説明

携帯用切削工具及び集塵構造体

【課題】集塵能力を維持して水平方向及び垂直方向のみならず作業方向に限定されることなく、切削作業が行ない易い携帯用切削工具及び集塵構造体を提供すること。
【解決手段】携帯用切削工具1は、防護カバー体11と集塵部14とを有する集塵構造体10を備え、集塵部は、矩形集塵開口15cを一方に有し、集塵ホースShを接続する接続開口15eを他方に有する筒状本体部15と、矩形集塵開口を中央にして回転刃9の側面に沿って筒状本体部にそれぞれ配置した一側補助板16A及び他側補助板16Bを有する補助集塵板16と、筒状本体部と防護カバー体との接続機構19とを有し、接続機構は防護カバー体に設けた設置基部17と、この設置基部に取付けた支持部材17Eと、この支持部材に支持されて筒状本体部を係合する係合部材18と、設置基部に係止され係合部材を被切削部材側に付勢する弾性部材18Eとを備える

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具の本体部を作業者が保持しながら切削作業を行うハンディタイプの携帯用切削工具及び携帯用切削工具に取付けて使用する集塵構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンクリート等の被切削部材を切削する場合は、工具の本体部に取り付けた円板状の切削刃(回転刃)を回転させ、作業者が手指で工具の本体部を保持して切削作業を行っている。この切削作業は、被切削部材が石材、コンクリート等であるため、作業中に回転する切削刃により被切削部材から大量に切粉(粉塵)が発生する。そのため、切削作業中に発生する切粉を集塵する構成を備えた切削工具が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
例えば、特許文献1の電動カッターは、切削刃の防護カバーの一部に集塵ホースを取りつけ、その集塵ホースを外部に設置した電気集塵機等に接続し、切削作業時に発生する粉塵を電気集塵機等によって吸引して回収するものである。
【0003】
また、特許文献2の切削工具では、被切削部材上を移動するベースとホイルカバーとの間に巻きバネ等の弾性部材を配設し、その弾性部材によってベースとホイルカバーが常に離間する方向に付勢することによって、切削開始時に被切削部材の表面とほぼ平行に飛散する粉塵も含めてほとんどの粉塵をホイルカバー内に飛び込ませて集塵効果を高める提案がなされている。
【0004】
以上のような切削作業時に集塵する構成を備える工具では、切削によって生じる粉塵の飛散方向が回転している回転刃の切込み深さで変化するため、更に改良された構成の携帯用切削機が従来、提案されている(例えば、特許文献3参照)。
この携帯用切削機は、被切削部材上を移動するベースと、このベースの一端に回動可能に連結された工具本体に内蔵された駆動源と、この駆動源により回転駆動される回転刃と、この回転刃の外周の一部を覆う保護カバーと、この保護カバーに設けた集塵カバーと、を備え、集塵カバーの吸入口に案内するための案内板を前記ベースに回動可能に設けた構成としている。
そして、この携帯用切削機は、集塵カバーにホースを介して接続した集塵機から吸引することで、回転刃が回転して被切削部材から発生する粉塵を集塵しながら、切削作業を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−149679号公報
【特許文献2】特開2004−058388号公報
【特許文献3】特開2009−023004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の集塵機構を備える携帯用切削機では、以下に示すような問題点が存在していた。
特許文献3の携帯用切削機では、切削作業を行うときに、先端の案内板が回動して、保護カバーに固定している集塵路の吸引口に粉塵を案内するように構成されているので、案内板が回動するために形成される吸引口との隙間から粉塵が漏れやすくなってしまった。また、固定されているベースを基準にして移動する構成であると、水平方向あるいは垂直方向に直線的に切削作業する以外の場合、ベースが返って邪魔をして、自由な作業方向に対して使用し難い構成となってしまう。
【0007】
そこで、本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、集塵能力を向上させ、水平方向及び垂直方向のみならず作業方向に限定されることなく、切削作業が行い易い携帯用切削工具及び集塵構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る携帯用切削工具は、前記課題を解決するため以下のような構成にした。すなわち、携帯用切削工具は、円板状の回転刃が被切削部材を切削するときに発生する粉塵を集塵する集塵構造体を備え、前記集塵構造体に接続される集塵ホースに向かってエアの流れを形成する集塵流路形成手段を介して前記粉塵を集塵しながら前記被切削部材を切削する携帯用切削工具において、前記集塵構造体は、前記回転刃の一部を覆う防護カバー体と、この防護カバー体の一端側に設けた集塵部とを備え、前記集塵部は、前記粉塵を集塵する矩形集塵開口を一方に有すると共に、前記集塵ホースを接続する接続開口を他方に有する筒状本体部と、この筒状本体部に設けられ、前記矩形集塵開口を中央にして、前記回転刃の側面に沿ってそれぞれ配置した一側補助板及び他側補助板を有する補助集塵板と、前記筒状本体部と前記防護カバー体とを接続する接続機構とを有し、前記筒状本体部は、前記矩形集塵開口を、当該筒状本体部の筒開口面積よりも開口面積が小さくなるように形成され、前記接続機構は、前記防護カバー体に設けた設置基部と、この設置基部に取付けた支持部材と、この支持部材に支持されると共に前記筒状本体部を係合する係合部材と、この係合部材に一端側を係止し、かつ、前記設置基部に他端側を係止する弾性部材とを有し、前記弾性部材が、前記係合部材に係合した筒状本体部及び当該筒状本体部に設けた前記補助集塵板を、前記被切削部材に当接する方向に付勢するように構成されている(請求項1)。
【0009】
かかる構成により、携帯用切削工具は、被切削部材に補助集塵板を当接させた状態で回転刃を回転させて切削作業を行うと、回転刃の回転方向に被切削部材の粉塵が発生する。発生した粉塵は、集塵構造体の筒状本体部に形成された矩形集塵開口から集塵されると共に、回転刃の一側側面及び他側側面に沿って配置される一側補助板及び他側補助板を有する補助集塵板により矩形集塵開口に案内されることで集塵される。携帯用切削工具は、弾性部材が係合部材を常に被切削部材側に押圧しているので、防護カバー体に接続機構の係合部材を介して設けた筒状本体部も被切削部材側に付勢され、筒状本体部に設けた補助集塵板も被切削部材側に付勢されている。そのため、携帯用切削工具は、切削作業を行うときには補助集塵板の端部が常に被切削部材に当接する状態となって切削作業が行われ、発生した粉塵が補助集塵板に案内され、あるいは、直接矩形集塵開口から集塵される。そして、携帯用切削工具は、その筒状本体部に形成した矩形集塵開口が当該筒状本体部の筒開口面積よりも小さいため、集塵するための吸引能力が大きく、発生して補助集塵板に案内され、あるいは、直接矩形集塵開口に送られる粉塵を確実に集塵する。なお、接続機構により防護カバー体に接続されている筒状本体部に設けた補助集塵板は、弾性部材で押圧されて付勢される移動方向が、被切削部材に当接する方向であれば、回転方向、又は、直線方向のどちらでもよい。
【0010】
また、前記携帯用切削工具において、前記補助集塵板は、前記回転刃の中央側を回転自在に固定する取付部材までの長さに形成されると共に、前記弾性部材に抗する方向の移動端において、前記取付部材に対面する位置に切欠凹部が形成されている構成とした(請求項2)。
かかる構成により、携帯用切削工具は、補助集塵板が弾性部材に抗して押されて回転刃の最大切込み深さになったときに、切欠凹部が取付部材に対面して移動の障害にならないため、補助集塵板の可動範囲および板幅を大きくすることができる。
【0011】
さらに、前記携帯用切削工具において、前記補助集塵板は、回転刃の側面に平行な板面の周縁の所定範囲に、前記回転刃の側面に向けて近接する折曲方向に形成した平面端部を有する構成とした(請求項3)。
かかる構成により、携帯用切削工具は、補助集塵板の平面端部が回転刃の両側面において近接した位置に形成されていることで、切削時に発生する粉塵に対して回転刃の回転に伴って連れ回りの防止をより確実にする。また、携帯用切削工具は、補助集塵板の平面端部が被切削部材に当接するために被切削部材に凹凸があっても面接触となりスムーズに切削作業における移動を可能とする。
【0012】
そして、前記携帯用切削工具において、前記補助集塵板は、前記被切削部材に当接する位置の前記平面端部における長手方向の一端において、前記被切削部材から離間する方向に湾曲する第1湾曲平面部を設けると共に、前記平面端部の延長線上となる前記矩形集塵開口を越えた位置に、前記被切削部材から離間する方向に湾曲する第2湾曲平面部を設けた構成とした(請求項4)。
かかる構成により、携帯用切削工具は、第1湾曲平面部及び第2湾曲平面部が被切削部材に当接する側の平面端部に対応する位置(移動先端側)に形成されていることにより、被切削部材を切削するときに、よりスムーズな切削作業における移動を可能とする。
【0013】
そして、前記携帯用切削工具において、前記補助集塵板は、前記被切削部材と当接する位置の平面端部が、前記矩形集塵開口の形成面よりも、前記被切削部材側に突出するように配置され、当該平面端部の前記矩形集塵開口に対向する位置に矩形開口を形成した構成としても構わない(請求項5)。
かかる構成により、携帯用切削工具は、補助集塵板の平面端部が被切削部材に当接する部分となり、補助集塵板における一側補助板及び他側補助板の隙間、あるいは、矩形開口から粉塵が筒状本体部の矩形集塵開口に案内されて集塵される。
【0014】
また、前記携帯用切削工具において、筒状本体部は、エアを供給するエアホースの接続部を筒外周に設けると共に、円筒内周に環状部材又はC形環状部材を取り付けることで、円筒内周と環状部材あるいはC形環状部材との間にエア吹出口を設け、前記接続部に接続されたエアホースからのエアを、前記エア吹出口から前記集塵ホースに向かう流れを形成するように吹出す構成とした(請求項6)。
かかる構成により、携帯用切削工具は、筒状本体部の筒外周に設けた接続部にエアホースを接続することで、環状部材(又はC形環状部材)と筒内周面との間に形成したエア吹出口からエアを吹出し、エアの流れを矩形集塵開口から筒状本体部内に向かう集塵方向に形成している。携帯用切削工具は、環状部材を用いることで筒状本体部の筒軸方向におけるどの位置にもエア吹出口を容易に形成することができる。なお、ここでいう環状部材には、環の一部が切り離されているC字に形成されているものも含むこととする。
【0015】
さらに、前記携帯用切削工具において、前記筒状本体部は、前記エア吹出口からエアが吹き出された位置に、筒内周面において縮径方向に傾斜する傾斜面を設けた構成にしてもよい(請求項7)。
かかる構成により、携帯用切削工具は、エア吹出口から吹き出されるエアが、筒内周面の傾斜面を介して集塵ホース側に流れるため、吹き出したエアの流速を傾斜面により高めることができる。
【0016】
なお、前記携帯用切削工具において、前記筒状本体部のエア吹出口は、前記筒状本体部の筒内に臨ませて設置したエアノズルである構成としてもよい(請求項8)。
かかる構成により、携帯用切削工具は、筒状本体部の筒内に臨ませて設置したエアノズルからエアが集塵方向に吹き出されることで集塵方向のエアの流れを形成し、筒状本体部の矩形集塵開口から粉塵を集塵する。
【0017】
さらに、前記携帯用切削工具において、前記筒状本体部は、前記補助集塵板の設置範囲において筒外周から筒内に連通する開口溝が形成され、前記開口溝が前記矩形集塵開口に連続して形成されている構成とした(請求項9)。
かかる構成により、携帯用切削工具は、補助集塵板により案内された粉塵を、矩形集塵開口に連続する開口溝から筒状本体部に送り集塵ホースから集塵することができる。
