説明

携帯用洗浄器

【課題】 排泄口周辺や女性の局部周辺の汚れを簡単に洗浄することができ、しかもコンパクトに携行できる携帯用洗浄器を提供する。
【解決手段】 洗浄用液体26を貯留する容器2aと、この容器の開口に覆設される蓋3aと、この蓋3aに着脱可能に垂設されて洗浄用液体を導出するノズル4aと、このノズル4aの端部に着脱可能に連設されるヘッド部5とを有する携帯用洗浄器であって、蓋3aは、その外縁近傍にノズルの垂設口6を備え、ノズル4aは、蓋3aの外縁から中心へ向かう方向に湾曲又は屈曲する携帯用洗浄器1aによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に便や尿の排泄口周辺や、女性の局部周辺を洗浄するための携帯用洗浄器に関する。
【背景技術】
【0002】
便や尿の排泄や、女性の生理による経血の排泄は人体の生理機能を維持する上で不可欠であるものの、この排泄行為により便や尿の排泄口や女性の局部周辺は不衛生になりがちであり、不快なだけでなく、例えば、膀胱炎等の感染症や痔、その他婦人病の原因の一つにもなっていた。
このような課題に対処するため、近年、固定式の電動洗浄便座が急速に普及したり、あるいは、使い捨ての女性用の膣内洗浄器等が市販されたりしているが、日常生活において、例えば外出先等で、いつでもどこでも快適に排泄後の汚れ等を洗浄できる環境が整っているとはいえない。
【0003】
このような課題に対処するため、いくつかの発明及び考案が開示されている。
たとえば、特許文献1には「携帯用手動おしり洗浄器」という名称で、操作が簡単で実用的であり、また、軽量でしかも安価に提供できるおしり洗浄器に関する発明が開示されている。
特許文献1に記載される発明は、洗浄液容器の円錐形注入口に、洗浄液容器の長さ方向と同じ方向に伸びる棒状のノズル体が設けられた、携帯用のおしり洗浄器であり、このノズル体は「携帯用手動おしり洗浄器」の不使用時に円錐形注入口から洗浄液容器内部に貯留できるよう構成されるものである。
上記構成の「携帯用手動おしり洗浄器」は、トイレ等において排泄行為が終わった後に、ノズル体の先端部に設けられる噴射孔が洗浄を要する箇所に向くようにしてノズル体を股の間から差し入れて、洗浄液容器を手で押圧して洗浄液を噴射孔から噴出させて浄を要する箇所を洗浄するのである。
また、洗浄液容器の円錐形注入口には、ノズル体の挿通を可能にするキャップ体が設けられ、このキャップ体の円錐形注入口内側側面がノズル体の外側面に密着することで、洗浄液容器を傾けたり、押圧する際にキャップ体とノズル体の隙間から洗浄液が漏出するのを防止している。また、このような構成により、当該発明の使用時にノズル体の揺動を防いでノズル体をしっかりと保持することができる。さらに、ノズルの先端の噴出孔にはキャップが設けられており、携帯時に洗浄液が噴出孔から漏れ出さないよう構成されている。
上記構成の特許文献1の発明によれば、洗浄液を貯留した「携帯用手動おしり洗浄器」をコンパクトな形で持ち運ぶことができる。また、当該発明は手動により洗浄液を噴出させることができるので、使用時に電源の確保を心配する必要がなく経済的である。
【0004】
また、特許文献2には、「携帯用おしり洗浄器」という名称で、洗浄液を導出するノズルを使い捨てにできるおしり洗浄器に関する考案が開示されている。
特許文献2に係る考案は、洗浄液を貯留する容器の吐出口にノズルを延設するものであり、使用方法は、特許文献1に係る発明と同じである。
また、特許文献1の発明に係るノズル体は洗浄液容器内に収容可能であり、ノズル体を繰り返し使用することができるのに対し、当該考案に係るノズルは、その先端が体の洗浄必要箇所になるべく近づくように、人の体に向って略直角に折り曲げられている。このため、洗浄後の液がノズルにかかったり、ノズルの先端が洗浄を必要とする場所に触れる等してノズルが汚染される可能性が高いことから、ノズルは使い捨てできるよう構成されている。
また、ノズルを装着しない容器の吐出口には、別体の蓋を装着することで容器を携帯する際の洗浄液の漏出を防ぐことができる。
上記構成の特許文献2に係る考案によれば、ノズルの汚染を心配する必要がないので、洗浄が必要な箇所にノズルの導出口をできるだけ近づけて洗浄液を噴出させ、汚れを洗浄することができる。このため、「携帯用おしり洗浄器」の洗浄力が増して衛生的である。また、ノズルを使い捨てにすることで、当該考案に係る容器を他の携行物と一緒に持ち運ぶ際にも衛生面での心配をする必要がない。
【0005】
【特許文献1】特開平11−70057号公報
【特許文献2】実開平6−81393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された発明においては、洗浄液容器とノズル体は略一直線上に配置されている。このため、「携帯用手動おしり洗浄器」を股の間に差し入れて使用する際に、例えば、洗浄液をより奥まった場所に噴出させようとして「携帯用手動おしり洗浄器」を使用者の体側に傾けた場合、この動きに連動してノズル体の先端部が便器側に向って回動し、ノズルの先端部が便器の内面に接触して不衛生になる恐れがあった。
また、使用者が「携帯用手動おしり洗浄器」を使って洗浄必要箇所を洗浄する場合、使用者は洗浄必要箇所が洗浄される様子を直接見ることができない。このため、直線で構成される細いノズル体の形状は使用者に対して本能的な恐怖感を抱かせ、「携帯用手動おしり洗浄器」の使用に抵抗を感じさせてしまうという課題があった。
また、当該発明において、円錐型注入口は洗浄液容器の上端部中央に設けられているため、洗浄液容器を傾けて使用する際に円錐型注入口の回りに洗浄液が残ってしまい、洗浄液を完全に使い切ることができないという課題もあった。
さらに、この「携帯用手動おしり洗浄器」の噴出孔は直線状のノズル体の端部に単に穴が穿設されており、使用者が「携帯用手動おしり洗浄器」を使って洗浄必要箇所を洗浄する場合に、噴出孔がどこを向いているのかを都度確認する必要があり煩雑であった。
