携帯用切断機
【課題】本発明の目的は、オフロック機構の操作性及び耐久性を向上させた携帯用切断機を供給することである。
【解決手段】オフロック機構11は、スイッチ9をオフ状態で維持するオフロックスイッチ12と、オフロックスイッチ12の移動を案内する長穴13を有する基部14とを備え、長穴13は、第1の幅を持つ第1穴部13bと、第1の幅より大きい第2の幅を持つ第2穴部13aとを有し、オフロックスイッチ12は、第1穴部13bと第2穴部13aの一方から他方へ移動することによってスイッチ9をオフ状態に維持する。
【解決手段】オフロック機構11は、スイッチ9をオフ状態で維持するオフロックスイッチ12と、オフロックスイッチ12の移動を案内する長穴13を有する基部14とを備え、長穴13は、第1の幅を持つ第1穴部13bと、第1の幅より大きい第2の幅を持つ第2穴部13aとを有し、オフロックスイッチ12は、第1穴部13bと第2穴部13aの一方から他方へ移動することによってスイッチ9をオフ状態に維持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの駆動をオン又はオフするためのスイッチのオフロック機構を備えた携帯用切断工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯用切断工具は、切断刃を駆動するためのモータの駆動をオンオフするためのスイッチが設けられている。また、工具を使用しない場合にスイッチをオフ状態に維持(ロック)しておくためのオフロック機構が設けられている。
【0003】
従来の携帯用切断機について図7乃至図12を用いて説明する。ナイフカッターのオフロック機構100は、スイッチ101のオン及びオフの切り替えをオフロックスイッチ102のスライド操作による1方向のみの移動で行なっていた。
【0004】
図7はスイッチ101がオン状態すなわちスイッチ部101aがスイッチ101によってオンされた状態を示しており、オフロックスイッチ102は、図8の矢印Xの方向にスライドされ同図の位置になっている。なお、図8は図7の矢印Aから見たものである。この状態では、図7のB−B断面を示す図9に示すように、スイッチ部101aの接点部101bがスイッチ101によってオンすることができるように、オフロック機構100の突出部105が接点部101bから回避するようにロック爪部103は工具本体側に設けられた爪部104と係合している。
【0005】
この状態からオフロックスイッチ102を矢印Xの方向にスライドさせて図10の位置にすると、オフロック機構100は図11及び図12に示す状態になる。図11に示すように、スイッチ100は、オフロック機構100の突出部105によって接点部101aとの接触が防止される。すなわち、図12に示すように、スイッチ部101aの接点部101bの下側にオフロック機構100の突出部105が入り込み、接点部101bとスイッチ101との接触を防止するようにロック爪部103は工具本体側に設けられた爪部104と係合している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のオフロック機構100は、オフロックスイッチ102をオフ状態とオン状態との間を切り替える際に、爪部103及び104に設けられた凹凸形状を擦りながら切り替えるため、爪部103及び104にかかる切り替え荷重が生じるため、オフロックスイッチ102のオン状態とオフ状態を繰り返し切り替えると爪部103及び104間に生じる摩擦によって凹凸形状が磨耗しオフロック機構の寿命が短くなってしまうという問題があった。また、爪部103及び104の凹凸形状による摩擦によってオフロックスイッチ102のスライド操作が悪いという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、オフロックスイッチの切り替えの操作性を向上させ、オフロック機構の寿命を長くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、モータの回転によって駆動される切断刃と、前記モータの駆動のオン及びオフを切り替えるスイッチと、該スイッチをオフ状態で維持するオフロック機構を備え、前記切断刃によって被切断材を切断する携帯用切断工具であって、前記オフロック機構は、前記スイッチをオフ状態で維持するオフスイッチと、該オフロックスイッチの移動を案内する長穴を有する基部とを備え、前記長穴は、第1の幅を持つ第1穴部と、該第1の幅より大きい第2の幅を持つ第2穴部とを有し、前記オフロックスイッチは、前記第1穴部と前記第2穴部の一方から他方へ移動することによって前記スイッチをオフ状態に維持することを特徴とする。
