説明

携帯情報端末及び顧客案内システム

【課題】測位機で計測した位置情報を顧客情報の位置情報として自動的に反映させるとともに、この位置情報の周辺に位置する顧客の情報を表示させることで、入力の手間を大幅に削減し時宜にあった適切な表示をさせることの可能な携帯情報端末及び顧客案内システムを提供する。
【解決手段】顧客情報の1つを構成する顧客の位置情報を記憶する記憶部と、現在地の位置情報を測位する測位機からの情報を基に、記憶部に記憶されている位置情報の中から周辺の位置情報を備える顧客情報を抽出するCPUと、抽出された顧客情報を表示する表示部と、表示部に表示された顧客情報から必要な顧客を選択し、選択された前記顧客に関する売上処理を行う際に必要な情報を入力するための入力部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在地の位置を測位する測位機からの情報を基に周辺の顧客の情報を提供することのできる携帯情報端末及び顧客案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より小口、大口を問わず様々な商品がお客様の元に集配されている。特に近年では、この集配作業において使用されていた以前の紙による伝票に代わり集配員が携帯する携帯情報端末を使用して入力し伝票の発行を行う等、集配業務の電子化が著しい。また、以下のように、この携帯情報端末に入力画面が設けられており、この入力画面に例えば集配員や顧客が手書きでサインをすることで、このサインが伝票に反映されるシステムも提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に開示されている発明は、手書きで入力された内容とその内容が記載された書類を特定する項目とを画像情報として一体的に保存することによって、手書きで入力された内容が他で使用されて書類等の偽造が行われることを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−26053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に開示されている発明は、手書きで入力された内容が他の書類等に反映されて偽造されることは防止する点において優れているものの、次の点については考慮がなされていない。
【0006】
すなわち、例えば集配員が新規顧客の場所に出向く際、その新規顧客に対する販売、伝票の発行等は遅滞なく行うことができるが、その新規顧客だけに対応しているのでは効率が悪い。つまり、その新規顧客の周辺にはすでに顧客になっている者や会社等があることも十分に考えられる。それにも拘わらず、それら既存の顧客と新規顧客との位置関係が分からないが故に既存の顧客への対応ができないのでは、顧客の位置を確認後改めて既存の顧客へ出向かなければならない等、効率の良い集配やセールスを行うことはできない。
【0007】
また、顧客の取引データ(顧客情報)の中には顧客の住所等に関する情報(位置情報)も含まれる。但し、この位置情報の入力等は、意外と手間が掛かることもある。特に年配の集配員が携帯情報端末を利用して入力する場合には、携帯情報端末の操作等に不慣れな場合も散見されることから一層労力を要することになっていた。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、測位機で計測した位置情報を顧客情報の位置情報として自動的に反映させるとともに、この位置情報の周辺に位置する顧客の情報を表示させることで、入力の手間を大幅に削減し時宜にあった適切な表示をさせることの可能な携帯情報端末及び顧客案内システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、携帯情報端末において、顧客情報の1つを構成する顧客の位置情報を記憶する記憶部と、現在地の位置情報を測位する測位機からの情
報を基に、記憶部に記憶されている位置情報の中から周辺の位置情報を備える顧客情報を抽出するCPUと、抽出された顧客情報を表示する表示部と、表示部に表示された顧客情報から必要な顧客を選択し、選択された前記顧客に関する売上処理を行う際に必要な情報を入力するための入力部とを備える。
