説明

携帯情報端末

【課題】簡易な構成で筐体の開封を確実に検知し得る携帯情報端末を提供する。
【解決手段】上側ケース12および下側ケース13を組み付けた組付状態において、導電ゴム30が、上側ケース12のリブ12aと、下側ケース13に固定される制御基板20との双方に接触して押圧されるように両ケース12,13間に介装される。そして、第1パターン部24のみに導通する複数の第1導通部24aと第2パターン部25のみに導通する複数の第2導通部25aとは、導電ゴム30に対して上記押圧を加える接触面22に配置されており、第1パターン部24および第2パターン部25が非導通状態になることで筐体11の開封が検知される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の開封検知機能を有する携帯情報端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体の開封検知機能を有する携帯情報端末に関する技術として、下記特許文献1に示す端末装置が知られている。この端末装置では、制御基板が固定される筐体上ケースと筐体下ケースとにより筐体が構成されている。制御基板の筐体下ケース側にはスイッチが設けられており、筐体下ケースの底壁には所定の配線パターンが設けられたプラスチックシートが貼り付けられている。そして、筐体上ケースと筐体下ケースとを組み付けると、制御基板のスイッチの端子と筐体下ケースの底壁の配線とが接続されて閉回路が構成される。
【0003】
そして、不正開封のために筐体上ケースと筐体下ケースとが分離されると、スイッチの端子と配線との接続が断たれて上記閉回路が切断されるので、この閉回路の切断状態を検知することにより、不正開封を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−242951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示すような構成では、上側ケースおよび下側ケースの組み付け時にスイッチの端子と配線とを確実に接続するためには、端子や配線だけでなくそれぞれが設けられた上側ケースおよび下側ケースにも高い寸法精度が要求されてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、簡易な構成で筐体の開封を確実に検知し得る携帯情報端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の携帯情報端末では、取得した取得情報を制御するための制御回路と、前記取得情報を記憶する記憶手段と、第1ケースおよび第2ケースを有しこれら両ケースを組み付けた組付状態にて前記制御回路および前記記憶手段を収容する筐体と、を備える携帯情報端末であって、前記組付状態において、前記第1ケースまたはこの第1ケースに固定される部材と、前記第2ケースまたはこの第2ケースに固定される部材との双方に接触して押圧されるように両ケース間に介装される導電性の弾性部材と、非導通状態の第1パターン部および第2パターン部と前記第1パターン部のみに導通する複数の第1導通部と前記第2パターン部のみに導通する複数の第2導通部とを有する接点パターンと、前記第1パターン部および前記第2パターン部が非導通状態になることで前記筐体の開封を検知する開封検知手段と、を備え、前記複数の第1導通部および前記複数の第2導通部は、前記弾性部材に対して前記押圧を加える接触面に配置されることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の携帯情報端末において、前記弾性部材は、環状に形成されて、前記第1ケースおよび前記第2ケースを組み付けるための締結部材が挿通するように配置されることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の携帯情報端末において、前記複数の第1導通部および前記複数の第2導通部は、それぞれ近接するように交互に配置されることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯情報端末において、前記接触面は、前記複数の第1導通部および前記複数の第2導通部が配置される領域の高さが他の領域の高さに対して低く形成されることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯情報端末において、前記弾性部材は、前記接触面に直交する面の断面の端部が円弧形状に形成されることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の携帯情報端末において、前記弾性部材と、この弾性部材に接触する前記接触面に前記各導通部が配置される前記接点パターンとが、複数箇所設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、第1ケースおよび第2ケースを組み付けた組付状態において、導電性の弾性部材が、第1ケースまたはこの第1ケースに固定される部材と、第2ケースまたはこの第2ケースに固定される部材との双方に接触して押圧されるように両ケース間に介装される。そして、第1パターン部のみに導通する複数の第1導通部と第2パターン部のみに導通する複数の第2導通部とは、弾性部材に対して上記押圧を加える接触面に配置されており、第1パターン部および第2パターン部が非導通状態になることで筐体の開封が開封検知手段により検知される。
