説明

携帯用うがいパウチ容器

【課題】本発明は、洗面設備が無い環境であってもうがい薬液によるうがい行為とその吐液処理が同時かつ衛生的にに行える事を可能にした携帯用うがいパウチ容器を提供する。
【解決手段】スパウト付きのパウチ容器において容器室を上下に分断する位置に指の力程度で開放が可能な遮蔽部4を設け、スパウトに直結する上部を薬液室3、下部を吐液処理室10として分離する。
薬液室3にはうがい薬液などのうがい溶液16が注入され、吐液処理室10には吸水性高分子あるいは不織布、あるいはそれらに殺菌成分などを付加したうがい行為後の吐液を保存・保持する吐液吸収物質5を封入してある。
遮蔽部は、付属する先端が注射針状のストローなどで容易に破断貫通が可能な隔膜状の薄いシートの設置、あるいは該パウチ容器を剥離可能なヒートシール処理、あるいは封止クリップ等の器具を装着するなどで遮蔽する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用うがいパウチ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼリー、飲料等の液体容器として、スパウト付きパウチ容器は気密性が高く携帯・利便性のある容器として広く利用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
国家的な危機管理に関わる重要な課題である新型インフルエンザのパンデミック対策として、こまめなうがい行為は医療面から非常に重要な予防処置である事が知られているが、うがい行為は一般的に社会通念上洗面設備のある場所で行うものと言う背景があり、人ごみの多い交通機関の利用時、病院、学校、企業組織などの出入口などに洗面設備の環境が無いがために本来必要な場面でのうがい行為の機会が失われている問題があった。
【0004】
少子高齢化が進む中、口臭や歯周病などの治癒としてもうがい行為は有効であるが、会議や面談など対話を開始する直前にその都度洗面設備へ移動し実施しなくてはならず、扱いの簡便で携帯機能を有したうがい行為が行える容器・器具が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の問題を解決するために、携帯機能のあるスパウト付きパウチ容器の容器本体において、スパウト直下に接続するパウチ容器の上部とその下部のの間に開放が可能でかつ上部と下部の間に気密性を有する遮蔽部を設ける。
該上部は薬液室としてうがい薬液などのうがい溶液が注入され、該下部は吐液処理室として吸水性高分子あるいは不織布、あるいはそれらに殺菌成分などを付加したうがい行為後の吐液を保存・保持する吐液吸収物質を封入してある。
遮蔽部は指の力など物理的に容易に開放する事が可能にした構造であり、付属のストローなどで容易に破砕貫通が可能な隔膜状の薄いシートを設ける、あるいは該パウチ容器自体を剥離可能な程度でヒートシールし溶着する、あるいは封止クリップ等の器具を利用するなどで遮蔽部を構成する。
うがい行為は、最初にスパウトを介してうがい溶液を吸引しうがいを実施し、うがい後の吐液処理はスパウトを介して吐き出す直前に、遮蔽部を付属のストローなどの器具で隔膜状の薄いシートを破砕貫通、あるいは当該パウチ容器自体をヒートシールにより溶着させた遮蔽部を指などで左右に引っ張り剥離させる、あるいは封止クリップを取り外すなどの方法を使って遮蔽部を開放させる事で、当該パウチ容器は即座に吐液処理用の容器として機能する事を特徴とした携帯用うがいパウチ容器を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の携帯用うがいパウチ容器によれば、スパウトを介してうがい溶液を吸引しうがい行為を実施した後の吐液処理は、指の力で簡単に開放する事を可能とした遮蔽部の開放により当該パウチ容器は、即座に衛生的な吐液処理の容器として機能転換が行われるため、洗面設備の無い場所でも容易でかつ衛生的なうがい行為が実施出来る。さらに使用後は付属のキャプで封印する事で、当該パウチ容器は安全に携行できる廃棄物容器として活用されるため、しかるべき廃棄設備へ移動が容易なので衛生環境にとっても効果がある。
