説明

携帯機器

【課題】置き忘れや盗難を防止しうる、携帯機器、また着信を確実に感知しうる、携帯機器を提供する。
【解決手段】携帯機器に、発信機能を有するベース部2を設け、また財布等の物入れの表面部に受信部を有する表示装置と組合せ、無線電波を発信させて、両者が離隔するか、又は本体1が着信すると、表示装置にベルを鳴らせる等の離隔もしくは着信を知らせる表示を発現させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器、とくに携帯電話機、アイポッド等の携帯電子機器に関するものである。
【従来技術】
【0002】
近年、携帯電話機などの携帯機器は、各種性能のものが開発され、人気商品化されてきており、電話やメールやゲームに頻繁に使用されている。このような携帯機器としては、種々の機能を有するものが知られており、例えば電池への充電回路を備える携帯電話機(特許文献1)、セルラー式電話システムの移動局などの内部に記憶装置を有する携帯電話装置(特許文献2)が提案され、また、紛失時などにパソコンでアクセスし現在位置を検索するケイタイお探しサービス機能を持つ携帯電話が市販されている(非特許文献1)。
【特許文献1】特開平9−181799号公報
【特許文献2】特開平5−55979号公報
【非特許文献1】NTT DoCoMo 総合パンフレット 2007 05
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、置き忘れや盗難を防止しうる、携帯機器を提供すること、また着信を確実に感知しうる、携帯機器を提供することである。
本発明の他の目的は、上記に加えて、緊急の電力供給が可能な携帯機器を提供すること、更に他の目的は目視角度の調整が可能な携帯機器を提供すること、更にまた他の目的は着衣ポケットからの落下防止に有効な携帯機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、携帯機器に、発信機能を有するベース部を設け、また財布等の物入れの表面部に受信部を有する表示装置と組合せ、無線電波を発信させて、両者が離隔するか、又は本体(1)が着信すると、表示装置にベルを鳴らせる等の離隔もしくは着信を知らせる表示を発現させることにより、上記目的を達成することができることを見出し、本発明に到達した。
【0005】
すなわち、本発明により、以下のような携帯機器が提供される:
携帯機器本体(1)と、発信部(2a)およびその電源部(2b)を有し且つ本体(1)に係合もしくは一体化されたベース部(2)とから構成される、携帯機器と;受信部(3a)およびその電源部(3b)と離隔もしくは着信の表示部(3c)を有する表示装置(3)とを組合せてなり;発信部(2a)は、受信部(3a)へ電波を発信し、表示装置(3)は、受信部(3a)が発信部(2a)から離隔するか、又は本体(1)が着信すると、表示部(3c)に離隔もしくは着信の表示を発現させる機能を有することを特徴とする、携帯機器。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る携帯機器は、置き忘れられたり、盗難されようとすると、機器本体(1)に係合もしくは一体化されたベース部(2)の発信部(2a)が、財布等の物入れの表面部にセットされた受信部(3a)から離隔して、受信部(3a)がキャッチする発信部(2a)からの電波が微弱化して、表示部(3c)にベルを鳴らせる等の離隔を知らせる表示を発現させ、それによって、携帯機器の置き忘れの防止が可能となり、また盗難を未然に防止することが可能となる。
本発明に係る携帯機器は、着信すると、発信部(2a)が着信信号を発し、その着信信号に応じて、表示部(3c)にベルを鳴らせる等の着信を知らせる表示を発現させ、それによって携帯機器の着信を確実に感知することが可能となる。
【0007】
本発明に係る携帯機器は、また、上記に加えて、以下のような効果をも発揮することができる。
ベース部(2)の発信部(2a)のための電源部(2b)、および/または表示装置(3)の受信部(3a)のための電源部(3b)は、本体(1)の緊急の充電および/または出力のための予備電源として転用することにより、機器本体(1)は緊急の電力供給が可能なものとなる。
また、携帯機器の呼び出し振動信号をキャッチして振動を増幅させる振動増幅機(4)を、ベース部(2)に、又は本体(1)とベース部(2)との連結部に、設けることにより、振動信号をより強い振動に変換して、人体感知をより確実なものとすることができる。
