説明

携帯用小型お鈴

【課題】「身体装飾品」や「車内装飾品」としても使用でき、しかも実用的なお鈴にも劣らない音を発生させることのできる小型のお鈴を提供すること。
【解決手段】上部に支承台及びこれから上方に突出するお鈴取付部を有するとともに、下部が指で摘んで持つことのできるお鈴支持棒10と、支承台上のお鈴座布団20を介してお鈴取付部に取り付けたお鈴30と、このお鈴30中に突出しているお鈴取付部内に挿入して取り付けられる鈴棒40とを備えたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鈴棒で叩いて音を出すお鈴に関し、特に、指で摘んで操作でき、しかも所謂ストラップとしても利用できる携帯用小型お鈴に関するものである。
【背景技術】
【0002】
仏具の一種である「お鈴」は、祭壇の近傍に置く大型のものから、僧侶がお墓等に持参する中型のものまで種々なものが存在している。これらの大型あるいは中型のお鈴は実用的なものであって、所謂「身体装飾品」や「車内装飾品」としても使用できる小型のものではない。
【0003】
お鈴を小型のものにしようとすると、これに合った鈴棒も小さくなって置き場に困るし、このような小さな鈴棒で叩いたときの音が十分であるか否かも気になるところであるが、鈴棒の置き場や音の調節に関して、特許文献1にて提案されているような改善がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−148520号公報、要約、代表図
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された「仏具用鈴台」は、「鈴を叩くための鈴棒を置き易くし、鈴の反響音を調節でき、鈴を叩き易くすることができる仏具用鈴台を提供すること」を目的としてなされたもので、図9にも示すように、「中央に鈴をネジ止めするための取付部を有する円盤状の仏具用鈴台であって、鈴台の外周に鈴棒の転がりを防止する膨出部を複数箇所形成したこと」を特徴とするものである。
【0006】
しかしながら、この特許文献1に記載された「仏具用鈴台」は、あくまでも実用的なものであり、「身体装飾品」や「車内装飾品」としても使用できる小型のものではない。
【0007】
そこで、本発明者等は、「身体装飾品」や「車内装飾品」としても使用できる小型のお鈴とするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0008】
すなわち、本発明の目的とするところは、「身体装飾品」や「車内装飾品」としても使用でき、しかも実用的なお鈴にも劣らない音を発生させることのできる小型のお鈴を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「上部に支承台11及びこれから上方に突出するお鈴取付部12を有するとともに、下部が指で摘んで持つことのできるお鈴支持棒10と、支承台11上のお鈴座布団20を介してお鈴取付部12に取り付けたお鈴30と、このお鈴30中に突出しているお鈴取付部12内に挿入して取り付けられる鈴棒40とを備えたことを特徴とする携帯用小型お鈴100」
である。
【0010】
すなわち、この請求項1に係る携帯用小型お鈴100では、お鈴30を支持するお鈴支持棒10が、図1にも示すように、指で摘む程度の大きさのものにしてあるし、このお鈴支持棒10に取り付けられるお鈴30も非常に小さなものとなっているため、全体として非常に小型のものとなっているのである。このため、この携帯用小型お鈴100は、身体に取り付けたり車内に吊り下げたりして装飾物とすることは勿論、後述の実施例で述べるようなストラップ50を介して携帯電話等に取り付ける等、種々な装飾品として使用することができるものである。
【0011】
ここで、お鈴30を鳴らしたい場合は、図1にも示すように、お鈴30の中央上方に鈴棒40の一部が突出しているから、これを摘んで引き出す。この鈴棒40は、図4にも示すように、お鈴取付部12内に挿入してあるだけであるから簡単に取り出せ、逆に、使用後はこの鈴棒40はお鈴取付部12内に挿入して固定される。取り出した鈴棒40によってお鈴30を叩けば、「チーン」と鳴ることになる。
【0012】
勿論、お鈴30は、お鈴支持棒10の支承台11上に位置するお鈴取付部12に、お鈴座布団20を介して取り付けてあるから、お鈴30を鈴棒40で叩いたときのお鈴30の振動は長く続くことになるし、このお鈴30の振動は、お鈴座布団20やお鈴支持棒10の存在によって阻害されることはないため、お鈴30は、音が籠もることはなく明確に鳴ることになる。
【0013】
従って、この請求項1に係る携帯用小型お鈴100は、「身体装飾品」や「車内装飾品」としても使用でき、しかも実用的なお鈴にも劣らない音を発生させることができるものとなっているのである。
