説明

携帯情報端末、端末位置把握システム及び端末位置把握方法

【課題】本発明は、利用者が利用する端末の位置を取得できる携帯情報端末を提供する。
【解決手段】携帯電話機1は、携帯電話網を介して無線通信を行い、また、災害発生通報を受信する無線通信部16と、自機の所在などを示すGPS情報を取得するGPS受信部23と、災害発生通報を取得した場合に、報知音により報知を行う報知制御部18と、入力部14に、報知停止指示、又は隣接する携帯電話機の所在情報を受信許可する旨の指示が入力された場合に、近距離無線により他の端末に自機の所在を示す情報を送信し、かつ他の端末から他の端末に係る所在を示す情報を受信して記憶部25に記憶させるよう制御する情報交換手段としての制御部26を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線による通信機能を有する携帯情報端末に関し、特に、災害発生時に、端末の位置を把握する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模な災害が発生した場合に、災害を受けた者の所在を確認することは非常に重要である。近年、携帯電話機などの携帯情報端末が普及しているので、例えば所有者の1人が居る地域が災害により大きな被害を受けた場合に、その地域で災害が発生したことを、テレビ、ラジオなどの報道によらずとも、即時に災害発生地域以外に居る家族、親類などにも通知できる(特許文献1参照)。通知を受けた家族、親類は、速やかに救助隊に救助を求めるなどの対処が可能である。
【0003】
ここで、携帯電話機の所有者が、災害発生時に身体がガレキに挟まれるなどして身動きがとれなくなり、また何らかの原因で気絶するなど、自ら携帯電話機を使用して連絡を取れなくなる場合(要救助者)も考えられる。この場合でも、要救助者の家族、親類などの携帯電話機が、要救助者の携帯電話機が保持する位置情報を公衆通信網を通じて取得すれば、その位置情報により示される位置を示して救助隊に救助を求めることができる。
【0004】
しかしながら、災害発生により携帯電話網など公衆通信網が寸断されると、携帯電話機相互で公衆通信網による通信はできなくなってしまい、上述のように救助を求めることができなくなる。
このような場合、公衆通信網に代えて、携帯電話機が備える無線技術、例えば近距離無線などを利用することも考えられる。近距離無線を用いた通信では、通信できる範囲は100m程度に限られるが、その通信をするのに基地局(公衆通信網)は不要である。近距離無線の一例としてのBluetoothを用いたネットワークでは、通信範囲内に存在する他の機器を検知することができる。したがって、通信範囲内(端末を中心として100m程度の範囲)において、検知された機器を捜索すれば、携帯電話機及びその近辺に居るであろう要救助者を発見し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−117985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、無線の通信範囲内に存在する他の携帯電話機との間でネットワークを構築する場合、救助隊は、ネットワーク内の携帯電話機が要救助者の利用するものなのか、救助する必要のない者の携帯電話機なのか区別ができないという問題がある。よって、ネットワーク内の機器を1台1台全て捜索し、救助する必要のない者の携帯電話機についても捜索することになってしまうので、真に救助を要する要救助者の捜索が遅れてしまう。また、ネットワーク内の携帯電話機は、救助不要者、要救助者のもののいずれであるかを問わず、情報を交換することになるので、要救助者の携帯電話機のバッテリが浪費され、ネットワークで連絡を取り合える時間が短くなったり、通信帯域の圧迫されるなどの問題が生じ得る。
【0007】
上記の課題に鑑み、本発明は、利用者が利用する端末の位置を取得できる携帯情報端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、無線による通信を行う携帯情報端末であって、災害発生の通報を、公衆送信による受信する通報受信手段と、自機の所在を示す所在情報を取得する情報取得手段と、前記通報が受信された後の第1の所定時間内にユーザ操作がなかった場合に、前記無線により他の端末に前記所在情報を送信し、他の端末から受信した所在情報を記憶する送信手段とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の携帯電話機は、上述の構成を備えることにより、利用者が利用する端末の位置を取得できる携帯情報端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る災害時端末位置把握システムの構成の概略を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る携帯電話機の外観斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る携帯電話機の内部構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る所在情報DBの一例である。
【図5】本発明の一実施形態に係る情報読出端末の内部構成を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る携帯電話機による災害時処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る情報読出端末による災害時処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係るディスプレイに表示される地図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.概要