【0007】
また、特許文献2に開示された考案においても、洗浄液を噴出させるノズルは容器の長さ方向略中央部に設けられているため、一旦、ノズルを股間に差し入れた後は容器を把持する手の感触だけで屈曲するノズルを、適切な位置や向きに配置することは困難であった。このため、誤ってノズルを体に接触させてしまう恐れがあり、最悪の場合にはデリケートな部分をノズルで傷つけてしまう恐れがあった。また、そうでない場合であってもデリケートな部分を傷つけてしまうのではないかという恐怖心を抱かせてしまい、「携帯用おしり洗浄器」の使用に抵抗を感じさせてしまうという恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は係る従来の事情に対処してなされたものであり、洗浄用液体の放出位置を調節するために携帯用洗浄器の保持角度を調整した場合であっても、ノズルの先端部や洗浄液を貯留する容器が便器等に接触しにくく、かつ携帯用洗浄器の使用時に使用者に恐怖感を抱かせないような形状を有し、さらに、携帯しやすく取扱いが簡易な携帯用洗浄器を提供することにある。
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である携帯用洗浄器は、洗浄用液体を貯留する容器と、この容器の開口に覆設される蓋体と、この蓋体に着脱可能に垂設されて洗浄用液体を導出するノズルと、ノズルの端部に着脱可能に連設されるヘッド部とを有する携帯用洗浄器であって、蓋体は、その外縁近傍にノズルの垂設口を備え、ノズルは、蓋体のその外縁から中心へ向かう方向に湾曲又は屈曲することを特徴とするものである。
上記構成の携帯用洗浄器において、容器は洗浄用液体を貯留し、容器が押圧された際に蓋体の垂設口から吐出される洗浄用液体を付勢するという作用を有する。蓋体に設けられる垂設口はノズルの装着を可能にするという作用を有する。また、蓋体の外縁近傍に備えられる垂設口は、容器をその垂設口が下方にくるように保持することで貯留される洗浄用液体を残さずノズルへ導出するという作用を有する。
また、ノズルは、垂設口から導出される洗浄液をヘッド部に導くという作用を有する。さらにこのノズルが、蓋体の垂設口が設けられた外縁から中心へ向かう方向に湾曲又は屈曲することで、便器に腰掛けて使用する際にノズルの湾曲又は屈曲部分の凸側を下方側にすれば、前述のとおり洗浄用液体を残さず利用可能に垂設口が下方へ位置されると同時に、ヘッド部及び容器をノズルの湾曲又は屈曲部分よりも上方に位置させるという作用を有する。また、このような状態では、ヘッド部から放出される洗浄用液体の方向を調整するために容器の傾斜角度や構えの位置を変化させる際に、ノズルの湾曲又は屈曲部分より上方で動作可能であり、ヘッド部あるいは容器が便器の内面あるいは使用者の皮膚などに接触し難いという作用を有する。さらに、そもそも湾曲又は屈曲するノズルの形状は、使用者に洗浄液が放出される方向を視覚的に示唆するという作用を有する。
最後に、ヘッド部は、洗浄液の放出位置を使用者に視認させるという作用を有し、さらに、洗浄液を放出するという作用を有する。
【0010】
また、請求項2に記載の発明である携帯用洗浄器は、洗浄用液体を貯留する容器と、この容器の開口に覆設される蓋体とを有する携帯用洗浄器であって、蓋体は、蓋体の外縁近傍に垂設され洗浄用液体を導出するノズルを備え、このノズルは、その端部に連設される着脱可能なヘッド部と、このノズルを容器側面側へ折畳み可能にする蛇腹部をノズルの基部近傍に備え、蓋体のその外縁から中心へ向う方向に湾曲又は屈曲することを特徴とするものである。
上記構成の携帯用洗浄器は、請求項1記載の発明である携帯用洗浄器とほぼ同一の作用を有するのであるが、請求項2記載の発明である携帯用洗浄器は、ノズルが蓋体と一体に構成されることで、蓋体とノズルの接続部分からの洗浄用液体漏出を妨げるという作用を有する。また、ノズルの基部近傍の蛇腹部は、ノズルを容器側面側へ折畳み可能にするという作用を有する。
【0011】
さらに、請求項3に記載の発明である携帯用洗浄器は、洗浄用液体を貯留する容器と、この容器の吐出口に垂設され洗浄用液体を導出するノズルと、このノズルの端部に着脱可能に連設されるヘッド部とを有する携帯用洗浄器であって、ノズルは湾曲又は屈曲し、容器の垂直断面は、吐出口を基点に容器の底部に向って略V字形をなし、容器の左右側部を押圧すると容器の吐出口を基点に左右側部が密着して容器の容積が略0(ゼロ)になるように圧潰されることを特徴とするものである。
上記構成の携帯用洗浄器において、この容器の吐出口に垂設されるノズル及びヘッド部は、請求項1記載の発明である携帯用洗浄器に係るノズル及びヘッド部と同じ作用を有する。
また、上記構成の携帯用洗浄器における容器は、容器の垂直断面が吐出口を基点に容器の底部に向って略V字形をなすことにより、容器の左右側面が押圧された際に容器内の洗浄用液体を吐出口へと誘導するという作用を有する。さらに、洗浄用液体吐出後の容器の形状を略平板状に折り畳まれた形状にするという作用を有する。また、上述のような形状に構成された容器は、容器が圧潰される際の押圧力で導出される洗浄用液体を効率よく付勢するという作用を有する。
【0012】
また、請求項4に記載の発明である携帯用洗浄器は、請求項2に記載の携帯用洗浄器であって、ノズルは、このノズルの蛇腹部の外側面を被覆する管状体を備え、蛇腹部の折畳みを妨げることを特徴とするものである。
上記構成の携帯用洗浄器は、請求項2記載の発明である携帯用洗浄器と同じ作用を有し、さらに、その作用に加え、管状体は上記構成の携帯用洗浄器を使用する際に、ノズルが意図しない方向に屈曲するのを妨げるという作用を有する。
【0013】
また、請求項5に記載の発明である携帯用洗浄器は、洗浄用液体を貯留する容器と、吐出口を備えて前記容器の開口に覆設される蓋体と、蓋体の吐出口に挿着されて前記洗浄用液体を導出するノズルと、前記ノズルの端部に一体に連設されるヘッド部とを有する携帯用洗浄器であって、ノズルは、湾曲又は屈曲し、蓋体の吐出口から前記容器内に収納可能であることを特徴とする携帯用洗浄器。
