4】
上記閾値判定部は、それぞれ異なる複数の距離判定閾値を有し、上記距離演算部にて求められた移動距離と上記複数の各距離判定閾値とを比較し、
上記再生リスト制御部は、上記閾値判定部にて上記移動距離が上記複数の各距離判定閾値を更新したと判定する毎に、上記音楽再生部にて再生される音楽の再生リストを変更する請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の携帯情報端末。
【請求項5】
音楽再生部が、再生リストに従って音楽を再生して出力するステップと、
動作把握部が、自端末の現実空間内における動きを検知するとともに、その検知した動きが、現実空間内を自端末が移動する動作状況であるか否かを判定するステップと、
上記現実空間内を自端末が移動する動作状況であると上記動作把握部が判定した場合に、距離演算部が、上記動作把握部から供給される上記自端末の移動による動作情報を基に、現実空間内における自端末の移動距離を求めるステップと、
閾値判定部が、上記距離演算部にて求められた移動距離と、予め設定された距離判定閾値とを比較し、上記移動距離が距離判定閾値を更新したか否か判定するステップと、
上記閾値判定部にて上記移動距離が距離判定閾値を更新したと判定した時、再生リスト制御部が、上記音楽再生部にて再生される音楽の再生リストを変更するステップと、
を有する携帯情報端末の制御方法。
【請求項6】
再生リストに従って音楽を再生して出力する音楽再生処理と、
自端末の現実空間内における動きを検知するとともに、その検知した動きが、現実空間内を自端末が移動する動作状況であるか否かを判定する動作把握処理と、
上記現実空間内を自端末が移動する動作状況であると上記動作把握処理にて判定した場合に、上記動作把握処理時に生成した上記自端末の移動による動作情報を基に、現実空間内における自端末の移動距離を求める距離演算処理と、
上記距離演算処理にて求められた移動距離と、予め設定された距離判定閾値とを比較し、上記移動距離が距離判定閾値を更新したか否か判定する閾値判定処理と、
上記閾値判定処理にて上記移動距離が距離判定閾値を更新したと判定した時、上記音楽再生処理にて再生される音楽の再生リストを変更する再生リスト変更制御処理と、
を携帯情報端末に実行させる制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−278965(P2010−278965A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132057(P2009−132057)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】