【0018】
また、前記携帯用切削工具において、前記補助集塵板は、前記一側補助板及び他側補助板を互いに対向するように配置して形成した板間の板隙間開口を前記矩形集塵開口と同一平面上となるように前記筒状本体部の筒外周に設置され、前記筒状本体部は、前記補助集塵板を設置した筒外周の範囲において筒内に連通する開口溝が形成された構成としても構わない(請求項10)。
【0019】
かかる構成により、携帯用切削工具は、被切削部材に補助集塵板及び筒状本体部の矩形集塵開口を当接した状態で、回転刃を回転させて切削作業を行うと、粉塵が回転方向に向かって発生する。携帯用切削工具は、発生する粉塵を筒状本体部の矩形集塵開口から吸引すると共に、補助集塵板の板隙間開口により案内された粉塵を筒外周に形成した開口溝から筒状本体部の筒内に吸引して集塵する。
【0020】
そして、前記携帯用切削工具において、前記筒状本体部は、矩形集塵開口から連続する開口側空間流路と、この開口側空間流路から流路径が狭くなるように形成した中央空間流路と、この中央空間流路から連続して前記接続開口に向かって流路径が拡がるように形成した後部空間流路とを備え、前記エアノズルを前記開口側流路に臨ませる位置に設置した構成としてもよい(請求項11)。
【0021】
かかる構成により、携帯用切削工具は、エアノズルをエア供給手段として使用しても、供給されるエアが、広い空間となる開口側空間流路から流路径が狭くなる中央空間流路に向かって流れるときに流速が早くなり、中央空間流路から空間が広くなる後部空間流路に向かってスムーズに流れることになる。
【0022】
また、前記携帯用切削工具において、前記補助集塵板は、被切削物に当接する位置が円曲面形状に形成されていることとしてもよい(請求項12)。
かかる構成により、携帯用切削工具は、被切削部材が柱あるいは円筒の形状である場合に、補助集塵板がその円曲面に沿って当接できるので、切削時に粉塵が発生しても集塵しながら作業を行うことができる。
【0023】
さらに、前記携帯用切削工具において、接続構造は、前記防護カバー体に設けた設置基部と、この設置基部に直線方向に移動自在に取付けられ前記筒状本体部を支持する支持部材と、この支持部材に一端側が係止され他端側が前記設置基部に係止され前記支持部材に支持する筒状本体部及び当該筒状本体部に設けた補助集塵板を、前記直線方向の一方となる前記切削部材に当接する方向に付勢する弾性部材と、を備える構成としてもよい(請求項13)。
かかる構成により携帯用切削工具は、筒状本体部および補助集塵板が直線方向に移動して被切削部材に当接した状態で切削作業が行われ、補助集塵板に案内される粉塵と矩形集塵開口からに送られる粉塵とを効率よく集塵することができる。
【0024】
また、前記携帯用切削工具において、前記筒状本体部の他方から突出して、前記回転刃で切削した被切削部材の切溝の長手方向における一部を覆うシート状の被覆シート部を前記筒状本体部に設けた構成としてもよい(請求項14)。
かかる構成により、携帯用切削工具は、回転刃により被切削部材に切溝が長く形成されても、被覆シート部がその切溝を覆うように筒状本体部の他方から突出しているので、切削された粉塵が切溝側に送られても被覆シートにより飛散することが防止される。
【0025】
そして、集塵構造体は、円板状の回転刃により被切削部材を切削するときに発生する粉塵を、接続される集塵ホースに向かってエアの流れを形成する集塵流路形成手段を介して集塵しながら前記被切削部材を切削する携帯用切削工具に用いられる集塵構造体であって、前記集塵構造体は、前記回転刃の一部(切断可能範囲を露出するように)を覆う防護カバー体と、この防護カバー体の一端側に設けられた集塵部とを備え、前記集塵部は、前記粉塵を集塵する矩形集塵開口を一方に有すると共に、前記集塵ホースを接続する接続開口を他方に有する筒状本体部と、この筒状本体部の矩形集塵開口を中央にして前記筒状本体部に設けられ前記回転刃の側面に沿ってそれぞれ配置した一側補助板及び他側補助板を有する補助集塵板と、前記筒状本体部と前記防護カバー体とを接続する接続機構とを有し、前記矩形集塵開口は、当該筒状本体部の筒開口面積よりも開口面積が小さく形成され、前記接続機構は、前記防護カバー体に設けた設置基部と、この設置基部に取付けた支持部材と、この支持部材に支持されると共に前記筒状本体部を係合する係合部材と、この係合部材に一端側を係止し、かつ、前記設置基部に他端側を係止して前記係合部材に係合した筒状本体部及び当該筒状本体部に設けた前記補助集塵板を、前記被切削部材に当接する方向に付勢する弾性部材とを備える構成とした(請求項15)。
【0026】
かかる構成により、集塵構造体は、携帯用切削工具に着脱自在に取付けられて、筒状本体部及びその筒状本体部に設けた補助集塵板が、弾性部材で被切削部材の方向に常に付勢され、補助集塵板に案内される粉塵と筒状本体部の矩形集塵開口に送られる粉塵とを、筒状本体部の接続開口に接続される集塵ホースを介して集塵することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る携帯用切削工具は、以下に示すような優れた効果を奏する。
携帯用切削工具は、筒状本体部の矩形集塵開口からの吸引により、被切削部材に当接する補助集塵板から案内された粉塵及び矩形集塵開口に送られる粉塵を、効率よく集塵することが可能となる。また、携帯用切削工具は、筒状本体部及び筒状本体部に設けた補助集塵板が接続機構の弾性部材を介して被切削部材に当接する方向に付勢されるように構成されているので、ベースを設けることなく、切削作業の自由度を確保して、粉塵を効率良く集塵するように使用でき、さらに、回転刃の少なくとも一方の側面を覆う防護カバーであっても使用でき、作業者に対して工具重量の負担を軽減して作業性を向上することができる。また、補助集塵板は筒状本体部に設けられて弾性部材により被切削部材側に付勢されているので、案内された粉塵を漏れなく集塵できる。
【0028】
携帯用切削工具は、補助集塵板に切欠凹部を形成したので、弾性部材により付勢される補助集塵板の可動範囲を大きくすることと、補助集塵板の板幅を大きくとることができ、回転刃の側面と補助集塵板との間を小さくして、粉塵が回転により連れ回りすることを防止すると共に、回転刃の切込み深さを十分確保することが可能となる。
【0029】
携帯用切削工具は、補助集塵板に回転刃の側面に向かう平面端部を設けたので、回転刃までの隙間が小さくなり、粉塵が回転刃の回転により連れ回りすることをより確実に防止できると共に、被切削部材に当接する補助集塵板の平面端部を介しての工具の移動をスムーズに行うことが可能となる。
さらに、携帯用切削工具は、補助集塵板に第1湾曲平面部及び第2湾曲平面部を設けているので、被切削部材に当接する補助集塵板の平面端部を介しての工具の移動をよりスムーズに行うことが可能となり、また、往復方向に移動する場合についてもよりスムーズに行うことが可能となる。
【0030】
携帯用切削工具は、補助集塵板がその平面端部を、矩形集塵開口の形成面よりも、被切削部材側に突出するように配置して、矩形集塵開口に対向する位置に矩形開口を形成しているので、平面端部の被切削部材への面接触による切削作業におけるスムーズな動作、及び、平面端部と回転刃との間が近接していることによる粉塵の連れ回りが防止され、効率よい集塵を可能とする。
【0031】
携帯用切削工具は、筒状本体部又はC形環状部材に環状部材を介して形成したエア吹出口から吹出すように形成しているので、矩形集塵開口の近くで集塵方向における流速の早いエアの流れを形成することができ、矩形集塵開口から効率よく吸引して集塵することが可能となる。なお、携帯用切削工具は、筒状本体部の筒内周面に傾斜面を設けることで、流速をさらに高めて集塵効率を上げることができる。また、携帯用切削工具は、筒状本体部の筒内にエアノズルを臨ませて設置することにより、集塵方向における流速の早いエアの流れを形成することができ、矩形集塵開口から効率よく吸引して集塵することが可能となる。
【0032】
携帯用切削工具は、補助集塵板の設置範囲において筒状本体部に開口溝を形成しているので、補助集塵板から案内された粉塵を効率よく筒状本体部内に送り込むことができ、形成した集塵方向のエアの流れにより粉塵を開口溝及び矩形集塵開口から吸引して集塵ホースを介してより確実に集塵することができる。
【0033】
携帯用切削工具は、筒状本体部の矩形集塵開口に連続して補助集塵板の範囲で開口溝を設け、補助集塵板の溝開口と筒状本体部の矩形集塵開口を同一平面上に配置しているので、矩形集塵開口が切削する位置に近いので、さらに効率よく粉塵を集塵することができる。
【0034】
携帯用切削工具は、筒状本体部のエアの流路を空間の大きな開口側空間流路と、この開口側空間流路から流路径が狭くなるように形成した中央空間流路と、この中央空間流路から連続して前記接続開口に向かって流路径が拡がるように形成した後部空間流路とを備えることで、エアノズルのような簡単な構成でも集塵効率を上げることができる。
携帯用切削工具は、補助集塵板が被切削部材と当接する位置を円曲面に形成していれば、被切削部材が柱あるいは円筒の曲面を有する場合に、粉塵を効率的に集塵して切削作業を行うことが可能となる。
【0035】
携帯用切削工具は、防護カバー体に接続される筒状本体部が、接続機構の設置基部に弾性部材を介して直線方向に移動自在に支持される支持部材に係合されているので、被切削部材に常に補助集塵板が当接した状態で切削作業を行うことができる。そのため、携帯用切削工具は、ベースを設けることなく高い集塵効率を維持して切削作業の操作がし易い。
【0036】
携帯用切削工具は、回転刃により被切削部材を切削して形成される切溝を覆うように被覆シート部を筒状本体部に設けることで、切溝からの粉塵の飛散を防止することが可能となる。
【0037】
集塵構造体は、携帯用切削工具に着脱自在に設けることが可能であると共に、被切削部材に当接する補助集塵板から案内された粉塵及び矩形集塵開口に送られる粉塵を、効率よく集塵することが可能となる。また、集塵構造体は、筒状本体部に設けた補助集塵板が接続機構の弾性部材を介して被切削部材に当接する方向に付勢されるように構成されているので、漏れがないように集塵できる。さらに、集塵構造体は、ベースを設けることなく、防護カバーを回転刃の少なくとも一方の側面を覆う構成でもよく、作業者に対して重量の負担を軽減して作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る携帯用切削工具の全体を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る携帯用切削工具の各構成を分解した状態を模式的に示す分解斜視図である。
【図3】(a)は、本発明に係る携帯用切削工具の全体を示す側面図、(b)は、本発明に係る携帯用切削工具の接続機構における係合部材の作動状態を模式的に示す側面図である。
【図4】本発明に係る携帯用切削工具を示す正面図である。
【図5】(a)、(b)は、本発明に係る携帯用切削工具の筒状本体部の構造を分解して示す斜視図、(c)(d)は、本発明に係る筒状本体部と補助集塵板との関係を示す分解斜視図及び斜視図である。
【図6】本発明に係る携帯用切削工具において集塵部の接続機構を分解して模式的に示す斜視図である。
【図7】本発明に係る携帯用切削工具の接続構造の構成を示す分解斜視図である。
【図8】(a)〜(d)は、本発明に係る携帯用切削工具により切削作業を行う状態を一部切欠いて模式的に示す側面図である。
【図9】本発明に係る携帯用切削工具における補助集塵板及び筒状本体部の他の構成を模式的に示す斜視図である。
【図10】(a)、(b)は、図9で示す携帯用切削工具の切削状態を一部を切り欠いて模式的に側面図である。
【図11】(a)は、本発明に係る携帯用切削工具における筒状本体部の他の構成を一部を省略して模式的に示す断面図、(b)は、本発明に係る携帯用切削工具におけるエア吹出口の他の構成を一部を省略して模式的に示す側面図である。
【図12】(a)、(b)は、本発明に係る携帯用切削工具の筒状本体部におけるエア吹出口の他の構成をそれぞれ一部を省略して断面にして模式的に示す斜視図である。
