説明

携帯情報端末紛失時対策システム

【課題】紛失端末の位置を容易に把握できる携帯情報端末紛失時対策システムを提供する。
【解決手段】電池消耗抑制動作を含む初動対策指示と、データを完全に消去する完全消去指示を送信する管理端末と、管理端末から初動対策指示を受信したとき初動対策を行い、完全消去指示を受信したときデータを完全に消去する紛失端末と、紛失端末の所定距離以内に入ったときに紛失端末に対して音声による発報指示を行う探索端末と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、携帯情報端末を紛失したときの対策を講じることが可能な携帯情報端末紛失時対策システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンに代表される携帯情報端末は高度な通信機能とともに各種のデータを記憶させることができる。顧客情報などの機密情報が記憶されている場合、この携帯情報端末を紛失したり盗難にあったりしたときは速やかに回収するか、機密データを消去する必要がある。
【0003】
この点に関し、データをリモートにより消去したり、GPSにより携帯情報端末の所在を追跡したりするシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−303817号公報
【特許文献2】特開2008−109306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の技術を適用しようとしても紛失した携帯情報端末の所在位置が容易に把握できない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態は電池の消耗を抑制する電池消耗抑制動作を含む初動対策の実行指示である初動対策指示を送信する管理端末と、移動可能な携帯情報端末である探索端末と、GPSを有し、管理端末から初動対策指示を受信したとき初動対策を行い、定期的に位置情報を管理端末及び探索端末に送信する紛失端末と、を備える携帯情報端末紛失時対策システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】携帯情報端末紛失時対策システムの構成を表す図である。
【図2】管理端末の構成を示す図である。
【図3】携帯情報端末である紛失端末及び探索端末の構成を示す図である。
【図4】携帯情報端末紛失時対策システムの動作を示すフローチャートである。
【図5】携帯情報端末紛失時対策システムの動作を示すフローチャートである。
【図6】動作電池残量テーブルの例を示す図である。
【図7】設定ファイルの例を示す図である。
【図8】動作記録ファイルの例を示す図である。
【図9】所在記録ファイルの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明による携帯情報端末紛失時対策システムの一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0009】
携帯情報端末紛失時対策システムは、電池の消耗を抑制する電池消耗抑制動作を含む初動対策の実行指示である初動対策指示を送信する管理端末と、移動可能な携帯情報端末である探索端末と、GPSを有し、管理端末から初動対策指示を受信したとき初動対策を行い、定期的に位置情報を管理端末及び探索端末に送信する紛失端末と、を備える。
【0010】
図1は、本実施形態の携帯情報端末紛失時対策システムの構成を表す図である。図1に示すように、携帯情報端末紛失時対策システムは、紛失した携帯情報端末である紛失端末105と、紛失端末105にインターネットなどの公衆通信回線網102を介して電子メールを送受信可能な管理端末101と、紛失端末105を移動して探索する探索端末104と、を備える。
【0011】
管理端末101は、公衆通信回線網102を介して携帯電話通信業者の携帯電話通信装置103と接続される。管理端末101は、いわゆるパソコン、又はサーバを用いることができる。
【0012】
紛失端末105は、携帯電話通信装置103を介して管理端末101と電子メールの送受信が可能である。
【0013】
探索端末104は、携帯情報端末であることが望ましい。探索端末104は、いわゆるパソコンでもよい。
【0014】
図2は、管理端末101の構成を示す図である。図2に示すように、管理端末101は、演算装置であるCPU201と、記憶装置であるROM、RAM202と、キーボード、ディスプレイ、マウスなどの入出力装置203と、大容量記憶装置であるハードディスクドライブ204と、公衆通信回線網102に接続するための通信インターフェース205と、を備える。
【0015】
図3は、携帯情報端末である紛失端末105及び探索端末104の構成を示す図である。図3に示すように、紛失端末105及び探索端末104は、演算装置であるCPU301と、ROM、RAM302と、例えばキーボード又はタッチパネル、ディスプレイ、マイク、スピーカなどの入出力装置303と、記憶装置304と、通信を行うための通信インターフェース305と、位置情報を取得するためのGPS306と、電力を供給する電池307と、を備える。
【0016】
図4及び図5は、携帯情報端末紛失時対策システムの動作を示すフローチャートである。携帯情報端末紛失時対策システムの動作は、初動対策と探索動作とを含む。初動対策には電池の消耗を抑制する電池消耗抑制対策動作と、紛失端末に残されたデータの管理を行う初動とが含まれる。図4は初動対策を示し、図5は探索動作を示す。