【0014】
これにより、上記組付状態においては、両ケース間にて押圧される弾性部材は、上記接触面にて各第1導通部の少なくともいずれかに接触するとともに各第2導通部の少なくともいずれかに接触するので、この弾性部材を介して第1パターン部と第2パターン部とが導通状態になる。そして、筐体が開封される場合には、上記押圧が解除されて、弾性部材が各第1導通部および各第2導通部に接触しなくなり、第1パターン部と第2パターン部とが非導通状態になるので、開封検知手段により筐体の開封を検知することができる。
【0015】
特に、弾性部材は、上記組付状態では弾性変形することで各第1導通部および各第2導通部に接触しやすくなるので、各第1導通部および各第2導通部だけでなく第1ケースおよび第2ケースに対して要求される寸法精度を緩和することができる。さらに、各第1導通部および各第2導通部は、上記組付状態にてそれぞれ少なくともいずれか1つが弾性部材に接触すればいいので、弾性部材に対して要求される組付精度をも緩和することができる。
したがって、簡易な構成で筐体の開封を確実に検知することができる。
【0016】
請求項2の発明では、弾性部材は、環状に形成されて、第1ケースおよび第2ケースを組み付けるための締結部材が挿通するように配置されるため、上記組付状態時に締結部材による締結力が弾性部材に作用しやすくなるので、弾性部材と各第1導通部および各第2導通部とを確実に接触させることができる。
【0017】
請求項3の発明では、複数の第1導通部および複数の第2導通部は、それぞれ近接するように交互に配置されるため、各第1導通部および各第2導通部と弾性部材とを確実に接触させることができる。
【0018】
請求項4の発明では、接触面は、複数の第1導通部および複数の第2導通部が配置される領域(以下、導通領域ともいう)の高さが他の領域の高さに対して低く形成されている。このため、上記押圧に応じて弾性部材が上記導通領域を底面とする空間を埋めるように弾性変形するので、弾性部材と各第1導通部および各第2導通部とを確実に接触させることができる。また、導通領域を底面とする空間の高さを調整することで、上記押圧が減少して弾性部材が上記接触状態から僅かに弾性変形する場合でも第1パターン部と第2パターン部とが非導通状態になるので、筐体の開封を確実に検知することができる。
【0019】
請求項5の発明では、弾性部材は、接触面に直交する面の断面の端部が円弧形状に形成されるため、接触面に接触する弾性部材の接触部位に上記押圧が集中するので、弾性部材と各第1導通部および各第2導通部とを確実に接触させることができる。
【0020】
請求項6の発明では、弾性部材と、この弾性部材に接触する接触面に各導通部が配置される接点パターンとが、複数箇所設けられている。これにより、複数箇所のうち所定の箇所、例えば、少なくとも筐体中央に配置された弾性部材と両導通部との接触が解除されるときに開封検知手段により筐体の開封を検知することで、筐体の隅部に落下等の衝撃が作用する場合でも、誤検知を防止することができる。また、複数箇所のうち所定数以上で弾性部材と両導通部との接触が解除されるときに開封検知手段により筐体の開封を検知することで、落下等の衝撃によりその衝撃が作用する部位近傍の箇所にて一時的に上記接触が解除した場合でも、誤検知を防止することができる。さらに、複数箇所のうち1箇所でも弾性部材と両導通部との接触が解除されるときに開封検知手段により筐体の開封を検知することで、セキュリティ性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る携帯情報端末を示す一部断面図である。
【図2】図1の2−2線相当の切断面による一部断面図である。
【図3】接点パターンの構成を示す平面図である。
【図4】導電ゴムの形状を説明するための断面図である。
【図5】本実施形態の第1変形例に係る制御基板の接触面の状態を示す上面図である。
【図6】本実施形態の第1変形例に係る制御基板の接触面の状態を示す一部断面図であり、図6(A)は導電ゴムの弾性変形前の状態を示し、図6(B)は導電ゴムの弾性変形後の状態を示す。
【図7】本実施形態の第2変形例に係る制御基板の接触面の状態を示す一部断面図である。
【図8】制御基板を組み付けた下側ケースの複数の突出部に導電ゴムをそれぞれ挿通した状態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の携帯情報端末を具現化した一実施形態について図を参照して説明する。携帯情報端末10は、例えばICカード等を読み取る決済端末、或いはバーコードリーダ、二次元コードリーダ等の光学的情報読取装置などとして構成されるものである。なお、以下では本発明を決済端末に適用した場合を例に挙げて説明するが、光学的情報読取装置等の他種の携帯情報端末でも同様に構成できる。
【0023】
図1および図2に示すように、携帯情報端末10は、上側ケース12および下側ケース13からなる筐体11内に制御基板20等の各種電気部品や図略の電源等が収容されるように構成されている。この筐体11内の電気的構成は、公知のカードリーダとほぼ同様の構成とすることができる。なお、筐体11、上側ケース12および下側ケース13は、特許請求の範囲に記載の「筐体」、「第1ケース」および「第2ケース」の一例に相当する。
