説明

携帯無線機

【課題】アンテナ性能劣化を抑えることができるとともに、低コスト化及び小型化を図ることができる携帯無線機を提供する。
【解決手段】拡張素子4と、拡張素子4の一部である密着部分41と密着させて設け、回路基板3のグランドに接続した拡張素子補強用の金属板5とを有し、拡張素子4の非密着部分42を、金属板5とアンテナ素子6の間の空間で地線として動作させるようにした。これにより、アンテナ性能劣化を抑えるための専用の無給電素子が不要となり、低コスト化及び小型化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やスマートフォン等の携帯無線機に関し、特にストレート構造やスライド構造の携帯無線機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話に代表される携帯無線機に使用される周波数は、数百MHzから数GHzの周波数から複数の使用周波数帯域を備えるものが多くなっており、今後さらに高い周波数に移行する傾向にある。携帯無線機自体は携帯性、操作性の利便性向上のため小型化が進む中、複数の周波数帯域にて通信を可能とするためには携帯無線機内に小型であり、複数の周波数帯域にて高利得なマルチバンドなアンテナが必要となる。
【0003】
携帯電話として利用されているスライド構造の携帯無線機やスマートフォンに代表されるストレート構造の携帯無線機におけるアンテナの配置位置は、一般的にSAR(比吸収率、Specific Absorption Rate)及び実装体積の観点から筐体の下端側が好ましい。しかし、下端側は携帯無線機の形状によりマルチバンドのアンテナを構成し難く、また使用形態に関わらず最も手で保持し易い位置であるため、手保持時のアンテナ性能の確保が課題となる。
【0004】
従来、携帯無線機におけるマルチバンド化技術並びに手保持性能確保として、特許文献1で開示されたものがある。この特許文献1で開示された携帯無線端末は、アンテナ素子の開放端と無給電素子の開放端との距離を近接させて容量結合させるとともに、アンテナ素子と無給電素子と回路基板とでループ上に空間を囲むように、アンテナ素子と無給電素子を配置するように構成した。
【0005】
なお、今後の移動体通信システムの動向として、より快適な通信環境を実現するために、周波数帯の拡張又は追加、更には新規アンテナの追加など、広帯域なアンテナが必要となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−033798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1で開示された携帯無線端末においては、無給電素子を設けることから、特定周波数帯のアンテナ電流を制御し、放射パターンを変化させることでアンテナ性能を改善させる。また無給電素子を設けることでアンテナ素子に集中的に分布するアンテナ電流を分散させることができ、手保持時のアンテナ性能の劣化を抑えることができるものの、新たにアンテナ素子の近傍に専用の無給電素子を小型無線機の筐体内部に追加するため、その分コストが嵩むとともに、小型化を阻害するといった課題がある。
【0008】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、マルチバンドでアンテナを構成し、アンテナ配置部周辺を手で保持した状態においてもアンテナ性能劣化を抑えることができるとともに、低コスト化及び小型化を図ることができる携帯無線機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様において携帯無線機は、筐体と、前記筐体内に設けられた回路基板と、前記筐体内に設けられた拡張素子と、前記筐体内に前記拡張素子の一部と密着させて設けられ、前記回路基板のグランドと接続された前記拡張素子を補強するための金属板と、前記筐体内の下端部に前記金属板から離隔させて設けられたアンテナ素子と、を備え、前記拡張素子は、前記金属板と密着する密着部分と前記金属板から突出した非密着部分で構成され、前記拡張素子の非密着部分が、前記金属板と前記アンテナ素子の間の空間で地線として動作することを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、金属板と回路基板のグランドは接続されているため、金属板はグランドと同電位であり、更に筐体内に設けられた拡張素子の金属板と一部密着する箇所の電位は、拡張素子と金属板とが密着していることから、両者は電磁結合しており、回路基板のグランドの電位に近づく。したがって、拡張素子の金属板との非密着部分はグランドに近い電位を持ち、金属板とアンテナ素子の間の空間で地線として動作することが可能となる。上記拡張素子の非密着部分は無線機が使用するマルチバンドな周波数帯域に対し、アンテナ素子自体の共振周波数帯域では満足しない場合に、アンテナ素子自体とは別の上記拡張素子の非密着部分を地線として使用し、地線の設計周波数をアンテナ素子自体の共振周波数とは別の周波数帯で共振させることで、地線を使用しない場合と比べ広帯域化及びマルチバンドな無線機を実現することが可能となる。