【0009】
このような構成にすることにより、簡単な操作でオフロックスイッチをオフ状態に維持することができ、操作性を向上することができる。
【0010】
また、前記オフスイッチは、前記第1穴部の幅より小さい幅を有する第1案内部と、該第1案内部と連結され前記第1穴部の幅より大きく第2穴部の幅より小さい幅を有する第2案内部とを有し、前記オフスイッチを、前記長穴内で移動させた際、前記第2案内部が前記第2穴部と係合することにより前記スイッチのオフ状態を維持するようにしても良い。
【0011】
このような構成にすることによって、幅が異なる穴部とオフロックスイッチとの係合によってオフ状態を維持できるため、オフロック機構の磨耗を防止でき寿命を向上することができる。
【0012】
また、前記オフロック機構は、前記オフロックスイッチを前記基部から離れる方向に付勢する付勢部材を有し、該付勢部材は、前記オフスイッチを前記長穴内で移動させ、前記第2案内部が前記第2穴部の位置になった際に前記第2案内部を前記第2穴部側に付勢する用にしても良い。
【0013】
このような構成にすることによって、オフロックを解除したい場合にオフロックスイッチを付勢部材に抗して押すことによって簡単に解除できるとともに、付勢部材によって確実にオフロック状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、オフロック機構の切替荷重を大きくする必要なく、確実にオフロック状態を維持でき、操作性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態を図1乃至図7を用いて説明する。図1は本発明となる携帯用切断機の一部断面を示した側面図、図2は図1の矢印Aから見た一部拡大図、図3は図2のオフロックスイッチを取り外した状態を示す図、図4は図2のA−A断面図、図5は図1のB−B断面の一部拡大図、図6は図1のC−C断面図である。
【0016】
図1において、携帯用切断機1は、ハウジング2内にモータ3を内蔵しており、モータ3の回転は回転変換機構(クランク機構等)4によって往復運動に変換されてロッド4aに伝達される。ロッド4aには被切断材を切断する切断刃5が取り付けられている。ハウジング2の一端側には、切断刃5が貫通する穴を有し、被切断材に当接させるベース6が取り付けられており、また、切断刃5により被切断材を切断した際に生じる切粉を収納する収納カバー7が取り付けられている。また、ハウジング2の他端側には、モータ2に電力を供給する電池パック8が着脱可能に取り付けられている。
【0017】
更に、モータ2のオン又はオフを切り替えるスイッチ9が軸9aを支点に回動可能に設けられている。スイッチ9の操作に連動してモータ2の駆動をオンオフするためのスイッチ部10が設けられている。
【0018】
被切断材の切断作業は、スイッチ9を操作する(ハウジング2側に押す)と、スイッチ9が軸9aを中心に回動し、スイッチ9の一端部9bがスイッチ部10の接点部10aに当接する。すると、接点部10aがスイッチ部10内に押し込まれてモータ2をオンすることができる。モータ2がオンすることによってモータ2の回転は回転変換機構4、ロッド4aを介して切断刃5に往復運動として伝達され、被切断材を切断することができる。
【0019】
次に、本発明となるオフロック機構について図2乃至図5を用いて説明する。切断機1を使用しない場合等に切断機1のスイッチ9(スイッチ部10)がオンとならないようにするため、スイッチ9のオフ状態を維持するためのオフロック機構11が、接点部10aとスイッチ9の一端部9bとの近傍に設けられている。図2に示すように、オフロック機構11は、スイッチ9がオンとならないようにオフ状態を維持する位置に移動可能なオフロックスイッチ12と、オフロックスイッチ12が取り付けられる長穴13を有する基部14とから主に構成されている。基部14には、オフロックスイッチ12をスライド可能に取り付けるための長穴13が形成されている。長穴13は幅(図中左右方向)が異なる2つの穴部13a及び13bから構成されており、穴部13aの幅は穴部13bの幅より大きく構成されている。
【0020】