【0024】
上側ケース12の内面側には、円柱状のリブ12aが上側ケース12と下側ケース13とを組み付ける方向(以下、組付方向という)に突出するように形成されている。このリブ12aの先端部には、後述するねじ14が締結されるねじ穴12bが形成されている。なお、このねじ穴12bは、リブ12aにインサート等された図略の金属部材等に形成されているが、リブ12aに直接形成されてもよい。
【0025】
制御基板20は、下側ケース13の内面側に固定されており、この制御基板20に実装される図略の制御回路は、ICカード等から取得した決済関連のデータを所定のプログラムを実行することにより処理して、図略のメモリ等に記憶する。なお、制御基板20の制御回路およびメモリは、特許請求の範囲に記載の「制御回路」、「開封検知手段」および「記憶手段」の一例に相当する。
【0026】
制御基板20には、下側ケース13の内面側から円筒状に突出する突出部13aが挿通する開口部21が形成されており、この開口部21近傍であって後述する導電ゴム30が接触する接触面22に筐体11の開封を検知するための接点パターン23が設けられている。この接点パターン23は、図3に示すように、互いに非導通状態として配置される外周側の第1パターン部24および内周側の第2パターン部25を備えている。
【0027】
第1パターン部24の略円状部分には内周側に延びる複数の第1導通部24aが接続されており、第2パターン部25の略円状部分には外周側に延びる複数の第2導通部25aが接続されている。すなわち、各第1導通部24aは第1パターン部24のみに導通し、各第2導通部25aは第2パターン部25のみに導通する。これら各第1導通部24aおよび各第2導通部25aは、互いに非導通状態を維持しつつ櫛歯状に近接して配置されている。なお、図3に示すように、3つの第2導通部25aとこれらの間に配置される2つの第1導通部24aとが櫛歯状の一群として複数個所配置されることに限らず、各第1導通部24aおよび各第2導通部25aが互いに等間隔に配置されてもよい。
【0028】
このように形成される第1パターン部24および第2パターン部25は、上記制御回路にそれぞれ接続されている。この制御回路により、両パターン部24,25が導通状態になり閉回路を構成するとき筐体11の未開封状態が検知され、両パターン部24,25が非導通状態になり上記閉回路が切断されるとき筐体11の開封状態が検知される。
【0029】
制御基板20のうち開口部21近傍には、導電性の弾性部材を円筒状に形成した導電ゴム30が配置されている。この導電ゴム30は、図1および図4に示すように、その外径がリブ12aの外径よりも小さく、上下両端部31,32が略断面円弧形状、すなわち、接触面22に対して直交する面の断面の端部が略円弧形状になるように形成されている。また、導電ゴム30は、組付方向の高さが、組付状態時のリブ12aと制御基板20の開口部21近傍との間に形成される組付方向の隙間よりも僅かに大きくなるように形成されている。当該導電ゴム30は、後述する両ケース12,13の組み付け時にリブ12aと制御基板20との双方に接触して押圧されるように両ケース12,13間に介装される。
【0030】
これにより、各第1導通部24aおよび各第2導通部25aは、導電ゴム30に対して上記押圧を加える開口部21近傍の接触面22に配置されているため、組み付け時では上記押圧が作用する導電ゴム30により導通されることとなる。
【0031】
次に、上述のように構成される携帯情報端末10における主要部品の組み付けについて、以下に説明する。
まず、接点パターン23等が形成された制御基板20を、開口部21が突出部13aに挿通するように下側ケース13に組み付ける。次に、導電ゴム30を、各第1導通部24aおよび各第2導通部25aに接触させるように突出部13aに挿通させて、開口部21近傍に配置する。そして、突出部13aの頂部の貫通穴13bを挿通するねじ14をリブ12aのねじ穴12bに締結するとともに他の締結部材等を締結状態にすることで、上側ケース12および下側ケース13の組み付けにより筐体11が形成されて、図1に示す携帯情報端末10が完成する。
【0032】
このとき、導電ゴム30は、内方を挿通するねじ14による締結力がリブ12a等を介して作用して弾性変形し、リブ12aと制御基板20との双方に接触して押圧された状態で各第1導通部24aおよび各第2導通部25aに接触している。これにより、第1パターン部24と第2パターン部25とが導電ゴム30を介して導通状態になるため、接点パターン23が上記閉回路を構成するので、上記制御回路により筐体11の未開封状態が検知される。
【0033】