【0017】
図4に示すように、携帯情報端末の紛失が発覚した場合、ステップ401において管理端末101は紛失端末105に初動対策の開始を指示する初動対策メールを送信する。ここで、紛失端末105はロックを実行し、一切の端末上の操作ができないようにする。
【0018】
ステップ402において、紛失端末105は初動対策メールを受信する。紛失端末105は、初動対策メールを受信すると電池消耗抑制対策動作を行う。すなわち、紛失端末105は、ステップ403において不要な常駐アプリケーションの停止を行い、ステップ404において必要時以外の通信を停止し、ステップ405においてディスプレイのバックライトを消灯する。
【0019】
さらに、紛失端末105は、ステップ406において電池残量を測定する。紛失端末105は、電池残量が初動開始に十分かを判定し、十分である場合にはステップ408に、十分でない場合、すなわち電池残量が位置情報の送信又は音声による発報の実行に必要な電池残量の閾値を下回った場合には図5のステップ512に進む。
【0020】
ステップ408において、紛失端末105は管理端末101に初動開始を通知する初動開始メールを送信する。
【0021】
ステップ409において、管理端末101は初動開始メールを受信する。
【0022】
ステップ410において、紛失端末105は紛失端末105に残されているデータのリストである一次資産目録を作成し、記憶装置304に格納する。
【0023】
ステップ411において、紛失端末105は消去するデータのリストである、消去データリストを記憶装置304から読み込む。ステップ412において、紛失端末105は、予め指定されたデータを選択的に消去、すなわち消去データリストに挙げられているデータを消去する。
【0024】
ステップ413において、紛失端末105は消去動作後に紛失端末105に残されているデータのリストである二次資産目録を作成し、記憶装置304に格納する。
【0025】
ステップ414において、紛失端末105は待受け画面を変更する。すなわち、紛失端末105は、待受け画面を「この端末を取得した方は、次の連絡先にご連絡ください。電話番号:・・・」のように紛失と連絡の要請を表示する画面に変更する。
【0026】
ステップ415において、紛失端末105は探索動作を実行する追跡モードに変更する。ステップ416において、紛失端末105は追跡開始メールを管理端末101に送信する。このとき、紛失端末105は記憶装置304から一次資産目録と二次資産目録とを読み出して追跡開始メールに添付して送信し、図5のステップ501に進む。
【0027】
ステップ417において、管理端末101は追跡開始メールを予め定められた時間内、例えば5分以内に受信したかを判定する。管理端末101は、所定時間内に追跡開始メールを受信した場合、図5のステップ503に進み、受信しなかった場合は図5のステップ504に進む。
【0028】
図5に示すように、ステップ501において紛失端末105は所定時間ごと、例えば10分ごとにGPS306により紛失端末105の位置情報を取得し、記憶装置304に格納する。
【0029】
ステップ502において、紛失端末105は記憶装置304から位置情報を読み出し、位置情報を通知するメールである位置情報メールに添付して管理端末101と探索端末104に送信する。
【0030】
ステップ503において、管理端末101は位置情報メールを所定時間内、例えば20分以内に受信したかを判定する。管理端末101は、位置情報メールを所定時間内に受信しなかった場合はステップ504に進み、受信した場合はステップ503に戻る。
【0031】
ステップ504において、管理端末101はデータをすべて消去し、初期状態に戻す指示である完全消去メールを紛失端末105に送信する。
【0032】
ステップ505において、探索端末104は紛失端末105から位置情報メールを受信する。ここで、探索端末104を所持する探索者は位置情報を手掛かりとして紛失端末105の位置に向けて移動する。
【0033】
ステップ506において、探索端末104は所定時間ごと、例えば10分ごとにGPS306を用いて探索端末104の位置情報を取得する。
【0034】
ステップ507において、探索端末104は、取得した探索端末の位置情報と位置情報メールに記載されている紛失端末105の位置情報とを比較し、探索端末104と紛失端末105の位置が所定距離、例えば10m以内であるかを判定する。探索端末104は、紛失端末105との距離が所定距離以内であるとき、ステップ508に進み、所定距離以内にないときステップ505に戻る。
【0035】
なお位置情報メールは紛失端末105の位置を地図上で目視確認するための地図表示手段を有していてもよい。例えば、位置情報メールにはインターネットの地図情報を表示するサイトのアドレスを付加することができる。この場合、探索者はこのアドレスを開くことにより紛失端末105の位置を地図上で目視確認することができる。
【0036】
ステップ508において、探索端末104は紛失端末105に音声を発生させる指示である発報メールを紛失端末105に送信する。
【0037】
ステップ509において、紛失端末105は発報メールを受信したかを判定する。紛失端末105は、発報メールを受信したときステップ510において音声を発報し、発報メールを受信していないときステップ511に進む。
【0038】
ステップ511において、紛失端末105は完全消去メールを受信したかを判定する。紛失端末105は、完全消去メールを受信していないときステップ502に戻り、受信したときステップ512においてデータを完全に消去する。