上記構成の携帯用洗浄器において、容器は洗浄用液体を貯留し、容器が押圧された際に蓋体の吐出口から吐出される洗浄用液体を付勢するという作用を有する。また、請求項5に記載の携帯用洗浄器を使用しない場合にはノズルを収納するという作用を有する。蓋体に設けられる吐出口はノズルの挿着を可能にするという作用を有する。さらに、ノズルは吐出口から導出される洗浄液をヘッド部に導くという作用を有する。そして、このノズルが湾曲又は屈曲することで、洋便器に腰掛けて、あるいは、和便器を跨いだ状態で請求項5に記載の携帯用洗浄器を使用する際に洗浄液が放出される方向を使用者に視覚的に示唆すると同時に、ヘッド部あるいはノズル自体が便器の内面あるいは使用者の皮膚などに接触し難くするという作用を有する。また、ヘッド部は洗浄液の放出位置を使用者に視認させると同時に、洗浄液を放出するという作用を有する。
【0014】
請求項6に記載の発明である携帯用洗浄器は、請求項1乃至請求項5に記載の携帯用洗浄器であって、ヘッド部は、洗浄用液体の流動方向と略直交する平面により少なくとも2に分割され、軸部を備えて洗浄用液体の流動方向に積層され、洗浄用液体の縦貫を可能にする少なくとも1の連穿孔を備え、分割されたヘッド部を軸部を中心に回動させて連穿孔の連通/不通の切替を行うことを特徴とするものである。
上記構成の携帯用洗浄器は、請求項1乃至請求項5に記載の携帯用洗浄器に係るそれぞれの作用に加え、少なくとも2に分割されたヘッド部に穿設される少なくとも1の連穿孔は、洗浄用液体のヘッド部内部の縦貫を可能にするという作用を有する。
また、軸部は少なくとも2に分割されたヘッド部の回動を可能にするという作用を有し、少なくとも2に分割されたヘッド部は、洗浄用液体の流動方向を基軸に回動して連穿孔の連通/不通の切替を可能にするという作用を有する。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、請求項1記載の携帯用洗浄器によれば、使用者は携帯用洗浄器に洗浄用液体を貯留して持ち歩くことができ、容器内に貯留された洗浄用液体を手動でヘッド部から放出して、洗浄が必要な箇所を自ら洗浄することができる。
また、蓋体に設けられる垂設口の位置や、湾曲又は屈曲したノズルの形状は使用者に視覚情報として認識され、この情報をもとに使用者は、直接見えない場所において放出される洗浄用液体の放出方向を予測しながら洗浄用液体の放出方向を自在に制御することができる。洗浄用液体はヘッド部から放出されるため、使用者が直接目視できない股の間にノズルを介挿した場合であっても、使用者が恐怖心を抱く心配がなく、従って、使用者は安心して洗浄が必要な箇所を洗浄することができる。
さらに、ヘッド部から洗浄用液体を適正に斜め上方に放出すると自動的に垂設口が下側に位置するので、その状態に容器を保持すれば洗浄用液体を残さず使用可能である。ノズルは湾曲又は屈曲しているため、洗浄用液体の放出方向を容器の傾斜角度や構えの位置を変化させて調整する場合は、ノズルの湾曲又は屈曲部分より上方で可能であり、ヘッド部あるいは容器が便器の内面や使用者の皮膚などへ接触することを防止可能である。
また、請求項1記載の携帯用洗浄器に係るノズルは、垂設口から取外すことができるので、携帯用洗浄器をコンパクトな形で持ち運ぶことができる。
【0016】
また、請求項2記載の携帯用洗浄器は、請求項1に記載の発明とほぼ同じ効果を有するものであるが、請求項2に記載の発明は、ノズルが蓋体と一体に構成されるため、携帯用洗浄器の使用中にノズルが落脱する心配がない。また、ノズルの基部近傍に蛇腹部を備えることで、不使用時にノズルを容器の外側面側に折り畳むことができる。このため、請求項2記載の携帯用洗浄器もコンパクトな形で持ち運ぶことができる。
【0017】
さらに、請求項3記載の携帯用洗浄器によれば、請求項1又は請求項2記載の発明の場合と同様に使用者は携帯用洗浄器に洗浄用液体を貯留して持ち歩くことができ、容器に貯留した洗浄用液体を手動でヘッド部から放出して、洗浄が必要な箇所を自ら洗浄することができる。
また、湾曲又は屈曲したノズルの形状は使用者に視覚情報として認識され、この情報をもとに使用者は、直接見えない場所において放出される洗浄用液体の放出方向を予測しながら洗浄用液体の放出方向を自在に制御することができる。このため、使用者は所望場所に洗浄用液体を放出して洗浄することができる。
また、洗浄用液体はヘッド部から放出されるため、使用者が直接目視できない股の間に使用者がノズルを介挿した場合であっても、使用者が本能的な恐怖心を抱く心配がなく、従って、使用者は安心して洗浄が必要な箇所を洗浄することができる。
また、請求項3記載の携帯用洗浄器に係るノズルは、吐出口から取外すことができるので、携帯用洗浄器をコンパクトな形で持ち運ぶことができる。
さらに、請求項3記載の携帯用洗浄器は、不使用時に容器を略平板状に折り畳むことができるので、請求項1又は請求項2の発明に比べ一層コンパクトな形で持ち運ぶことができる。
【0018】
また、請求項4記載の携帯用洗浄器は、請求項2記載の携帯用洗浄器の効果に加えて、使用時に蛇腹部が意図しない方向に屈曲しないよう直線上に保持することができるので、使用者は安心して洗浄作業を行うことができる。
【0019】
また、請求項5記載の携帯用洗浄器によれば、容器内に貯留された洗浄用液体を手動でヘッド部から放出して、洗浄が必要な箇所を自ら洗浄することができるという効果を有する。
また、湾曲又は屈曲したノズルの形状は使用者に視覚情報として認識され、この情報をもとに使用者は、直接見えない場所において放出される洗浄用液体の放出方向を予測しながら洗浄用液体の放出方向を自在に制御することができる。さらに、洗浄用液体はヘッド部から放出されるため、使用者が直接目視できない股の間にノズルを介挿した場合であっても、使用者が恐怖心を抱く心配がなく、従って、使用者は安心して洗浄が必要な箇所を洗浄することができるという効果を有する。