【図13】(a)、(b)は、本発明に係る携帯用切削工具の接続機構の応用例となる構成を一部を省略して模式的に示す斜視図および正面図である。
【図14】本発明に係る集塵構造体の他の構成を模式的に示す側面図である。
【図15】(a)、(b)は、本発明に係る集塵構造体における筒状本体部の他の構成をそれぞれ模式的に示す断面図である。
【図16】本発明に係る集塵構造体の係合部材における他の構成をそれぞれ示す斜視図である。
【図17】本発明に係る筒状本体部におけるエア吹出口の他の構成を模式的に示す断面図である。
【図18】(a)〜(d)は、本発明に係る筒状本体部に被覆シート部を設ける状態を示す斜視図である。
【図19】本発明に係る筒状本体部に被覆シート部を設けて切削作業を行う状態を模式的に示す模式図である。
【図20】(a)、(b)は、本発明に係る他の構成の筒状本体部に被覆シート部を設ける状態を示す斜視図である。
【図21】本発明に係る集塵構造体を携帯用切削工具に装着した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明に係る携帯用切削工具について、図面を参照して説明する。なお、携帯用切削工具は、はじめに、駆動源及び集塵流路形成手段としてコンプレッサからのエアを使用する構成について説明する。
図1及び図2に示すように、携帯用切削工具1は、エアを供給して回転刃9を高速で回転させ、作業者が本体部2あるいはハンドルHaを手指で持ちながら操作し、石材、コンクリート等の被切削部材W(図3参照)を切削するときに発生する粉塵を回収しながら切削作業をするものである。この携帯用切削工具1は、コンプレッサCPのエア供給ホースAhを接続する本体部2と、この本体部2の構造体支持部7に着脱自在に取り付けられ、回転刃9の一方の側面における所定の円弧範囲を覆い切削作業で発生する粉塵を集塵する集塵構造体10とを備えている。
【0040】
なお、携帯用切削工具1は、本体部2に接続介在部25を介してエア供給ホースAhを接続し、集塵構造体10の集塵部14と接続介在部25との間にエア分岐ホース20を接続して、さらに、集塵部14の後方側に集塵ホースShを接続した状態で準備される。そして、携帯用切削工具1は、コンプレッサCPからのエアの供給により回転刃9を回転させると共に、エア分岐ホース20からのエアにより集塵部14から集塵ホースSh側に集塵方向のエアの流れを形成した状態で使用される。
【0041】
以下、携帯用切削工具1の各構成について説明する。
図1及び図2に示すように、本体部2は、その後部側に接続介在部25を介してエア供給ホースAhを接続するホース接続部3と、このホース接続部3から内部に形成したエア流形成路4と、このエア流形成路4に沿って設けられた駆動タービン5と、この駆動タービン5の回転により回転する駆動軸6と、この駆動軸(スピンドル)6の周囲で後記する集塵構造体10を支持するための構造体支持部7と、エア流形成路4を流れるエアを外部に放出する放出部8とを備えている。なお、本体部2の駆動タービン5に対応する側面には、ハンドルHaを着脱自在に取付けるハンドル接続穴2aが形成されている。
【0042】
ホース接続部3は、コンプレッサCPからのエアが送られてきたときに、接続介在部25を接続してエアが漏れない構造であればよく、例えば、一方向に回転させることでエア通路開口が閉まり、他方向に回転させることでエア通路開口が開くネジ構造等で形成されている。
エア流形成路4は、ホース接続部3から放出部8まで送られてきたエアの流路となるように形成されており、駆動タービン5を効率よく回転させるようにその直径および配置が設定されている。
駆動タービン5は、エア流形成路4から送られてくるエアにより高速に回転するものであり、この駆動タービン5と駆動軸6が連動して回転するように設けられている。
駆動軸6は、本体部2の躯体側から一方に筒状に突出するように設けられており、後記する回転刃9が着脱自在に設置されるように、ここでは内側にネジが形成されている。
【0043】
構造体支持部7は、駆動軸6の周囲に躯体からリング状に突出するように形成されており、後記する集塵構造体10を着脱自在に設置する部分である。
放出部8は、エア流形成路4を流通したエアを本体部2外に放出するものであり、ここでは、本体部2の下方にエアを吹出すように躯体から突出して形成されている。
【0044】
なお、回転刃9は、後記する集塵構造体10と一緒に取り付けるか、あるいは、集塵構造体10を本体部2に取り付けた後に取り付けることができるように構成されている。回転刃9は、取付部材9Aを介して駆動軸6に着脱自在に取り付けている。取付部材9Aは、ホイールワッシャ9a、ブッシュ9b、ホイール止めナット9c、ボルト9dを有している。回転刃9は、駆動軸6にホイールワッシャ9a、ブッシュ9bを先に駆動軸6に差し込んで取り付けた後に、その駆動軸6に差し込まれる。そして、回転刃9は、ホイール止めナット9cとブッシュ9bとで挟持されるようにボルト9dにより駆動軸6に固定されることで取り付けられる。取付部材9Aの各構成の外径は、後記する集塵構造体10の一方の側面板11aに形成されている取付穴11dよりも小さい直径になるように形成されている。なお、取付部材9Aは、一般的に使用されているものであれば、その構成を限定されるものではない。
【0045】
図1及び図2に示すように、集塵構造体10は、本体部2の構造体支持部7に取付部11eにより固定されることで設置され、回転刃9により被切削部材W(図3参照)を切削するときに発生する粉塵を集塵するためのものである。この集塵構造体10は、円弧状の防護カバー体11と、この防護カバー体11の円弧の一端(下端側)に設けた集塵部14と、を備えており、集塵部14及び接続介在部25との間に取り付けられるエア分岐ホース20により集塵部14側にエアが供給されるように構成されている。なお、構造体支持部7及び取付部11eは、一般的な構成であれば、その固定されている部品の位置、分解できる部品の構成につて限定されるものではない。
【0046】
防護カバー体11は、作業者の手指等を防護すると共に、発生する粉塵の飛散を抑制するものである。この防護カバー体11は、例えば、金属板から形成され、回転刃9の所定円弧範囲を露出するように回転刃9を覆って形成されている。防護カバー体11は、回転刃9の左右のいずれか一方の側面の半円弧部分を覆う側面板(側面)11aと、回転刃9の刃先部分を覆う周面板11cと、左右のいずれか他方の回転刃9の刃先側面部分を覆う刃先側面板11bとを備え、ここでは、更に、側面板11aに形成した半円弧形状の取付穴11dの周縁に設けられ側面板11aから突出してリング状に形成された取付部11eと、を備えている。
【0047】
側面板11aは、回転刃9の刃先から駆動軸6の中央までの位置に回転刃9の開口端部を形成するような大きさに設けられている。つまり、回転刃9の刃先から中央までを切込み長さ100%としたときに、回転刃9の刃先から切込み深さ50%以上となるように、回転刃9が露出した状態に側面板11aは形成されている(図面では70%)。また、側面板11aは、半円形の取付穴11dが形成されており、この取付穴11dは、回転刃9の取付部材9Aの外径よりも大きく形成されている。
【0048】
刃先側面板11bは、回転刃9の刃先側面部分を覆うように側面板11aと平行に帯状に形成されている。この刃先側面板11bは、側面板11aと同じ円弧範囲に形成されている。
周面板11cは、側面板11a及び刃先側面板11bの周端位置に亘って回転刃9の刃先を覆うように形成されている。この周面板11cと側面板11a及び刃先側面板11bとで回転刃9の所定円弧範囲を覆うように構成されている。なお、防護カバー体11は、回転刃9の一側面における半円弧形状で取付部11eの中央までの範囲を覆い、回転刃9の他側面のほとんどが露出している状態となっている。そのため、後記する補助集塵板16の構成により、粉塵が回転刃9と連れ回りすることを防止して防護カバー体11の開口している側面から粉塵が噴出することを防止している。したがって、防護カバー体11は、側面の他方が大きく開口した状態であっても本来の機能を果たすことができ、側面の他方がないために軽量化を図ることができる。
【0049】
また、防護カバー体11は、回転刃9が被切削部材W(図3参照)に最大深さで切り込んだ場合に、回転刃9の一部が作業者から認識できるように、回転刃9を側面板11aが覆う長さに形成されている。つまり、側面板11aは、取付部11eの中央(中心)までの長さに形成されることで、回転刃9の最大切削深さとなっても、図3で示すように、防護カバー体11が、被切削部材Wから距離D1(図3参照)だけ離れた状態となるので、作業者はその切削方向における回転刃9の刃先を視認することができ、作業し易くなるように構成されている。なお、防護カバー体11は、後記する補助集塵板16との関係において、補助集塵板16が弾性部材18Eに抗する方向の移動端となったときに、その補助集塵板16に接触しない位置まで側面板11aの端部が形成される状態になっている。ここでは、防護カバー体11は、補助集塵板16の板幅L1を空けた状態となる位置まで、側面板11aの端部が形成されている。また、図4に示すように、防護カバー体11と補助集塵板16との回転刃9からの位置関係は、ここでは、補助集塵板16が防護カバー体11の内側に移動したとしても干渉しない位置と厚さに形成されている。
【0050】
図1から図4に示すように、集塵部14は、防護カバー体11の円弧の下端側(一端側)に設けられ、回転刃9により被切削部材Wの切削作業を行う際に発生する粉塵を集塵するものである。この集塵部14は、粉塵を集塵するための筒状本体部15及び補助集塵板16と、筒状本体部15を防護カバー体11に接続する接続機構19とを備えている。そして、集塵部14は、その後端側に集塵ホースShが接続できるように構成されている。
【0051】
図5及び図6に示すように、筒状本体部15は、接続機構19(図3参照)により防護カバー体11の一端に接続されて粉塵を集塵するためのものである。この筒状本体部15は、筒開口の一方となる前側に粉塵を集塵するように形成した矩形集塵開口15cと、筒開口の他方となる後側に集塵ホースSh(図3参照)を接続するように形成した接続開口15eと、矩形集塵開口15cに隣り合う位置で筒板厚方向においてエアを供給する流路となるように形成したエア流路15bと、矩形集塵開口15cに連続するように筒部分に形成した開口溝15aとを備えている。また、筒状本体部15は、エア流路15bにエアを供給するための接続部14aを筒外周に設けると共に、集塵ホースShを接続するための外径となるホース接続部15fを筒状本体部15の後側の外管部分としている。なお、ここでは、筒状本体部15は、防護カバー体11と同じ材質である金属で形成されている。
【0052】
開口溝15aは、後記する補助集塵板16の設置範囲内において筒状本体部15の外周部分から矩形集塵開口15cの一端側に連続するように形成されている。この開口溝15aは、補助集塵板16により案内された粉塵を筒状本体部15内に導き入れるためのものである。開口溝15aは、ここでは、矩形集塵開口15cの開口幅と同じ幅に形成されている。開口溝15aは、回転刃9との位置関係では、回転刃9の刃先に対向する位置に形成されている。
【0053】
エア流路15bは、筒状本体部15に接続する集塵ホースに向かってエアを吹出すためのエアの流れを形成するエア吹出口15gにエアを供給するものである。このエア流路15bは、ここでは、筒状本体部15の円開口周縁に形成した段差15bと、この段差15bに対面して組合うことで当該エア流路15bを構成する突出部15bを形成したC字形状の環状部材15bとから構成されている。図5(a)、(b)及び図6に示すように、C字形状の環状部材15bが筒状本体部15の一方の円開口周縁に取付けられることで、段差15bと突出部15bが対面して組合いエア流路15bが形成され、突出部15bが段差15bを覆うように接続開口15e側に突出している。
【0054】