【0039】
図6は、図4のステップ407において使用する動作電池残量テーブルの例を示す図である。図6に示すように、動作電池残量テーブルは紛失端末105が行う動作と、この動作に必要な電池の残量を格納する。
【0040】
例えば、「不要な常駐アプリケーションの停止」の動作に必要な電池の残量は「20%」である。
【0041】
動作電池残量テーブルは記憶装置304に格納される。なお、紛失端末105は、ステップ407において、一部の動作を行うには電池残量は十分であるが、他の操作を行うには不足している場合、これらの電池残量を多く必要とする動作を選択的に省略することができる。
【0042】
例えば、電池残量が25%であるとき、紛失端末105は、電池残量を30%必要とする資産目録の作成、データ消去、待受け画面変更、位置情報取得、音声発報を行わず、不要な常駐アプリケーションの停止、通信停止、乃至データ完全消去だけを行うことができる。
【0043】
図7は、紛失端末105が記憶装置304に格納する設定ファイルの例を示す図である。図7に示すように、設定ファイルは、例えば「メール設定」、「電池残量と対策時限の設定」、「電池消耗抑制対策の設定」、「紛失対策時の設定」、及び「GPS追跡の設定」を格納する。
【0044】
「メール設定」は、受信メールの差出人を識別する情報を含む「受信設定」と、返信先のメールアドレスを含む「メール返信設定」と、メールの受信記録である「メール受信データ記録」と、メールの返信記録である「メール返信データ記録」と、を含む。
【0045】
「電池残量と対策時限の設定」は、電池残量ごとの待受け可能時間と、対策可能時間と、を含む。
【0046】
「電池消耗抑制対策の設定」は、停止するプロセス名と、通信を停止する時間帯と、を含む。
【0047】
「紛失対策時の設定」は、作業項目をグルーピングした「対策のグルーピング」を含む。
【0048】
「GPS追跡の設定」は、位置情報取得を行う移動距離の閾値である「記録条件」と、位置情報を格納するファイルの位置である「測位ファイルのパス」と、を格納する。
【0049】
図8は、紛失端末105が位置情報メールに添付する動作記録ファイルの例を示す図である。図8に示すように、動作記録ファイルは「メール記録」と「実行記録」とを格納する。
【0050】
「メール記録」は、受信メールの記録である「受信メールデータ記録」と、返信メールの記録と、添付ファイルの情報である「返信メールデータ記録」とを含む。「実行記録」は、実行日時と、実行した動作の種類と、を含む。
【0051】
紛失端末105は、メールの件名に示された「受信命令」に従って対応するアプリケーションを起動し、起動日時と起動した旨を返信する。
【0052】
図9は、紛失端末105が位置情報メールに添付する所在記録ファイルの例を示す図である。図9に示すように、所在記録ファイルである「RT.kml」は所在記録を経時的に格納する。
【0053】
各所在記録は、記録回数、端末ID、日時、電池残量、残り時間、緯度、経度、移動距離、及び対策実行番号を含む。ここで、残り時間とは紛失時対策が可能な時間を表す。
【0054】
以上述べたように、本実施形態の携帯情報端末紛失時対策システムは、電池消耗抑制動作を含む初動対策指示と、データを完全に消去する完全消去指示を送信する管理端末101と、管理端末101から初動対策指示を受信したとき初動対策を行い、完全消去指示を受信したときデータを完全に消去する紛失端末105と、紛失端末105の所定距離以内に入ったときに紛失端末105に対して発報指示を行う探索端末104と、を備える。
【0055】
従って、携帯情報端末紛失時対策システムは、紛失端末105の所在位置を容易に把握することができるという効果がある。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
101:管理端末
102:公衆通信回線網、
104:探索端末、
104:紛失端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を返信する旨の返信指示を送信する管理端末と、
移動可能な携帯情報端末である探索端末と、
GPSを有し、前記管理端末から前記返信指示を受信したとき、前記位置情報を前記管理端末及び前記探索端末に送信する紛失端末と、を備え、
前記探索端末は、
前記位置情報を受信したとき前記紛失端末に音声にて発報する旨の指示を行う携帯情報端末紛失時対策システム。
【請求項2】
前記探索端末は、
GPSをさらに備え、
前記探索端末と前記紛失端末との距離が閾値以下になったとき、前記紛失端末に音声にて発報する旨の指示を行う請求項1記載の携帯情報端末紛失時対策システム。
【請求項3】
前記紛失端末は、
前記管理端末に電池残量を送信し、
前記管理端末は、
前記電池残量が位置情報の送信又は音声による発報の実行に不足するとき、前記紛失端末に全データを消去する旨の指示を送信する請求項1記載の携帯情報端末紛失時対策システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−70021(P2012−70021A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210365(P2010−210365)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(302061130)東芝ITサービス株式会社 (32)
【Fターム(参考)】