説明

携帯情報装置、位置管理プログラムおよび表示装置

【課題】 送信に伴う消費電力を低減すること。
【解決手段】 携帯情報装置は、現在位置を取得する現在位置取得部(S11)と、取得された現在位置をサーバに送信する現在位置送信部と、サーバから現在位置の混雑度を取得する混雑度取得部(S14)と、を備え、現在位置送信部は、取得された現在位置と送信された現在位置との間の距離が、取得された混雑度に基づいて決定されるしきい値以上であることを条件に(S17でYES)、取得された現在位置をサーバに送信する(S21)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯情報装置、位置管理プログラムおよび表示装置に関し、特に歩行者が携帯する携帯情報装置、その携帯情報装置で実行される位置管理プログラム、さらに、歩行者に混雑度合いを通知する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
旅行者によって携帯される携帯型情報端末装置から、それが位置する現在位置を収集し、旅行者の動線情報を生成する旅行者動性情報管理サーバ装置を備えた旅行者動性情報収集システムが特開2006−262189号公報(特許文献1)に記載されている。しかしながら、従来の携帯型情報端末は、ある一定の距離を移動したときに現在位置を送信するため、携帯型情報端末が移動していないときには、現在位置を送信しない。このため、現在位置を受信する側においては、混雑していて移動速度が遅いのか、または、停止しているのか、状態を把握することができないといった問題がある。
【特許文献1】特開2006−262189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、正確な位置情報を通知することが可能な携帯情報装置を提供することである。
【0004】
この発明の他の目的は、正確な位置情報を通知することが可能な位置管理プログラムを提供することである。
【0005】
この発明のさらに他の目的は、混在度合いを通知することが可能な表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、この発明のある局面によれば、携帯情報装置は、現在位置を取得する現在位置取得手段と、取得された現在位置をサーバに送信する送信手段と、現在位置の混雑度を取得する混雑度取得手段と、を備え、送信手段は、取得された現在位置と送信手段により送信された現在位置との間の距離が、取得された混雑度に基づいて決定されるしきい値以上であることを条件に、取得された現在位置をサーバに送信する。
【0007】
この局面に従えば、取得された現在位置と先に送信された現在位置との間の距離が、混雑度に基づいて決定されるしきい値以上であることを条件に、取得された現在位置がサーバに送信される。移動速度に関係なく移動距離がしきい値以上の場合に送信されるので、例えば、移動速度が遅い場合、所定の距離移動するごとに送信する場合に比較して、現在位置を送信する頻度が増加する。このため、正確な位置を通知することが可能な携帯情報装置を提供することができる。
【0008】
好ましくは、方位を検出する方位検出手段をさらに備え、送信手段は、取得された現在位置と送信手段により送信された現在位置との間の距離が決定されたしきい値より小さい場合であっても、検出された方位が所定の角度以上変化する場合に、取得された現在位置をサーバに送信する。
【0009】
この局面に従えば、検出された方位が所定の角度以上変化する場合に、現在位置がサーバに送信されるので、現在位置を送信する頻度がさらに増加し、正確な位置を通知することができる。
【0010】
好ましくは、加速度を検出する加速度検出手段をさらに備え、送信手段は、取得された現在位置と送信手段により送信された現在位置との間の距離が決定されたしきい値より小さい場合であっても、検出される加速度が所定の値以上変化する場合に、取得された現在位置をサーバに送信する。
【0011】
この局面に従えば、加速度が所定の値以上変化する場合に現在位置をサーバに送信するので、現在位置を送信する頻度がさらに増加し、正確な位置を通知することができる。
【0012】
好ましくは、送信手段は、取得された現在位置と送信手段により送信された現在位置との間の距離が決定されたしきい値より小さい場合であっても、取得された現在位置が予め定められた所定の領域内に位置することとなった場合に、取得された現在位置をサーバに送信する。
【0013】
この局面に従えば、現在位置を送信する頻度がさらに増加し、正確な位置を通知することができる。
【0014】