【0014】
また、上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載の携帯用小型お鈴100について、
「お鈴30の開口部31の近傍の肉厚を、お鈴30の下部の肉厚より厚くしたこと」
である。
【0015】
すなわち、この請求項2の携帯用小型お鈴100では、特に、これを構成しているお鈴30について、その開口部31の近傍の肉厚を、お鈴30の下部の肉厚より厚くしたものであり、これにより、開口部31が鈴棒40によって叩かれたときに生じた振動エネルギーが長時間保存されることになる。
【0016】
つまり、お鈴30の下部はお鈴座布団20やお鈴取付部12に直接接触している部分で、これらのお鈴座布団20やお鈴取付部12によってお鈴30の下部の振動は吸収され易くなっているが、お鈴30の開口部31の近傍の肉厚部分が振動エネルギーを保存していることから、お鈴30は長時間にわたって鳴り響くことになるのである。
【0017】
従って、この請求項2に係る携帯用小型お鈴100は、上記請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、お鈴30の鳴り響く時間が長くなっているのである。
【発明の効果】
【0018】
以上、説明した通り、本発明においては、
「上部に支承台11及びこれから上方に突出するお鈴取付部12を有するとともに、下部が指で摘んで持つことのできるお鈴支持棒10と、支承台11上のお鈴座布団20を介してお鈴取付部12に取り付けたお鈴30と、このお鈴30中に突出しているお鈴取付部12内に挿入して取り付けられる鈴棒40とを備えたこと」
にその構成上の主たる特徴があり、これにより、「身体装飾品」や「車内装飾品」としても使用でき、しかも実用的なお鈴にも劣らない音を発生させることのできる小型のお鈴100を提供することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る携帯用小型お鈴100を指で摘んだ状態を示す斜視図である。
【図2】同携帯用小型お鈴100を示すもので、(a)は平面図、(b)はストラップ50や装飾品60を連結できる可能性をも示す正面図である。
【図3】同携帯用小型お鈴100を示すもので、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は平面図、(d)は底面図である。
【図4】同携帯用小型お鈴100の拡大縦断面図である。
【図5】同携帯用小型お鈴100を構成しているお鈴支持棒10を拡大して示すもので、(a)は正面図、(b)は断面図、(c)は平面図である。
【図6】同携帯用小型お鈴100を構成しているお鈴座布団20を拡大して示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図7】同携帯用小型お鈴100を構成しているお鈴30を拡大して示すもので、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図8】同携帯用小型お鈴100を構成している鈴棒40の拡大正面図である。
【図9】特許文献1に示された技術を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、上記のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した実施の形態に係る携帯用小型お鈴100について説明すると、図1には、指で摘んだ状態の本発明に係る携帯用小型お鈴100が示してある。この携帯用小型お鈴100は、基本的には、図5に示したお鈴支持棒10と、このお鈴支持棒10の支承台11上に載置される図6に示したお鈴座布団20と、このお鈴座布団20のさらに上側に配置される図7に示したお鈴30と、このお鈴30内に臨むお鈴支持棒10のお鈴取付部12に挿入されることになる図8に示した鈴棒40とからなっていて、これらのお鈴支持棒10、お鈴座布団20、お鈴30及び鈴棒40は、図1〜図4に示したように組み付けられる。
【0021】
お鈴支持棒10は、図4及び図5に示したように、支承台11とお鈴取付部12とを一体成形したものであり、図示上下方向の長さを、41.5mm程度のものにしたものである。また、このお鈴支持棒10の中心には、上下に貫通する貫通穴が形成してあり、この貫通穴(本実施形態では、直径が3.3mm)内には、後述する鈴棒40が差し込まれることになる。なお、本実施形態の支承台11の直径は、13mmである。
【0022】