本発明の一実施の形態に係る災害時端末位置把握システムは、災害の発生の影響などで基地局が使用不能となり、また携帯電話網が使用不能となった場合に、携帯電話機の利用者の位置を把握するためのシステムである。このシステムによれば、例えば、災害が発生した場合に、要救助者について、救助隊がその携帯電話機の位置を把握することにより、その携帯電話機の近辺に居る要救助者を救助することができる。ここで、要救助者とは、災害の影響で建物が崩壊し、携帯電話機の利用者であってその身体の一部がガレキに挟まれて身動きとれなくなった者など、救助が必要であるにも拘わらず何らかの要因により自身が所有する携帯電話機を操作することができない状態になった者などを想定している。
【0012】
図1は、災害時端末位置把握システムの構成の概略を示す図である。
災害時端末位置把握システムは、携帯情報端末の一例としての携帯電話機1〜3、情報読出端末4、携帯電話網を構成する基地局5を含んで構成される。携帯電話網は、一般的な携帯電話網であり、基地局5その他の基地局、移動電話交換局なども含んでいる。携帯電話網については、構成などは既知であり説明を省略する。
【0013】
携帯電話機1〜3は、災害発生時に救助対象となり得る利用者が所有する携帯電話機である。本実施の形態では、携帯電話機1〜3の所有者のうち、携帯電話機3の所有者が要救助者であり、携帯電話機1及び2の所有者は要救助者であるとする。また、携帯電話機1及び2は、無線範囲内に存在し直接相互に無線通信できるものとする。なお、本実施形態では、無線として、その無線範囲が概ね最大百メートル程度の近距離無線を利用する場合を例に説明する。もちろん本発明に利用される無線として近距離無線に限定されるものではないし、無線範囲が概ね最大百メートル程度に限定されるものでもなくそれ以上若しくは以下の無線範囲であっても適宜利用可能である。
【0014】
また、携帯電話機2及び3も、近距離無線範囲内に存在し直接相互に近距離無線通信できるものとする。そして、携帯電話機1及び3は、近距離無線範囲外に位置し、直接近距離無線通信はできない状況であるとする。
なお、一の携帯電話機について、直接、近距離無線により通信ができる携帯電話機を隣接携帯電話機という。本実施の形態では、携帯電話機2が、携帯電話機1の隣接携帯電話機であり、携帯電話機1及び携帯電話機3が携帯電話機2の隣接携帯電話機である。
【0015】
携帯電話機1〜3は、通常時(災害時でない場合)には、一般的な携帯電話機と同様に、基地局5などの基地局を介して携帯電話網を用い相互に通話、データ送受信のため通信をしている。災害が発生し、その影響で基地局が使用不能となった場合に、携帯電話機1〜3は、近距離無線を用い自機の所在情報を交換する。交換される所在情報は、一例として、GPS(Global Positioning System)から軌道情報と時報とを受信して生成する経度、緯度及び時刻を示す情報を含む。
【0016】
具体的には、災害が発生した場合、要救助者が利用する携帯電話機3は、一定条件下で、自機の所在情報を隣接携帯電話機である携帯電話機2に送信する。一定条件とは、例えば、所定のユーザ操作がないことである。携帯電話機3は、緊急地震速報などの災害発生の通報を受信した場合に、まず自機の利用者に対し報知音による報知を行う。なお、緊急地震速報は、携帯電話の場合、例えばショートメッセージサービスの同報配信方式であるCBS(Cell Broadcast Service)を用いて配信される。なお、配信方式として、ETWS(Earthquake and Tsunami Warning System)やその他の方式を適宜用いることも可能である。その後に、利用者が報知を停止する指示(報知停止指示)を入力(ユーザ操作)しない場合に、上述の一定条件を満たすことになる。この場合には、携帯電話機3の利用者は、何らかの要因により携帯電話機3を操作できない状況であるので、要救助者であると推定される。
【0017】
携帯電話機1〜3は、災害発生時の自機の動作状態を示す状態フラグを保持している。状態フラグは、要救助フラグと、援助フラグを含む。要救助者の携帯電話機は、上述の一定条件を満たした場合、要救助フラグをセットする。
携帯電話機1及び2も、携帯電話機3と同様に、災害発生の通報を受信した場合に、まず自機の利用者に対し報知音による報知を行う。携帯電話機1及び2の利用者は、報知を停止する指示を入力する。この場合には、携帯電話機1及び2の利用者は、携帯電話機1及び2を操作できる状況であり、要救助者ではないと推定される。よって、携帯電話機1及び2は、自機の所在情報を他の携帯電話機に送信はしない。
【0018】
ここで、携帯電話機1及び2は、他携帯電話機の位置の把握に関する援助を行うか否か選択するよう利用者に促す。援助を行うか否かは、利用者の意思によるべきだからである。
一例として、携帯電話機1及び2は、他の携帯電話機からの所在情報の受信を許可するか否か選択するよう利用者に促す表示を行う。携帯電話機1及び2は、所在情報の受信の許可を示す受信許可指示の入力を取得した場合、他携帯電話機の位置の把握に関し援助するため動作する。このとき、携帯電話機1及び2は、上述の援助フラグをセットする。援助フラグがセットされた携帯電話機は、他の携帯電話機からその所在情報を受信すると、自機の所在情報を他携帯電話機に送信する。
【0019】
ここで、携帯電話機1及び2は、隣接携帯電話機からその所在情報を受信するまでは、自ら自機(携帯電話機1)の所在情報を送信することはしない。これにより、所在情報の送受信量を減らして通信帯域の確保に寄与し、また、バッテリの浪費低減を図ることができる。
また、携帯電話機1〜3は、自機の所在情報を他携帯電話機に送信する際に、要救助者のものである場合、要救助フラグを付し、援助者のものである場合、要救助フラグは付さないことで、隣接携帯電話機が、要救助者のものか否かを判別可能にしている。
【0020】
ここで、携帯電話機1及び2が、受信許可指示の入力を取得する場合における各携帯電話機の所在情報の流れについて概説する。