【0010】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、顧客案内システムにおいて、現在地の位置情報を測位する測位機と、顧客情報の1つを構成する顧客の位置情報を記憶する記憶部と、現在地の位置情報を測位する測位機からの情報を基に、記憶部に記憶されている位置情報の中から周辺の位置情報を備える顧客情報を抽出するCPUと、抽出された顧客情報を表示する表示部と、表示部に表示された顧客情報から必要な顧客を選択し、選択された前記顧客に関する売上処理を行う際に必要な情報を入力するための入力部とを具備する携帯情報端末とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、測位機で計測した位置情報を顧客情報の位置情報として自動的に反映させるとともに、この位置情報の周辺に位置する顧客の情報を表示させることで、入力の手間を大幅に削減し時宜にあった適切な表示をさせることの可能な携帯情報端末及び顧客案内システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る携帯情報端末及び顧客案内システムを示す全体図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る携帯情報端末の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る顧客案内の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る表示部に表示される画面を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る表示部に表示される画面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は携帯情報端末1及び顧客案内システムNの全体を示す全体図である。この携帯情報端末1は、宅配品等を配達する集配員が携帯する端末である。携帯情報端末1の表面には、入力部1fと、表示部1gとが設けられている。本発明の実施の形態における携帯情報端末1においては、例えば、携帯電話のように入力部1fが下、表示部1gが上となるように配置され、入力部1fを体側に向けるようにして使用される。
【0015】
入力部1fは、例えば、図1に示すようにテンキーやカーソル等として設けられている。また、表示部1gは、伝票の入力の際に使用され、また、完成した伝票を表示する。但し、本発明の実施の形態における携帯情報端末1では、この表示部1gの領域には、いわゆるタッチパネルTで使用される際の複数のキーが表示される。従って、タッチパネルTとして使用される場合には、この表示部1gの領域は入力部1fとして使用される。
【0016】
図1には、携帯情報端末1とは別に印刷機Pが示されている。印刷機Pは、本発明の実施の形態においてはこのように携帯情報端末1とは別体であり、携帯情報端末1とは有線、或いは無線によって接続されている。集配員が携帯情報端末1の入力部1fを利用して入力動作を行うと、入力された内容が反映された、例えば受領証や納品書等(以下、これらの書類をまとめて「伝票」と表わす。)を作成することができる。作成された伝票は、印刷機Pを介して印刷され発行される。印刷機Pは、例えばサーマルプリンタ等、どのような構成を採用しても良い。
【0017】
さらに図1には、携帯情報端末1とは別に測位機Sも有線、或いは無線によって接続される。この測位機Sは、測位機Sが存在する現在位置を衛星を利用してリアルタイムに測位する機器であり、本発明の実施の形態においては、集配員が携帯する。従って、集配員が測位機Sを利用して測位を行うと、自身の位置が現在位置として測位されることになる。なお、実際には集配員が携帯せずとも、例えば、集配車両等に搭載されていても良い。また、本発明の実施の形態においては、携帯情報端末1と測位機Sとで顧客案内システムNを構成する。
【0018】
印刷機P、測位機Sとも携帯情報端末1と無線で通信を行う際の通信プロトコルについては、例えば、ブルートゥース(Bluetooth、登録商標)等、どのような通信プロトコルを使用しても良い。
【0019】
図2は携帯情報端末1の内部構成を示すブロック図である。携帯情報端末1は、CPU(Central Processing Unit)1aと、ROM(Read Only Memory)1bと、RAM(Random Access Memory)1c及び入出力インターフェイス1dがバス1eを介して接続されて
いる。入出力インターフェイス1dには、入力部1fと、表示部1gと、通信制御部1hと、記憶部1iとが接続されている。
【0020】
CPU1aは、入力部1fからの入力信号に基づいてROM1bから携帯情報端末1を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶部1iに格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。またCPU1aは、入力部1fや入出力インターフェイス1dを介して、図2おいて図示していない例えば、売上管理等を行うパソコン、その他の外部機器からの入力信号に基づいて各種装置の制御を行う。