一方、長穴13に取り付けられるオフロックスイッチ12は、図4に示すように作業者によって操作される操作部12aと、操作部12aに連結され穴部13bの幅以下の幅を有する第1案内部12bと、第1案内部12bと連結され穴部13bの幅より大きく穴部13aの幅より小さい第2案内部12cとから構成されている。案内部12b及び12cには、オフロックスイッチ12を基部14の収納部14a対して上下動(図中左右方向)できるようにボルト16を固定するねじ穴が設けられている。また、第2案内部12cと収納部14a間には、オフロックスイッチ12を基部14から離れる方向に付勢する付勢部材となるスプリング15がボルト16の周りに設けられている。
【0021】
図4において、同図(a)はオフロック機構11がオン状態すなわちスイッチ9のオフ状態を維持した状態、同図(b)は、オフロック機構11がオフ状態すなわちスイッチ9のオフ状態を解除(スイッチ9がオン操作可能)した状態を示すものである。同図(a)では、スプリング15の付勢力によってオフロックスイッチ12が基部14に対して離れる方向に付勢されており、第2案内部12cが長穴13の幅が大きい穴部13aと係合している。この状態では、図5(a)及び図6(a)に示すように、突出部15がスイッチ9の一端部9bと接点部10aとの接触を防止するようになっており、スイッチ9のオフ状態を維持している。この状態で、オフロックスイッチ12を長穴13の長手方向にスライドしようとしても、穴部13bの幅は、第2案内部12cの幅より小さいため、スライド移動することができない。従って、オフロックを解除することはできない。なお、オフロックスイッチ12に設けられたガイド部17は基部14に設けられたガイド部18に沿って案内されるのみとなっており、従来のように、凹凸形状の摩擦によってオフロックする構成ではないため、部品の寿命を向上することができる。
【0022】
一方、スイッチ9をオン操作する場合には、オフロックスイッチ12をスプリング15の付勢力に抗して基部14側に押して、第2案内部12cと穴部13aとの係合を解除する。その状態でオフロックスイッチ12を長穴13の長手方向にスライド移動することによって図4(b)に示すように、第1案内部12bと穴部13bとを係合させて、オフロックを解除することができる。この場合、穴部13bの幅は、第2案内部12cの幅より小さいため、スプリング15の付勢力によってオフロック状態となることはない。従って、図5(b)及び図6(a)に示すように、突出部15は、スイッチ9の一端部9bと接点部10aとの接触が可能となるように、接点部10aの位置から回避するため、スイッチ9(スイッチ部10)をオンすることができるようになる。
【0023】
以上の説明により、オフロック状態にする場合には、オフロックスイッチ12を穴部13aの位置にスライドさせれば、スプリング15の付勢力によってオフロックスイッチ12の第2案内部12cが穴部13aに入り込むのでオフロック状態を維持することができる。逆に、オフロックを解除する場合には、オフロックスイッチ12をスプリング15の付勢力に抗して押し下げ第2案内部12cと穴部13aとの係合を解除し、オフロックスイッチ12を穴部13bの位置にスライドさせれば、スプリング15の付勢力によってオフロックスイッチ12は第1案内部12bが穴部13bに入り込むのでオフロック状態を解除することができるとともに、スプリング15の付勢力によってその状態を維持することができる。従って、オフロックスイッチ12を簡単な操作でスライド移動することができるため、操作性を向上することができる。また、スライド移動の際、従来のような爪部による凹凸形状によってオフロック機構を構成していないため、部品(爪部)の磨耗を防止でき切断機の寿命を向上することができる。
【0024】
なお、本実施の形態では、穴部、案内部、スプリングによってオフロック状態を維持するように構成したが、寿命を考慮しなければ、上記構成に加えた従来の切断機の図9及び図12に示すように爪部に凹凸形状を設け、摩擦によってもオフロック状態を維持するようにしても良い。また、オフロックスイッチの移動は基部に対して上下方向に限らず左右方向でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明となる携帯用切断機の一部断面を示した側面図。
【図2】図1の矢印Aから見た一部拡大図。
【図3】図2のオフロックスイッチを取り外した状態を示す図。
【図4】図2のA−A断面図であり、(a)はオフロック状態、(b)はオフロック解除状態を示す図。