うがい行為は洗面設備がある場所で行うものと言う社会通念を消し去り、特に国家レベルの危機管理の対象である新型インフルエンザでのパンデミック対策の予防処置として、病院・企業組織・学校・交通機関等の出入口において衛生的なうがい行為を容易に実施可能とした事で、当該携帯用うがいパウチ容器における社会的な効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】この発明にかかる携帯用うがいパウチ容器において、隔膜状シートの遮蔽部を利用した斜視図である。(実施例1)
【図2】図1におにて使用前の状態における断面図である。
【図3】図1においてストローにて隔膜状シートの遮蔽部を破砕貫通した時の断面図である。
【図4】この発明にかかる携帯用うがいパウチ容器において、ヒートシールによる遮蔽部を利用した斜視図である。(実施例2)
【図5】図4において使用前の状態における断面図である。
【図6】図4においてヒートシール剥離によって遮蔽部を開放した時の断面図である。
【図7】この発明にかかる携帯用うがいパウチ容器において、封止クリップによる遮蔽部を利用した斜視図である。(実施例3)
【図8】図7において使用前の状態における断面図である。
【図9】図7において封止クリップを取り外し遮蔽部の開放した時の断面図である。
【図10】図7における封止クリップの斜視詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照して実施形態を説明する。
【実施例1】
【0009】
図1〜図3は携帯用うがいパウチ容器において遮蔽部に隔膜状のシートを利用した実施例を示し、携帯用うがいパウチ容器1はスパウト2に付属するキャップ7、パウチ容器内を隔膜状に上下に仕切るように配置された遮蔽部4を構成する薄いフィルムシートはパウチ容器本体の内壁にヒートシールされるかあるいは袋状にしてスパウトアセンブリの肩部11にヒートシールされてなる遮蔽部4と遮蔽部4の外側に形成されたパウチ容器本体のシートにより構成されている。
【0010】
遮蔽部4により上下に分離された上部の袋の部分は薬液室3であり一回分程度に相当するうがい薬液などのうがい溶液16が注入されている。
遮蔽部4の下部は吐液処理室10であり吸水性高分子あるいは不織布あるいはそれらに殺菌成分などを付加したうがい行為後の吐液を保存・保持する吐液吸収物質5が封入されている。
【0011】
ストロー6は、当該パウチ容器に付属するもので使用前は当該パウチ容器の外側に配置される。このストロー6は図3に示す様にうがい行為の後、スパウトの穴の中に挿入しスパウトからはみ出たストロー6の上端部分を指などで押し込みシート状の遮蔽部4を破砕貫通させ、吐液を吐液処理室10へ誘導して吐き出す事を可能としているものであるから、それに必要な長さと座屈に抵抗する強度を持ちそして先端部分が注射針状の鋭利にカットされた構造とする。
【0012】
遮蔽部4を構成する薄いフィルムシートは、前記の通りうがい後の吐液を吐液処理室10へ誘導する際に付属のストロー6の先端にて容易に破砕貫通させる為のものであるから、比較的薄いシートを用いる。また図2では、ストロー6の先端での破砕貫通する際にパウチ容器全体が変形し貫通力が逃げるのを阻止するためにスパウトアセンブリの肩部11をパウチ容器の巾に等しく左右に張り出させ、貫通の際のパウチ容器全体の変形を抑える効果を持たせてある。さらに、薄いフィルムシートからなる隔膜状の遮蔽部4の断面形状は、スパウト側から見てV字型にする事でストロー6の貫通力による遮蔽部4の変形を抑える効果と、さらに使用後に余った余分な薬液を吐液処理室10へ誘導する効果をあわせ持つ。
【0013】
スパウト2はうがい行為後、スパウト内にストロー6が挿入され遮蔽部4のシートを破断貫通させる際にストロー6の鋭利な先端が左右にブレるのを防止する為に、スパウトの下部は鞘状のストローガイド8を儲けてありその長さは遮蔽部4のシート付近まで届くものにしてある。
スパウト2の下部構造であるストローガイド8は薬液室3の溶液を吸引する際にストローガイド8下部の吸引部分付近に負圧が生じ、遮蔽部4のシートが張り付く問題があるのでこれを回避する為にストローガイド8下部に薬液誘導ホール9を設けてある。
【実施例2】
【0014】
図4〜図6は携帯用うがいパウチ容器において遮蔽部をヒートシールによる溶着部12にて構成した実施例を示し、携帯用うがいパウチ容器1はキャップ7が付属するスパウト2を持つ。
【0015】
遮蔽部4を構成するヒートシールによる溶着部12は、携帯用うがいパウチ容器1のスパウト2に直結する薬液室3と該パウチ容器の下部に配置される吐液処理室10の間を仕切る様に携帯用うがいパウチ容器1を細い線状のヒートシールされて作られる。
