説明

携帯機器

【課題】 手軽に内蔵時計の設定を行う。
【解決手段】 CPU40には、内蔵時計28の設定を行う内蔵時計設定部56が設けられている。内蔵時計設定部56は、内蔵時計28が未設定の場合、デジタルカメラ10を時刻設定モードへ移行させるとともに、ユーザーに外部時計の撮影を促す案内メッセージをLCD26に表示する。外部時計の撮影が行われると、内蔵時計設定部56は、フレームメモリ34に記憶された時計画像データを解析して、撮影された外部時計の示す時刻を検知し、検知した時刻を内蔵時計28に設定する。外部時計の撮影を行うことで、手軽に内蔵時計28の設定を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体像をデジタルな画像データとして取得する撮像部、及び、装置本体に内蔵された内蔵時計とを備えた携帯機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラが広く普及している。デジタルカメラは、CCDやCMOSなどの個体撮像装置を有する撮像部を備え、撮像部により被写体像をデジタルな画像データとして取得して、メモリカードなどの記録媒体に記憶する。デジタルカメラの多くは、他の電子機器と同様に時計が内蔵されている。デジタルカメラの利用者は、デジタルカメラの購入時又は内蔵時計用電池の交換後に時刻合わせなど内蔵時計の設定を行うことで、撮影画像とともに撮影時の時刻を記録するなどといった機能を利用することができる。
【0003】
しかし、この内蔵時計の設定は、操作ボタンを何回も押さなければならないなど、非常に煩瑣な操作が必要であり、煩わしいといった問題があった。このため、デジタルカメラのクレードル装置に内蔵時計を設け、デジタルカメラをクレードル装置にセットすることで、クレードル装置の内蔵時計の示す時刻と等しくなるように、デジタルカメラの内蔵時計の設定が行われるものもある(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−224766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の装置は、デジタルカメラの内蔵時計を設定するために、クレードル装置の内蔵時計の設定を従来通りの方法で行う必要があり、面倒である。
【0006】
本発明は、内蔵時計の設定を簡略化することのできる携帯機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の携帯機器は、外部の時計を撮影することで取得された時計画像データを解析して現在時刻を検知し、検知した現在時刻を内蔵時計に設定する内蔵時計設定手段を備えたことを特徴としている。
【0008】
内蔵時計の時刻が未設定の場合に、時刻設定モードに移行させるモード切替手段を備え、内蔵時計設定手段は、時刻設定モードにて取得された時計画像データから内蔵時計の設定を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の携帯機器は、外部の時計を撮影することで内蔵時計の設定がなされるので、簡単に内蔵時計の設定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1および図2において、本発明を実施したデジタルカメラ10の前面には、撮影レンズ12を保持するレンズ鏡筒14が組み込まれている他、ストロボ発光部16などが露呈している。デジタルカメラ10の上面には、シャッタボタン18が設けられ、デジタルカメラ10の側面には、メモリカード20(図3参照)が着脱自在に装填されるメモリカードスロットを覆う蓋22が設けられている。
【0011】
デジタルカメラ10は、露出を自動で調節するAE機能、ピントを自動で調節するAF機能を備え、フルオートで撮影を行えるようになっている。シャッタボタン18は、2段階押しのスイッチとなっており、撮影モード中に、シャッタボタン18を軽く押圧(半押し)すると、被写体照度に応じてストロボ充電がなされるなどの撮影準備処理がなされ、さらにシャッタボタン18を強く押圧(全押し)すると、本撮影処理が行われて、1画面分の撮像信号が画像データに変換された後、各種画像処理および圧縮処理が施され、メモリカード20に記録される。
【0012】
デジタルカメラ10の背面には、各種操作を行うための操作部24や、各種表示を行うための液晶表示パネル(LCD)26が設けられている。デジタルカメラ10は、前述した撮影モードの他に、再生モード、メニューモードを備え、操作部24を操作することで各モードの切換を行うことができる。また、デジタルカメラ10は、時刻設定モードを備えている。詳しくは後述するが、デジタルカメラ10は、内蔵時計28(図3参照)の設定がなされていない場合、自動的に時刻設定モードに移行し、内蔵時計28の設定を行えるようになっている。LCD26には、撮影モードではいわゆるスルー画が表示され、再生モードではメモリカード20に記録済みの画像が表示される。