災害が発生した場合、携帯電話機3が、隣接携帯電話機である携帯電話機2に自機(携帯電話機3)の所在情報を要救助フラグを付して送信する。携帯電話機2は、他機(携帯電話機3)から所在情報を受けたので、隣接携帯電話機である携帯電話機1及び3に自機(携帯電話機2)の所在情報を送信する。携帯電話機1は、他機から所在情報を受けたので、隣接携帯電話機である携帯電話機2に自機(携帯電話機1)の所在情報を送信する。
【0021】
この状態において、情報読出端末4を所持した救助隊により行方不明者の捜索が行われる。情報読出端末4は、近距離無線通信で通信できる携帯電話機を捜索する。ここで、情報読出端末4が、携帯電話機1との間で近距離無線通信が成功したとする。情報読出端末4は、携帯電話機1から携帯電話機1の所在情報及び付されている場合は要救助フラグを得る。救助隊は、その所在情報が示す位置へと移動し、携帯電話機1を発見する。ここで、携帯電話機1の所在情報には、要救助フラグが付されていないので、携帯電話機1の利用者を救助する必要はないと判断できる。次いで、情報読出端末4は、携帯電話機1から、携帯電話機1が保持している隣接携帯電話機(携帯電話機2)の所在情報を得る。そして、その所在情報が示す位置へと移動する。携帯電話機2についても、所在情報に要救助フラグが付されていないことから利用者の救助をする必要はないと判断できる。そして、情報読出端末4は、携帯電話機2から、携帯電話機2が保持している隣接携帯電話機(携帯電話機3)の所在情報を得る。そして、その所在情報が示す位置へと移動する。この所在情報には、要救助フラグが付されているので、救助隊は、携帯電話機3の近辺に居るはずの携帯電話機3の利用者を捜索する。そして、携帯電話機3の利用者である要救助者を救助することができる。
【0022】
以上のように、情報読出端末4の利用者(救助者)は、携帯電話機1と通信が可能となったことにより、所謂芋づる式に、携帯電話機1の位置、携帯電話機2の位置、携帯電話機3の位置の順に把握することができる。
なお、本実施の形態では、近距離無線は一例としてBluetooth(登録商標)とするが、基地局等を介さずに相互に通信できる方式であればよく、ZigBee(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)など他の通信方式などを用いてもよい。
【0023】

2.構成
2−1.携帯電話機1〜3
携帯情報端末の一例としての携帯電話機1〜3は、構成、動作について同様のものであるため、以下では、携帯電話機1を例に説明する。
【0024】
携帯電話機1は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などから構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、携帯電話機1は、その機能を達成する。
【0025】
図2は、携帯電話機1の外観斜視図である。
図3は、携帯電話機1の内部構成を示す図である。
携帯電話機1は、外観的には、図1に示すように、マイクロフォン11、レシーバ12、ディスプレイ13、入力部14を含んで構成される。
また、携帯電話機1は、内部構成としては、図2に示すように、マイクロフォン11、レシーバ12、ディスプレイ13、入力部14、通信アンテナ15、無線通信部16、信号処理部17、報知制御部18、スピーカ19、近距離無線アンテナ20、近距離無線通信部21、GPSアンテナ22、GPS受信部23、表示制御部24、記憶部25、制御部26を含んで構成される。
【0026】
マイクロフォン11は、通話時に、利用者が発する音声を集音して電気信号である通話信号に変換し、その通話信号を信号処理部23に送信する。
レシーバ12は、信号処理部23が生成した音声信号を受信し、受信した音声信号を音声に変換して利用者が受話できるよう拡声する。
ディスプレイ13は、文字、画像などを表示する表示部である。ディスプレイ13は、一例として、液晶ディスプレイであり、表示制御部24から入力される画像信号に基づき、画像信号に係る画像を表示する。
【0027】
入力部14は、利用者が携帯電話機1へ利用者指示を入力するための入力デバイスである。入力部14は、一例としてキーパッド、タッチパネルなどを備えている。利用者は、キーパッド、タッチパネルなどを操作して利用者指示を入力する。入力された利用者指示は制御部26に通知される。
通信アンテナ15は、携帯電話網を構成する基地局(一例として、基地局5)との間の無線通信に用いられるアンテナである。
【0028】
無線通信部16は、通信アンテナ15を介して、基地局との間で通話用、データ通信用などの無線通信を行う。無線通信部16は、基地局から受信した信号を復調してベースバンド信号を生成し信号処理部17に送信し、また、信号処理部17から受信したベースバンド信号を変調して基地局に送信する。
また、無線通信部16は、緊急地震速報など災害の発生を示す災害発生通報を受信する。
【0029】
なお、災害発生通報は、一例として公衆送信によるものであり、例えば、無線通信部16により受信する以外の方法、例えば、テレビ放送、ラジオ放送波、ネットワーク経由で受信するものが含まれる。また、無線通信部16は、災害発生通報として緊急地震速報以外の情報を受信することとしてもよい。また、災害発生通報は、災害の通報に限らず、エリア内の基地局が動作できない状態となったことを通報できるものであればよい。
【0030】
なお、当然のことであるが、災害発生通報は、災害発生を予知或いは兆候を検知して送信されるものであり、災害発生通報が送信される時点では、災害による基地局の故障などは生じておらず、災害発生通報を各携帯電話機が受信できるものとする。