また、携帯無線機使用時の人体手保持状態においては、アンテナ素子の給電部付近を手で覆う場合、アンテナ素子自体のインピーダンス変動に伴いアンテナ性能が劣化するのに対し、拡張素子の非密着部分を地線として使用し、アンテナ素子自体の共振周波数帯域とは別の周波数帯で共振を調整し、人体手保持時にて地線が使用周波数帯に共振するように調整することで手保持時のアンテナ性能劣化を軽減することが可能となる。このため、アンテナ配置部周辺を手で保持した状態においてもアンテナ性能劣化を抑えるための専用の無給電素子が不要となり、また、地線を直接グランドに接続させずに、マルチバンドでアンテナを構成し、低コスト化及び小型化を図ることができる。
【0011】
本発明の第2の態様において、前記回路基板と前記アンテナ素子の間に前記金属板を配置し、前記アンテナ素子を機能させる給電用グランドを前記金属板に設けることを特徴とする。
【0012】
本発明の第3の態様において、前記拡張素子は、操作キーを有するフレキシブル基板であることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、操作キーを押すときの荷重による筐体内部の構成物の破損を阻止するため、操作キーを有するフレキシブル基板に密着させて補強板金を配置させる必要があり、操作キーを有するフレキシブル基板と補強板金の距離が縮まり、フレキシブル基板の電位を補強板金のグランド電位に近づけることで、フレキシブル基板の一部分を地線として動作させることができる。よって、アンテナ配置部周辺を手で保持した状態においてもアンテナ性能劣化を抑えるための専用の無給電素子が不要となり、また、既存の構造物を利用して、直接グランドに接続させない地線を構成することが可能となり、マルチバンドでアンテナを構成し、低コスト化及び小型化を図ることができる。
【0014】
本発明の第4の態様において、前記拡張素子は、補強用の前記金属板がある面に密着して配置する操作キーを有するフレキシブル基板と、該フレキシブル基板の操作キー部から離隔し前記金属板と筐体下端部に配置する前記アンテナ素子の間に配置する箇所で電気的に接続されたマイク又はスピーカを含むことを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、操作キー部の制御用信号と共用化することが可能であり、且つ操作キー部から離れた位置でマイク又はスピーカを金属板と筐体下端部に配置するアンテナ素子との間に配置することで、マイク又はスピーカを地線の一部として動作させることができる。
【0016】
本発明の第5の態様において、前記拡張素子は、操作キーを有するフレキシブル基板と、該フレキシブル基板に接続されたバイブレータを含むことを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、拡張素子の金属板との非密着部分を金属板とアンテナ素子の間の空間で地線として動作させると共にバイブレータを地線の一部として動作させることができる。
【0018】
本発明の第6の態様において、前記拡張素子は、操作キーを有するフレキシブル基板と、該フレキシブル基板に接続された前記回路基板とは別の機能(マイク機能又はレシーバ機能)を有する第2の回路基板を含むことを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、操作キーを有するフレキシブル基板の一部と第2の回路基板を地線として動作させるので、アンテナ性能劣化を抑えるための専用の無給電素子が不要となり、低コスト化及び小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、マルチバンドでアンテナを構成し、手保持時のアンテナ性能劣化を抑えることができるとともに、専用の無給電素子が不要となるため、低コスト化及び小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1に係る携帯無線機の構成を模式化した図
【図2】図1の携帯無線機の構成を模式化した斜視図であり、(a)は金属板側から見た図、(b)は拡張素子側から見た図
【図3】図1の携帯無線機における拡張素子と金属板との間の厚み方向の距離と、拡張素子とアンテナ素子との間の距離の一例を示す図
【図4】本発明の実施の形態2に係る携帯無線機の構成を模式化した斜視図であり、(a)は金属板側から見た図、(b)はフレキシブル基板側から見た図
【図5】図4の携帯無線機の下端部を拡大した図
【図6】図4の携帯無線機において、バイブレータを用いた場合の下端部を拡大した図
【図7】図4の携帯無線機において、アンテナ素子とフレキシブル基板との間の距離と、アンテナ素子と第2の回路基板との間の距離の一例を示す図