したがって、エア流路15b内に供給されたエアは、突出部15bと筒内周面15dとから形成されるエア吹出口15gから吹き出され、突出部15bがあることよって筒内周面15dに沿って接続開口15e側に吹き出されるようになる。なお、筒状本体部15では、環状部材15bを用いることで、エア吹出口15gの位置を矩形集塵開口15cの近くに形成することができるので、集塵方向に形成するエアの流れをより大きくできる。エア流路15bは、ここでは、環状の一部が開いているC形環状部材を用いて形成されており、C形状の非連続部分となる間部分に開口溝15aが配置されるように構成されている。そして、エア流路15bは、後記する補助集塵板16の側面によりC形状の非連続部分となる間部分が封じられるように構成されている。
【0055】
矩形集塵開口15cは、図5(a)〜(d)に示すように、被切削部材W(図8参照)を切削して発生する粉塵を集塵するための開口である。この矩形集塵開口15cは、筒状本体部15の一方の筒開口を矩形状(長方形)になるようにして形成されている。矩形集塵開口15cは、ここでは、筒状本体部15の円開口を矩形に開口するように、矩形の開口を形成した板部材15Tを取付けることで形成している。なお、矩形集塵開口15cは、その一端側に開口溝15aが連続するように形成されている。矩形集塵開口15cは、筒状本体部15の本来の筒開口面積に対して小さくすることで、集塵するための流速を高めるように構成されている。
【0056】
図6に示すように、筒状本体部15の筒内周面15dは、ここでは、エア吹出口15gを形成する位置の周面である筒状内周15dと、この筒状内周15dに連続して縮径方向に傾斜する傾斜面15dと、この傾斜面15dに連続する縮径内周15dとから形成されている。傾斜面15dは、エア吹出口15gに対面する位置に形成されている。したがって、筒内周面15dは、エア吹出口15gからエアが吹き出されると、傾斜面15dに沿って縮径内周15dにエアが送られることになるため、筒内周面15dがフラットな構成と比較して、エアの流速をさらに上げて集塵効率を向上させることができるようになる。
【0057】
エア吹出口15gは、粉塵を集塵ホースShに送り込むエアの流れを形成するためにエアを吹出す開口である。このエア吹出口15gは、ここでは筒状本体部15の一方の筒開口部分に環状部材15bを介して形成されている。
エア吹出口15gは、筒内部で筒内周面15dに沿って補助集塵板16の間以外の位置にCリング状に開口するように形成され、エア流路15bに供給されたエアを集塵ホースSh側に吹出すように形成されている。エア吹出口15gは、筒状内周15dと対面する突出部15bとによりここでは構成されている。ここで使用される環状部材15bは、Cリング状の部材であり、突出部15bを部材周縁から筒状本体部15の筒内の方向に突出した状態で形成されている。そして、この環状部材15bは、エア流路15bとエア吹出口15gの両方を筒内周面15dと共に形成するように構成されている。
【0058】
エア吹出口15gは、環状部材15bにより矩形集塵開口15cの近くに形成することができるため、矩形集塵開口15cによる吸引するための集塵方向のエアの流れをより大きくすることが可能となる。
接続開口15eは、粉塵を集塵ホースSh側に送り出すための開口である。この接続開口15eは、筒状本体部15の他方の開口により構成されている。この接続開口15eの筒外周部分をホース接続部15fとして、接続する集塵ホースShの内径が嵌合できる外径に形成されている。
【0059】
なお、筒状本体部15のエア流路15bの側面に対向する位置にエアを供給するエア分岐ホース20の接続部14aを設けている。この接続部14aは、エアを供給するエア分岐ホース20の一端側を着脱自在に接続するためのものである。
【0060】
図1、図5及び図6に示すように、補助集塵板16は、被切削部材W(図3参照)を回転刃9で切削して発生する粉塵を矩形集塵開口15cに案内するものである。この補助集塵板16は、矩形集塵開口15cを中央にしてその左右となる位置に一側補助板16Aと他側補助板16Bとを回転刃9に沿うように配置して筒状本体部15に設けることで設置されている。そして、一側補助板16A及び他側補助板16Bは、回転刃9が回転自在に動作できるように近接して配置されている。なお、補助集塵板16は、ここでは、板取付部16hが、筒状本体部15の一方の開口となる矩形集塵開口を形成する板部材15Tに当接すると共に、筒状本体部15の筒外周で一側補助板16Aと他側補助板16Bとが互いに対向する部分に当接する位置において接続されるように構成されている。そして、ここでは、板取付部16hの一部がエア流路15bの一端と他端とを塞ぐように、開口溝15a及び矩形集塵開口15cに沿う位置に設置されている。そのため、筒状本体部15におけるCリング状のエア流路15bの一端を、一側補助板16Aの側面の一部で塞ぐと共に、Cリング状のエア流路15bの他端を、他側補助板16Bの側面の一部で塞ぐように配置されている。
【0061】
また、補助集塵板16は、回転刃9の中央側を固定する取付部材9Aまでの長さに形成されると共に、後記する弾性部材18Eに抗する方向の移動端において、取付部材9Aに対面する位置に切欠凹部16Cを形成している。したがって、補助集塵板16が回転刃9の最大切削深さとなったときに、切欠凹部16Cがあることで、取付部材9Aに接触することなく、防護カバー体11の端部に平行な姿勢にすることができる。そして、補助集塵板16は、後記する弾性部材18Eにより付勢される付勢方向の移動端において、回転刃9の側面の一部を覆うように配置されている。補助集塵板16は、ここでは、筒状本体部15の矩形集塵開口15cが形成されている平面に対して、矩形開口16aが形成されている平面が突出して所定角度で傾斜するように板取付部16hにより筒状本体部15に設置されている(図5(b)参照)。
【0062】
図5から図7に示すように、補助集塵板16は、その一側補助板16Aと他側補助板16Bとが、ここでは端部となる第2湾曲平面部16cの位置で接続されて一体に形成されている。そして、一側補助板16A及び他側補助板16Bは、左右対称な形状に形成されている。補助集塵板16は、上下方向における上側端部に設けた第1湾曲平面部16bと、下側端部に設けた第2湾曲平面部16cと、筒状本体部15の矩形集塵開口15cに対向する位置に設けた矩形開口16aと、所定範囲において板周縁に設けた平面端部16Dとを有している。
【0063】
平面端部16D(16d〜16g)は、一側補助板16A及び他側補助板16Bの板周縁において、矩形開口16a及び板取付部16h,16h以外の位置に、回転刃9の側面に近接する折曲方向に沿って設けられている。この平面端部16Dは、被切削部材W(図8参照)に当接する平面端部16d,16dと、回転刃9に近接して回転刃9に粉塵が連れ回りすることを防止する平面端部16e,16e〜16g,16gと、を備えている。なお、平面端部16dの一端となる位置に形成された第1湾曲平面部16b,16bについても板面が回転刃9の側面に近接する折曲方向に設けられている。また、平面端部16D,第1湾曲平面部16b,第2湾曲平面部16cは、板周縁端部を折り曲げて形成されているが、溶接等により接続する構成としても構わない。
【0064】
矩形開口16aは、矩形集塵開口15cに対向する位置に形成されており、矩形集塵開口15cに粉塵を集塵するときに案内するものである。この矩形開口16aは、ここでは、平面端部16d,16dの下端、及び、第2湾曲平面部16cの上端との間に形成されている。
平面端部16d,16dは、被切削部材W(図8参照)に当接して切削作業における移動するときのガイドとなる部分である。この平面端部16d,16dは、粉塵を集塵する矩形開口16aの端部から第1湾曲平面部16bまで連続して形成されている。なお、この平面端部16d,16dは、板厚よりも厚い平面幅に形成されていればよい。
【0065】
第1湾曲平面部16b,16bは、平面端部16d,16dの一端(上端)側を被切削部材Wから離間する方向に湾曲させて形成されている。この第1湾曲平面部16b,16bは、切削方向が当該第1湾曲平面部16b,16bが進行方向となる場合に、被切削部材Wに凹凸があってもスムーズに平面端部16d,16dを被切削部材Wに当接させることができるようになる。なお、第2湾曲平面部16cも、第1湾曲平面部16b,16bと同様の役割を果たしている。この第2湾曲平面部16cは、矩形開口16aの下端側に湾曲するように折り曲げて形成されている。
【0066】
なお、図3に示すように、一側補助板16A及び他側補助板16Bの板幅L1は、回転刃9の刃先から取付部材9Aの端部までの幅L2を10としたときに、1以上7以下の割合の範囲となるように、好ましくは、2以上6以下の割合の範囲となるように、ここでは設定されている。この板幅L1が幅L2に対して1未満となると発生する粉塵を効率よく矩形集塵開口15c側に案内することができにくくなる。また、板幅L1が幅L2に対して7を超えるようになると回転刃9による切削深さが確保できなくなる。
【0067】
図3から図7に示すように、接続機構19は、筒状本体部15を防護カバー体11に接続するためのものである。この接続機構19は、設置基部17と、支持部材17Eと、弾性部材18Eと、係合部材18とを備えている。そして、接続機構19は、全体的構成として、防護カバー体11に設置した設置基部17に係合部材18が覆うように配置され、支持部材17Eにより係合部材18及び設置基部17を挿通した状態とすると共に、弾性部材18Eが係合部材18及び設置基部17の間で支持部材17Eに挿通した状態とし、その弾性部材18Eにより係合部材18を常に一方に付勢するように構成されている。
【0068】
図6及び図7に示すように、設置基部17は、防護カバー体11に固定されるものであり、支持部材17Eを支持すると共に、弾性部材18Eの一端側を係止(係合)するように構成されている。この設置基部17は、防護カバー体11の一部を切り欠いて固定されるように形成した周面ブロック部17Aと、この周面ブロック部17Aの両端で防護カバー体11のそれぞれの側面に沿って平行に設けた側面ブロック部17B,17Cとから構成されている。そして、設置基部17は、周面ブロック部17Aに貫通して設けた支持部材17Eの支持穴17cと、側面ブロック部17C側に形成した弾性部材18Eの係合穴17bと、側面ブロック部17Bに形成した係合部材18の移動を抑制することで補助集塵板16の移動を抑制するストッパ17d,17eを有する突出ブロック部17Dとを備えている。
【0069】
設置基部17は、防護カバー体11の一端に設けた側面ブロック部17B、17Cの間に溝部17aが形成され、設置基部17を防護カバー体11に設けたときに、回転刃9に接触しないように構成されている。つまり、設置基部17は、それぞれの側面ブロック部17B,17Cと、側面ブロック部17B,17Cに渡って形成した周面ブロック部17Aと、により概略断面コ字形状に形成されている。
【0070】
支持穴17cは、支持部材17Eを挿通して支持するためのものであり、周面ブロック部に、防護カバー体11の周面板11c(図2参照)に平行に貫通して形成されている。
係合穴17bは、弾性部材18Eであるトーションバネの一方の脚部18fを係合できるように、一方の側面ブロック部17Cに形成されている。
また、側面ブロック部17Bには、ストッパ17d、17eを備える突出ブロック部17Dが設けられている。この突出ブロック部17Dは、係合部材18の所定位置に当接して係合部材18の回転角度を設定(抑制)するストッパ17d,17eを形成している。
【0071】
図3(b)に示すように、ストッパ17dは、係合部材18の係合突出片18cが当接して、係合部材18の回転角度を抑制するものである。このストッパ17dは、係合突出片18cが当接したときに、補助集塵板16が付勢されて移動する移動端の位置を設定している。
ストッパ17eは、係合部材18の当接側辺18dが当接して、係合部材18の回転角度17Aを抑制するものでる。このストッパ17eは、当接側辺18dが当接したときに、補助集塵板16が付勢力に抗して移動する移動端の位置を設定している。
【0072】