更に、ベース部(2)に角度調整可能な保持部(2d)を設けることにより、床や家具などの上に載置された際の本体(1)の目視角度を見やすい角度に適宜調整することが可能となる。
更にまた、ベース部(2)に、着衣ポケットに掛止可能なクリップ部(2e)を設けることにより、着衣ポケットからの落下を防止することができる。
また更に、ベース部(2)に、本体(1)を取り囲む衝撃吸収バネ(2f)を設置することにより、外部からの衝撃を吸収させ、携帯機器の外観および機器性能を衝撃から保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明に係る携帯機器の実施の態様を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の1実施例における携帯機器本体(1)とベース部(2)とから構成される携帯機器を概念的に示す側面図である。
図2は、本発明の1実施例における携帯機器と組合せて用いられる表示装置(3)を概念的に示す斜視図である。
図3および図4は、それぞれ、本発明の好ましい実施態様における、携帯機器本体(1)と保持部(2d)を有するベース部(2)とから構成される携帯機器の1実施例、および携帯機器本体(1)とクリップ部(2e))を有するベース部(2)とから構成される携帯機器の1実施例を、概念的に示す、側断面図である。
図5および図6は、それぞれ、本発明の好ましい実施態様における携帯機器本体(1)と衝撃吸収バネ(2f)を有するベース部(2)とから構成される携帯機器の1実施例を、概念的に示す、側面図および正面図〔ベース部(2)の側から見た正面図〕である。
図7および図8は、それぞれ、本発明の好ましい実施態様における携帯機器本体(1)と衝撃吸収バネ(2f)を有するベース部(2)とから構成される携帯機器の他の〔上記とは異なる構造の衝撃吸収バネ(2f)を用いた〕1実施例の側面図および平面図である。
図9は、本発明の好ましい実施態様における携帯機器本体(1)と衝撃吸収バネ(2f)を有するベース部(2)とから構成される携帯機器の更に他の1実施例の側面図である。
【0009】
携帯機器本体(1)としては、通常用いられている、各種の携帯機器、とくに携帯電子機器、例えば携帯電話機、アイポッド、着衣用パソコン等、種々の携帯電子機器を用いることができる。
【0010】
ベース部(2)は、発信部(2a)およびその電源部(2b)を有すると共に、本体(1)に係合もしくは一体化されている。
本体(1)とベース部(2)とは、鎖、紐、ストラップその他の係合手段で係合されてもよく、また一体化されていてもよい。後者の例としては、接合手段、例えば接着(接着剤ないし粘着剤、両面接着テープなどによる)、融着(高周波融着、熱融着、フレームラミネートなどによる)により一体化するもの;一体成形により一体化するもの〔一体成形により本体(1)とベース部(2)とを一体化するもの、及び携帯機器自体に(その一部たとえば裏面部をベース部として)発信部(2a)およびその電源部(2b)を設けるものを包含する〕;並びに、螺子止め、ボルト止め、嵌合、螺合などの種々の固定手段を用いて、一体化するものが挙げられる。
【0011】
ベース部(2)としては、発信部(2a)およびその電源部(2b)を設置/収納し、本体(1)と共に携帯し得るもの(携帯に便利な大きさ及び形状を有するもの)であれば、その大きさや形状はとくに制限されるものではない。
このようなベース部(2)には、図1に示されるように、本体(1)の背面とほぼ同程度の大きさ(ほぼ同程度の長さ、幅および面積)を有する〔本体(1)より、多少(10%程度まで)大きくても、多少(60%程度まで)小さくてもよい〕、平板状の部材(平板部)〔または本体(1)の裏面部〕に、その端部(下端)近辺に電源部(2b)〔または発信部(2a)および電源部(2b)〕をその内部に収納する電源収納部を突出させた形状のものが含まれる。平板部の厚さはとくに制限されないが、通常3mm〜10mm、好ましくは4mm〜6mmである。
また、ベース部(2)が保持部(2d)もしくはクリップ部(2e)を有する場合には、電源収納部〔電源部(2b)または発信部(2a)および電源部(2b)を収納〕を、それぞれ図3および図4に示されているように、ベース部(2)の保持部(2d)もしくはクリップ部(2e)に設けることができる。
発信部(2a)は、平板部に設けても、電源収納部に設けてもよく、また保持部(2d)もしくはクリップ部(2e)に設けてもよい。
【0012】
ベース部(2)に設置/収納される発信部(2a)と、表示装置(3)の受信部(3a)とは、従来から知られている、無線電波送受信による(受発信によりスイッチを入れたり切ったりする)離隔表示手段によって、表示部(3c)に離隔表示を発現させることができる。