【図8】図4の携帯無線機において、第2の延設部の折返し部分と第2の回路基板の先端との間の距離と、第2の延設部の折返し部分とバイブレータの先端との間の距離の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る携帯無線機の構成を模式化した図である。同図において、本実施の形態に係る携帯無線機1は、スマートフォンと呼ばれるストレート構造の携帯無線機であり、筐体2と、回路基板3と、拡張素子4と、金属板5と、アンテナ素子6と、RFケーブル7と、給電部8と、を備える。回路基板3のグランドはバネ等の接続部品により接点10を持ち、金属板5と接続している。図2は、本実施の形態に係る携帯無線機1の構成を模式化した斜視図であり、(a)は金属板5側から見た図、(b)は拡張素子4側から見た図である。なお、図2の(a)に示すように、アンテナ素子6と給電部8との間に整合回路9が設けられている。
【0024】
筐体2は、長方形状に形成されており、その内部に上述した回路基板3、拡張素子4、金属板5、アンテナ素子6、RFケーブル7、給電部8及び整合回路9が設けられる。回路基板3にはRF回路31が実装されており、このRF回路31からRFケーブル7,給電部8を介してアンテナ素子6に電力が供給される。拡張素子4は、FPC(フレキシブル基板)のような、導体と該導体の周囲を覆う絶縁体とで構成されたものである。拡張素子4は、図に示すように、長方形状に形成され、金属板5と密着する密着部分41と、密着部分41の一端からアンテナ素子6の近傍まで延びるL字状の非密着部分42とから構成される。
【0025】
アンテナ素子6はFPCや基板などのアンテナ基板上に構成され、整合回路やRFケーブルコネクタがアンテナ基板上に配置されている。アンテナ素子6はアンテナ素子として使用する場合、グランドを必要とする。このアンテナ基板のグランドはバネ等の接点11で補強用である金属板5と電気的に接続することで金属板5をグランドとする必要がある。
前述したように回路基板3と金属板5は接点10にて同電位のグランドになっており、アンテナ基板のグランドは接点11にて金属板5と接続しているため、アンテナ基板も同様に回路基板3と同電位のグランドとなっている。
上記構成から、拡張素子4の電位は金属板5と密着していることから、密着部分41に関しては金属板5と容量結合し、高周波的に金属板5のグランドの電位に近づく。よって、非密着部分42は地線として動作する。
【0026】
金属板5は、拡張素子4を補強するものであり、拡張素子4の密着部分41と密着させて設けられ、回路基板3のグランドに接点10を介して接続されている。そのため金属板5は回路基板3のグランドと同電位である。また、グランドと同電位である金属板5と拡張素子4とは密着部分41で密着しており、導体と周囲を絶縁体で構成されているため、互いに電磁結合することで拡張素子4の電位は密着部分41の面積を広く取ることで金属板5のグランド電位に限りなく近づく。アンテナ素子6は、筐体2内の下端部に金属板5から離隔させて設けられる。アンテナ素子6と金属板5との間の距離をとることで、アンテナ性能を確保することができる。また、拡張素子4の金属板5との密着部分41がグランド電位に限りなく近づくため、拡張素子の非密着部分42はグランドと同等電位の密着部分より所望周波数帯域にて地線長を調整するのと同等の効果が可能となるため、マルチバンドでアンテナを構成し、手保持時のアンテナ性能劣化を抑えることができるとともに、専用の無給電素子が不要となるため、低コスト化及び小型化を図ることができる。
【0027】
図3は、拡張素子4と金属板5との間の厚み方向の距離と、拡張素子4とアンテナ素子6との間の距離の一例を示す図である。拡張素子4の密着部分41は金属板5と電磁結合しやすい位置に配置する。例えば金属板5と0.1mm程度の厚みを持つ粘着性テープにて固定されることで金属板5との位置を近接させ、一定とすることが望ましく、また、金属板5の面と平行な面を持ち、金属板5の面と平行となる面積が広いほど望ましい。なお、拡張素子4の非密着部分42は金属板5と平面で重ならない箇所を設け、金属板5と筐体長手方向で離隔するほど望ましい。例えば、約10mm程度距離を離すことでアンテナ電流への悪影響及びアンテナ素子自体からの放射を妨害しない。また、拡張素子4の非密着部42とアンテナ素子6との空間的な距離は離れている程、望ましく、互いの放射を妨害しない。例えば、約2.5mm程度の距離を離している。
【0028】
また、携帯無線機1の使用上にて通話時等の通信状態では筐体を手で保持する必要がある。この場合にはアンテナ素子6の給電部付近に人体が近接するためアンテナ素子6のインピーダンスが変動する。この場合、アンテナ素子自体の共振周波数が人体の近接により低周波側にシフトすることで反射損失が生じる。通常人体近接によるアンテナ性能の劣化量はアンテナ素子と人体との距離にてほぼ決まり、人体劣化量を軽減するためにはアンテナ素子と人体との距離を稼ぐために筐体自体の体積を増やす必要がある。