そして、ノズルが湾曲又は屈曲することで、携帯用洗浄器の使用時にヘッド部あるいは容器が便器の内面や使用者の皮膚などへ接触することを防止できるという効果を有する。
また、請求項5記載の携帯用洗浄器に係るノズルは、吐出口から容器内に収納できるので、携帯用洗浄器をコンパクトな形で持ち運ぶことができる。
【0020】
最後に、請求項6記載の携帯用洗浄器は、ヘッド部を回動させることで連穿孔の連通/不通の選択が可能となり、この結果、洗浄用液体の放出/停止を選択することができるので、携帯用洗浄器の汎用性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の第1の実施の形態に係る携帯用洗浄器を図1乃至図3を参照しながら説明する。(特に、請求項1及び請求項6に対応)
【0022】
図1(a)は本発明の第1の実施の形態に係る携帯用洗浄器の概念図であり、(b)は図1中の符号A−Aにおける矢視断面図である。また、図2は本発明の第1の実施の形態に係る携帯用洗浄器の使用状態図である。なお、本実施の形態においては、携帯用洗浄器1aを例えば洋式便器において使用する場合を例に挙げて説明しているが、携帯用洗浄器1aは洋式・和式を問わずどのような便器においても使用することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る携帯用洗浄器1aは、手動で洗浄用液体を放出させて、便や尿の排泄口や女性の局部周辺の汚れを洗浄する際使用するための器具であり、実際に使用する場合には、図2に示すように、人15の脚部15aの間、即ち、股間にノズル4aを介挿させて容器2aを斜め下向きに傾け、容器2aの外側面を手で押圧して容器2a内に貯留される洗浄用液体26をヘッド部5の放出口14から放出して、この洗浄用液体26で排泄口や女性の局部周辺の汚れを洗浄するものである。
【0023】
まず、本発明の第1の実施の形態に係る携帯用洗浄器1aを図1を参照しながら説明する。
図1(a),(b)に示すように、携帯用洗浄器1aは主に、蓋3aを有する容器2aと、放出口14とシャワー切替機能を備えるヘッド部5を有するノズル4aにより構成され、蓋3aの外縁25近傍には容器2a内の洗浄用液体をノズル4aへと導出する垂設口6が設けられている。また、この垂設口6には、垂設口6から蓋3aの中心、すなわち、垂設口6から図中の符号Cで示す位置に向う方向に屈曲するノズル4aが垂設され、垂設口6から導出される洗浄用液体をヘッド部5へと導いている。なお、ヘッド部5の詳細については後述する。
このように、垂設口6を蓋3aの外縁25近傍に設けることで、図2に示すように、ノズル4aを斜め下方に向け、容器2aの底部が斜め上方を向くように容器2aを傾けて保持した場合に、容器2aに貯留される洗浄用液体の全てを確実に垂設口6から導出することができる。
また、図2に示すように、人15は便座17に座っており、この時人15の断面及び洋式便器16の断面はいずれも湾曲する曲線により構成されている。そして、携帯用洗浄器1aを使用するための空間である人15と便器16の間の空間は必ずしも広いとはいえない。
他方、例えば、図2において、使用者が洗浄用液体26を図に示す位置よりもさらに後方へと、すなわち、おしり側に向けて放出しようとして、容器2aを自らの体側へ、すなわち、図中の符号Mで示す方向へと傾けた場合には、この動作に連動してノズル4aの先端に連設されるヘッド部5は便器16側へと変位する、すなわち、図中の符号Nで示す方向に変位する。また、使用者が容器2aを自らの体から離れる側に傾けた場合には、ヘッド部5は逆方向に傾斜して変位する。
このため、ノズル4aを直線状に形成した場合や、あるいは、ノズル4aの端部が人15に向うように略直角に屈曲させた場合には、使用者が容器2aの垂直平面における保持角度を変えた際に、ヘッド部5が便器16や人15に接触して不衛生になる恐れがあった。
そこで、図2に示すように、ノズル4aを図1(a),(b)における垂設口6が設けられた外縁から蓋3aの中心に向う方向に湾曲又は屈曲させることで、使用者が容器2aの垂直方向の保持角度を変えた場合のヘッド部5の変位を小さくすることができる。この結果ヘッド部5や容器2aが人15あるいは便器16に接触する可能性が低くなり衛生的である。
【0024】
本実施の形態に係る携帯用洗浄器1aにおいては、図1(a),(b)に示すように、ノズル4aは、まずノズル4aの長さ方向略中心において、垂設口6から蓋3aの中心に向う方向に緩やかに屈曲し、さらに、ヘッド部5の近傍において再度、同じ方向に屈曲し、最終的にノズル4aの垂設軸27とヘッド部5の指向軸28のなす角が約90°〜125°となるよう構成されている。なお、ノズル4aの垂設軸27とヘッド部5の指向軸28のなす角は約45°〜135°となるよう構成してもよい。
このように、ノズル4aを徐々に屈曲させてノズル4aの垂設軸27とヘッド部5の指向軸28のなす角が約90°〜125°となるよう構成することで、即ち図1(b)中の符号Iで示す角度が約90°〜125°になるようノズル4aを屈曲させることで、ノズル4aの形状が人15の股部分の断面形状、あるいは、便器16の断面形状に近づき、使用者が携帯用洗浄器1aの垂直方向の保持角度を変えた場合であっても、ヘッド部5や容器2aは人15や便器16に接触しにくくなる。
また、あるいは約45°〜135°となるように構成することで、特に鋭角とする場合には、垂設口6を下方に向けて使用する際にヘッド部5の指向軸28が上方を向くので使用が容易となる。また、鈍角側を拡げることでより柔軟に人15や便器16に対応可能となる。
なお、本実施の形態においてはノズル4aを2段階に分けて屈曲した場合を例に挙げて説明したが、ノズル4aを徐々に湾曲させて、最終的にノズル4aの垂設軸27とヘッド部5の指向軸28のなす角が約90°〜125°となるよう、あるいは約45°〜135°となるよう構成してもよいし、湾曲と屈曲を組み合わせて最終的にノズル4aの垂設軸27とヘッド部5の指向軸28のなす角が約90°〜125°となるよう、あるいは約45°〜135°となるよう構成してもよい。