一方、ねじ14等の締結部材が外されて、筐体11が開封状態になると、導電ゴム30に対する押圧が解除される。これにより、導電ゴム30が各第1導通部24aおよび各第2導通部25aに接触しなくなると、第1パターン部24と第2パターン部25とが非導通状態になり上記閉回路が切断されるので、筐体11の開封状態が検知される。この開封状態の検知に応じて、メモリに記憶された所定の決済情報を消去等することで、セキュリティ性が確保されることとなる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態に係る携帯情報端末10では、上側ケース12および下側ケース13を組み付けた組付状態において、導電ゴム30が、上側ケース12のリブ12aと、下側ケース13に固定される制御基板20との双方に接触して押圧されるように両ケース12,13間に介装される。そして、第1パターン部24のみに導通する複数の第1導通部24aと第2パターン部25のみに導通する複数の第2導通部25aとは、導電ゴム30に対して上記押圧を加える接触面22に配置されており、第1パターン部24および第2パターン部25が非導通状態になることで筐体11の開封が検知される。
【0035】
これにより、上記組付状態においては、両ケース12,13間にて押圧される導電ゴム30は、接触面22にて各第1導通部24aの少なくともいずれかに接触するとともに各第2導通部25aの少なくともいずれかに接触するので、この導電ゴム30を介して第1パターン部24と第2パターン部25とが導通状態になる。そして、筐体11が開封される場合には、上記押圧が解除されて、導電ゴム30が各第1導通部24aおよび各第2導通部25aに接触しなくなり、第1パターン部24と第2パターン部25とが非導通状態になるので、筐体11の開封を検知することができる。
【0036】
特に、導電ゴム30は、上記組付状態では弾性変形することで各第1導通部24aおよび各第2導通部25aに接触しやすくなるので、各第1導通部24aおよび各第2導通部25aだけでなく上側ケース12および下側ケース13に対して要求される寸法精度を緩和することができる。さらに、各第1導通部24aおよび各第2導通部25aは、上記組付状態にてそれぞれ少なくともいずれか1つが導電ゴム30に接触すればいいので、導電ゴム30に対して要求される組付精度をも緩和することができる。
したがって、簡易な構成で筐体11の開封を確実に検知することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る携帯情報端末10では、導電ゴム30は、円筒状(環状)に形成されて、上側ケース12および下側ケース13を組み付けるためのねじ14が挿通するように配置されるため、上記組付状態時にねじ14による締結力が導電ゴム30に作用しやすくなるので、導電ゴム30と各第1導通部24aおよび各第2導通部25aとを確実に接触させることができる。
【0038】
さらに、本実施形態に係る携帯情報端末10では、各第1導通部24aおよび各第2導通部25aは、それぞれ櫛歯状に近接するように交互に配置されるため、各第1導通部24aおよび各第2導通部25aと導電ゴム30とを確実に接触させることができる。
【0039】
さらにまた、本実施形態に係る携帯情報端末10では、導電ゴム30は、接触面22に直交する面の断面の端部32が略円弧形状に形成されているため、接触面22に接触する導電ゴム30の接触部位に上記押圧が集中するので、導電ゴム30と各第1導通部24aおよび各第2導通部25aとを確実に接触させることができる。
【0040】
なお、本実施形態の第1変形例として、導電ゴム30が接触する制御基板20の接触面22は、各第1導通部24aおよび各第2導通部25aが配置される領域(以下、導通領域22aともいう)の高さが他の領域の高さに対して低く形成されてもよい。具体的には、図5および図6(A)に示すように、制御基板20の成形時において、接点パターン23等のパターンの成形後の基板表面に通常工程にて塗布するソルダレジスト26を、上記導通領域22aを除くように形成する。なお、図5では、導電ゴム30を図略するとともにソルダレジスト26を斜線部分にて図示している。
【0041】
これにより、上記押圧が作用するとき、図6(B)に示すように、導電ゴム30が導通領域22aを底面とする空間を埋めるように弾性変形するので、導電ゴム30と各第1導通部24aおよび各第2導通部25aとを確実に接触させることができる。
【0042】
また、本実施形態の第2変形例として、ソルダレジスト上に番号などを表示するシルク印刷工程を利用して、図7に示すように、導通領域22aを除く周囲のソルダレジスト26上にシルク印刷による層27を設けることで、導通領域22aを底面とする空間の高さを調整してもよい。これにより、上記押圧が減少して導電ゴム30が上記接触状態から僅かに弾性変形する場合でも導電ゴム30と各第1導通部24aおよび各第2導通部25aとの接触が解除されて第1パターン部24と第2パターン部25とが非導通状態になるので、筐体11の開封を確実に検知することができる。特に、層27の厚さを調整するだけで、導通領域22aを底面とする空間の高さを容易に調整することができる。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記実施形態と同等の作用・効果が得られる。
(1)導電ゴム30は、上側ケース12のリブ12aに接触することで上記押圧が作用することに限らず、上側ケース12に固定される他の部材等、上側ケース12またはこの上側ケース12に固定される部材に接触することで上記押圧が作用してもよい。また、導電ゴム30は、下側ケース13に固定される制御基板20に接触することで上記押圧が作用することに限らず、下側ケース13またはこの下側ケース13に固定される他の部材に接触することで上記押圧が作用してもよい。このとき、導電ゴム30は、ねじ14等の締結部材が挿通する場合には環状(円筒状)に形成されるが、締結部材が挿通しない場合には環状に形成されなくてもよい。また、接点パターン23の各第1導通部24aおよび各第2導通部25aは、上記押圧が作用する導電ゴム30との接触面22に設けられて、この接触面22に応じた形状に形成されるものとする。