【0021】
さらにCPU1aは、RAM1cや記憶部1i等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAM1cにロードするとともに、RAM1cから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、現在位置周辺の顧客案内、データの計算または加工等、一連の処理を実現する処理装置である。
【0022】
入力部1fは、本発明の実施の形態における携帯情報端末1では、上述したように、図1に示すキーボードKと、タッチパネルTとから構成される。入力部1fを介して入力された内容は、使用者の操作に基づいて入力信号を作成しバス1eを介してCPU1aに送信される。
【0023】
タッチパネルTは、表示部1gに表示されるとともに、使用者が表示部1gに触れることによって入力をすることができる。図1では特に示していないが、表示部1gに「売上」、「検針売上」、「入金」、「伝票訂正」等複数の操作メニューが表示され、タッチパネルTであるこれら操作メニューに触れるとその操作メニューの処理の流れに従って画面が遷移する。また、タッチパネルTの下にはキーボードKが設けられており、このキーボードKを使用しても入力することができる。
【0024】
表示部1gは、例えば液晶ディスプレイであり、例えばCPU1aからバス1eを介して出力信号を受信し、CPU1aの処理結果等を表示する手段である。また、本発明の実施の形態における携帯情報端末1では、上述したように表示部1gの領域内にタッチパネルTも設けられている。
【0025】
通信制御部1hは、例えば、ケーブルや赤外線通信といった手段であり、これらを利用して例えば、印刷機P、測位機S、或いは、店舗に設置されている管理用のパソコンと携帯情報端末1とを接続することができる。また、LANカードやモデム等の手段であって
も良く、携帯情報端末1をインターネットやLAN等の通信ネットワークに接続することを可能とする手段であっても良い。通信制御部1hを介して管理用パソコンや通信ネットワークと送受信したデータは入力信号または出力信号として、入出力インターフェイス1d及びバス1eを介してCPU1aに送受信される。
【0026】
記憶部1iは、半導体や磁気ディスクで構成されており、顧客情報やCPU1aで実行されるプログラムやデータが記憶されている。また、SDカード等、携帯情報端末1との間で取り外し可能な記憶手段であっても良い。
【0027】
次に、携帯情報端末1を利用した顧客案内の流れについて、図3に示すフローチャート及び、図4、図5に示す表示部に表示される画面を示す模式図を利用して説明する。ここでは、事前に最新の顧客情報が記憶部1iに記憶されていることを前提とする。例えば、集配員が集配を開始する前に会社や事務所に備え付けられている顧客管理を行う機器から顧客情報の入力を行っておく。なお、この顧客情報には、例えば、顧客名、住所(位置情報)、電話番号、過去の売り上げ額といった、顧客管理を行う上で必要な情報が含まれる。
【0028】
集配員は、例えば、ある顧客への集配を行った際、或いは、新規顧客を開拓した際、等、その集配の途中の様々な場面で携帯情報端末1の表示部1gに示されている「GPSボタン」を押す(図4の画面例参照)。測位が開始された時点においては、表示部1gには、図4に示すような画面が表示されている。なお、この表示される画面はあくまでもその一例に過ぎず、そのレイアウト等は自由に設定することが可能である。
【0029】
図4(及び図5)に示す画面例では、最上段に「顧客検索」と表わされ、その1段下に「GPS測位中!」と表わされて、現在携帯情報端末1がどのような動作を行っているかが示されている。その下の段には、様々なボタンが配置されており、上述した「GPSボタン」はこの領域に設けられている。この「GPSボタン」は測位を開始する際に押されるボタンであり、この「GPSボタン」が押し下げられたことを検知したCPU1aは、測位機Sに対して現在位置の測位を行うよう、通信制御部1hを介して指示する(ST1)。
【0030】
CPU1aからの測位指示を受けた測位機Sは、測位を開始する(ST2)。携帯情報端末1から測位機Sへの指示は、上述したように無線で行われる。集配員が測位機Sを携帯していることを前提とすれば、指示を受けた測位機Sは、衛星を使用して集配員の現在位置を測位することになる。従って、集配員が顧客の建物の敷地内にいることによって、測位される位置がそのまま顧客の住所(位置情報)となる。
【0031】
「GPSボタン」等、各種ボタンが配置されているその下には、例えば、検索結果を表示させるための表示領域が配置されている。図4は、測位開始時の表示部1gの画面例であることから、この表示領域Rには未だ検索結果は表示されていない。