【図5】図1のB−B断面の一部拡大図であり、(a)はオフロック状態、(b)はオフロック解除状態を示す図。
【図6】図1のC−C断面の一部拡大図であり、(a)はオフロック状態、(b)はオフロック解除状態を示す図。
【図7】従来のオフロック機構の部分断面図であり、オフロック解除状態を示す図。
【図8】図7の状態での矢印Aから見た一部拡大図。
【図9】図7のB−B断面図。
【図10】図8のオフロック状態を示す図。
【図11】従来のオフロック機構の部分断面図であり、オフロック状態を示す図。
【図12】図11のB−B断面図。
【符号の説明】
【0026】
1は携帯用切断機、2はハウジング、3はモータ、4は回転変換機構、5は切断刃、6はベース、7はカバー、8は電池パック、9はスイッチ、10はスイッチ部、11はオフロック機構、12はオフロックスイッチ、13は長穴、14は基部、15はスプリング、16はボルトである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの駆動をオン又はオフするためのスイッチのオフロック機構を備えた携帯用切断工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯用切断工具は、切断刃を駆動するためのモータの駆動をオンオフするためのスイッチが設けられている。また、工具を使用しない場合にスイッチをオフ状態に維持(ロック)しておくためのオフロック機構が設けられている。
【0003】
従来の携帯用切断機について図7乃至図12を用いて説明する。ナイフカッターのオフロック機構100は、スイッチ101のオン及びオフの切り替えをオフロックスイッチ102のスライド操作による1方向のみの移動で行なっていた。
【0004】
図7はスイッチ101がオン状態すなわちスイッチ部101aがスイッチ101によってオンされた状態を示しており、オフロックスイッチ102は、図8の矢印Xの方向にスライドされ同図の位置になっている。なお、図8は図7の矢印Aから見たものである。この状態では、図7のB−B断面を示す図9に示すように、スイッチ部101aの接点部101bがスイッチ101によってオンすることができるように、オフロック機構100の突出部105が接点部101bから回避するようにロック爪部103は工具本体側に設けられた爪部104と係合している。
【0005】
この状態からオフロックスイッチ102を矢印Xの方向にスライドさせて図10の位置にすると、オフロック機構100は図11及び図12に示す状態になる。図11に示すように、スイッチ100は、オフロック機構100の突出部105によって接点部101aとの接触が防止される。すなわち、図12に示すように、スイッチ部101aの接点部101bの下側にオフロック機構100の突出部105が入り込み、接点部101bとスイッチ101との接触を防止するようにロック爪部103は工具本体側に設けられた爪部104と係合している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のオフロック機構100は、オフロックスイッチ102をオフ状態とオン状態との間を切り替える際に、爪部103及び104に設けられた凹凸形状を擦りながら切り替えるため、爪部103及び104にかかる切り替え荷重が生じるため、オフロックスイッチ102のオン状態とオフ状態を繰り返し切り替えると爪部103及び104間に生じる摩擦によって凹凸形状が磨耗しオフロック機構の寿命が短くなってしまうという問題があった。また、爪部103及び104の凹凸形状による摩擦によってオフロックスイッチ102のスライド操作が悪いという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、オフロックスイッチの切り替えの操作性を向上させ、オフロック機構の寿命を長くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、モータの回転によって駆動される切断刃と、前記モータの駆動のオン及びオフを切り替えるスイッチと、該スイッチをオフ状態で維持するオフロック機構を備え、前記切断刃によって被切断材を切断する携帯用切断工具であって、前記オフロック機構は、前記スイッチをオフ状態で維持するオフスイッチと、該オフロックスイッチの移動を案内する長穴を有する基部とを備え、前記長穴は、第1の幅を持つ第1穴部と、該第1の幅より大きい第2の幅を持つ第2穴部とを有し、前記オフロックスイッチは、前記第1穴部と前記第2穴部の一方から他方へ移動することによって前記スイッチをオフ状態に維持することを特徴とする。