【0013】
すなわち、発信部(2a)は、本体(1)が通信(通話、メール等)に使用する電波の発信とは別に、受信部(3a)へ電波を発信しており、所定の距離〔それ以上離れると離隔を表示させるべき距離(以下、離隔表示距離という):通常5m〜10mの範囲内〕以上に受信部(3a)が発信部(2a)から離隔すると(離れた位置に移動すると)、受信部(3a)が受信する電波が微弱化ないしは感知限界以下になって、受信部(3a)側の回路の電流がストップされ;それによって、表示装置(3)の別の回路に半導体スイッチにより電流が流されて、表示部(3c)にオンの指示が与えられ、ブザーを鳴らせる等の離隔表示が発現され、本体(1)から離れた位置での離隔の感知が可能となる。
また、携帯機器が着信すると、発信部(2a)が着信信号を発し〔例えば、本体(1)が着信して呼び出し振動信号を発すると、発信部(2a)が発信する電波を微弱化ないしは発信を停止し〕、その着信信号に応じて、受信部(3a)が受信する電波が微弱化ないしは感知限界以下になって、受信部(3a)側の回路の電流がストップされ;それによって、表示装置(3)の別の回路に半導体スイッチにより電流が流されて、表示部(3c)にオンの指示が与えられ、ブザーを鳴らせる等の着信表示が発現され、本体(1)から離れた位置での着信の確実な感知が可能となる。
【0014】
発信部(2a)としては、通常の無線電波送受信による離隔表示手段に用いられている発信機を用いることができる。
発信部(2a)が発信する電波としては、感知可能な電波の到達しうる距離(=離隔表示距離)が通常5m〜10mとなるものが好ましい。電波の周波数は、本体(1)が通信(通話、メール等)に使用する電波と混信しないものであれば、とくに制限されない。
【0015】
ベース部(2)に備えられる電源部(2b)に用いられる電源としては、発信部(2a)の電源として(離隔感知機能の発揮および発信に)使用し得るものであればとくに限定されず、一次電池でもよいが、好ましいのは二次電池である。このような電池としては、ベース部(2)〔電源部(2b)〕に内蔵された二次電池でも、電源部(2b)に着脱/交換可能な一次および二次電池(単4、単3、ボタン電池その他)でもよいが、好ましいのは後者(とくに単4)である。
【0016】
表示装置(3)に設置される受信部(3a)は、ベース部(2)の発信部(2a)から常時発信される電波を受信しており;受信する電波の強弱によって、受信部(3a)側の回路のスイッチのオン/オフの指示が行われる。すなわち、受信部(3a)が発信部(2a)から離隔表示距離以上に離れた位置に移動すると、それに応じて、受信する電波が或る強度以下に微弱化ないしは感知限界以下になると、受信部(3a)側の回路の電流がストップされる。受信部(3a)側の回路の電流のストップを起こさせる受信部(3a)の電波の感知限界は、前述の範囲(通常5m〜10m)内の隔離表示距離を与えるように設定されるが、その離隔表示距離は上記範囲内で任意に選定できる(例えば5mまたはそれに近い距離にも、10mまたはそれに近い距離にも、設定できる)のが好ましい。
受信部(3a)側の回路の電流がストップされると、表示装置(3)の別の回路に半導体スイッチにより電流が流されて、表示部(3c)にオンの指示が与えられ、ブザーを鳴らせる等の離隔が発現される。
このような受信部(3a)としては、通常の無線電波送受信による離隔表示手段に用いられている受信機を用いることができる。
【0017】
表示装置(3)に備えられる電源部(3b)に用いられる電源としては、受信部(3a)の受信および表示部(3c)の離隔表示発現に使用し得るものであればとくに限定されず、一次電池でもよいが、好ましいのは二次電池である。このような電池としては、ベース部(2)〔電源部(2b)〕に内蔵された二次電池でも、電源部(2b)に着脱/交換可能な一次および二次電池(単4、単3、ボタン電池その他)でもよい。好ましいのは後者(とくに単4)である。
【0018】
表示装置(3)に備えられる表示部(3c)は、受信部(3a)が発信部(2a)のからの離隔表示発現を指示する電波またはを受信すると、その受信に基づいて、それを人間の五感(視覚およびとくに聴覚)で感知し得るように、離隔の表示を発現させる機能を有する。
このような離隔の表示を発現させる手段としては、ベルやブザー等を鳴らす、音声(録音された声、メロディー等)で知らせる、発光(LED、ランプ等)で知らせる、旗や棒などを立てる等の外形の変化で知らせる等、種々の手段が挙げられる。これらのうち、好ましいのはベルやブザーである。
【0019】