この発明のさらに他の局面によれば、位置管理プログラムは、現在位置を取得するステップと、取得された現在位置をサーバに送信するステップと、現在位置の混雑度を取得するステップと、をコンピュータに実行させ、送信するステップは、取得された現在位置と送信するステップにおいて先に送信された現在位置との間の距離が、取得された混雑度に基づいて決定されるしきい値以上であることを条件に、取得された現在位置をサーバに送信するステップをコンピュータに実行させる。
【0015】
この局面に従えば、正確な位置情報を通知することが可能な位置管理プログラムを提供することができる。
【0016】
この発明のさらに他の局面によれば、表示装置は、上記の携帯情報装置から現在位置を受信する受信手段と、受信された現在位置に基づいて、混雑度を算出する混雑度算出手段と、を備えたサーバから混雑度を取得する混雑度取得手段と、取得された混雑度に基づいて、混雑状態を視覚的に示す地図を表示する表示手段と、を備える。
【0017】
この局面によれば、混在度合いを通知することが可能な表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける位置管理システムの全体概要を示す図である。図1を参照して、位置管理システムは、サーバ100と、携帯情報装置1,1A〜1Dと、モニタ200を含む。
【0020】
サーバ100は、インターネット3に接続されており、インターネット3上における位置を示す位置情報としてIP(Internet Protocol)アドレスが割り当てられている。なお、インターネット3上における位置情報は、IPアドレスに限らず、MAC(Media AcceSS Control)アドレス等の別のアドレスを用いてもよい。また、携帯情報装置1,1A〜1Dは、ローカルエリアネットワーク(LAN)5を介してインターネット3に接続される。このため、サーバ100、携帯情報装置1,1A〜1Dおよびモニタ200は、互いに通信が可能である。LAN5は、通信事業者等が提供するネットワークであってもよく、有線または無線を問わない。
【0021】
サーバ100は、一般的なコンピュータである。携帯情報装置1,1A〜1Dは、例えば、携帯型ナビゲーション装置またはナビゲート機能を備えた携帯電話機である。なお、携帯情報装置1,1A〜1Dは、携帯型ナビゲーション装置または携帯電話機に限定されるものではなく、ナビゲート機能を備えていればPDA(Personal Digital Assistants)等であってもよい。なお、図1においては、5台の携帯情報装置1,1A〜1Dを示しているが、携帯情報装置1,1A〜1Dの台数は、1台以上であればよい。
【0022】
モニタ200は、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等の表示装置である。モニタ200は、例えば、建物の壁面等の公共の場に設置される。モニタ200は、サーバ100により制御され、サーバ100から受信される地図を表示する。モニタ200は、複数人が同時に視聴できるように、大型であることが好ましい。
【0023】
図2は、サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2を参照して、サーバ100は、それぞれがバスに接続された中央演算装置(CPU)101と、CPU101が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)107と、CPU101の作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)105と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)103と、サーバ100をインターネット3に接続するための通信部109と、ユーザとのインターフェースとなる操作部113と、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)111Aが装着される外部記憶装置111と、を含む。
【0024】
CPU101は、サーバ100の全体を制御する。また、CPU101は、ROM103に記憶されたナビゲーションプログラムをRAM105にロードして、実行する。また、CPU101は、外部記憶装置111を介してCD−ROM111Aに記憶されたナビゲーションプログラムをRAM105にロードし、実行するようにしてもよい。
【0025】
操作部113は、キーボードとマウス等のポインティングデバイスとを含む入力部115と、データを表示する液晶表示装置または有機ELD(ElectroLuminescence Display)等からなる表示部117とを含む。
【0026】
なお、CPU101が実行するためのプログラムを記憶する記録媒体としては、CD−ROM111Aに限られず、フレキシブルディスク、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)およびEEPROM(Electrically EEPROM)などの半導体メモリ等の媒体でもよい。