信号処理部17は、無線通信部16から受信したベースバンド信号から音声データ、通信用データを復元する。信号処理部17は、音声データについては音声信号に変換してレシーバ12に出力し、通信用データについては制御部26に出力する。また、信号処理部17は、マイクロフォン11から通話信号(音声信号)を受信して音声データを生成し、制御部26から通信用データを受信し、これらデータからベースバンド信号を生成して無線通信部16に送信する。
【0031】
報知制御部18は、利用者に対する報知についての制御を行う。報知要因は、緊急地震速報など災害が発生したことを示す災害発生通報を取得した場合などである。報知制御部18は、予め報知要因ごとに対応づけられた報知音を示す音声信号をスピーカ19に出力し、スピーカ19から報知音を発音させることで報知を行う。
GPS受信部23は、GPSアンテナ22を介してGPSからGPS情報を取得する。GPS情報は、本実施の形態では、時刻情報、緯度情報、経度情報とする。時刻情報は、GPS情報を受信した日時を示し、1980年1月6日0時0分0秒(GMT)からの秒数として表すが、本実施の形態では、理解容易のため「年/月/日 時/分/秒」のように表す。また、緯度情報、経度情報は、それぞれ、「度.分.秒(整数部).秒(小数部)」のように表す。
【0032】
GPS受信部23は、受信したGPS情報に自機の端末IDを付して所在情報を生成し、所在情報データベース(DB)として記憶部25に記憶させる。端末IDは、機器毎に一意に付された識別子である。GPS情報を受信する周期は、利用者が設定できるものとするが、バッテリ消費を低減する観点からは周期が長い方が望ましく、端末の移動に対するGPS情報の更新の追従性向上の観点からは、周期が短い方が望ましい。
【0033】
近距離無線通信部21は、近距離無線アンテナ20を介して、近距離無線機能を有する他の端末と通信を行う。近距離無線通信部21は、災害発生時には、制御部26による制御に従って、他の携帯電話機を探索する処理と、他の携帯電話機からの探索を受ける探索待ち処理とを繰り返す。
近距離無線通信部21は、探索により他の携帯電話機を発見した場合(以下、発見した他の携帯電話機を隣接携帯電話機という。)、隣接携帯電話機に自機の所在情報を送信する。一方、他の携帯電話機により発見された場合に、他の携帯電話機の所在情報を受信することになる。近距離無線通信部21が他の携帯電話機から得た所在情報は、所在情報DBに追記される。携帯電話機間相互で所在情報が送受信されることを、所在情報の交換という。
【0034】
図4は、記憶部25に記憶されている所在情報DBの一例である。
所在情報DBは、1以上の所在情報から構成される。
所在情報は、端末IDと、時刻情報と、緯度情報と、経度情報とを含んで構成される。
本実施の形態では、携帯電話機1、2、3、及び情報読出端末4の端末IDを、それぞれ1、2、3及び4とする。
【0035】
時刻情報、緯度情報、経度情報は、上述したGPS情報に含まれているものである。
図4の場合、端末IDが「1」、すなわち、自機(携帯電話機1)の所在情報が記憶されている。その時刻情報は「2011/06/25 06:03:42」、緯度情報は「N34.42.48.99」、経度情報は「E135.29.43.10」である。
また、図4の所在情報DBの例では、端末IDが「2」である他機(携帯電話機2)の所在情報、端末IDが「3」である他機(携帯電話機3)の所在情報も含まれている。所在情報DBに他機の所在情報が含まれる場合、その他機との間で所在情報の交換が既に行われたことを示す。
【0036】
また、携帯電話機1は、情報読出端末4によって発見された場合には、情報読出端末4に対し、自機の所在情報を送信する。このとき他の隣接携帯電話機の所在情報を保持している場合には、情報読出端末4に対し隣接携帯電話機の所在情報も送信する。
本実施の形態では、近距離無線通信部21は、Bluetoothのペアリング機能の一部等を用いているが、これに限らず、隣接携帯電話機を発見し所在情報を交換し得る他の仕様、プロファイル(プロトコル)などを用いることとしてもよい。
【0037】
ここで、非常時のペアリングの簡素化について説明する。Bluetoothのプロファイルには名刺に相当する情報を端末間で取り交わすOPP(Object Push Profile)がある。このOPPは、相手とのペアリングを必要とし、ペアリングにはPINコードというキーワードの一種を用いて他のデバイスとの接続を許可するので非常時には有効ではない。
【0038】
そこで、災害発生時にはこのPINコードを簡易な数値、たとえば通常の初期値である「0000」を暫定で許可して情報読み出し端末とペアリングを行うこととする。また、暫定でのペアリング時のみ公開OKなわずかな個人情報(名前と測位した所在情報)を設定しておけば個人の特定が可能となる。また、本来名刺相当の情報を送る容量があるのでその空き領域、または空いたビット列には周囲の端末の所在情報も付加して送ることが可能である。
【0039】
また、Bluetoothのペアリング機能の処理前に行われる検索機能が処理されるとしても良い。すなわち、Bluetoothはペアリング以前にペアリングの相手を探す検索機能があり、それを利用する。Bluetoothの検索の場合、通常は端末名や機器名が相手側端末の検索リストに出るが、所有者名を入力しておけば所有者名が表示され、所有者を特定できる。例えば、所有者名として、携帯電話ではひらがなで任意の約30文字の入力が可能である場合がある。これにより、検索時に出る端末名をGPS測位データと時刻+所有者名(任意)に置き換えて報知する機能が加えられる。また、端末名の入力可能文字数を増やせば、より多くの情報、周辺の端末所在情報を送出することも可能である。そして、この電波をヘリや緊急車両などの情報読出端末で受信することにより、救助側は端末名が測位データになっている時点で要救助者と判定する。
【0040】
表示制御部24は、ディスプレイ13に画像を表示するための制御を行う制御部である。表示制御部24は、一例として、ディスプレイ13に表示するための表示画像の生成、その表示画像を示す信号のディスプレイ13への出力などを行う。