【0013】
デジタルカメラ10の電気的構成を示す図3において、撮影レンズ12の背後には、CCD30が配置されている。CCD30は、周知のように、受光面に被写体光を電荷として蓄積する複数の受光素子が配置され、各受光素子に蓄積された電荷を撮像信号として取得する。CCD30は、デジタルカメラ10が撮影モードにセットされると画素数を落としたスルー画として撮像信号を取得し、撮影モード中にシャッタボタン18が全押しされた際は、記録用の本画像として撮像信号を取得する。
【0014】
CCD30により取得された撮像信号は、アナログ信号処理回路32に送信される。アナログ信号処理回路32には、図示しない相関二重サンプリング回路(CDS)、増幅器(AMP)、A/D変換器(A/D)が設けられ、入力された撮像信号は、ノイズの除去や、信号の増幅が行われた後、デジタルの画像データに変換され、フレームメモリ34に出力される。フレームメモリ34は、データバス36を介して、デジタル信号処理回路38、CPU40と接続されている。フレームメモリ34は、デジタル信号処理回路38、CPU40が、画像データに対して各種信号処理を施す際の作業用メモリであり、画像データが一時的に記憶される。
【0015】
デジタル信号処理回路38には、AE制御部42、AF制御部44、画像補正部46が設けられている。AE制御部42は、フレームメモリ34に記憶された画像データの階調値に基づいて、最適な撮影条件となるように、CCD30の露光量(電子シャッタのスピード)を決定する。AF制御部44は、フレームメモリ34に記憶された画像データのコントラストに基づいて、最適な撮影条件となるように撮影レンズ12のピント位置を決定する。画像補整部46は、フレームメモリ34に記憶された画像データに対して、階調変換、ホワイトバランス補正、γ補正処理などの各種画像処理を施す。
【0016】
デジタル信号処理回路38により各種処理が実行された後、スルー画として取得され、フレームメモリ34に記憶された画像データは、LCDドライバ48を介して、LCD26に表示される。一方、本画像として取得された画像データは、圧縮伸長処理回路50により、所定の圧縮形式(例えばJPEG形式)で圧縮された後、メディアコントローラ52を介してメモリカード20に記録される。
【0017】
CPU40には、前述のシャッタボタン18、操作部24の他に、EEPROM54、及び、内蔵時計28が接続されている。CPU40は、デジタルカメラ10を統括的に制御するために設けられ、シャッタボタン18、操作部24から入力される操作信号に基づいて、デジタルカメラ10の各部の駆動制御を行う。EEPROM54には、各種制御用のプログラムや設定情報などが記録されている。CPU40は、これらの情報をEEPROM54から読み出して各種処理を実行する。
【0018】
内蔵時計28は、デジタルカメラ10の電源のオンオフに関わらず、専用の電池により電源を供給されて駆動する。内蔵時計28は、製品購入時、及び、専用の電池交換後は未設定状態であり、CPU40により時刻を設定されることで現在の時刻を刻む。内蔵時計28で刻まれる時刻は、撮影した画像データのExifタグに撮影情報として書き込まれる。
【0019】
CPU40には、内蔵時計設定部56が設けられており、内蔵時計28の設定は内蔵時計設定部56によって行われる。図4に示すように、内蔵時計設定部56は、内蔵時計28が未設定の場合、デジタルカメラ10を時刻設定モードへ移行させるとともに、例えば、図5に示すような案内メッセージをLCD26に表示して、ユーザーに時計(外部時計)の撮影を促す。時刻設定モードでは、案内メッセージの表示後、LCD26にスルー画が表示され、撮影モードと同様に、シャッタボタン18を全押しすることで撮影を行うことが可能となる。そして、案内メッセージに従ってユーザーが撮影した画像データ(時計画像データ)がフレームメモリ34に記憶される。
【0020】
時刻設定モードにおいて撮影が行われると、内蔵時計設定部56は、フレームメモリ34に記憶された時計画像データを解析して、撮影された外部時計の示す時刻を検知し、検知した時刻を内蔵時計28に設定する。画像認識の手法は、公知の各種方法を用いることができるが、例えば、撮影された外部時計がデジタル表示式の場合は、画像中の文字を認識して、認識した文字のうち書式が時刻の書式(○○:□□や、○○:□□:△△など)と一致するものを抽出するといった方法が考えられる。また、撮影された外部時計がアナログ表示式の場合は、円形のパターンと12個の放射状のパターンを認識した後、円形のパターンの中心から外側へ延びる2本の直線の長さから長針と短針とを認識して、時刻を検知するといったことが考えられる。