【0027】
さらに、CPU101がインターネット3に接続されたコンピュータからナビゲーションプログラムをダウンロードしてHDD103に記憶する、または、インターネットに接続されたコンピュータが位置管理プログラムをHDD103に書込みするようにしてCPU101で実行するようにしてもよい。ここでいう位置管理プログラムは、CPU101により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0028】
携帯情報装置1,1A〜1Dのハードウェア構成および機能は同じなので、ここでは特に言及しない限り携帯情報装置1について説明する。図3は、携帯情報装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図3を参照して、携帯情報装置1は、携帯情報装置1の全体を制御するための中央演算装置(CPU)11と、GPS受信機13と、地磁気センサ15と、加速度センサ17と、メモリインターフェース(I/F)19と、シリアル通信I/F21と、無線通信部23と、液晶表示装置(LCD)25と、タッチスクリーン27と、CPU11が実行するプログラム等を記憶するROM29と、CPU11の作業領域として用いられるRAM31と、データを不揮発的に記憶するEEPROM33と、操作キー35と、を含む。
【0029】
GPS受信機13は、全地球測位システム(GPS)におけるGPS衛星から送信される電波を受信し、受信された電波に含まれるGPS信号をCPU11に出力する。また、GPS受信機13は、GPS信号を含む電波を送信するGPS衛星の数と、GPS衛星毎に受信された電波の状態と、発信機の状態とをCPU11に出力する。電波の状態は、電波強度と、電波の到来角(仰角)とを含む。発信機の状態は、衛星自体の状態を表す情報であり、GPS衛星から得られる航法メッセージに含まれる測距精度(URA)と、衛星健康状態(SVhealth)とを含む。
【0030】
加速度センサ17は、携帯情報装置1が移動する加速度を検出し、検出した加速度をCPU11に出力する。地磁気センサ15は、携帯情報装置1の予め定められた面が向く方向の方位を検出し、検出した方位をCPU11に出力する。なお、加速度センサ17に代えて、速度センサを用いてもよく、地磁気センサ15に代えてジャイロを用いてもよい。
【0031】
無線通信部23は、路側または店舗等に設置されたアクセスポイントと無線で通信する。無線通信部23は、アクセスポイントと通信することにより、携帯情報装置1を、アクセスポイントが接続されたネットワークに接続する。ネットワークは、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)またはインターネットを含む。
【0032】
LCD25は、TFT(Thin Film Transistor)型であり、CPU11により制御され、CPU11より出力される画像を表示する。なお、LCD25に代えて、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイを用いてもよい。
【0033】
タッチスクリーン27は、透明な部材からなり、LCD25の表示面上に設けられる。タッチスクリーン27は、ユーザが指等で指示したLCD25の表示面における位置を検出し、CPU11に出力する。タッチスクリーン27は、感圧式と静電式のいずれであってもよい。タッチスクリーン27を静電式とする場合、タッチスクリーン27は、LCD25の裏面に設けることができる。CPU11は、LCD25に各種ボタンを表示することにより、タッチスクリーン27により検出される指示位置と組み合わせて、各種の操作を受け付ける。CPU11がLCD25に表示する操作画面は、携帯情報装置1を操作するための操作画面を含む。操作キー35は、ボタンスイッチであり、主電源のオンとオフとを切換える電源キーを含む。
【0034】
メモリI/F19には、着脱可能なメモリカード19Aが装着される。CPU11は、メモリカード19Aに記憶された地図データを読み出し、携帯情報装置1が位置する現在位置とそれが移動する方向の方位とを示す印を地図上に記した画像をLCD25に表示する。なお、地図データは、メモリカード19Aのほか、内蔵HDDに記憶するようにしてもよい。また、CPU11は、携帯型ナビゲーション装置が移動するに伴って移動後の位置と方位とを示す印を地図上に記した画像をLCD25に表示させる。
【0035】
なお、ここではCPU11が実行するプログラムをROM29に記憶しておく例を説明するが、プログラムをメモリカード19Aに記憶しておき、メモリカード19Aからプログラムを読み出して、CPU11で実行するようにしてもよい。プログラムを記憶する記録媒体としては、メモリカード19Aに限らず、フレキシブルディスク、カセットテープ、光ディスク(CD−ROM/MO/MD/DVD)、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROMなどの半導体メモリ等でもよい。