【0025】
さらに、蓋3aの垂設口6には、ノズル4aの落脱と洗浄用液体26の漏出を防止するためのパッキン7が設けられ、また、蓋3aにはノズル4aを取外して容器2aを携行する際に、垂設口6を密閉するためのキャップ8が備えられ、このキャップ8は連結帯9により蓋3aに連結されている。このキャップ8は蓋3aと別体に設けてもよいが、紛失する可能性もあり、このように蓋3aと一体に構成しておくと便利である。
なお、ノズル4a及びキャップ8の装着方法は、垂設口6にキャップ8を覆設しても良いし、あるいは、図示しないが垂設口6にノズル4aやキャップ8を螺設してもよいし、パッキン7を用いることなく嵌設してもよい。
また、容器2aの外側面には取外したノズル4aを掛着するための保持部10a,10bが設けられており、容器2aの曲面に湾曲又は屈曲するノズル4aを沿わせるように掛着すれば、携帯用洗浄器1aをコンパクトに持ち運ぶことができる。
【0026】
次に、ヘッド部の構成、作用及び効果について図3を参照しながら説明する。
図3(a)は図1中の符号Bで示す部分の部分断面図であり、(b)は図1中の符号Bで示す部分の部分概念図である。なお、図1及び図2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図3(a)に示すように、ノズル4aの端部にはヘッド部5が着脱可能に螺設され、ノズル4aから導かれる洗浄用液体を、すなわち、図3(a)中の符号Eで示す方向から供給される洗浄用液体を、放出口14から洗浄が必要な箇所に向かって放出する構成になっている。
本来、このヘッド部5は、携帯用洗浄器1aの使用に際して必須の構成要素ではないが、人はデリケートな部分に細い棒状の物体を差し向ける場合に本能的に恐怖を感じる場合が多く、機能的な形状がかえって使用しづらい場合がある。
このため、このような本能的な恐怖心や緊張感を緩和する目的で、本実施の形態に係る携帯用洗浄器1aのノズル4a端部にはヘッド部5が設けられているのである。
なお、本実施の形態に係る携帯用洗浄器1aにおいては、万一人の体にヘッド部5が接触した場合であっても、人の体を傷つけることがないよう、ヘッド部5の形状は略球形としているが、ヘッド部5が柔らかな曲線を主体とした形状であれば人の体を傷つける心配が少ないため、例えば、アニメ等のキャラクターの形状を模した形状でもよく、使用者の好みに応じて適宜変更されて良い。
さらに、本実施の形態に係る携帯用洗浄器1aにおいては、ヘッド部5の汎用性を高める目的でヘッド部5にシャワー機能を備えた構成としている。
【0027】
以下、このシャワー機能を発揮するための構造について詳細に説明する。
図3(a),(b)に示すように、ヘッド部5は洗浄用液体の流動方向に積層される導入部5a,放出部5bにより構成され、この放出部5bは軸部12により導入部5aに連設されている。また、導入部5aの内部には孔11bが穿設され,放出部5bの内部には孔11a,11cが導入部5aの孔11bに連続するように穿設されている。そして、軸部12を基軸に放出部5bを回動させた場合において、孔11bと孔11cが連通した場合にのみ洗浄用液体が放出口14bから放出され、放出部5bの回動状態によっては孔11bと孔11cが不通となる場合もあるような仕組みになっている。
なお、本実施の形態において孔11aは、軸部12の軸芯部に穿設されているため、放出部5bを回動させる回動させないにかかわらず、常に孔11bと連通状態にある。
つまり、本実施の形態においては、放出部5bの回動により孔11bと孔11cが連通しない場合は、洗浄用液体はヘッド部5の軸芯部に穿設される放出口14aのみから放出されて単噴射状態となり、放出部5bの回動により孔11bと孔11cが連通する場合は、放出口14a,14bの両方から洗浄用液体が放出されてシャワー状態となるのである。
本実施の形態において単噴射状態とシャワー状態の切替は、図3(b)に示す凸部13bを挟持して放出部5bを回動させることにより行なわれている。
この切替の原理を、孔11b1と孔11c1の場合を例に挙げて説明すると、いま、図3(b)において、放出部5bに設けられる凸部13bは、導入部5aに設けられる凸部13a1と重なり合うように配置されており、このとき、孔11b1と孔11c1は連通しているので、放出部5bの放出口14b1から洗浄用液体が放出されてシャワー状になる。一方、放出部5bの凸部13bを凸部13a2と重なり合うように回動させると、孔11c1は孔11aと凸部13a2を結ぶ線上、すなわち、図3(b)中の符号Hで示される線分上に移動するため、孔11b1と放出部5bの孔11c1は不通となり、放出口14aのみから洗浄用液体が放出される単噴射状態になるのである。
【0028】
なお、本実施の形態においては、放出部5bの軸部12に孔11aを1だけ穿設した場合を例に挙げて説明したが、必ずしも軸部12に孔11aを穿設する必要はなく、例えば、軸部12に孔11aを穿設しない場合には、上述のような切替機能を応用して洗浄用液体の放出/停止の切替え機能とすることができる。
また、軸部12の断面径を大きくして、軸部12に複数の孔11aを穿設してもよい。複数の孔11aを穿設した場合には、ヘッド部5の複数箇所から洗浄用液体が放出されるため携帯用洗浄器1aの洗浄力を高めることができる。
さらに、放出部5bに断面径の異なる複数種類の孔11cを穿設して上述のような切替機能を応用すれば、孔11cを変更することで洗浄用液体放出時の水圧を調整することもできる。
なお、本実施の形態に係る携帯用洗浄器1aにおいては、放出口14a,14bの形状を略円形としているが、使用者の好みに応じて、洗浄用液体の放出に差し支えない、例えば星型や三角形等の形状にしてもよい。