図6に示すように、支持部材17Eは、円柱状に形成されたピンであり、その一端側と他端側に溝が形成され、図示しないCリングを嵌めることで、係合部材18を設置基部17の係合穴17bに支持されるように構成されている。この支持部材17Eは、支持する係合部材18の動作である回転を行うための回転支軸として構成されている。
【0073】
図3,図6及び図7に示すように、弾性部材18Eは、支持部材17Eに挿通して設置基部17に係合した状態で、係合部材18を押圧することで筒状本体部15を常に被切削部材W(図3参照)側に付勢させるものである。この弾性部材18Eは、ここではトーションバネが一例として使用され、トーションバネの巻きバネ部18hの一端側である脚部18fを設置基部17の係合穴17bに係合(係止)させると共に、巻きバネ部18hの他端側である脚部18gを係合部材18に係止(当接)するように設けられている。この弾性部材18Eは、ここでは、支持部材17Eの一端側に挿通した状態で設置されている。
【0074】
係合部材18は、支持部材17Eを介して筒状本体部15を設置基部17に係合させて所定角度で回動させるものである。この係合部材18は、中央の係合中央板18Aと、この係合中央板18Aの左右に直角な折曲げ方向にそれぞれ形成した係合側面板18B、18Cとから構成されている。そして、係合部材18は、係合中央板18Aの中央にスリット18aが形成され、係合側面板18B,18Cにそれぞれ貫通支持穴18b,18b、係合突出片18c,18c、当接側辺18d,18dが形成されている。なお、係合部材18は、係合側面板18B,18Cを、左右対称に形成しているが、当接側辺18d、係合突出片18cについて、係合側面板18C側の構成だけを、ここでは使用するようにしている。したがって、係合部材18は、対応する一方側に当接側辺18d、係合突出片18cがあれば足りる。
【0075】
スリット18aは、係合部材18が設置基部17に係合したときに、回転刃9を回転自在にするための溝である。このスリット18aは、係合部材18が設置基部17に設けられたときに、補助集塵板16の一側補助板16A及び他側補助板16Bの板隙間開口(開口溝)16Smに対向する位置になるように形成されている。
貫通支持穴18b,18bは、支持部材17Eを挿通させ支持するためのものである。なお、貫通支持穴18b,18bは、ここでは、係合側面板18B,18Cの長手方向における中央より一端側となる位置に形成されている。
【0076】
係合突出片18cは、補助集塵板16が一方の移動端で停止できるように設置基部17のストッパ17dに当接して係合部材18の移動を抑制するものである。この係合突出片18cは、係合側面板18Bの下端で当該係合側面板18Bの折曲方向に突出して形成されており、設定した回転角度に係合部材18が弾性部材18Eにより回転して移動したときに、設置基部17のストッパ17dに当接する位置に形成されている(図3参照)。
【0077】
当接側辺18dは、係合突出片18cと同じ辺に設定さており、補助集塵板16が他方の移動端で停止できるように、設置基部17のストッパ17eに当接したときに係合部材18の移動を抑制するものである。この当接側辺18dは、係合側面板18Bの側辺からなり、設定した回転角度に係合部材18が弾性部材18Eに抗して回転して移動したときに、設置基部17のストッパ17eに当接する位置に形成されている(図3参照)。
【0078】
なお、係合部材18は、弾性部材18Eの他方の脚部18gにより押圧され、接続する筒状本体部15を常に被切削部材W(図3参照)側に付勢するようになる。弾性部材18Eの脚部18gは、係合部材18の係合中央板18Aと係合側面板18Cとが隣り合う位置(コ字形状の内側)で、係合中央板18Aを押圧するように係止(当接)されている。
【0079】
また、図6に示すように、係合部材18は、係合中央板18Aと係合側面板18B,18Cとには板長手方向にオフセットさせた状態で形成されており、そのオフセットにより筒状本体部15の外径に、接触する係合側面板18B,18Cの側面部18e,18eを沿わせて、筒状本体部15と溶接あるいは接着により固定されている。なお、ここでは、係合部材18は、その係合中央板18Aと補助集塵板16とが当接する位置においても接合されている。係合部材18が筒状本体部15に固定されたときに、係合中央板18Aのスリット18aと、補助集塵板16の板隙間開口16Smとが対向する位置となるように配置される。
【0080】
なお、図6で示すように、接続機構19は、ここでは、防護カバー体11の下端部分の一部を切欠いて設置基部17が溶接等により接続して固定されている。そのため、接続機構19は、設置基部17の側面ブロック部17B,17Cを回転刃9の側面を近接させた状態とすることができ、回転刃9により被切削部材W(図3参照)を切削したときに発生する粉塵の連れ回しを防止することができる。また、側面ブロック部17B,17Cにより連れ回しを防止された粉塵は、筒状本体部15の開口溝15aから集塵されることになる。
【0081】
図1から図3に示すように、エア分岐ホース20は、本体部2の後端のホース接続部3とエア供給ホースAhとに接続される接続介在部25と、集塵部14との間を接続してエア供給ホースAhからのエアを集塵部14に供給するものである。このエア分岐ホース20は、一端側接続部22と、この一端側接続部22に設けたエア調整ネジ22aと、他端側接続部23と、一端側接続部22及び他端側接続部23の間に設けられるホース本体21と、を備えている。そして、エア分岐ホース20は、その一端側接続部22を接続介在部25の分岐ホース接続部29に接続し、その他端側接続部23を集塵部14の筒状本体部15の筒外周面に設けた接続部14aに接続して、エア供給ホースAhから分岐して流れるエアを、筒状本体部15のエア流路15bを介して、エア吹出口15gから吹出すように供給している(図5,6参照)。
【0082】
エア分岐ホース20は、その一端側接続部22をエア供給ホースAhに接続する部材にエアの分岐量を調整するエア調整ネジ22aが取り付けられている。このエア調整ネジ22aは、回転角度あるいは回転数により分岐されるエアの流れる入り口の開き度合いを調整することでエアの分岐量を調整している。なお、一端側接続部22とエア調整ネジ22aとの関係は、特別な構成ではなく、一端側接続部22を分岐ホース接続部29に向かって押し付けて放すことで装着でき、また、一端側接続部22を分岐ホース接続部29に向かって押すことで装着が解除できる取付構造等、一般的な構造のものを使用している。また、エア調整ネジ22aは、所定角度回転させることでエアの流量が調整できるものである。
【0083】
接続介在部25は、エア供給ホースAhおよび本体部2のホース接続部3との間に介在して両者を接続させ、かつ、エア分岐ホース20の一端側接続部22を接続するものである。この接続介在部25は、介在部本体26と、この介在部本体26の一端側に形成した供給ホース接続部27と、他端側に形成した工具側接続部28と、介在部本体26の外面から突出するように形成した分岐ホース接続部29とを備えている。接続介在部25の供給ホース接続部27は、エア供給ホースAhが、コンプレッサCPで使用される一般的な規格の直径および取付構造に対応するように形成されている。そして、接続介在部25の工具側接続部28は、市販されているエアで動作する切削工具の接続部分に接続される一般的な取付構造に対応するように形成されている。また、接続介在部25は、分岐ホース接続部29が形成されていることで、既存のエアで動作する切削工具に対しても発生する粉塵を回収できる集塵構造体10を取り付けて使用することができる。
【0084】
なお、図2に示すように、集塵部14の筒状本体部15に接続される集塵ホースShは、プラスチック等で形成された一般的なものでよく、その集塵ホースShの他端側には、粉塵を回収する集塵袋Sbが取り付けられている。この集塵袋Sbは、例えば、不織布で形成されており、粉塵を収納し、かつ、粉塵を運ぶために形成された空気の流れとなるエアを袋外に流出できる構成のものが使用される。
【0085】
次に、携帯用切削工具1の動作について説明する。
図2に示すように、集塵部14の筒状本体部15におけるホース接続部15fに集塵ホースShを接続し、集塵ホースShの一端に集塵袋Sb等を接続する接続作業を行う。なお、エア供給ホースAh、接続介在部25、集塵ホースSh、集塵袋Sbの接続順序は特に問わない。携帯用切削工具1としての作業準備が整うと、コンプレッサCPからエアを送り、回転刃9の回転状態及び集塵部14のエア吹出口15gからのエアの吹出し状態を、必要があればエア調整ネジ22aにより調整する。
【0086】
図8(a)に示すように、携帯用切削工具1を操作するときに、補助集塵板16が、弾性部材18Eにより一方の移動端に位置しているので、作業者は、被切削部材Wにケガキ線が付されている場合には、そのケガキ線に沿って補助集塵板16の板隙間開口16Sm(図1参照)を合わせる。ここでは、携帯用切削工具1は、接続機構19の係合部材18に形成した係合突出片18cが、設置基部17のストッパ17d(図3(b)参照)に当接することで、補助集塵板16が一定の角度以上回転しないように構成されている。そして、作業者は、本体部2あるいはハンドルHaを保持して、回転刃9を被切削部材Wに当接する方向に移動させると、補助集塵板16を付勢している弾性部材18Eに抗して回転刃9が被切削部材Wに当接するように移動できる。
【0087】
切削作業が始まると回転刃9の回転により被切削部材Wから切粉である粉塵が回転方向に沿って発生する。携帯用切削工具1では、被切削部材Wに切削されてできる溝の両側に、常に補助集塵板16が弾性部材18Eで付勢されて当接した状態となっている。そのため、補助集塵板16の板隙間開口16Sm及び矩形開口16aにおいて、筒状本体部15のエア吹出口15gにより吹き出されるエアにより形成される集塵方向の流れにより、矩形集塵開口15cに粉塵が吸引されるようになる(図6参照)。携帯用切削工具1では、コンプレッサCP(図2参照)のエアがエア分岐ホース20を介して筒状本体部15のエア流路15b(図5参照)から送られることでエア吹出口15gから吹出して集塵するエアの流れを形成しており、このエアの流れにより補助集塵板16を介して開口溝15a及び矩形集塵開口15cから粉塵を集塵している。
【0088】
また、携帯用切削工具1では、集塵部14における筒状本体部15の矩形集塵開口15cに、発生した粉塵が補助集塵板16を介して導かれる場合、筒状本体部15の筒内周面15dの直径よりも矩形集塵開口15cの開口面積が小さいことで、開口面積が同じ場合と比較して、矩形集塵開口15cにから集塵する吸引力を大きくすることができる。そして、携帯用切削工具1では、エア分岐ホース20から供給されたエアをエア吹出口15gから吹き出していることで、集塵ホースSh側に空気の流れを形成しているので、筒状本体部15の矩形集塵開口15cあるいは開口溝15aに送られた粉塵が、筒状本体部15の接続開口15eに向かって吹き出されるエアにより、矩形集塵開口15cから集塵ホースShに沿って移動し集塵袋Sbに集塵される。
【0089】
また、回転刃9の切削作業により発生した粉塵が、回転刃9の回転により防護カバー体11の開口端から防護カバー体11内に巻き込まれてきても、補助集塵板16の平面端部16e〜16gと回転刃9の側面とが近接し、さらに、係合部材18のスリット18aと回転刃9の側面とが近接し、その上、設置基部17の側面ブロック部17B,17Cと回転刃9の側面とが近接した状態となっているので、その粉塵は、そのほとんどが回転刃9に連れ回ることができずに、筒状本体部15の開口溝15aから集塵される。なお、回転刃9の側面との間隔は、例えばそれぞれ1.5〜0.5mmの範囲で設定され、ここでは、1.2〜0.8mmの範囲内として設定されている。
【0090】