本発明において、表示装置(3)を本体(1)とベース部(2)とから構成される携帯機器と組合せて用いるに当り、表示装置(3)を設ける位置は、受信部(3a)が発信部(2a)から発信される電波を受信し得る限り、とくに限定されないが、受信部(3a)が財布または他の物入れ(ハンドバック、ポーチ等)や装身具(ブローチ、ネクタイピン等)その他の身回り品〔とくに常時(携帯機器を置いて作業中も)身に付けて用いられるもの〕の表面部〔表面またはその近傍(電波が届き得る範囲)〕にセットされる(固定される、又は着脱可能に取り付けられる)のが好ましい。
例えば、図2に示されるように、物入れ(財布)の表面(上蓋)の一部分にベル穴を設け、その裏面に受信部(3a)がセットされる。
また、着衣の、携帯機器を収納するポケットとは別のポケット(内ポケットや、ズボンの後ポケット等)に表示装置(3)を収納することもできる。
【0020】
本発明の好ましい実施態様において、ベース部(2)の発信部(2a)のための電源部(2b)および/または表示装置(3)の受信部(3a)のための電源部(3b)は、本体(1)の緊急の充電および/または出力のための予備電源として本体(1)の緊急の電力供給が可能なように構成される。
かかる構成としては、以下のものが含まれる。
本体(1)には、図1(a)および(b)に示されるように、電源部(2b)もしくは(3b)にコード接続が可能な、受電部(1a)が設けられる。
【0021】
一方、ベース部(2)においては、図1(a)に示されるように、発信部(2a)に受電部(2aa)を設け、電源部(2b)からのコードのプラグを、普段は受電部(2aa)に差込んで発信部(2a)に電力供給を行い;緊急時は、図1(b)に示されるように、そのプラグを受電部(1a)に差し替えることにより、本体(1)に電力供給することができる。
また、ベース部(2)に、電源部(2b)から発信部(2a)への配線とは別に、緊急電力供給用のコードを収納しておき、そのコードのプラグを緊急時に受電部(1a)に差し込んで本体(1)に電力供給することができるように、配線することもできる。
また、表示装置(3)についても、同様にして、受信部(3a)の受電部(3aa)と受電部(1a)とのコードに差し替えか、或いは、図2に示されるように、収納した緊急電力供給用コードのプラグの差込みによって、本体(1)に緊急に電力供給することができる。
【0022】
本発明の好ましい実施態様において、携帯機器の呼び出し振動信号をキャッチして振動を増幅させる振動増幅機(4)が、ベース部(2)〔ベース部(2)が保持部(2d)もしくはクリップ部(2e)を有する場合には、ベース部(2)の保持部(2d)もしくはクリップ部(2e)でもよい〕に、又は本体(1)とベース部(2)との連結部に、設けられる。
例えば、図3および図4の電源収納部に、電源部(2b)〔または発信部(2a)および電源部(2b)〕に代えて、又は電源部(2b)〔または発信部(2a)および電源部(2b)〕と共に、振動増幅機(4)を収納することができる。
このような振動増幅機(4)としては、通常の振動増幅に用いられているものを用いることができる。
【0023】
また、本発明の他の好ましい実施態様において、ベース部(2)に、角度調整可能な保持部(2d)が設けられる。
このような保持部(2d)としては、携帯機器〔本体(1)およびベース部(2)〕を見やすい角度に床面などの上に載置した際に、それを安定に保持し得る限り、大きさ及び形状は種々変えることができるが;一般に、基本的な形状としては、平板状が好ましい。保持部(2d)は、一般に、ベース部(2)の長さの3分の1〜ほぼ同程度の長さ(好ましくは2分の1〜ほぼ同程度の長さ、とくに2分の1)の長さを有し、ベース部(2)の幅の3分の1〜ほぼ同程度の幅(好ましくは2分の1〜ほぼ同程度の幅、とくにほぼ同程度の幅)の幅を有する。厚さはとくに制限されないが、通常1.5mm〜10mm、好ましくは2mm〜5mmである。
【0024】
保持部(2d)は、蝶番などの、角度調整可能な係合手段を用いて、ベース部(2)〔発信部(2a)〕の背面(平坦面)に、その面との間の角度が調整しうるように、取付けられる。保持部(2d)とベース部(2)〔発信部(2a)〕の背面(平坦面)との間の角度は、種々変えることができるが、0°(折畳時)〜90°〔さらに好ましくは0°〜60°(とくに0°〜30°)〕の範囲内で、角度調整が可能なものが好ましい。
保持部(2d)とベース部(2)の背面との間の角度が所定の(所望の)〔本体(1)の目視角度を見やすい角度とする〕角度に調整された後は、その角度を維持するように、保持部(2d)が固定されるが、その固定手段としては、螺子締めなど、種々の公知の固定手段を用いることができる。