このように、本実施の形態に係る携帯用洗浄器1aにおいては、ノズル4aの先端に上述のような機能を有するヘッド部5を設けることで、使用者の心理的なストレスを解消することができ、また、連穿孔の切替機能を備えることで携帯用洗浄器1aを汎用性の高いものにすることができる。
【0029】
続いて、図4を参照しながら本発明の第2の実施の形態に係る携帯用洗浄器について説明する。(主に請求項2及び請求項4に対応)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る携帯用洗浄器の概念図である。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本発明第2の実施の形態に係る携帯用洗浄器1bは、上述の携帯用洗浄器1aとほぼ同じ作用及び効果を有するものであるが、上述の第1の実施の形態に係る携帯用洗浄器1aにおいてはノズル4aと蓋3aが別体に構成され、ノズル4aが着脱可能に構成されていたのに対し、本発明の第2の実施の形態に係る携帯用洗浄器1bは、蓋体3bとノズル4bが一体に構成され、ノズル4bを折り畳んで収納するよう構成されている。
本発明第2の実施の形態に係る携帯用洗浄器1bは、図4に示すように、蓋体3bの外縁25近傍にノズル体4bが垂設され、このノズル体4bの基部近傍には蛇腹部18が設けられており、携帯用洗浄器1bを使用しない時にはノズル体4bを容器2bの側面側に折り畳むことができるよう構成されている。
また、この蛇腹部18には、その外側面を被覆するように筒状体19が設けられ、携帯用洗浄器1bの使用時にノズル体4bが蛇腹部18で不意に意図しない方向に折れ曲がるのを防いでいる。
また、ノズル体4bを収納する場合には、筒状体19をノズル体4b中央の屈曲部分近傍にスライド移動させることによればノズル体4bをスムーズに折り畳むことができ、折り畳んだノズル体4bは、容器2bの外側面に設けられる保持部10cに掛着することができる。
さらに、ノズル体4bの基部には筒状体19を係止するためのストッパ20が設けられており、筒状体19がノズル4aの屈曲部側、すなわち、図4中の符号Pで示す方向にずれ落ちるのを防止している。本実施の形態においてはストッパ20の形状を、突起状としたが、必ずしもこの形状である必要はなくたとえばリング状でもよい。
上記構成の携帯用洗浄器1bによれば、本発明の第1の実施の形態に係る携帯用洗浄器1aの場合に比べて、蓋体3bとノズル体4bの接続部分における水漏れの心配がない上、ノズル体4bの収納も簡単で携行するのに便利である。
【0030】
続いて、本発明の第3の実施の形態に係る携帯用洗浄器の構成、作用及び効果について図5を参照しながら説明する。(主に請求項3に対応)
図5は、(a)は本発明の第3の実施の形態に係る携帯用洗浄器の部分側面図であり、(b)その使用後の部分側面図である。なお、図1乃至図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本発明の第3の実施の形態に係る携帯用洗浄器1cは、特に洗浄用液体を貯留する容器2cに特徴を有するものである。
図5(a)に示すように、携帯用洗浄器1cに係る容器は吐出口21を基点に容器2cの側面が底部に向って略V字形をなすように広がっており、この略V字形をなすように広がる側面を容器2cの中心側に向って押圧することで、すなわち、図中の符号Jで示す方向から符号Kで示す方向に押圧することで、容器2cから導出される洗浄用液体を付勢できるよう構成されている。
なお、吐出口21にはパッキン22が設けられており、上述の本発明の第1の実施の形態に係るヘッド部5を備えるノズル4aを着脱可能に装着することができる。従って、本発明の第3の実施の形態に係る携帯用洗浄器1cにおいても、第1及び第2の実施の形態に係る携帯用洗浄器1a及び1bと同様に、洗浄必要箇所を簡単に洗浄することができる。なお、ノズル4aは、携帯用洗浄器1cの吐出口21に螺設してもよいし、パッキン22を用いることなく嵌設してもよい。
さらに、携帯用洗浄器1cは、容器2c内の洗浄用液体26を略完全に導出した後は、図5(b)に示すように、容器2cを略平板状に折り畳むことができるので、容器が嵩張らず、特に携行する際に便利である。
【0031】
本発明の第4の実施の形態に係る携帯用洗浄器の構成、作用及び効果について図6を参照しながら説明する。(主に請求項5に対応)
図6(a)は本発明の第4の実施の形態に係る携帯用洗浄器の一部を欠いて示す概念図であり、(b)はノズルを容器内に収容した場合の概念図である。なお、図1乃至図5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図6(a)に示すように、本実施の形態に係る携帯用洗浄器1dは、図示しない洗浄液を貯留する容器2dの開口部に、上方側に向うにつれて縮径する吐出口30を備えた蓋体29が覆設され、さらに吐出口30にはヘッド部32を一体に備えるノズル31が挿着されたものである。また、容器2dと蓋体29の隙間からの水の漏出を防ぐため、容器2dと蓋体29の間に、ゴムやシリコン又は合成樹脂等の弾性体から成るパッキンを設けても良い。
なお、ノズル31とヘッド部32は一旦別々に作製してから、たとえば、接着剤等でノズル31とヘッド部32を一体に構成してもよいし、ノズル31とヘッド部32が一体となった形状のまま、例えば、型抜き成形してもよい。さらに、ノズル31の端部にヘッド部32を螺設したり、着脱不能に嵌合させて取り付けても良い。
また、図6(b)に示すように、ノズル31は吐出口30において上下方向にスライド可能に構成されており、携帯用洗浄器1dを使用しない場合にはノズル31を容器2dの内部に収納して持ち運ぶことができるという効果を有する。