【0044】
(2)導電ゴム30に代えて、導電性のスポンジ等、上記押圧によって弾性変形可能な導電性の弾性部材を採用してもよい。
【0045】
(3)接点パターン23の第1導通部24aおよび第2導通部25aは、互いに櫛歯状に近接するように配置されることに限らず、接触面22上にて互いに非導通状態となるように配置されてもよい。
【0046】
(4)導電ゴム30は、接触面22に直交する面の断面の端部32が略円弧形状に形成されることに限らず、例えば、断面矩形状等、接触面22の形状に応じて第1導通部24aおよび第2導通部25aに接触するために適切な形状に形成されてもよい。
【0047】
(5)図8に示すように、導電ゴム30と、この導電ゴム30に接触する接触面22に各導通部24a,25aが配置される接点パターン23とは、複数箇所設けられてもよい。この場合、複数箇所のうち所定の箇所、例えば、少なくとも筐体11中央に配置された導電ゴム30と各導通部24a,25aとの接触が解除されるときに筐体11の開封を検知することで、筐体11の隅部に落下等の衝撃が作用する場合でも、誤検知を防止することができる。また、複数箇所のうち所定数以上で導電ゴム30と各導通部24a,25aとの接触が解除されるときに筐体11の開封を検知することで、落下等の衝撃によりその衝撃が作用する部位近傍の箇所にて一時的に上記接触が解除した場合でも、誤検知を防止することができる。さらに、複数箇所のうち1箇所でも導電ゴム30と各導通部24a,25aとの接触が解除されるときに筐体11の開封を検知することで、セキュリティ性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0048】
10…携帯情報端末
11…筐体
12…上側ケース(第1ケース)
13…下側ケース(第2ケース)
20…制御基板(制御回路,記憶手段,開封検知手段)
22…接触面
23…接点パターン
24…第1パターン部
24a…第1導通部
25…第2パターン部
25a…第2導通部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得した取得情報を制御するための制御回路と、
前記取得情報を記憶する記憶手段と、
第1ケースおよび第2ケースを有しこれら両ケースを組み付けた組付状態にて前記制御回路および前記記憶手段を収容する筐体と、
を備える携帯情報端末であって、
前記組付状態において、前記第1ケースまたはこの第1ケースに固定される部材と、前記第2ケースまたはこの第2ケースに固定される部材との双方に接触して押圧されるように両ケース間に介装される導電性の弾性部材と、
非導通状態の第1パターン部および第2パターン部と前記第1パターン部のみに導通する複数の第1導通部と前記第2パターン部のみに導通する複数の第2導通部とを有する接点パターンと、
前記第1パターン部および前記第2パターン部が非導通状態になることで前記筐体の開封を検知する開封検知手段と、を備え、
前記複数の第1導通部および前記複数の第2導通部は、前記弾性部材に対して前記押圧を加える接触面に配置されることを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
前記弾性部材は、環状に形成されて、前記第1ケースおよび前記第2ケースを組み付けるための締結部材が挿通するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記複数の第1導通部および前記複数の第2導通部は、それぞれ近接するように交互に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯情報端末。
【請求項4】
前記接触面は、前記複数の第1導通部および前記複数の第2導通部が配置される領域の高さが他の領域の高さに対して低く形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯情報端末。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記接触面に直交する面の断面の端部が円弧形状に形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯情報端末。
【請求項6】
前記弾性部材と、この弾性部材に接触する前記接触面に前記各導通部が配置される前記接点パターンとが、複数箇所設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の携帯情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−129011(P2011−129011A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288762(P2009−288762)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】