【0009】
このような構成にすることにより、簡単な操作でオフロックスイッチをオフ状態に維持することができ、操作性を向上することができる。
【0010】
また、前記オフスイッチは、前記第1穴部の幅より小さい幅を有する第1案内部と、該第1案内部と連結され前記第1穴部の幅より大きく第2穴部の幅より小さい幅を有する第2案内部とを有し、前記オフスイッチを、前記長穴内で移動させた際、前記第2案内部が前記第2穴部と係合することにより前記スイッチのオフ状態を維持するようにしても良い。
【0011】
このような構成にすることによって、幅が異なる穴部とオフロックスイッチとの係合によってオフ状態を維持できるため、オフロック機構の磨耗を防止でき寿命を向上することができる。
【0012】
また、前記オフロック機構は、前記オフロックスイッチを前記基部から離れる方向に付勢する付勢部材を有し、該付勢部材は、前記オフスイッチを前記長穴内で移動させ、前記第2案内部が前記第2穴部の位置になった際に前記第2案内部を前記第2穴部側に付勢する用にしても良い。
【0013】
このような構成にすることによって、オフロックを解除したい場合にオフロックスイッチを付勢部材に抗して押すことによって簡単に解除できるとともに、付勢部材によって確実にオフロック状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、オフロック機構の切替荷重を大きくする必要なく、確実にオフロック状態を維持でき、操作性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態を図1乃至図7を用いて説明する。図1は本発明となる携帯用切断機の一部断面を示した側面図、図2は図1の矢印Aから見た一部拡大図、図3は図2のオフロックスイッチを取り外した状態を示す図、図4は図2のA−A断面図、図5は図1のB−B断面の一部拡大図、図6は図1のC−C断面図である。
【0016】
図1において、携帯用切断機1は、ハウジング2内にモータ3を内蔵しており、モータ3の回転は回転変換機構(クランク機構等)4によって往復運動に変換されてロッド4aに伝達される。ロッド4aには被切断材を切断する切断刃5が取り付けられている。ハウジング2の一端側には、切断刃5が貫通する穴を有し、被切断材に当接させるベース6が取り付けられており、また、切断刃5により被切断材を切断した際に生じる切粉を収納する収納カバー7が取り付けられている。また、ハウジング2の他端側には、モータ2に電力を供給する電池パック8が着脱可能に取り付けられている。
【0017】
更に、モータ2のオン又はオフを切り替えるスイッチ9が軸9aを支点に回動可能に設けられている。スイッチ9の操作に連動してモータ2の駆動をオンオフするためのスイッチ部10が設けられている。
【0018】
被切断材の切断作業は、スイッチ9を操作する(ハウジング2側に押す)と、スイッチ9が軸9aを中心に回動し、スイッチ9の一端部9bがスイッチ部10の接点部10aに当接する。すると、接点部10aがスイッチ部10内に押し込まれてモータ2をオンすることができる。モータ2がオンすることによってモータ2の回転は回転変換機構4、ロッド4aを介して切断刃5に往復運動として伝達され、被切断材を切断することができる。
【0019】
次に、本発明となるオフロック機構について図2乃至図5を用いて説明する。切断機1を使用しない場合等に切断機1のスイッチ9(スイッチ部10)がオンとならないようにするため、スイッチ9のオフ状態を維持するためのオフロック機構11が、接点部10aとスイッチ9の一端部9bとの近傍に設けられている。図2に示すように、オフロック機構11は、スイッチ9がオンとならないようにオフ状態を維持する位置に移動可能なオフロックスイッチ12と、オフロックスイッチ12が取り付けられる長穴13を有する基部14とから主に構成されている。基部14には、オフロックスイッチ12をスライド可能に取り付けるための長穴13が形成されている。長穴13は幅(図中左右方向)が異なる2つの穴部13a及び13bから構成されており、穴部13aの幅は穴部13bの幅より大きく構成されている。
【0020】