ただし、拡張素子4の非密着部分42を地線として利用し、人体手持ち時に変動するインピーダンスを加味して、手保持でのインピーダンス変動時にて地線の共振を使用周波数帯に調整することでアンテナ素子のみの構成よりも人体手保持時のアンテナ性能劣化を軽減することが可能である。
【0029】
このように本実施の形態の携帯無線機1によれば、拡張素子4と、拡張素子4の一部である密着部分41と密着させて設け、回路基板3のグランドに接続した拡張素子補強用の金属板5とを有し、拡張素子4の非密着部分42を、金属板5とアンテナ素子6の間の空間で地線として動作させるようにしたので、マルチバンドでアンテナを構成し、アンテナ配置部周辺を手で保持した状態においても専用の無給電素子が不要となり、低コスト化及び小型化を図ることができる。
【0030】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2に係る携帯無線機の構成を模式化した斜視図であり、(a)は金属板側から見た図、(b)はフレキシブル基板側から見た図である。なお、同図において前述した図1及び図2と共通する部分には同一の符号を付けている。図4において、本実施の形態に係る携帯無線機15は、実施の形態1に係る携帯無線機1の拡張素子4を具体化した拡張素子20を備えるものである。本実施の形態に係る携帯無線機15の拡張素子20は、図4の(b)に示すように、操作キーを有する正方形状のフレキシブル基板201と、このフレキシブル基板201に接続される第2の回路基板202とを有する。
【0031】
フレキシブル基板201には、その上端右側部分と下端右側部分のそれぞれに帯状の第1,第2の延設部201a,201bが形成されている。フレキシブル基板201の上端右側部分の第1の延設部201aの先端部分にはコネクタ21が、下端右側部分の第2の延設部201bの先端部分にはコネクタ22が、それぞれ接続されている。コネクタ21は回路基板3に接続され、コネクタ22は第2の回路基板202に接続される。フレキシブル基板201は、金属板5との接触面積を大きくとるために、金属板5と略同程度の大きさに形成されている。フレキシブル基板201と2つのコネクタ21,22にはそれぞれグランド接続用の配線が含まれており、この配線によって回路基板3のグランドと第2の回路基板202のグランドとが接続される。
【0032】
なお、スライド端末など、操作キーの個数が多いほど、金属板5と操作キーを有するフレキシブル基板201の両者の面積を大きくする必要があり、面積が大きくなるほど、容量結合量が増え、フレキシブル基板201と金属板5の電位は等しくなり、拡張素子は地線として機能しやすくなる。
【0033】
また、フレキシブル基板201は携帯無線機の薄型化、小型化を考慮すると、極力薄く、また、回路基板3との接続幅は細いことが望まれるため、フレキシブル基板自体のグランドはとても弱く、フレキシブル基板単独では地線として動作しない。
通常、キー操作用のフレキシブル基板は密着部分41のグランドの割合は7割、配線の割合は3割程度であり、金属板5と密着し、高周波的に電磁結合することでフレキシブル基板のグランドが強くなる。また、非密着部分42のグランドの割合は5割程度であり、配線の割合は5割程度となる。グランドは主に配線の周囲を覆うようにレイアウトされるため、非密着部分の外周が地線として動作する。
【0034】
図5は、本実施の形態に係る携帯無線機15の下端部を拡大した図である。同図に示すように、フレキシブル基板201の第2の延設部201bがコネクタ22によって第2の回路基板202に接続されている。また、第2の回路基板202にはマイク2021が実装されている。フレキシブル基板201の第2の延設部201bと第2の回路基板202が金属板5とアンテナ素子6の間の空間で地線として動作する。
【0035】
このように本実施の形態に係る携帯無線機15によれば、操作キーを有するフレキシブル基板201の一部である第2の延設部201bと第2の回路基板202を地線として動作させるので、アンテナ性能劣化を抑えるための専用の無給電素子が不要となり、低コスト化及び小型化を図ることができる。
【0036】
なお、本実施の形態に係る携帯無線機15において、第2の回路基板202は、マイク2021を有するものであったが、スピーカ又はバイブレータを有するものであってもよい。図6は、バイブレータを用いた場合の携帯無線機15の下端部を拡大した図である。同図に示すように、第2の回路基板202にはバイブレータ2022が接続されている。バイブレータ2022はコイン型のバイブレータであり、信号線が2本必要となる。1本は電源用の信号線であり、もう1本はグランド用の信号線である。3V程度の電圧で使用されるため、信号線はΦ=15mm程度のワイヤーで構成される。信号線はワイヤーからバイブレータ内部の基板にて動作し、内部の基板はグランドを強化するために周囲を覆う金属と同電位となっている。このため、フレキシブル基板のグランドとバイブレータの外壁がワイヤーを介し同電位となる。よって、このバイブレータ2022も地線の一部として動作させることができる。なお、バイブレータ2022と同様に外壁が金属で構成されるスピーカ等も同様の原理にて地線として動作させることができる。