ヒートシールによる溶着部12は指の力で剥離可能な状態で溶着され、ヒートシールによる溶着部12のパウチ容器外側の両面には指などで引っ張るためのヒートシール剥離用ノブ13が取り付けてある。
【0016】
薬液室3には一回分程度に相当するうがい薬液などのうがい溶液16が注入され、下部は吐液処理室10は吸水性高分子あるいは不織布あるいはそれらに殺菌成分などを付加したうがい行為後の吐液を保存・保持する吐液吸収物質5が封入されている。
【0017】
うがい行為はスパウト2のキャップ7を開封し、うがい溶液16を吸引し実施する。うがい後の吐液処理は、指などでヒートシール剥離用ノブ13を左右に引っ張る事でヒートシールによる遮蔽部12を剥離させて開放し、スパウト2を介して吐液を吐液処理室10へ誘導する。
【0018】
ヒートシール剥離用ノブ13は、前記の目的からパウチ容器にしっかり固着させる必要があるが、輸送時などの衝撃でヒートシールによる遮蔽部12の剥離を誘発させない為に柔軟な樹脂素材などで作られる。
【実施例3】
【0019】
図7〜図10は携帯用うがいパウチ容器において、遮蔽部4が脱着が可能な封止クリップ14を利用する実施例で、携帯用うがいパウチ容器1はキャップ7が付属するスパウト2を持つ。
【0020】
遮蔽部4を構成する封止クリップ14は薬液室3と吐液処理室10を区切る様に装着されている。
封止クリップ14には封止クリップのラッチ部15があり指で簡単に解除可能にし構造であり遮蔽部4に装着する。
【0021】
薬液室3には一回分程度に相当するうがい薬液などのうがい溶液16が注入され、下部は吐液処理室10は吸水性高分子あるいは不織布あるいはそれらに殺菌成分などを付加したうがい行為後の吐液を保存・保持する吐液吸収物質5が封入されている。
【0022】
うがい行為はスパウト2のキャップ7を開封しうがい溶液16を吸引し実施する。うがい後の吐液処理は、指などで封止クリップのラッチ部15を解除して取り外する事で遮蔽部4を開放し、スパウト2を介して吐液を吐液処理室10へ誘導する。
【産業上の利用可能性】
【0023】
携帯用のパウチ容器を使ったうがい薬液とうがい後の吐液処理容器を一体化する事で、外出先などでも容易に利用出来る。
【符号の説明】
【0024】
1 携帯用うがいパウチ容器
2 スパウト
3 薬液室
4 フィルムシートからなる隔膜状の遮蔽部
5 吐液吸収物質
6 ストロー
7 キャップ
8 ストローガイド
9 ストローガイドの薬液誘導ホール
10 吐液処理室
11 スパウトアセンブリの肩部
12 ヒートシールによる溶着部
13 ヒートシール剥離用ノブ
14 封止クリップ
15 封止クリップのラッチ部
16 うがい溶液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパウトに直接接続する薬液室とその下部に指などで開放が可能な遮蔽部を介して吐液処理室がある二室構造のスパウト付きのパウチ容器において、上部の薬液室にはうがい薬液などのうがい溶液が注入され、下部の吐液処理室には吸水性高分子あるいは不織布、あるいはそれらに殺菌成分などを付加したうがい行為後の吐液を保存・保持する吐液吸収物質を封入した携帯用うがいパウチ容器。
【請求項2】
請求項1の携帯用うがいパウチ容器の遮蔽部において、付属する先端が注射針状に尖ったストローなどで破断貫通するフィルムシートで構成した隔膜状の構造からなる携帯用うがいパウチ容器。
【請求項3】
請求項1の携帯用うがいパウチ容器の遮蔽部において、パウチ容器を上下に分割する位置に指の力で剥離可能なヒートシールを実施し、該ヒートシール部のパウチ容器外側両面に指で摘む為の剥離用ノブを取り付た構造からなる携帯用うがいパウチ容器。
【請求項4】
請求項1の携帯用うがいパウチ容器の遮蔽部において、該パウチ容器の外側から脱着可能な封止クリップによる構造からなる携帯用うがいパウチ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−139759(P2011−139759A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1403(P2010−1403)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(709007102)
【Fターム(参考)】