図8(c)に示すように、携帯用切削工具1では、切削作業が更に進み回転刃9の切込み深さが大きくなると、それに伴って補助集塵板16が弾性部材18Eに抗して押され、回転刃9の切込み深さを徐々に大きくしても、補助集塵板16が常に被切削部材Wに当接した状態を維持することができる。補助集塵板16は、その先端側に形成した切欠凹部16Cの位置が取付部材9Aに近づく方向に徐々に移動することになる。そして、図8(d)に示すように、携帯用切削工具1では、回転刃9の切込み深さ一杯になると、補助集塵板16の切欠凹部16Cが取付部材9A(図1参照)に対面した状態となる。回転刃9の切込み深さ一杯の状態であるときに、図3(b)に示すように、係合部材18の当接側辺18dが、設置基部17のストッパ17dに当接することで、補助集塵板16の回転をそれ以上できない状態に維持している。なお、図8(d)に示すように、回転刃9の最大切込み深さとなった状態において、防護カバー体11の開口端と被切削部材Wまでの間を距離D1(図3(a)参照)だけあけるように構成されているので、携帯用切削工具1では、例えば、切削作業を図8の紙面の上に向かって行う場合に、作業者は回転刃9の位置を確認しながら切削作業をすることができる。
【0091】
携帯用切削工具1は、ケガキ線(図示せず)に沿って移動させることで被切削部材Wを切断する。また、携帯用切削工具1は、移動するときに、補助集塵板16の被切削部材Wとの接触している平面端部16d,16dが面接触となり、かつ、移動方向における先端となる第1湾曲平面部16b,16bが被切削部材Wから離間している。そのため、携帯用切削工具1は、被切削部材Wの表面にコンクリート等の荒れた凹凸があっても、切削作業を行いながらスライドしてスムーズに移動させることが可能となる。また、携帯用切削工具1は、回転刃9の最大切り込み深さとするために往復移動して切削作業を行う場合がある。つまり、携帯用切削工具1では、所定の切り込み深さにおいて、図8で示す紙面の上方向に移動しながら切削作業を行い、さらに、図8で示す紙面の下方向となるように同じ切削線上を戻るように切削作業を行い、徐々に切込み深さを深くするように、被切削部材W上を移動する場合であっても、平面端部16d,16dの両端に第1湾曲平面部16b,16b、第2湾曲平面部16cが形成されていることから、スムーズに移動することができる。
【0092】
そして、携帯用切削工具1では、回転刃9の切込み深さに応じた切溝Wm(図8(c)参照)が形成され、補助集塵板16が回転刃9のどの切込み深さにおいても、被切削部材Wの表面に当接した状態で切削作業を行うことができる。また、被切削部材Wの切溝に沿って粉塵が飛散しようとしても、補助集塵板16の矩形開口16aが対向するように配置されているので、粉塵は吸引されることになる。携帯用切削工具1では、集塵ホースShを介して集塵袋Sb(図2参照)に発生した粉塵が回収され、粉塵の回収に使用されたエアは、集塵袋Sbが不織布等のエアを通過させる部材であることから外部に出される。
このように、携帯用切削工具1は、電気設備がない現場であっても、回転刃9がコンプレッサCPのエアにより回転し切削作業を行い、かつ、集塵部14にコンプレッサCPからのエアがエア分岐ホース20を介して供給されることで、集塵するための空気の流れを形成するので、発生する粉塵を効率よく回収することができる。なお、図8では、回転刃9の回転方法は左回りとなり粉塵が矩形開口16aに向かって発生する状態である。
【0093】
また、携帯用切削工具1では、図9から図17に示すような他の実施形態となるような構成としても構わない。なお、すでに説明した構成は同じ符号を付して説明を省略する。
図1から図8では、補助集塵板16の端部である平面端部16dが形成されている形成面が、筒状本体部15の矩形集塵開口15cの形成されている形成面よりも被切削部材W側に突出した状態の構成として説明したが、図9、10で示すような構成としても構わない。
つまり、図9に示すように、携帯用切削工具100では、筒状本体部150の回転刃9側に補助集塵板160を設けている。
【0094】
補助集塵板160は、筒状本体部150に形成した矩形集塵開口150cの形成面と同一平面に端部160dが位置するように設けられている。補助集塵板160は、一側補助板160A及び他側補助板160Bが回転刃9の両側面に沿って設けられている。また、補助集塵板160は、回転刃9の取付部材9Aに対面する位置に切欠凹部160Cが形成されている。そして、補助集塵板160が設けられている範囲において筒状本体部150には、その筒外周から筒内に貫通する開口溝150aが形成されている。
以上のように構成された携帯用切削工具100は、図10(a)、(b)に示すように、すでに説明した携帯用切削工具1と同様に効率よく粉塵を集塵しながら切削作業を行うことができる。
【0095】
図10(a)、(b)に示すように、携帯用切削工具100は、補助集塵板160の端部160dと筒状本体部150の矩形集塵開口150cとが同一平面上に形成されているため、被切削部材Wの作業面に矩形集塵開口150cが当接して切削作業が行われるようになる。筒状本体部150は、すでに説明したように環状部材15b(図6参照)によりエア吹出口15g(図6参照)を形成しているため、矩形集塵開口150cの近傍にエア吹出口15g(図6参照)を集塵方向のエアの流れを形成して矩形集塵開口150cからの吸引力を大きくすることができる。
【0096】
さらに、図1において、集塵部14では、エア吹出口15gを筒状本体部15の内周面に設けた構成として説明したが、エア吹出口15gに換えて、図11(a)、(b)に示すような構成としても構わない。
すなわち、図11(a)に示すように、筒状本体部150Aを円環筒状に形成し、筒状本体部150Aの後方に漏斗状の接続管80を設ける構成としても構わない。筒状本体部150Aの接続開口150e側の他側閉塞端面150kに吹出穴を複数(周方向に等間隔で6〜12個)形成してエア吹出口150gとしている。このエア吹出口150gは、筒状本体部150Aの筒内周面150d(図10参照)と筒外周面との径方向における中央よりも筒内周面150d側となる位置に形成されている。また、筒状本体部150Aは、その筒内周面150dの径(内径)φ1の寸法と、接続管90の内周径(内径)φ2の寸法について、φ1≧φ2の関係になるように構成することで、より吸引力を大きくする集塵方向にエアの流れを形成することが可能となる。
【0097】
また、図11(b)に示すように、エア吹出口としてのエアノズル70を筒状本体部150Bの内周空間側に臨ませて設ける構成としても構わない。エアノズル70は、ノズルの一端に形成したエアを吹出すエア吹出孔70Aを、ここでは、筒状本体部150Bの断面におけるほぼ中央となる位置に配置している。
図11(a)、(b)で示すように、エア吹出口150gあるいはエアノズル70とすることで、エア吹出口15gに換えてエアの流れを形成し、筒状本体部150A、150Bから集塵ホースShに向かって発生した粉塵を集塵する構成とすることができる。特にエアノズル70にする場合に構成が簡略化できて都合がよい。
【0098】
さらに、図12(a)に示すように、エア吹出口の構成を、リング状の開口ではなく、吹出孔50gを複数設ける構成としても構わない。なお、吹出孔50gを複数設ける構成とする場合には、筒内周面15dまでの位置に傾斜面15dを形成する構成としても構わない。
また、図12(b)に示すように、エア吹出口15gを形成したときの筒状本体部15の筒内周面15dを、径方向に差がないフラットな周面状態として構成しても構わない。
【0099】
さらに、図1〜11では、筒状本体部15、150、150A,150Bに支持した支持部材17Eを回転支点として所定角度の範囲で回転する方向に移動するような構成として説明したが、直線方向に移動する構成としても構わない。なお、接続機構は、直線方向に移動する場合の構成として図13(a)、(b)に示すような例が考えられる。
【0100】
図13(a)、(b)に示すように、接続機構190は、設置基部170と、係合部材180と、弾性部材180Eと、を備えている。
設置基部170は、回転刃9の両側面に近接するように溝部170aを開けて設けた側面ブロック部170A、170Bと、この側面ブロック部170A、170Bの一端側で架け渡すように設けた水平ブロック部170Cと、を備え、水平ブロック部170Cに係合部材180を直線方向に移動自在に支持するスライド支持部170bを設けている。
【0101】
スライド支持部170bは、係合部材180を支持して直線方向に移動自在にスライドさせる案内部分である。このスライド支持部170bは、矩形筒形状に形成された矩形筒状案内部170cと、この矩形筒状案内部170cの下端の一部が直線状に貫通して形成れたスライド案内溝170dと、矩形筒状案内部170cの後部側に設けたコイルストッパ170eとを備えている。
【0102】
係合部材180は、スライド支持部170bに案内されて直線方向に移動するものであり、その下端側に筒状本体部150を係合(接続)している。係合部材180は、例えばT字形状に形成されT字の水平部分がスライド支持部170bに嵌合して案内され、T字の垂直部分の下端に筒状本体部150を溶接等により係合している。また、係合部材180あるいはスライド支持部170bのいずれかに突起部および突起部が移動する溝部分(図面では係合部材180に溝部分を形成)を形成して、係合部材180の付勢される側における移動端で係合部材180の移動が抑制されるように構成されている。
【0103】
弾性部材180Eは、設置基部170のスライド支持部170b内で直線方向に伸縮自在に動作できるように設置されている。そして、この弾性部材180Eは、スライド支持部170bで移動自在に支持されている係合部材180を被切削部材W側に付勢するものである。この弾性部材180Eは、ここでは、コイルスプリングが用いられ、その一端180gを係合部材の後部に係合あるいは当接して、その他端180fをコイルストッパ170eに係止あるいは当接している。
【0104】
このように構成された接続機構190は、切削作業を行う場合には、はじめに補助集塵板160の端部が被切削部材Wに当接した状態(図8(a)参照)となり、作業者が回転刃9を被切削部材Wに当接させ(図8(b)参照)、回転刃9を回転駆動させて切削作業を行い、被切削部材Wに回転刃9を切り込んでいくときに、常に被切削部材Wに矩形集塵開口150c及び補助集塵板160が当接して(図8(c)、(d)参照)、回転刃9により発生する粉塵を補助集塵板160から矩形集塵開口150cに案内してあるいは矩形集塵開口150cから直接集塵することができる。したがって、携帯用切削工具100Eでは、図1〜12に記載した装置と同様に粉塵を確実に集塵することができる。
【0105】
なお、接続機構190は、回転刃9の最大切込み深さとなる位置で、係合部材180のスライド移動が停止するように、スライド支持部170b及び係合部材180のいずれかにストッパ(図示せず)を設けることや、あるいは、弾性部材180Eの収縮時を、最大に押圧されたときに補助集塵板160の他方の移動端(回転刃9の最大切込み深さ)となるように設定されることが好ましい。
【0106】
さらに、図14に示すように、補助集塵板360は、被切削部材Wがヒューム管、土管、円柱等である円曲面を有するものであるときに、その円曲面に沿って当接できるように、その当接する位置が円曲面に形成されている構成としても構わない。なお、図14では、補助集塵板360及び筒状本体部350の矩形集塵開口350cとなる部分についても円曲面に形成されていることで、被切削部材Wに沿って隙間無く当接して切削作業ができるように構成されている。したがって、携帯用切削工具1(図1ないし図4参照)は、被切削部材Wの形状によっては、本体部2(図1ないし図4参照)から集塵構造体10を集塵構造体10Dに取り替えることで、被切削部材Wの形状に対応して切削作業を行うことができる。なお、図示していないが、図2における補助集塵板16の被切削部材Wに当接する位置を円曲面に形成するように構成しても構わない。
【0107】