記憶部25は、所在情報DBなど各種の情報を記憶する記憶デバイスである。
制御部26は、携帯電話機1の全体制御を行う制御部である。
【0041】
制御部26は、また、情報交換手段の一部として動作し、災害が発生したときに報知制御部18による報知がなされ、一定期間内に、報知停止指示を取得しない場合(上述の一定条件を満たす場合)に、要救助フラグをセットし、近距離無線通信部21に対し、隣接携帯電話機の探索、他の端末による探索待ちなどの指示を行う。
また、災害が発生したときに報知制御部18による報知がなされ、一定期間内に、ユーザ操作による報知停止指示を取得した場合、さらに、他携帯電話機の位置の把握に関する援助を行うか否か選択するよう利用者に促す。
【0042】
一例として、携帯電話機1及び2は、他の携帯電話機からの所在情報の受信を許可するか否か選択するよう利用者に促す表示を行う。携帯電話機1及び2は、所在情報の受信の許可を示す受信許可指示の入力を取得した場合、援助フラグをセットし、他携帯電話機の位置の把握に関し援助するため動作する。具体的な動作については、後述する。
2−2.情報読出端末4
情報読出端末4は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などから構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、情報読出端末4は、その機能を達成する。
【0043】
図5は、情報読出端末4の内部構成を示す図である。
情報読出端末4は、図5に示すように、入力部41、表示制御部42、ディスプレイ43、近距離無線アンテナ44、近距離無線通信部45、GPSアンテナ46、GPS受信部47、記憶部48、及び制御部49を含んで構成される。
入力部41は、利用者が情報読出端末4へ利用者指示を入力するための入力デバイスである。入力部41は、一例としてキーパッド、タッチパネルなどを備えている。利用者は、キーパッド、タッチパネルなどを操作して利用者指示を入力する。入力された利用者指示は制御部49に通知される。
【0044】
表示制御部42は、ディスプレイ43に画像を表示するための制御を行う制御部である。表示制御部42は、一例として、ディスプレイ43に表示するための表示画像の生成、その表示画像を示す画像信号をディスプレイ43に出力する。
ディスプレイ43は、文字、画像などを表示する表示部である。ディスプレイ43は、一例として、液晶ディスプレイであり、表示制御部42から入力される画像信号に基づき、画像信号に係る画像を表示する。
【0045】
GPS受信部47は、GPSアンテナ46を介してGPSからGPS情報を受信する。GPS情報は、ディスプレイ43に表示する地図上において、自機の位置を示すのに用いられる。
近距離無線通信部45は、近距離無線アンテナ44を介して、近距離無線機能を有する他の端末(本実施の形態では、携帯電話機1〜3)と通信を行う。近距離無線は、一例としてBluetooth(登録商標)とする。近距離無線通信部45は、情報読出端末4の利用者が入力部41を用いて探索開始を指示したことにより、制御部49から成される探索指示を受け付けると、近距離無線を用いて電波到達範囲内に位置する携帯電話機(1〜3)を探索する。探索信号を受信した携帯電話機(一例として、携帯電話機1)は、この探索信号に対し応答する。近距離無線通信部45は、応答した携帯電話機1から、携帯電話機1の所在情報と、その携帯電話機が保持している場合には隣接携帯電話機(一例として携帯電話機2)についての所在情報とを取得して、記憶部48に記憶させる。
【0046】
所在情報に要救助フラグが付されている場合、要救助フラグについても併せて受信し、記憶する。
記憶部48は、取得した所在情報や、ディスプレイに表示するために地図を生成するための地図データなど各種の情報を記憶する記憶デバイスである。
制御部49は、情報読出端末4の全体制御を行う。制御部49は、携帯電話機1〜3から取得した所在情報、自機の所在情報を地図上に表した表示地図データを生成し、表示制御部42に送信する。表示制御部42は、表示地図データで示される地図をディスプレイ43に表示させる。
【0047】
図8は、ディスプレイ43に表示される地図の一例である地図61を示す図である。
地図61の中心には、GPS受信部47が得たGPS情報に含まれる緯度情報と、経度情報で示される位置(すなわち自機の位置)を示すマーク62が表示されている。
また、携帯電話機の所在情報で示される位置(一例として携帯電話機1の位置)を示すマーク63が地図61上に示されている。なお、その所在情報に要救助フラグが付されているか否かに基づき、要救助か否かを一見して識別できるようマークの形状、色等を変更するのが望ましい。
【0048】
情報読出端末4の利用者は、ディスプレイ43に表示された地図を見ながら、マーク63で示される携帯電話機1が所在する位置まで移動する。そして、携帯電話機の利用者の捜索を行う。また、救助者は、情報読出端末4に対し、入力部41を用いて隣接携帯電話機の位置を表示するよう指示する。
制御部49は、携帯電話機1から受信した隣接携帯電話機に係る所在情報を用いて、地図上に隣接携帯電話機の位置が表示される表示地図データを生成し、表示制御部42に出力する。表示制御部42は、更新された表示地図データで示される地図をディスプレイ43に表示させる。この地図の中心には、情報読出端末4の位置を示すマークが示され、また、携帯電話機2の所在情報が示す位置にもマークが示されることになる。
【0049】
なお、GPS受信部47は、所定時間間隔でGPS情報を取得し、GPS情報を更新しているので、制御部49は、自機の最新の現在位置を把握して、自機が移動するのに追従するようにディスプレイ43に表示させる地図を更新することができる。
3.動作
以下、災害発生時における携帯電話機の動作、情報読出端末4の動作について説明する。
【0050】