【0032】
測位機Sが測位を終了すると(ST3)、測位結果に関する情報を携帯情報端末1へと送信する。携帯情報端末1では、送信された測位結果に関する情報を通信制御部1hを介してCPU1a及び記憶部1iへと送る。CPU1aへと測位結果に関する情報を送るのは、集配員が現在位置する場所を基準に周辺の顧客を案内するためである。一方、記憶部1iへ、特に新規顧客を獲得した際の顧客情報作成に活かすためである。
【0033】
測位された現在の位置情報を基に周辺の顧客情報を示す場合には、CPU1aは、測位結果に関する情報を受信した後、記憶部1iに記憶されている顧客情報の中から、この測位結果が示す位置情報の周辺に存在する顧客を検索する。具体的には、測位結果に基づく
現在位置の位置情報と、記憶部1iに記憶されている各顧客情報内の位置情報とを比較して予め定められた範囲内に存在する顧客を検索する(ST4)。現在位置とどの距離の範囲内を「周辺」とするかは、予め設定されているものとする。
【0034】
CPU1aが比較を終了すると、現在位置の周辺に位置する顧客の情報を表示部1gに表示させる(ST5)。検索結果を表示した表示部1gの画面例を示すのが図5である。図5では、各種ボタンが配置されている下の表示領域Rに、検索結果が示されている。図5では、文字情報として周辺の顧客の情報(顧客名、住所等)を示している。但し、これら周辺の顧客の位置情報を地図上に示し、集配員によって選択された顧客に関する情報をさらに表示させるようにしても良い。
【0035】
一方、顧客が新規である場合には、新規顧客に対する伝票を作成する前、或いは、後に上述したステップST1ないしステップST3に示す測位機Sによる現在位置の測位を行い、測位された現在位置を作成する伝票と関連づけて記憶部1iに記憶させる。これによって、新規顧客の顧客情報のうち特に住所(位置情報)を入力する手間が省けるとともに、入力の際の打ち間違い等のミスも防ぐことができる。
【0036】
従って、以上述べたように、測位機で計測した位置情報を顧客情報の位置情報として自動的に反映させるとともに、この位置情報の周辺に位置する顧客の情報を表示させることで、入力の手間を大幅に削減し時宜にあった適切な表示をさせることの可能な携帯情報端末及び顧客案内システムを提供する
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、本発明の実施の形態においては、携帯情報端末と印刷機と測位機とはそれぞれ別体の機器として説明したが、印刷機、測位機の各機能を備える一体としての携帯情報端末として構成しても良い。
【0037】
また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 携帯情報端末
1a CPU
1b ROM
1c RAM
1d 入出力インターフェイス
1e バス
1f 入力部
1g 表示部
1h 通信制御部
1i 記憶部
N 顧客案内システム
P 印刷機
R 表示領域
S 測位機


【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客情報の1つを構成する顧客の位置情報を記憶する記憶部と、
現在地の位置情報を測位する測位機からの情報を基に、前記記憶部に記憶されている前記位置情報の中から周辺の位置情報を備える前記顧客情報を抽出するCPUと、
前記抽出された顧客情報を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記顧客情報から必要な顧客を選択し、前記選択された前記顧客に関する売上処理を行う際に必要な情報を入力するための入力部と、
を備えることを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
前記測位機が測位した現在地の位置情報は、前記顧客情報を構成する位置情報として前記記憶部に記憶されることを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
現在地の位置情報を測位する測位機と、
請求項1または請求項2に記載の携帯情報端末と、
を備えることを特徴とする顧客案内システム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−158973(P2011−158973A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18125(P2010−18125)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(500584516)株式会社大伸システム (3)