このお鈴支持棒10の上部に一体成形したお鈴取付部12は、図5の(c)に示したように、合計4本の取付アーム12aからなっており、これらの取付アーム12aは、図5の(a)及び(b)に示したように、切欠溝12eを介在させることにより、それぞれ独立して曲がる(撓む)ことができるようにしてある。つまり、これらの取付アーム12aは、後述するお鈴30の通し穴32内に通されることになるもので、挿通時には内側に曲がることになるものである。
【0023】
そして、各取付アーム12aの中程外側には、図4及び図5の(b)に示したように、係止溝12bが形成してある。この係止溝12bは、各お鈴取付部12に通されたお鈴30の通し穴32を係止させるものであり、お鈴30のお鈴取付部12からの抜け止めを果たすものである。勿論、各お鈴取付部12の、係止溝12bより下側部分の全体の直径は、お鈴30の通し穴32より小さくなっていることは言うまでもない。
【0024】
一方、各取付アーム12aの上部内側には、図4及び図5の(b)に示したように、係止突起12cが形成してある。各係止突起12cは、後述する鈴棒40の外周に形成した係止溝41内に係合するもので、お鈴取付部12内に上方から挿入されてきた鈴棒40を係止して抜け止めを果たすものである。
【0025】
なお、このお鈴支持棒10の下部には、図1〜図5に示したように通し穴13が形成してある。この通し穴13は、図2の(b)中に示したストラップ50や装飾品60を取り付けるためのもので、ストラップ50を取り付けた場合には、当該携帯用小型お鈴100を携帯電話や身体に取り付けることができるのであり、装飾品60を取り付けた場合には、当該携帯用小型お鈴100の装飾を図ったり、当該携帯用小型お鈴100の所有者の名前表示を行ったりする。
【0026】
お鈴座布団20は、図6に示したように、お鈴取付部12の上方から差し込むための挿入穴21を有するもので、図1〜図4に示したように、お鈴支持棒10の支承台11上に載置されるものである。また、このお鈴座布団20は、図2及び図4に示したように、その上にお鈴30を載置して、お鈴30の振動の減衰を柔らかくするものである。
【0027】
図7にはお鈴30が示してある。このお鈴30は、直径が20mmで、高さが12.5mm程度の非常に小さなお椀状のものであり、その底部中心には、当該お鈴30をお鈴取付部12に挿通するための通し穴32が形成してある。
【0028】
このお鈴30は、後述する鈴棒40によってその開口部31の外側を叩いたとき音を発生するものであり、その開口部31近傍の肉厚L1を約1mmにする一方、底部の肉厚L2を約0.5mmとして、鈴棒40で叩かれる部分である開口部31の近傍の肉厚を他より厚くしてある。これにより、お鈴30の開口部31の近傍の振動エネルギーを長く保存できる。
【0029】
図8には、お鈴30を叩くための鈴棒40の拡大正面図が示してあるが、この鈴棒40は、長さが45mmで最大直径が3.2mmのものである。図8に示した状態の鈴棒40は、上部が指で摘む摘み部42としてあり、この摘み部42の直下に係止溝41が形成してある。この係止溝41は、前述した複数の取付アーム12aの内側に形成してある係止突起12cに係合するものであり、お鈴取付部12内に挿入されたときの抜き止めを果たすものである。
【0030】
なお、この鈴棒40は、紐や鎖等を使用して、お鈴支持棒10に連結しておけば、仮に手指から離したとしても、当該携帯用小型お鈴100から、簡単には外れないようにすることができる。
【符号の説明】
【0031】
100 携帯用小型お鈴
10 お鈴支持棒
11 支承台
12 お鈴取付部
12a 取付アーム
12b 係止溝
12c 係止突起
12e 切欠溝
13 通し穴
20 お鈴座布団
21 挿入穴
30 お鈴
31 開口部
32 通し穴
40 鈴棒
41 係止溝
42 摘み部
50 ストラップ
60 装飾品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に支承台及びこれから上方に突出するお鈴取付部を有するとともに、下部が指で摘んで持つことのできるお鈴支持棒と、前記支承台上のお鈴座布団を介して前記お鈴取付部に取り付けたお鈴と、このお鈴中に突出している前記お鈴取付部内に挿入して取り付けられる鈴棒とを備えたことを特徴とする携帯用小型お鈴。
【請求項2】
前記お鈴の開口部の近傍の肉厚を、前記お鈴の下部の肉厚より厚くしたことを特徴とする請求項1に記載の携帯用小型お鈴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−110185(P2011−110185A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268508(P2009−268508)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(599166459)株式会社田中金属製作所 (7)