なお、情報読出端末4が、探索することにより、最初に発見される携帯電話機は、携帯電話機1であるとする。
3−1.携帯電話機1による災害時処理
以下、携帯電話機1〜3の災害時処理について、携帯電話機1を例に説明する。
図6は、携帯電話機1による災害時処理を示すフローチャートである。
【0051】
災害発生時、携帯電話機1は、災害発生の通報を受信する(S1)。
携帯電話機1におけるGPS受信部23は、自機の所在を示す所在情報をGPSから取得する(S2)。なお、このGPS受信部23による処理は、繰り返し実行される。
そして、携帯電話機1の無線通信部16は、基地局との通信を試みる。携帯電話機1における制御部26は、無線通信部16から通信できたか否か通知を受け取ることで、基地局と通信できたか否かを判定する(S3)。
【0052】
基地局と通信できないと判断した場合(S3=NO)、制御部26は報知制御部18に報知を指示する。報知制御部18は、災害発生を報知する(S4)。
その後、制御部26は、携帯電話機1の利用者が、所定の報知期間内に報知停止指示を入力したか否かを判定する(S5、S6)。
携帯電話機の利用者が、所定報知期間内に報知停止指示を入力した場合(S5=NO、S6=YES)、隣接携帯電話機の所在情報の受信許可を示す受信許可指示が入力されるか否かを判断する(S7)。受信許可指示を取得しなかった場合(S7=NO)、処理を終了し、受信許可指示を取得した場合(S7=YES)、S8に移行する。また、携帯電話機の利用者が、所定報知期間内に報知停止指示を入力せず、所定報知期間が経過した場合(S5=YES)、S8に移行する。
【0053】
S8では、携帯電話機1の近距離無線通信部21は、隣接携帯電話機を探索する。隣接携帯電話機を発見した場合(S9=YES)、発見した隣接携帯電話機とそれぞれの所在情報を交換する(S10)。
次いで、携帯電話機1は、他機から探索により発見されるのを待つ(S11)。
所定期間内に、他機により発見され、他機からその旨通知を受けた場合(S12=YES)、発見したのが情報読出端末4であるか否かを判定する(S13)。
【0054】
自機を発見したのが情報読出端末4でない場合(S13=NO)すなわち発見したのが隣接携帯電話機である場合には、隣接携帯電話機との間で、相互に所在情報の交換を行って(S18)、S8に移行する。
なお、携帯電話機1は、同じ隣接携帯電話機と所在情報を交換する場合、所在情報の更新があった場合のみ行ってもよい。所在情報に更新があるか否かは、所在情報中の時刻情報により判断できる。また、既に所在情報を受信したことのある隣接携帯電話機から、再度所在情報を受信した場合、後に受信した所在情報のみ所在情報DBに記録しておけばよい。
【0055】
自機を発見したのが情報読出端末4であった場合(S13=YES)、携帯電話機1は、情報読出端末4からの所在情報読み出し要求が有るか否かを判断し、有る場合(S14=YES)、S15に移行し、無い場合(S14=NO)、S8に移行する。S15では、携帯電話機1は、情報読出端末4に対し、自機及び、既に所在情報を交換した隣接携帯電話機がある場合にはその所在情報を送信し、S8に移行する。
3−2.情報読出端末4による災害時処理
図7は、情報読出端末4による災害時処理を示すフローチャートである。
【0056】
災害時に救助隊により使用される情報読出端末4における近距離無線通信部45は、近距離無線により、携帯電話機の探索を行う(S31)。
このとき、携帯電話機1〜3の少なくとも1つが探索待ちになっている場合、探索待ちになっている携帯電話機が近距離無線通信部45に応答する。
近距離無線通信部45は、応答を受信した場合、すなわち携帯電話機を発見した場合(S32=YES)、その発見した携帯電話機(一例として携帯電話機1)から、その携帯電話機の所在情報と、その携帯電話機1が既に所在情報を交換した隣接携帯電話機(携帯電話機2)がある場合にはその隣接携帯電話機(携帯電話機2)の所在情報を受信する(S33)。所在情報に要救助フラグがセットされている場合には、要救助フラグについても併せて受信する。
【0057】
そして、制御部49は、自機と、携帯電話機1の位置を表示する地図を生成し、表示制御部42に指示してディスプレイ43に生成した地図を表示させる(S34)。
このとき、表示される地図は、既に図6を用いて説明したのと同様のものである。
ここで、救助者は、情報読出端末4のディスプレイ43に表示される地図を参照しながら、携帯電話機が所在する位置に移動する(S35)。そして、携帯電話機の利用者を救助する。なお、このS35は、説明の便宜上救助者の行動について説明したもので、情報読出端末4自体の動作ではない。
【0058】
そして、救助者は、携帯電話機1の利用者の救助後、情報読出端末4の入力部41を用いて操作することにより、自機の位置を中心に示し、隣接携帯電話機(携帯電話機2)の位置も示す地図を表示するよう指示する。
情報読出端末4の制御部49は、自機の位置を中心に示し、携帯電話機2の位置をも示す地図を生成する。そして、制御部49は、表示制御部42に指示してディスプレイ43に生成した地図を表示させる(S36)。
【0059】
ここで、救助者は、情報読出端末4のディスプレイ43に表示される地図を参照しながら、携帯電話機2が所在する位置に移動し、携帯電話機2の利用者を救助する(S37)。以後、S31からの処理を繰り返す。なお、このS37についても、S35と同様に、説明の便宜上救助者の行動について記載したもので、情報読出端末4自体の動作ではない。
【0060】
以上の構成により、本実施形態では、災害の発生の影響などで携帯電話網が使用不能となった場合においても、所定のユーザ操作がなかったことから救助を要すると推定される利用者の端末を選択してその所在を把握することできる。
4.変形例
なお、本発明を上記の実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