【0037】
また、図7は、本実施の形態に係る携帯無線機15における、アンテ素子6とフレキシブル基板201との間の距離と、アンテナ素子6と第2の回路基板202との間の距離の一例を示す図である。第2の回路基板202は通常フレキシブル基板と同様に配線の割合5割、グランドの割合5割程度で構成され、厚みが1.0mm程度である。フレキシブル基板201のグランドと図6の第2の延設部201bにてコネクタ等で電気的に接続することで基板のグランドをフレキシブル基板のグランド同等電位にすることができるため、第2の回路基板202も地線の一部として動作させることができる。アンテ素子6とフレキシブル基板201との間の距離を約2.5mm、アンテナ素子6と第2の回路基板202との間の距離を約1.0mmに設定するとよい。
【0038】
また、図8は、本実施の形態に係る携帯無線機15における、第2の延設部201bの折返し部分と第2の回路基板202の先端との間の距離と、第2の延設部201bの折返し部分とバイブレータ2022の先端との間の距離の一例を示す図である。第2の延設部201bの折返し部分と第2の回路基板202の先端との間の距離を約18mm、第2の延設部201bの折返し部分とバイブレータ2022の先端との間の距離を約30mmに設定するとよい。バイブレータ2022が第2の回路基板202の先端から突出するようにバイブレータ2022を第2の回路基板202に接続することで、アンテナ素子6と対向する部分が拡大し、アンテナ性能の更なる向上が可能となる。
【0039】
上記実施の形態1,2に係る携帯無線機1,15は、それぞれスマートフォンと呼ばれるストレート構造の携帯無線機であったが、本発明はストレート構造の携帯無線機以外に、携帯電話として利用されているスライド構造の携帯無線機にも勿論適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、マルチバンドでアンテナを構成し、アンテナ配置部周辺を手で保持した状態においてもアンテナ性能劣化を抑えることができるとともに、低コスト化及び小型化を図ることができるといった効果を有し、携帯電話として利用されているスライド構造の携帯無線機やスマートフォンに代表されるストレート構造の携帯無線機などへの適用が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1,15 携帯無線機
2 筐体
3 回路基板
4,20 拡張素子
5 金属板
6 アンテナ素子
7 RFケーブル
8 給電部
9 整合回路
10,11 接点
21,22 コネクタ
31 RF回路
41 密着部分
42 非密着部分
201 フレキシブル基板
201a 第1の延設部
201b 第2の延設部
202 第2の回路基板
2021 マイク
2022 バイブレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に設けられた回路基板と、
前記筐体内に設けられた拡張素子と、
前記筐体内に前記拡張素子の一部と密着させて設けられ、前記回路基板のグランドと接続された金属板と、
前記筐体内の下端部に前記金属板から離隔させて設けられたアンテナ素子と、を備え、
前記拡張素子は、前記金属板と密着する密着部分と前記金属板から突出した非密着部分で構成され、前記拡張素子の非密着部分が、地線として動作することを特徴とする携帯無線機。
【請求項2】
前記回路基板と前記アンテナ素子の間に前記金属板を配置し、前記アンテナ素子を機能させる給電用グランドを前記金属板に設けることを特徴とする請求項1に記載の携帯無線機。
【請求項3】
前記拡張素子は、操作キーを有するフレキシブル基板であることを特徴とする請求項1に記載の携帯無線機。
【請求項4】
前記拡張素子は、補強用の前記金属板がある面に密着して配置する操作キーを有するフレキシブル基板と、該フレキシブル基板の操作キー部から離隔し前記金属板と筐体下端部に配置する前記アンテナ素子の間に配置する箇所で電気的に接続されたマイク又はスピーカを含むことを特徴とする請求項1に記載の携帯無線機。
【請求項5】
前記拡張素子は、操作キーを有するフレキシブル基板と、該フレキシブル基板に接続されたバイブレータを含むことを特徴とする請求項1に記載の携帯無線機。
【請求項6】
前記拡張素子は、操作キーを有するフレキシブル基板と、該フレキシブル基板に接続された前記回路基板とは別の機能を有する第2の回路基板を含むことを特徴とする請求項1に記載の携帯無線機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−106318(P2013−106318A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251031(P2011−251031)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】