【0025】
ベース部(2)に取付けられる保持部(2d)の位置は、本体(1)の目視角度を見やすい角度に適宜調整し携帯機器を安定に保持し得る限り、とくに限定されないが;一般に、図1(a)、図1(b)および図3に示されるように、ベース部(2)の裏面の中央部近辺〜上端部(携帯機器を立てて載置したときの上方の端部)近辺、例えば、下端部からの距離が、ベース部(2)の長さの30%〜100%(上端部)〔好ましくは40%〜70%、とくに50%(中央部)〜60%〕となる位置が適当である。
かかる保持部(2d)をベース部(2)に設けることにより、携帯機器が床や各種の台やカウンターや机、サイドボードなどの家具調度品の上に載置された際の本体(1)の目視角度を見やすい角度〔例えば本体(1)の表示面(液晶画面などの面)が、水平面に対して、通常45°〜85°、好ましくは60°〜80°(とくに70°〜75°)となる角度〕に適宜調整することが可能となる。
【0026】
更に、本発明の他の好ましい実施態様において、ベース部(2)に、着衣ポケットに掛止可能なクリップ部(2e)が設けられ;それにより、着衣ポケットからの落下を防止することができる。
ベース部(2)に取付けられるクリップ部(2e)の大きさ、形状および位置は、着衣ポケットに着脱可能に且つ確実に掛止し得るものである限りとくに限定されないが;形状および大きさは一般に用いられているクリップ部材と同様のものでよい。このようなクリップ部(2e)には、図1(a)に示されるような、湾曲させた単一の部材からなるクリップ(例えば、万歩計のクリップ部のような、側断面が略R字形ないし略逆U字形のもの)、及び図1(b)および図4に示されるような、バネで付勢されるハサミクリップが含まれる。
クリップ部(2e)の取付け位置は、一般に、図1(a)、図1(b)および図4に示されるように、ベース部(2)の裏面の上端部(携帯機器を着衣ポケットに収納するときの上方の端部)近辺が好ましい。
【0027】
更にまた、本発明の他の好ましい実施態様において、ベース部(2)に、本体(1)を取り囲む衝撃吸収バネ(2f)を設置することにより、外部からの衝撃を吸収させ、携帯機器の外観および機器性能を衝撃から保護することができる。
衝撃吸収バネ(2f)としては、衝撃吸収に普通に用いられている、種々の弾性部材、たとえば金属弾性体(鋼鉄など)、プラスチック弾性体(ポリウレタンエラストマー等)、発泡体(弾性ポリウレタンフォーム等)、ゴム弾性体(天然ゴム、各種合成ゴム、例えばSBRなど)が用いられる。
【0028】
かかる衝撃吸収バネ(2f)を有するベース部(2)としては、例えば、図5および図6に示されるように、本体(1)よりも少し小さいベース部(2)〔ベース部(2)の長さが本体(1)の長さの70〜95%(好ましくは80〜90%)、幅が本体(1)の幅の70〜95%(好ましくは80〜90%)のもの〕を用いて、ベース部(2)の上端および下端からそれぞれ衝撃吸収バネ(2f)が外方向に(上端からは上方へ、下端からは下方へ)伸びて、本体(1)〔その上端および下端はベース部(2)の上端および下端よりも突出している〕の上端部および下端部を取り囲むように、略C字型の弧を描いて湾曲して、再びそれぞれベース部(2)の上端部(上端の少し下)および下端部(下端の少し上)に戻って、ベース部(2)と一体化した構造のものが挙げられる。
【0029】
また、このような構造の他の例としては、図7および図8に示されるように、衝撃吸収バネ(2f)が、ベース部(2)の両端からから外方向に、直線(折れ線)状に屈折(屈曲)して伸び、側面が略ワ字形を描くように、湾曲して本体(1)の上端部および下端部を取り囲むような構造としたもの;及び、図9に示されるように、衝撃吸収バネ(2f)が、ベース部(2)の両端からから外方向に、円弧を描くように、湾曲して本体(1)の上端部および下端部を取り囲むような構造としたものが挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る、離隔を感知しうる携帯機器は、とくに携帯電話機、アイポッド等の携帯電子機器において、置き忘れや盗難を防止するのに有用である。また、離れた位置からでも、携帯機器の着信を確実に感知するのに有用である。
また、携帯機器における、緊急の電力供給、見やすい目視角度、着衣ポケットからの落下防止、衝撃からの保護にも、有用性を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1a】本発明の1実施例における携帯機器本体(1)とベース部(2)とから構成される携帯機器を概念的に示す側面図である。