(1)上述の実施の形態では、携帯電話機間で所在情報の交換を行っていたが、これに限らない。例えば、携帯電話機に電池残量を計測する計測手段を備えることとし、所在情報に加え、携帯電話機の電池残量を示す電池残量情報を交換してもよい。所在情報に対応する携帯電話機の捜索に関し、対応する電池残量情報に示される電池残量の少ないものから順に捜索するよう定めれば、電池切れにより早くに所在情報の交換ができなくなってしまう携帯電話機から順に捜索するよう順位付けることができる。
【0061】
また、例えば、携帯電話機に所持者の体温を計測する計測手段を備えることとし、所在情報に加え、体温を示す体温情報を交換してもよい。所在情報に対応する携帯電話機の捜索に関し、対応する体温情報により示される体温の低いものから順に捜索するよう定めれば、体温が低下してより早期に救助が必要な者の携帯電話機から順に捜索するよう順位付けることができる。
【0062】
また、例えば、携帯電話機に所持者の脈拍数を計測する計測手段を備えることとし、所在情報に加え、脈拍数を示す脈拍数情報を交換してもよい。所在情報に対応する携帯電話機の捜索に関し、対応する脈拍数情報により示される脈拍数が正常値から離れる度合が大きいものから順に捜索するよう定めれば、より早期に救助が必要な者の携帯電話機から順に捜索するよう順位付けることができる。
【0063】
また、例えば、所在情報に加え、携帯電話機に所持者の住所、氏名、かかりつけの病院名などの個人情報を交換してもよい。情報読出端末4を所持する救助者が、住所、氏名などの情報を得ることができれば、別途救助された者の家族、親類に連絡したり、かかりつけの病院に連絡し、救助における処置の助けになる情報を得るなどすることができる。
また、例えば、所在情報に加え、例えば「助けて!」、「○○(場所)に居る」などといった予めプリセットされている文字から成る文字情報を交換してもよい。
【0064】
これにより、救助隊は、救助時に、所在情報に加え文字情報を取得し、要救助者からのメッセージを得たり、要救助者の家族、親類などに通知することができる。
ここで、上述の「○○」については、○○に当てはまる複数の選択肢が表示されて、利用者がその選択肢から1つを選ぶことができるように構成すればよい。これにより、簡易に利用者の意思を伝えることができる。
(2)上述の実施の形態では、S7で隣接携帯電話機の所在情報を受信許可した場合(S7=YES)は、S8に移行することとしたが、この場合、携帯電話機1の利用者自身は要救助者でないと推定されるので、いずれかの隣接携帯電話機から所在情報を受け取るまでは、自機の所在情報を他の隣接携帯電話機に送信する処理を行わなくてもよい。
【0065】
そうすることで、救助の必要のない利用者の携帯電話機1が、要救助者の隣接携帯電話機から所在情報を受信していないにもかかわらず、自らの所在情報を送信することで、近距離無線網の通信帯域を圧迫したり、無駄に情報が交換されたり、情報読出端末4により無駄に携帯電話機1の所在情報が読み出されてしまうような不都合を回避することができる。
【0066】
具体的な処理としては、S7で隣接携帯電話機の所在情報を受信許可した(S7=YES)後、S8〜S10は行わずに、他機から探索されるのを待つ(S11。S12がNOの場合にS11に戻ることになる。)。そして、一旦他機に発見され(S12=YES)、所在情報を交換した後に(S13=NO、S18)は、S8に移行し、図6に記載している通りに処理を行うことになる。
(3)災害発生通報は、音声、メール、ワンセグ放送波などを用いた経路を通じて受けてもよい。複数の経路を想定しておくことで、災害発生時に継続して稼働している経路を用いることができ、災害発生通報を受けられる確率を高めることができる。
(4)上述の実施の形態では、災害発生時を例に説明したが、災害に限らず大規模停電時や、限られた地域での小規模停電時であっても、本発明は適用できる。
【0067】
この場合、携帯電話機は、災害発生通報に代えて、災害発生通報に相当する、大規模停電或いは小規模停電が生じたことを示す停電通報を受信することになる点が上述の実施の形態とは異なる。
(5)上述の実施の形態では、携帯電話機は、隣接携帯電話機との間で、自機の所在情報を交換することとしていたが、これに限らない。例えば、自機の所在情報に加え、それぞれの携帯電話機が保持している1以上の他携帯電話機の所在情報も一緒に交換し、これを所在情報DBに追加して記録しておくこととしてもよい。その際に、同一の携帯電話機についての所在情報を重複して保持することとなった場合は、対応する時刻情報の新しいもののみを残して保持することとする。
【0068】
これにより、情報読出端末4が、携帯電話機が保持する所在情報を全て読み出せば、1台の携帯電話機から、より多くの携帯電話機についての所在情報を取得することができる。
(6)上述の実施の形態では、Bluetoothを用いたがそのバージョンは特に限定するものではなく、例えばバージョン4.0や、これ以前のバージョン、もしくはこれ以降に出現するバージョン(and later)を適宜用いることができる。これは、Bluetooth以外の例えばZigbeeなどの無線のバージョンであっても同様であり、例えば最新のバージョンや、これ以前のバージョン、もしくはこれ以降に出現するバージョン(and later)を適宜用いることができる。
(7)実施形態で示した状態遷移について制御する処理、起動時状態判定処理などを行う携帯電話機のプロセッサ、及びそのプロセッサに接続された各種回路に実行させるための機械語或いは高級言語のプログラムコードからなる制御プログラムを、記録媒体に記録すること、又は各種通信路等を介して流通させ頒布することもできる。このような記録媒体には、ICカード、ハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM、フラッシュメモリ等がある。流通、頒布された制御プログラムはプロセッサに読み出され得るメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのプロセッサがその制御プログラムを実行することにより各実施形態で示したような各機能が実現されるようになる。なお、プロセッサは、制御プログラムを直接実行する他、コンパイルして実行或いはインタプリタにより実行してもよい。