【0036】
また、シリアル通信I/F21に接続されるコンピュータからプログラムを読み出して、CPU11で実行するようにしてもよい。ここでいうプログラムは、CPU11により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0037】
本実施の形態における携帯情報装置1は、従来周知のナビゲーション装置と同様に、GPS受信機13がGPS衛星から受信するGPS信号に基づいて、現在位置を検出し、また、加速度センサ17および地磁気センサ15から入力される加速度および方位に基づいて、デッドレコニングを実行する。本実施の形態における携帯情報装置1は、歩行者が携帯するのに適している。
【0038】
図4は、サーバが備えるCPUが有する機能の一例を示す機能ブロック図である。図4を参照して、サーバ100が備えるCPU101は、携帯情報装置1,1A〜1Dそれぞれから現在位置を収集する現在位置収集部121と、収集された現在位置に基づいて混雑度を算出する混雑度算出部123と、携帯情報装置1,1A〜1Dのいずれかからの要求に応じて混雑度を送信する混雑度送信部125と、混雑度に基づいて、混雑状態を視覚的に示す地図を生成する地図生成部127と、モニタ200の表示を制御する表示制御部129と、を備える。
【0039】
現在位置収集部121は、通信部109が携帯情報装置1,1A〜1Dのいずれかから現在位置を受信すると、携帯情報装置1,1A〜1Dのうち現在位置を送信してきたものを識別するための識別情報と、現在位置とを取得する。現在位置収集部121は、現在位置を取得した時刻と、識別情報と、現在位置とを、混雑度算出部123に出力する。ここでは、現在位置は、3次元の位置を示し、緯度、経度および標高を含む。このため、現在位置は、複数階からなる建物については、階数を特定し、地下街についても同様に地階の階数を示す。
【0040】
混雑度算出部123は、現在位置収集部121から入力される現在位置に基づいて混雑度を算出する。混雑度算出部123は、所定時間間隔で混雑度を算出し、混雑度を混雑度送信部125に出力する。混雑度は、単位面積当たりの人数で表される。具体的には、混雑度算出部123は、現在位置収集部121から入力される現在位置のうち携帯情報装置1,1A〜1Dそれぞれから最後に受信された現在位置に基づいて、予め定められた複数の領域ごとに、その領域における単位面積当たりの台数を算出する。
【0041】
混雑度送信部125は、通信部109が携帯情報装置1,1A〜1Dのいずれかから混雑度の送信要求を受信すると、携帯情報装置1,1A〜1Dのうち送信要求を送信してきたものに、混雑度を送信する。ここでは、携帯情報装置1,1A〜1Dのうち送信要求を送信してきたものの現在位置の周辺の領域の混雑度を送信する。
【0042】
地図生成部127は、混雑度算出部123により算出された混雑度に基づいて、混雑状態を視覚的に示す地図を生成する。例えば、混雑度を3〜5段階にレベル分けして、それぞれのレベルに対応する色を地図に付すことにより、混雑度を視覚的に表示する地図を生成する。例えば、混雑度を3段階にレベル分けする場合、混雑度の高い第3レベルに赤色を、混雑度の低い第1レベルに青色を、混雑度が中間の第2レベルに黄色を割り当てる。地図生成部127は、生成された地図を表示制御部129に出力する。
【0043】
表示制御部127は、地図生成部127により生成された地図を、通信部109を介してモニタ200に送信し、モニタ200に地図を表示させる。これにより、混雑度が視覚的に示された地図がモニタ200に表示される。このため、混雑度合を通行人に通知することができる。モニタ200に表示された地図を見る通行人は、混雑度を知ることができ、進行する道を選択することができる。このように、サーバ100は、携帯情報装置1,1A〜1Dそれぞれから受信される現在位置を、運行管理に利用する。
【0044】
現在位置収集部121は、携帯情報装置1,1A〜1Dのいずれかから現在位置とともに、後述するイベント情報を受信する。イベント識別情報は、移動距離がしきい値を超えたことを示す移動距離イベントと、方位が所定の角度以上変化したことを示す方位イベントと、加速度が所定の値以上変化したことを示すか速度イベントと、所定の領域に入ったことを示す領域イベントと、を含む。サーバ100は、イベントごとに、それが発生した位置を集計することにより、集計結果をマーケッティングに利用する。具体的には、ある領域で同じイベントの発生回数を集計することにより、複数のユーザが同じ動作をする領域を特定することができる。さらに、方位が所定の角度以上変化したことを示す方位イベントと、加速度が所定の値以上変化したことを示すか速度イベントを、集計することにより、集計により特定された領域にユーザが興味を示す対象が存在することを検出することができる。