【0021】
以下、上記構成による本発明の作用について説明する。デジタルカメラ10の内蔵時計28は、製品購入時及び専用の電池交換後は未設定状態となる。内蔵時計28が未設定の状態でデジタルカメラ10の電源がオンされると、デジタルカメラ10は、時刻設定モードへ移行して、外部時計の撮影を促す案内メッセージがLCD26に表示される。そして、案内メッセージを確認したユーザーが外部時計を撮影すれば、この撮影により取得された時計画像データが解析され、撮影された外部時計の示す時刻が検知され、検知された時刻が内蔵時計28に設定される。
【0022】
このように、デジタルカメラ10は、時刻設定モードにおいて、外部時計を撮影すれば、内蔵時計の時刻を設定することができるので、内蔵時計の設定操作が簡単である。また、デジタルカメラ10は、内蔵時計が未設定の場合、自動的に時刻設定モードへ移行するので、例えば、時刻設定モードへ移行させるためにメニュー画面において操作を行うといった必要が無く便利である。
【0023】
なお、上記実施形態では、内蔵時計の設定として現在の時刻のみを設定する例で説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、デジタル表示式の時計には現在の時刻に加え、現在の日付を表示するものもある。時刻設定モードにて、このような時計が撮影された場合には、現在の時刻及び日付を内蔵時計に設定するようにしても良い。この場合、撮影された外部時計の画像中の文字を認識して、認識した文字のうち書式が時刻の書式、及び、日付の書式(○○−□□−△△や、○○/□□/△△や、○○.□□.△△など)と一致するものをそれぞれ抽出して、内蔵時計の時刻及び日付として設定すればよい。
【0024】
また、上記実施形態では、内蔵時計が未設定の場合に、自動的に時刻設定モードに移行する例で説明をしたが、例えば、操作部を操作することで時刻設定モードに移行するといったように、手動で時刻設定モードに移行するようにしてもよい。こうすることで、内蔵時計に遅れなどが生じた際に、手軽に内蔵時計の再設定を行うことができるので便利である。もちろん、自動と手動の両方から時刻設定モードに移行できるようにしてもよい。
【0025】
なお、上記実施形態では、携帯機器としてデジタルカメラを例に説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、外部時計を撮影することによって、内蔵時計の設定を行うものであるので、デジタルカメラが内蔵されたカメラ付き携帯電話などの携帯機器に対して広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】デジタルカメラの前面側の外観図である。
【図2】デジタルカメラの背面側の外観図である。
【図3】デジタルカメラの構成図である。
【図4】内蔵時計の設定手順を表すフローチャートである。
【図5】案内メッセージを表す説明図である。
【符号の説明】
【0027】
10 デジタルカメラ
12 撮影レンズ
18 シャッタボタン
26 LCD
28 内蔵時計
30 CCD
34 フレームメモリ
40 CPU
56 内蔵時計設定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像をデジタルな画像データとして取得する撮像部、及び、装置本体に内蔵された内蔵時計とを備えた携帯機器において、
外部の時計を撮影することで取得された時計画像データを解析して現在時刻を検知し、検知した現在時刻を前記内蔵時計に設定する内蔵時計設定手段を備えたことを特徴とする
携帯機器。
【請求項2】
前記内蔵時計の時刻が未設定の場合に、時刻設定モードに移行させるモード切替手段を備え、前記内蔵時計設定手段は、前記時刻設定モードにて取得された時計画像データから前記内蔵時計の設定を行うことを特徴とする請求項1記載の携帯機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−58040(P2006−58040A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−237644(P2004−237644)
【出願日】平成16年8月17日(2004.8.17)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】