一方、長穴13に取り付けられるオフロックスイッチ12は、図4に示すように作業者によって操作される操作部12aと、操作部12aに連結され穴部13bの幅以下の幅を有する第1案内部12bと、第1案内部12bと連結され穴部13bの幅より大きく穴部13aの幅より小さい第2案内部12cとから構成されている。案内部12b及び12cには、オフロックスイッチ12を基部14の収納部14a対して上下動(図中左右方向)できるようにボルト16を固定するねじ穴が設けられている。また、第2案内部12cと収納部14a間には、オフロックスイッチ12を基部14から離れる方向に付勢する付勢部材となるスプリング15がボルト16の周りに設けられている。
【0021】
図4において、同図(a)はオフロック機構11がオン状態すなわちスイッチ9のオフ状態を維持した状態、同図(b)は、オフロック機構11がオフ状態すなわちスイッチ9のオフ状態を解除(スイッチ9がオン操作可能)した状態を示すものである。同図(a)では、スプリング15の付勢力によってオフロックスイッチ12が基部14に対して離れる方向に付勢されており、第2案内部12cが長穴13の幅が大きい穴部13aと係合している。この状態では、図5(a)及び図6(a)に示すように、突出部15がスイッチ9の一端部9bと接点部10aとの接触を防止するようになっており、スイッチ9のオフ状態を維持している。この状態で、オフロックスイッチ12を長穴13の長手方向にスライドしようとしても、穴部13bの幅は、第2案内部12cの幅より小さいため、スライド移動することができない。従って、オフロックを解除することはできない。なお、オフロックスイッチ12に設けられたガイド部17は基部14に設けられたガイド部18に沿って案内されるのみとなっており、従来のように、凹凸形状の摩擦によってオフロックする構成ではないため、部品の寿命を向上することができる。
【0022】
一方、スイッチ9をオン操作する場合には、オフロックスイッチ12をスプリング15の付勢力に抗して基部14側に押して、第2案内部12cと穴部13aとの係合を解除する。その状態でオフロックスイッチ12を長穴13の長手方向にスライド移動することによって図4(b)に示すように、第1案内部12bと穴部13bとを係合させて、オフロックを解除することができる。この場合、穴部13bの幅は、第2案内部12cの幅より小さいため、スプリング15の付勢力によってオフロック状態となることはない。従って、図5(b)及び図6(a)に示すように、突出部15は、スイッチ9の一端部9bと接点部10aとの接触が可能となるように、接点部10aの位置から回避するため、スイッチ9(スイッチ部10)をオンすることができるようになる。
【0023】
以上の説明により、オフロック状態にする場合には、オフロックスイッチ12を穴部13aの位置にスライドさせれば、スプリング15の付勢力によってオフロックスイッチ12の第2案内部12cが穴部13aに入り込むのでオフロック状態を維持することができる。逆に、オフロックを解除する場合には、オフロックスイッチ12をスプリング15の付勢力に抗して押し下げ第2案内部12cと穴部13aとの係合を解除し、オフロックスイッチ12を穴部13bの位置にスライドさせれば、スプリング15の付勢力によってオフロックスイッチ12は第1案内部12bが穴部13bに入り込むのでオフロック状態を解除することができるとともに、スプリング15の付勢力によってその状態を維持することができる。従って、オフロックスイッチ12を簡単な操作でスライド移動することができるため、操作性を向上することができる。また、スライド移動の際、従来のような爪部による凹凸形状によってオフロック機構を構成していないため、部品(爪部)の磨耗を防止でき切断機の寿命を向上することができる。
【0024】
なお、本実施の形態では、穴部、案内部、スプリングによってオフロック状態を維持するように構成したが、寿命を考慮しなければ、上記構成に加えた従来の切断機の図9及び図12に示すように爪部に凹凸形状を設け、摩擦によってもオフロック状態を維持するようにしても良い。また、オフロックスイッチの移動は基部に対して上下方向に限らず左右方向でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明となる携帯用切断機の一部断面を示した側面図。
【図2】図1の矢印Aから見た一部拡大図。
【図3】図2のオフロックスイッチを取り外した状態を示す図。
【図4】図2のA−A断面図であり、(a)はオフロック状態、(b)はオフロック解除状態を示す図。