【0045】
図5は、携帯情報装置が備えるCPUが有する機能の一例を示す機能ブロック図である。図5を参照して、携帯情報装置1が備えるCPU11は、サーバ100から混雑度を取得する混雑度取得部51と、しきい値を決定するしきい値決定部53と、現在位置を取得する現在位置取得部55と、取得された現在位置をサーバ100に送信する現在位置送信部57と、方位を取得する方位取得部59と、加速度を取得する加速度取得部61と、を含む。
【0046】
現在位置取得部55は、携帯情報装置1が備えるGPS受信機13が、GPS衛星が送信するGPS信号を受信すると、その受信されたGPS信号に基づいて現在位置を取得する。GPS信号から現在位置を直接算出するようにしてもよいし、携帯情報装置1の通信事業者が備えるサーバにGPS信号を送信し、そのサーバから現在位置を受信するようにしてもよい。また、現在位置取得部55は、無線通信部23が無線LANのアクセスポイントと通信する場合には、無線通信部23がアクセスポイントから受信する位置情報に基づいて、現在位置を算出する。建物内や地下等、GPS受信機13がGPS信号を受信できない場所において有効である。現在位置取得部55は現在位置を取得すると、取得された現在位置を現在位置送信部57に出力する。ここでは、現在位置は、緯度、経度および標高を含む。
【0047】
混雑度取得部51は、無線通信部23を介してサーバ100と通信し、サーバ100に混雑度の送信要求を送信する。サーバ100は、携帯情報装置1から混雑度の送信要求を受信すると、携帯情報装置1から先に受信した現在位置周辺の混雑度を、携帯情報装置1に送信する。混雑度は、上述したように、サーバ100において逐次更新される値であり、最新の混雑度を受信する。混雑度取得部51は、取得された混雑度をしきい値決定部53に出力する。
【0048】
しきい値決定部53は、入力される混雑度に基づいてしきい値を決定する。しきい値は、現在位置送信部57が現在位置を送信するタイミングを決定するために用いられ、現在位置送信部57が最後にサーバ100に送信した現在位置からの距離を示す。しきい値決定部53は、混雑度が高いほどしきい値を小さな値に決定し、混雑度が小さいほどしきい値を大きな値に決定する。例えば、混雑度をd、定数Kとして、しきい値T=K/dで算出する。しきい値決定部53は、決定されたしきい値を現在位置送信部57に出力する。
【0049】
方位取得部59は、地磁気センサ15に検出された方位が入力され、携帯情報装置1の向く方位を取得し、取得された方位を現在位置送信部57に出力する。加速度取得部61は、加速度センサ17により検出された加速度が入力され、携帯情報装置1の加速度を取得し、取得された加速度を現在位置送信部57に出力する。
【0050】
現在位置送信部57は、現在位置取得部55から入力される現在位置を、無線通信部23を介してサーバ100に送信する。現在位置送信部57は、サーバ100のネットワークアドレスを予め記憶している。現在位置送信部57は、サーバ100に送信した現在位置をRAM31に一時記憶する。ここでは、RAM31に最後に記憶された現在位置、換言すれば、サーバ100に最後に送信された現在位置を送信位置という。現在位置送信部57は、現在位置送信部57から入力される現在位置とRAM31に記憶された送信位置との間の移動距離が、しきい値決定部53から入力されるしきい値と比較し、移動距離がしきい値以上であることを条件に、現在位置送信部57から入力される現在位置をサーバ100に送信する。所定の距離移動した場合に現在位置を送信する場合は、混雑して所定距離を移動するのに時間を要する場合に、その間、移動しているのか停止しているのかを判断することができなくなってしまう。これに対して、しきい値決定部53により決定されるしきい値は、混雑しているときは小さく、混雑していないときは大きいので、現在位置送信部57は、混雑しているときも可能な限り現実に近い位置をサーバ100に送信することができる。
【0051】
また、現在位置送信部57は、移動距離がしきい値より小さい場合であっても、方位取得部59から入力される方位が所定の角度以上変化する場合に、現在位置取得部55から入力される現在位置を、無線通信部23を介してサーバ100に送信する。所定の角度は、例えば90度である。移動距離がしきい値より小さい場合であっても現在位置を送信するので、現在位置を送信する頻度が高くなり、サーバ100において正確な位置を検出することができる。方位が変化した地点における現在位置をサーバ100に送信することにより、サーバ100において正確に現在位置を把握することができる。また、携帯情報装置1のユーザが、何かに興味を示した時点で方向を転換した可能性が高く、ユーザの興味の引くものが存在する位置をサーバ100に送信することができる。サーバ100において、複数のユーザが同一または所定の範囲内の位置で方向を変える場合、その位置に複数の人が興味を示す対象が存在すると予測される。サーバ100において、複数のユーザが興味を示す対象物の位置を検出することができる。