(8)上述の実施形態で示した各機能構成要素は、その機能を実行する回路として実現されてもよいし、1又は複数のプロセッサによりプログラムを実行することで実現されてもよい。また、IC、LSIその他の集積回路のパッケージとして構成されるものとしてもよい。このパッケージは各種装置に組み込まれて利用に供され、これにより各種装置は、各実施形態で示したような各機能を実現するようになる。
(9)上述の実施形態は、携帯電話機の例で説明したが、本発明は、同様な構成、機能を有するような携帯型の情報端末等としても実現し得る。
(10)上述の各実施形態及び各変形例を、部分的に組み合せてもよいし、全て組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の携帯情報端末は、災害発生時に公衆通信網の機能が喪失した場合において、救助を要する者が所持する端末の位置を把握するのに役立つため、常に携帯される携帯情報端末として好適である。
【符号の説明】
【0070】
1〜3 携帯電話機
4 情報読出端末
5 基地局
11 マイクロフォン
12 レシーバ
13 ディスプレイ
14 入力部
15 通信アンテナ
16 無線通信部
17 信号処理部
18 報知制御部
19 スピーカ
20 近距離無線アンテナ
21 近距離無線通信部
22 GPSアンテナ
23 GPS受信部
24 表示制御部
25 記憶部
26 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線による通信を行う携帯情報端末であって、
災害発生の通報を、公衆送信による受信する通報受信手段と、
自機の所在を示す所在情報を取得する情報取得手段と、
前記通報が受信された後の第1の所定時間内にユーザ操作がなかった場合に、前記無線により他の端末に前記所在情報を送信し、他の端末から受信した所在情報を記憶する送信手段と
を備えることを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
前記携帯情報端末は、携帯電話網による通信を行う携帯電話機であり、さらに、
前記通報が受信されたときに、前記携帯電話網を構成する基地局との通信が可能か否かを検知する検知手段と、
前記通信が不能であることが検知された場合に、災害発生を報知し、報知中に所定の利用者操作を受け付けると前記報知を停止する報知手段とを備え、
前記ユーザ操作は、前記報知が開始されてから第2の所定時間内に前記報知の停止を指示する操作である
ことを特徴とする請求項1記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記携帯情報端末は、さらに、
前記第2の所定時間内に前記報知が停止された場合に、他の端末からの所在情報の受信を許可することを示す受信許可指示を受け付ける受付手段を備え、
前記送信手段は、前記受信許可指示を受け付けた後に、前記無線により他の端末から所在情報を受信した場合に、自機の所在情報を他の端末に送信する
ことを特徴とする請求項2記載の携帯情報端末。
【請求項4】
前記送信手段は、前記無線により他の端末との通信に成功した場合、前記他の端末それぞれに、保持している自機及び他の端末に係る所在情報を全て送信し、かつ前記他の端末それぞれから当該他の端末が保持する所在情報を受信する
ことを特徴とする請求項3記載の携帯情報端末。
【請求項5】
前記送信手段は、受信した所在情報のうち、同一の端末の所在を示す重複した所在情報を破棄する
ことを特徴とする請求項4記載の携帯情報端末。
【請求項6】
前記情報取得手段は、前記所在情報として、GPS(Global Positioning System)から受信した情報に基づいて経度及び緯度を示す情報を算出する
ことを特徴とする請求項1記載の携帯情報端末。
【請求項7】
無線による通信を行う情報読出端末及び携帯情報端末から構成される端末位置把握システムであって、
前記携帯情報端末は、
公衆送信による災害発生の通報を受信する通報受信手段と、
自機の所在を示す所在情報を取得する情報取得手段と、
前記通報が受信された後に、ユーザ操作がなかった場合に、前記無線により他の携帯情報端末に前記所在情報を送信し、前記他の携帯情報端末から当該他の携帯情報端末に係る所在情報を受信して記憶する送信手段とを備え、
前記情報読出端末は、前記携帯情報端末から、当該携帯情報端末及び記憶している他の携帯情報端末それぞれに係る所在情報を読み出す
ことを特徴とする端末位置把握システム。
【請求項8】
前記情報読出端末は、ディスプレイを備え、地図画像を保持しており、前記地図画像を、前記受信する所在情報が示す地図上の位置を識別可能にして前記ディスプレイに表示する
ことを特徴とする請求項7記載の端末位置把握システム。
【請求項9】
無線による通信を行う携帯情報端末に用いられる端末位置把握方法であって、
公衆送信による災害発生の通報を受信する通報受信ステップと、
自機の所在を示す所在情報を取得する情報取得ステップと、
前記通報が受信された後に、ユーザ操作がなかった場合に、前記無線により他の端末に前記所在情報を送信し、他の端末から受信した所在情報を記憶する送信ステップと
を含むことを特徴とする端末位置把握方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−47910(P2013−47910A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186440(P2011−186440)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】