さらに、ノズル31の先端には、たとえば、吐出口30の直径よりも小さいヘッド部32が設けられている。また、ノズル31の容器2d内の端部は切り口に向うにつれて拡径する掛着部31aが形成されている。このため、図6(a)に示すように、携帯用洗浄器1dを使用する際には吐出口30に掛着部31aを面接触で密着させ、吐出口30に掛着部31aを係止してノズル31を固定することができるという効果を有し、その一方で、携帯用洗浄器1dを使用しない場合にノズル31を容器2d内に収容した際に、掛着部31aが容器2dの底部に届くことで、ノズル31の容器2d内への抜け落ちを防止できるという効果を有する。
そして、図6(b)に示すように、本実施の形態に係る携帯用洗浄器1dにおいては、ノズル31を容器2d内に収容し、ヘッド部32は吐出口30から出たままの状態で、蓋体29に着脱可能にキャップ33を覆設してもよい。この場合、携帯用洗浄器1dの携帯時に吐出口30とノズル31の隙間から洗浄液が漏れた場合でも、容器2dの外に洗浄液が漏出するのを防止できるという効果を有する。なお、キャップ33は必ずしも設けなくともよい。
また、ノズル31の長さを図6(b)に示すものより短くしてノズル31とヘッド部32を完全に容器2dの内部に収容できるよう構成してもよい。
さらにこの場合、キャップ33を設けた場合には、キャップ33は洗浄液が外部に漏れないように吐出口30を塞いで密閉するという機能のみを備えていれば良いので、キャップ33自体を小さくすることができ、しかも、携帯する際の携帯用洗浄器1dの大きさをコンパクトにできるという効果を発揮する。
さらに、ヘッド部32の直径を吐出口30の直径をよりも大きく設定して、ノズル31の容器2d内への抜け落ちを防止してもよい。また、その際にノズルの長さは、容器2dの底部から吐出口30までの高さと同一あるいは短くすることで、ヘッド部32がノズル31の収納時に吐出口30近傍に存在するようになり、特に、キャップ33を設ける場合には、図6(b)に示されるキャップ33よりも小型にすることが可能である。もちろん、ノズル31の長さが容器2dの底部から吐出口30までの高さよりも長い場合でもよいが、その場合にキャップ33を設ける場合は、図6(b)に示されるようにヘッド部32まで覆うことが可能なものであることが望ましい。
【0032】
なお、本実施の形態に係る携帯用洗浄器1dにおいて、吐出口30におけるノズル31の固定方法は、上述のような方法以外に、たとえば、吐出口30の内側に雌ネジを、ノズル31の掛着部31aの外側に雄ネジを螺刻し、これらを螺合して固定してもよい。あるいは、ゴムやシリコン又は合成樹脂等の弾性体からなるパッキンを介して吐出口30にノズル31を係着してもよい。この場合、吐出口30とノズル31の接続を一層確実にすることができ、携帯用洗浄器1dを使用する際に吐出口30とノズル31の隙間から洗浄液が漏出するのを一層防止できるという効果を有する。
また、蓋体29にキャップ33を覆設する場合、蓋体29にキャップ33を螺設してもよいし、図6(a),(b)に示すように蓋体29の外周に凸部29aを設けて蓋体29とキャップ33を嵌合により着脱可能に固定してもよい。いずれの場合も、洗浄液が外部に漏れるのを防止できるという効果を有する。
あるいは、蓋体29に凸部29aを設ける代わりにゴムやシリコン等の弾性体から成るパッキンを周設することで、蓋体29とキャップ33の密閉性を高めることができ、洗浄液が外部に漏れるのを一層防止できるという効果を期待できる。
また、特にノズル31を緩やかな略S字状に形成した場合には、容器2d内にノズル31を収容した際に、ヘッド部32を吐出口30の真上に配置することが可能となり、吐出口30にキャップ33を覆設できるという効果を発揮する。
さらに、キャップ33の内側にヘッド部32を引っ掛けるためのフックを設けることで、このフックにヘッド部32を引っ掛けてキャップ33を用いて容器2dからノズル31を出し入れすることが可能となり、ノズル31の出し入れを一層衛生的に行なえるという効果を発揮する。
【0033】
また、先に述べたような第1,2の実施の形態に係る携帯用洗浄器1a,1bは、蓋3aの外縁25近傍に洗浄液を吐出するための垂設口6が設けられており、携帯用洗浄器1a,1bを特定の方向に傾けて使用する際に特に適しているのに対し、本実施の形態に係る携帯用洗浄器1dは、図6に示すように、吐出口30が蓋体29の略中央部に設けられているため、携帯用洗浄器1dをどのような方向に傾けても容器2d内の洗浄液を吐出させやすいという効果を有している。この場合、携帯用洗浄器1dを用いて所望の場所を洗浄する際に使用するスペースを狭くすることができ、容器2dやノズル31及びヘッド部32が使用者の体や便器の内側に触れてしまって不衛生になる可能性を一層低減できるという効果を有する。
そして、このような携帯用洗浄器1dにおいて、吐出口30に挿着するノズル31の挿着軸34と指向軸35の成す角Qは、約45°〜135°の範囲内であることが望ましい。これは、ノズル31の挿着軸34と指向軸35の成す角Qが45°に満たない場合や、135°を超える場合にはいずれも使用時に目的とする場所に洗浄液を命中させるのが困難になるという不具合が認められたためである。
本実施の形態に係る携帯用洗浄器1dは、老若男女、又は使用者の体型にかかわらず、あるいは、洋便器、和便器のいずれにおいても使用できる極めて汎用性の高いものである。また、本実施の形態に係る携帯用洗浄器1dは、育児用として、たとえば、乳幼児のおむつを替える際のおしり等の洗浄にも適し、さらに、介護が必要な方のための介助用の部分洗浄器としても使用可能である。
さらに、たとえば、ノズル31の挿着軸34と指向軸35の成す角Qがそれぞれ異なるノズル31を複数準備しておき、それぞれのノズル31の先端に色や模様が異なるヘッド部32を設けることによれば、携帯用洗浄器1dを使用する際に使用者が所望の洗浄場所を洗浄するのに最適なノズル31を容易に選択することができ、携帯用洗浄器1dの利便性と汎用性を一層高めることができるという効果を発揮する。
【0034】
以上説明したように、本発明の第1乃至第4の実施の形態に係る携帯用洗浄器1a〜1dによれば、いつでもどこでも簡単に排泄口周辺や女性の局部周辺の汚れを洗浄することができ、携帯もしやすく便利である。