【0052】
さらに、現在位置送信部57は、移動距離がしきい値より小さい場合であっても、加速度取得部61から入力される加速度が所定の値以上変化する場合に、現在位置取得部55から入力される現在位置を、無線通信部23を介してサーバ100に送信する。移動距離がしきい値より小さい場合であっても現在位置を送信するので、現在位置を送信する頻度が高くなり、サーバ100において正確な位置を検出することができる。加速度の大きさが変化した地点における現在位置をサーバ100に送信することにより、サーバ100において加速度が変化した地点を把握することができる。加速度の変化する地点は、携帯情報装置1のユーザが、何かに興味を示した地点である可能性が高く、ユーザの興味の引くものが存在する位置をサーバ100に送信することができる。サーバ100において、複数のユーザが同一または所定の範囲内の位置で速度を変化させる場合、その位置に複数の人が興味を示す対象が存在すると予測される。サーバ100において、複数のユーザが興味を示す対象物の位置を検出することができる。
【0053】
さらに、現在位置送信部57は、移動距離がしきい値より小さい場合であっても、現在位置取得部入力される現在位置が、予め定められた所定の領域内に位置することとなった場合に、現在位置取得部55から入力される現在位置を、無線通信部23を介してサーバ100に送信する。所定の領域は、予め定められており、例えば、展示コーナー、イベント会場、等である。予め定められた領域に入った時点で、現在位置をサーバ100に送信することにより、サーバ100において正確に現在位置を把握することができる。
【0054】
現在位置送信部57は、現在位置をサーバ100に送信する場合、送信するトリガーとなったイベントを識別するためのイベント識別情報を現在位置とともにサーバ100に送信する。イベント識別情報は、移動距離がしきい値を超えたことを示す移動距離イベントと、方位が所定の角度以上変化したことを示す方位イベントと、加速度が所定の値以上変化したことを示すか速度イベントと、所定の領域に入ったことを示す領域イベントと、を含む。
【0055】
図6は、混雑度管理処理の流れの一例を示すフローチャートである。混雑度管理処理は、サーバ100が備えるCPU101が、混雑度管理プログラムを実行することによりCPU101により実行される処理である。混雑度管理プログラムは、位置管理プログラムの一部である。図6を参照して、CPU101は、通信部109が携帯情報装置1,1A〜1Dのいずれかから現在位置を受信したか否かを判断する(ステップS51)。現在位置を受信したならば処理をステップS52に進めるが、そうでなければ処理をステップS55に進める。
【0056】
ステップS52においては、携帯情報装置1,1A〜1Dのうち現在位置を送信してきたものを識別するための装置識別情報を取得する。そして、受信された現在位置と、現在位置を取得した時刻と、装置識別情報と、をRAM105に記憶する(ステップS53)。ステップS54においては、RAM105に記憶された現在位置に基づいて、領域ごとの混雑度を算出する。なお。ここでは、現在位置を受信するごとに混雑度を算出するようにしたが、所定時間間隔で混雑度を算出するようにしてもよい。混雑度は、単位面積当たりの人数で表される。具体的には、RAM105に記憶された現在位置のうち携帯情報装置1,1A〜1Dそれぞれから最後に受信された現在位置に基づいて、予め定められた複数の領域ごとに、その領域における単位面積当たりの台数を算出する。
【0057】
ステップS55においては、通信部109が携帯情報装置1,1A〜1Dのいずれかから混雑度の送信要求を受信したか否かを判断する。混雑度の送信要求を受信したならば処理をステップS56に進めるが、そうでなければステップS56をスキップして処理をステップS51に戻す。ステップS56においては、携帯情報装置1,1A〜1Dのうち送信要求を送信してきたものに混雑度を送信する。
【0058】
次のステップS57においては、ステップS54において算出された混雑度に基づいて、混雑状態を視覚的に示す地図を生成する。具体的には、混雑度を3段階にレベル分けし、混雑度の高い第3レベルに赤色を、混雑度の低い第1レベルに青色を、混雑度が中間の第2レベルに黄色を割り当て、地図のそれぞれのレベルの領域をそのレベルに割り当てられた色を付すことにより、混雑度を視覚的に表示する地図を生成する。
【0059】