【図1b】本発明の1実施例における携帯機器本体(1)とベース部(2)とから構成される携帯機器を概念的に示す側面図である。
【図2】本発明の1実施例における携帯機器と組合せて用いられる表示装置(3)を概念的に示す斜視図である。
【図3】本発明の好ましい実施態様における携帯機器の1実施例を、概念的に示す、側面図である。
【図4】本発明の他の好ましい実施態様における携帯機器の1実施例を、概念的に示す、側面図である。
【図5】本発明の更に他の好ましい実施態様における携帯機器の1実施例を、概念的に示す、側面図である。
【図6】上記1実施例を、概念的に示す、正面図である。
【図7】上記実施態様における携帯機器の他の実施例の断面図である。
【図8】上記他の実施例を、概念的に示す、平面図である。
【図9】上記実施態様における携帯機器の更に他の実施例を、概念的に示す、側面図である。
【符号の説明】
【0032】
(1)携帯機器本体
(1a)受電部
(2)ベース部
(2a)発信部、(2b)電源部、(2d)保持部、(2e)クリップ部、(2f)衝撃吸収バネ
(3)表示部
(3a)受信部、(3b)電源部、(3c)表示部
(4)振動増幅機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器本体(1)と、発信部(2a)およびその電源部(2b)を有し且つ本体(1)に係合もしくは一体化されたベース部(2)とから構成される、携帯機器と;受信部(3a)およびその電源部(3b)と離隔もしくは着信の表示部(3c)を有する表示装置(3)とを組合せてなり;発信部(2a)は受信部(3a)へ電波を発信し、表示装置(3)は、受信部(3a)が発信部(2a)から離隔するか、又は本体(1)が着信すると、表示部(3c)に離隔もしくは着信の表示を発現させる機能を有することを特徴とする、携帯機器。
【請求項2】
受信部(3a)が発信部(2a)から離隔して発信部(2a)からの電波の微弱化、または発信部(2a)からの着信信号に応じて、表示部(3c)が、人の五感にうったえる機能によって離隔及び着信の表示を発現させる機能を有することを特徴とする、請求項1に記載の携帯機器。
【請求項3】
受信部(3a)が財布または他の物入れの表面部にセットもしくは固定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の携帯機器。
【請求項4】
ベース部(2)が、鎖もしくは他の係合手段によって本体(1)に係合されているか、又は接合手段によって本体(1)と一体化されていることを特徴とする、請求項1、2または3に記載の携帯機器。
【請求項5】
電源部(2b)もしくは(3b)が、本体(1)の緊急の充電および/または出力のための予備電源として本体(1)への電力供給が可能な構造を有することを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の携帯機器。
【請求項6】
本体(1)が、電源部(2b)もしくは(3b)にコード接続が可能な受電部(1a)を有することを特徴とする、請求項5に記載の携帯機器。
【請求項7】
携帯機器の呼び出し振動信号をキャッチして振動を増幅させる振動増幅機(4)を、ベース部(2)に、又は本体(1)とベース部(2)との連結部に、設けてなることを特徴とする、請求項1〜6の何れかに記載の携帯機器。
【請求項8】
ベース部(2)に角度調整可能な保持部(2d)が設けられ、ベース部(2)と保持部(2d)との角度に応じて、載置された本体(1)の目視角度の調整が可能な構造を有することを特徴とする、請求項1〜7の何れかに記載の携帯機器。
【請求項9】
ベース部(2)に、着衣ポケットに掛止可能なクリップ部(2e)が設けられ、着衣ポケットからの落下が防止された構造を有することを特徴とする、請求項1〜8の何れかに記載の携帯機器。
【請求項10】
ベース部(2)に、本体(1)を取り囲む衝撃吸収バネ(2f)を有することを特徴とする、請求項1〜9の何れかに記載の携帯機器。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−311891(P2008−311891A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156988(P2007−156988)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.万歩計
【出願人】(503393777)サントー試作モデル株式会社 (3)
【Fターム(参考)】