また、本発明の第1乃至第4の実施の形態に係る携帯用洗浄器1a〜1dに係る容器2a〜2dの形状や、ノズル4a, 31、ノズル体4bの形状はその機能を説明する目的で最も機能的な形状を図示したのであるが、必ずしも図1乃至図6に示す形状である必要はなく、たとえば、容器2a〜2dを動物の体に見立てたり、ノズル4a,4b,31の形状については、例えば動物のゾウの鼻やキリンの首に見立てたりして、親しみやすい色や形状を有する携帯用洗浄器1a〜1dとしてもよい。
このように、コミカルな色や形状にすることで携帯用洗浄器1a〜1dを、一層使いやすく、親しみやすくすることができる。
したがって、感染症や婦人病の予防に寄与しながら、日常生活を快適にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係る携帯用洗浄器は、排泄口周辺や女性の局部周辺の汚れを簡単に洗浄することができ、しかもコンパクトに携行できる携帯用洗浄器に関するものであり、日用品や衛生用品に関する分野において利用の可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(a)は本発明の第1の実施の形態に係る携帯用洗浄器の概念図であり、(b)は図1中の符号A−Aにおける矢視断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る携帯用洗浄器の使用状態図である。
【図3】(a)は図1中の符号Bで示す部分の部分断面図であり、(b)は図1中の符号Bで示す部分の部分概念図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る携帯用洗浄器の概念図である。
【図5】(a)は本発明の第3の実施の形態に係る携帯用洗浄器の部分側面図であり、(b)はその使用後の部分側面図である。
【図6】(a)は本発明の第4の実施の形態に係る携帯用洗浄器の一部を欠いて示す概念図であり、(b)はノズルを容器内に収容した場合の概念図である。
【0037】
1a〜1d…携帯用洗浄器 2a〜2d…容器 3a…蓋 3b…蓋体 4a…ノズル 4b…ノズル体 5…ヘッド部 5a…導入部 5b…放出部 6…垂設口 6a…吐出口 7…パッキン 8…キャップ 9…連結帯 10a〜10c…保持部 11a〜11c,11c1…孔 12…軸部 13a1,13a2,13b…凸部 14,14a,14b, 14b1…放出口 15…人 15a…脚部 16…便器 17…便座 18…蛇腹部 19…筒状体 20…ストッパ 21…吐出口 22…パッキン 23…キャップ 24…開口 25…外縁 26…洗浄用液体 27…垂設軸 28…指向軸 29…蓋体 29a…凸部 30…吐出口 31…ノズル 31a…掛着部 32…ヘッド部 33…キャップ 34…挿着軸 35…指向軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄用液体を貯留する容器と、前記容器の開口に覆設される蓋体と、前記蓋体に着脱可能に垂設されて前記洗浄用液体を導出するノズルと、前記ノズルの端部に着脱可能に連設されるヘッド部とを有する携帯用洗浄器であって、
前記蓋体は、その外縁近傍に前記ノズルの垂設口を備え、
前記ノズルは、前記蓋体の前記外縁から中心へ向かう方向に湾曲又は屈曲することを特徴とする携帯用洗浄器。
【請求項2】
洗浄用液体を貯留する容器と、前記容器の開口に覆設される蓋体とを有する携帯用洗浄器であって、
前記蓋体は、前記蓋体の外縁近傍に垂設され前記洗浄用液体を導出するノズルを備え、
前記ノズルは、その端部に連設される着脱可能なヘッド部と、前記ノズルを前記容器側面側へ折畳み可能にする蛇腹部を前記ノズルの基部近傍に備え、前記蓋体の前記外縁から中心へ向う方向に湾曲又は屈曲することを特徴とする携帯用洗浄器。
【請求項3】
洗浄用液体を貯留する容器と、前記容器の吐出口に垂設され前記洗浄用液体を導出するノズルと、前記ノズルの端部に着脱可能に連設されるヘッド部とを有する携帯用洗浄器であって、
前記ノズルは湾曲又は屈曲し、
前記容器の垂直断面は、前記吐出口を基点に前記容器の底部に向って略V字形をなし、前記容器の左右側部を押圧すると前記容器の吐出口を基点に左右側部が密着して前記容器の容積が略0(ゼロ)になるように圧潰されることを特徴とする携帯用洗浄器。
【請求項4】
請求項2に記載の携帯用洗浄器であって、
前記ノズルは、前記ノズルの蛇腹部の外側面を被覆する管状体を備え、前記蛇腹部の折畳みを妨げることを特徴とする携帯用洗浄器。
【請求項5】
洗浄用液体を貯留する容器と、吐出口を備えて前記容器の開口に覆設される蓋体と、前記蓋体の吐出口に挿着されて前記洗浄用液体を導出するノズルと、前記ノズルの端部に一体に連設されるヘッド部とを有する携帯用洗浄器であって、
前記ノズルは、湾曲又は屈曲し、前記蓋体の吐出口から前記容器内に収納可能であることを特徴とする携帯用洗浄器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5に記載の携帯用洗浄器であって、
前記ヘッド部は、前記洗浄用液体の流動方向と略直交する平面により少なくとも2に分割され、軸部を備えて前記洗浄用液体の流動方向に積層され、前記洗浄用液体の縦貫を可能にする少なくとも1の連穿孔を備え、分割されたヘッド部を前記軸部を中心に回動させて前記連穿孔の連通/不通の切替を行うことを特徴とする携帯用洗浄器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−61599(P2007−61599A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−131733(P2006−131733)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(505294023)
【Fターム(参考)】