そして、生成された地図を通信部109を介してモニタ200に送信し、モニタ200に地図を表示させる(ステップS58)。これにより、混雑度が視覚的に示された地図がモニタ200に表示される。このため、混雑度合を通行人に通知することができる。
【0060】
図7は、現在位置送信処理の流れの一例を示すフローチャートである。現在位置送信処理は、携帯情報装置1、1A〜1Dそれぞれが備えるCPU11が位置管理プログラムを実行することにより、CPU11により実行される処理である。図7を参照して、CPU11は、現在位置を取得する(ステップS11)。GPS受信機13によって受信されたGPS信号に基づいて現在位置を算出する。また、無線通信部23によってアクセスポイントから受信される位置情報に基づいて現在位置を算出する。そして、ステップS11において取得された現在位置をサーバ100に無線通信部23を介して送信する(ステップS12)。ステップS13においては、サーバ100に送信された現在位置、ここでは、ステップS11において取得された現在位置をRAM31に最後に送信したことを示す送信位置として一時記憶する。
【0061】
ステップS14においては、サーバ100から混雑度を取得する。具体的には、無線通信部23を介してサーバ100に混雑度の送信要求を送信する。混雑度の送信要求は、ステップS11または後述するステップS21において取得された現在位置を含む。サーバ100は、携帯情報装置1から混雑度の送信要求を受信すると、現在位置周辺の混雑度を返信するので、サーバ100から送信される混雑度を無線通信部23を介して受信する。
【0062】
ステップS15においては、取得された混雑度に基づいてしきい値Tを決定する。混雑度をd、定数Kとして、T=K/dの計算式に基づいて算出する。
【0063】
ステップS16においては、ステップS11と同様にして現在位置を取得する。そして、取得された現在位置とステップS13または後述するステップS22においてRAM31に一時記憶された送信位置との間の距離が、しきい値以上か否かを判断する。現在位置と送信位置との間の距離がしきい値T以上ならば処理をステップS21に進めるが、そうでなければ処理をステップS18に進める。
【0064】
ステップS18においては、加速度センサ17から入力される加速度が所定量以上変化したか否かを判断する。加速度が所定量以上変化したならば処理をステップS21に進め、そうでなければ処理をステップS19に進める。例えば、加速度が−5km/時変化したか否かを判断する。ステップS19においては、地磁気センサ15から入力される方位が所定角度以上変化したか否かを判断する。方位が所定角以上変化したなから処理をステップS21に進めるが、そうでなければ処理をステップS20に進める。例えば、方位が90度以上変化したか否かを判断する。ステップS20においては、ステップS16において取得された現在位置が、所定の領域内か否かを判断する。現在位置が所定の領域内ならば処理をステップS21に進めるが、そうでなければ処理をステップS14に戻す。
【0065】
ステップS21においては、ステップS16において取得された現在位置をサーバ100に無線通信部23を介して送信する。次のステップS22においては、サーバ100に送信された現在位置、ここでは、ステップS21において取得された現在位置をRAM31に最後に送信したことを示す送信位置として一時記憶し、処理をステップS14に戻す。次にステップS17に実行される場合には、ステップS22において記憶された送信位置と現在位置との間の距離がしきい値Tと比較されるので、サーバ100に最後に送信した現在位置と、実際の現在位置との間の距離が、しきい値Tと比較される。
【0066】
なお、上述した実施の形態においては、位置管理システムについて説明したが、図6に示した処理をサーバ100に実行させ、図7に示した処理を携帯情報装置1、1A〜1Dに実行させる位置管理方法または情報管理方法をサーバ100のCPU101および携帯情報装置1,1A〜1DのCPU11に実行させるための位置管理プログラムとして発明を捉えることができるのは言うまでもない。
【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0068】
<付記>
この発明のさらに他の局面によれば、位置管理システムは、携帯通信装置と、サーバと、表示装置とを含む位置管理システムであって、携帯通信装置は、現在位置を取得する現在位置取得手段と、取得された現在位置をサーバに送信する送信手段と、を備え、サーバは、携帯情報装置から現在位置を受信する受信手段と、受信された現在位置に基づいて、混雑度を算出する混雑度算出手段と、算出された混雑度に基づいて、混雑状態を視覚的に示す地図を生成する地図生成手段と、生成された地図を表示装置に表示させる表示制御手段と、を備える。
【0069】