また、図15(a)、(b)に示すような筒状本体部250A、250Bの構成としてもよい。すなわち、図15(a)に示すように、筒状本体部250Aは、図11(b)で説明したエアノズル70のエア吹出孔70Aを、矩形集塵開口15cの中央位置(上下左右の中央)となるように配置して、かつ、所定の流路の構成としても構わない。筒状本体部250Aは、矩形集塵開口15cに連続する所定の流路を、開口側空間流路250aと、中央空間流路250bと、後部空間流路250cとから構成している。そして、開口側空間流路250aは、矩形集塵開口15cの開口面積より大きな空間領域から中央空間流路250bに連続する傾斜面を筒内周面に形成している。また、中央空間流路250bは、開口側空間流路250aよりも縮径して同じ径の空間となるように筒内周面が形成され、一端側を開口側空間流路250aに連続し、他端側を後部空間流路250cに連続するように形成されている。さらに、後部空間流路250cは、中央空間流路250bから接続開口15eに連続するように形成されており、中央空間流路250bから接続開口15eに向かって拡径する傾斜面が筒内周面に形成されている。
【0108】
なお、エアノズル70のエア吹出孔70Aは、矩形集塵開口15cの近傍に配置されることが好ましいため、ここでは、エアノズル70の筒が矩形集塵開口15cを形成する板面に当接するように設けられている。図15(a)に示すように、筒状本体部250Aのように構成することで、エアノズル70のエア吹出孔70Aからエアを吹出すと、開口側空間流路250aの大きな空間から中央空間流路250bに向かって流路が縮径されていることで、エアの流速が速くなり、中央空間流路250bから後部空間流路250cに向かって拡径していることでエアの流れがスムーズになる。したがって、筒状本体部250Aでは、矩形集塵開口15cから粉塵を効率よく集塵することが可能となる。また、筒状本体部250Aは、図6に示す構成と比較して構造が簡単であっても、集塵効率が図6の構成のものとほぼ同じようにすることが可能となる。なお、エアノズル70は、円筒管の先端側となる周面に開口としてのエア吹出孔70Aを形成した形状として構成されているが、先端をL字形状に折り曲げて形成する構成としても構わない。また、図11(b)で示すエアノズル70は、先端をL字形状に折り曲げて形成されているが、図15(a)で示すような構成としても構わない。
【0109】
つぎに、前記した筒状本体部250Aに対して、図15(b)で示すように、その一部を着脱自在に形成した筒状本体部250Bとしても構わない。なお、図15(a)において、すでに説明した構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
図15(b)に示すように、筒状本体部250Bは、後部本体部250B2と前部本体部250B1とが互いに係合(当接)する位置に螺子構造250nを形成することにより、後部本体部250B2が着脱自在に設けられる構成としてもさらに好ましい。
このように後部本体部250B2が前部本体部250B1から取り外せることで、筒状本体部250Bの筒内の清掃が容易となり、かつ、磨耗により劣化した場合に容易にその部分だけ交換することが可能となる。
【0110】
また、図16に示すように、係合部材18(図3参照)のスリット18aから粉塵が漏れ出ないように、粉塵流出防止手段として溝38aを形成した軟性のゴム板(シリコンゴム等)38あるいはブラシ39を、係合部材18のスリット18aの隙間が狭くなるように設ける構成としても構わない。つまり、係合部材18のスリット18aにゴム板38の溝38aを合わせて、そのゴム板38を係合部材18の係合中央板18Aに取付けるようにする。ゴム板38の溝38aは、係合部材18のスリット18aよりも幅が小さく、かつ、回転刃(図1等参照)9の厚みよりも広い幅に形成されている。
【0111】
または、係合部材18のスリット18aにブラシ39が覆うように、係合部材18の係合中央板18Aに取付けるようにする。このように、係合部材18のスリット18aにゴム板38あるいはブラシ39を取付けることで、スリット18aの隙間間隔を小さくして、粉塵が回転刃9(図1等参照)側に漏れ出て連れ回らないようにすることができる。なお、ゴム板38あるいはブラシ39は、回転刃9に接触してもゴム板38あるいはブラシ39の素材が回転刃9に対して十分柔らかいため、少しずつ磨耗することになるだけで、切削作業に影響を与えることはない。したがって、使用により磨耗した場合には、ゴム板38あるいはブラシ39を適宜取り替えることで防護カバー体11側に粉塵の漏れ出ることが抑制される。
【0112】
さらに、図17に示すように、エアを吹出すときにエア吹出口150gあるいは吹出孔50gを形成する場合には、その開口の大きさを変えることが好ましい。すなわち、エアの供給側(14a側)の開口径を大きくして、そこから遠ざかるにしたがって開口径を徐々に小さくするように構成することが望ましい。エアの供給側では、エアの勢いによりエア吹出口150gあるいは吹出孔50gから筒内にエアが出にくく、エアの供給側から遠ざかるにしたがってエアが出易くなる。そのため、開口の大きさを変えることで、筒全体におけるエアの吹出す流量がエア吹出口150あるいは吹出孔50gにおいて均等に近づけることができる。したがって、集塵するエアの流れを速く、かつ、スムーズにでき、集塵効率がより向上する。
【0113】
以上説明した図1〜図13における携帯用切削工具1〜100E、あるいは、図14〜図17の構成では、防護カバー体11及び集塵部14は、金属材料で形成した例として説明したが、樹脂であってもよく、樹脂であれば透明なものを使用することで粉塵の回収状態を確認しながら切削作業を行うことが可能となる。
なお、回転刃9を駆動軸6に支持する構成としてブッシュ9bがなくてもよく、回転刃9が駆動軸6に着脱自在に支持される構成であれば、公知の機構でも全く構わない。
また、図6で示すエア吹出口15gは、筒状内周15dと、突出部15bとが水平方向に平行な状態で形成された例として説明したが、エア吹出口15gが傾斜面15dに沿うように、筒内周面15dを形成することなく、突出部15bを傾斜させることでエア吹出口の構成としても構わない。
【0114】
そして、エア吹出口15gは、筒状本体部15の開口溝15aに重なる位置に形成される場合には、前記したようにC形環状部材である環状部材15bを用いて構成され、開口溝15aよりも後方(ホース接続部側)に設置される場合には、円形の環状部材により構成される。つまり、エア吹出口15gは、開口溝15aより後方に形成される場合には、筒内周面15dに段差15bと同じようにして周方向全部に段差を形成し、その段差に対面させて円形の環状部材を設けることでエアを集塵ホースSh側に向かって流れるように筒内に設けることができる。
つまり、図6、図11、図12、図17に例示して説明したように、エア吹出口15g等の構成は、筒状本体内にエアを吹出す開口(孔、溝等)を形成し、集塵する方向にエアの流れを形成するものであればよい。したがって、接続部14aに連通するように円環状あるいはC円環状の筒体からなる環状部材(図示せず)を、筒状本体部15の筒内周面に当接するように設置し、その筒体(断面形状は円または矩形)に溝または孔が形成されていることでエアを吹出すエア吹出口としてもよい。
【0115】
さらに、図18〜図20に示すように、筒状本体部15の一方側において、粉塵の飛散を防止するシート状の被覆シート部300を設置しても構わない。図18(a)〜(d)及び図19に示すように、この被覆シート部300は、筒状本体部15の矩形開口16aを中央にしてその両側となる板部材15Tに設けた取付手段としてサラ螺子310,310に着脱自在に設けられるように構成されている。被覆シート部300は、長方形のシート本体304と、このシート本体304の長手方向の一端側に形成した設置開口302,302とを備えている。
【0116】
被覆シート部300は、例えば樹脂シートなどの可撓性のシート材から形成され、長手方向における一端側のシート幅において中央を切欠いた切欠部303の両側のシート端部301,301に設置開口部302,302を形成している。被覆シート部300の設置開口部302は、サラ螺子310のネジ頭部よりも若干大きく開口するように形成した大開口部302aと、この大開口部302aに連続してサラ螺子310のネジ首部と同等の開口幅に形成した長穴部302bとにより構成されている。そして、被覆シート部300は、第2湾曲平面部16cと切欠部303との隙間が小さくなるように形成されている。そのため、被覆シート部300は、サラ螺子310,310に装着されて切削作業を行うたときに、切欠部303と第2湾曲平面部16cとの間が近接してほとんど隙間がない状態となる。
【0117】
図19に示すように、実際に被覆シート部300を装着して切削作業を行った場合、被覆シート部300が可撓性の材質で形成されているので、被切削部材Wと当接する位置において折れ曲がった状態で切溝Wmを覆い粉塵の飛散を防止することができる。なお、被覆シート部300の被切削部材Wの当接位置からの長さが130mmであると、被覆シート部300がない場合と比較して、80%以上の粉塵の飛散を防止でき、150mmであるとほとんど粉塵の飛散を防止できた。また、被覆シート部300は、厚さ0.1〜0.5mm程度であれば、スチール板、合金板の金属板から形成されることや、あるいは、厚さ0.2〜2mm程度の樹脂板、透明樹脂板から形成されて、それぞれが可撓性を備える状態として構成されている。ここでいう可撓性とは、図19に示すように、被覆シート部300が45度以内で強制的に撓ませるように力をかけた状態としても、元に戻ることができる部材であれば構わない。また、被覆シート部300は、その幅が切溝Wmよりも広く形成されている。被覆シート部300は、ここでは、例えばその幅が40〜20mmの範囲となるように形成されている。
【0118】
また、図20に示すように、補助集塵板160の板隙間開口160Smと筒状本体部150の矩形集塵開口150cとが同一平面となるような構成である場合には、筒状本体部150は、被覆シート部300を取付ける位置に、サラ螺子310,310の高さ分を低くした段差面150fを形成している。このように、筒状本体部150に段差面150fを形成することで、サラ螺子310,310を設けても筒状本体部150の矩形集塵開口150c及び補助集塵板160の板隙間開口160Smが被切削部材Wに隙間を空けることなく対面する状態で切削作業を行うことができる。図20に示すように、補助集塵板160の板隙間開口160Smと筒状本体部150の矩形集塵開口150cとが同一平面となるような構成である場合には、被覆シート部300は、可撓性である必要がない。
【0119】
さらに、図18〜図20に示すように、被覆シート部300を着脱自在に設けることができるようにすることで、切削作業により生じる粉塵の飛散を防止して、作業環境をよりよくすることが可能となる。また、被覆シート部300は、樹脂で形成されている場合には、被切削部材Wと接触して磨耗するが、新しいものと簡単に交換できる。なお、ここで図示して説明したサラ螺子310である取付手段は、一例であり、被覆シート部300のシート端部301,301を固定することができれば、接着、溶接、両面テープ等であっても構わない。また、被覆シート部300は、大開口部302aと長穴部302bとの間に長穴部302bの横幅よりも縮径した縮径部(図示せず)を形成する構成としてもよい。被覆シート300は、縮径部(図示せず)を形成した場合、その縮径部を弾性変形させてサラ螺子310に装着させることで、サラ螺子310への装着をより確実で外れにくい構成にすることができる。
【0120】
以上説明した携帯用切削工具1〜100E、あるいは、図1〜図20の構成では、図面上においてコンプレッサCPからのエアを駆動源および集塵方向のエアの流れを形成する集塵流路形成手段として用いた例について説明したが、図21に示すように、電源を駆動源とする構成としても構わない。なお、防護カバー体11、取付部材9A、取付部11e、接続機構19、補助集塵板16は、既に説明した構成と同じ構成であるので説明を省略する。
【0121】