【図5】図1のB−B断面の一部拡大図であり、(a)はオフロック状態、(b)はオフロック解除状態を示す図。
【図6】図1のC−C断面の一部拡大図であり、(a)はオフロック状態、(b)はオフロック解除状態を示す図。
【図7】従来のオフロック機構の部分断面図であり、オフロック解除状態を示す図。
【図8】図7の状態での矢印Aから見た一部拡大図。
【図9】図7のB−B断面図。
【図10】図8のオフロック状態を示す図。
【図11】従来のオフロック機構の部分断面図であり、オフロック状態を示す図。
【図12】図11のB−B断面図。
【符号の説明】
【0026】
1は携帯用切断機、2はハウジング、3はモータ、4は回転変換機構、5は切断刃、6はベース、7はカバー、8は電池パック、9はスイッチ、10はスイッチ部、11はオフロック機構、12はオフロックスイッチ、13は長穴、14は基部、15はスプリング、16はボルトである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの回転によって駆動される切断刃と、前記モータの駆動のオン及びオフを切り替えるスイッチと、該スイッチをオフ状態で維持するオフロック機構を備え、前記切断刃によって被切断材を切断する携帯用切断工具であって、
前記オフロック機構は、前記スイッチをオフ状態で維持するオフロックスイッチと、該オフロックスイッチの移動を案内する長穴を有する基部とを備え、
前記長穴は、第1の幅を持つ第1穴部と、該第1の幅より大きい第2の幅を持つ第2穴部とを有し、前記オフロックスイッチは、前記第1穴部と前記第2穴部の一方から他方へ移動することによって前記スイッチをオフ状態に維持することを特徴とする携帯用切断機。
【請求項2】
前記オフスイッチは、前記第1穴部の幅より小さい幅を有する第1案内部と、該第1案内部と連結され前記第1穴部の幅より大きく第2穴部の幅より小さい幅を有する第2案内部とを有し、
前記オフスイッチを、前記長穴内で移動させた際、前記第2案内部が前記第2穴部と係合することにより前記スイッチのオフ状態を維持することを特徴とする請求項1記載の携帯用切断機。
【請求項3】
前記オフロック機構は、前記オフロックスイッチを前記基部から離れる方向に付勢する付勢部材を有し、
該付勢部材は、前記オフスイッチを前記長穴内で移動させ、前記第2案内部が前記第2穴部の位置になった際に前記第2案内部を前記第2穴部側に付勢することを特徴とする請求項2記載の携帯用切断機。
【請求項1】
モータの回転によって駆動される切断刃と、前記モータの駆動のオン及びオフを切り替えるスイッチと、該スイッチをオフ状態で維持するオフロック機構を備え、前記切断刃によって被切断材を切断する携帯用切断工具であって、
前記オフロック機構は、前記スイッチをオフ状態で維持するオフロックスイッチと、該オフロックスイッチの移動を案内する長穴を有する基部とを備え、
前記長穴は、第1の幅を持つ第1穴部と、該第1の幅より大きい第2の幅を持つ第2穴部とを有し、前記オフロックスイッチは、前記第1穴部と前記第2穴部の一方から他方へ移動することによって前記スイッチをオフ状態に維持することを特徴とする携帯用切断機。
【請求項2】
前記オフスイッチは、前記第1穴部の幅より小さい幅を有する第1案内部と、該第1案内部と連結され前記第1穴部の幅より大きく第2穴部の幅より小さい幅を有する第2案内部とを有し、
前記オフスイッチを、前記長穴内で移動させた際、前記第2案内部が前記第2穴部と係合することにより前記スイッチのオフ状態を維持することを特徴とする請求項1記載の携帯用切断機。
【請求項3】
前記オフロック機構は、前記オフロックスイッチを前記基部から離れる方向に付勢する付勢部材を有し、
該付勢部材は、前記オフスイッチを前記長穴内で移動させ、前記第2案内部が前記第2穴部の位置になった際に前記第2案内部を前記第2穴部側に付勢することを特徴とする請求項2記載の携帯用切断機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−63808(P2010−63808A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235418(P2008−235418)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】
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