この局面によれば、携帯情報装置から受信される現在位置に基づいて、混雑度が算出され、混雑度に基づいて混雑状態を視覚的に示す地図が生成され、表示装置に表示される。このため、混在度合いを通知することが可能な位置管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施の形態の1つにおける位置管理システムの全体概要を示す図である。
【図2】サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】携帯情報装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図4】サーバが備えるCPUが有する機能の一例を示す機能ブロック図である。
【図5】携帯情報装置が備えるCPUが有する機能の一例を示す機能ブロック図である。
【図6】混雑度管理処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図7】現在位置送信処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
1,1A〜1D 携帯情報装置、3 インターネット、5 LAN、11 CPU、13 GPS受信機、15 地磁気センサ、17 加速度センサ、19 メモリI/F、19A メモリカード、21 シリアル通信I/F、23 無線通信部、25 LCD、27 タッチスクリーン、29 ROM、31 RAM、33 EEPROM、35 操作キー、51 混雑度取得部、53 しきい値決定部、55 現在位置取得部、57 現在位置送信部、59 方位取得部、61 加速度取得部、100 サーバ、101 CPU、103 HDD、105 RAM、107 R0M、109 通信部、111 外部記憶装置、113 操作部、115 入力部、117 表示部、121 現在位置収集部、123 混雑度算出部、125 混雑度送信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記取得された現在位置を前記サーバに送信する送信手段と、
前記現在位置の混雑度を取得する混雑度取得手段と、を備え、
前記送信手段は、前記取得された現在位置と前記送信手段により送信された現在位置との間の距離が、前記取得された混雑度に基づいて決定されるしきい値以上であることを条件に、前記取得された現在位置を前記サーバに送信する、携帯情報装置。
【請求項2】
方位を検出する方位検出手段をさらに備え、
前記送信手段は、前記取得された現在位置と前記送信手段により送信された現在位置との間の距離が前記決定されたしきい値より小さい場合であっても、前記検出された方位が所定の角度以上変化する場合に、前記取得された現在位置を前記サーバに送信する、請求項1に記載の携帯情報装置。
【請求項3】
加速度を検出する加速度検出手段をさらに備え、
前記送信手段は、前記取得された現在位置と前記送信手段により送信された現在位置との間の距離が前記決定されたしきい値より小さい場合であっても、前記検出される加速度が所定の値以上変化する場合に、前記取得された現在位置を前記サーバに送信する、請求項1または2に記載の携帯情報装置。
【請求項4】
前記送信手段は、前記取得された現在位置と前記送信手段により送信された現在位置との間の距離が前記決定されたしきい値より小さい場合であっても、前記取得された現在位置が予め定められた所定の領域内に位置することとなった場合に、前記取得された現在位置を前記サーバに送信する、請求項1〜3のいずれかに記載の携帯情報装置。
【請求項5】
現在位置を取得するステップと、
前記取得された現在位置をサーバに送信するステップと、
前記現在位置の混雑度を取得するステップと、をコンピュータに実行させ、
前記送信するステップは、前記取得された現在位置と前記送信するステップにおいて先に送信された現在位置との間の距離が、前記取得された混雑度に基づいて決定されるしきい値以上であることを条件に、前記取得された現在位置を前記サーバに送信するステップをコンピュータに実行させる、位置管理プログラム。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の携帯情報装置から現在位置を受信する受信手段と、
前記受信された現在位置に基づいて、混雑度を算出する混雑度算出手段と、を備えたサーバから前記混雑度を取得する混雑度取得手段と、
前記取得された混雑度に基づいて、混雑状態を視覚的に示す地図を表示する表示手段と、を備えた表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−13717(P2011−13717A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154697(P2009−154697)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】