図21に示すように、電源を駆動源とする携帯用切削工具100Mでは、集塵構造体10Mを取付部11e(図2参照)を介して着脱自在に装着できるように構成している。そして、集塵構造体10Mでは、集塵方向のエアの流れを形成する集塵経路形成手段としては集塵機(掃除機等)Bcを用いることもできる。集塵機Bcを使用する場合には、集塵ホースShの後端に集塵機Bcを接続して、集塵機Bcがエアを吸引することで集塵方向にエアの流れを形成して使用する。集塵構造体10Mにおいて、集塵部14の筒状本体部150mは、エア吹出口15g,150g等を設けることなく、筒体の一方の開口に板部材15Tにより矩形集塵開口15cを形成するか、あるいは、矩形集塵開口15c及び開口溝15aが形成された構成としても構わない。
【0122】
このような構成の集塵構造体10Mを装着した携帯用切削工具100Mでは、集塵機Bcの電源をオンして、携帯用切削工具100Mの本体部2mに設けられた電源スイッチ2nを操作して回転刃9を回転させて切削作業を行う。携帯用切削工具100Mでは、図8で説明したと同様の操作により被切削物Wを、集塵部14で集塵しながら切削作業が行われる。携帯用切削工具100Mは、矩形開口16a、板隙間開口16Smから集塵矩形開口15c(図4参照)を介して集塵ホースShに粉塵が送られ、集塵機Bcで集塵するように動作する。したがって、集塵構造体10を装着した携帯用切削工具100Mは、矩形開口16a、板隙間開口16Sm及び集塵矩形開口15cが掃除機の吸込口のような役割をして粉塵を集塵して切削作業を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0123】
1 携帯用切削工具 2 本体部
2a ハンドル接続穴 3 ホース接続部
4 エア流形成路 5 駆動タービン
6 駆動軸 7 構造体支持部
8 放出部 9 回転刃
9A 取付部材 9a ホイールワッシャ
9b ブッシュ 9c ナット
9d ボルト 10 集塵構造体
11 防護カバー体 11a 側面板
11b 刃先側面板 11c 周面板
11d 取付穴 11e 取付部
14 集塵部 14a 接続部
15 筒状本体部 15b 段差
15b 突出部 15b 環状部材
15T 板部材 15a 開口溝
15b エア流路 15c 矩形集塵開口
15d 筒内周面 15e 接続開口
15f ホース接続部 15g エア吹出口
16 補助集塵板 16A 一側補助板
16B 他側補助板 16C 切欠凹部
16D 平面端部 16Sm 板隙間開口
16a 矩形開口 16b 第1湾曲平面部
16c 第2湾曲平面部 16d 平面端部
16e 平面端部 16h 板取付部
17 設置基部 17A 周面ブロック部
17B 側面ブロック部 17C 側面ブロック部
17D 突出ブロック部 17E 支持部材
17a 溝部 17b 支持穴
17c 係合穴 17d ストッパ
17e ストッパ 18 係合部材
18A 係合中央板 18B 係合側面板
18C 係合側面板 18E 弾性部材
18a スリット 18b 貫通支持穴
18c 係合突出片 18d 当接側辺
18e 側面部 18f 脚部
18g 脚部 18h バネ部
19 接続機構 20 エア分岐ホース
21 ホース本体 22 一端側接続部
22a エア調整ネジ 23 他端側接続部
25 接続介在部 26 介在部本体
27 供給ホース接続部 28 工具側接続部
29 分岐ホース接続部 70 エアノズル
70A エア吹出孔 80 接続管
90 接続管 Ah エア供給ホース
CP コンプレッサ Ha ハンドル
Sh 集塵ホース Sb 集塵袋
W 被切削部材 Wm 切溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の回転刃が被切削部材を切削するときに発生する粉塵を集塵する集塵構造体を備え、前記集塵構造体に接続される集塵ホースに向かってエアの流れを形成する集塵流路形成手段を介して前記粉塵を集塵しながら前記被切削部材を切削する携帯用切削工具において、
前記集塵構造体は、前記回転刃の一部を覆う防護カバー体と、この防護カバー体の一端側に設けた集塵部とを備え、
前記集塵部は、前記粉塵を集塵する矩形集塵開口を一方に有すると共に、前記集塵ホースを接続する接続開口を他方に有する筒状本体部と、
この筒状本体部に設けられ、前記矩形集塵開口を中央にして、前記回転刃の側面に沿ってそれぞれ配置した一側補助板及び他側補助板を有する補助集塵板と、
前記筒状本体部と前記防護カバー体とを接続する接続機構とを有し、
前記筒状本体部は、前記矩形集塵開口を、当該筒状本体部の筒開口面積よりも開口面積が小さくなるように形成され、
前記接続機構は、前記防護カバー体に設けた設置基部と、この設置基部に取付けた支持部材と、この支持部材に支持されると共に前記筒状本体部を係合する係合部材と、この係合部材に一端側を係止し、かつ、前記設置基部に他端側を係止する弾性部材とを有し、
前記弾性部材が、前記係合部材に係合した筒状本体部及び当該筒状本体部に設けた前記補助集塵板を、前記被切削部材に当接する方向に付勢することを特徴とする携帯用切削工具。
【請求項2】
前記補助集塵板は、前記回転刃の中央側を回転自在に固定する取付部材までの長さに形成されると共に、前記弾性部材に抗する方向の移動端において、前記取付部材に対面する位置に切欠凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯用切削工具。
【請求項3】
前記補助集塵板は、回転刃の側面に平行な板面の周縁の所定範囲に、前記回転刃の側面に向けて近接する折曲方向に形成した平面端部を有することを特徴とする請求項1に記載の携帯用切削工具。
【請求項4】
前記補助集塵板は、前記被切削部材に当接する位置の前記平面端部における長手方向の一端において、前記被切削部材から離間する方向に湾曲する第1湾曲平面部を設けると共に、前記平面端部の延長線上となる前記矩形集塵開口を越えた位置に、前記被切削部材から離間する方向に湾曲する第2湾曲平面部を設けたことを特徴とする請求項3に記載の携帯用切削工具。
【請求項5】
前記補助集塵板は前記被切削部材と当接する位置の平面端部が、前記矩形集塵開口の形成面よりも、前記被切削部材側に突出するように配置され、当該平面端部の前記矩形集塵開口に対向する位置に矩形開口を形成したことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の携帯用切削工具。
【請求項6】
前記筒状本体部は、エアを供給するエアホースの接続部を筒外周に設けると共に、円筒内周に環状部材又はC形環状部材を取り付けることで、円筒内周と環状部材あるいはC形環状部材との間にエア吹出口を設け、前記接続部に接続されたエアホースからのエアを、前記エア吹出口から前記集塵ホースに向かう流れを形成するように吹出す構成としたことを特徴とする請求項1に記載の携帯用切削工具。
【請求項7】
前記筒状本体部は、前記エア吹出口からエアが吹き出された位置に、筒内周面において縮径方向に傾斜する傾斜面を設けたことを特徴とする請求項6に記載の携帯用切削工具。
【請求項8】
前記筒状本体部は、エアを供給するエアホースの接続部を筒外周に設けると共に、前記接続部に接続されたエアホースからのエアを、前記集塵ホースに向かう流れを形成するように、当該筒内に臨ませて設置したエアノズルを設けたことを特徴とする請求項1に記載の携帯用切削工具。
【請求項9】
前記筒状本体部は、前記補助集塵板の設置範囲において筒外周から筒内に連通する開口溝が形成され、前記開口溝が前記矩形集塵開口に連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯用切削工具。
【請求項10】
前記補助集塵板は、前記一側補助板及び他側補助板を互いに対向するように配置して形成した板間の板隙間開口を前記矩形集塵開口と同一平面上となるように前記筒状本体部の筒外周に設置され、
前記筒状本体部は、前記補助集塵板を設置した筒外周の範囲において筒内に連通する開口溝が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の携帯用切削工具。
【請求項11】
前記筒状本体部は、矩形集塵開口から連続する開口側空間流路と、この開口側空間流路から流路径が狭くなるように形成した中央空間流路と、この中央空間流路から連続して前記接続開口に向かって流路径が拡がるように形成した後部空間流路とを備え、
前記エアノズルを前記開口側流路に臨ませる位置に設置したことを特徴とする請求項8に記載の携帯用切削工具。
【請求項12】
前記補助集塵板は、被切削物に当接する位置が円曲面形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯用切削工具。
【請求項13】
円板状の回転刃が被切削部材を切削するときに発生する粉塵を集塵する集塵構造体を備え、前記集塵構造体に接続される集塵ホースに向かってエアの流れを形成して前記粉塵を集塵しながら前記被切削部材を切削する携帯用切削工具において、
前記集塵構造体は、前記回転刃の切断可能範囲を露出するように覆う防護カバー体と、この防護カバー体の一端側に設けた集塵部とを備え、
前記集塵部は、前記粉塵を集塵する矩形集塵開口を一方に有すると共に、前記集塵ホースを接続する接続開口を他方に有する筒状本体部と、
この筒状本体部に設けられ、前記矩形集塵開口を中央にして、前記回転刃の側面に沿ってそれぞれ配置した一側補助板及び他側補助板を有する補助集塵板と、
前記筒状本体部と前記防護カバー体とを接続する接続機構とを有し、
前記筒状本体部は、その矩形集塵開口が、当該筒状本体部の筒開口面積よりも開口面積が小さく形成され、前記補助集塵板を設置した筒外周の範囲において筒内に連通する開口溝を形成し、
前記接続機構は、前記防護カバー体に設けた設置基部と、この設置基部に直線方向に移動自在に取付けられ前記筒状本体部を支持する支持部材と、この支持部材に一端側が係止され他端側が前記設置基部に係止される弾性部材と、を有し、
前記弾性部材が、前記支持部材に支持する筒状本体部及び当該筒状本体部に設けた補助集塵板を、前記直線方向の一方となる前記切削部材に当接する方向に付勢することを特徴とする携帯用切削工具。
【請求項14】
前記筒状本体部の他方から突出して、前記回転刃で切削した被切削部材の切溝の長手方向における一部を覆うシート状の被覆シート部を前記筒状本体部に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項13に記載の携帯用切削工具。
【請求項15】
円板状の回転刃により被切削部材を切削するときに発生する粉塵を、接続される集塵ホースに向かってエアの流れを形成する集塵流路形成手段を介して集塵しながら前記被切削部材を切削する携帯用切削工具に用いられる集塵構造体であって、
前記集塵構造体は、前記回転刃の一部を覆う防護カバー体と、この防護カバー体の一端側に設けられた集塵部とを備え、
前記集塵部は、前記粉塵を集塵する矩形集塵開口を一方に有すると共に、前記集塵ホースを接続する接続開口を他方に有する筒状本体部と、
この筒状本体部に設けられ、前記矩形集塵開口を中央にして前記回転刃の側面に沿ってそれぞれ配置した一側補助板及び他側補助板を有する補助集塵板と、
前記筒状本体部と前記防護カバー体とを接続する接続機構とを有し、
前記矩形集塵開口は、当該筒状本体部の筒開口面積よりも開口面積が小さく形成され、
前記接続機構は、前記防護カバー体に設けた設置基部と、この設置基部に取付けた支持部材と、この支持部材に支持されると共に前記筒状本体部を係合する係合部材と、この係合部材に一端側を係止し、かつ、前記設置基部に他端側を係止する弾性部材とを有し、
前記弾性部材が、前記係合部材に係合した筒状本体部及び当該筒状本体部に設けた前記補助集塵板を、前記被切削部材に当接する方向に付勢することを特徴とする集塵構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−176598(P2012−176598A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138766(P2011−138766)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000142919)株式会社呉英製作所 (21)
【Fターム(参考)】